JP3071954B2 - 連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置 - Google Patents

連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置

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JP3071954B2
JP3071954B2 JP4209860A JP20986092A JP3071954B2 JP 3071954 B2 JP3071954 B2 JP 3071954B2 JP 4209860 A JP4209860 A JP 4209860A JP 20986092 A JP20986092 A JP 20986092A JP 3071954 B2 JP3071954 B2 JP 3071954B2
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省三 渡辺
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,例えば鋳型内の溶鋼の
湯面レベルを一定に保ちつつタンディッシュから鋳型内
に注入された溶鋼を上記鋳型から引抜くことにより鋳片
を製造する連続鋳造機の鋳型内湯面レベルの制御に係
り,特に上記溶鋼の湯面レベルや鋳片の引抜き速度に代
表される操業因子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型
への溶鋼の注湯量を制御する注湯量制御系と,検出され
た上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引抜
き速度を制御する引抜き速度制御系とを併用して,上記
溶鋼の湯面レベルを制御する鋳型内湯面レベル制御装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に,連続鋳造機においては,鋳片
の表面疵や割れ等の発生あるいは操業上の支障を引き起
こすブレークアウトの発生等を防止するために,上記鋳
型内の溶鋼の湯面レベルを,大きな変動をもたらすこと
なく一定に保つことが極めて重要である。このような従
来の連続鋳造機として,例えば特開昭61−17348
号公報に開示された装置を図36に示す。同図に示す連
続鋳造機2では,タンディッシュ5のノズル20からの
溶鋼4が鋳型3に注入されて冷却された後引抜きロール
8により鋳片6として鋳型3から引抜かれる。また,鋳
型内湯面レベル制御装置1 c は,例えばタンディッシュ
5に設けられたストッパ10をアクチュエータ15を介
して駆動させることにより,鋳型3に注入される溶鋼4
の注湯量を調整し,これによってレベル計9により検出
される湯面レベルLをその目標値に応答性良く制御する
制御系(以下,ストッパ制御系と称する)の機能を備え
ている。一方,鋳片6の引抜き速度Vと鋳型3からの溶
鋼の払出し量は線形関係にあるので,上記アクチュエー
タ15による制御とは別に,上記湯面レベルLを鋳片6
の引抜き速度(ここでは,速度計7により検出された検
出値を用いている)により一定に制御できる制御系(以
下,引抜き速度制御系と称する)がよく知られている。
上記鋳型内湯面レベル制御装置1c は,上記引抜き速度
制御系の機能も備えている。しかしながら,上記溶鋼4
の鋼種によっては,それぞれに適した引抜き速度の範囲
がある。また,操業上の生産効率を一定以上に保つため
に上記引抜き速度を極度に遅くすることや制御の必要上
から上記引抜き速度を極端に大きくすることは不可能で
ある。このような理由で,上記鋳片6の引抜き速度は,
鋼種毎にそれぞれ設定された設定値から安全率を見込ん
だ所定幅の許容範囲内での変化に規制されている。とこ
ろで,連続操業中に,上記ストッパ10やノズル20が
欠損したり又はこれに固形物が付着したり,あるいは溶
鋼4の物性(特に粘性)が変化するといった外乱が印加
されることがある。そのため,例えば上記ストッパ10
の位置が一定であってノズル20のノズル開度が同じ値
の場合であっても,例えば流量特性として表される,鋳
型3への実際の注湯量が変動することがあり,これによ
って鋳型3内の湯面レベルLが変動することがある。そ
こで,上記したような外乱により生じた湯面レベルLの
変動を抑えるために,上記引抜き速度Vが制御されて変
動する。そして,上記したような外乱による引抜き速度
Vの変動を補償して引抜き速度Vをその許容範囲内に留
めるため,上記鋳型内湯面レベル制御装置1c は上記引
抜き速度Vの設定値からの偏差に応じてストッパ10の
移動によるノズル20の開度(注湯量に対応する)を制
御する制御系(以下,注湯量制御系と称し,上記ストッ
パ制御系と区別する)の機能も備えている。上記従来の
装置では,鋳片6の検出された引抜き速度により上記湯
面レベルLを制御する引抜き速度制御系と鋳片6の引抜
き速度の設定値からの偏差に応じて上記鋳型3への溶鋼
4の注湯量を制御する注湯量制御系とを併用する制御モ
ードと,検出された湯面レベルの目標値からの偏差に
応じて上記鋳型3への溶鋼4の注湯量を制御するストッ
パ制御系を用いる制御モードとを,上記連続鋳造機2
の操業状態に応じて切換える手法が採用されている。例
えば図37に示すように,上記湯面レベルの目標値から
の偏差値が比較的小さいとき(定常時)には,上記制御
モードに切換えて引抜き速度制御系と上記注湯量制御
系とを併用する一方,上記湯面レベル偏差が比較的大き
い時(非定常時)には,上記制御モードから制御モー
ドに切換えて上記ストッパ制御系を用いて湯面レベル
偏差を迅速に小さくするようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで,上記従来の
鋳型内湯面レベル制御手法によれば,上記引抜き速度制
御系と注湯量制御系とを併用する際に,上記注湯量制御
系を常時制御に介入させているため,相互に影響し合う
湯面レベルLと引抜き速度Vという2種類の制御目標を
同時に制御することとなり,例えば図38(a)乃至
(c)に示すように,一方の制御目標を一定に満足させ
れば他方が変動したり,或いはいずれもが変動してそれ
ぞれに大きくハンチングを生じることがあった。しかし
ながら,上記湯面レベルLが安定している定常時であっ
て,上記引抜き速度Vのその設定値からの偏差が比較的
小さい場合には,上記のように併用される注湯量制御系
を必ずしも介入させる必要はない。むしろ,このような
場合には注湯量制御系による制御の介入を中止すること
により,上記引抜き速度制御系による利点を活用した高
精度な湯面レベル制御を目指すべきである。そして,上
記注湯量制御系による介入中止中に,何らかの外乱の印
加により上記引抜き速度V,タンディッシュ内の溶鋼の
量,溶鋼の温度,注湯量,鋳片の引抜き速度及び溶鋼の
湯面レベルの時間微分値から演算される溶鋼の鋳型内流
下速度等の操業因子のその設定値からの偏差が大きくな
ったとき若しくは大きくなりつつある変化傾向のとき
に,上記注湯量制御系による介入を行えばよいはずであ
る。そこで,本発明の第1の目的とするところは,上記
溶鋼の湯面レベルを制御する引抜き速度制御系と併用さ
れる上記注湯量制御系を連続鋳造機の操業因子である湯
面レベルの目標値からの偏差,引抜き速度,タンディッ
シュ内の溶鋼の量,溶鋼の温度,注湯量,溶鋼の鋳型内
流下速度などの変化傾向に基づいて適時制御介入させる
ことにより,上記湯面レベルをその目標値に精度良く制
御し得るとともに上記引抜き速度を適時その設定値に戻
すようにすることのできる連続鋳造機の鋳型内湯面レベ
ル制御装置を提供することにある。一方,そのときの湯
面レベルの目標値からの偏差や引抜き速度等の操業因子
の変化傾向と上記注湯量制御系の併用タイミングとの関
係を求める手法としては,例えば過去蓄積した操業因子
の変化傾向の実績値から求めた統計式等を用いることが
できる。しかしながら,上記連続鋳造機の操業形態は複
雑であるので,上記統計式に用いられるパラメータの数
も多い。そのため,上記統計式やパラメータの設定・変
更に多大な手間と時間を要するという問題があった。そ
こで,本発明の第2の目的とするところは,複雑な操業
形態を有する連続鋳造機の操業因子の変化傾向に基づい
て上記注湯量制御系を併用させる手法を容易に具現化す
ることのできる連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置
を提供することにある。ところで,上記した如く引抜き
速度制御系を用いた安定した湯面レベルの制御中に,介
在物等によるノズル20の詰まり,ストッパ10の欠損
又は付着物の剥離といった突発的な外乱により,湯面レ
ベルが急激に変動することがある。しかも,このような
急激な湯面レベルの変動が上記注湯量制御系により制御
介入されていない時のサンプリング周期の間に発生する
場合がある。しかしながら,上記したような急激な湯面
レベルの変動が極めて大きい場合,当該湯面レベルの変
動を抑えるべく補償された鋳片6の引抜き速度が,上記
注湯量制御系の次の併用のサンプリング周期前に上記許
容限度に達してその許容限度で固定されることがあっ
た。このように,上記引抜き速度が一定にされると,上
記湯面レベルの変動を抑えるために,湯面レベルの制御
