JP3087255B2 - 低域通過フィルタを用いたディジタル・アクチュエータ制御装置 - Google Patents
低域通過フィルタを用いたディジタル・アクチュエータ制御装置Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録装置のディジタ
ル・アクチュエータ制御装置に係り、特にディジタル制
御特有の折り返し歪みの影響を低減するディジタル・ア
クチュエータ制御装置に係る。
ル・アクチュエータ制御装置に係り、特にディジタル制
御特有の折り返し歪みの影響を低減するディジタル・ア
クチュエータ制御装置に係る。
【0002】
【従来の技術】磁気記録装置、特にハード・ディスク・
ドライブ(HDD)のアクチュエータ制御では、ヘッド
・サスペンションの機械共振に起因する折り返し歪みが
問題となる。これを解決するため、従来は、共振点に合
わせてアナログ・ノッチ・フィルタを入れることが一般
に行われている。共振周波数が常に一定であれば問題は
ないが、実際には共振周波数はある程度変動し、そのた
めノッチ・フィルタの特性と合わなくなることがある。
従って、通常のノッチ・フィルタを用いた方法では、ヘ
ッド・サスペンションの共振モードを厳しく管理する必
要があり、コスト及び品質の面で問題があった。
ドライブ(HDD)のアクチュエータ制御では、ヘッド
・サスペンションの機械共振に起因する折り返し歪みが
問題となる。これを解決するため、従来は、共振点に合
わせてアナログ・ノッチ・フィルタを入れることが一般
に行われている。共振周波数が常に一定であれば問題は
ないが、実際には共振周波数はある程度変動し、そのた
めノッチ・フィルタの特性と合わなくなることがある。
従って、通常のノッチ・フィルタを用いた方法では、ヘ
ッド・サスペンションの共振モードを厳しく管理する必
要があり、コスト及び品質の面で問題があった。
【0003】1990年8月発行のIBM Techn
ical DisclosureBulletin 第
33巻、第3A号、222〜223頁は、通常のノッチ
・フィルタの代わりに楕円フィルタを用いることを提案
している。楕円フィルタの最大の特長は位相遅れを最小
化することにあるが、ゼロにできるわけではない。共振
周波数の変動が大きい場合にも問題があり、またコスト
も通常のノッチ・フィルタに比べて高くなる。この文献
には、低域通過フィルタはサーボのゼロdBクロスオー
バー周波数(ZCF)において極めて大きな位相シフト
を起こすため、低域通過フィルタの使用は一般には考慮
されないということが述べられている。
ical DisclosureBulletin 第
33巻、第3A号、222〜223頁は、通常のノッチ
・フィルタの代わりに楕円フィルタを用いることを提案
している。楕円フィルタの最大の特長は位相遅れを最小
化することにあるが、ゼロにできるわけではない。共振
周波数の変動が大きい場合にも問題があり、またコスト
も通常のノッチ・フィルタに比べて高くなる。この文献
には、低域通過フィルタはサーボのゼロdBクロスオー
バー周波数(ZCF)において極めて大きな位相シフト
を起こすため、低域通過フィルタの使用は一般には考慮
されないということが述べられている。
【0004】ディジタル制御の面では、米国特許第43
98228号のように、サンプリング周波数と機械共振
周波数を一致させることによって機械共振の影響をなく
すことも提案されている。サンプリング周波数はディス
クの回転速度やセクタ数によって一義的に決るため、実
際には共振周波数をサンプリング周波数に合わせること
になるが、共振周波数を一定に保つのは難しい。
98228号のように、サンプリング周波数と機械共振
周波数を一致させることによって機械共振の影響をなく
すことも提案されている。サンプリング周波数はディス
クの回転速度やセクタ数によって一義的に決るため、実
際には共振周波数をサンプリング周波数に合わせること
