JP3075818B2 - 消失性模型を用いた鋳造装置 - Google Patents

消失性模型を用いた鋳造装置

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JP3075818B2
JP3075818B2 JP03360035A JP36003591A JP3075818B2 JP 3075818 B2 JP3075818 B2 JP 3075818B2 JP 03360035 A JP03360035 A JP 03360035A JP 36003591 A JP36003591 A JP 36003591A JP 3075818 B2 JP3075818 B2 JP 3075818B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば、鋳枠内の乾
燥ケイ砂などの耐火粒子に消失性模型を埋設して、この
消失性模型を溶湯と置換させながら鋳込むような消失性
模型を用いた鋳造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、上述例の消失性模型を用いた鋳造
装置としては、例えば、特開昭60−162553号公
報に記載の装置がある。
【0003】すなわち、鋳枠内の下域に多孔板を配設し
て、この多孔板で上述の鋳枠内を下部の減圧室と上部の
造型室とに区画し、上述の多孔板上部の鋳枠内に耐火粒
子を充填し、この耐火粒子内に発泡ポリスチレン等の消
失性模型を埋設して、この消失性模型を溶湯と置換させ
ながら鋳込で、鋳造品を得る鋳造装置である。
【0004】しかし、上述の鋳造装置においては次のよ
うな問題点があった。つまり鋳造品の取出し工程時に上
述の鋳枠を反転処理することで、耐火粒子としての乾燥
ケイ砂の排出作業が行なわれていたので、多量の粉塵が
発生し、作業環境が悪化する問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明の請求項1記
載の発明は、鋳造後において粉塵を何等発生させること
なく耐火粒子を回収することができ、作業環境の大幅な
向上を図ることができると共に、耐火粒子の回収速度の
向上を図ることができる消失性模型を用いた鋳造装置の
提供を目的とする。
【0006】この発明の請求項2記載の発明は、上記請
求項1記載の発明の目的と併せて、耐火粒子の排出後に
鋳枠内の鋳物を調整冷却する手段を設けることで、耐火
粒子の排出直後から鋳物に対する調整冷却が可能とな
り、鋳物の金属組織の調整により、鋳物の強度向上を図
ることができる消失性模型を用いた鋳造装置の提供を目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1記載
の発明は、鋳枠内の耐火粒子に消失性模型を埋設し、該
模型を溶湯と置換させる消失性模型を用いた鋳造装置で
あって、上記鋳枠の下方に配設され、鋳造後の耐火粒子
を回収する回収タンクと、上記鋳枠の底部と上記回収タ
ンクとを接続する接続路と、上記接続路に配設されて、
該接続路を開閉する開閉手段と、上記耐火粒子の上記回
収タンクへの回収時に、該回収タンク内に真空圧を作用
させる吸引手段とを備えた消失性模型を用いた鋳造装置
であることを特徴とする。
【0008】この発明の請求項2記載の発明は、上記請
求項1記載の発明の構成と併せて、上記耐火粒子の排出
後に、上記鋳枠内の鋳物を調整冷却する調整冷却手段が
上記鋳枠に設けられた消失性模型を用いた鋳造装置であ
ることを特徴とする。
【0009】
【発明の効果】この発明の請求項1記載の発明によれ
ば、鋳造後において鋳枠内の耐火粒子を回収するには、
