JP3094079B2 - 再生セルロース及びその製造方法 - Google Patents

再生セルロース及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、再生セルロース及びそ
の製造方法に関するもので、セルロース(繊維素)として
主に食品添加用再生セルロースを得ることを目的に開発
した。
【0002】
【従来の技術】再生セルロースは、古くから人造絹糸
(レーヨン)として糸状物にして織布、不織布、衣類等の
原材料にしていることが広く知られている。人造絹糸の
製造法には、大別してビスコース法と銅アンモニア法の
2種類があり、それぞれ工業化されていることも周知で
ある。しかし、これらの完成された製法は主に糸状物を
得るためのもので、綿状あるいは粉末状の再生セルロー
スを製造するには全く適していないものである。一方、
繊維素は、炭水化物、蛋白質、脂質、ミネラル、ビタミ
ンの5大栄養素と肩を並べる6大栄養素の一つとして、
近時、栄養学上注目されてきている。繊維素を適度に配
合した各種の菓子、飲料水などが市販され、肥満、大腸
癌、高血圧など成人病予防に有効であると認識されてい
ることは、周知の通りである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は食品添加用セ
ルロースとして小麦粉などに添加し、栄養のバランスが
とれた各種加工食品の原料の供給が未だ十分でないこと
に着目し、従来の再生セルロースの製法をベースにして
食品添加用セルロースの安定供給をしようとするもので
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を検
討して結果得られたもので、ビスコース法又は銅アンモ
ニア法を基本にして得られる再生セルロースであって、
製造過程において酸化崩壊させながら綿状化又は粉状化
させてなる再生セルロースである。また、コットン、リ
ンター、パルプ等セルロース原料を、ビスコース法を基
本にして処理するに際し、空気と積極的に接触させなが
ら、酸化崩壊を促進して得られたセルロースザントゲン
酸ソーダ溶液を希硫酸で中和、加熱、凝集後水洗、乾燥
して、綿状又は粉状化することを特徴とする再生セルロ
ースの製造方法であり、コットン、リンター、パルプ等
セルロース原料を、銅アンモニア法を基本にして処理す
るに際し、空気と積極的に接触させながら、酸化崩壊を
促進して得られた銅アンモニアセルロース溶液を希硫酸
で中和、水洗、乾燥して綿状又は粉状化することを特徴
とする再生セルロースの製造方法である。
【0005】
【作用】ビスコース法、銅アンモニア法等で精製したセ
ルロース溶液を空気に接触させながら加熱することで、
セルロース溶液中のセルロースを分子状態に分散、崩壊
し、セルロース分子の凝集、凝固、結晶化が阻害され、
極めて均一な微粒子粉末の高純度のセルロース粉末とな
る。現在行なわれている再生繊維の技術はセルロース分
子鎖の結晶化、分子鎖配向化をうまく利用しているのに
対し、本発明は逆に取って分子を解重合させ分子分散さ
せて、極限的には典型的高分子電解質の希薄溶液の状態
としたものからセルロース分子塊及び会合分子粒子とす
ることを特徴としている。
【0006】
【実施例】
実施例1 5kgの精製パルプをアルカリセルロースにするため、浸
漬及び硫化用のニーダー機にセルロース原料として入
れ、これに苛性ソーダ18%溶液20リットルを入れて2時
間撹拌した。この際、苛性ソーダがセルロース結晶部分
に浸入するようにゆっくり撹拌した。この時の温度は20
℃前後に保った。浸漬が終了すると圧搾した。本工程は
セルロースのマーセル化であり、圧搾はヘミセルロース
など溶解除去及び余分なアルカリ分の除去のためであ
り、圧搾倍率は約2.8倍であった。圧搾後のセルロース
は固くしまっているので、反応面積を増加させ以後の老
成硫化が容易円滑に進むようにするため、粉砕機にかけ
て繊維を十分ほぐした。
【0007】硫化はニーダー機にアルカリセルロース約
8kgを入れ、1.5kgの二硫化炭素を霧状で加え、2時間
反応させた。この時の温度は15℃位に保つように調整し
た。硫化が終了すると、得られたセルロースザントゲン
酸ソーダを溶解機へ入れて水を加え、次に苛性ソーダを
入れる。溶解機内の組成はセルロース8%、全アルカリ
6%である。溶解は温度10〜18℃の範囲で行なった。溶
解時間は2時間で橙黄色で透明な液体(約30リットル)に
なった。以上は通常の繊維製造用のセルロース溶液の製
造方法である。
【0008】溶解したセルロース濃厚液に同溶解機で3
倍以上の軟水を加えて希釈し、液中へ空気を巻き込むよ
うに高速撹拌機で撹拌を続けて酸化崩壊させた。これに
