JP3092736B2 - サーモトロピック液晶性高分子材料 - Google Patents

サーモトロピック液晶性高分子材料

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JP3092736B2 JP03277078A JP27707891A JP3092736B2 JP 3092736 B2 JP3092736 B2 JP 3092736B2 JP 03277078 A JP03277078 A JP 03277078A JP 27707891 A JP27707891 A JP 27707891A JP 3092736 B2 JP3092736 B2 JP 3092736B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なサーモトロピッ
ク液晶性高分子材料に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ポリマー(液晶性高分子材料)は、
サーモトロピック液晶ポリマーとライオトロピック液晶
ポリマーに大別することができ、最近、サーモトロピッ
ク液晶性高分子材料の研究が盛んに行なわれている。ま
た、サーモトロピック液晶性高分子材料は、化学構造的
には大きく、a)主鎖型液晶性高分子、b)側鎖型液晶
高分子、c)剛直鎖型液晶性高分子の3種に分類され
る。
【0003】このようなサーモトロピック液晶性高分子
材料には、ポリペプチド系のものがあり、本発明者等に
よってもポリペプチド誘導体の剛直鎖型液晶性高分子材
料について種々提案がなされている[K. Hanabusa, M.S
ato, H. Shirai, K. Takemoto, J. Polym. Sci., Poly
m. Lett. 22, 559〜564(1984): K. Hanabusa, O. Tanak
a, T. Koyama, A. Kurose, H. Shirai, T. Hayakawa,
N. Hojo, Polymer J. 20, 861〜868 (1988): K. Hanabu
sa, K. Yanagisawa, J. Higashi, H. Shirai, T. Hayak
awa, N. Hojo, J. Polym. Sci., Polym. Chem., 28, 82
5-835(1990)]。
【0004】また、コレステリック液晶構造を発現する
ものとして、ポリグルタミン酸エステル系で長い側鎖を
もつホモポリマーやベンジル−L−グルタメートとドデ
シルグルタメートとのコポリマーも提案されている[J.
Watanabe, et al, Macromolecules, 18, 2141(1985):
J. Watanabe, et al, Polym.Prep. Jpn., 30, 283(198
0)]。
【0005】したがって、このようなものに限らず、ポ
リペプチド系のサーモトロピック液晶性高分子材料を得
ることは、種々の用途拡大にもつながり、意味深いこと
である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、機能
性材料として期待される新規なポリペプチド系のサーモ
トロピック液晶性高分子材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(3)の本発明により達成される。
【0008】(1) ポリペプチド鎖を主鎖とし、側鎖
にオキシフェニルケトンを有することを特徴とするサー
モトロピック液晶性高分子材料。
【0009】(2) 前記オキシフェニルケトンが、o
−またはp−オキシフェニルケトンである上記(1)に
記載のサーモトロピック液晶性高分子材料。
【0010】(3) 化2で示される構成単位からなる
上記(1)または(2)に記載のサーモトロピック液晶
性高分子材料。
【0011】
【化2】
【0012】[化2において、R1 およびR2 はそれぞ
れ、水素原子またはアルキル基を表し、これらは同一で
も異なっていてもよい。R3 はアルキル基を表す。R4
は1価の置換基を表し、nは0〜4の正の整数を表す。
5 はアルキル基を表す。L1 、L2 およびL3 は、そ
れぞれ、2価の連結基を表す。xおよびyはそれぞれ、
x+y=1の関係を満たす数値である。]
【0013】
【具体的構成】以下、本発明の具体的構成について詳細
に説明する。
【0014】本発明のサーモトロピック液晶性高分子材
料は、ポリペプチド鎖を主鎖とし、側鎖にオキシフェニ
ルケトンを有するものであり、化2で示される構造を構