鋳枠と回収タンクとを接続する接続路に配設した開閉手
段で、該接続路を連通状態と成すと共に、吸引手段を駆
動して回収タンク内に真空圧を作用させると、上述の鋳
枠内の耐火粒子は真空圧による吸引力を受けながら接続
路を介して回収タンク内に高速回収される。
【0010】この結果、鋳造後において粉塵を何等外部
に発生させることなく乾燥ケイ砂などの耐火粒子を回収
することができ、作業環境の大幅な向上を図ることがで
きる効果があり、しかも真空圧による吸引力を作用させ
て回収することができるため、耐火粒子の回収速度の向
上を図ることができる効果がある。
【0011】この発明の請求項2記載の発明によれば、
上記請求項1記載の発明の効果と併せて、鋳枠内の鋳物
を調整冷却する調整冷却手段を設けたので、上述の回収
タンク内への耐火粒子の回収により鋳枠内の耐火粒子が
同鋳枠から排出されると同時に、この鋳枠内の鋳物に対
して調整冷却を実行することができ、この結果、鋳物の
早期冷却が可能となり、鋳物の金属組織の調整により、
鋳物の強度向上を図ることができる効果がある。
【0012】
【実施例】この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳
述する。図面は消失性模型を用いた鋳造装置を示し、図
1において、造型ステーションAと離型(いわゆるバラ
シ)ステーションBとの間に適宜搬送手段で搬送される
鋳枠1を設け、上述の造型ステーションAにおける鋳枠
1の上方にはサンドホッパ2を配設して、このサンドホ
ッパ2下部の複数の充填パイプ3,3から、消失性模型
4に直接耐火粒子としての乾燥ケイ砂5が当らないよう
に、上述の鋳枠1内に乾燥ケイ砂5を充填すべく構成し
ている。
【0013】また上述の離型ステーションBにおける鋳
枠1の下方には乾燥ケイ砂5を回収する回収タンク6を
設け、この回収タンク6には吸引パイプ7を接続すると
共に、この吸引パイプ7に微粉回収用のサイクロン8お
よび吸引手段としての真空ポンプ9を接続し、この真空
ポンプ9で、乾燥ケイ砂5の回収タンク6への回収時
に、該回収タンク6内に真空圧を作用させるように構成
している。
【0014】上述の離型ステーションBにおける鋳枠1
の上部には乾燥ケイ砂5の回収時に、鋳物10を保持す
るホルダ11を配設する一方、上述の回収タンク6内に
回収された乾燥ケイ砂5を前述のサンドホッパ2内へ還
流させる砂循環装置12を設けている。
【0015】この砂循環装置12は、上述の回収タンク
6底部と第1スクリュコンベア装置13の砂搬送始端と
を接続するフレキシブルチューブ14と、水平状に配設
された上述の第1スクリュコンベア装置13の砂搬送終
端から乾燥ケイ砂5を上方に搬送する第2スクリュコン
ベア装置15と、立設状に配設された上述の第2スクリ
ュコンベア装置15の砂搬送終端から乾燥ケイ砂5を砂
冷却装置16いわゆるクーリングタワーに搬送する第3
スクリュコンベア装置17と、上述の砂冷却装置16の
下部から乾燥ケイ砂5をサンドホッパ2に斜め上方に向
けて搬送する第4スクリュコンベア装置18とを備え、
回収タンク6に回収された乾燥ケイ砂5を各要素14,
13,15,17,16,18をこの順に介してサンド
ホッパ2内へ還流すべく構成している。なお、上述の第
1スクリュコンベア装置13に代えてベルトコンベア装
置を用いてもよいことは勿論である。
【0016】上述の鋳枠1は図2に示す如く構成してい
る。すなわち、有底角筒状の鋳枠1内の下域には中央部
から外方に向かって斜め上方へ傾斜したステンレス製多
重パンチングメタル19を配設し、この多重パンチング
メタル19と鋳枠1底部との間に鋳枠1内の耐火粒子と
