JP3095446B2 - レーザープラズマ軟x線用分光回折装置 - Google Patents

レーザープラズマ軟x線用分光回折装置

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JP3095446B2 JP03089799A JP8979991A JP3095446B2 JP 3095446 B2 JP3095446 B2 JP 3095446B2 JP 03089799 A JP03089799 A JP 03089799A JP 8979991 A JP8979991 A JP 8979991A JP 3095446 B2 JP3095446 B2 JP 3095446B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ナノメートル(10-9
nm)サイズ構造材料等の微細な構造解析に利用するこ
とができるレーザープラズマ軟X線用分光回折装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】
【0003】ナノメートルサイズの構造材料の構造解析
には、従来からの電子管から発生する波長が0.2〜1
0ÅのX線を用い、回折角の小さな領域からナノメート
ルサイズの構造に関する情報を得る小角散乱により構造
解析を行う方法と、シンクロトロン放射光からの軟X線
を分光し、単色化、すなわち単一波長化した、波長が1
0〜200Åの軟X線を使って構造解析を行う方法があ
る。いずれもブラッグの回折条件(2d・sinθ=n
λ、d:格子定数、θ:散乱角、λ:波長)を利用して
構造解析を行うものである。
【0004】小角散乱による回折では、ナノメートル構
造材料の格子定数であるd値と比べて照射するX線の波
長が非常に短いため、ブラッグの回折条件を満足する散
乱角が小さくなり、分散能が低くなること及び入射角が
小さいため被測定用試料の表面形状の影響を受け易く、
回折光が被測定用試料の内部構造を十分に反映しないと
いった問題点があった。また、シンクロトロン反射光を
使っての計測では、回折に使用できる十分な光量の軟X
線を得るには日本に数台しか無い様な比較的大規模な装
置、例えば筑波のKEKや岡崎のIMS等を必要とし、
手軽に使用することが困難であった。また、軟X線の強
度が低いため、構造解析にマイクロ秒以上の露光を必要
とし、そのため構造解析途中での被測定用試料の被爆に
よる構造変化やマイクロ秒以下での動的観察が困難であ
るといった問題点があった。
【0005】そこで、シンクロトロン放射光にくらべて
強度が高い軟X線を得ることが出来るレーザープラズマ
軟X線を使った回折による構造解析が試みられている。
例えば、レーザープラズマ軟X線を回折格子で分光し、
ピンホール若しくはスリットで単色化した後、コリメー
タによって平行光線とした光の一部を被測定用試料に、
残りを測定器に照射し、前者からの反射光量を後者の測
定光量と比較して多層膜の反射率測定を行った報告があ
る。
【0006】この方法では、ピンホール等で単色化した
軟X線の一部のみしか被測定用試料に照射されず、光量
が十分でないこと、ならびにこの方法は単一波長のブラ
ッグの回折を利用したものであり、複数の波長に対する
回折光量を一度に測定できないため、各波長ごとに照射
を繰り返し、回折光の光量を測定しなければならないと
いう問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、レー
ザープラズマ軟X線を使ってナノメートルサイズ構造材
料の分光回折による構造解析を行うに際し、複数の波長
の光量を一度に測定可能な簡易なレーザープラズマ軟X
線用分光回折装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術が有する問題点を解決する新たなレーザープラズマ
軟X線分光回折装置を開発するために、系統的実験およ
び理論的解析を重ねた結果、集光光学手段と、回折格子
を組合わせて軟X線を波長分散させ被測定用試料上で軟
X線を波長分散方向に線状集光等をするように設計した
光学系を使うと、各波長毎の単位面積当たりの光量を多
くすることができ、複数波長の回折による分光回折を1
回のレーザープラズマ軟X線の照射で実現できることを
見い出し、本発明を完成させたものである。 (第1発明の構成)
