JP3098787U - ワックス用インスツルメント - Google Patents
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Abstract
【課題】盛り上げ法によるワックスパターンの成形に好適なワックス用インスツルメントを提供すること。
【解決手段】棒状の握り部2と、握り部2の端部2a、2bに設けられた細工部3、3Aとを含んで構成され、細工部3、3Aが、握り部2側の湾曲部4と、湾曲部4に続く握り部2の中心軸に沿う方向に折れ曲がったワックス溜め部5、5Aとを備え、ワックス溜め部5、5Aが先太で、かつその先端が丸味を帯びている。
【選択図】図1
【解決手段】棒状の握り部2と、握り部2の端部2a、2bに設けられた細工部3、3Aとを含んで構成され、細工部3、3Aが、握り部2側の湾曲部4と、湾曲部4に続く握り部2の中心軸に沿う方向に折れ曲がったワックス溜め部5、5Aとを備え、ワックス溜め部5、5Aが先太で、かつその先端が丸味を帯びている。
【選択図】図1
Description
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、歯科技工の分野において、歯冠や義歯などを作製する際のワックス型の形成に用いられるワックス用インスツルメントに関する。
【0002】
【従来の技術】
歯の治療方法の一つに、治療する歯の一部または多くの部分を削り取り、削り取ったところに歯冠を被せたり、義歯を差し込んだりする方法がある。その場合には、歯冠や義歯などが技工士によって作製される。その作製工程の概略は次のとおりである。
【0003】
まず、歯科医が削った歯およびその周辺の歯型(印象)を採取する。その印象に、歯科技工用の石膏を流し込み、歯型の模型を作製する。この歯型の模型では、周辺の歯は歯の形状だけが再現されており、治療する歯はすでに削られているので、その歯の残っている部分の形状が再現されている。したがって、削られてすでになくなっている部分が、歯冠などとして歯科技工士によって作製される。
【0004】
図6は、歯型の模型を基にワックスパターン(蝋型)を形成し、さらに金属の歯冠を作製する手順を示す断面図であり、(a)は歯型の模型、(b)は歯型の模型にワックスパターンを形成した状態、(c)はワックスパターン、(d)はワックスパターンを歯科用耐火材料に埋め込んだ状態、(e)は鋳造型からワックスが除かれた状態、(f)は鋳造後の状態、(g)は作製された歯冠を示している。
【0005】
図6に示したように、石膏の歯型の模型31にワックスパターン32を形成し(図6(b))、模型31とワックスパターン32とを分離させてワックスパターンにワックス製などのスプルー(湯道)32aを取り付けた後(同図(c))、ワックスパターン32を型枠33に入れ耐火材料34中に埋め込む(同図(d))。次に、型枠33を含む全体を700〜800℃に加熱し、注入部32aを含むワックスパターン32を蒸発させるとともに、耐火材料34を固めることにより、ワックスパターン32部を空洞化させた鋳造型を形成する(同図(e))。次に、加熱された状態で、空洞化された部分に溶けた歯冠用の金属(例えば、Au−Ag−Pd合金)35を注入する(同図(f))。冷却後、鋳造品を取り出して加工し、歯冠36に仕上げる。
【0006】
上記の工程の中で、ワックスパターン32の成形は、その出来によって、歯冠36が歯の治療を受けた患者によく適合するか否かがほぼ決まると言える工程であるので、歯科技工士にとって重要な作業である。このワックスパターンの成形には、主に次の3つのいずれかの方法が採用されている。
【0007】
第1の方法は、石膏の模型31に対して、目標のワックスパターン32の形状より大きめにワックスを付着させ、歯冠の形態を掘り出していくことによってワックスパターン32の形状に成形する方法(カービング法)である。第2の方法は、模型31にワックスを盛り上げていくことによって、ワックスパターン32を成形する方法(盛り上げ法)である。また、第3の方法は、第1と第2の方法を併用する方法である。
【0008】
