JP3082720U - 壁 - Google Patents

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JP3082720U JP2001003918U JP2001003918U JP3082720U JP 3082720 U JP3082720 U JP 3082720U JP 2001003918 U JP2001003918 U JP 2001003918U JP 2001003918 U JP2001003918 U JP 2001003918U JP 3082720 U JP3082720 U JP 3082720U
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 廃物ガラスなどの廃材を容易かつ有効に利用
できる壁材を得る。 【解決手段】 焼セッコウ、石灰および/または消石灰
の微粉末と、ガラス粒とを備えた壁材に関する。ガラス
粒が破砕粒であって、かつ、粒径が0.5mm 〜7.0mm のガ
ラスの破砕粒を壁材全体に対して5重量%以上添加す
る。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は壁材に関するものである。
【0002】
【従来の技術およびその欠点】
近年、環境上の問題から廃材のリサイクルが種々提案されている。 たとえば、特開平10─61059号には、防音壁にガラスの焼成粒を混入さ せている。しかし、廃物ガラスの焼成粒を製造するには、ガラスを高温で溶解す る必要があるので、新たな熱エネルギが必要になる。更に、1粒づつに分離する など、焼成粒を製造する設備が大がかりになる。 また、焼成粒は表面が滑らかであるため、十分な固着力が得られず、壁から焼 成粒が脱落し易い。
【0003】 したがって、本考案の目的は、廃物ガラスなどの廃材を容易かつ有効に利用で きる壁材を得ることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本考案の壁材は、水硬性無機結合材およびガラス の廃材を含んでいる。 すなわち、本考案の壁材は、廃物から得た焼セッコウ、石灰および/または消 石灰の微粉末と、廃物ガラス粒と、廃材から得た粒子径が0.9mm 以下の炭の粉状 物ないし粒状物とを備えている。前記ガラス粒は破砕粒で(摩砕したものを除く 、摩耗衝撃により角を除去したものを除く)、かつ、粒径が0.7mm 〜5.0mm の前 記ガラスの破砕粒が壁材全体に対して10重量%以上添加されていると共に、粒 径が3.0mm 〜5.0mm の破砕粒が含まれており、前記焼セッコウ、石灰および消石 灰とは異なる結合材を更に備えている。
【0005】 本考案においては、廃物ガラスの焼成粒ではなく破砕粒を用いている。そのた め、ガラスを昇温させる必要がないので、新たに多量のエネルギーを必要としな い。 また、破砕粒は表面に細かな凹凸があるので、結合材との接着性が良く、した がって、壁から脱落しにくい。
【0006】 本考案において、ガラスの粒径を0.7mm 以上とした理由は、粒径が0.7mm 未満 になると、ガラス粒の表面の傷が多くなって白濁化し、ガラスの持つ色彩や光沢 が完全に失われるからである。 一方、本考案において、ガラスの粒径を5.0mm 以下とした理由は、粒径が5.0m m を超えると、ガラスの焼成粒と差程変わらない程の色彩や光沢が残り、そのた め、壁の色調が派手になりすぎるからである。
【0007】 本考案の壁材には、0.7mm 〜5.0mm のガラスの破砕粒が添加されているので、 ガラスの持つ色彩や光沢が適度に発揮されるから、美しく、かつ、派手すぎない 色調の壁が得られる。
【0008】 また、本考案において、ガラスの破砕粒を壁全体の10重量%以上添加する必 要があるとした理由は、10重量%未満であると、添加できるガラスの量が少な すぎて廃物利用の目的を十分に達成し得ない上、ガラス粒による美観向上の機能 を発揮し得ないからである。