が上記ストッパ制御系に切換えられる。即ち,制御性の
良い引抜き速度制御系を用いた湯面レベル制御を続行し
得ないことがあった。従って,本発明の第3の目的とす
るところは,上記引抜き速度系を用いた湯面レベルの制
御中に,所定のサンプリング周期で併用される注湯量制
御系の当該サンプリング周期間に,急激な外乱が印加さ
れた場合でも,上記引抜き速度がその許容限度に達する
前に未然にその設定値に近づけることのできる連続鋳造
機の鋳型内湯面レベル制御装置を提供することにある。
【0004】他方,急激な外乱に対して,例えば上記引
抜き速度がその許容限度に達しないように,上記引抜き
速度の変化傾向から上記注湯量制御系の併用タイミング
を求める手法として,先に述べた統計式等を用いること
も可能であるが,同様の理由で,例えば上記統計式及び
そのパラメータの設定・変更に多大な手間と時間がかか
るという課題があった。従って,本発明の第4の目的と
するところは,急激な外乱に対しても湯面レベルを安定
して制御し得るように,上記操業因子の変化傾向から上
記注湯量制御系を併用させる手法を容易に具現化するこ
とのできる連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置を提
供することにある。ところで,上記ストッパ制御系と上
記引抜き速度制御系の各制御特性を比較すると,先述し
たように,上記湯面レベルの目標値への制御精度に関し
ては,引抜き速度制御系の方がストッパ制御系よりも優
れている。逆に,制御の応答性に関しては,ストッパ制
御系の方が引抜き速度制御系よりも優れている。例え
ば,上記湯面レベルの目標値からの偏差が小さい場合,
上記引抜き速度制御系を用いれば上記湯面レベルをより
精度良く制御できる。一方,上記偏差が大きい場合に
は,制御精度よりも制御の応答性を優先してストッパ制
御系を使用すべきである。又,上記偏差の度合いによっ
ては,両制御系を併用することが好ましい場合も考えら
れる。そこで,本発明の第5の目的とするところは,上
記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて,ストッパ制
御系と引抜き速度制御系とから制御特性の良い制御系を
用いて上記湯面レベルを制御することのできる連続鋳造
機の鋳型内湯面レベル制御装置を提供することにある。
上記したように,上記従来の鋳型内湯面レベルの制御手
法によれば,定常時に用いられる制御モードでは,上
記引抜き速度制御系と上記注湯量制御系とが常に併用さ
れる。これでは,湯面レベルと引抜き速度といった相互
に影響し合う2つの目標を同時に制御しなければならな
いことになる。そのため,上記引抜き速度制御系と注湯
量制御系に関するそれぞれの制御ゲインの調整の度合に
よっては,上記湯面レベル及び引抜き速度の双方を満足
に制御し得ないことがあった。例えば図38に示したよ
うに,(a)では,両制御系の両制御ゲインが実情のプ
ロセスゲインとそこそこに合った値に設定されている。
そのため,湯面レベルと引抜き速度のいずれもが極めて
大きな変動を生じていない反面,目標値若しくは設定値
に対し高精度に制御されてもいない。一方,両制御系の
内の一方に重きをおいて制御ゲインを設定すると,例え
ば(b)に示すように,湯面レベルは安定して制御され
ているが,引抜き速度が大きく変動したり,逆に(c)
に示すように,引抜き速度は安定して制御されているが
湯面レベルが大きく変動することがある。これらのいず
れの場合も外乱の印加に弱く,いずれかの目標が,制御
の許容範囲を越える場合があった。更に,上記従来手法
では,オペレータが連続鋳造機2の操業状態を監視しつ
つ,例えば湯面レベルがその許容範囲に達していないと
きには制御モードにより湯面レベルが制御される。そ
して,湯面レベルがその許容範囲内に入ったとオペレー
タにより判断されたとき,制御モードから制御モード
にマニュアルで切換えられる。上記制御モードによ
る運転中に湯面レベルが許容範囲外になったときも上記
とは逆の方向の切換えを行わなければならないため,オ
ペレータによる付きっきりの操業監視及びマニュアルに
よる制御モードの切換え操作を必要としていた。従っ
て,本発明の第6の目的とするところは,操業状態に応
じた適正な制御モードの切換え及び適正な制御ゲインの
調整を自動で行うことにより,これらの操作に人手を必
要とすることなく溶鋼の湯面レベルを精度よく制御する
ことのできる連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置を
提供することにある。
【0005】また,上記したように,鋳片6の引抜き速
度の操作量には制限がある。そのため,例えば大きな外
乱の発生により上記湯面レベルLがハンチング状態にあ
るとき,即ちその目標値(L0 )からの偏差(dL)や
該偏差の時間変化(d(dL)/dt)が大きい場合,
たとえそのときの操業状態が制御モードの所定の切換え
条件を満たして,制御モードが制御モードから制御モ
ードへ切換えられたとしても,上記の如く操作量に制
限のある引抜き速度によっては上記湯面レベルLの変動
を抑えきれず,連続鋳造機2の操業状態が上記制御モー
ドへの切換え条件を再び満足しなくなることがあっ
た。そのため,図39に示すように,切換え後短時間で
制御モードから制御モードに再び戻ってしまうこと
があり,制御モードから制御モードに切換えた後に
当該制御モードによる湯面レベル制御を安定して継続
させることができないという不具合があった。そこで,
本発明の第7の目的とするところは,上記制御モード
から制御モードに切換えられた後も,短時間の内に上
記制御モードに戻されることなく,制御モードによ
る高精度の湯面レベル制御を安定して継続させることの
できる連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置を提供す
ることにある。また,上記したと同様の,制御モード
による湯面レベル制御を安定して継続させることのでき
ない不具合を解消するために,本発明の第8の目的とす
るところは,制御すべき湯面レベルがその目標値に向け
て戻りつつあり且つ極めて近くなったタイミングで上記
制御モードへの切換えを行うことにより,制御モード
切換え後も制御モードによる高精度の湯面レベル制御
を安定して継続させることのできる連続鋳造機の鋳型内
湯面レベル制御装置を提供することにある。湯面レベル
Lの制御には,先述の通り,ストッパ10と引抜きロー
ル8という2種類の操作対象を利用できる。図40及び
図41に示す鋳型内湯面レベル制御装置1d では,レベ
ル計9により検出された湯面レベルLの目標値L0 から
の偏差のdLに応じて,ストッパ10の移動量(ノズル
開度に伴った注湯量に対応する)を演算しアクチュエー
タ15に出力するストッパ制御器43を中心としたスト
ッパ制御系が構成されている。上記湯面レベルLは主と
して上記ストッパ制御系により目標値L0 になるように
制御される。一方,例えば,連続して鋳造しつつ鋳造対
象を異なる鋼種に切換える場合,制御方法を切換える場
合,或いはブレークアウト等の操業上のトラブルの発生
を予知できた場合等に,上記引抜き速度Vを人為的に変
更せざるを得ないことがある。湯面レベルLが安定して
いる場合でも,上記のように引抜き速度Vが変化する
と,一定時間の後,湯面レベルLが変動する。そこで,
上記鋳型内湯面レベル制御装置1d では,速度計7によ
り一定周期毎に検出された引抜き速度の変化に応じて,
この引抜き速度Vの変化により想定される湯面レベルL
の変動を未然に打消すためのFF速度補償器47a が設
けられている。従って,ストッパ10により湯面レベル
Lの制御中に引抜き速度Vが外乱等により変化しても,
この引抜き速度変化の湯面レベルへの影響は,FF速度
補償器47a により周期的(静的)にフィードフォワー
ド補償されるようになっている。即ち,ストッパ制御器
43からの出力は上記の如くフィードフォワード補償さ
れてアクチュエータ15に出力される。しかしながら,
上記引抜き速度Vを人為的に変更するに際し,図42に
示すように,例えば現在(時刻0秒)の引抜き速度V1
からある設定値V0 まで比較的急激に引き上げたとする
と,このときの引抜き速度の変化の湯面レベルへの影響
を,上記従来のFF速度補償器47a に設定されている
一定のフィードフォワード補償ゲインによっては補償し
切れない場合がある。このような場合,図示の如く,湯
面レベルLは目標値L0 からL1 まで大きく変動(低
下)することとなり,従って上記湯面レベルLが目標値
0 近傍まで戻るのに時間T1 の制御遅れを生じるとい
う問題があった。また,上記従来の鋳型湯面レベル制御
装置1d では,図40に示した如く,引抜き速度Vのフ
ィードバック制御が考慮されていない。従って,外乱に
より引抜き速度Vが変化しても上記引抜き速度Vは変化
したままである。一方,鋳片6の引抜き速度Vには,鋼
種別及び製品種別に適した許容範囲がある。そのため,
上記引抜き速度Vがその許容範囲を超える前に上記引抜
き速度Vを人為的に変更しなければならず,省力化の妨
げとなっていた。そこで,本発明の第9の目的とすると
ころは,外乱等の印加や人為的な変更操作によって引抜
き速度が変化した場合でも上記引抜き速度を自動的に且
つ任意の戻し方でその設定値に戻すことが可能であると