になるが、共振周波数を一定に保つのは難しい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
方法では、ヘッド・サスペンションの共振モードを厳し
く管理する必要があり、コスト、品質の面で問題があっ
た。
方法では、ヘッド・サスペンションの共振モードを厳し
く管理する必要があり、コスト、品質の面で問題があっ
た。
【0006】従って本発明の目的は、ヘッド・サスペン
ションの共振モード管理に余裕がとれるディジタル・ア
クチュエータ制御装置を提供することにある。
ションの共振モード管理に余裕がとれるディジタル・ア
クチュエータ制御装置を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、簡単な構成で機械共
振の問題を解決できるディジタル・アクチュエータ制御
装置を提供することにある。
振の問題を解決できるディジタル・アクチュエータ制御
装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に従うディジタル
・アクチュエータ制御装置は、従来は不適当とされてい
た低域通過フィルタ(LPF)をディジタル・アナログ
変換器とパワー・アンプの間に挿入して高周波帯のゲイ
ンを落すことにより、ディジタル制御特有の折り返し歪
みの影響を低減する。このようなLPFは、高周波のみ
ならず低域の周波数特性にも大きな影響を及ぼすので、
本発明では、ナイキスト周波数よりも低い低周波領域に
おける影響をディジタル的に補償する手段を用いる。こ
れにより、ナイキスト周波数よりも高い高周波領域にお
ける機械共振の問題を解決することができる。
・アクチュエータ制御装置は、従来は不適当とされてい
た低域通過フィルタ(LPF)をディジタル・アナログ
変換器とパワー・アンプの間に挿入して高周波帯のゲイ
ンを落すことにより、ディジタル制御特有の折り返し歪
みの影響を低減する。このようなLPFは、高周波のみ
ならず低域の周波数特性にも大きな影響を及ぼすので、
本発明では、ナイキスト周波数よりも低い低周波領域に
おける影響をディジタル的に補償する手段を用いる。こ
れにより、ナイキスト周波数よりも高い高周波領域にお
ける機械共振の問題を解決することができる。
【0009】
【実施例】本発明によるディジタル・アクチュエータ制
御装置の構成を図1に示す。これは、ヘッド・サスペン
ション機構及びヘッド移動用直流モータ(ボイス・コイ
ル・モータが代表的である)を含むアクチュエータ1
0、該アクチュエータ10を駆動するパワー・アンプ
(PA)12、アクチュエータ10からのヘッド位置を
示す信号y(t)をディジタル信号に変換するアナログ・
ディジタル変換器(ADC)14、ディジタル位置信号
に応答してヘッドを所望位置に移動するための制御信号
を発生するマイクロプロセッサ16、マイクロプロセッ
サ16からのディジタル制御信号をアナログ制御信号u
(t)に変換するディジタル・アナログ変換器(DAC)
18、並びにDAC18とパワー・アンプ12の間に挿
入されたアナログ低域通過フィルタ(LPF)20で構
成される。従来は、LPF20のところにノッチ・フィ
ルタを接続していたが、前述のような問題があったた
め、本発明はそれに替えてLPFを使用し、更にLPF
のカットオフ周波数からナイキスト周波数までのゲイン
低下をディジタル的に補償する手段を設ける。
御装置の構成を図1に示す。これは、ヘッド・サスペン
ション機構及びヘッド移動用直流モータ(ボイス・コイ
ル・モータが代表的である)を含むアクチュエータ1
0、該アクチュエータ10を駆動するパワー・アンプ
(PA)12、アクチュエータ10からのヘッド位置を
示す信号y(t)をディジタル信号に変換するアナログ・
ディジタル変換器(ADC)14、ディジタル位置信号
に応答してヘッドを所望位置に移動するための制御信号
を発生するマイクロプロセッサ16、マイクロプロセッ