成単位とするものである。ポリペプチド鎖はN末端アミ
ノ酸残基とC末端アミノ酸残基とが存在するものであ
る。なお、N末端のα−アミノ基およびC末端のα−カ
ルボキシ基は、それぞれ、その誘導体であってもよい。
【0015】化2において、R1 およびR2 は、それぞ
れ水素原子、アルキル基を表し、これらは同一でも異な
っていてもよい。
【0016】R3 はアルキル基を表す。R4 は1価の置
換基を表し、nは0〜4の正の整数を表す。R5 はアル
キル基を表す。L1 、L2 およびL3 は、それぞれ2価
の連結基を表す。xおよびyはx+y=1の関係を満た
すものであり、xは0.5以下の数値、yは0.5以上
の数値を表す。
【0017】R1 、R2 で表されるアルキル基として
は、炭素数1〜5のものが挙げられ、無置換であっても
置換基を有するものであってもよい。具体的には、メチ
ル基、プロピル基、ブチル基等であり、置換基を有する
場合の置換基としては、ヒドロキシ基、メルカプト基、
アミノ基、カルボキシ基、フェニル基等が挙げられる。
【0018】R1 、R2 としては、ともに水素原子であ
ることが好ましい。
【0019】R3 で表されるアルキル基としては、炭素
数1〜18のものが挙げられ、無置換のものが好まし
く、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基等が挙げられる。
【0020】なかでも、R3 としてはメチル基が好まし
い。
【0021】nは0であることが好ましいが、nが1〜
4であるときのR4 で表される1価の置換基としては、
アルキル基等が挙げられる。
【0022】R5 で表されるアルキル基は炭素数5以
上、さらには5〜17であることが好ましく、無置換の
ものが好ましい。具体的には、ペンチル基、ウンデシル
基等が好ましいものとして挙げられる。
【0023】L1 、L2 、L3 で表される2価の連結基
としては、−(CH2m −で示されるアルキレン基が
好ましい。
【0024】L1 とL2 とは同一でも異なっていてもよ
く、mは2〜4であることが好ましく、L3 はmが5〜
10であるものが好ましい。
【0025】xは0.5以下、特に0.2〜0.4が好
ましく、yは0.5以上、特に0.6〜0.8が好まし
い。
【0026】化2においてオキシフェニルケトンは、o
−またはp−オキシフェニルケトンであることが好まし
い。
【0027】また、本発明の高分子材料は、化2の構造
を構成単位として、重合度が1000〜2000程度の
ものが好ましい。
【0028】化2で示される構造の具体例を化3〜化5
に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】
【化3】
【0030】
【化4】
【0031】
【化5】
【0032】本発明の化2で示される高分子材料は、例
えば化6のスキームIに従い、以下のようにして合成す
る。なお、化6では、化2において、R1=R2 、L1
=L2 であるものについて示している。
【0033】ポリペプチド鎖の主鎖を有し、かつ交換反
応が可能なエステル基を側鎖に有するポリマー(P)
に、オキシフェニルケトンを有するアルコール(A)
を、エチレンジクロライド等の非水溶媒中において、p
−トルエンスルホン酸等の酸触媒の存在下で反応させて
得られる。このときのポリマー(P)は重合度1000
〜2000のものを使用し、ポリマー(P)とアルコー
ル(A)との反応比[ポリマー(P)/アルコール
(A)]はモル比で1/2程度とすればよい。また反応
温度は90〜100℃、反応時間は180〜360時間
とする。
【0034】
【化6】
【0035】このようにして得られる目的物は、上記反
応によるエステル置換率が50%以上、好ましくは60
〜80%のものであり、可視紫外吸収スペクトル等によ
り確認できる。また、このものは、可視紫外吸収スペク
トル(UVスペクトル)、円偏光二色性法(CDスペク
トル)、赤外吸収スペクトル(IRスペクトル)等によ
って確認することができる。
【0036】本発明の高分子材料は白色ポリマーであ
る。
【0037】そして、加熱融解によって生じるサーモト
ロピックは液晶であり、液晶を示す温度範囲は約70℃
〜約270℃である。
【0038】
【実施例】以下、本発明の実施例によって具体的に説明
する。
【0039】実施例1(1)試薬 エチレンジクロライド、クロロホルム、メタノールは市
販一級品を常法に従い単留したものを使用した。カラム
用シリカゲルは和光製シリカゲルC−100とC−20
0を前処理することなくそのまま使用した。そのほかの
試薬は特別の記載がない限り、市販特級品あるいは市販
