JP3088141B2 - ズームレンズ - Google Patents

ズームレンズ

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JP3088141B2
JP3088141B2 JP03205246A JP20524691A JP3088141B2 JP 3088141 B2 JP3088141 B2 JP 3088141B2 JP 03205246 A JP03205246 A JP 03205246A JP 20524691 A JP20524691 A JP 20524691A JP 3088141 B2 JP3088141 B2 JP 3088141B2
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伊藤孝之
菅野靖之
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、CCTVカメラ等の小型
テレビカメラに適用できるズームレンズに関し、特に、
ピント調整が可能なズームレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】この種の小型テレビカメラでは、小型で
解像度の高い撮像素子を利用したいという要望があり、
このためにFナンバーの小さい撮影レンズが要求されて
いる。
【0003】Fナンバーを小さくするとレンズの焦点深
度が狭くなるため、撮像素子の取り付け誤差がレンズの
焦点深度より大きくなることがあり、その場合には取り
付け後にピント調整が必要となる。
【0004】また、種類の異なるテレビカメラでレンズ
を共用する場合、カメラの種類によって撮像面の手前に
設けられるフェーズプレート、赤外カットフィルター、
ローパスフィルター等のフィルター類の有無や厚さが異
なるため、レンズ側のピントをこれらのフィルター類の
厚さに合わせて調整しなければならない。
【0005】従来のテレビカメラでは、レンズの組み付
け時にレンズ全体を動かす方法でカメラ毎にピントを調
整している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
調整方法では、種類の異なるテレビカメラにレンズを取
り付ける際に、フィルター類の厚さの違いにより収差が
劣化し、レンズの性能を十分に発揮させることができな
いという問題がある。
【0007】
【発明の目的】この発明は、上述した従来技術の課題に
鑑み、撮像素子等の取り付け誤差が大きいとき、あるい
はフィルター類の厚さに応じてピントを調整する場合に
も容易に調整ができ、収差の劣化を抑えることができる
ズームレンズを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】物体側より順に、変倍時
に固定の正のパワーを有する第1レンズ群と、変倍機能
を有し変倍に伴って移動する負のパワーを有する第2レ
ンズ群と、焦点位置の補償機能を有し変倍に伴って移動
する負のパワーを持つ第3レンズ群と、結像機能を有し
変倍時に固定の正のパワーを有する第4レンズ群とが配
列して構成され、前記第4レンズ群は、第4レンズ群
中、レンズ間隔最大カ所で2つに分割した時物体側から
順に正のパワーを有する第4aレンズ群と正のパワーを有
する第4bレンズ群とが配列して構成され、前記第4bレン
ズ群は、物体側から順に、正レンズ、負レンズ、正レン
ズの3枚が配列して構成され、前記第4bレンズ群を光軸
方向に移動させることによってピント調整を行い、か
つ、 0.20 < m < 0.70 …(1) 0.40 < f4a / f4b < 0.79 …(2)0.90 < f4b / f4p < 1.50 …(3) -2.10 < f4b / f4n < -1.20 …(4) ただし m : 第4bレンズ群の横倍率 f4a : 第4aレンズ群の焦点距離 f4b : 第4bレンズ群の焦点距離f4p : 第4bレンズ群の正の第1レンズの焦点距離 f4n : 第4bレンズ群の負の第2レンズの焦点距離 の条件を満たすことを特徴とする。
【0009】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
記載の発明において、以下の条件を満たすことを特徴と
する。
【0010】1.00 < ΣI4b < 5.00 ただし ΣI4b : 第4bレンズ群の球面収差係数の和
【0011】
【実施例】以下、この発明を図面に基づいて説明する。
【0012】実施例にかかるズームレンズは、正、負、
負、正の4つのレンズ群が配列して構成されている。第1