サ16からのディジタル制御信号をアナログ制御信号u
(t)に変換するディジタル・アナログ変換器(DAC)
18、並びにDAC18とパワー・アンプ12の間に挿
入されたアナログ低域通過フィルタ(LPF)20で構
成される。従来は、LPF20のところにノッチ・フィ
ルタを接続していたが、前述のような問題があったた
め、本発明はそれに替えてLPFを使用し、更にLPF
のカットオフ周波数からナイキスト周波数までのゲイン
低下をディジタル的に補償する手段を設ける。
【0010】次に、図2〜図4を参照しながら、図1の
ディジタル・アクチュエータ制御装置の動作原理につい
て説明する。図2〜図4は何れもアクチュエータ10を
含む制御対象の周波数特性を示したもので、縦軸にゲイ
ン、横軸に周波数(対数目盛)をとってある。図2はL
PF20を含まない場合の特性であり、制御対象が2階
積分の系の場合、−12dB/octの減衰特性を示
す。更に、機械共振に起因する周波数特性のピークがナ
イキスト周波数fNよりも高い高周波領域に生じてい
る。
ディジタル・アクチュエータ制御装置の動作原理につい
て説明する。図2〜図4は何れもアクチュエータ10を
含む制御対象の周波数特性を示したもので、縦軸にゲイ
ン、横軸に周波数(対数目盛)をとってある。図2はL
PF20を含まない場合の特性であり、制御対象が2階
積分の系の場合、−12dB/octの減衰特性を示
す。更に、機械共振に起因する周波数特性のピークがナ
イキスト周波数fNよりも高い高周波領域に生じてい
る。
【0011】図3は、カットオフ周波数がfcのLPF
20を図1のように挿入した場合の特性を示している。
本実施例では、LPF20は一次フィルタであり、従っ
て図2の特性曲線(図3に点線で示してある)に対し、
更に−6dB/octの減衰特性を示す。合計すると、
カットオフ周波数fc以上の周波数領域においては−1
8dB/octの減衰特性になる。高周波領域にある機
械共振によるピークもこの減衰を受けるが、それより低
い低周波領域のゲインもLPF20の挿入によって減衰
するため、本発明はカットオフ周波数fcからナイキス
ト周波数fNまでのロスをディジタル的に補償し、ナイ
キスト周波数未満の領域においては元の特性が現れるよ
うにする。この様子を図4に示す。図示のように、ナイ
キスト周波数fNよりも低い、すなわちディジタル制御
が及ぶ周波数領域における特性は、実質的に図2の特性
と同じであり、ナイキスト周波数よりも高い高周波領域
のみが大きく減衰されている。
20を図1のように挿入した場合の特性を示している。
本実施例では、LPF20は一次フィルタであり、従っ
て図2の特性曲線(図3に点線で示してある)に対し、
更に−6dB/octの減衰特性を示す。合計すると、
カットオフ周波数fc以上の周波数領域においては−1
8dB/octの減衰特性になる。高周波領域にある機
械共振によるピークもこの減衰を受けるが、それより低
い低周波領域のゲインもLPF20の挿入によって減衰
するため、本発明はカットオフ周波数fcからナイキス
ト周波数fNまでのロスをディジタル的に補償し、ナイ
キスト周波数未満の領域においては元の特性が現れるよ
うにする。この様子を図4に示す。図示のように、ナイ
キスト周波数fNよりも低い、すなわちディジタル制御
が及ぶ周波数領域における特性は、実質的に図2の特性
と同じであり、ナイキスト周波数よりも高い高周波領域
のみが大きく減衰されている。
【0012】LPF20のカットオフ周波数fcは、高
周波領域のピーク部分が十分に減衰されるように設定す
る必要がある。機械共振が生じる周波数にもよるが、L
PF20が一次フィルタの場合、fcはナイキスト周波
数fNの1/5〜1/20程度が望ましい。より低いカ
ットオフ周波数では低周波領域におけるロスをディジタ
ル的に補償し切れないおそれがあり、またカットオフ周
波数を高くし過ぎるとピークの減衰が不十分になる。二
次以上の高次フィルタではカットオフ周波数を高くでき