【0009】 本考案の壁材は、前記ガラス粒の他に、焼セッコウ、石灰および消石灰からな る群より選択された1以上の物質を含んでいる。これらの焼セッコウ(CaSO 4 の半水和物)、石灰または消石灰は、セッコウボードの廃材を破砕することに より得られ、廃材を利用できるばかりでなく、水硬性の無機結合材として作用す るからである。 なお、一般に、セッコウボードは焼セッコウを主成分とするものが多く、した がって、少なくとも焼セッコウを含んでいるのが好ましい。
【0010】 本考案においては、前記焼セッコウ、石灰または消石灰以外の結合材、特に、 無機結合材を主成分とする結合材を添加する。前記廃材から得た焼セッコウ等の みでは、十分な固結力が得られない場合が多いからである。 かかる観点から、前記焼セッコウ等以外の結合材100重量部に対し、ガラス の破砕粒の添加量を100重量部以下に設定するのが好ましい。 なお、無機系の結合材を用いることにより、化学物質による人体への悪影響の 発生を防止し得る。 なお、焼セッコウ以外の結合材としては、ポルトランドセメント、セッコウプ ラスターの他にコンビハネタイル((株)ハネダ化学製)(以下、「ハネタイル 」と略す。)などを用いることができる。 なお、ハネタイルは、特殊なセメントを主成分にした無機質粉体と凝固液を混 合して使用するポリマーセメント系結合材である。
【0011】 本考案においては、更に、炭の粉状物ないし粒状物を添加する。 周知のように、炭には、湿気や臭気を吸着する作用があるので、かかる炭を壁 材に添加することにより、当該室の湿気や臭気を吸着することができると共に保 温性が高まる。
【0012】 本考案に用いる炭の原料は、木、竹、草など種々のものを用いることができる が、住宅の廃材を用いるのが、環境上、最も好ましい。 炭を得る際の加熱分解や焼成の温度は、 300〜1200℃の範囲が好ましく、この 範囲内であれば熱分解時に生成する空隙が多いために、比表面積が大きく吸着性 能の高い炭素粉粒を得ることができる。加熱分解や焼成の温度が300 ℃未満であ ると炭化が不充分であり、また1200℃を越える温度で加熱分解や焼成を行うと、 炭素粉粒の収縮によって比表面積の低下を招いて吸着性能が低下するので好まし くない。
【0013】 本考案において、炭の平均粒径は0.9mm 以下に設定する。炭の粒径を小さく設 定することにより、炭を水に懸濁させ易くなって、スラリー状の壁材が得られる からである。また、炭の粒子は小さいので、ガラス粒の窪んだ表面にうまく入り 込んで、ガラス粒のまわりに大きな空隙が発生するのを防止するからである。か かる点から炭は、粒径が 300μm以下の粉状物にするのが好ましく、粒径が 100 μm以下の粉状物にするのが最も好ましい。
【0014】 なお、前記水硬性物質としては、「苦汁(ニガリ)」を添加してもよい。水硬 性物質としての「苦汁」は、炭を生成する際の廃熱と海水により得られるので、 コストが安い。かかる「苦汁」はMgCl2 やMgSO4 を主成分とするが、N aClを含んでいるので、鉄筋などを用いたビルの壁には用いない方が好ましい 。
【0015】 本壁材を屋内用として用いる場合には、合成樹脂の発泡体を添加するのが好ま しい。ガラスは硬く、また、比重が大きいのに対し、合成樹脂の発泡体を混入す ることで、屋内で子供や老人が壁に衝突した際にクッションを与えることができ る。また、ガラスは比重が大きく(2.2)、そのため、発泡体を添加することで、 軽量化して梁や柱への負荷を小さくすることができるからである。
【0016】 また、比重の大きいガラス粒に対し、比重の小さい合成樹脂の発泡体を混入す ることにより、壁の軽量化などを図り得るだけでなく、壁内部に密度の大きなバ ラツキが生じるので、音の拡散効果が著しく高くなると共に、発泡体で壁を柔ら かくすることにより共振を防止する効果が得られる。したがって、マンションの 壁材として好適に用いることができる。