共に,上記設定値に向う引抜き速度の変化によっても上
記溶鋼の湯面レベルに変動を生じさせることのない連続
鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
るために,第1の発明の一つは,鋳型内の溶鋼の湯面レ
ベルを一定に保ちつつタンディッシュから鋳型内に注入
された溶鋼を上記鋳型から引抜くことにより鋳片を製造
する連続鋳造機の操業因子の設定値からの偏差に応じて
上記鋳型への溶鋼の注湯量を制御する第1の注湯量制御
系と,検出された上記湯面レベルの目標値からの偏差に
応じて上記引抜き速度を制御する引抜き速度制御系とを
併用して,上記溶鋼の湯面レベルを制御する鋳型内湯面
レベル制御装置において,上記溶鋼の湯面レベルを上記
引抜き速度制御系を用いて制御するに際して,上記湯面
レベルの目標値からの偏差と上記タンディッシュ内の溶
鋼の量とを含む操業因子の変化傾向に基づいて,上記第
1の注湯量制御系を併用することを特徴とする連続鋳造
機の鋳型内湯面レベル制御装置として構成されている。
また,上記第1の目的を達成するための,第1の発明の
他の一つは,鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保ちつ
つタンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を上記鋳
型から引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造機の操
業因子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型への溶鋼の
注湯量を制御する第1の注湯量制御系と,検出された上
記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引抜き速
度を制御する引抜き速度制御系とを併用して,上記溶鋼
の湯面レベルを制御する鋳型内湯面レベル制御装置にお
いて,上記溶鋼の湯面レベルを上記引抜き速度制御系を
用いて制御するに際して,上記湯面レベルの目標値から
の偏差と上記溶鋼の温度とを含む操業因子の変化傾向に
基づいて,上記第1の注湯量制御系を併用することを特
徴とする連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置であ
る。 また,上記第1の目的を達成するための,第1の発
明のさらに他の一つは,鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一
定に保ちつつタンディッシュから鋳型内に注入された溶
鋼を上記鋳型から引抜くことにより鋳片を製造する連続
鋳造機の操業因子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型
への溶鋼の注湯量を制御する第1の注湯量制御系と,検
出された上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上
記引抜き速度を制御する引抜き速度制御系とを併用し
て,上記溶鋼の湯面レベルを制御する鋳 型内湯面レベル
制御装置において,上記溶鋼の湯面レベルを上記引抜き
速度制御系を用いて制御するに際して,上記湯面レベル
の目標値からの偏差と上記注湯量とを含む操業因子の変
化傾向に基づいて,上記第1の注湯量制御系を併用する
ことを特徴とする連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装
置である。 また,上記第1の目的を達成するための,第
1の発明のさらに他の一つは,鋳型内の溶鋼の湯面レベ
ルを一定に保ちつつタンディッシュから鋳型内に注入さ
れた溶鋼を上記鋳型から引抜くことにより鋳片を製造す
る連続鋳造機の操業因子の設定値からの偏差に応じて上
記鋳型への溶鋼の注湯量を制御する第1の注湯量制御系
と,検出された上記湯面レベルの目標値からの偏差に応
じて上記引抜き速度を制御する引抜き速度制御系とを併
用して,上記溶鋼の湯面レベルを制御する鋳型内湯面レ
ベル制御装置において,上記溶鋼の湯面レベルを上記引
抜き速度制御系を用いて制御するに際して,上記湯面レ
ベルの目標値からの偏差と上記溶鋼の湯面レベルの時間
微分値から演算される上記溶鋼の鋳型内流下速度とを含
む操業因子の変化傾向に基づいて,上記第1の注湯量制
御系を併用することを特徴とする連続鋳造機の鋳型内湯
面レベル制御装置である。
【0007】また,上記第2の目的を達成するために,
第2の発明は,鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保ち
つつタンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を上記
鋳型から引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造機の
操業因子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型への溶鋼
の注湯量を制御する第2の注湯量制御系と,検出された
上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引抜き
速度を制御する引抜き速度制御系とを併用して,上記溶
鋼の湯面レベルを制御する鋳型内湯面レベル制御装置に
おいて,上記湯面レベルの目標値からの偏差を含む操業
因子の変化傾向を入力データとし,上記鋳型への溶鋼の
注湯量を出力データ及びこれに対応する教師データとす
る第1のニューラルネットワークを備え,上記溶鋼の湯
面レベルを上記引抜き速度制御系を用いて制御するに際
して,予め学習済みの上記第1のニューラルネットワー
クに上記操業因子の変化傾向を入力して演算された出力
データに基づいて上記注湯量を制御する第2の注湯量制
御系を併用することを特徴とする連続鋳造機の鋳型内湯
面レベル制御装置として構成されている。
【0008】更に,上記第3の目的を達成するために,
第3の発明は,鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保ち
つつタンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を上記
鋳型から引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造機の
操業因子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型への溶鋼
の注湯量を制御する第3の注湯量制御系と,検出された
上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引抜き
速度を制御する引抜き速度制御系とを併用して,上記溶
鋼の湯面レベルを制御する鋳型内湯面レベル制御装置に
おいて,上記溶鋼の湯面レベルを上記引抜き速度制御系
を用いて制御するに際して,上記湯面レベルの目標値か
らの偏差を含む操業因子の変化傾向が比較的ゆるやかな
ときは所定のサンプリング周期で上記第3の注湯量制御
系を併用させるとともに,上記操業因子の変化傾向が比
較的急激になったときに上記所定のサンプリング周期よ
りも短周期で上記第3の注湯量制御系を併用させること
を特徴とする連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置と
して構成されている。
【0009】そして,上記第4の目的を達成するため
に,第4の発明は,鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に
保ちつつタンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を
上記鋳型から引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造
機の操業因子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型への
溶鋼の注湯量を制御する第4の注湯量制御系と,検出さ
れた上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引
抜き速度を制御する引抜き速度制御系とを併用して,上
記溶鋼の湯面レベルを制御する鋳型内湯面レベル制御装
置において,上記湯面レベルの目標値からの偏差を含む
操業因子の変化傾向を入力データとし,上記鋳型への溶
鋼の注湯量を出力データ及びこれに対応する教師データ
とする第2のニューラルネットワークを備え,上記溶鋼
の湯面レベルを上記引抜き速度制御系を用いて制御する
に際して,予め学習済みの上記第2のニューラルネット
ワークに上記操業因子の変化傾向を入力して演算された
出力データに基づいて上記注湯量を制御する第4の注湯
量制御系を併用するとともに,上記操業因子の変化傾向
が比較的ゆるやかなときは所定のサンプリング周期で上
記第4の注湯量制御系を併用させるとともに,上記操業
因子の変化傾向が比較的急激になったときに上記所定の
サンプリング周期よりも短周期で上記第4の注湯量制御
系を併用させることを特徴とする連続鋳造機の鋳型内湯
面レベル制御装置として構成されている。尚,上記第4