るが、ディジタル制御の最適設計が複雑になる。実用上
は一次フィルタで十分である。
周波領域のピーク部分が十分に減衰されるように設定す
る必要がある。機械共振が生じる周波数にもよるが、L
PF20が一次フィルタの場合、fcはナイキスト周波
数fNの1/5〜1/20程度が望ましい。より低いカ
ットオフ周波数では低周波領域におけるロスをディジタ
ル的に補償し切れないおそれがあり、またカットオフ周
波数を高くし過ぎるとピークの減衰が不十分になる。二
次以上の高次フィルタではカットオフ周波数を高くでき
るが、ディジタル制御の最適設計が複雑になる。実用上
は一次フィルタで十分である。
【0013】次に、LPF20の挿入による低周波領域
のロスをディジタル的に補償する最適設計手法について
説明する。この補償を含むディジタル制御は、マイクロ
プロセッサ16で実現するのが好ましいが、後述するよ
うに独立したディジタル補償回路を設けることも可能で
ある。なお、以下の説明において「低周波領域」とはナ
イキスト周波数よりも低いディジタル制御が可能な周波
数領域を意味するものとする。
のロスをディジタル的に補償する最適設計手法について
説明する。この補償を含むディジタル制御は、マイクロ
プロセッサ16で実現するのが好ましいが、後述するよ
うに独立したディジタル補償回路を設けることも可能で
ある。なお、以下の説明において「低周波領域」とはナ
イキスト周波数よりも低いディジタル制御が可能な周波
数領域を意味するものとする。
【0014】低周波領域では、アクチュエータは2階積
分の系となっているため、時定数aのLPFを含む制御
対象の伝達関数f(s)は
分の系となっているため、時定数aのLPFを含む制御
対象の伝達関数f(s)は
【数1】 となる。数1において、bは入力ゲイン、cは出力ゲイ
ンである。実際には、幾つかの共振モードが存在する
が、それらの周波数はナイキスト周波数よりも高いの
で、ここでは共振モードを無視する。数1を時刻tにお
ける状態方程式で示すと数2のようになり、出力方程式
は数3のようになる。
ンである。実際には、幾つかの共振モードが存在する
が、それらの周波数はナイキスト周波数よりも高いの
で、ここでは共振モードを無視する。数1を時刻tにお
ける状態方程式で示すと数2のようになり、出力方程式
は数3のようになる。
【数2】
【数3】
【0015】数2及び数3中のx∧(t)、x"(t)等は
ヘッド位置x(t)の一次微分(速度)、二次微分(加速
度)等を表している。数2のu(t)は時刻tにおける制
御対象の入力(DAC18の出力)であり、数3のy
(t)は時刻tにおける制御対象の出力(ADC14の入
力)である。数3から明らかなように、y(t)は時刻t
におけるヘッドの位置x(t)に比例しており、cが1で
あればy(t)=x(t)となる。ヘッド位置は、アクチュ
エータの角度を周期T(=1/2fN)でサンプリング
することにより検出できる。DAC18の出力であるu
(t)はマイクロプロセッサ16からのディジタル出力を
アナログ変換したものであるが、図5に示すように、マ
イクロプロセッサ16には演算時間遅れτが存在するた
め、これを考慮して数2及び数3をサンプリング周期T
で離散化すると次のようになる。
ヘッド位置x(t)の一次微分(速度)、二次微分(加速
度)等を表している。数2のu(t)は時刻tにおける制
御対象の入力(DAC18の出力)であり、数3のy
(t)は時刻tにおける制御対象の出力(ADC14の入
力)である。数3から明らかなように、y(t)は時刻t
におけるヘッドの位置x(t)に比例しており、cが1で
あればy(t)=x(t)となる。ヘッド位置は、アクチュ
エータの角度を周期T(=1/2fN)でサンプリング
することにより検出できる。DAC18の出力であるu
(t)はマイクロプロセッサ16からのディジタル出力を
アナログ変換したものであるが、図5に示すように、マ
イクロプロセッサ16には演算時間遅れτが存在するた