【0017】 かかる観点から、廃材以外の結合材100重量部に対し、合成樹脂の発泡体の 粒状物を0.1 重量部〜5.0 重量部添加するのが好ましい。 また、発泡体としては、ポリウレタンやポリスチレン(発泡スチロール)の発 泡体の廃材を用いるのが好ましい。また、発泡体は平均粒径2.0 〜4.0mm 程度の 発泡体を用いるのが好ましい。樹脂の発泡体を添加する場合、ガラスの破砕粒の 粒径は、 0.7mm〜 5.0mm程度に設定するのが好ましく、0.7mm 〜3.0mm 程度に設 定するのが最も好ましい。その理由は、ガラスの粒径が大きいと固まる前のガラ ス表面の固着力が小さく、比重の小さい発泡体がガラス粒を押し退けて浮き上が ろうとするからである。
【0018】 本考案の壁材は、内壁材および外壁材として用いることができる。内壁材とし ては、たとえば、本考案の壁材を水に混合し、セッコウボードの表面に塗ること で、壁紙クロスの代わりに用いることができる。一方、外壁材としては、コンク リートブロックで築いた壁の表面に塗ることにより、装飾用として用いることが できる。更に、本考案の壁材により、板状のパネルを形成してもよいし、あるい は、型枠内にスラリー状の壁材を流し込んで外壁を成形してもよい。
【0019】
【実施例】
以下、本考案の効果を明瞭にするために、本考案に含まれない試験例、ならび に、本考案の実施例を示す。 図1および図2の表に示す物質を各々、計量し、表中の重量とする。その後、 水にハネタイル用凝固液を所定量添加し数分間攪拌する。この混合液中に前記計 量した固形分(発泡スチロールを除く)を全体が混ざる様にトレー内で混合する 。表2の内壁材については、発泡スチロールの破砕粒を添加しながら更に混ぜる 。その後、コテでパネルの表面にスラリー状の壁材を塗布した。
【0020】 表中石膏等は、セッコウボードの廃材を破砕して得たもので、主成分は焼セッ コウであるが、石灰や消石灰が一部混入していると思われる。炭は木炭の微粉末 (粒径20μm〜80μm)を用いた。ガラス粒は、分粒しガラス粒小(粒径0.7 〜 3.0mm ),ガラス粒中(3.0 〜5.0mm ),ガラス粒大(5.0 〜7.0mm )の3つの グループに分けた。
【0021】 試験例1〜10については、全て、48時間以内に凝固した。外観的には、ガ ラス粒小を用いた試験例1〜5よりも、ガラス粒中や粒大を用いた試験例6〜7 の方がガラスによる美観が表面に表れていた。試験例4,9,10の結果からハ ネタイル100重量部に対し、ガラス粒を200重量部以上混入すると、凝固す るまでの時間が長くなることが分かる。
【0022】 試験例11〜19ならびに実施例についても、全て、48時間以内に凝固した 。これらの試験例11〜19ならびに実施例は、前記試験例1〜10に比べ、ク ッション性が認められたので、壁に衝突した際の衝撃が小さくなることが分かる と共に、防音効果があると推測される。
【0023】 試験例11は、試験例12〜19ならびに実施例に比べ凝固状態が極めて良好 であった。これはガラス粒の粒径が小さく、かつ、ガラス粒に対する発泡スチロ ールの添加量が少ないためであると推測される。したがって、合成樹脂の発泡体 の粒状物の添加量は、廃材以外の結合材100重量部に対し、2重量部以下とす るのが好ましい。
【0024】 試験例17〜19の結果から、発泡体の添加量が少なくても、ガラス粒の粒径 が大きいと、凝固状態が悪くなることが分かる。
【0025】
【考案の効果】
請求項1の考案は、以下に説明するように、廃材を用いて形成した壁であるに もかかわらず美しい壁を形成し得ると共に、当該壁の美観を長く保持し得るもの である。