の発明における第2のニューラルネットワークからの出
力データとして,上記サンプリング周期の切換えデータ
を出力させるようにした構成とすることも可能である。
【0010】上記第5の目的を達成するために,第5の
発明は,鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保ちつつタ
ンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を上記鋳型か
ら引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造機の上記湯
面レベルの目標値からの偏差に応じて上記鋳型への溶鋼
の注湯量を制御する第5の注湯量制御系と,検出された
上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引抜き
速度を制御する引抜き速度制御系とを併用して,上記溶
鋼の湯面レベルを制御する鋳型内湯面レベル制御装置に
おいて,上記検出された湯面レベルの目標値からの偏差
が大きい時には上記第5の注湯量制御系を用いるととも
に,上記偏差が小さい時は上記引抜き速度制御系を用
い,上記偏差が中間値の時は両制御系を併用することを
特徴とする連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置とし
て構成されている。上記第6の目的を達成するために,
第6の発明は,鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保ち
つつタンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を上記
鋳型から引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造機の
操業因子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型への溶鋼
の注湯量を制御する第6の注湯量制御系と,検出された
上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引抜き
速度を制御する引抜き速度制御系とを備え,上記溶鋼の
湯面レベルを制御するに際して,上記引抜き速度制御系
と上記第6の注湯量制御系とを併用する第1の制御モー
ドと,検出された上記湯面レベルの目標値からの偏差に
応じて上記鋳型への溶鋼の注湯量を制御する第7の注湯
量制御系を用いる第2の制御モードとを所定の条件が満
たされたとき切換えるようにした連続鋳造機の鋳型内湯
面レベル制御装置において,上記第1の制御モードと上
記第2の制御モードとの操業状態に応じた切換えの態様
についての経験則と少なくとも上記第6の注湯量制御系
のゲイン調整についての経験則とを予め記憶し,上記連
続鋳造機の操業状態を検出し,該検出された操業状態か
ら上記各経験則に従って適正な制御モードの切換えの態
様及び適正な制御ゲインの調整量を演算することを特徴
とする連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置として構
成されている。
【0011】上記第7の目的を達成するために,第7の
発明は,鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保ちつつタ
ンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を上記鋳型か
ら引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造機の操業因
子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型への溶鋼の注湯
量を制御する第8の注湯量制御系と,検出された上記湯
面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引抜き速度を
制御する引抜き速度制御系とを備え,上記溶鋼の湯面レ
ベルを制御するに際して上記引抜き速度制御系と上記第
8の注湯量制御系とを併用する第3の制御モードと,検
出された上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上
記鋳型への溶鋼の注湯量を制御する第9の注湯量制御系
を用いる第4の制御モードとを所定の条件が満たされた
ときに切換えるようにした連続鋳造機の鋳型内湯面レベ
ル制御装置において,上記第4の制御モードから上記第
3の制御モードへ切換える前の湯面レベルの変化傾向を
演算する湯面レベル変化傾向演算手段と,上記演算され
た湯面レベルの変化傾向に応じて上記湯面レベルがその
目標値に戻る傾向を与える注湯量を演算し出力する切替
時注湯量演算手段とを具備してなることを特徴とする連
続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置として構成されて
いる。
【0012】上記第8の目的を達成するために,第8の
発明は,鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保ちつつタ
ンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を上記鋳型か
ら引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造機の操業因
子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型への溶鋼の注湯
量を制御する第10の注湯量制御系と,検出された上記
湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引抜き速度
を制御する引抜き速度制御系とを備え,上記溶鋼の湯面
レベルを制御するに際して上記引抜き速度制御系と上記
第10の注湯量制御系とを併用する第5の制御モード
と,検出された上記湯面レベルの目標値からの偏差に応
じて上記鋳型への溶鋼の注湯量を制御する第11の注湯
量制御系を用いる第6の制御モードとを所定の条件が満
たされたときに切換えるようにした連続鋳造機の鋳型内
湯面レベル制御装置において,上記引抜き速度の想定操
作量が0に近づいた時,上記第6の制御モードから上記
第5の制御モードに切換えるようにしたことを特徴とす
る連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置として構成さ
れている。尚,上記第8の発明における引抜き速度の想
定操作量が,上記検出された湯面レベルの目標値からの
偏差と該偏差の時間微分値との和に基づいて演算された
構成であってもよい。
【0013】上記第9の目的を達成するために,第9の
発明は,タンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼の
検出された湯面レベルの目標値からの偏差に応じて第1
2の注湯量制御系によりフィードバック制御される上記
鋳型への溶鋼の注湯量を,上記鋳型からの鋳片の引抜き
速度の変化に基づいて補償するようにした連続鋳造機の
鋳型内湯面レベル制御装置において,上記引抜き速度が
その設定値に近づくようにフィードバック制御する引抜
き速度制御手段と,上記引抜き速度制御手段の制御ゲイ
ンを任意に設定入力するための制御ゲイン入力手段と,
上記引抜き速度の設定値からの偏差に応じて,上記第1
2の注湯量制御系からの注湯量を補償する補償量を上記
制御ゲイン入力手段により設定入力された制御ゲインに
基づいて演算し出力するフィードフォワード補償手段と
を具備してなることを特徴とする連続鋳造機の鋳型内湯
面レベル制御装置として構成されている。尚,ここにい
う制御ゲインとは,制御遅れ系の時定数等も含むものと
する。そして,少なくとも上記第1,第2,第3又は第
4の発明における操業因子の変化傾向としては,上記タ
ンディッシュ内の溶鋼の量の変化傾向,上記溶鋼の温度
の変化傾向,上記注湯量の変化傾向,又は上記鋳片の引
抜き速度及び上記溶鋼の湯面レベルの時間微分値から演
算される上記溶鋼の鋳型内流下速度の変化傾向を含むも
のであってもよい。又,少なくとも上記第1,第2,第
3,第4,第6,第7,第8の発明における操業因子と
しては,上記鋳型内の溶鋼の湯面レベルの目標値からの
偏差に基づいて演算された引抜き速度とすることも可能
である。
【0014】
【作用】上記第1の発明の構成によれば,上記引抜き速
度制御系を用いて上記溶鋼の湯面レベルが制御される。
そして,例えば鋳型へ注入される溶鋼の流動特性の変化
に伴って上記連続鋳造機の操業因子が変化する場合で
も,タンディッシュ内の溶鋼の量,上記溶鋼の温度,上
記注湯量,上記溶鋼の鋳型内流下速度などの操業因子の
変化傾向に基づいて,第1の注湯量制御系が介入して注
湯量が制御される。これによって,上記引抜き速度がそ
の変化量の許容範囲から逸脱することがなく,適宜設定
値に向けて戻される。第2の発明に係る鋳型内湯面レベ
ル制御装置においては,溶鋼の湯面レベルを上記引抜き
速度制御系を用いて制御するに際して,予め学習済みの
第1のニューラルネットワークに上記操業因子の変化傾