上記のワックスパターン32の成形には、通常ワックス用インスツルメント(以下、単に「インスツルメント」と略記する)が用いられる。このインスツルメントに対しては、作業の精度や能率を上げるために、様々な改良や工夫が講じられている。
【0009】
図7は、作業がしやすいように、柄部(握り部)に改良が加えられた従来のインスツルメントを示す側面図である(例えば、特許文献1)。このインスツルメント41は、握り部42、細工部43、44を含んで構成される通常のインスツルメントに、指当て部45、46が設けられている点に特徴がある。この指当て部45、46は、細工部43、44と握り部42との間に位置し、周面が円弧状に内側にへこみ、その周面上には多数の突起が形成されているものである。
【0010】
【特許文献1】
実開昭53−56200号公報
【0011】
【考案が解決しようとする課題】
上記のインスツルメント41を用いて、盛り上げ法によりワックスパターンを成形する場合には、へら部43、44に溶けたワックスを付着させ、そのワックスを歯型の模型31に付着させることによって、ワックスの盛り上げが行われる。従来のインスツルメントは、図7に一例を示したように、通常へら部が扁平であり、かつ先端部が尖っている。したがって、付着させたワックスを削る器具としては使いやすいが、ワックスの盛り上げには必ずしも適していないという欠点がある。
【0012】
従来のインスツルメントの中には、へら部が扁平ではなく棒状のものもあるが、その棒状部の形状は、図7に示したインスツルメント41と同様に、ほぼストレート状であるので、ワックスを盛り上げる方法に対しては、ワックスパターン32の成形に必ずしも適したものではないという問題点がある。
本考案は上記課題に鑑みなされたものであって、ワックスを盛り上げる方法でワックスパターンを成形するのに好適な歯科技工に用いられるワックス用インスツルメントを提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段及び効果】
上記の課題を解決するための本考案に係るワックス用インスツルメント(1)は、棒状の握り部と、該握り部の端部に設けられた細工部とを含んで構成され、前記細工部が、前記握り部側の湾曲部と、該湾曲部に続く前記握り部の中心軸に沿う方向に折れ曲がったワックス溜め部とを備え、該ワックス溜め部が、先太で、かつその先端が丸味を帯びていることを特徴としている。
上記のワックス用インスツルメント(1)によれば、ワックス溜め部が握り部の中心軸方向に折れ曲がっており、さらにワックス溜め部が先太でかつ湾曲部側の方が細いので、ワックス溜め部に、ワックスを安定的、かつ量的に多く付着させておくことができる。そのために、盛り上げ法によるワックスパターンの成形を容易、かつ正確に行うことができる。
【0014】
また、本考案に係るワックス用インスツルメント(2)は、上記のワックス用インスツルメント(1)において、前記ワックス溜め部の長さが1〜4mm、前記先太部分の太さが0.5〜3mmの範囲で設定されていることを特徴としている。
上記のワックス用インスツルメント(2)によれば、ワックス溜め部が適正なサイズに設定されているので、いっそう容易、かつ正確にワックスパターンを成形することができる。
【0015】
【考案の実施の形態】
以下、図面を参照し、本考案の実施の形態に係るワックス用インスツルメントを具体的に説明する。
図1は、実施の形態に係るインスツルメント1の外観を示す斜視図である。インスツルメント1は、握り部2と、握り部2の両端に備えられている細工部3、3Aとを含んで構成され、さらに、細工部3、3Aは、それぞれ湾曲部4、4Aと、ワックス溜め部5、5Aと、必要に応じて設けられる支持部6、6Aとを含んで構成されている。なお、以下の説明では、細工部3、3Aに関しては、一方の細工部3について説明し、他方の細工部3Aには後に言及する。
握り部2は、使用者がインスツルメントを握る部分であり、径が7〜10mm程度、長さが80〜130mm程度のほぼ棒状である。そして、端部2a、2bに近い側の指で掴む位置には、滑り止め用の凹凸部2c、2dが設けられている。
【0016】
