JP3085554U - 上 着 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 上着の総裏タイプの裏地の見栄え、保温の機
能性を上げて、裏地による上着の商品的付加価値を上げ
る。 【解決手段】 上着１の後身頃２に全面的に裏地を付け
た総裏タイプの裏地１０であって、後身頃背・肩部分を
キルティング地１１で構成し、このキルティング地１１
の裏地と後身頃背・腰部分の裏地１２を一体とする。キ
ルティング地１１の裏地と裏地１２を合わせた全体の裏
地１０の見栄えは、裏地１０上部のキルティング地１１
が裏地全体の外観を引き締めて気品のある落ち着いたも
のにしてフォーマルスーツなどの上着に適合させる。さ
らにキルティング地１１が上着１を着た人の肩、背を温
かく包んでスポーツジャケットなどの上着にも適合させ
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案はフォーマルスーツ、ビジネススーツ、カジュアルジャケット、スポー ツジャケット、ブレザーなどの上着に係り、特に裏地形態に特徴がある上着に関 する。

【０００２】

【従来の技術と課題】

紳士用上着の着心地と見栄えを良くする裏地は、上着の裏側に全面的に装着し た総裏（フル・ライニング）タイプと、上着の後身頃の背・腰部分の裏地をカッ トした背抜きタイプに大別される。前者総裏タイプの裏地は、上着の裏側の見栄 えを落ち着いた気品のあるものにするなどの理由からフォーマルスーツやビジネ ススーツの上着に多く適用されているが、上着の軽量仕立てに難がある。後者背 抜きタイプの裏地は、上着の軽量仕立てに有効であるなどの理由からスポーツジ ャケットやブレザーに多用されるが、仕立てによっては上着の裏側の見栄え、品 位を損ねることがあって特にフォーマルスーツの上着には不評である。

【０００３】 また、上着の裏地は上着（表地）との間に断熱空気層を形成して上着の保温性 を良好にする機能も重要であり、この保温性を高めた裏地としてキルティング地 の裏地がある。キルティング地の裏地は、一枚のポリエステル布などの裏地に綿 や羽毛などの保温素材を縫合したものや、二枚の裏地で保温素材を挟んで縫合し たもので、これは軽量で保温性に優れることから特にスキーウェアーなどのスポ ーツウェアーの裏地として多用されている。しかし、キルティング地の裏地は保 温素材を縫合した格子状などの縫目の凹凸や模様が、裏地を見た人や触れた人に スポーティな感覚や感触を与える反面、見栄えと品位に欠ける印象も与える。そ のため、キルティング地の裏地はスポーツウェアーやカジュアルジャケットの裏 地として実用的で普及しているが、フォーマルスーツやビジネススーツの裏地と して普及しにくい。実際、フォーマルスーツやビジネススーツの上着の裏地は、 ポリエステル布などの一枚布の総裏タイプが主流であり、このような裏地はキル ティング地に比べ上着の保温性に劣る。

【０００４】 本考案の目的とするところは、見栄えよく保温性に優れた実用的付加価値の高 い裏地を備えた上着を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は上記目的を達成するため、後身頃の裏面全体に裏地を有する上着にお いて、裏地の後身頃背・肩部分をキルティング地で構成したことを特徴とする。

【０００６】 ここでの裏地の後身頃背・肩部分とは、上着の後身頃の上衿線と肩線で囲まれ る横長の部分で、この部分の裏地だけをキルティング地で構成して他の大部分を 通常の一枚布の裏地で構成する。キルティング地は裏地に保温素材を縫合して構 成され、このキルティング地の裏地は後身頃背・肩部分以外の他の裏地と一体で 、キルティング地の裏地を含む全体の裏地は上着の裏側に全面的に装着された総 裏タイプの裏地の見栄えを呈して、上着の裏側の見栄えを気品のある落ち着いた ものにする。また、後身頃背・肩部分のキルティング地は上着を着用した人の背 中上部と肩部分を暖かく包むことから、人はキルティング地総裏タイプのスポー ツウェアーを着たような暖かさを感じる。

【０００７】 このような一部がキルティング地の裏地の縫製は、一枚の裏地の一部にだけ保 温素材を縫合してキルティング構造とするか、単独に縫製されたキルティング地 の裏地に、別の一枚布の裏地を縫合して一体化する（請求項２）ことで行えばよ い。

【０００８】

【考案の実施の形態】

以下、実施の形態を図１乃至図３を参照して説明する。

【０００９】 図１に左右一対の前身頃を開いた上着１を示すと、同図の上着１は後身頃２と 前身頃３、及び、見返し４と袖５、上衿６を有する。この上着１は、後身頃２の 裏面前面に裏地１０を付けた総裏タイプで、裏地１０は後身頃２の上部である背 ・肩部分を構成するキルティング地１１と、後身頃２の背・肩部分を除く背・腰 部分の裏地１２で構成される。以下、上下の裏地１０と１２を区別するために必 要に応じて前者裏地１０を全体裏地１０、後者裏地１２を部分裏地１２と称する 。なお、図１及び図２に示される部分裏地１２は、後身頃２の裏面に付けている が、通常のジャケット類と同様に前身頃３や袖５の裏側にも形成したものであっ てもよい。