しての乾燥ケイ砂5の層と連通する減圧室20を形成
し、鋳枠1の側部には上述の減圧室20と連通する減圧
用のカプラ21を取付けている。
【0017】また、上述の鋳枠1内の乾燥ケイ砂5の層
と連通し、かつ鋳枠1の下部中央から下方に向けて延び
る接続パイプ22を設け、この接続パイプ22の下端フ
ランジ部にはシール部材23を配設すると共に、上述の
接続パイプ22の中途部には同パイプ22を開閉する開
閉手段としてのシャッタ24を配設し、このシャッタ2
4には係止孔24aを穿設している。
【0018】さらに上述の鋳枠1には、乾燥ケイ砂5の
回収タンク6への排出後に、鋳枠1内の鋳物に対して冷
却風を吐出するエアパイプ25を接続し、このエアパイ
プ25の吐出端部には砂充填時に乾燥ケイ砂5が同エア
パイプ25内へ侵入するのを防止する目的で、開閉弁2
6を配設している。
【0019】上述の接続パイプ22と接離可能に構成さ
れた回収タンク6側の具体的構造は次の通りである。す
なわち、テーパコーン状のタンク下部6aに筒状のタン
ク上部6bを一体形成した上述の回収タンク6の中央部
上面には、同タンク6内部と連通する接続パイプ27を
上方に向けて一体形成し、この接続パイプ27の上端フ
ランジ部にはシール部材28を配設している。
【0020】また上述の回収タンク6のトップデッキに
ブラケット29を介してシャッタ開閉用の流体シリンダ
30を取付け、この流体シリンダ30のピストンロッド
31先端に設けたフック32を、上述のシャッタ24の
係止孔24aに係入して、上述のシャッタ24を開閉す
べく構成している。
【0021】さらに上述の回収タンク6内の下部には所
定メッシュのフィルタ33を略水平状に張架し、回収さ
れる乾燥ケイ砂5内に湯玉等の異物が混入されるのを防
止すると共に、上述の吸引パイプ7と対向する回収タン
ク6内にはフィルタホルダ34を介して所定メッシュの
フィルタ35を配設して、吸引パイプ7内に異物が混入
されるのを防止すべく構成している。
【0022】上述の回収タンク6の底部に連通形成され
たアウトレットポート36には上述のフレキシブルチュ
ーブ14を接続する一方、回収タンク6底部に昇降台3
7を取付け、回収タンク昇降用の流体シリンダ38,3
8で上述の回収タンク6を昇降すべく構成している。
【0023】鋳造後において鋳枠1内の乾燥ケイ砂5を
回収するには、まず図2に示す状態下において鋳物10
をホルダ11で保持した後に、図3に示す如く上述の流
体シリンダ38,38のピストンロッド39,39を上
昇させて、回収タンク6側のシール部材28と鋳枠1側
のシール部材23とを圧接させると共に、シャッタ開閉
用の流体シリンダ30のフック32をシャッタ24の係
止孔24aに挿入する。
【0024】次に図3に示す状態から、図4に示す如く
シャッタ開閉用の流体シリンダ30を駆動して、シャッ
タ24を開くと共に、真空ポンプ9を駆動して真空圧を
上述の回収タンク6内に作用させると、上述の鋳枠1内
の乾燥ケイ砂5は真空圧による吸引力を受けながら各接
続パイプ22,27を介して回収タンク6内に高速回収
され、また回収タンク6内が減圧されることにより、砂
中の微粉はサイクロン8に良好に補集される。回収タン
ク6に回収された乾燥ケイ砂5はフィルタ33で異物が
除去された後に、アウトレットポート36およびフレキ
シブルチューブ14を介して第1スクリュコンベア装置
13の砂搬送始端に流下する。
【0025】このため、鋳造後において粉塵を何等外部
に発生させることなく乾燥ケイ砂5を回収することがで
き、作業環境の大幅な向上を図ることができる効果があ
り、しかも真空圧による吸引力を作用させて回収するこ