図2は、握り部2の一方の端部2aに設けられている細工部3を示す要部拡大側面図である。細工部3は、一端が握り部2の端部に固定された支持部6と、支持部6に続く湾曲部4と、湾曲部4の先に設けられたワックス溜め部5とを含んで構成されている。支持部6と湾曲部4はほぼ棒状で、断面形状は丸形、角形等いずれの形状でもよい。
【0017】
図3は、インスツルメント1のワックス溜め部5およびその近傍の領域の形状を示す要部拡大側面図である。ワックス溜め部5は、湾曲部4のワックス溜め部5に接する領域4bに対して、握り部2の中心軸A(図2参照)に沿う方向に折れ曲がっている。すなわち、ワックス溜め部5の中心軸Cは、湾曲部4のワックス溜め部5に接する領域4bの中心軸Bとなす角度より、中心軸Aとなす角度の方が小さくなっている。このワックス溜め部5の中心軸Cと握り部2の中心軸Aとの間の好ましい角度は、およそ0〜45°、さらに好ましくは0〜30°である。また、ワックス溜め部5は、湾曲部側5bから先端部5Aにかけて、太さが太くなる先太形となっており、ワックス溜め部5の先端部5Aの径は、湾曲部4のワックス溜め部5に接する領域4bの径より大きくなっている。さらに、先端部5Aには丸味が設けられている。
ワックス溜め部5の好ましい大きさは、長さ1〜4mm、先端部5Aの太さ0.5〜3mmの範囲である。さらに好ましい大きさは、長さ1.5〜3mm、先端部5aの太さ0.5〜2mmである。
【0018】
図1に示したインスツルメント1の場合には、握り部2の端部2bに設けられた細工部3Aは、上記の細工部3と同様な構成となっている。ただし、細工部3Aは、必ずしも細工部3と同じ構成とする必要はなく、ワックス溜め部5Aの形状をワックス溜め部5の形状より大きくしたり小さくしたり、用途に応じて異なる形状としてもよい。さらに、本考案に係る細工部3Aに代えて、ワックスのカット用のへら等、本考案に係る細工部とは異なるタイプの細工部としてもよい。
【0019】
図4は、本考案の別の実施の形態に係るインスツルメントにおけるワックス溜め部を示す要部拡大側面図である。図4に示したように、ワックス溜め部15は、先端部15aが球形で、先端部側15bの径は湾曲部14の径と同じでほぼ一定である形状でもよい。
【0020】
図5は、本考案の別の実施の形態に係るインスツルメントの細工部における湾曲部を示す要部拡大側面図であり、(a)は丸形、(b)は握り部2の中心軸に対して一方側にのみ湾曲したタイプを示す図である。湾曲部は、ワックスの盛り上げ作業の際に作業しやすいように設けられているものであり、その形状は、図1、図2に示した角形曲がり以外に、図5(a)、(b)に示したような形状であってもよい。
【0021】
上述の本考案の実施の形態に係るインスツルメントは、特に盛り上げによるワックスパターンの成形に適している。その理由はつぎのように考えられる。
一般に、肉盛法によってワックスパターンを成形する場合には、容器内でワックスを60〜200℃程度に加熱し、軟化したワックスをインスツルメントのワックス溜め部に付着させ、付着したワックスを石膏の模型(歯型)に盛り上げていく方法で作業が進められる。この場合、ワックス溜め部に付着したワックスは、時間の経過とともに温度が急激に低下し、粘度が高くなったり固まったりする。そのため、ワックス溜め部へのワックスの付着を頻繁に繰り返す方法が採られている。しかし、ワックス溜め部に付着したワックスの粘度が、時間経過に伴って大きく変化する場合には、ワックスパターンの成形をスムースに行うことができない場合がある。特に、ワックスパターンの仕上げの段階では、目標とする微妙な形状に成形しにくく、作業性が悪くなることがある。
【0022】
それに対して、本実施の形態に係るインスツルメントは、上記のように、ワックス溜め部5、15が、(a)握り部2の中心軸に沿う方向に折れ曲がっていること、(b)先太形状であることという2つの特徴を有している。(a)のワックス溜め部5、15が、握り部2の中心軸に沿う方向に折れ曲がっているという特徴を有することにより、使用者が必要に応じて、ワックス溜め部5、15を水平に近い傾きに容易に設定することができる。そのため、ワックス溜め部5、15に、ワックスを安定的に、かつ量的に多く付着させておくことができる。