【0009】本第1発明のレーザープラズマ軟X線用分
光回折装置は、レーザープラズマ軟X線発生手段と、発
生した軟X線を2箇所に線状に集光するトロイダル反射
鏡を有する集光光学手段と、第1の線状集光部に設置し
た収差除去手段と、第2の線状集光部に設置した被測定
用試料を保持する試料保持手段と、該被測定用試料で回
折された軟X線の光量を測定する光量測定手段と、前記
収差除去手段と被測定用試料の間に設置され、軟X線を
波長分散し、前記光量測定手段上で波長ごとに波長分散
方向に垂直な方向に線状集光する回折格子とからなり、
被測定用試料上で前記トロイダル反射鏡と回折格子との
協働作用によって軟X線を波長分散方向に線状集光する
ことを特徴とする。 (第2発明の構成)
【0010】本第2発明のレーザープラズマ軟X線用分
光回折装置は、レーザープラズマ軟X線発生手段と、発
生した軟X線を線状に集光するシリンドリカル反射鏡又
は球面鏡を有する集光光学手段と、線状集光部に設置し
た収差除去手段と、被測定用試料で回折された軟X線の
光量を測定する光量測定手段と、前記収差除去手段と被
測定用試料の間に設置され、軟X線を波長分散し、前記
光量測定手段上で波長ごとに波長分散方向に垂直な方向
に線状集光する回折格子と、該回折格子から前記被測定
用試料へ入射する軟X線を波長分散方向に線状の照射を
するための波長分散方向に細長い孔を有する線状照射用
スリットとからなることを特徴とする。
【0011】
【作用】(第1発明の作用)本第1発明のレーザープラ
ズマ軟X線用分光回折装置の構成・原理を概略図である
図1をもとに説明する。
【0012】本発明の特徴の第1は、集光光学手段とし
てトロイダル反射鏡を用いた点にある。トロイダル反射
鏡は2つの異なる軸に対して異なる曲率を有し、2箇所
で線状集光する機能を有する。すなわち、第1番目の線
状集光部では反射鏡面に対し水平方向に線状集光し、第
2番目の線状集光部では反射鏡面に対し垂直方向に線状
集光する。本発明では第1番目の線状集光部にトロイダ
ル反射鏡による収差成分をカットする収差除去手段を線
状集光方向に配置する。収差成分は軟X線を光量測定手
段上に結像する時にバックグラウンド等として現れてく
るため、プロファイルの正確な判断を妨害するが、本収
差除去手段によってバックグラウンド等の生成を防止
し、解析能を高めることができる。また、第2番目の線
状集光部には被測定用試料を設置する。
【0013】また、本発明の第2の特徴は、回折格子を
前記トロイダル反射鏡と組合わせて用いた点にある。該
回折格子は格子面に垂直な方向に波長分散するよう格子
形状等が定められており、回折格子に入射した軟X線は
波長分散される。この波長分散された軟X線は、被測定
用試料に入射されるが、前記したように該被測定用試料
は前記トロイダル反射鏡の第2番目の線状集光部に設置
されており、その表面では軟X線がトロイダル反射鏡に
対し垂直な方向に線状集光される。そのため、トロイダ
ル反射鏡と回折格子間の距離、回折格子面等の傾き等を
調整することによって、軟X線を被測定用試料表面で波
長分散方向に線状集光することが可能となる。このよう
に、本発明の装置によれば、被測定用試料上で軟X線を
波長ごとに集光し回折させることが可能となったのであ
る。
【0014】また、前記回折格子は、格子面の曲率半
径、回折格子と収差除去手段、被測定用試料、光量測定
手段間の距離等を制御して、回折格子からの回折光が光
量測定手段の表面で波長分散方向に垂直な方向に波長ご
とに線状集光するようにしてある。一方、軟X線は被測
定用試料表面でトロイダル反射鏡によって波長分散方向
に線状集光し、その形をほぼ維持した状態で光量測定手
段10の表面に入射してくるが、上記回折格子による波
長分散方向に垂直な方向への線状集光作用のため、軟X
線は波長分散方向に波長ごとに点集光することになる。
そのため、波長ごとの回折、すなわち分光回折が可能と
なる。
【0015】また、軟X線が被測定用試料、光量測定手
段上で波長ごとに集光しているので、単位面積当りの光
量を極めて大きくすることができる。
【0016】本第1発明に係る回折装置では、各波長の
光量を被測定用試料への入射角度に対し求め、各波長で
最も強く反射している入射角度からブラッグの回折条件
によって格子間隔であるd値を求めることができる。ま
た、各波長ごとに入射角度に対する光量をプロットして