一級品をそのまま使用した。
【0040】(2)化2に示されるポリマー(P−1)
の合成 化7のスキームI−1に従って以下のように合成した。
【0041】
【化7】
【0042】(2−1)6−(p−ヘキサノイルフェノ
キシ)ヘキサノール(A−1)の合成
【0043】60mlのエタノールに0.97g (0.0
4モル)の金属ナトリウムを徐々に溶かした後、7.6
7g (0.04モル)のp−ヘキサノイルフェノール
7.24g (0.04モル)の6−ブロモヘキサノール
を加え1晩還流した。反応後吸引濾過して析出してきた
NaBrを除去し、濾液を減圧濃縮した後、エーテルに
溶解し、水、0.5N−NaOH、水の順で抽出した。
MgSO4 を有機層に加え乾燥した後減圧濃縮し、酢酸
エチル/石油エーテル(1:1)から再結晶を行ない、
さらに酢酸エチル/石油エーテル(1:9)より再結晶
を行なった。 収量 7.74g 収率 70% C18283 (Mw292.404)
【0044】20.92mgの(A−1)を20mgのエチ
レンジクロライド(EDC)に溶解し、50倍に希釈
後、1cmセルを用いてUVスペクトルの測定を行なっ
た。 UV(EDC):λmax =271nm(ε=17233)
【0045】なお、UVスペクトルは、日本分光製UV
IDEC505自己分光光度計で測定した。
【0046】また、日本分光製A−320型赤外線分光
光度計を用い、KBr錠剤法により赤外吸収スペクトル
を測定した。この結果、OHの伸縮振動が3300cm-1
付近に、C=0の伸縮振動が1680cm-1付近に、CH
2 の伸縮振動が2900cm-1付近に観測された。
【0047】(2−2)ポリマー(P−1)の合成 1.00g (0.007ユニット−モル)の化7に示す
PMLG(重合度1070)と3.88g (0.014
モル)の(A−1)および、262mgのp−トルエンス
ルホン酸(p−Ts)を35mlのエチレンジクロライド
(EDC)に加え、100℃で8日間攪拌下還流した。
この間、溶媒を留去し、新しいエチレンジクロライドを
加える作業を数回行なった。反応後、溶媒を完全に留去
し、メタノールで数回再沈させ真空乾燥した。 収量 3.9g
【0048】25.63mgの(P−1)を25mlのED
Cに溶解し、50倍に希釈後1cmセルを用いて上記と同
様にUVスペクルの測定を行なった。その結果λmax
270nm、吸光度は1.769であった。(A−1)の
εよりエステル置換率を求めたところ60%であった。
【0049】(3)化3に示されるポリマー(P−2)
の合成 化8のスキームI−2に従って以下のように合成した。
【0050】
【化8】
【0051】(3−1)6−(p−ドデカノイルフェノ
キシ)ヘキサノール(A−2)の合成 (2−1)の6−(p−ヘキサノイルフェノキシ)ヘキ
サノール(A−1)に準じて合成した。
【0052】24.74mgの(A−2)を20mlのED
Cに溶解し、50倍に希釈後1cmセルを用いてUVスペ
クルの測定を行なった。 UV(EDC):λmax =271nm(ε=17397)
【0053】(A−1)と同様にIRスペクトルを測定
したところ、OHの伸縮振動が3300cm-1付近に、C
=0の伸縮振動が1680cm-1付近に、CH2 の伸縮振
動が2900cm-1付近に観測された。
【0054】(3−2)ポリマー(P−2)の合成 0.81g (0.0056ユニット−モル)のPMLG
(重合度1070)と4.22g (0.11モル)の
(A−2)および260mgのp−トルエンスルホン酸
(p−Ts)を35mlのエチレンジクロライド(ED
C)に加え、90℃で13日間攪拌下で還流した。この
間、溶媒を留去し、新しいエチレンジクロライドを加え
る作業を数回行なった。反応後、溶媒を完全に留去し、
メタノールで数回洗い再沈し、濾別、真空乾燥した。 収量 2.83g
【0055】23.12mgの(P−2)を25mlのED
Cに溶かし、20倍に希釈した後1cmセルを用いてUV
スペクルの測定を行なった。その結果λmax =270nm
の吸光度は1.43であった。(A−2)のεからエス
テル置換率を求めたところ66%であった。
【0056】(4)化3に示されるポリマー(P−3)
の合成 化9のスキームI−3に従って以下のように合成した。
【0057】
【化9】
【0058】(4−1)6−(o−ヘキサノイルフェノ
キシ)ヘキサノール(A−3)の合成 15mlのエタノールに0.69g の金属ナトリウムを徐
々に溶かした後、5.80g (0.03モル)のo−ヘ
キサノイルフェノールを加え、さらに5.43g (0.