【0023】
さらに、(b)の先太形状であるという特徴を有するために、ワックス溜め部5、15の熱容量が大きくなっており、かつ湾曲部4、14、24、24A側の方が細いので、熱伝導によって湾曲部4、14、24、24Aに逃げる熱が少ない。すなわち、ワックス溜め部5、15の先端部5a、15aおよび付着したワックスの温度は、時間経過に伴う変化が小さい。さらに、先太形状であるため、必要に応じてワックスの付着量を多く確保することができる。
【0024】
このように、上記(a)、(b)の2つの特徴点により、ワックス溜め部5、15に、必要な量のワックスを、粘度の時間的な変化を抑えた状態で付着させておくことができる。そのために、上記の実施の形態に係るインスツルメントによれば、盛り上げ法によるワックスパターンの成形を容易、かつ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施の形態に係るインスツルメントの外観を示す斜視図である。
【図2】握り部の一方の端部に設けられている細工部を示す要部拡大側面図である。
【図3】インスツルメントのワックス溜め部およびその近傍の領域の形状を示す要部拡大側面図である。
【図4】別の実施の形態に係るインスツルメントにおけるワックス溜め部を示す要部拡大側面図である。
【図5】別の実施の形態に係るインスツルメントの細工部における湾曲部を示す要部拡大側面図であり、(a)は丸形、(b)は握り部の中心軸に対して一方側にのみ湾曲したタイプを示す図である。
【図6】歯型の模型を基にワックスパターンを形成し、さらに金属の歯冠を作製する手順を示す断面図であり、(a)は歯型の模型、(b)は歯型の模型にワックスパターンを形成した状態、(c)はワックスパターン、(d)はワックスパターンを歯科用耐火材料に埋め込んだ状態、(e)は鋳造型からワックスが除かれた状態、(f)は鋳造後の状態、(g)は得られた歯冠を示す図である。
【図7】従来のインスツルメントを示す側面図である。
【符号の説明】
1、41 ワックス用インスツルメント
2 握り部
3、3A 細工部
4、14、24、24A 湾曲部
5、15 ワックス溜め部
【考案の属する技術分野】
本考案は、歯科技工の分野において、歯冠や義歯などを作製する際のワックス型の形成に用いられるワックス用インスツルメントに関する。
【0002】
【従来の技術】
歯の治療方法の一つに、治療する歯の一部または多くの部分を削り取り、削り取ったところに歯冠を被せたり、義歯を差し込んだりする方法がある。その場合には、歯冠や義歯などが技工士によって作製される。その作製工程の概略は次のとおりである。
【0003】
まず、歯科医が削った歯およびその周辺の歯型(印象)を採取する。その印象に、歯科技工用の石膏を流し込み、歯型の模型を作製する。この歯型の模型では、周辺の歯は歯の形状だけが再現されており、治療する歯はすでに削られているので、その歯の残っている部分の形状が再現されている。したがって、削られてすでになくなっている部分が、歯冠などとして歯科技工士によって作製される。
【0004】
図6は、歯型の模型を基にワックスパターン(蝋型)を形成し、さらに金属の歯冠を作製する手順を示す断面図であり、(a)は歯型の模型、(b)は歯型の模型にワックスパターンを形成した状態、(c)はワックスパターン、(d)はワックスパターンを歯科用耐火材料に埋め込んだ状態、(e)は鋳造型からワックスが除かれた状態、(f)は鋳造後の状態、(g)は作製された歯冠を示している。
【0005】
図6に示したように、石膏の歯型の模型31にワックスパターン32を形成し(図6(b))、模型31とワックスパターン32とを分離させてワックスパターンにワックス製などのスプルー(湯道)32aを取り付けた後(同図(c))、ワックスパターン32を型枠33に入れ耐火材料34中に埋め込む(同図(d))。次に、型枠33を含む全体を700〜800℃に加熱し、注入部32aを含むワックスパターン32を蒸発させるとともに、耐火材料34を固めることにより、ワックスパターン32部を空洞化させた鋳造型を形成する(同図(e))。次に、加熱された状態で、空洞化された部分に溶けた歯冠用の金属(例えば、Au−Ag−Pd合金)35を注入する(同図(f))。冷却後、鋳造品を取り出して加工し、歯冠36に仕上げる。