曲線を描くと、半価幅等が求まり、被測定用試料の結晶
状態等を推定することができる。 (第2発明の作用)
【0017】本第2発明の回折装置は、図2にその概略
構成図を示すように、被測定用試料表面で軟X線を線状
集光するのではなく、集光光学手段としてシリンドリカ
ル反射鏡又は球面鏡を用い、これと線状照射用スリット
を組み合わせて線状照射する点に特徴を有する。これ以
外の構成および作用は第1発明の装置とほぼ同一である
ので、その差異を中心に説明する。
【0018】シリンドリカル反射鏡ならびに球面鏡は、
いずれも1箇所で反射鏡面に対し平行に線状集光し、そ
の後は発散光となる特性がある。この集光部には収差除
去手段を設置する。該回折格子は、第1発明で用いたも
のと同様の構成からなり、軟X線を回折格子面に垂直な
方向に波長分散するとともに、光量測定手段表面で波長
分散した軟X線の各波長ごとに波長分散方向に垂直な方
向に線状に集光する。本第2発明の回折装置では、波長
分散した軟X線が被測定用試料に入射する前に、波長分
散方向に細長い孔を開けた線状照射用スリットを設置
し、この孔の部分にのみ軟X線を通過せしめ、被測定用
試料表面に線状に波長分散した軟X線を照射する。この
照射され、反射された軟X線の光量は測定手段で測定さ
れる。この測定手段表面では第1発明の装置と同様前記
回折格子の線状集光作用によって、波長分散した各波長
ごとに波長分散方向に垂直な方向に点集光される。
【発明の効果】(第1発明の効果)
【0019】集光光学手段にトロイダル反射鏡を用いた
ので、回折格子で波長分散した軟X線を被測定用試料表
面で波長分散方向に線状集光することができ、さらに被
測定用試料表面で反射した軟X線は回折格子の線状集光
作用により光量測定手段上でも点集光することができ
る。そのため、各波長ごとの単位面積当りの光量が増大
し、十分な解析感度を得ることができる。また、従来の
装置では単一波長毎にその光量を測定していたのに対
し、1回のレーザープラズマ軟X線の照射で複数波長の
光量の測定が可能、すなわち、分光回折が可能となり、
従来のように波長毎に測定をくりかえす手間を著しく軽
減することができる。 (第2発明の効果)
【0020】シリンドリカル反射鏡又は球面鏡と、線状
照射用スリットを組み合わせた光学系によって被測定用
試料表面に線状に波長分散した軟X線を照射でき、試料
表面で線状に集光し得る第1発明の回折装置に比べれ
ば、単位面積当りの光量はやや小さいが、従来の単一波
長化した軟X線の一部のみを被測定用試料に照射する装
置に比べれば、構造解析に利用し得る軟X線の光量の強
度は格段に強く、十分な解析感度を得ることが可能であ
る。従って、第1発明の回折装置と同様各波長毎の光量
を高感度で1回のレーザープラズマ軟X線の照射で測定
できる。
【0021】
【実施例】(本発明の具体例)本第1発明および第2発
明をさらに具体化した具体例について説明する。
【0022】レーザープラズマ軟X線の発生手段は特に
限定は無く、通常軟X線を発生させるために使われてい
る装置を用いて行えば良い。レーザー発生装置が発生し
たレーザービームを真空チャンバーに導入し、アルミニ
ウム等のターゲットに照射すると、軟X線が発生する。
【0023】軟X線の発生は、固体ターゲットにレーザ
ービームを照射すると固体ターゲットを構成する元素が
イオン化もしくは励起し、基底状態より高い準位に置か
れ、これがレーザービーム照射中もしくは照射後に低い
準位に戻ろうとする時、もしくはイオンと衝突を行った
時に生じる。このレーザープラズマ軟X線はターゲット
形状や照射ビームの形状によりプラズマの形状を変える
ことができ、それにより種々の方向に軟X線を放射する
ことができる。
【0024】本具体例で用いる収差除去手段は、通常ス
リットを用いる。トロイダル反射鏡等の集光光学手段に
入射し、反射された軟X線は、集光部で反射鏡面に平行
に線状集光する。実際には、反射鏡の収差があるため、
線状集光に幅を有し、収差成分は光軸中心より離れて集
光する。
【0025】従って、鏡面に平行な方向で集光部中心付
近にスリットを置き、収差の大きな軟X線をカットす
る。収差の大きな軟X線のカットは、スリット幅を調節
して行う。また、このように一旦線状に集光させる理由
は、スリット透過光を回折格子の全面にわたって照射す
るためで、スリットで細く絞ることにより、回折格子に
よる光量測定手段表面への結像における分解能を上げる