レンズ群は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負
メニスカスレンズと正レンズとが接合された接合レンズ
と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズとが配列
して構成される。
【0013】第2レンズ群は、物体側から順に、物体側
に凸面を向けた負メニスカスレンズと、両凹レンズと、
この両凹レンズから僅かな間隔をおいて設けられた正レ
ンズとが配列して構成される。
【0014】第3レンズ群は、物体側に曲率半径の小さ
な凹面を向けた負レンズである。
【0015】第4レンズ群は、物体側から順に正レン
ズ、正レンズ、負レンズが配列して構成されて全体とし
て正のパワーを有する第4aレンズ群と、物体側から順に
正レンズ、負レンズ、正レンズが配列して構成されて全
体として正のパワーを有する第4bレンズ群とから構成さ
れている。
【0016】また、実施例のレンズは、前述の条件(1),
(2)を満たしている。
【0017】条件(1)は、バックフォーカスの調整に関
し、この条件の上限を越えると第4bレンズ群の移動に対
するバックフォーカスの変化が少なくなるため、調整量
が大きくなり調整機構も大型になる。下限を下回る場合
には、バックフォーカスの変化は大きくなるが、収差が
増大して補正が困難となる。特に、調整したときに収差
が増大して補正が困難となる。また、第4aレンズ群から
の光線が光軸と平行に近くなるため、第4bレンズ群の手
前にNDフィルター等を配置すると、第4bレンズ群以降で
の反射光がこのフィルターで再反射し、像面に再び入射
してゴーストやフレアーが発生し易くなる。
【0018】条件(2)は、第4a,4bレンズ群のパワーを規
定するものであり、第4レンズ群内でのパワーのバラン
スをとるための条件である。第4aレンズ群のパワーを条
件(2)を満たすように第4bレンズ群より大きく設定する
ことにより、球面収差、非点収差をバランスよく補正
し、かつ、球面収差の変動によるピントズレも補正する
ことができる。条件(2)の上限を越える場合には、第4a
レンズ群のパワーが過小となるか、あるいは第4bレンズ
群のパワーが過大となり、ピント調整のための第4bレン
ズ群の移動による収差の発生が大きくなる。下限を下回
る場合には、第4aレンズ群のパワーが過大となり、ズー
ミング時の球面収差、非点収差の補正が困難となる。
【0019】更に、実施例のレンズは、以下の条件(3)
〜(5)を満たす。
【0020】0.90 < f4b / f4p < 1.50 …(3) -2.10 < f4b / f4n < -1.20 …(4) 1.00 < ΣI4b < 5.00 …(5) ただし f4p : 第4bレンズ群の正の第1レンズの焦点距離 f4n : 第4bレンズ群の負の第2レンズの焦点距離 m : 第4bレンズ群の横倍率 ΣI4b : 第4bレンズ群の球面収差係数の和
【0021】条件(3),(4)は、第4bレンズ群内のパワー
配分に関し、ピント調整のために第4bレンズ群を移動さ
せた際に発生する収差を抑え、性能の劣化を小さくする
ための条件である。
【0022】条件(3)の上限を越えると、第4bレンズ群
の第1レンズの正のパワーと第2レンズの負のパワーとが
共に過大となり、高次の収差が発生する。条件(3)の下
限を下回る場合には、第4bレンズ群の第1レンズに正レ
ンズを設けた効果が小さくなり、第4aレンズ群が負担す
る正のパワーが過大となる。
【0023】条件(4)の上限を越えると正の第4aレンズ
群、及び第4bレンズ群の正の第1レンズで発生した収差
を補正できず、下限を下回ると逆に補正過剰となる。
【0024】条件(5)は、フィルター等の厚さの変化に
よるピントの変化と球面収差の変化とを第4bレンズ群の
移動によって同時に補正するための条件であり、上限を
越えると球面収差の補正が過剰となり、下限を下回ると
補正不足となる。
【0025】なお、球面収差係数は短焦点側の全系の焦
点距離を1.0に換算したときの値である。
【0026】
【実施例1】図1は、この発明の実施例1を示したもので
ある。具体的な数値構成は表1、表2に示されている。表
中、rは曲率半径、dはレンズ厚若しくは空気間隔、Nはd
-lineでの屈折率、νはアッベ数、fはd-line(588nm)に
おける焦点距離、fBはバックフォーカス、Fno.はFナン
バー、ωは半画角である。
【0027】図2、図3、図4は、この構成による短焦点
距離端、中間焦点距離、長焦点距離端の諸収差をそれぞ
れ示している。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】次に、ピント調整について説明する。ここ