【0026】 まず、本考案はガラスの破砕粒を骨材として用いるのではなく、壁に色彩を付 与する素材として用いている。ここで、ガラスの破砕粒のうち、摩砕したものや 摩耗衝撃により角を除去したものを除いているのは、これらは表面に無数の傷が 付いており、光の乱反射により白濁化して、ガラス特有の光沢を完全に失ってし まうからである。 また、ガラスの破砕粒として、粒径が3.0mm 〜5.0mm の粒を含むように限定し ている。粒径が3.0mm よりも小さな砂状になるまで破砕したものは、ガラス特有 の光沢を十分に有しておらず、したがって、粒径が3.0mm 以上のものを添加して 有彩色とする必要があるからである。 このように、本考案はガラスの破砕粒のうち、特定の破砕粒に限定することで 、壁の美しい仕上り状態が期待できる。 しかし、ガラスの破砕粒を用いると、表面に凹凸が生じるので、この凹部に埃 、土、水分等が溜まり、そのため、カビが発生し、壁面の色が経時的に炭色に変 化する。したがって、何ら手段を施さないと、壁の美観が失われていく。そこで 、本考案は、壁材に炭を添加することにより、炭の殺菌力でカビの発生を防止し 、これにより、壁面の美観を長期的に維持することができる。 このように、本考案は、ガラスの破砕粒(摩砕したものを除く、摩耗衝撃によ り角を除去したものを除く。)と炭の粉状物ないし粒状物とを壁材に添加するこ とにより、美しい壁を形成し得ると共に、当該壁の美観を長く維持し得る。
【0027】 また、内壁材として用いると、ガラス粒は通常の壁材よりも比重が大きいので 、構造物に大きな負担を与えるが、請求項2の考案では、合成樹脂の発泡体を添 加することにより、壁材の比重を小さくして、構造物の負担を軽減している。 また、本考案ではガラス粒の美観を失わぬように、ガラス粒を摩砕しないため 、ガラス粒に角が残存するのであるが、発泡体により内壁に弾力性が生じるので 、ケガ等の発生を防止し得る。 このように、請求項2の考案は、ガラス粒の欠点を合成樹脂の発泡体で補って いる。 なお、発泡体を添加することで、断熱性や吸音性も向上する。
【提出日】平成13年7月30日(2001.7.30)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は壁に関するものである。
【0002】
【従来の技術およびその欠点】
近年、環境上の問題から廃材のリサイクルが種々提案されている。 たとえば、特開平10─61059号には、防音壁にガラスの焼成粒を混入さ せている。しかし、廃物ガラスの焼成粒を製造するには、ガラスを高温で溶解す る必要があるので、新たな熱エネルギが必要になる。更に、1粒づつに分離する など、焼成粒を製造する設備が大がかりになる。 また、焼成粒は表面が滑らかであるため、十分な固着力が得られず、壁から焼 成粒が脱落し易い。
【0003】 したがって、本考案の目的は、廃物ガラスなどの廃材を容易かつ有効に利用で きる壁を得ることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本考案の壁は、水硬性無機結合材およびガラスの 廃材を含んでいる。 すなわち、本考案の壁は、廃物から得た焼セッコウ、石灰および/または消石 灰の微粉末と、廃物ガラス粒と、廃材から得た粒子径が0.9mm 以下の炭の粉状物 ないし粒状物とを備えている。前記ガラス粒は破砕粒で(摩砕したものを除く、 摩耗衝撃により角を除去したものを除く)、かつ、粒径が0.7mm 〜5.0mm の前記 ガラスの破砕粒が壁全体に対して10重量%以上添加されていると共に、粒径が 3.0mm 〜5.0mm の破砕粒が含まれており、前記焼セッコウ、石灰および消石灰と は異なる結合材を更に備えている。
【0005】 本考案においては、廃物ガラスの焼成粒ではなく破砕粒を用いている。そのた め、ガラスを昇温させる必要がないので、新たに多量のエネルギーを必要としな い。 また、破砕粒は表面に細かな凹凸があるので、結合材との接着性が良く、した がって、壁から脱落しにくい。
【0006】 本考案において、ガラスの粒径を0.7mm 以上とした理由は、粒径が0.7mm 未満 になると、ガラス粒の表面の傷が多くなって白濁化し、ガラスの持つ色彩や光沢 が完全に失われるからである。 一方、本考案において、ガラスの粒径を5.0mm 以下とした理由は、粒径が5.0m m を超えると、ガラスの焼成粒と差程変わらない程の色彩や光沢が残り、そのた め、壁の色調が派手になりすぎるからである。
【0007】 本考案の壁には、0.7mm 〜5.0mm のガラスの破砕粒が添加されているので、ガ ラスの持つ色彩や光沢が適度に発揮されるから、美しく、かつ、派手すぎない色 調の壁が得られる。