め、これを考慮して数2及び数3をサンプリング周期T
で離散化すると次のようになる。
【数4】
【数5】
【0016】数4の右辺における係数A1は3行3列の
正方行列であり、係数B1およびB2はいずれも3要素
の列ベクトルである。数2の右辺における3行3列の係
数をAとおくと、A1は次式で表せる。
正方行列であり、係数B1およびB2はいずれも3要素
の列ベクトルである。数2の右辺における3行3列の係
数をAとおくと、A1は次式で表せる。
【数6】A1=exp(AT)
【0017】また、数2の右辺における3要素(0 0
b)の列ベクトルをBとおくと、係数B1及びB2は
次式で表せる。
b)の列ベクトルをBとおくと、係数B1及びB2は
次式で表せる。
【数7】
【数8】
【0018】数6の右辺は、
【数9】 のように展開できるから、これを解析的に解くと次のよ
うな結果が得られる。
うな結果が得られる。
【数10】
【0019】列ベクトルB1は、その3つの要素を上か
ら順にb11、b21、b31とすると次のようになる。
ら順にb11、b21、b31とすると次のようになる。
【数11】
【数12】
【数13】
【0020】同じく列ベクトルB2は、その3つの要素
を上から順にb12、b22、b32とすると次のようにな
る。
を上から順にb12、b22、b32とすると次のようにな
る。
【数14】
【数15】
【数16】
【0021】実際のサーボ系は積分器を含んでいるの
で、ディジタル積分項vを用いて数4及び数5を書き直
すと次のようになる。
で、ディジタル積分項vを用いて数4及び数5を書き直
すと次のようになる。
【数17】
【数18】
【0022】あとは、これに公知の最適制御理論(例え
ばLQ法)を適用して、フィードバック・ゲインを求め
ればよい。その際、ヘッドの位置、速度及び加速度をそ
れぞれ表す状態変数x(i)、x∧(i)及びx"(i)のう
ち、直接観測できるのはx(i)のみであるから、残りの
x∧(i)及びx"(i)はカルマン・フィルタ等の状態推
定器を用いて推定することになる。本発明を実際のサー
ボ系に適用した場合の開ループ及び閉ループのボード線
図を図6に示す。この例では、サンプリング周波数は4
680Hz、演算時間遅れτは100μsである。30
0Hzの開ループ帯域幅で約30度の位相マージンおよ
び−6dBのゲイン・マージンが得られる。閉ループ曲
線は、ナイキスト周波数(=2340Hz)よりも高い
帯域において高周波ゲインが大幅に減衰していることを
示している。このように、数1に基づく制御対象を最適
制御するようにディジタル制御系を設計すると、高周波
領域における機械共振によるピークが十分に減衰され且
つカットオフ周波数fcからナイキスト周波数fNまで
のロスを補償した系が得られる。
ばLQ法)を適用して、フィードバック・ゲインを求め
ればよい。その際、ヘッドの位置、速度及び加速度をそ
れぞれ表す状態変数x(i)、x∧(i)及びx"(i)のう
ち、直接観測できるのはx(i)のみであるから、残りの
x∧(i)及びx"(i)はカルマン・フィルタ等の状態推
定器を用いて推定することになる。本発明を実際のサー
ボ系に適用した場合の開ループ及び閉ループのボード線
図を図6に示す。この例では、サンプリング周波数は4
680Hz、演算時間遅れτは100μsである。30
0Hzの開ループ帯域幅で約30度の位相マージンおよ
び−6dBのゲイン・マージンが得られる。閉ループ曲
線は、ナイキスト周波数(=2340Hz)よりも高い
帯域において高周波ゲインが大幅に減衰していることを
示している。このように、数1に基づく制御対象を最適
制御するようにディジタル制御系を設計すると、高周波
領域における機械共振によるピークが十分に減衰され且
つカットオフ周波数fcからナイキスト周波数fNまで
のロスを補償した系が得られる。
【0023】設計手法としては、上述の状態フィードバ
ック法以外にも、数4及び数5から伝達関数を求め、古