【0006】
上記の工程の中で、ワックスパターン32の成形は、その出来によって、歯冠36が歯の治療を受けた患者によく適合するか否かがほぼ決まると言える工程であるので、歯科技工士にとって重要な作業である。このワックスパターンの成形には、主に次の3つのいずれかの方法が採用されている。
【0007】
第1の方法は、石膏の模型31に対して、目標のワックスパターン32の形状より大きめにワックスを付着させ、歯冠の形態を掘り出していくことによってワックスパターン32の形状に成形する方法(カービング法)である。第2の方法は、模型31にワックスを盛り上げていくことによって、ワックスパターン32を成形する方法(盛り上げ法)である。また、第3の方法は、第1と第2の方法を併用する方法である。
【0008】
上記のワックスパターン32の成形には、通常ワックス用インスツルメント(以下、単に「インスツルメント」と略記する)が用いられる。このインスツルメントに対しては、作業の精度や能率を上げるために、様々な改良や工夫が講じられている。
【0009】
図7は、作業がしやすいように、柄部(握り部)に改良が加えられた従来のインスツルメントを示す側面図である(例えば、特許文献1)。このインスツルメント41は、握り部42、細工部43、44を含んで構成される通常のインスツルメントに、指当て部45、46が設けられている点に特徴がある。この指当て部45、46は、細工部43、44と握り部42との間に位置し、周面が円弧状に内側にへこみ、その周面上には多数の突起が形成されているものである。
【0010】
【特許文献1】
実開昭53−56200号公報
【0011】
【考案が解決しようとする課題】
上記のインスツルメント41を用いて、盛り上げ法によりワックスパターンを成形する場合には、へら部43、44に溶けたワックスを付着させ、そのワックスを歯型の模型31に付着させることによって、ワックスの盛り上げが行われる。従来のインスツルメントは、図7に一例を示したように、通常へら部が扁平であり、かつ先端部が尖っている。したがって、付着させたワックスを削る器具としては使いやすいが、ワックスの盛り上げには必ずしも適していないという欠点がある。
【0012】
従来のインスツルメントの中には、へら部が扁平ではなく棒状のものもあるが、その棒状部の形状は、図7に示したインスツルメント41と同様に、ほぼストレート状であるので、ワックスを盛り上げる方法に対しては、ワックスパターン32の成形に必ずしも適したものではないという問題点がある。
本考案は上記課題に鑑みなされたものであって、ワックスを盛り上げる方法でワックスパターンを成形するのに好適な歯科技工に用いられるワックス用インスツルメントを提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段及び効果】
上記の課題を解決するための本考案に係るワックス用インスツルメント(1)は、棒状の握り部と、該握り部の端部に設けられた細工部とを含んで構成され、前記細工部が、前記握り部側の湾曲部と、該湾曲部に続く前記握り部の中心軸に沿う方向に折れ曲がったワックス溜め部とを備え、該ワックス溜め部が、先太で、かつその先端が丸味を帯びていることを特徴としている。
上記のワックス用インスツルメント(1)によれば、ワックス溜め部が握り部の中心軸方向に折れ曲がっており、さらにワックス溜め部が先太でかつ湾曲部側の方が細いので、ワックス溜め部に、ワックスを安定的、かつ量的に多く付着させておくことができる。そのために、盛り上げ法によるワックスパターンの成形を容易、かつ正確に行うことができる。
【0014】
また、本考案に係るワックス用インスツルメント(2)は、上記のワックス用インスツルメント(1)において、前記ワックス溜め部の長さが1〜4mm、前記先太部分の太さが0.5〜3mmの範囲で設定されていることを特徴としている。
上記のワックス用インスツルメント(2)によれば、ワックス溜め部が適正なサイズに設定されているので、いっそう容易、かつ正確にワックスパターンを成形することができる。
