JP3083764B2 - 冷凍機伝導冷却型超電導磁石装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は冷凍機伝導冷却型超電導
マグネット装置に関し、特に該装置における冷却ステー
ジと電流供給ライン及び高温超電導電流リードとの絶縁
固着手段に関する。

【０００２】

【従来の技術】図２は従来からの冷凍機伝導冷却型超電
導マグネット装置１の概略を示す一部縦断面図であっ
て、真空容器（クライオスタット）２の天板３に蓄冷式
２段冷凍機４を設置し、該冷凍機４の第２冷却シリンダ
５ｂ先端部の第２段冷却ステージ６ｂには超電導コイル
７が取付けられている。冷凍機４の第１段冷却シリンダ
５ａ先端部の第１段冷却ステージ６ａには蔽蓋８が取付
けられており、２ヶの高温超電導電流リード９ａ、９ｂ
の上端部は蔽蓋８に、下端部は第２段冷却ステージ６ｂ
にそれぞれ電気絶縁材料を介して取付けられている。そ
して、コップ状の熱シールド板１０内に前記超電導マグ
ネット７、第２冷却シリンダ５ｂ及び高温超電導電流リ
ード９ａ、９ｂが密封されるように該コップ状の熱シー
ルド板１０の上縁フランジ部１１が蔽蓋８に取付けられ
ている。このようにすることにより超電導コイルの冷却
効率を上げている。

【０００３】１２は電源、１３は常電導電流リードで高
温超電導電流リード９ａ、９ｂに接続されており、超電
導コイルに電流が供給されている。高温超電導電流リー
ド９ａ、９ｂと超電導マグネット７との接続部について
図３、図４を参照して説明する。図３は図２のＡ−Ａ線
断面詳細図、図４は図３のＢーＢ線縦断面図である。

【０００４】高温超電導電流リード９ａは底板１５を有
する電極１４に半田付されており、底板１５は絶縁板１
６絶縁ブッシュ１７を介して第２段冷却ステージ６ｂに
ボルト１８でネジ着けされている。１９は上面に凹溝２
０が刻設されている電流供給ラインで該電流供給ライン
１９も絶縁板１６ブッシュ１７を介して第２段冷却ステ
ージ６ｂにボルト１８でネジ着けされている。

【０００５】２１は超電導コイル端子で絶縁部材２２を
介して超電導コイル巻枠２３に非金属製ボルト２４でネ
ジ着けされている。２６はＮｂＴｉないしはＮｂＳｎ材
料の超電導線で先端部は前記電極１４の外周に巻回して
半田付されており、中間部は電流供給ライン１９の凹溝
２０に嵌入されており、超電導コイル端子２１表面に半
田付されて絶縁部材２２、巻枠２３に穿設した通孔を経
由して超電導コイル２５の一端に接続されている。な
お、超電導線２６の巻枠２３に接触する箇所は絶縁被覆
が施されている。そして、高温超電導電流リード９ｂ側
も前記したと同様の要領で超電導コイル２５の他端に接
続されており、電源１２から超電導コイル２５に電流が
供給される。

【０００６】なお、電極１４、電極底板１５、電流供給
ライン１９、超電導コイル端子２１、第２段冷却ステー
ジ６ｂの材料は通常熱及び電気の良導体である銅合金を
使用しており、ボルト１８は熱良導体である銅合金、Ｓ
ＵＳ等の金属製のボルトが使用されている。また、超電
導線や超電導コイルには超電導材がＮｉＴｉ線の場合は
フォルマルで３０μｍ厚さの絶縁被覆が、ＮｂＳｎ線の
場合はガラス繊維で絶縁被覆が施されている。

【０００７】しかして、前記した電極底板１５、電流供
給ライン１９を第２段冷却ステージ６ｂに絶縁板１６を
介してボルト付することにより、電極底板及び電流供給
ラインと第２段冷却ステージとを絶縁しながら該電極底
板１５と電流供給ライン１９を冷却しているが、従来、
この絶縁板１６の冷却性を向上させるために絶縁板の接
触面にグリスを塗着していた。

【０００８】ところが、電極底板１５及び電流供給ライ
ン１９を第２段冷却ステージ６ｂに固着する際、第２段
冷却ステージ６ｂのタップ穴に金属製のボルト１８を螺
着するとき金属製ボルト１８とタップ穴が擦れて金属粉
が発生する。そして、ボルト１８の締め直しの度に金属
粉が発生するので、金属粉がグリスに染み込みついには
電極底板１５ないしは電流供給ライン１９と第２段冷却
ステージ６ｂ間に絶縁破壊を起こし、超電導コイル２５
に電流を流すことができなくなり超伝導マグネットとし
て作動不能となるおそれがある。