【0008】 また、本考案において、ガラスの破砕粒を壁全体の10重量%以上添加する必 要があるとした理由は、10重量%未満であると、添加できるガラスの量が少な すぎて廃物利用の目的を十分に達成し得ない上、ガラス粒による美観向上の機能 を発揮し得ないからである。
【0009】 本考案の壁は、前記ガラス粒の他に、焼セッコウ、石灰および消石灰からなる 群より選択された1以上の物質を含んでいる。これらの焼セッコウ(CaSO4 の半水和物)、石灰または消石灰は、セッコウボードの廃材を破砕することによ り得られ、廃材を利用できるばかりでなく、水硬性の無機結合材として作用する からである。 なお、一般に、セッコウボードは焼セッコウを主成分とするものが多く、した がって、少なくとも焼セッコウを含んでいるのが好ましい。
【0010】 本考案においては、前記焼セッコウ、石灰または消石灰以外の結合材、特に、 無機結合材を主成分とする結合材を添加する。前記廃材から得た焼セッコウ等の みでは、十分な固結力が得られない場合が多いからである。 かかる観点から、前記焼セッコウ等以外の結合材100重量部に対し、ガラス の破砕粒の添加量を100重量部以下に設定するのが好ましい。 なお、無機系の結合材を用いることにより、化学物質による人体への悪影響の 発生を防止し得る。 なお、焼セッコウ以外の結合材としては、ポルトランドセメント、セッコウプ ラスターの他にコンビハネタイル((株)ハネダ化学製)(以下、「ハネタイル 」と略す。)などを用いることができる。 なお、ハネタイルは、特殊なセメントを主成分にした無機質粉体と凝固液を混 合して使用するポリマーセメント系結合材である。
【0011】 本考案においては、更に、炭の粉状物ないし粒状物を添加する。 周知のように、炭には、湿気や臭気を吸着する作用があるので、かかる炭を壁 材に添加することにより、当該室の湿気や臭気を吸着することができると共に保 温性が高まる。
【0012】 本考案に用いる炭の原料は、木、竹、草など種々のものを用いることができる が、住宅の廃材を用いるのが、環境上、最も好ましい。 炭を得る際の加熱分解や焼成の温度は、 300〜1200℃の範囲が好ましく、この 範囲内であれば熱分解時に生成する空隙が多いために、比表面積が大きく吸着性 能の高い炭素粉粒を得ることができる。加熱分解や焼成の温度が300 ℃未満であ ると炭化が不充分であり、また1200℃を越える温度で加熱分解や焼成を行うと、 炭素粉粒の収縮によって比表面積の低下を招いて吸着性能が低下するので好まし くない。
【0013】 本考案において、炭の平均粒径は0.9mm 以下に設定する。炭の粒径を小さく設 定することにより、炭を水に懸濁させ易くなって、スラリー状の壁材が得られる からである。また、炭の粒子は小さいので、ガラス粒の窪んだ表面にうまく入り 込んで、ガラス粒のまわりに大きな空隙が発生するのを防止するからである。か かる点から炭は、粒径が 300μm以下の粉状物にするのが好ましく、粒径が 100 μm以下の粉状物にするのが最も好ましい。
【0014】 なお、前記水硬性物質としては、「苦汁(ニガリ)」を添加してもよい。水硬 性物質としての「苦汁」は、炭を生成する際の廃熱と海水により得られるので、 コストが安い。かかる「苦汁」はMgCl2 やMgSO4 を主成分とするが、N aClを含んでいるので、鉄筋などを用いたビルの壁には用いない方が好ましい 。
【0015】 本壁を屋内用として用いる場合には、合成樹脂の発泡体を添加するのが好まし い。ガラスは硬く、また、比重が大きいのに対し、合成樹脂の発泡体を混入する ことで、屋内で子供や老人が壁に衝突した際にクッションを与えることができる 。また、ガラスは比重が大きく(2.2)、そのため、発泡体を添加することで、軽 量化して梁や柱への負荷を小さくすることができるからである。