【0015】
【考案の実施の形態】
以下、図面を参照し、本考案の実施の形態に係るワックス用インスツルメントを具体的に説明する。
図1は、実施の形態に係るインスツルメント1の外観を示す斜視図である。インスツルメント1は、握り部2と、握り部2の両端に備えられている細工部3、3Aとを含んで構成され、さらに、細工部3、3Aは、それぞれ湾曲部4、4Aと、ワックス溜め部5、5Aと、必要に応じて設けられる支持部6、6Aとを含んで構成されている。なお、以下の説明では、細工部3、3Aに関しては、一方の細工部3について説明し、他方の細工部3Aには後に言及する。
握り部2は、使用者がインスツルメントを握る部分であり、径が7〜10mm程度、長さが80〜130mm程度のほぼ棒状である。そして、端部2a、2bに近い側の指で掴む位置には、滑り止め用の凹凸部2c、2dが設けられている。
【0016】
図2は、握り部2の一方の端部2aに設けられている細工部3を示す要部拡大側面図である。細工部3は、一端が握り部2の端部に固定された支持部6と、支持部6に続く湾曲部4と、湾曲部4の先に設けられたワックス溜め部5とを含んで構成されている。支持部6と湾曲部4はほぼ棒状で、断面形状は丸形、角形等いずれの形状でもよい。
【0017】
図3は、インスツルメント1のワックス溜め部5およびその近傍の領域の形状を示す要部拡大側面図である。ワックス溜め部5は、湾曲部4のワックス溜め部5に接する領域4bに対して、握り部2の中心軸A(図2参照)に沿う方向に折れ曲がっている。すなわち、ワックス溜め部5の中心軸Cは、湾曲部4のワックス溜め部5に接する領域4bの中心軸Bとなす角度より、中心軸Aとなす角度の方が小さくなっている。このワックス溜め部5の中心軸Cと握り部2の中心軸Aとの間の好ましい角度は、およそ0〜45°、さらに好ましくは0〜30°である。また、ワックス溜め部5は、湾曲部側5bから先端部5Aにかけて、太さが太くなる先太形となっており、ワックス溜め部5の先端部5Aの径は、湾曲部4のワックス溜め部5に接する領域4bの径より大きくなっている。さらに、先端部5Aには丸味が設けられている。
ワックス溜め部5の好ましい大きさは、長さ1〜4mm、先端部5Aの太さ0.5〜3mmの範囲である。さらに好ましい大きさは、長さ1.5〜3mm、先端部5aの太さ0.5〜2mmである。
【0018】
図1に示したインスツルメント1の場合には、握り部2の端部2bに設けられた細工部3Aは、上記の細工部3と同様な構成となっている。ただし、細工部3Aは、必ずしも細工部3と同じ構成とする必要はなく、ワックス溜め部5Aの形状をワックス溜め部5の形状より大きくしたり小さくしたり、用途に応じて異なる形状としてもよい。さらに、本考案に係る細工部3Aに代えて、ワックスのカット用のへら等、本考案に係る細工部とは異なるタイプの細工部としてもよい。
【0019】
図4は、本考案の別の実施の形態に係るインスツルメントにおけるワックス溜め部を示す要部拡大側面図である。図4に示したように、ワックス溜め部15は、先端部15aが球形で、先端部側15bの径は湾曲部14の径と同じでほぼ一定である形状でもよい。
【0020】
図5は、本考案の別の実施の形態に係るインスツルメントの細工部における湾曲部を示す要部拡大側面図であり、(a)は丸形、(b)は握り部2の中心軸に対して一方側にのみ湾曲したタイプを示す図である。湾曲部は、ワックスの盛り上げ作業の際に作業しやすいように設けられているものであり、その形状は、図1、図2に示した角形曲がり以外に、図5(a)、(b)に示したような形状であってもよい。
【0021】
上述の本考案の実施の形態に係るインスツルメントは、特に盛り上げによるワックスパターンの成形に適している。その理由はつぎのように考えられる。
一般に、肉盛法によってワックスパターンを成形する場合には、容器内でワックスを60〜200℃程度に加熱し、軟化したワックスをインスツルメントのワックス溜め部に付着させ、付着したワックスを石膏の模型(歯型)に盛り上げていく方法で作業が進められる。この場合、ワックス溜め部に付着したワックスは、時間の経過とともに温度が急激に低下し、粘度が高くなったり固まったりする。そのため、ワックス溜め部へのワックスの付着を頻繁に繰り返す方法が採られている。しかし、ワックス溜め部に付着したワックスの粘度が、時間経過に伴って大きく変化する場合には、ワックスパターンの成形をスムースに行うことができない場合がある。特に、ワックスパターンの仕上げの段階では、目標とする微妙な形状に成形しにくく、作業性が悪くなることがある。