とができるため、乾燥ケイ砂5の回収速度の向上を図る
ことができる効果がある。また、上述の回収タンク6内
への真空圧の付勢と併せて、鋳枠1の外壁に取付けたバ
イブレータ40を駆動して、鋳枠1を加振すると、乾燥
ケイ砂5がより一層流下しやすくなるため、回収速度の
さらなる向上と、乾燥ケイ砂5の完全回収とを図ること
ができる。
【0026】このようにして、鋳枠1内の乾燥ケイ砂5
の大半が下方の回収タンク6に回収され、鋳枠1内の鋳
物10が完全に露出されたことを図示しないセンサが検
出すると、図4に示す如く開閉弁26を開弁して、エア
パイプ25から鋳物10に向けてエアを吹付けると、鋳
枠1内の鋳物10に対する早期調整冷却が行なわれるの
で、鋳物10の金属組織の調整により、鋳物10の強度
向上を図ることができる効果がある。
【0027】例えば、片状黒鉛鋳鉄(ねずみ鋳鉄のこ
と)材により鋳造された図示の鋳物10に対してエアを
吹付けて急冷すると、この金属組織はパーライト(Pear
lite、フェライトとセメンタイトの共析晶)化し、硬度
および強度の向上を図ることができる効果がある。
【0028】なお、上述の流体シリンダ38,38によ
る回収タンク6の昇降手段に代えて、回収タンク6それ
自体を固定構造とし、接続パイプ27の外周に伸縮可能
な接続アウタパイプを設け、この接続アウタパイプの伸
縮動作により、上下の接続パイプ22,27を接離すべ
く構成してもよい。この場合には、上述の接続アウタパ
イプにブラケットを介して上述の流体シリンダ30を取
付けるとよい。
【0029】次に図5を参照して消失性模型を用いた鋳
造方法全体の工程について説明する。第1工程S1で、
予備発泡機を用いて発泡PS(ポリスチレン)または発
泡PMMA(ポリメチルメタクリレート)を予備発泡す
る。
【0030】次に第2工程S2で、予備発泡完了後の発
泡PSまたは発泡PMMAを用いて、模型成形機によ
り、複数の模型部と、鋳造方案部とを成形する。
【0031】次に第3工程S3で、上述の複数の模型部
相互と、接着された模型部と鋳造方案部とをホットメル
ト接着剤を用い、かつプリント加圧式接着法により接着
して、消失性模型を組立て、例えばツリー状の消失性模
型と成す。
【0032】次に第4工程S4で、上述の消失性模型を
SiO2 系塗型材の中に浸漬して、ディッピング塗型法
により消失性模型の全表面に塗型材を塗布する。
【0033】次に第5工程S5で、塗型完了後の消失性
模型を乾燥室内に搬送し、例えば50℃前後の低温で約
4時間乾燥処理を施す。
【0034】次に第6工程S6で、上述の乾燥処理完了
後の消失性模型を鋳枠内のベッド砂上に載置し、サンド
ホッパから乾燥ケイ砂を順次充填して、上述の消失性模
型を乾燥ケイ砂内に埋設する。
【0035】次に第7工程S7で、鋳枠をバイブレータ
等の加振装置により上下方向、左右方向、前後方向の3
軸方向に加振して、乾燥ケイ砂を固化する。
【0036】次に第8工程S8で溶湯を注湯し、消失性
模型を溶湯と置換させる。この際、鋳込み時にガスが発
生して、鋳枠内の圧力が高くなるので、減圧用のカプラ
に減圧用の真空ポンプを接続し、鋳枠下部の減圧室に減
圧を作用させて、鋳枠内の圧力を適正に保持する。
【0037】次に第9工程S9で、鋳造後の鋳物を取出
し及び冷却する。
【0038】次に第10工程S10で、鋳物を製造部と
その他の部分とにばらして、消失性模型の模型部に対応
した形状の製品を得る。
【0039】ここで、フェライト系耐熱鋳鋼部材を上述
の方法により鋳造する場合には、溶湯の組成として、
重量比率でC 0.05〜0.25%、Si 0.3〜
2.0%、Mn 0.2〜1.0%、P 0.05%以