向が入力されて,上記鋳型への溶鋼の注湯量が出力デー
タとして出力される。そして,出力された出力データに
基づいて上記注湯量を制御する第2の注湯量制御系が併
用される。従って,上記第2の注湯量制御系を併用する
ための,上記操業因子の変化傾向と上記出力データとの
関係に変更を生じた場合でも,これらの新たな関係を用
いて上記第1のニューラルネットワークの再学習を行う
だけで済む。第3の発明に係る鋳型湯面レベル制御装置
の構成において,連続鋳造機の定常時には,鋳型内の溶
鋼の湯面レベルが上記引抜き速度制御系を用いて制御さ
れる。そして,外乱等の印加により変化する上記操業因
子として,例えば引抜き速度の変化傾向が比較的ゆるや
かなときは,上記第3の注湯量制御系が所定のサンプリ
ング周期で併用されて引抜き速度がその設定値に周期的
に戻される。一方,上記引抜き速度の変化傾向が比較的
急激になったとき,ここで次の所定のサンプリング周期
まで第3の注湯量制御系の併用を持っていたのでは引抜
き速度がその許容限度に達する場合がある。そこで,こ
のとき上記第3の注湯量制御系は上記所定のサンプリン
グ周期よりも短周期で併用される。従って,上記引抜き
速度がその許容限度に達することを未然に防ぐことがで
きる。
【0015】第4の発明に係る鋳型内湯面レベル制御装
置においては,上記引抜き速度制御系に対する第4の注
湯量制御系の併用動作が,予め学習済みの第2のニュー
ラルネットワークに上記操業因子の変化傾向を入力して
演算された出力データに基づいて実行される。このと
き,外乱等によって変化する上記操業因子の変化傾向が
比較的ゆるやかなときは所定のサンプリング周期で上記
第4の注湯量制御系が併用される一方,上記操業因子の
変化傾向が比較的急激になったときに上記所定のサンプ
リング周期よりも短周期で上記第4の注湯量制御系が併
用されるように,上記第2のニューラルネットワークの
学習が行われているので,上記第4の注湯量制御系の併
用のサンプリング周期を設定・変更する場合も再学習に
より容易に設定変更することが可能である。上記第5の
発明の構成によれば,上記検出された湯面レベルの目標
値からの偏差が大きい時には上記第5の注湯量制御系が
用いられ,上記偏差が小さい時は上記引抜き速度制御系
が用いられる。又,上記偏差が比較的中間値の時は両制
御系が併用される。従って,上記偏差に応じて,そのと
き制御特性の良好な制御系を適宜用いて上記湯面レベル
の制御を行うことができる。第6の発明に係る鋳型内湯
面レベル制御装置においては,上記第1の制御モードと
上記第2の制御モードとの操業状態に応じた切換えの態
様についての経験則と少なくとも上記第6の注湯量制御
系のゲイン調整についての経験則とが予め記憶されてい
る。これは,連続鋳造機の操業状態によりそのとき有効
な制御モードの切換えの態様や上記操業状態の変化によ
り実情にあった制御ゲインも変化するのでこれらに対応
させるためである。そこで,上記連続鋳造機の操業状態
が検出されると,該検出された操業状態から上記各経験
則に従って適正な制御モードの切換えの態様及び適当な
制御ゲインの調整量が演算される。
【0016】第7の発明に係る連続鋳造機の鋳型内湯面
レベル制御装置においては,先ず湯面レベル変化傾向演
算手段が上記第4の制御モードから上記第3の制御モー
ドへ切換える前の湯面レベルの変化傾向を演算する。次
に,切換時注湯量演算手段が上記演算された湯面レベル
の変化傾向に応じて上記湯面レベルがその目標値に戻る
傾向を与える注湯量を演算し出力する。そして,他の所
定の条件が満たされていれば,上記第4の制御モードか
ら第3の制御モードに切換えられて上記湯面レベルが制
御される。即ち,当該制御モードの切換え時に上記湯面
レベルが強制的にその目標値に向けられるので,制御モ
ード(第4の制御モード)における湯面レベルの変動
が大きな場合にも,制御モード(第3の制御モード)
に切換えられた後には,湯面レベルがその目標値近傍に
抑えられ,この制御モードによる湯面レベル制御が安
定して継続される。第8の発明に係る連続鋳造機の鋳型
内湯面レベル制御装置においては,上記第6の制御モー
ドの場合,第11の注湯量制御系のみを用いて上記湯面
レベルが制御されるので,実際の引抜き速度は一定のま
まである。このときでも,上記検出された湯面レベルの
目標値からの偏差に応じた上記引抜き速度の想定操作量
を演算しておくことはできる。そこで,上記第6の制御
モードから上記第5の制御モードに切換える直前を想定
して演算された上記引抜き速度の想定操作量が0に近づ
いたとき,換言すれば上記湯面レベルがその目標値に向
けて目標値の近くに戻りつつある状態のとき,上記第6
の制御モードから上記第5の制御モードに切換えられ
て,湯面レベルが制御される。従って,第5の制御モー
ドに切換え直後においても上記湯面レベルをその目標値
に制御するための引抜き速度の実操作量が極めて小さく
て済む。第9の発明に係る連続鋳造機の鋳型内湯面レベ
ル制御装置においては,引抜き速度制御手段により引抜
き速度がその設定値に自動的に近づくように戻される。
しかも,制御ゲイン入力手段から任意に設定入力され
た,例えばフィードバックゲインや引抜き速度に係る時
定数等の制御ゲインの作用により引抜き速度の戻し方が
任意に決定される。一方,上記制御ゲインは,フィード
フォワード補償手段に対して上記引抜き速度の設定値か
らの偏差に応じて上記湯面レベルの変動を抑制するよう
にも設定されている。そこで,フィードフォワード補償
手段は,上記第12の注湯量制御系からの注湯量を補償
する補償量を上記設定された制御ゲインに基づいて演算
し出力する。従って,フィードバック制御により引抜き
速度がその目標値に向けて変更されても,湯面レベルは
安定して制御される。
【0017】
【実施例】以下添付図面を参照して,本発明を具体化し
た実施例につき説明し,本発明の理解に供する。尚,以
下の実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発
明の技術的範囲を限定する性格のものではない。ここ
に,図1は本発明の一実施例に係る連続鋳造機の鋳型内
湯面レベル制御装置を示す概略構成図,図2は上記鋳型
内湯面レベル制御装置の制御系統を示す制御ブロック
図,図3は上記鋳型内湯面レベル制御装置の第4制御器
が具備するニューラルネットワークの概念上の構成を示
す概念図,図4は上記ニューラルネットワークの学習に
用いられる複数の学習用の入力データと教師データとを
それぞれ対で示す説明図,図5は学習済のニューラルネ
ットワークに入力される制御時の複数の入力データとそ
のときの出力をそれぞれ対で示す説明図,図6は上記鋳
型内湯面レベル制御装置の引抜き速度制御系を用いて溶
鋼の湯面レベルを制御するに際して注湯量制御系を間欠
的に併用した場合の湯面レベルと引抜き速度変化量とを
示すグラフ図,図7は上記第4制御器が具備するニュー
ラルネットワークに溶鋼の鋳型内流下速度の時系列デー
タを入力データとして用いた場合の概念図,図8は図3
のニューラルネットワークを用いて湯面レベル制御を行
った場合の応答特性を示すグラフ図,図9は図7のニュ
ーラルネットワークを用いて湯面レベル制御を行った場
合の図8に対応するグラフ図,図10は上記鋳型内湯面
レベル制御装置の第4制御器が具備するニューラルネッ
トワーク統合システムの概念上の構成を示す概念図,図
11は上記ニューラルネットワーク統合システムを構成
するニューラルネットワーク内の,引抜き速度の検出値
の時系列データを入力するものの構成を示す概念図,図
12は上記ニューラルネットワーク統合システムの学習
に用いられる学習用の入力データ(「入力」)と教師デ
ータ(「出力」)とをそれぞれ対で示す説明図,図13
は上記鋳型内湯面レベル制御装置の引抜き速度制御系を
用いて溶鋼の湯面レベルを制御するに際して注湯量制御
系を間欠的に併用した場合の湯面レベル,引抜き速度補
正量,タンディッシュ重量,溶鋼温度及びストッパへの
開閉指令の経時変化を示すグラフ図,図14は上記ニュ
ーラルネットワーク統合システムについての変形例を示
す概念図,図15は図14のニューラルネットワーク統
合システムのエキスパートシステムに用いられる推論ル
ールの内容を示す説明図,図16は複数のエキスパート
システムより構成したエキスパートシステム統合システ
ムの概念上の構成を示す構成図,図17は上記鋳型内湯
面レベル制御装置の第4制御器が具備するサンプリング
周期切換え出力を演算可能のニューラルネットワークの
概念上の基本構成を示す概念図,図18は上記ニューラ
ルネットワークの入力層のニューロンの構成を詳細に示
す説明図,図19は上記ニューラルネットワークに短周
期で入力される入力層のニューロンの構成を示す説明
図,図20は上記図18のニューラルネットワークの学
習に用いられる複数の学習用の入力データと教師データ
とをそれぞれ対で示す説明図,図21は学習済の図18
のニューラルネットワークに入力される制御時の複数の
入力データとそのときの出力をそれぞれ対で示す説明
図,図22は上記鋳型内湯面レベル制御装置の引抜き速
度制御系を用いて溶鋼の湯面レベルを制御するに際して
注湯量制御系を周期可変に併用した場合の湯面レベル,
引抜き速度変化量及びアクチュエータ開閉パルス出力を
示すグラフ図,図23は上記鋳型内湯面レベル制御装置
が具備する制御器切換装置の概略構成を示すブロック