03モル)の6−ブロモヘキサノールを加え1晩還流し
た。反応後、吸引濾過し析出したNaBrを除去し、濾
液を濃縮した後、エーテルに溶解し、水、0.5N−N
aOH、水の順で抽出した。有機層を、MgSO4 を加
えて乾燥し、減圧濃縮後クロロホルムに溶かし、不純物
を吸着させ除去するために、C−100のシリカゲルに
吸着させ、C−200のシリカゲルを充填したカラムに
かけクロロホルムで溶出し精製した。溶出した目的物の
フラクションを濃縮し、真空乾燥してオイル状の(A−
3)を得た。 収量 5.99g 収率 68% C18283 (Mw393.404)
【0059】37.09mgの(A−3)を25mlのED
Cに溶解し、50倍に希釈後、1cmセルを用いてUVス
ペクトルの測定を行なった。 UV(EDC):λmax =303nm(ε=12906)
【0060】また、KBr板上にキャストし、赤外スペ
クトルを(A−1)と同様に測定したところ、OHの伸
縮振動が3300cm-1付近に、C=Oの伸縮振動が16
80cm-1付近に、CH2 の伸縮振動が2900cm-1付近
に測定された。
【0061】(4−2)ポリマー(P−3)の合成 1.22g (0.0085ユニット−モル)のPMLG
と4.97g (0.017モル)の(A−3)および2
88mgのp−トルエンスルホン酸(p−Ts)を30ml
のエチレンジクロライド(EDC)に加え、90℃で1
3日間攪拌下で還流した。この間、溶媒を留去し、新し
いエチレンジクロライドを加える作業を数回行なった。
反応後、溶媒を完全に留去し、メタノールで数回洗い再
沈し、濾別、真空乾燥した。 収量 2.49g
【0062】24.32mgの(P−3)を50mlのED
Cに溶かし、10倍に希釈した後1cmセルを用いてUV
スペクルの測定を行なった。λmax =303nmの吸光度
は1.37であった。(A−3)のεからエステル置換
率を求めたところ72%であった。
【0063】このようにして得られたポリマー(P−
1)、(P−2)、(P−3)について、液晶としての
挙動を明らかにするため種々の測定を行なった。この結
果を以下に述べる。
【0064】ポリマー(P−1)、(P−2)、(P−
3)についてCDスペクトルを測定した。CDスペクト
ルは、EDCを溶媒とし、205〜250nmの波長域に
ついて、日本分光製J−600を用いて測定した。この
結果を図1〜図3に示す。
【0065】これらの図から明らかなように、ポリマー
(P−1)、(P−2)、(P−3)を含むEDC溶液
では、室温で208、222nm付近に主鎖ポリペプチド
のα−ヘリックス構造に基づく負の円偏光二色性が観察
された。下記の式を用いて、222nmにおける平均残基
楕円率より求めたα−ヘリックス含有量を表1に示し
た。
【0066】 α−ヘリックス含有量 XH =−[θ]222 /4000
【0067】
【表1】
【0068】なお、表1には、UVスペクトルの測定に
より求めたエステル置換率を併記した。
【0069】ポリマー(P−1)、(P−2)、(P−
3)について、IRスペクトルを測定した。IRスペク
トルは、ポリマー(P−1)、(P−2)、(P−3)
をそれぞれクロロホルムに溶解し、キャストして得られ
たフィルムをサンプルとし、日本分光製FT−IR−7
300を用いて測定した。
【0070】この結果を図4〜図6に示す。
【0071】これらの図から明らかなように、全てのサ
ンプルに1660cm-1にアミドI 、1560cm-1にアミ
ドII、615cm-1にアミドVの吸収が観察され、固体状
態でもα−ヘリックス構造を保持していることがわかっ
た。
【0072】ポリマー(P−1)、(P−2)、(P−
3)について、DSCの測定を行なった。DSCは、理
学電気製高性能示差走査熱量計DSC−10Aを用いて
測定した。
【0073】これらのポリマーの昇温過程における吸熱
転移温度とDSC曲線を表2と図7〜図9に示す。
【0074】
【表2】
【0075】ポリマー(P−1)では67℃、(P−
2)では75℃にそれぞれ吸熱転移ピークが見られた。
また、(P−3)では室温以下ですでに液晶への転移が
行なわれていると考えられ明確なピークは観察されなか
った。