【０００９】さらには、超伝導マグネットがクェンチ
（超電導状態が壊れること）したとき、金属粉がグリス
に染み込み、ボルト１８と電極底板１５間あるいはボル
ト１８と電流供給ライン１９間に放電現象が起こり、電
極底板１５ないしは電流供給ライン１９と第２段冷却ス
テージ６ｂ間に絶縁破壊を起こし、前記同様超電導コイ
ル２５に電流を流すことができなくなり超伝導マグネッ
トとして作動不能となる問題点があった。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】電極底板ないしは電流
供給ラインと冷却ステージ間に絶縁破壊を起こすことな
く、電極底板及び電流供給ラインを極低温（４Ｋ）まで
冷却できる電極底板、電流供給ラインと冷却ステージの
固着手段を目的とする。

【００１１】電極底板ないしは電流供給ラインを冷却ス
テージに固着する際、電極底板及び電流供給ラインの冷
却性を向上できる固着手段を目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】冷凍機伝導冷却型超電導
マグネット装置１の超電導コイル２５に接続する超電導
線２６を案内する電流供給ライン１９及び超電導電流リ
ードの電極底板１５を冷凍機４の冷却ステージ６ｂに絶
縁板１６を介してネジ止めするボルトを電気的絶縁性能
が高く、機械的強度の高い非金属製ボルト２７で構成し
たことを特徴とする。

【００１３】

【発明の実施の形態】図１は本発明にかかる電極底板１
５及び電流供給ライン１９と第２段冷却ステージ６ｂの
固着手段を示す。外観的には前記従来技術で詳述した図
４に示す従来構造と全く同一構造を呈しており、相違す
るところは、図４におけるボルト１８の材質だけであ
る。即ち、電極底板１５及び電流供給ライン１９を第２
段冷却ステージ６ｂに固着するのに電気的に絶縁性があ
り機械的強度のある非金属性材料からなるボルト２７を
使用している。

【００１４】上記ボルト２６の非金属製材料は、常温
（３００Ｋ）から極低温（４Ｋ）に冷却される箇所に使
用されるため非常に大きい熱収縮が起こる。したがつ
て、電気的絶縁性能の他に大きい熱収縮に耐えられる条
件が必要である。この条件を満たす材料として、ポリー
テルエーテルケトン材（ＰＥＥＫ材）が好適である。こ
の他に、テフロン、ナイロン、ＦＲＰ等の合成樹脂材料
も使用できる。絶縁ブッシュ１７は必ずしも必要でな
い。

【００１５】

【発明の効果】本発明では、電極底板及び電流供給ライ
ンを冷却ステージに固着するボルトを非金属製のボルト
２７を採用することにより、ボルトを冷却ステージのタ
ップ穴に螺合する際、金属粉が発生することがなく、従
来起こしていた絶縁破壊を回避することができるととも
に、従来超伝導マグネットがクェンチしたときに起こし
ていたボルトと電流供給ラインの放電事故が解消した。

【００１６】電流供給ラインや電極底板の材料は銅合金
を使用しているため、ボルトの締付け部が極低温まで冷
却されたとき、ボルトの材料が金属よりも非金属の方が
熱収縮が大きいので、電流供給ラインや電極底板を強力
に締め付ける結果、本発明の非金属製ボルトの採用によ
り、これら電流供給ライン、電極底板の冷却性を向上で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明にかかる主要部の部分縦断面図。

【図２】公知の冷凍機伝導冷却型超電導マグネツト装置
の概略を示す説明図。

【図３】図２のＡ−Ａ断面図。

【図４】図３のＢ−Ｂ断面詳細図。

【符号の説明】

１ 冷凍機伝導冷却型超電導マグネット装置 ２ 真空容器（クライオスタット） ３ 天板 ４ 蓄冷式冷凍機 ５ａ 第１冷却シリンダ ５ｂ 第２冷却シリンダ ６ａ 第１段冷却ステージ ６ｂ 第２段冷却ステージ ７ 超電導マグネット ８ 蔽蓋 ９ａ、９ｂ 高温超電導電流リード １０ 熱シールド板 １１ フランジ １２ 電源 １３ 常電導電流リード １４ 電極 １５ 電極底板 １６ 絶縁板 １７ 絶縁ブッシュ １８ 金属製ボルト １９ 電流供給ライン ２０ 凹溝 ２１ 超電導コイル端子 ２２ 絶縁部材 ２３ 超電導コイル巻枠 ２４ ボルト ２５ 超電導コイル ２６ 超電導線 ２７ 非金属製ボルト

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】冷凍機伝導冷却型超電導マグネット装置
   （１）の超電導コイル（２５）に接続する超電導線（２
   ６）を案内する電流供給ライン（１９）及び超電導電流
   リードの電極底板（１５）を冷凍機（４）の冷却ステー
   ジ（６ｂ）に絶縁板（１６）を介してネジ止めするボル
   トを非金属製ボルト（２７）で構成したことを特徴とす
   る冷凍機伝導冷却型超電導磁石装置。
2. 【請求項２】請求項１記載の非金属製ボルト（２７）は
   ポリエーテルエーテルケトン材で構成されていることを
   特徴とする請求項１記載の冷凍機伝導冷却型超電導磁石
   装置。