JP3084245U - イカ利用カレー食品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のイカめしにおいて固定観念化されてい
た食感と風味を超越し、新規な風味、良好な呈色、およ
び利用時の利便性を有するイカめし状形状のイカ利用カ
レー食品を提供する。 【解決手段】 炊爨された米２と、切断されたイカの脚
３と、カレーソースとを少なくとも含む混合物１を、内
臓を除去したイカの胴肉５の内部に充填して成形物と
し、該成形物を調味液を用いて加熱処理する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案はイカ利用カレー食品に係り、特に、カレーソースとイカおよび米飯を 合わせ用いることにより、新規な風味、柔軟な食感、および良好な呈色を提供し 、さらに利用時の利便性を提供する、イカめし状形状のイカ利用カレー食品に関 する。

【０００２】

【従来の技術】

日本人が最も多く食する水産資源の一つであるイカの利用例として、内臓を除 去したイカの胴肉の内部に生米あるいは炊爨した米を充填し、調味液中で煮沸し て作る、イカめしがある。イカめしは、加熱されたイカ肉の旨味および弾力性と 破断性を併せ持つ食感、炊爨された米の風味および質感と粘性、そして醤油を主 体とした調味とが調和した食品である。

【０００３】 しかしながら、イカめしの調味は従来醤油を主体とする和食的範疇の風味のも のであり、風味の点において固定観念化していた。したがって、形状がイカめし 状をとりつつも、風味や食感が従来のイカめしの固定観念を超越したイカ利用食 品は、従来存在しなかった。しかし、このようなイカ利用食品が新規に考案され れば、イカの付加価値が増し、大量に漁獲されかつ安価な食材であるイカの利用 拡大、消費拡大を図ることができるとともに、食生活をさらに豊かにすることも できる。

【０００４】 また、イカ胴肉内部に充填する米が生米の場合は、生米を加熱するための煮沸 処理に長時間を要し、一方炊爨した米の場合は、米に調味液を均一に浸透させる ための煮沸処理にやはり長時間を要する。このため従来のイカめしは、イカ胴肉 も内部の米も強い色調の暗褐色に着色され、食品として必ずしもイメージの良好 な呈色であるとは言い難かった。

【０００５】 そのためもあってか、イカめしを輪切りにして内部の米を露呈せしめた形態で 包装または収容した商品も従来なく、利用者は利用時に自らこれを包丁等で切断 して食さなくてはならず、利便性に改良すべき点があった。

【０００６】 また上記理由により、生米、炊爨した米いずれを充填する場合も、充填後の長 時間の煮沸処理により、イカ胴肉および充填された米の堅さが増加する。したが って、歯による破断や咀嚼がしにくくなり、イカの愛好者は老若男女を問わず多 数に及ぶにも拘わらず、高齢者等歯の弱い者にとっては利用しにくいという欠点 があり、かつこのような食感における特徴が、イカめしの属性として固定観念化 してもいた。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の課題は、上記従来技術の欠点に鑑み、従来のイカめしにおいて固定観 念化されていた食感と風味を超越し、新規な風味、良好な呈色、および利用時の 利便性を有するイカめし状形状のイカ利用カレー食品を提供することである。

【０００８】 さらに本考案の他の課題は、 歯による破断や咀嚼がしやすく、高齢者等歯の 弱い者にとっても利用しやすい、柔軟な食感のイカめし状形状のイカ利用カレー 食品を提供することである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するための手段として、本願で実用新案登録請求される考案は 以下のとおりである。 （１）炊爨された米と、切断されたイカの脚と、カレーソースとを少なくとも含 む混合物が、内臓を除去したイカの胴肉の内部に充填されて成形物となっており 、該成形物が調味液を用いて加熱処理されていることを特徴とする、イカ利用カ レー食品。

【００１０】 （２）炊爨された米と、切断されたイカの脚と、カレーソースとを少なくとも含 む、予め加熱調理された混合物が、内臓を除去したイカの胴肉の内部に充填され て成形物となっており、該胴肉が調味液を用いて加熱処理されていることを特徴 とする、イカ利用カレー食品。

【００１１】 （３）（１）または（２）のイカ利用カレー食品が輪切りされた輪切り物が、内 部にある前記混合物が露呈した状態で包装されたまたは容器に収容された、輪切 り済みイカ利用カレー食品。

【００１２】

【考案の実施の形態】 【構成】

以下、本考案を図面によりさらに詳細に説明する。 図１は、本考案のイカ利用カレー食品の概略構成を説明する斜視図である。図 において、請求項１の考案に係るイカ利用カレー食品は、炊爨された米２と、切 断されたイカの脚３と、およびカレーソース（図示せず）とを少なくとも含む混 合物１と、該混合物１が内部に充填された、内臓を除去したイカの胴肉５とから なる成形物であって、該成形物が調味液を用いて加熱処理されたものである構成 を有する。

