JP3089112B2 - 織機の緯糸フィーラ装置 - Google Patents

織機の緯糸フィーラ装置

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JP3089112B2 JP04221189A JP22118992A JP3089112B2 JP 3089112 B2 JP3089112 B2 JP 3089112B2 JP 04221189 A JP04221189 A JP 04221189A JP 22118992 A JP22118992 A JP 22118992A JP 3089112 B2 JP3089112 B2 JP 3089112B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、特に多色緯入れを行
なう織機において、緯入れされる緯糸を的確に検出する
ことができる織機の緯糸フィーラ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】1個の投光素子の緯入れ方向両側に2個
の受光素子を配設してなる反射形の織機の緯糸フィーラ
装置が知られている(特開昭52−144466号公
報)。
【0003】このものは、緯糸の飛走経路を挟んで、一
方に投光素子と受光素子とを配設し、他方に反射器を設
置することにより、投光素子から反射器に向けて投射さ
れた光が反射光となって帰還し、投光素子の緯入れ方向
両側に配設された2個の受光素子に入射するようになっ
ている。そこで、このものは、緯入れされる緯糸の有無
により少なくともいずれかの受光素子が受光する反射光
の光量が変化するから、飛走中の緯糸に機械的な振動が
あっても、緯入れの成否を確実に判定することができ
る。しかしながら、かかる方式にあっては、各受光素子
に対するベース反射光(緯糸がないときの反射器からの
反射光をいう、以下同じ)の光量が同一であるから、緯
糸の種類により、緯糸からの反射光の光量がベース反射
光の光量と近似している場合に誤動作が生じ易く、緯入
れが正常であるにも拘らず緯入れ不良と判定し、いわゆ
る空止りが発生することが避けられない。
【0004】そこで、この難点を回避するために、投光
素子の緯入れ方向両側に受光素子を配設し、各受光素子
に対向させて反射率の異なる反射部材を設け、各受光素
子が受光するベース反射光の光量を異ならせる手法が提
案されている(実公平3−18538号公報)。たとえ
ば、筬の緯糸ガイド溝内に反射率の異なる2種類のスク
リーンを設け、1個の投光素子に対し、それぞれのスク
リーンに対向する位置に受光素子を配置すれば、各受光
素子が受光するベース反射光の光量が異なるから、緯糸
による反射光の光量が一方の受光素子に対するベース反
射光の光量と近似している場合であっても、他方の受光
素子によって緯入れの成否を判定することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】かかる従来技術による
ときは、反射率の高い緯糸から反射率の低い緯糸まで広
範囲に対応することができるという利点があるが、必須
部材となる反射部材の設置位置が筬の緯糸ガイド溝内で
あるため、反射部材が緯糸飛走の障害となり、緯入れ不
良が発生するおそれがあるという問題があった。
【0006】そこで、この発明の目的は、かかる従来技
術の実情に鑑み、筬羽からのベース反射光の反射率がそ
れぞれ異なる位置に複数の受光素子を配設することによ
って、緯入れ不良の原因となる格別な反射部材を用いる
ことなく、任意の緯糸を確実に検出し、緯入れの成否を
判定することができる織機の緯糸フィーラ装置を提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めのこの発明の構成は、緯糸の飛走経路と交錯するよう
にして筬羽に投光する投光素子と、投光素子による筬羽
からのベース反射光と緯糸からの反射光とを受光する複
数の受光素子と、受光素子からの出力信号を入力する判
定回路とを備えてなり、各受光素子は、筬羽からのベー
ス反射光の反射率が異なる位置に配設し、判定回路は、
受光素子の全部が緯糸の有無による光量変化を検出しな