では、第4bレンズ群の横倍率をm、第4aレンズ群と第4b
レンズ群との間隔をΔab、ピントの移動量をΔpとす
る。
【0031】なお、実施例では、第4aレンズ群と第4bレ
ンズ群との間にフィルター類としての平行平面板(第20
面、第21面で表される)が設けられているが、このフィ
ルターは何れのレンズ群にも属さず、したがって第4aレ
ンズ群と第4bレンズ群との群間隔Δabは、d19 + d20 +
d21 により表されるものとする。
【0032】第4bレンズ群の移動よるピント移動は、 Δab = Δp/(1 - m2) により表される。
【0033】例えば、撮像面の取り付け位置が設計値よ
り0.41mmレンズ側に近づいた場合、m = 0.43として、 Δab = -0.5 となる。すなわち、図5に示したようにd21を0.5mm減ら
して4.07mmとすると、レンズ第1面から撮像面までの長
さTLは72.00mmから71.59mmとなり、-0.41mmのピント調
整が可能となる。
【0034】図6、図7、図8は、それぞれ調整後の状態
での短焦点距離、中間焦点距離、長焦点距離での諸収差
を示している。
【0035】また、撮像面手前の第28面、第29面で表さ
れる平行平面板の屈折率をn、厚さd28の変化をΔtとす
ると、 Δab = -(1 - n-1)Δt/(1 - m2) となる。
【0036】例えば、この平行平面板が交換されて厚さ
d28が1mm増加して5.70mmとなった場合、 Δab = -0.42 となる。すなわち、図9に示したようにd21を0.42mm減ら
して4.15mmとするとTLは72.00mmで一定となり、平行平
面板の厚さの変化によるピント移動を補正することがで
きる。図10、図11、図12は、それぞれ調整後の状態での
短焦点距離、中間焦点距離、長焦点距離での諸収差を示
している。
【0037】なお、フィルター類の厚さが大きくなる
と、大口径のレンズでは原理的に球面収差がプラス方向
に変化する。したがって、群間隔Δabを減少させる際に
球面収差がマイナスに変化するように前述の条件(5)を
満たすことが望ましい。
【0038】
【実施例2】図13は、この発明の実施例2を示したもの
である。具体的な数値構成は表3、表4に示されている。
図14、図15、図16は、この構成による短焦点距離端、中
間焦点距離、長焦点距離端の諸収差をそれぞれ示してい
る。
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】 実施例2において、例えば撮像面の取り付け位置が設
計値より0.39mmレンズ側に近づいた場合、m = 0.48とし
て、 Δab = -0.5 となる。すなわち、図17で示したようにd21を0.5mm減ら
して7.80mmとすると、レンズ第1面から撮像面までの長
さTLは85.55mmから85.16mmとなり、-0.39mmのピント調
整が可能となる。
【0041】図18、図19、図20は、それぞれ調整後の状
態での短焦点距離、中間焦点距離、長焦点距離での諸収
差を示している。
【0042】また、例えば撮像面手前の第28面、第29面
で表される平行平面板が交換されて厚さd28が1mm増加し
て5.70mmとなった場合、 Δab = -0.44 となる。すなわち、図21に示したようにd21を0.44mm減
らして7.86mmとするとTLは85.55mmで一定となり、平行
平面板の厚さの変化によるピント移動を補正することが
できる。図22、図23、図24は、それぞれ調整後の状態で
の短焦点距離、中間焦点距離、長焦点距離での諸収差を
示している。
【0043】表5は、各実施例と前述の条件式との関係
を示す。
【0044】
【表5】
【0045】なお、上述した2つの実施例では、いずれ
も第4aレンズ群と第4bレンズ群との間の絞り位置にフィ
ルター類に相当する平行平面板を配置しているが、この
平行平面板はこの発明に必須の要素ではなく、配置され
ていない場合もこの発明の範囲に含まれる。
【0046】
【効果】以上説明したように、この発明によれば、低コ
ストで口径比が小さくコンパクトなズーム比6〜12倍程
度の小型テレビカメラ用に適したズームレンズを得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1にかかるズームレンズの短焦点距離
端におけるレンズ断面図である。
【図2】 図1のズームレンズの短焦点距離端における
諸収差図である。
【図3】 図1のズームレンズの中間焦点距離における
諸収差図である。
【図4】 図1のズームレンズの長焦点距離端における
諸収差図である。