ことができる。
【0026】回折格子は、光量調節手段と被測定用試料
の間に設けらる。斜入射型でも透過型でも良いが、格子
面が球面を有するものか、あるいは平面状で特定の格子
間隔を有するもので格子面に垂直な方向に波長分散する
とともに、光量測定手段表面で波長分散方向と垂直な方
向に波長ごとに集光する機能を有するものを用いるのが
良い。
【0027】被測定用試料は、試料保持部に固定され、
該試料保持部は試料表面への軟X線の入射角度を自由に
変えられるような機構と、入射角度と同じ角度で反射さ
れる反射光が光量測定手段の方向に向くような調節機構
が設けられている。
【0028】また、光量測定手段としては、軟X線用フ
ィルム、イメージングプレート若しくは固定検出器いず
れをも用いることができる。
【0029】光量測定手段として軟X線用フィルムを使
用した場合は、各波長位置に該当する露光部の濃度より
その波長の光量を求めることができる。また、イメージ
ングプレートでは、コンピュータに連動した読み取り機
を使うことにより、各波長の光量を求めることができ
る。また、固体検出器を用いた場合は、固体検出器とコ
ンピュータを連動して使うことにより計測と同時に光
量、反射率が得られるため、実用的な光学素子の評価装
置として使用することができる。
【0030】また、軟X線を被測定用試料へ入射する照
射光と被測定用試料へ入射せずに直接光量測定手段へ入
射する直接光に分離して両光の光量を比較して被測定用
試料における軟X線の反射率を求めることができる。
【0031】照射光と直接光との分離は、(1)レーザ
ープラズマ軟X線発生手段で行っても良いし、(2)集
光光学手段と回折格子間、(3)回折格子と被測定用試
料間で行っても良い。(1)の場合のシステムの構成を
図3に示すが、直接光用の集光光学手段、収差除去手
段、回折格子、ならびに光量測定手段が必要となる。
【0032】直接光の集光光学手段は、被測定用試料上
で集光する必要がないので、シリンドリカル反射鏡又は
球面鏡を用い、その鏡の曲率を収差除去用のスリットの
位置で線状に集光するよう設計する。また、光源サイズ
が小さく光量を十分に確保できる場合には、シリンドリ
カル反射鏡等を省略することもできる。
【0033】また、(2)、(3)の場合は、軟X線の
光路内に反射鏡を挿入して、軟X線の一部の光路を変
え、直接光と被測定用試料への照射光とに分離する。
(2)の場合は、集光光学手段が1個である点で装置の
簡略化を図れるが、集光光学手段で反射された軟X線を
2分するため、夫々の光量が低下する欠点がある。
(3)の場合は、回折格子で波長分散した軟X線の一部
を反射鏡を使って光路を変え、直接光と照射光とに分離
する。この場合は、回折格子も1個で良い利点がある
が、(2)の場合よりもさらに光量が少なくなる。 (実施例1)
【0034】本実施例では、被測定用試料として、RF
マグネトロンスパッタ法により、シリコン基板上にモリ
ブデンとシリコンを交互に蒸着した、層厚さ約11nm
の30層の多層膜を使用した。
【0035】また、レーザープラズマ軟X線を発生させ
るために、ターゲットとしてはアルミニウムを使用し、
照射するレーザー光はYAGレーザーの2倍高調波(波
長約0.5μm)、パルス幅6〜8ナノ秒、照射エネル
ギー0.8ジュールを使用した。
【0036】図4にレーザープラズマ軟X線発生手段の
概略図を示したが、レーザー光はチャンバー9内に設置
した焦点距離200ミリメートルの石英レンズ10で集
光し、ターゲット11面に対して垂直に照射した。その
ため、レーザー光照射されたターゲット表面より発生す
る軟X線はレーザービームに対して軸対称に放射され
る。
【0037】また、直接光を得るための光学系12と、
被測定用試料への照射光を得るための光学系13をレー
ザービームに対して軸対称となる位置に設けることによ
り、2つの光学系での各波長の光量を同程度とした。図
1は被測定用試料への照射用の光学系の構成を示したも
のである。1はレーザープラズマ軟X線発生手段で、2
は集光用のトロイダル反射鏡である。軟X線は、トロイ
ダル反射鏡によって収差除去用スリット位置3で線状集
光し、回折格子4によって波長方向に分散し、さらに前
記トロイダル反射鏡によって波長分散の方向に被測定用
試料位置5で線状集光する。また、波長分散方向に対し
ては、スリット位置3で集光した軟X線が回折格子4で