いときにのみ緯入れ不良信号を出力することをその要旨
とする。
【0008】なお、各受光素子は、筬羽の前面に対する
傾き角が異なる軸線上に配設し、または、筬羽の緯糸ガ
イド溝の異なる壁面に対向する軸線上に配設することが
できる。
【0009】
【作用】かかる発明の構成によるときは、複数の受光素
子は、それぞれ筬羽からのベース反射光と緯糸からの反
射光とを受光するが、各受光素子は、ベース反射光の反
射率が異なる位置に配設されているから、緯入れされた
緯糸からの反射光の光量が一方の受光素子に対するベー
ス反射光の光量と近似している場合であっても、他方の
受光素子においてベース反射光の光量に対して差異が生
じる。緯糸による反射は、一般に乱反射であるから、各
受光素子について、緯糸からの反射光の反射率はほぼ同
一である一方、筬羽からのベース反射光の反射率は、受
光素子ごとに異なっており、したがって、両者の反射率
が近似するのは、特定の受光素子に限られるからであ
る。そこで、当該特定の受光素子以外の受光素子は、こ
の光量の差異によって緯糸を検出することができる。
【0010】すなわち、任意の反射率を有する緯糸に対
しても、その緯糸からの反射光の反射率が筬羽からのベ
ース反射光の反射率に近似する特定の受光素子以外の受
光素子は、緯糸の有無による光量変化により、緯入れの
成否を確実に判定することができる。そこで、判定回路
は、受光素子の全部が緯糸の有無による光量変化を検出
しないときにのみ緯入れ不良信号を出力するように作動
すればよい。
【0011】筬羽の前面に対する傾き角が異なる軸線上
に各受光素子を配設するときは、各受光素子から見た筬
羽の角度が異なり、したがって、各受光素子に対するベ
ース反射光の反射率を異ならせることができる。
【0012】緯糸ガイド溝の異なる壁面に対向する軸線
上に各受光素子が配設されているときは、各壁面の反射
率が異なるために、各受光素子に対するベース反射光の
反射率を異ならせることができる。
【0013】
【実施例】以下、図面を以って実施例を説明する。
【0014】織機の緯糸フィーラ装置は、投光素子11
と、受光素子12a、12bと、判定回路20とを備え
てなる(図1)。
【0015】織機は、ジェットルームであるものとし、
緯糸Yは、図示しない緯入れ機構を介し、筬の筬羽R、
R…の前面に沿って緯入れされる。ただし、緯糸Yは、
筬羽R、R…に形成する図示しない緯糸ガイド溝内を飛
走するようにして緯入れされるものとする。
【0016】投光素子11、受光素子12a、12b
は、フィーラヘッドHを介し、緯糸Yの飛走経路を挟ん
で筬羽R、R…の前面に対向する位置に設置されてい
る。ただし、受光素子12aは、筬羽R、R…の前面に
対する傾き角θa の軸線上に配置され、受光素子12b
は、傾き角θb >θa の軸線上に配置されている。ま
た、投光素子11は、傾き角が約90度の軸線上に配置
されている。
【0017】投光素子11は、図示しない電源回路を介
して給電されており、受光素子12a、12bの出力
は、判定回路20に接続されている。また、判定回路2
0の出力は、緯入れ不良信号S3 として、図示しない織
機制御回路に出力されている。
【0018】判定回路20は、受光素子12a、12b
に接続する検出回路21a、21bと、アンドゲート2
2とからなる(図2)。受光素子12a、12bからの
出力信号S1a、S1bは、それぞれ検出回路21a、21
bに導かれ、検出回路21a、21bからの糸なし信号
S2a、S2bは、いずれもアンドゲート22に入力され、
アンドゲート22の出力は、緯入れ不良信号S3 となっ
ている。
【0019】いま、投光素子11が光量Lo の光を発生
するものとすると、受光素子12a、12bが受光する
ベース反射光の光量La 、Lb は、La =ka Lo 、L
b =kb Lo となり、La >Lb である。受光素子12
a、12bは、それぞれ筬羽R、R…の前面に対する傾
き角θa 、θb の軸線上に配置されており、θa >θb
であるから、受光素子12a、12bから見る筬羽R、
R…の見掛けの反射率ka 、kb は、ka >kb となる
からである。
【0020】一方、緯糸Yは、投光素子11からの光を