典的手法で系を安定化させるなどの方法も可能である。
何れにしても、設計したディジタル制御系はマイクロプ
ロセッサで実現するのが好ましいが、マイクロプロセッ
サでの制御アルゴリズムを従来のまま(数1において1
/(s + a) を含まない形)にしておいて、LPFの挿
入によるロスを、別に設けたディジタル・フィルタで補
償することも可能である。その例を図7に示す。
ック法以外にも、数4及び数5から伝達関数を求め、古
典的手法で系を安定化させるなどの方法も可能である。
何れにしても、設計したディジタル制御系はマイクロプ
ロセッサで実現するのが好ましいが、マイクロプロセッ
サでの制御アルゴリズムを従来のまま(数1において1
/(s + a) を含まない形)にしておいて、LPFの挿
入によるロスを、別に設けたディジタル・フィルタで補
償することも可能である。その例を図7に示す。
【0024】図7において、マイクロプロセッサ16と
DAC18の間に接続されているディジタル・フィルタ
22は、図3に示したようなロスを補償するように設計
する。LPF20を一次フィルタとすると、そのカット
オフ周波数fcからナイキスト周波数fNにかけての−
6dB/octの減衰を補償するためには、ディジタル
・フィルタ22にそれと逆の特性、すなわちfcからf
Nにかけて+6dB/octの割合で増加する周波数特
性を持たせればよい。その伝達関数をディジタル制御に
適したz変換の形で表すと次のようになる。
DAC18の間に接続されているディジタル・フィルタ
22は、図3に示したようなロスを補償するように設計
する。LPF20を一次フィルタとすると、そのカット
オフ周波数fcからナイキスト周波数fNにかけての−
6dB/octの減衰を補償するためには、ディジタル
・フィルタ22にそれと逆の特性、すなわちfcからf
Nにかけて+6dB/octの割合で増加する周波数特
性を持たせればよい。その伝達関数をディジタル制御に
適したz変換の形で表すと次のようになる。
【数19】f(z) = 1 + az−1
【0025】以上、本発明の良好な実施例について説明
してきたが、本発明はこれに限られるものではなく、様
々な変形が可能である。例えば、ディジタル制御の設計
がやや複雑になるが、LPF20を二次以上の高次フィ
ルタにしてもよい。高周波領域におけるピークの減衰を
より大きくしたければ、本発明を従来のノッチ・フィル
タと併用すればよい。そうすれば、ヘッド・サスペンシ
ョンの共振モード管理に更に余裕がとれる。ノッチ・フ
ィルタを併用する場合は、DAC18とLPF20の間
に接続するのが望ましい。ただ、LPFだけにすると、
実際問題として高々コンデンサ1個の追加で済むので、
併用しなければコスト的に有利となる。
してきたが、本発明はこれに限られるものではなく、様
々な変形が可能である。例えば、ディジタル制御の設計
がやや複雑になるが、LPF20を二次以上の高次フィ
ルタにしてもよい。高周波領域におけるピークの減衰を
より大きくしたければ、本発明を従来のノッチ・フィル
タと併用すればよい。そうすれば、ヘッド・サスペンシ
ョンの共振モード管理に更に余裕がとれる。ノッチ・フ
ィルタを併用する場合は、DAC18とLPF20の間
に接続するのが望ましい。ただ、LPFだけにすると、
実際問題として高々コンデンサ1個の追加で済むので、
併用しなければコスト的に有利となる。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、従来の機械共振対策に
比べて共振モードの管理に余裕をとることができ、また
LPFはコンデンサ1個で構成することができるので、
ノッチ・フィルタに比べてコスト面でも有利である。
比べて共振モードの管理に余裕をとることができ、また
LPFはコンデンサ1個で構成することができるので、
ノッチ・フィルタに比べてコスト面でも有利である。
【図1】本発明の良好な実施例を示すブロック図。