【0022】
それに対して、本実施の形態に係るインスツルメントは、上記のように、ワックス溜め部5、15が、(a)握り部2の中心軸に沿う方向に折れ曲がっていること、(b)先太形状であることという2つの特徴を有している。(a)のワックス溜め部5、15が、握り部2の中心軸に沿う方向に折れ曲がっているという特徴を有することにより、使用者が必要に応じて、ワックス溜め部5、15を水平に近い傾きに容易に設定することができる。そのため、ワックス溜め部5、15に、ワックスを安定的に、かつ量的に多く付着させておくことができる。
【0023】
さらに、(b)の先太形状であるという特徴を有するために、ワックス溜め部5、15の熱容量が大きくなっており、かつ湾曲部4、14、24、24A側の方が細いので、熱伝導によって湾曲部4、14、24、24Aに逃げる熱が少ない。すなわち、ワックス溜め部5、15の先端部5a、15aおよび付着したワックスの温度は、時間経過に伴う変化が小さい。さらに、先太形状であるため、必要に応じてワックスの付着量を多く確保することができる。
【0024】
このように、上記(a)、(b)の2つの特徴点により、ワックス溜め部5、15に、必要な量のワックスを、粘度の時間的な変化を抑えた状態で付着させておくことができる。そのために、上記の実施の形態に係るインスツルメントによれば、盛り上げ法によるワックスパターンの成形を容易、かつ正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施の形態に係るインスツルメントの外観を示す斜視図である。
【図2】握り部の一方の端部に設けられている細工部を示す要部拡大側面図である。
【図3】インスツルメントのワックス溜め部およびその近傍の領域の形状を示す要部拡大側面図である。
【図4】別の実施の形態に係るインスツルメントにおけるワックス溜め部を示す要部拡大側面図である。
【図5】別の実施の形態に係るインスツルメントの細工部における湾曲部を示す要部拡大側面図であり、(a)は丸形、(b)は握り部の中心軸に対して一方側にのみ湾曲したタイプを示す図である。
【図6】歯型の模型を基にワックスパターンを形成し、さらに金属の歯冠を作製する手順を示す断面図であり、(a)は歯型の模型、(b)は歯型の模型にワックスパターンを形成した状態、(c)はワックスパターン、(d)はワックスパターンを歯科用耐火材料に埋め込んだ状態、(e)は鋳造型からワックスが除かれた状態、(f)は鋳造後の状態、(g)は得られた歯冠を示す図である。
【図7】従来のインスツルメントを示す側面図である。
【符号の説明】
1、41 ワックス用インスツルメント
2 握り部
3、3A 細工部
4、14、24、24A 湾曲部
5、15 ワックス溜め部
Claims (2)
- 棒状の握り部と、該握り部の端部に設けられた細工部とを含んで構成された歯科技工に用いられるワックス用インスツルメントであって、
前記細工部が、前記握り部側の湾曲部と、該湾曲部に続く前記握り部の中心軸に沿う方向に折れ曲がったワックス溜め部とを備え、
該ワックス溜め部が、先太で、かつ先端が丸味を帯びていることを特徴とするワックス用インスツルメント。 - 前記ワックス溜め部の長さが1〜4mm、前記先太部分の太さが0.5〜3mmの範囲で設定されていることを特徴とするワックス用インスツルメント。
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- 2003-06-25 JP JP2003003747U patent/JP3098787U/ja not_active Expired - Fee Related
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