分散した後、被測定用試料5で反射し、各波長毎に光量
測定手段6で点集光する構造になっている。レーザープ
ラズマ軟X線発生手段1と、トロイダル反射鏡2の距離
をU、トロイダル反射鏡2と収差除去用スリット3まで
の距離をV、該スリット3と回折格子4の距離をW、回
折格子4と被測定用試料5の距離をX、被測定用試料5
と光量測定手段6の距離をYとし、トロイダル反射鏡の
波長分散方向の曲率半径をR、波長分散方向に対して直
角方向の曲率半径をr、回折格子の曲率半径をL、トロ
イダル反射鏡への軟X線の入射角度をθ、回折格子への
軟X線の入射角度をΘとすると、これらは以下の関係に
ある。
【0038】 1/U+1/V=2/Rcos(90−θ)・・・(1)
【0039】 1/U+1/(V+W+X)=2cos(90−θ)/r・・・(2)
【0040】 1/W+1/(X+Y)=2/Lcos(90−Θ)・・・(3)
【0041】本実施例では、各距離、U=1095m
m、V=95mm、W=237mm、X=200mm、
Y=35mmとし、各曲率半径、R=5000mm、r
=26mm、L=5649mm、各入射角度、θ=2
°、Θ=2.4°とした。
【0042】レーザープラズマ軟X線発生手段1の光源
サイズが約60μmでは、スリット部での集光幅は約
5.2μm(=60×95/1095)、被測定用試料
での集光幅は約336μm(=60×(95+237+
200)/95)、光量測定手段上でのスペクトル幅は
約5.16μm(=5.2×235/237)となる。
したがって光量測定手段上での被測定用試料からの反射
光幅は約336μmとなり、光量測定手段上での点集光
の大きさは約5.16×336μmとなる。また、回折
光の角度分解能は約0.04°=0.71mrad(=
0.34/(2π×75))となる。
【0043】図3には直接光測定用の光学系の構成を示
してある。レーザープラズマ軟X線発生手段1で分散さ
れた直接光は、集光用のシリンドリカル反射鏡7に入射
する。軟X線はシリンドリカル反射鏡7によってスリッ
ト位置3に波長分散方向に集光し、該スリット3を通過
した後、回折格子4で波長分散し、光量測定手段6で測
定できる構造となっている。レーザープラズマ軟X線発
生手段1と、シリンドリカル反射鏡7の距離をu、シリ
ンドリカル反射鏡7とスリット3までの距離をv、スリ
ットと回折格子4の距離をw、回折格子4と光量測定用
手段6との距離をxとし、シリンドリカル反射鏡7の曲
率半径をR、回折格子の曲率半径をL、シリンドリカル
反射鏡への軟X線の入射角度をθ、回折格子への軟X線
の入射角度をΘとするとこれらは以下の関係にある。
【0044】 1/u+1/v=2/Rcos(90−θ)・・・(4)
【0045】 1/w+1/x=2/Lcos(90−Θ)・・・(3)
【0046】本実施例での値は各距離、u=1095m
m、v=95mm、w=237mm、x=235mmと
し、各曲率半径、R=5000mm、L=5649m
m、各入射角度、θ=2°、Θ=2.4°とした。
【0047】レーザー光を照射したアルミニウムターゲ
ットから発生する軟X線の直接光のスペクトルは、図5
に示すように波長8nmから16nmにかけて幾つかの
強いラインスペクトルが観察される。図5において横軸
は波長、縦軸は光学濃度(logI0 /I、I:透過強
度、I0 :入射強度)である。この軟X線を回折格子で
波長分散させ、11nmの周期構造を有する多層膜に入
射させた。入射角度を22.8°から44.5°とした
時の軟X線フィルムを使って得られた反射光のX線写真
を図6に示す。波長8.8nmの軟X線は、入射角2
4.6°および25.5°の時、反射光が最も強く、波
長10.8nmの軟X線は入射角29.1°の時、反射
光が最も強く、波長13nmの軟X線は入射角34.5
°の時、反射光が最も強くなっていた。予め測定したフ
ィルムの感度特性より、反射光の光量を算出して入射角
度との関係を求めた結果、図7が得られた。図7は波長
13nmの軟X線についてのみ示したものである。この
様な波長における反射強度の角度分布より、被測定用試
料の周期構造の寸法、層間のバラツキ、表面状態等の特
性を評価することができる。また、直接光の強度と比較
することにより、約10%のピーク反射率を持つことが
計測された。本実施例の装置では、波長毎に反射率を求