【図2】ナイキスト周波数fNよりも高い高周波領域に
機械共振によるピークが生じている周波数特性の一例を
示すグラフ。
機械共振によるピークが生じている周波数特性の一例を
示すグラフ。
【図3】カットオフ周波数がfcの低域通過フィルタ
(LPF)を挿入しただけの周波数特性を示すグラフ。
(LPF)を挿入しただけの周波数特性を示すグラフ。
【図4】LPFの挿入による低周波領域のロスをディジ
タル的に補償した後の周波数特性を示すグラフ。
タル的に補償した後の周波数特性を示すグラフ。
【図5】演算時間遅れτがある場合のディジタル・アナ
ログ変換器出力を示すグラフ。
ログ変換器出力を示すグラフ。
【図6】本発明を実際に適用した場合のアクチュエータ
制御系の周波数応答の例を示すグラフ。
制御系の周波数応答の例を示すグラフ。
【図7】本発明の他の実施例を示すブロック図。
10 アクチュエータ 12 パワー・アンプ(PA) 14 アナログ・ディジタル変換器(ADC) 16 マイクロプロセッサ 18 ディジタル・アナログ変換器(DAC) 20 低域通過フィルタ(LPF) 22 補償用ディジタル・フィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小野 裕幸 神奈川県藤沢市桐原町1番地 日本ア イ・ビー・エム株式会社 藤沢事業所内 (56)参考文献 特開 昭62−109272(JP,A) 特開 昭64−67779(JP,A) 特開 昭62−124683(JP,A)
Claims (6)
- 【請求項1】 磁気ディスク装置のディジタル・アクチュ
エータ制御装置であって、ヘッド・サスペンション及びモータを有する アクチュエ
ータと、 前記アクチュエータを駆動するパワー・アンプと、 前記アクチュエータからのヘッド位置信号をディジタル
信号に変換するアナログ・ディジタル変換器と、 前記ディジタル信号を受け取って、ヘッドの位置を制御
するための、前記アクチュエータへのディジタル制御信
号を発生するディジタル制御手段と、 前記ディジタル制御信号をアナログ信号に変換するディ
ジタル・アナログ変換器と、 前記ディジタル・アナログ変換器と前記パワー・アンプ
の間に接続され、前記アクチュエータの機械共振による
ピークを減衰させるための低域通過フィルタとを具備
し、 前記ディジタル制御手段は、前記低域通過フィルタの挿
入によるロスのうち、所定の周波数より低い周波数のロ
スをディジタル的に補償する手段を含む、 ディジタル・アクチュエータ制御装置。 - 【請求項2】 前記低域通過フィルタのカットオフ周波数
は、ナイキスト周波数よりも高い周波数領域におけるピ
ークを十分に減衰させるように設定される、請求項1に
記載のディジタル・アクチュエータ制御装置。 - 【請求項3】 前記低域通過フィルタは一次フィルタであ
り、前記カットオフ周波数が前記ナイキスト周波数の1
/5乃至1/20に設定されている、請求項2に記載の
ディジタル・アクチュエータ制御装置。 - 【請求項4】 前記低域通過フィルタは二次以上の高次フ
ィルタである、請求項2に記載のディジタル・アクチュ
エータ制御装置。 - 【請求項5】 前記ディジタル制御手段は、前記ナイキス
ト周波数よりも低い周波数領域におけるロスを補償す
る、請求項2乃至4のうちの1つに記載のディジタル・
アクチュエータ制御装置。 - 【請求項6】 前記ディジタル制御手段は前記低域通過フ
ィルタとは逆の特性を持ったディジタル・フィルタであ
る、請求項5に記載のディジタル・アクチュエータ制御
装置。
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1991
- 1991-12-18 JP JP03333788A patent/JP3087255B2/ja not_active Expired - Fee Related
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