【0016】 また、比重の大きいガラス粒に対し、比重の小さい合成樹脂の発泡体を混入す ることにより、壁の軽量化などを図り得るだけでなく、壁内部に密度の大きなバ ラツキが生じるので、音の拡散効果が著しく高くなると共に、発泡体で壁を柔ら かくすることにより共振を防止する効果が得られる。したがって、マンションの 壁と して好適に用いることができる。
【0017】 かかる観点から、廃材以外の結合材100重量部に対し、合成樹脂の発泡体の 粒状物を0.1 重量部〜5.0 重量部添加するのが好ましい。 また、発泡体としては、ポリウレタンやポリスチレン(発泡スチロール)の発 泡体の廃材を用いるのが好ましい。また、発泡体は平均粒径2.0 〜4.0mm 程度の 発泡体を用いるのが好ましい。樹脂の発泡体を添加する場合、ガラスの破砕粒の 粒径は、 0.7mm〜 5.0mm程度に設定するのが好ましく、0.7mm 〜3.0mm 程度に設 定するのが最も好ましい。その理由は、ガラスの粒径が大きいと固まる前のガラ ス表面の固着力が小さく、比重の小さい発泡体がガラス粒を押し退けて浮き上が ろうとするからである。
【0018】 本考案の壁を形成する壁材は、内壁材および外壁材として用いることができる 。内壁材としては、たとえば、本考案の壁を形成する壁材を水に混合し、セッコ ウボードの表面に塗ることで、壁紙クロスの代わりに用いることができる。一方 、外壁材としては、コンクリートブロックで築いた壁の表面に塗ることにより、 装飾用として用いることができる。更に、本考案の壁を形成する壁材により、板 状のパネルを形成してもよいし、あるいは、型枠内にスラリー状の壁材を流し込 んで外壁を成形してもよい。
【0019】
【実施例】
以下、本考案の効果を明瞭にするために、本考案に含まれない試験例、ならび に、本考案の実施例を示す。 図1および図2の表に示す物質を各々、計量し、表中の重量とする。その後、 水にハネタイル用凝固液を所定量添加し数分間攪拌する。この混合液中に前記計 量した固形分(発泡スチロールを除く)を全体が混ざる様にトレー内で混合する 。表2の内壁材については、発泡スチロールの破砕粒を添加しながら更に混ぜる 。その後、コテでパネルの表面にスラリー状の壁材を塗布した。
【0020】 表中石膏等は、セッコウボードの廃材を破砕して得たもので、主成分は焼セッ コウであるが、石灰や消石灰が一部混入していると思われる。炭は木炭の微粉末 (粒径20μm〜80μm)を用いた。ガラス粒は、分粒しガラス粒小(粒径0.7 〜 3.0mm ),ガラス粒中(3.0 〜5.0mm ),ガラス粒大(5.0 〜7.0mm )の3つの グループに分けた。
【0021】 試験例1〜10については、全て、48時間以内に凝固した。外観的には、ガ ラス粒小を用いた試験例1〜5よりも、ガラス粒中や粒大を用いた試験例6〜7 の方がガラスによる美観が表面に表れていた。試験例4,9,10の結果からハ ネタイル100重量部に対し、ガラス粒を200重量部以上混入すると、凝固す るまでの時間が長くなることが分かる。
【0022】 試験例11〜19ならびに実施例についても、全て、48時間以内に凝固した 。これらの試験例11〜19ならびに実施例は、前記試験例1〜10に比べ、ク ッション性が認められたので、壁に衝突した際の衝撃が小さくなることが分かる と共に、防音効果があると推測される。
【0023】 試験例11は、試験例12〜19ならびに実施例に比べ凝固状態が極めて良好 であった。これはガラス粒の粒径が小さく、かつ、ガラス粒に対する発泡スチロ ールの添加量が少ないためであると推測される。したがって、合成樹脂の発泡体 の粒状物の添加量は、廃材以外の結合材100重量部に対し、2重量部以下とす るのが好ましい。
【0024】 試験例17〜19の結果から、発泡体の添加量が少なくても、ガラス粒の粒径 が大きいと、凝固状態が悪くなることが分かる。
【0025】
【考案の効果】
請求項1の考案は、以下に説明するように、廃材を用いて形成した壁であるに もかかわらず美しい壁を形成し得ると共に、当該壁の美観を長く保持し得るもの である。