めることができるという大きな特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 集光光学手段としてトロイダル反射鏡を用い
た場合の本発明に係るレーザープラズマ軟X線用分光回
折装置の概略図。
【図2】 集光光学手段としてシリンドリカル反射鏡を
用いた場合の本発明に係るレーザープラズマ軟X線用分
光回折装置の概略図である。
【図3】 直接光の光量を測定する場合の本発明に係る
レーザープラズマ軟X線用分光回折装置の概略図であ
る。
【図4】 本発明の実施例1で用いたレーザープラズマ
軟X線発生手段の概略図である。
【図5】 本発明の実施例1で得られた直接光のスペク
トルを示す図である。
【図6】 本発明の実施例1で得られたX線写真であ
る。
【図7】 本発明の実施例1で得られた軟X線の反射光
量の入射角度依存性を示す図である。
【符号の説明】
1・・・レーザープラズマ軟X線発生手段 2・・・トロイダル反射鏡 3・・・収差除去手段 4・・・回折格子 5・・・被測定用試料 6・・・光量測定手段 7・・・シリンドリカル反射鏡 8・・・線状照射用スリット 9・・・チャンバー 10・・・集光レンズ 11・・・ターゲット 12・・・直接光を得るための光学系 13・・・反射光を得るための光学系
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡▲辺▼ 佳英 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1株式会社 豊田中央研究所内 (72)発明者 元廣 友美 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41 番地の1株式会社 豊田中央研究所内 (72)発明者 加藤 義章 大阪府吹田市山田丘2番6号 大阪大学 レーザー核融合研究センター内 審査官 伊藤 幸仙 (56)参考文献 特開 平4−128641(JP,A) 特開 平4−264300(JP,A) 特開 平2−186250(JP,A) S.Nakayama,et.a l.,”Soft X−Ray Ref lectometer with a Laser−Produced Pla sma Source”,Physic a.Scripta.,(1990),Vo l.41,No.6,p754−p757 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 23/20 - 23/207 JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザープラズマ軟X線発生手段と、発
    生した軟X線を2箇所に線状に集光するトロイダル反射
    鏡を有する集光光学手段と、第1の線状集光部に設置し
    た収差除去手段と、第2の線状集光部に設置した被測定
    用試料を保持する試料保持手段と、該被測定用試料で回
    折された軟X線の光量を測定する光量測定手段と、前記
    収差除去手段と被測定用試料の間に設置され、軟X線を
    波長分散し、前記光量測定手段上で波長ごとに波長分散
    方向に垂直な方向に線状集光する回折格子とからなり、
    被測定用試料上で前記トロイダル反射鏡と回折格子との
    協働作用によって、軟X線を波長分散方向に線状集光す
    ることを特徴とするレーザープラズマ軟X線用分光回折
    装置。
  2. 【請求項2】 レーザープラズマ軟X線発生手段と、発
    生した軟X線を線状に集光するシリンドリカル反射鏡又
    は球面鏡を有する集光光学手段と、線状集光部に設置し
    た収差除去手段と、被測定用試料を保持する試料保持手
    段と、被測定用試料で回折された軟X線の光量を測定す
    る光量測定手段と、前記収差除去手段と被測定用試料の
    間に設置され、軟X線を波長分散し、前記光量測定手段
    上で波長ごとに波長分散方向に垂直な方向に線状集光す
    る回折格子と、該回折格子から前記被測定用試料へ入射
    する軟X線を波長分散方向に線状の照射をするための波
    長分軟方向に細長い孔を有する線状照射用スリットとか
    らなることを特徴とするレーザープラズマ軟X線用分光
    回折装置。
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