【００１０】 キルティング地１１はポリエステル布やキュプラ布のような滑りがよくて着心 地のよい布（裏地）の裏面に綿、羽毛などの保温素材を縫合したもので、これの 全体形状を図２に示す。図２は上着１の裏面側の展開図で、後身頃２の上端中央 部の上衿線２１と上部両端の肩線２２で囲まれる横長略台形の後身頃背・肩部分 ｍに同形のキルティング地１１が部分裏地１２と共に縫製される。部分裏地１２ はキルティング地１１の裏地と同一生地である。図３に示すようにキルティング 地１１の裏地と部分裏地１２は別体で、独自に縫製されたキルティング地１１の 裏地に部分裏地１２が一体に縫合されて全体裏地１０が形成される。

【００１１】 図１の上着１は、従来同様に前身頃工程、見返し工程、後身頃工程、そして、 上衿工程と袖工程を経て縫製され、後身頃工程で全体裏地１０が縫合される。な お、上記のように総裏タイプの全体裏地１０をキルティング地１１の裏地と部分 裏地１２に分けておいて、必要時に両裏地を縫合して一体化する縫製方法の他に 、図示しないが一枚の裏地の一部をキルティング加工してキルティング地にし、 残りを一枚布の部分裏地とすることも可能であるが、この後者縫製方法に比べ前 者縫製方法のほうが手間が少なくて量産性に優れる。

【００１２】 図１に示すように上着１の見返し４を開いて全体裏地１０を見ると、これは総 裏タイプの裏地の見栄えを呈して総裏タイプ特有の見栄えがよくて気品を備え、 フォーマルスーツやビジネススーツの上着の裏地として優れる。また、既存の総 裏タイプの裏地面は、全体がポリエステル布などの一枚布の光沢面で、光沢面ゆ えの見栄えや気品に優れるが、それ以上の見栄え上の効果が期待できないのに対 し、図１の全体裏地１０はその上部のキルティング地１１の縫目１３が目立たな いが人の目を引くアクセントとなる。つまり、全体裏地１０の上部に格子状や斜 め格子状に形成された縫目１３は裏地色と同色であまり目立たないが、その目立 たない縫目１３が地味な裏地面にあるとかえって人の目を引き、見た人に落ち着 いた気品のある、さらに、力強さを感じさせる裏地面として写る。そのため、例 えばスーツ販売店などで上着１を手にして裏側を見た人は、既存の総裏タイプの 裏地にないキルティング地１１を見て上着１に興味をそそられ、上着１について 店員に質問したくなり、購買意欲が増大するようになる。

【００１３】 また、上着１を着た人の背中の上部と両肩部分を保温性のよいキルティング地 １１が包むため、人は背中上部と肩部分が暖かくなる。通常のスーツなどの上着 を着て寒く感じ始めるのは背中部分であり、この寒く感じ始める背中部分をキル ティング地１１で保温することで、人はキルティング地による総裏地のスポーツ ウェアーを着たような暖かさを感じることになり、上着１がフォーマルスーツや ビジネススーツに限らずカジュアルジャケット、スポーツジャケット、ブレザー などの上着にも好適となる。

【００１４】

【考案の効果】

本考案によれば、裏地の後身頃背・肩部分をキルティング地で構成して他の大 部分を裏地素材で構成したので、裏地全体の見栄えがキルティング地の部分的な アクセント効果で気品のある落ち着いたものとなり、かつ、裏地の部分的なキル ティング地が見た人の注意を引くなどして上着の商品的付加価値を上げる効果が ある。また、裏地の後身頃背・肩部分のキルティング地は上着を着用した人の背 中上部と肩部分を暖かく包んで、総裏タイプの裏地を有する上着の実用価値を上 げる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施の形態を示す上着の見返しを開いた状態の
正面図である。

【図２】図１の上着の裏側の展開図である。

【図３】図１の上着の裏地の分解正面図である。

【符号の説明】

１ 上着 ２ 後身頃 ｍ 後身頃背・肩部分 ３ 前身頃 ４ 見返し ５ 袖 ６ 上衿 １０ 裏地（全体裏地） １１ キルティング地 １２ 裏地（部分裏地） １３ 縫目

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 後身頃の裏面全体に裏地を有する上着に
   おいて、前記裏地の後身頃背・肩部分がキルティング地
   であることを特徴とする上着。
2. 【請求項２】 キルティング地を構成する裏地と、これ
   と別体の裏地を縫合し一体化して後身頃全体の裏地とし
   た請求項１記載の上着。