よって、種々の程度に会合している分子塊も分子分散状
態の希薄溶液になってくる。次に、この液を熟成させず
に濾過工程に入り、未溶解物、不純物を濾過しながら高
速撹拌機へ移送した。濾過は希釈溶液のため容易に早く
濾過ができる利点があり、濾過移送を同時に行なった。
再生セルロース繊維用のセルロース溶液は溶解後、数日
間熟成してから紡糸するが、粉末を得るためには熟成し
ないのがよい。高速撹拌機中では、3倍以上に薄めたセ
ルロース溶液を激しく撹拌しながら1%の稀硫酸をpH
6〜7になるよう少しずつ入れていき、再生セルロース
を凝集、凝固させて沈殿回収した。
【0009】回収した凝集物は水洗後、脱水し、ほぐし
て乾燥した後、綿状のままあるいはこれを粉砕して粉状
化して再生セルロースの製品とした。
【0010】実施例2 紡績工物から出る風綿5kgに5%苛性ソーダ溶液25リッ
トルを加えてこう解した後、遠心脱水機で余分な水分を
除去して蒸気釜に入れ、空気と蒸気を送り込んで150℃
以上でアルカリセルロースを酸化崩壊させた後、水洗し
不純物を洗い流し、再度18%苛性ソーダに1〜2時間浸
漬し、実施例1と同様に、圧搾、ほぐし硫化処理後のア
ルカリセルロース6.5kgをニーダー機に入れて、実施例
1と同様に硫化して得られたセルロースザントゲン酸ソ
ーダの8kgを8%苛性ソーダ溶液に溶解して25リットル
の濃厚溶液を得た。この溶解セルロースを3倍に薄め、
濾過した後、ただちに熱を加え煮沸して海綿状の凝固物
とした。凝集ゲルにしたのち、水を分離し、水洗、精製
してから乾燥し、粉末化した。
【0011】実施例3 実施例2で得られたアルカリセルロース溶液を、紡糸す
るときと同様に、温度50℃で10%の稀硫酸中へ孔径2mm
φの多数個の穴が開けられている口金から押し出して凝
集させ、これを水洗、精製、乾燥粉末化して再生セルロ
ースとした。
【0012】実施例4 6kgの粗原料を5%苛性ソーダ溶液25リットルに湿潤さ
せてこう解した後、余分な苛性ソーダをしぼり、セルロ
ースのマーセル化を進行させる。得られたアルカリセル
ロース約8kgを蒸煮缶へ投入し、150℃〜180℃となるよ
う内部へ下から蒸気と共に空気を送り込んで1〜3時間
蒸煮して、アルカリセルロースの酸化崩壊を進め、水洗
い、中和後脱水して精製原料とした。一方、冷却した25
%アンモニア水7リットルと塩基性硫酸銅のCu換算で
20%溶液4.5リットルを加えてよく撹拌し、次に、上記
精製原料5kg(水分50%)をほぼ10℃に保持しながら30分
間で上記銅アンモニア液に投入し、約3時間撹拌を続
け、更に2時間かけて12%苛性ソーダを加えてセルロー
スを溶解させた。溶解後粘度を1000ポイスから50ポイス
以下になるまで空気を送り込んで再びセルロースの酸化
崩壊を進めた後、濾過して溶液とした。
【0013】得られた溶液を実施例3の口金から10%硫
酸液中へギヤポンプで送り込み、脱硫、脱アンモニアし
て凝固したセルロースを水洗し、精製、乾燥、粉砕し
て、4.8kgの粉末セルロースとした。
【0014】
【発明の効果】本発明の製法によると、再生セルロース
の綿状化あるいは粉末化製品が容易に製造可能であり、
栄養素としてのセルロースを含有する各種栄養食品の原
料として極めて有用で、特に小麦粉に混入してパン、ク
ッキー、クラッカー、ビスケットなどあるいはアイスク
リーム、ソフトクリーム、その他の乳製品の低カロリー
食品に利用できる。更に、各種化粧品の原料としても有
用である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビスコース法又は銅アンモニア法を基本
    にして得られる再生セルロースであって、製造過程にお
    いて酸化崩壊させながら綿状化又は粉状化してなる再生
    セルロース。
  2. 【請求項2】 コットン、リンター、パルプ等セルロー
    ス原料を、ビスコース法を基本にして処理するに際し、
    空気と積極的に接触させながら、酸化崩壊を促進して得
    られたセルロースザントゲン酸ソーダ溶液を希硫酸で中
    和、加熱、凝集後水洗、乾燥して綿状又は粉状化するこ
    とを特徴とする再生セルロースの製造方法。
  3. 【請求項3】 コットン、リンター、パルプ等セルロー
    ス原料を、銅アンモニア法を基本にして処理するに際
    し、空気と積極的に接触させながら、酸化崩壊を促進し
    て得られた銅アンモニアセルロース溶液を希硫酸で中
    和、水洗、乾燥して綿状又は粉状化することを特徴とす
    る再生セルロースの製造方法。
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