図,図24は上記制御器切換装置のルールベースに格納
されたルール例を示す図表,図25は上記鋳型内湯面レ
ベル制御装置を用いて溶鋼の湯面レベルを制御した場合
の湯面レベルと引抜き速度とを示すグラフ図,図26は
制御の切換え方法の説明図,図27は本実施例の制御系
の切換え方法を適用した場合と従来方法を適用した場合
の鋳型内の湯面レベル変動の比較図,図28は別の実施
態様を示す制御系の切換え方法の説明図,図29は図2
8に示す制御系の切換え方法に採用されたファジィメン
バシップ関数の対応図,図30は上記鋳型内湯面レベル
制御装置を用いて溶鋼の湯面レベルを制御した場合の湯
面レベル,引抜き速度及びストッパアクチュエータの開
閉パルス出力を示すグラフ図,図31は上記鋳型内湯面
レベル制御装置の別例を用いて溶鋼の湯面レベルを制御
した場合の湯面レベル,引抜き速度,引抜き速度の想定
操作量及びアクチュエータの操作量を示すグラフ図,図
32はFF速度補償器を備えた鋳型内湯面レベル制御装
置を示す概略構成図,図33は上記図32の鋳型内湯面
レベル制御装置の制御系統を示す制御ブロック図,図3
4は上記図32の鋳型内湯面レベル制御装置により湯面
レベルを制御したときの引抜き速度,ストッパ開度,ス
トッパアクチュエータへの開閉指令出力(連続的)の経
時変化を示すグラフ図,図35は引抜き速度制御系によ
る湯面レベル制御のシミュレーション結果を示し,
(a)は湯面レベルの目標値からの偏差から演算した引
抜き速度補正量による湯面レベル制御結果を示すグラフ
図,(b)は速度計により検出された引抜き速度による
湯面レベル制御結果を示すグラフ図である。但し,図3
6に示した連続鋳造機2と共通する構成要素には,同一
の符号を使用すると共に,その詳細な説明は省略する。
本実施例に係る連続鋳造機2の鋳型内湯面レベル制御装
置1は,図1及び図2に示す如く,鋳型3内に注入され
た溶鋼4の湯面レベルLを上記した引抜き速度制御系を
用いて制御するに際して,鋳片6の引抜き速度V,上記
タンディッシュ5近傍に設けられた重量計21からのタ
ンディッシュ重量Td(タンディッシュ5内の溶鋼4の
量に対応する),上記タンディッシュ5に設けられた温
度計27からの溶鋼温度ts,上記アクチュエータ15
によって作動されるストッパ10による後述のストッパ
開度補正量△S2 (注湯量に対応する)及び上記鋳型3
内の溶鋼4の湯面レベルL等の操業因子の変化傾向に基
づいて,上記した注湯量制御系を併用させる協調制御装
置11を主として備えている。
【0018】上記協調制御装置11は, この実施例では速度計7により検出された鋳片6の引
抜き速度Vの設定値V 0 からの速度偏差dVを入力とし
て引抜き速度補正量△V1 を演算し出力する第1制御器
22と, レベル計9により検出された鋳型3内の溶鋼4の湯面
レベルLの目標値L0からの湯面レベル偏差dLを入力
として鋳片6の引抜き速度補正量△V2 を演算し出力す
る第2制御器12(引抜き速度制御系の一例)と, 上記検出された湯面レベルLの目標値L0 からの湯面
レベル偏差dLを入力として上記ストッパ10によるノ
ズル20のノズル開度(以下,ストッパ開度という)の
補正量(ストッパ開度補正量)△S1 を演算し出力する
ストッパ制御系としての第3制御器23(第7,第9,
第11又は第12の注湯量制御系の一例)と, 上記引抜き速度Vの設定値V0 からの速度偏差dV,
上記タンディッシュ重量Td,上記温度計27より検出
された溶鋼温度ts,ストッパ開度補正量△S 2 及び湯
面レベルLの各変化傾向(経時履歴)をそれぞれ入力と
しこれらの変化傾向に基づいて上記ストッパ開度補正量
△S2 を演算し出力する第4演算器13(第1,第2,
第3,第4,第6,第8又は第10の注湯量制御系の一
例)と, 上記タンディッシュ重量Td,引抜き速度V,溶鋼温
度ts,ストッパ開度補正量△S2 及び湯面レベルLに
基づいて連続鋳造機2の操業状態を判断し該判断された
操業状態に応じて上記第1乃至第4制御器22,12,
23,13の内から制御に使用すべき制御器を選択し上
記湯面レベルLに対する制御系を切換える制御器切換装
置14とよりなっている。
【0019】上記連続鋳造機2の操業状態は以下の4つ
の操業状態A〜Dに大別することができる。例えば, A.鋳造開始時の操業状態。 B.定常時の操業状態。 C.突発的で大きな外乱が印加されたときの操業状態。 D.鋳造終了前の操業状態。 が挙げられる。更に大きく分けると定常時の操業状態B
と非定常時の操業状態A,C,Dとに分けることができ
る。定常時の操業状態Bにおいては,速度型PID制御
器よりなる第2制御器12が主として用いられ,非定常
時の操業状態A,C,Dにおいては,同じく速度型PI
D型制御器よりなる第3制御器23が主として用いられ
るようになっている。上記第1制御器22はゲインの低
いPID制御器よりなり,これによってこの第1制御器
22による引抜き速度Vの変化が湯面レベルLの制御に
できるだけ影響を与えないように上記引抜き速度Vを設
定値V0 にゆっくりと戻すようになっている。この第1
制御器22は非定常時(A,C,D)において上記第3
制御器23と併用される。この第1制御器22によって
上記引抜き速度Vを設定値V0に戻すことができ,それ
により上記第2制御器12を用いた引抜き速度制御系に
よる湯面レベルLの制御に移行させることができる。上
記第4制御器13は,定常時(B)に引抜き速度制御系
を用いて湯面レベルLを制御している場合に引抜き速度
が早く設定値近傍にとどまれるように,ストッパ10を
上記連続鋳造機2の操業因子,例えば,タンディッシュ
重量Td,溶鋼温度ts,ストッパ開度補正量△S2
び湯面レベルL等の各変化傾向に基づいて制御するよう
になっている。従って,上記第4制御器13には,少な
くとも例えば引抜き速度が当該設定値から±10%の範
囲に設定された制限値に向かう変化傾向を予め検出する
機能と,この引抜き速度V,タンディッシュ重量Td,
溶鋼温度ts,ストッパ開度補正量△S2 及び湯面レベ
ルL等の各変化傾向に基づいて上記ストッパ10を駆動
する機能とが必要である。上記引抜き速度V,タンディ
ッシュ重量Td,溶鋼温度ts,ストッパ開度補正量△
2 及び湯面レベルL等の各変化傾向を検出するために
は,各操業因子の種類により過去45〜600秒分の時
系列データが用いられる。これらの時系列データは第4
制御器13の図示せぬメモリに書換え・更新可能に格納
されている。定常時(B)の湯面レベル制御では,制御
モード(第1,第3又は第5の制御モードの一例)と
して引抜き速度制御系が用いられるため,このときの制
御状態に変化がなければストッパ10は前回設定された
ストッパ開度のままで静止している。従って,静止中の
ストッパ10を強制的に上下させて制御に介入させるこ
とにより,鋳型3への溶鋼4の注入量を急速に変更する
ことができる。
【0020】上記したように,操業因子の変化傾向の一
例となる引抜き速度の時系列データに基づいてストッパ
10の駆動量(上記溶鋼4の注湯量に対応)を決めるア
ルゴリズムとして,本実施例の第4制御器13では図3
に示すニューラルネットワーク16a (第1のニューラ
ルネットワークの一例)が採用されている。このニュー
ラルネットワーク16a はプログラムとして上記図示せ
ぬメモリに予め格納されている。ただし,上記引抜き速
度の変化傾向として,ここでは過去45秒分の引抜き速
度の時系列データが用いられる。なお,上記したような
アルゴリズムとして引抜き速度を閾値で判断する方法や
上記時系列データの回帰直線の傾きで判断する方法を上
記ニューラルネットワーク16a に替えて用いることも
できる。上記ニューラルネットワーク16a は,入力デ
ータを演算し出力する複数のニューロン17が,入力
層,中間層,出力層として概念上配置され,それぞれの
層間が連結部18を介して連結されている。そして,上
記ニューラルネットワーク16a は,上記引抜き速度V
の時系列データのパターンデータを入力データとし,当
該パターンデータが出現し入力されたときに上記引抜き
速度を設定値に戻すべく望ましいストッパの駆動指令
(鋳型への溶鋼の注湯量に対応)としての出力データに
対応した教師データを用い,これら両者の対応関係が上
記連結部18の連結重みを変更することにより学習され
る。上記ニューラルネットワーク16a の学習に用いた
代表的な17個の引抜き速度の時系列データのパターン
を図4に示す。上記17パターンの入力データのそれぞ
れの右側に付記された記号は,ストッパ10を駆動する
アクチュエータ15への望ましい出力の向きを表す教師
データであって,上向きの広幅矢印がストッパ開度の開
指令であり,下向きの広幅矢印がストッパ開度の閉指令
であり,丸が0(ストッパ開度現状維持)である。本実
施例では,上記したような17個の入力データとそれぞ
れに対応した教師データを用いてニューラルネットワー
ク16 a の学習が行われ,最終的に決定された連結重み
が図外のメモリに格納される。なお,丸印内の数字で示
す第1番目から第13番目のような典型的なパターンで
ある入力データについては,上記閾値や回帰直線の傾き
により判断するアルゴリズムでも表現することができる
が,第14番目以降の入力データを表現する場合,上記
閾値等による方法ではそのアルゴリズムが複雑になる。