下、S 0.05%以下、Cr 16〜20%、Nb
0.5〜1.5%、B 0.02〜0.15%、残部F
eから成り、微細なNb炭化物が分散したフェライト系
耐熱鋳鋼の溶湯を用い、かつ発泡ポリメチルメタクリレ
ート製の消失性模型を用いることが望ましい。
【0040】上述の組成のように0.5〜1.5wt%
のNb(ニオブ)を添加すると、このNbがC(炭素)
と結合してNb炭化物を生成し、粗大なCr炭化物の生
成を抑制し、耐熱性を向上させ、また0.02〜0.1
5wt%のB(硼素)を添加すると、このBが結晶粒を
微細化して、熱疲労に有害な粗大なCr炭化物の析出を
抑制するので、疲労強度および耐熱性に優れたフェライ
ト系耐熱鋳鋼部材を得ることができ、また発泡PMMA
製の消失性模型を用いると、この発泡PMMA製の消失
性模型は分解熱量が高く、溶湯の冷却速度が速いので、
溶湯の適度の冷却が達成され、炭化物の微細化が促進さ
れると共に、浸炭性がないので、耐熱疲労性および被削
性に優れるフェライト系耐熱鋳鋼部材を製造することが
できる。
【0041】次に図5における第6工程S6で乾燥ケイ
砂を充填させる場合の中空部を有する消失性模型の傾斜
角度と、砂充填率との関係について説明する。
【0042】図6は鋳枠1内に自動車用排気系部品とし
ての排気マニホルドに相当する消失性模型41を所定角
度θ傾斜させた状態を示し、図7は上述の所定角度をθ
=0°、θ=10°、θ=20°にそれぞれ変更して、
鋳枠振動時間と中空部への砂充填率とを実測した結果を
示す。
【0043】図7から明らかなように、中空部を有する
消失性模型41をθ=20°に傾斜させた場合には30
秒弱で100%の砂充填率が得られ、造型時間の大幅な
短縮を図ることができると共に、中空部の内壁上側にも
砂の締り不良による余肉の発生がない。
【0044】逆にθ=0°の水平状の場合には100%
の砂充填率を得るのに約80秒を要し、中空部の内壁上
側には砂の締り不良による余肉が発生した。
【0045】この結果、中空部を有する消失性模型の砂
充填時の傾斜角度をθ=20°以上に設定すると、造型
時間が大幅に短縮でき、かつ鋳造品質の良好な鋳物が得
られる。
【0046】次に図5における第6工程S6で乾燥ケイ
砂を充填させる場合の充填方法と消失性模型の変形との
関係について説明する。図8は鋳枠1内に長さL1=2
00mm、高さL2=100mm、肉厚t=5mmの消失性模
型(テストピース)42を配設した状態を示し、図9は
テストピース42の上側2cmまで一旦砂を充填して振動
を付勢する1回目充填時の鋳枠振動加速度をそれぞれの
数値に変更し、更に砂を鋳枠上端まで充填して振動を付
勢する2回目充填時の鋳枠振動加速度をそれぞれの数値
に変更した際の上述のテストピース42の変形量を示
す。
【0047】この結果、1回目充填時の鋳枠振動加速度
が小さい程、テストピース42の変形量が小さく、かつ
砂の充填を1度に鋳枠上端まで充填する方法と比較し
て、2段階に分けて砂を充填する方法はテストピース4
2に対する変形量が小さくなることが明らかとなった。
【0048】図10は鋳枠内に後述する排気マニホルド
に相当する消失性模型を配設し、製品突出部としてのフ
ランジ部の上側まで乾燥ケイ砂を1回目充填する場合
に、鋳枠に対して水平方向(左右方向および前後方向)
の振動加速度を付勢し、この振動加速度の数値をそれぞ
れの値に変更した時の鋳枠振動時間と中空部への砂充填
率との関係を示す。
【0049】図10から明らかなように、1回目の振動
加速度は小さい方が中空部に対して短時間で高充填率を
得ることができる。ここで、1回目の振動加速度は1.