一様に乱反射するから、受光素子12a、12bは、緯
糸Yからの反射光を、光量Ly =kLo として受光する
ことができる。ただし、kは、緯糸Yの反射率である。
【0021】緯糸Yが正常に緯入れされると、受光素子
12a、12bは、筬羽R、R…からのベース反射光に
代えて、緯糸Yからの反射光を受光する。そこで、い
ま、Lb <Ly <La であるとき(図3(A))、受光
素子12aは、緯糸Yの有無により、出力信号S1aを介
して光量変化ΔLa =Ly −La を出力することがで
き、受光素子12bは、出力信号S1bを介して光量変化
ΔLb =Ly −Lb を出力することができる。
【0022】これに対し、判定回路20の検出回路21
a、21bは、かかる光量変化ΔLa 、ΔLb が検出さ
れると、糸なし信号S2a、S2bを出力せず、光量変化Δ
La、ΔLb が検出されないとき、糸なし信号S2a、S2
bを出力する。すなわち、このときの検出回路21a、
21bは、緯入れが正常になされたときは、いずれも糸
なし信号S2a、S2bを出力せず、したがって、アンドゲ
ート22は、緯入れ不良信号S3 を出力しないが、緯入
れ不良が発生すれば、双方の検出回路21a、21bが
糸なし信号S2a、S2bを出力するため、アンドゲート2
2は、緯入れ不良信号S3 を出力することができる。
【0023】次に、La ≒Ly ≫Lb であるとき(図3
(B))、受光素子12aに対応する検出回路21a
は、光量変化ΔLa =Ly −La ≒0であるため、緯糸
Yを検出することができない。これに対し、受光素子1
2bに対応する検出回路21bは、光量変化ΔLb =L
y −Lb を検出し、緯糸Yを検出することができる。す
なわち、検出回路21aは、緯入れの成否に拘らず糸な
し信号S2aを出力するが、検出回路21bは、緯入れ不
良のときにのみ糸なし信号S2bを出力し、このときのア
ンドゲート22は、検出回路21a、21bの双方がそ
れぞれ糸なし信号S2a、S2bを出力する現実の緯入れ不
良のときにのみ、緯入れ不良信号S3 を出力することが
できる。
【0024】同様に、La ≫Ly ≒Lb であるとき(図
3(C))、アンドゲート22は、検出回路21aが光
量変化ΔLa =Ly −La を検出しないときにのみ、緯
入れ不良信号S3 を出力する。すなわち、判定回路20
は、緯糸Yの種類が変更され、緯糸Yからの反射光の光
量Ly が如何に変動した場合であっても、緯入れの成否
を適確に判定することができる。
【0025】以上の説明において、受光素子12a、1
2bが受光するベース反射光の光量La 、Lb は、La
=ka Loa、Lb =kb Lob、Loa≠Lobであってもよ
い。ただし、Loa、Lobは、投光素子11から投射され
る光のうち、受光素子12a、12bに対するベース反
射光となる光の光量を示す。このとき、受光素子12
a、12bが受光する緯糸Yからの反射光の光量Lya、
Lybは、それぞれLya=kLoa、Lyb=kLobとなる
が、この場合であっても、判定回路20は、Lya≒La
、Lyb≒Lb が同時に成立しない限り、緯入れの成否
を判定することができる。
【0026】また、必要に応じて、受光素子12a、1
2bの一方または双方に対し、筬羽R、R…の背後等か
らの外乱光を除去するために、適当なフードを取り付け
ることができる。
【0027】さらに、受光素子12a、12bは、その
個数を3以上に増加してもよい。このときの判定回路2
0は、受光素子12i(i=a、b…)に対応して検出
回路21i(i=a、b…)を設け、各検出回路21i
からの糸なし信号S2i(i=a、b…)をアンドゲート
22に入力すればよい。判定回路20は、いずれかの受
光素子12iが光量変化ΔLi (i=a、b…)を検出
することができる限り、緯入れの成否を判定することが
できるから、一層広範囲な緯糸Yに対応することが可能
である。また、投光素子11は、複数の受光素子12i
に対して共通に設けるに代えて、複数の受光素子12i
に対応して、それぞれ別個の投光素子11i(i=a、
b…)を設けてもよい。
【0028】
【他の実施例】受光素子12a、12bは、筬羽Rの緯
糸ガイド溝Ra の異なる壁面Ra1、Ra2に対向する軸線