また,さまざまなパターンの入力データを新たに追加す
る場合やパラメータ等を設定変更する場合も,アルゴリ
ズム等の設定作業が煩雑である。これに対し,上記ニュ
ーラルネットワーク16a によれば,対応する学習デー
タを新たに増やして連結重みの再学習を行うだけで済
む。
【0021】そこで,上記学習済のニューラルネットワ
ーク16a に制御時の入力データを入力したときに出力
層のニューロン17から出力された出力データの例をそ
れぞれ対として図5に示す。同図に示す入力データは図
4に示した入力データと同種のものであって,出力デー
タとして示す記号は図4の教師データの記号と同じ内容
を表している。この場合,7番目から11番目の如くノ
イズが重畳したパターンの入力データ,3番目から6番
目又は16番目から18番目のような急激に変化するパ
ターンの入力データあるいは12番目から14番目のよ
うに一過性の外乱を含むパターンの入力データといった
学習されていない入力データについてもストッパ10の
駆動指令方向を適切に出力することができる。従って,
上記ニューラルネットワーク16a はどのような状況下
においても適切な駆動指令を出力することが可能で,自
動制御に適しているといえる。そして,制御器切換装置
14は,検出された湯面レベルL,引抜き速度V,タン
ディッシュ重量Tdに基づいて現在の連続鋳造機2の操
業状態A〜Dを認識するためのルールをルールベース3
2(図23参照)に格納している。上記ルールの具体例
を図24に示す。そこで,上記制御器切換装置14は,
これまでの旧操業状態,及び湯面レベル偏差dL,速度
偏差dV,タンディッシュ重量Td又はその変化傾向T
Dと条件部が適合するルールを上記ルールベース32か
ら検索して抽出し,当該抽出されたルールの結論部の内
容を実行する。例えば,図24中に示すNo.3のルー
ルは,旧操業状態が定常(B)であって,上記タンディ
ッシュ重量Tdが5以下であるという切換え条件を満た
せば,例えば新操業状態が鋳造終了前(D)になったと
判断し,湯面レベルの制御を第2及び第4制御器12,
13を使用する現在の制御モード(第1,第3又は第
5の制御モードの一例)から第1及び第3制御器22,
23を使用する制御モード(第2,第4又は第6の制
御モードの一例)に切換えることを意味する。但し,上
記タンディッシュ重量の変化傾向TDは重量計21によ
り検出されたタンディッシュ重量Tdの時系列データの
回帰直線の傾きにより求めた。なお,上記ルール中にお
ける湯面レベル偏差dL,引抜き速度の速度偏差dV,
タンディッシュ重量Td又はその変化傾向TDの単位は
それぞれmm,%,トン又はトン/秒である。
【0022】そこで,連続鋳造機2の各操業状態A〜D
における鋳型内湯面レベル制御装置1による鋳型3内の
溶鋼4の湯面レベルLの制御動作につき以下説明する。
先ず,鋳造開始時(操業状態A)には,第1及び第3制
御器22,23が併用され,フィードフォワード制御あ
るいは手動制御によって湯面レベル制御が行われる。例
えば,鋳片6の引抜き速度Vをその設定値V0 に向けて
引き上げつつ溶鋼4の湯面レベル偏差dLを小さくする
ように,上記併用の制御が行われる。そして,制御器切
換装置14は,上記引抜き速度Vと湯面レベルLとが所
定の範囲内に入れば,操業状態が鋳造開始時(A)から
定常時(B)に移行したと判定し,制御器を第1及び第
3制御器22,23から第2及び第4制御器12,13
に切換える。この定常時(B)には,主として第2制御
器12が,レベル計9により検出された湯面レベルLの
目標値L0 からの湯面レベル偏差dLに応じて鋳片6の
引抜き速度Vを所定の演算周期で制御することにより,
上記湯面レベルLの変動を抑える。一方,第4制御器1
3は,速度計7により検出された上記引抜き速度Vの設
定値V0 からの速度偏差dVに応じてストッパ10のス
トッパ開度を調整して鋳型3への溶鋼4の注湯量を制御
する。上記第4制御器13による注湯量の制御は,鋳片
6の引抜き速度Vの時系列データに基づいて上記ニュー
ラルネットワーク16a により演算され出力されたスト
ッパ駆動指令に従って制御される。上記したような定常
時(B)において第2制御器12を用い第4制御器13
を間欠的に併用する制御モードによる湯面レベル制御
の一例を図6に示す。同図では,湯面レベル,引抜き速
度補正量,上記ニューラルネットワーク16a からの出
力であって上記ストッパ10を駆動するアクチュエータ
15(ステッピングモータ)へ出力される開閉パルス
(上向きの黒塗り矢印は開動作を示し,下向きの黒塗り
矢印(図外)は閉動作を示す)の出力時点のそれぞれの
経時履歴が示される。同図によれば,定常時に湯面レベ
ルを上記引抜き速度を用いて制御しつつ,引抜き速度の
変化傾向に基づいて適宜且つ適時に溶鋼4の注湯量を介
入制御する注湯量制御系を併用することにより,上記し
たように溶鋼4の流量特性の変化に伴って変動する引抜
き速度をその変化量の許容範囲内で常に設定値に戻すよ
うに制御することができる。これによって,湯面レベル
Lに対する制御精度のよい引抜き速度制御系による制御
を長期間継続させることができる。
【0023】一方,上記第4制御器13のニューラルネ
ットワークへの入力データである操業因子の変化傾向と
しては,上記引抜き速度Vの時系列データに代えて,図
7に示すように,上記引抜き速度Vと上記湯面レベル偏
差dLの時間微分値d(dL)/dtの和として,以下
に示す式(1)により計算される溶鋼4の鋳型内流下速
度vL の時系列データをニューラルネットワーク16f
の入力データとして用いることも可能である。 vL =V+d(dL)/dt ・・・(1) この場合も,図4に示したと同様のパターンデータを上
記鋳型内流下速度vLの時系列データに関する学習用入
力データとし,上記パターンデータに付記して表示され
たストッパ10の駆動指令を教師データとして用いてニ
ューラルネットワーク16f の連結重みの学習を予め行
っておけばよい。上記構成によれば,演算時刻毎に計算
され時系列データとして記憶されている鋳型内流下速度
L の変化傾向が,例えば溶鋼4が鋳型3へ流下しにく
くなったことにより上記引抜き速度の設定値V0 から離
れる低下傾向になる場合,上記引抜き速度の設定値V0
からの鋳型内流下速度vL の偏差に応じて上記ストッパ
開度が上記ニューラルネットワーク16f により演算さ
れ出力されて鋳型3への溶鋼4の注湯量が増加される。
これにより,上記鋳型内流下速度vL が引抜き速度の設
定値V0 に近づけられることによって,これまで上記鋳
型内流下速度vL に対応して低下傾向にあった上記引抜
き速度Vがその設定値V0 に向けて戻される。ところ
で,上記湯面レベルLを上記引抜き速度制御系と上記注
湯量制御系とを併用して制御するに際し,鋳型3内の溶
鋼4の流下量に外乱が発生した場合を考える。上記引抜
き速度Vのアクチュエータには急な速度変更を防止する
ための遅れ要素がある。そのため,前述したように,湯
面レベルLを上記速度計7で検出された引抜き速度Vを
用いて制御した場合,制御の遅れを避けることができな
い。そのため,上記外乱が発生した場合に注湯量制御が
行われたとしても,図8に示すように,湯面レベルL及
び引抜き速度Vが一時的に比較的大きく変動することが
ある。一方,当該実施例のように,上記湯面レベルLを
この湯面レベルLの時間変化を反映し上記引抜き速度V
に対応した鋳型内流下速度vL により制御すると,図9
に示すように,先の実施例のような制御の遅れが解消さ
れる。従って,外乱抑制性が向上する。
【0024】一方,上記したように格納された上記連続
鋳造機2の複数種の操業因子の各時系列データに基づい
てストッパ10の駆動量(上記溶鋼の注湯量に対応)を
決めるアルゴリズムとして,本実施例の第4制御器13
では図10に示すように,複数のニューラルネットワー
ク16〜16e により統合されたニューラルネットワー
ク統合システム36が採用されている。このニューラル
ネットワーク統合システム36はプログラムとして上記
図示せぬメモリに予め格納されている。なお,上記した
ようなアルゴリズムとして引抜き速度V,タンディッシ
ュ重量Td,溶鋼温度ts,ストッパ開度補正量△S2
及び湯面レベルLの各変化傾向をそれぞれの閾値で判断
する方法やそれぞれの時系列データの回帰直線の傾きで
判断する方法を上記ニューラルネットワーク統合システ
ム36全体又は個々のニューラルネットワーク16〜1
e に替えて用いることもできる。先ず内容の理解を容
易にするために,上記ニューラルネットワーク統合シス
テム36の内の,ストッパ開度出力側のニューラルネッ
トワーク16と,引抜き速度Vの時系列データを入力デ
ータとする上記ニューラルネットワーク16a のみとの
接続構成例を図11に示す。また,タンディッシュ重量
Td,溶鋼温度ts,ストッパ開度補正量△S2 及び湯
面レベルLの各時系列データについても,上記引抜き速
度Vの時系列データを入力データとするニューラルネッ
トワーク16a と同様な構造を持つそれぞれのニューラ
ルネットワーク16b 〜16e の入力データとして用い
られ,各々上記引抜き速度Vの時系列データの場合と同
様な手法でそれぞれ独立に学習に供される。個別に学習
が終了された各ニューラルネットワーク16a 〜16e
は,上位のニューラルネットワーク16とともにニュー