25gとし、振動時間を約60秒(中空穴充填率90
%)とし、加振方向は水平(左右方向、前後方向)2軸
方向とすることが望ましい。
【0050】このように1回目の充填で、排気マニホル
ドに相当する消失性模型のフランジ部を変形させずに、
中空ポート部への砂充填性の高い上述の1.25gの弱
振動で、乾燥ケイ砂を固化しておくと、2回目の振動は
その加速度が大きい程、中空ポート部への砂の充填が速
く、充填密度および型強度も大となる。この結果を図1
1に示す。
【0051】つまり、図11は振動前の砂見掛け密度
1.49g/cm3 の乾燥ケイ砂に対して、1.25gの2
軸振動(1回目振動)を約60秒付勢した後に、乾燥ケ
イ砂を鋳枠上端まで充填し、1.5gの3軸振動(上下
方向、左右方向、前後方向の振動)(2回目振動)を約
40秒付勢し、トータルで100秒の振動を付勢した実
測データで、この場合、中空部への砂充填率は100%
で、砂見掛け密度は1.69g/cm3 となった。なお、2
回目振動を1.25gとした場合には砂見掛け密度は
1.65g/cm3 となり、砂見掛け密度が低下するので、
2回目の3軸振動加速度は1.6g以上が望ましい。
【0052】このように1回目の砂充填時に弱振動を付
勢すると、中空部への砂充填率を短時間で達成すること
ができると共に、消失性模型の浮上がりや移動による湯
口部の位置変動を防止することができ、2回目の砂充填
時に1.6g以上を強振動を付勢すると、砂見掛け密度
の向上、砂の充填速度の向上、充填密度および型強度の
向上を図ることができ、かつ中空部の内壁上側に対する
砂の締り不良による余肉発生をも防止することができる
効果がある。
【0053】図12乃至図15は耐熱鋳鋼製排気マニホ
ルドを鋳造する場合、堰の位置と鋳造品質との関係を示
す。
【0054】すなわち、図12において、この鋳造用消
失性模型51は、湯道部模型52の外側面に短寸の複数
の堰部模型53…を介して、自動車の排気系部品として
の排気マニホルドに相当する合計4個の製品部模型54
…を連設している。
【0055】上述の湯道部模型52は図13、図14に
も示すように、底部52aを備えた角筒状の中空形状部
Dに形成されて、上下方向に伸びる模型で、この中空形
状部Dの上端開口部52bは湯口部と模型位置決め部と
を兼ねる。また、この実施例では上述の湯道部模型52
の高さを約300mm、外形寸法を約60mm角、内形寸法
を約40mm角に設定して、湯道容量を約1080cm3
中空容量を約480cm3 とし、湯道容量に対する中空容
量の比率を約44%に設定している。
【0056】上述の湯道部模型52の外側面にはそれぞ
れ3個の堰部模型53…を介して製品部模型54を連設
するが、この製品部模型54と堰部模型53との位置関
係は図15に示す通りである。すなわち、図15におい
て、54aはエンジンのシリンダヘッドに接続されるフ
ランジ部、54b,54c,54dは排気通路部で、上
部の堰部模型53は図中上部の排気通路部54bの一側
上部におけるフランジ部54aに位置し、中央の堰部模
型53は図中中央の排気通路部54cの一側下部におけ
るフランジ部54aに位置し、下部の堰部模型53は図
中下部の排気通路部54dの一側下部におけるフランジ
部54aに位置する。
【0057】また図13から明らかなように上述の堰部
模型53は比較的容量の大きい側の排気フランジ部55
側に位置し、ポート間を拘束しない位置に形成されてい
る。
【0058】このような堰部模型53の位置に設定する
と、溶湯を注湯して消失性模型51と置換させる場合、
注湯は中空形状部Dの湯道部模型52からまず一番下の
堰部模型53を介して比較的容量の大きい排気フランジ
部55に入り、次に中央の堰部模型53および一番上の
堰部模型53を介して順次置換されるので、無押湯方案
が可能となり、溶湯の湯まわりが略均一となると共に、
凝固も全体的に略均一になるため、ポート間にワレが発
生することなく、良好な鋳造品質を確保することができ
る効果がある。
【0059】図16は先に示した組成の鋳鋼を鋳込む場
合の鋳込み温度と減圧度との実測データを示し、同図に
ハッチングを施して示す1580〜1620℃の鋳込み