上に配置することができる(図4)。ただし、ここで
は、受光素子12aは、緯糸ガイド溝Ra の奥の壁面R
a1に対向して配置され、受光素子12bは、緯糸ガイド
溝Ra の上の壁面Ra2に対向して配置されている。ま
た、受光素子12a、12bは、それぞれ壁面Ra1、R
a2に対して異なる傾き角θa、θb の軸線上に配置さ
れ、それぞれに対して投光素子11a、11bが用意さ
れている。
【0029】投光素子11a、11bからの光量Loa、
Lobに基づき、受光素子12a、12bは、筬羽Rから
光量La =ka Loa、Lb =kb Lobのベース反射光を
受光し、緯糸Yからは、光量Lya=kLoa、Lyb=kL
obの反射光を受光することができるから、前実施例と同
様にして、判定回路20は、Lya≒La 、Lyb≒Lbが
同時に成立することがない限り、緯糸Yを検出して緯入
れの成否を判定することができる。
【0030】なお、投光素子11b、受光素子12b
は、緯糸ガイド溝Ra の上の壁面Ra2に対向する位置に
代えて、緯糸ガイド溝Ra の下の壁面Ra3に対向する位
置に設置してもよい。また、この実施例においても、投
光素子11a、11b、受光素子12a、12bの数
は、それぞれ3以上に増加してもよい。さらに、この実
施例において、各受光素子12iに対する軸線の傾き角
θi (i=a、b…)は、必ずしも異ならせる必要はな
い。筬羽Rは、一般に、壁面Ra1、Ra2…ごとに異なる
反射率ka 、kb …を示すことが少なくないからであ
る。
【0031】以上の説明において、判定回路20は、各
受光素子12iからの出力信号S1iを加算または乗算
し、その結果を所定のしきい値と比較して緯入れ不良信
号S3を出力してもよい。また、受光素子12iは、図
1、図4に示す配設方法を混合して採用してもよい。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、筬羽からのベース反射光と緯糸からの反射光とを受
光する複数の受光素子を設け、筬羽からのベース反射光
の反射率が異なる位置に各受光素子を配設することによ
って、反射率を異にする任意の緯糸に対し、少なくとも
いずれかの受光素子が緯糸の有無による光量変化を検出
することができるから、緯糸飛走の障害となる格別な反
射部材を何ら使用することなく、広範囲の緯糸に対し、
緯入れの成否を適確に判定することができるという優れ
た効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 全体構成説明図
【図2】 要部ブロック系統図
【図3】 動作説明図
【図4】 他の実施例を示す要部構成斜視図
【符号の説明】
Y…緯糸 R…筬羽 Ra …緯糸ガイド溝 Ra1、Ra2、Ra3…壁面 θa 、θb …傾き角 ΔLa 、ΔLb …光量変化 S1a、S1b…出力信号 S3 …緯入れ不良信号 11、11a、11b…投光素子 12a、12b…受光素子 20…判定回路

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 緯糸の飛走経路と交錯するようにして筬
    羽に投光する投光素子と、該投光素子による筬羽からの
    ベース反射光と緯糸からの反射光とを受光する複数の受
    光素子と、該受光素子からの出力信号を入力する判定回
    路とを備えてなり、前記各受光素子は、筬羽からのベー
    ス反射光の反射率が異なる位置に配設し、前記判定回路
    は、前記受光素子の全部が緯糸の有無による光量変化を
    検出しないときにのみ緯入れ不良信号を出力することを
    特徴とする織機の緯糸フィーラ装置。
  2. 【請求項2】 前記各受光素子は、筬羽の前面に対する
    傾き角が異なる軸線上に配設することを特徴とする請求
    項1記載の織機の緯糸フィーラ装置。
  3. 【請求項3】 前記各受光素子は、筬羽の緯糸ガイド溝
    の異なる壁面に対向する軸線上に配設することを特徴と
    する請求項1記載の織機の緯糸フィーラ装置。
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