【0076】ポリマー(P−1)、(P−2)、(P−
3)について、偏光顕微鏡観察を行なった。偏光顕微鏡
観察には、Mettler 製 FT 80 Central ProsessorとFT H
ot Stageで温度制御を行ない、Nikon 製AFS-II型偏光顕
微鏡を用いて、クロスニコル下でテクスチャーの観察を
行ない、Nikon 製顕微鏡写真装置FX-35 WAカメラを用い
て写真撮影を行なった。
【0077】これらの結果を図10〜図15に示す。
【0078】全てのサンプルにクロスニコル下で複屈折
がみられた(図10〜図12参照)。特に(P−2)で
は51℃以下で見られる複屈折が、52−57℃の間で
消滅し、暗視野になった。58℃以上になると再び複屈
折を示し元の状態に戻った。またこれらの試料をスライ
ドガラスにはさんで110℃に保ったところ、コレステ
リックのピッチに相当すると思われる縦縞模様を示し
た。それぞれのピッチを実測した結果、(P−1)、
(P−2)、(P−3)それぞれ27μm 、20μm 、
24μm となった(図13〜図15参照)。
【0079】ポリマー(P−1)、(P−2)、(P−
3)について、分子の配向状態を詳しく調べるため、X
線回折測定を行なった。X線回折測定には、理学電気製
X線回折装置 CN 4056 A型を用い、平面カメラを取り付
け、回折写真の撮影を行なった。管電流35mA、管電圧
は40kVで、ニッケル箔で濾過した CuKα線を用いた。
露光時間は2時間で照射距離は10cmで行なった。
【0080】電場の影響の測定は、X線用キャピラリー
にポリマーを詰め、1.5mmの間隔でITO電極にはさ
み、本発明者等作製の高電圧装置を用い電場を印加した
(5V−300V)。
【0081】このとき、棒状にロールさせたポリマーを
X線キャピラリーに詰め、それを160℃でアニーリン
グした後、キャピラリー軸に対して垂直方向からX線を
照射して写真撮影を行なった。
【0082】これらのX線回折写真とBragg の式より求
めた面間隔を図16〜18と表3に示す。このように赤
道方向に鋭いスポット状の反射がみられ、キャピラリー
内で、液晶状態にあるポリマーのα−ヘリックス軸は、
壁効果によって、キャピラリー軸と平行して配向するこ
とがわかった。またキャピラリーに詰めたポリマーを1
60℃でアニーリングしながら、キャピラリー軸に対し
て垂直に300Vの電場を印加した後、X線回折を行な
った。その回折写真を図19〜図21に示す。図19〜
図21の各図において、(A)は電場を印加しない場合
であり、(B)は300Vの電場を印加した場合のもの
である。
【0083】これらの図から明らかなように、X線をキ
ャピラリーの軸に対して垂直方向に照射したところ、O
Vでは、赤道方向に鋭いスポット状の反射が見られた
が、300Vの電場を印加するとリング状の反射に変化
した。この様な電場印加に伴う配向性の消失は、α−ヘ
リックス軸方向の永久双極子モーメントが電場の影響を
受けてゆらぎ、壁効果によって配向を乱したためと思わ
れる。
【0084】
【表3】
【0085】次に、、ポリマー(P−1)、(P−
2)、(P−3)の液晶挙動について、主に偏光顕微鏡
観察とDSCを中心にまとめる。
【0086】偏光顕微鏡観察の結果によると、(P−
2)は明らかに52℃〜57℃の範囲で等方性である。
また偏光顕微鏡写真におけるフィンガープリントパター
ンや、ポリドメインのプレナーテクスチャーの発現によ
り、これらのポリマーはコレステリック液晶であり、ガ
ラス板などで挟むことで容易に配向することがわかっ
た。また、X線回折の結果により、キャピラリーの様な
ものに詰めるとネマチックの配向を示すことがわかっ
た。
【0087】(P−1)と(P−2)のDSC曲線にお
ける明確な吸熱ピークの低温側に現れるショルダーは、
側鎖のパッキング状態の変化に起因していると思われ
る。すなわち、側鎖は昇温するに従い徐々に融解し、
(P−1)の67℃、(P−2)の75℃で完全に融解
すると考えられる。偏光顕微鏡観察で室温から複屈折を
示しているので、室温でも側鎖は完全な結晶ではなく、
一部が溶けてパッキングがゆるんでいる状態であると考
えられる。一方、(P−3)ではこれらよりも低温で側