【0026】 まず、本考案はガラスの破砕粒を骨材として用いるのではなく、壁に色彩を付 与する素材として用いている。ここで、ガラスの破砕粒のうち、摩砕したものや 摩耗衝撃により角を除去したものを除いているのは、これらは表面に無数の傷が 付いており、光の乱反射により白濁化して、ガラス特有の光沢を完全に失ってし まうからである。 また、ガラスの破砕粒として、粒径が3.0mm 〜5.0mm の粒を含むように限定し ている。粒径が3.0mm よりも小さな砂状になるまで破砕したものは、ガラス特有 の光沢を十分に有しておらず、したがって、粒径が3.0mm 以上のものを添加して 有彩色とする必要があるからである。 このように、本考案はガラスの破砕粒のうち、特定の破砕粒に限定することで 、壁の美しい仕上り状態が期待できる。 しかし、ガラスの破砕粒を用いると、表面に凹凸が生じるので、この凹部に埃 、土、水分等が溜まり、そのため、カビが発生し、壁面の色が経時的に炭色に変 化する。したがって、何ら手段を施さないと、壁の美観が失われていく。そこで 、本考案は、壁材に炭を添加することにより、炭の殺菌力でカビの発生を防止し 、これにより、壁面の美観を長期的に維持することができる。 このように、本考案は、ガラスの破砕粒(摩砕したものを除く、摩耗衝撃によ り角を除去したものを除く。)と炭の粉状物ないし粒状物とを壁材に添加するこ とにより、美しい壁を形成し得ると共に、当該壁の美観を長く維持し得る。
【0027】 また、内壁材として用いると、ガラス粒は通常の壁材よりも比重が大きいので 、構造物に大きな負担を与えるが、請求項2の考案では、合成樹脂の発泡体を添 加することにより、壁材の比重を小さくして、構造物の負担を軽減している。 また、本考案ではガラス粒の美観を失わぬように、ガラス粒を摩砕しないため 、ガラス粒に角が残存するのであるが、発泡体により内壁に弾力性が生じるので 、ケガ等の発生を防止し得る。 このように、請求項2の考案は、ガラス粒の欠点を合成樹脂の発泡体で補って いる。 なお、発泡体を添加することで、断熱性や吸音性も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案にかかる外壁材の配合を示す図表であ
る。
【図2】同内壁材の配合を示す図表である。
【手続補正書】
【提出日】平成13年7月30日(2001.7.3
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【考案の名称】
【実用新案登録請求の範囲】
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案にかかる外壁材の配合を示す図表であ
る。
【図2】同内壁材の配合を示す図表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C04B 20:00 C04B 20:00 B 18:10 18:10 B 22:06 22:06 Z 18:20) 18:20)

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃物から得た焼セッコウ、石灰および/
    または消石灰の微粉末と、廃物ガラス粒と、廃材から得
    た粒子径が0.9mm 以下の炭の粉状物ないし粒状物とを備
    えた壁材であって、 前記ガラス粒が破砕粒で(摩砕したものを除く、摩耗衝
    撃により角を除去したものを除く)、かつ、粒径が0.7m
    m 〜5.0mm の前記ガラスの破砕粒が壁材全体に対して1
    0重量%以上添加されていると共に、粒径が3.0mm 〜5.
    0mm の破砕粒が含まれており、 前記焼セッコウ、石灰および消石灰とは異なる結合材を
    更に備えた壁材。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記焼セッコウ、石灰および消石灰とは異なる結合材1
    00重量部に対し、合成樹脂の発泡体の粒状物を0.1 重
    量部〜5.0 重量部混入した壁材。
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