【００１３】 また、図１において請求項２の考案に係るイカ利用カレー食品は、炊爨された 米２と、切断されたイカの脚３と、およびカレーソース（図示せず）とを少なく とも含む、予め加熱調理された混合物１と、該混合物１が内部に充填されていて 、調味液を用いて加熱処理されている、内臓を除去したイカの胴肉５とから、主 として構成されている。

【００１４】 図２は、請求項３に係る輪切り済みイカ利用カレー食品における該輪切り物の 列置の例を示した斜視図である。図において、請求項３の考案に係る輪切り済み イカ利用カレー食品の形態は、前記混合物１と前記イカの胴肉５からなる該輪切 り物６が列置した状態であり、図示しない包装資材により包装され、または図示 しない容器に収容されている。該輪切り物６において該胴肉５は、皮部７と肉部 ８からなり、前記混合物１と該肉部８は露呈した状態で列置される。また、該輪 切り物６の幅は、図においてＡで示されている。

【００１５】 図３は、前記輪切り物６の一の形状を示した説明図である。該輪切り物６内部 には、前記カレーソースの寄与する粘性等により容易に疎散または流動しない前 記混合物１が充填されている。

【００１６】 本考案においては、米は生米ではなく、炊爨されたものを用いる。米の種類は ウルチ米が望ましいが、それ以外の種類であっても炊爨できるものであれば適宜 使用することができ、その種類により本考案が限定されるものではない。また炊 爨は、米を米飯として食することができる状態にできる処理である限り、あらゆ る方法をとることができる。

【００１７】 脚を切断して前記混合物１を構成するために用いるイカも、該混合物１を充填 する胴肉用として用いるイカも、イカの種類やサイズを問わず用いることができ る。また、イカは、生でも冷凍物を解凍したものでも、加熱調理を経ていないも のである限り、用いることができる。

【００１８】 前記混合物１を構成する前記切断されたイカの脚３の大きさや形状は、前記炊 爨された米２や前記カレーソースとの混合物を構成することができるものである 限り、特に限定せず用いることができる。また該イカの脚３の加熱調理は、たと えば切断したイカの脚を油で炒める等の方法を採ることができるが、該混合物１ を前記イカの胴肉５の内部に充填する際に既に加熱調理されているものである限 り、その方法を問わず用いることができる。

【００１９】 カレーソースは、カレー粉あるいはカレー粉を構成する香辛料を含んだ液体、 流動体または半流動体状の調味料であれば、すべてこれに該当する。カレーソー スは、ルーを用いたカレールーでも、ルーを用いないものでもよく、また、動物 性あるいは植物性の各種の食材や香辛料、調味料等を適宜選択し、あるいは組み 合わせて用い、調合することができる。また、カレーソースの加熱調理は、カレ ーソース単独の蒸煮等の加熱処理、他の構成物とともにする加熱処理のいずれを も含む。

【００２０】 前記混合物１には、野菜類等副材料（図示せず）を含むことができる。該副材 料は、野菜類としては、たとえばタマネギ、ピーマン、ニンニク等があるが、種 類はこれらに限定されず、また、これらを単独で用いても、適宜組み合わせて用 いてもよい。その他該副材料としては、野菜類に加えて、動物性や植物性の各種 の食材、あるいは胡椒等の香辛料、塩等の調味料等を適宜含むことができる。

【００２１】 前記カレーソースの加熱調理が、たとえば炒め等のように蒸発水分量の多い方 法で行われる場合は、該カレーソースの含む水分が、前記混合物１における各構 成物間の結着を失わない程度に残存するように、加熱調理が行われる。

【００２２】 前記混合物１における混合と加熱調理は、たとえば、切断されたイカの脚３、 野菜類等副材料、炊爨された米２、カレーソースの順に、各構成物を炒めながら 順次混合することにより行われるが、係る順序や加熱方法、混合する構成物の構 成、または混合方法に限定されず、該混合物１をイカの胴肉５内部に充填する際 に、該混合物１の各構成物が既に加熱処理されているものである限り、混合と加 熱調理の方法はいかなる方法でもよい。

【００２３】 前記炊爨された米２、切断されたイカの脚３、カレーソース、および野菜類等 副材料による混合物における各構成物の混合比率は、混合物を単独で静置した場 合に容易に流動しないものである限り、いかなる比率も用いることができる。