温度の範囲で、かつ減圧度がマイナス1500〜マイナ
ス2000mmH2 Oの範囲で湯回り性が良好で、かつ焼
付きが僅少な鋳造品を得ることができた。例えば上記範
囲外で減圧度が大きい場合には消失性模型表面に塗布乾
燥された塗型剤の中に溶湯が差込んで良好な鋳造品を得
ることができず、湯回り性、焼付き性ともに悪化するた
め、上述の範囲内の値が望ましい。
【0060】この発明の構成と、上述の実施例との対応
において、この発明の耐火粒子は、実施例の乾燥ケイ砂
5に対応し、以下同様に、接続路は、接続パイプ22,
27に対応し、開閉手段は、シャッタ24に対応し、吸
引手段は、真空ポンプ9に対応し、調整冷却手段は、エ
アパイプ25に対応するも、この発明は、上述の実施例
の構成のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】消失性模型を用いた鋳造装置の全体構成を示す
概略図。
【図2】図1の要部拡大図。
【図3】回収タンク上昇時の説明図。
【図4】開閉手段を開放した状態で示す説明図。
【図5】消失性模型を用いた鋳造方法の工程図。
【図6】消失性模型の傾斜配設状態を示す説明図。
【図7】消失性模型の傾斜角に対する鋳枠振動時間と砂
充填率との関係を示す特性図。
【図8】テストピースの配設状態を示す説明図。
【図9】砂充填方法とテストピース変形量との関係を示
す特性図。
【図10】1回目の砂加振加速度に対する鋳枠振動時間
と砂充填率との関係を示す特性図。
【図11】1回目および2回目の砂加振加速度に対する
鋳枠振動時間と砂充填率との関係を示す特性図。
【図12】鋳造用消失性模型の一例を示す正面図。
【図13】図12の平面図。
【図14】図12の要部斜視図。
【図15】図12のC−C線矢視断面図。
【図16】鋳込み温度に対する減圧度の関係を示す特性
図。
【符号の説明】
1…鋳枠 4…消失性模型 5…乾燥ケイ砂 6…回収タンク 9…真空ポンプ 10…鋳物 22,27…接続パイプ 24…シャッタ 25…エアパイプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 魚崎 靖夫 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−278634(JP,A) 特開 昭58−97462(JP,A) 特開 昭53−93118(JP,A) 特開 平5−138329(JP,A) 特開 昭64−34574(JP,A) 実開 昭62−41436(JP,U) 実開 昭63−180128(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 29/00 B22C 5/00 B22C 5/08 B22C 9/04 B22D 29/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋳枠内の耐火粒子に消失性模型を埋設し、
    該模型を溶湯と置換させる消失性模型を用いた鋳造装置
    であって、上記鋳枠の下方に配設され、鋳造後の耐火粒
    子を回収する回収タンクと、上記鋳枠の底部と上記回収
    タンクとを接続する接続路と、上記接続路に配設され
    て、該接続路を開閉する開閉手段と、上記耐火粒子の上
    記回収タンクへの回収時に、該回収タンク内に真空圧を
    作用させる吸引手段とを備えた消失性模型を用いた鋳造
    装置。
  2. 【請求項2】上記耐火粒子の排出後に、上記鋳枠内の鋳
    物を調整冷却する調整冷却手段が上記鋳枠に設けられた
    請求項1記載の消失性模型を用いた鋳造装置。
JP03360035A 1991-12-27 1991-12-27 消失性模型を用いた鋳造装置 Expired - Fee Related JP3075818B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102115395B1 (ko) * 2018-11-07 2020-05-26 주식회사 지니메디 무릎 관절 치료용 밴드

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