【図5】 実施例1のズームレンズの第4aレンズ群と第4
bレンズ群との間隔を0.5mm短縮した状態における短焦点
距離端におけるレンズ断面図である。
【図6】 図5のズームレンズの短焦点距離端における
諸収差図である。
【図7】 図5のズームレンズの中間焦点距離における
諸収差図である。
【図8】 図5のズームレンズの長焦点距離端における
諸収差図である。
【図9】 実施例1のズームレンズの最も像側に位置す
る平行平面板の厚さを1.0mm厚くし、そのときに生じる
ピント移動を第4aレンズ群と第4bレンズ群との間隔を短
縮して補正した状態における短焦点距離端におけるレン
ズ断面図である。
【図10】 図9のズームレンズの短焦点距離端におけ
る諸収差図である。
【図11】 図9のズームレンズの中間焦点距離におけ
る諸収差図である。
【図12】 図9のズームレンズの長焦点距離端におけ
る諸収差図である。
【図13】 実施例2にかかるズームレンズの短焦点距
離端におけるレンズ断面図である。
【図14】 図13のズームレンズの短焦点距離端におけ
る諸収差図である。
【図15】 図13のズームレンズの中間焦点距離におけ
る諸収差図である。
【図16】 図13のズームレンズの長焦点距離端におけ
る諸収差図である。
【図17】 実施例2のズームレンズの第4aレンズ群と
第4bレンズ群との間隔を0.5mm短縮した状態における短
焦点距離端におけるレンズ断面図である。
【図18】 図17のズームレンズの短焦点距離端におけ
る諸収差図である。
【図19】 図17のズームレンズの中間焦点距離におけ
る諸収差図である。
【図20】 図17のズームレンズの長焦点距離端におけ
る諸収差図である。
【図21】 実施例2のズームレンズの最も像側に位置
する平行平面板の厚さを1.0mm厚くし、そのときに生じ
るピント移動を第4aレンズ群と第4bレンズ群との間隔を
短縮して補正した状態における短焦点距離端におけるレ
ンズ断面図である。
【図22】 図21のズームレンズの短焦点距離端におけ
る諸収差図である。
【図23】 図21のズームレンズの中間焦点距離におけ
る諸収差図である。
【図24】 図21のズームレンズの長焦点距離端におけ
る諸収差図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−11314(JP,A) 特開 平2−123315(JP,A) 特開 昭60−90318(JP,A) 特開 昭61−182012(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 9/00 - 17/08 G02B 21/02 - 21/04 G02B 25/00 - 25/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】物体側より順に、変倍時に固定の正のパワ
    ーを有する第1レンズ群と、変倍機能を有し変倍に伴っ
    て移動する負のパワーを有する第2レンズ群と、焦点位
    置の補償機能を有し変倍に伴って移動する負のパワーを
    持つ第3レンズ群と、結像機能を有し変倍時に固定の正
    のパワーを有する第4レンズ群とが配列して構成され、
    前記第4レンズ群は、第4レンズ群中、レンズ間隔最大
    カ所で2つに分割した時物体側から順に正のパワーを有
    する第4aレンズ群と正のパワーを有する第4bレンズ群と
    が配列して構成され、前記第4bレンズ群は、物体側から
    順に、正レンズ、負レンズ、正レンズの3枚が配列して
    構成され、前記第4bレンズ群を光軸方向に移動させるこ
    とによってピント調整を行い、かつ、以下の条件を満た
    すことを特徴とするズームレンズ。 0.20 < m < 0.70 …(1) 0.40 < f4a / f4b < 0.79 …(2) 0.90 < f4b / f4p < 1.50 …(3) -2.10 < f4b / f4n < -1.20 …(4) ただし m : 第4bレンズ群の横倍率 f4a : 第4aレンズ群の焦点距離 f4b : 第4bレンズ群の焦点距離f4p : 第4bレンズ群の正の第1レンズの焦点距離 f4n : 第4bレンズ群の負の第2レンズの焦点距離
  2. 【請求項2】 請求項1記載のズームレンズにおいて、
    さらに以下の条件を満たすことを特徴とするズームレン
    ズ。 1.00 < ΣI4b < 5.00 …(5) ただし ΣI4b : 第4bレンズ群の球面収差係数の和
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