【００２４】 前記混合物の充填された前記イカの胴肉５は、必要に応じその開口部を閉塞し て、調味液を用いて加熱処理される。調味液は、たとえば、通常のイカめし製造 において用いられる、醤油、砂糖、みりん等による構成の他、酒類、ダシ汁、魚 介類エキス、化学調味料、液糖、甘味料、香辛料、その他を、適宜用いることが できる。

【００２５】 調味液は、前記充填された混合物１に対する調味をせずに、前記イカの胴肉５ が調味され、かつ加熱されるのに充分な量のみを用いることとすることができる 。またこの場合加熱処理は、たとえば該調味液による煮熟により行うが、蒸煮等 他の方法でもよい。加熱の程度は、たとえば７５〜９０℃で１０分間程度の煮熟 など、該イカの胴肉５が堅くなり過ぎないように適度に調味加熱されれば、処理 は充分である。

【００２６】 前記輪切り物の幅Ａは、たとえば１〜３ｃｍとすることができるが、これに限 定されるものではない。また、一の前記成形物あたりの前記輪切り物６の数は、 図３の例においては８個だが、これに限定されるものではない。

【００２７】 前記輪切り物とした本考案のイカ利用カレー食品の包装または容器への収容は 、たとえば真空包装により行うことができるが、これに限定されない。真空包装 の場合は、食品の真空包装に用いられる公知の真空包装用資材および公知の真空 包装技術を適宜選択して行われる。

【００２８】

【作用効果】

本考案のイカ利用カレー食品においては、前記混合物１には香辛料を含む前記 カレーソースが含まれているため、該混合物１の香味にカレー風味を加え、また は該混合物１の香味をカレー風味とすることができる。これにより、イカめし状 形状をとりながら、従来のイカめしにおいて固定観念化されていた風味を超越し た新規なる風味が得られる。

【００２９】 前記混合物１における前記切断されたイカの脚３の添加は、前記炊爨された米 ２の有する粘性のある食感とは異なる、弾力性と破断性に特徴のある食感を付与 し、該混合物１全体の食感は少なくとも二種類の食感から構成され、一種類のみ による場合の単調さと異なり、複雑さを呈する。また、イカの脚の有する旨味が 、該混合物１に良好な風味を付与する。これにより、イカめし状形状をとりなが ら、従来のイカめしにおいて固定観念化されていた食感と風味を超越した新規な る食感と風味が得られる。

【００３０】 また、請求項２の考案においては、前記炊爨された米２と、切断されたイカの 脚３と、およびカレーソースは、それぞれ予め加熱調理されているため、これら による前記混合物１は、改めて加熱処理を施す必要がない。すなわち、該混合物 １を充填する前記イカの胴肉５の加熱は、該イカの胴肉５の調味液を用いた加熱 処理が充分に達せられれば、それ以上の加熱処理は不要である。したがって、該 混合物１および該イカの胴肉５は、過剰な加熱処理による堅さの増加が抑制され たものとすることができる。これにより、歯による破断や咀嚼がしやすく、高齢 者等歯の弱い者にとっても利用しやすくなる。

【００３１】 前記カレーソースは、前記混合物１に混合され前記イカの胴肉５に充填される 際においても、各構成物を結着させるのに充分な粘性を有するため、本考案のイ カ利用食品を切断した場合でも、該混合物１の各構成物が容易に疎散されること がない。また、加熱による適度な水分の蒸発は流動性を低下させるため、該混合 物１は単独で静置された場合でも容易に流動しない。これにより、製品の形態的 な安定性および良好な取り扱い性が確保される。

【００３２】 請求項３の考案に係る輪切り済みイカ利用カレー食品は、カレーソースにより 、特徴のある黄褐色系に呈色した前記混合物１と、白色系に呈色した前記肉部８ が露呈した状態で列置されるため、内容物が皮部と同様の暗褐色系を呈する従来 のイカめしと比較して、露呈せしめた場合の視覚的効果が加わる。すなわち本考 案のイカ利用カレー食品は、輪切りにし列置させて、内容物である該混合物１を 露呈せしめることにより、内在する特徴を視覚的に顕在化し、本考案のイカ利用 カレー食品の価値を広告宣伝するという効果が得られる。

【００３３】 請求項３のイカ利用カレー食品は、既に輪切りにされた状態で利用者に提供 されるため、利用者は利用に際し、これを改めて包丁等で切断する必要がなく、 利用時の利便性を有する。

【００３４】 請求項３のイカ利用カレー食品は、輪切りされた状態において、前記カレーソ ースが寄与する粘性のため、該混合物１の各構成物が容易に疎散されることがな い。また、加熱による適度な水分の蒸発は流動性を低下させるため、該混合物１ は単独で静置された場合でも容易に流動しない。したがって利用時には、疎散や 流動を伴わずに利用することができる。