鎖の融解が起こるので、明確なピークが観察されず、ま
た室温で最も柔らかく粘性も高い。
【0088】
【発明の効果】本発明によれば、種々の機能性材料とし
ての用途が期待される新規な液晶性高分子材料が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリマー(P−1)のCDスペクトルを示すグ
ラフである。
【図2】ポリマー(P−2)のCDスペクトルを示すグ
ラフである。
【図3】ポリマー(P−3)のCDスペクトルを示すグ
ラフである。
【図4】ポリマー(P−1)のIRスペクトルを示すグ
ラフである。
【図5】ポリマー(P−2)のIRスペクトルを示すグ
ラフである。
【図6】ポリマー(P−3)のIRスペクトルを示すグ
ラフである。
【図7】ポリマー(P−1)のDSC曲線を示すグラフ
である。
【図8】ポリマー(P−2)のDSC曲線を示すグラフ
である。
【図9】ポリマー(P−3)のDSC曲線を示すグラフ
である。
【図10】粒子構造を示す図面代用写真であり、ポリマ
ー(P−1)の偏光顕微鏡写真である。
【図11】粒子構造を示す図面代用写真であり、ポリマ
ー(P−2)の偏光顕微鏡写真である。
【図12】粒子構造を示す図面代用写真であり、ポリマ
ー(P−3)の偏光顕微鏡写真である。
【図13】粒子構造を示す図面代用写真であり、ポリマ
ー(P−1)をスライドガラスにはさんだときの偏光顕
微鏡写真である。
【図14】粒子構造を示す図面代用写真であり、ポリマ
ー(P−2)をスライドガラスにはさんだときの偏光顕
微鏡写真である。
【図15】粒子構造を示す図面代用写真であり、ポリマ
ー(P−3)をスライドガラスにはさんだときの偏光顕
微鏡写真である。
【図16】粒子構造を示す図面代用写真であり、ポリマ
ー(P−1)のX線回折写真である。
【図17】粒子構造を示す図面代用写真であり、ポリマ
ー(P−2)のX線回折写真である。
【図18】粒子構造を示す図面代用写真であり、ポリマ
ー(P−3)のX線回折写真である。
【図19】粒子構造を示す図面代用写真であり、ポリマ
ー(P−1)のX線回折写真であり、(A)は電場を印
加しないとき、(B)は300Vを電場を印加したとき
のものである。
【図20】粒子構造を示す図面代用写真であり、ポリマ
ー(P−2)のX線回折写真であり、(A)は電場を印
加しないとき、(B)は300Vを電場を印加したとき
のものである。
【図21】粒子構造を示す図面代用写真であり、ポリマ
ー(P−3)のX線回折写真であり、(A)は電場を印
加しないとき、(B)は300Vを電場を印加したとき
のものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保田 悠一 千葉県千葉市桜木町137−4 (56)参考文献 特開 昭62−260827(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 69/00 - 69/50 C09K 19/38 G02F 1/13 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリペプチド鎖を主鎖とし、側鎖にオキ
    シフェニルケトンを有することを特徴とするサーモトロ
    ピック液晶性高分子材料。
  2. 【請求項2】 前記オキシフェニルケトンが、o−また
    はp−オキシフェニルケトンである請求項1に記載のサ
    ーモトロピック液晶性高分子材料。
  3. 【請求項3】 化1で示される構成単位からなる請求項
    1または2に記載のサーモトロピック液晶性高分子材
    料。 【化1】 [化1において、R1 およびR2 はそれぞれ、水素原子
    またはアルキル基を表し、これらは同一でも異なってい
    てもよい。R3 はアルキル基を表す。R4 は1価の置換
    基を表し、nは0〜4の正の整数を表す。R5 はアルキ
    ル基を表す。L1 、L2 およびL3 は、それぞれ、2価
    の連結基を表す。xおよびyはそれぞれ、x+y=1の
    関係を満たす数値である。]
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