【００３５】

【実施例】

以下、本考案の実施例について述べる。なお本考案は以下の実施例に限定され るものではない。

【００３６】

【実施例１】 みじん切りにした生スルメイカの脚２４重量部とタマネギ１５重量部とピーマ ン７重量部を、フライパンで混ぜながら油で炒め、これにウルチ米を炊爨した米 飯５６重量部、および塩と胡椒を少々混ぜてさらに炒めた。これに、香辛料、野 菜類、肉類、その他の材料により調製したカレーソースを３８重量部加えてさら に炒め、容易に疎散されない程度に個々の材料が結着した混合物とした。

【００３７】 該混合物を、頭部と脚部、および内臓を除去した生スルメイカの胴肉６０重量 部の内部に充填し、開口部をつまようじで閉塞して成形物とした。該成形物を、 胴肉の一方の片面側のみが浸漬される程度の量の調味液を入れた鍋に入れ、８５ ℃で５分間煮熟した。次いで、胴肉の他方の片面側を同様に調味液に浸漬して、 同様に煮熟した。該調味液の組成は、醤油２０重量部、スープ２０重量部、砂糖 １０重量部、みりん７重量部、化学調味料３重量部、水４０重量部とした。

【００３８】 得られたイカ利用カレー食品は、これを切って食したところ、胴肉も、内部に 充填された混合物も、従来のイカめしと比較して歯による破断や咀嚼がしやすく 、柔軟な食感を有するものであった。さらに、カレーソースによる香味は従来の イカめしにおいて固定観念化されていた風味を超越し、充填されたイカの脚の呈 する食感および旨味と相俟って、新規なイカ利用食品を実現するものであった。 また、切っても、充填された混合物が疎散されることなく形状を保ち、製品、商 品として充分な形態の安定性と良好な取り扱い性を有するものであった。

【００３９】

【実施例２】 実施例１で調製したイカ利用カレー食品を、包丁で約２ｃｍの幅に輪切りにし 、混合物が露呈するように輪切り物相互をずらして列置し、これを真空包装用袋 を用いて真空包装した。

【００４０】 得られた輪切り済みイカ利用カレー食品は、露呈した混合物がカレーソース特 有の黄褐色を呈し、白色を呈する胴肉の肉部と相俟って、良好な呈色であった。 また、フォーク等で輪切り物を刺衝した場合も、箸で挟持した場合も、中の混合 物は疎散したり流動したりせず、手を汚さずに容易に口まで運ぶことができた。

【００４１】

【実施例３】 混合物として、賽の目に切ったホタテ貝柱を６重量部、シバエビを６重量部加 え、イカの脚を１２重量部とした他は、実施例１と同様にして調製した。

【００４２】 ホタテ貝柱とシバエビの添加により、シーフードカレー風の味わいが大きくな って、本考案のイカ利用カレー食品に高級感が加わるものとなった。

【００４３】

【考案の効果】

本考案のイカ利用カレー食品によれば、イカめし状形状をとりながら、従来の イカめしにおいて固定観念化されていた食感と風味を超越した新規な風味、良好 な呈色が得られる。

【００４４】 さらに、輪切り済みイカ利用カレー食品においては、利用時の利便性が得られ 、視覚的に商品価値を広告宣伝できる。また、歯による破断や咀嚼がしやすく、 高齢者等歯の弱い者にとっても利用しやすい柔軟な食感が得られるという効果が ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のイカ利用カレー食品の概略構成を説明
する斜視図。

【図２】本考案の輪切り物の列置状態の一例を説明する
斜視図。

【図３】本考案の輪切り物の一の形状の例を示す説明
図。

【符号の説明】

１…混合物、２…炊爨された米、３…切断されたイカの
脚、５…イカの胴肉、６…輪切り物、７…胴肉の皮部、
８…胴肉の肉部、Ａ…輪切り物の幅

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 炊爨された米と、切断されたイカの脚
   と、カレーソースとを少なくとも含む混合物が、内臓を
   除去したイカの胴肉の内部に充填されて成形物となって
   おり、該成形物が調味液を用いて加熱処理されているこ
   とを特徴とする、イカ利用カレー食品。
2. 【請求項２】 炊爨された米と、切断されたイカの脚
   と、カレーソースとを少なくとも含む、加熱調理された
   混合物が、内臓を除去したイカの胴肉の内部に充填され
   て成形物となっており、該胴肉が調味液を用いて加熱処
   理されていることを特徴とする、イカ利用カレー食品。
3. 【請求項３】 請求項１または２に記載のイカ利用カレ
   ー食品が輪切りされた輪切り物が、内部にある前記混合
   物が露呈した状態で包装されたまたは容器に収容され
   た、輪切り済みイカ利用カレー食品。