ラルネットワーク統合システム36(図10)として結
合される。なお,上記ニューラルネットワーク統合シス
テム36全体についても学習を行う必要があり,この場
合には,図4に示した如くの学習用データとは別の学習
用データが必要である。
【0025】例として,引抜き速度Vに関するニューラ
ルネットワーク16a による演算結果(即ち,ニューラ
ルネットワーク16への入力)がストッパ10に何も指
令を出さない場合(図中0で示す)であったとしても,
ストッパ10に対してなんらかのアクションをとった方
がよい場合を考えてみる。この場合の学習用データの例
を図12に示す。尚,図中入力として示される各操業因
子は,各ニューラルネットワーク16a 〜16e により
演算された演算結果であって,ニューラルネットワーク
16への入力を示す。出力として示されるのはニューラ
ルネットワーク16による演算結果である。図中「0及
び矢印」はストッパ10の動作指令(アクション)を示
し,「0」は「ストッパ開度現状維持」,「↑」は「ス
トッパ開度の開指令を出力する」,「↓」は「ストッパ
開度の閉指令を出力する」である。尚,入力側の矢印に
ついても各操業因子の変化傾向により判断されたストッ
パ開度の望ましいアクション方向を示している。同図に
示す学習用データのケースは,種類の異なる溶鋼に切
替えた直後あるいは鋳造開始直後などにおいてタンディ
ッシュ5内の湯面が低位から上昇しこれに伴ってタンデ
ィッシュ重量Tdが上昇している場合を示している。タ
ンディッシュ重量Tdが上がると溶鋼4が流れやすくな
るので,ストッパ開度を小さく(下向き矢印)した方が
引抜き速度変化が少なくて済む。同様に溶鋼4を流れや
すくする原因として,溶鋼温度tsの上昇(ケース)
も考えられる。この場合も,ストッパ開度を小さく(下
向き矢印)した方がよい。また,プロセス全体としては
何も変化していないが,その変化していない状態が過去
にストッパ開度を大きくし続けていたと言う経時履歴が
関与していた場合(ケース),次にとるべきアクショ
ンもやはりストッパ10を開け続ける(上向き矢印)方
がよいと思われる。これと同様にタンディッシュ重量T
dが上昇し(溶鋼が流れやすくなり(下向き矢印)),
溶鋼温度tsが低下する(溶鋼が流れにくくなる(上向
き矢印))ような相反する現象が同時に発生した場合
(ケース)も,過去の各操業因子の経時履歴に基づい
て上記アクションが決定される(この場合,ストッパ開
度の開指令を出力する)ようになっている。そして,上
記定常時(B)には,第2制御器12が,レベル計9に
より検出された湯面レベルLの目標値L0 からの湯面レ
ベル偏差dLに応じて鋳片6の引抜き速度Vを所定の制
御周期で制御することにより,上記湯面レベルLの変動
を抑える。一方,第4制御器13は速度計7より検出さ
れた上記引抜き速度Vの設定値V0 からの速度偏差d
V,重量計21より検出されたタンディッシュ重量T
d,温度計27より検出された溶鋼温度ts,ストッパ
開度補正量△S2 及び湯面レベルLの各時系列データ
(変化傾向)に基づいてストッパ10のストッパ開度を
調整して鋳型3への溶鋼4の注湯量を制御する。上記第
4制御器13による注湯量の制御は,上記鋳片6の引抜
き速度V,タンディッシュ重量Td,溶鋼温度ts,ス
トッパ10のストッパ開度補正量△S2 及び湯面レベル
Lの各時系列データに基づいて上記ニューラルネットワ
ーク16〜16e を構成単位とする上記ニューラルネッ
トワーク統合システム36により演算され出力されたス
トッパ駆動指令(△S2 )に従って実行される。
【0026】上記したような定常時(B)において第2
制御器12を用い第4制御器13を間欠的に併用するこ
とによる湯面レベル制御の一例を図13に示す。同図で
は,湯面レベル,引抜き速度補正量,タンディッシュ重
量,溶鋼温度,或いは上記ニューラルネットワーク16
からの出力であって上記ストッパ10を駆動するアクチ
ュエータ15へ出力される開閉パルス(上向きの黒塗り
矢印は開動作を示し,下向きの黒塗り矢印(図外)は閉
動作を示す)の出力時点といったそれぞれの経時履歴が
示される。同図はニューラルネットワーク統合システム
36の学習用入力データの,例えばケースの操業状態
を示している。即ち,定常時に湯面レベルを上記引抜き
速度を用いて制御しつつ,上記連続鋳造機2の複数の操
業因子の変化傾向といった多くの情報に基づいて適切且
つ適時に溶鋼4の注湯量を間欠的に制御することによ
り,上記したように溶鋼4の流量特性の変化に伴って変
動する引抜き速度を,連続鋳造機2の操業状態の実情に
則して適応性よく,その許容範囲内で常に設定値に戻す
ように制御することができる。これによって,湯面レベ
ルLに対する一層制御精度のよい引抜き速度による制御
を極めて長時間継続させ得ることが判る。
【0027】尚,上記実施例において,ニューラルネッ
トワーク統合システム36を構成するニューラルネット
ワーク16〜16e のいずれか又は全てをif・the
n型の推論ルールを用いたエキスパートシステムに替え
た構成とすることも可能である。例えば,上記ニューラ
ルネットワーク統合システム36のニューラルネットワ
ーク16をエキスパートシステム28に代替した構成の
ニューラルネットワーク統合システム36a を図14に
示す。当該システム36a のエキスパートシステム28
では,各ニューラルネットワーク16a 〜16e からの
演算結果(各操業因子からみたストッパ10への望まし
い動作指令方向)をif部の内容とし,then部の内
容としてストッパ10への動作指令を表す推論ルールを
図外の知識ベースに備えている。これらの推論ルールの
例を図15に示す。同図に例示した推論ルールの内容
(ケース〜ケース)は,ニューラルネットワーク統
合システム36に用いた学習用データ(ケース〜ケー
ス;図12参照)の内容と対応している。ただし,図
15中の横向きの矢印は「ストッパ開度現状維持」の動
作指令を示し,図12中の「0」と同じ内容である。
又,図16に示すように,全てをエキスパートシステム
ES,ES1〜ES5により構成したエキスパートシス
テム統合システム38を採用してもよい。そして,これ
まで述べた実施例では,連続鋳造機2の操業因子の変化
傾向として,タンディッシュ重量,溶鋼温度,ストッパ
動作(本発明の注湯量に相当する),湯面レベルの各時
系列データ(各変化傾向)を全て用いたが,上記操業因
子の変化傾向としては,これらの変化傾向の任意の種類
の組合わせを用いても構わない。更に,上記操業因子の
一部については,各種のセンサにより検出された検出値
に限定されず,例えば演算された演算値或いは予測値を
用いることも可能である。
【0028】ここで,上記したように所定のサンプリン
グ周期の間に突発的で大きな湯面レベルの変動に対処し
得るニューラルネットワークの構成例につき以下説明す
る。ここでは,図17に示すニューラルネットワーク1
g (第2のニューラルネットワークの一例)が用いら
れる。ただし,上記ニューラルネットワーク16gの入
力データとしては,湯面レベルの変化傾向が比較的ゆる
やかなときに対応して,過去45秒分の引抜き速度の時
系列データが用いられる。又,出力層のニューロンとし
て,上記サンプリング周期の切換えデータを出力するニ
ューロン17 a も新たに設けられている。そして,定常
時(B)において,湯面レベルの変化傾向が比較的ゆる
やかなときは,図18に示すように,上記時系列データ
の内,5秒間隔の引抜き速度の10個のデータがニュー
ラルネットワーク16g の入力層のニューロン(t1
10)の入力データとして用いられる。ただし,図20
の学習用の時系列データの内,突発的で大きな湯面レベ
ル変動が発生する前逃とされる時系列データは,第2〜
5,10,11,15及び17番目に示す※印を付した
8つのパターンである。これらの5秒間隔(計45秒
間)のデータよりなるパターン若しくはこれらに類似し
たパターンが出現すると,いずれも早急に上記注湯量制
御系を介入させて併用制御しなければ,上記引抜き速度
がその許容限度を超えてしまう。そこで,上記ニューラ
ルネットワーク16g では,上記※印を付したパターン
若しくはこれらに類似したパターンが入力されて認識さ
れると,入力データを入力させる入力層のニューロン1
7が,5秒間隔に相当する10個のニューロン17(t
10〜t1 )から,図19に示すように,現時点より最も
近い過去5秒間分の0.1秒間隔に相当する51個のニ
ューロン17(t10〜t9 )に切換えられるように,出
力層のニューロン17a を用いて上記の如くサンプリン
グ周期を切換えるための学習が予め行われている。実際
上,速度計7からの引抜き速度Vは常時0.1秒毎にサ
ンプリングされ上記メモリに格納されている。また,上
記t10からt9 までのニューロン17の学習用の時系列
データ及びこれらに対応する教師データとしては,図2
0のパターンデータと同様のパターンであって,時間軸
を0〜−45秒から0〜−5秒に交換した代表的な17
種類の0.1秒周期の時系列データ及び出力データが使
用された。又,図21に示した18種類のデータは学習
済みのニューラルネットワーク16g の検証用のデータ
である。
【0029】上記したような定常時(B)において第2
制御器12を用い第4制御器13を周期的に併用するこ
とによる湯面レベル制御の一例を図22に示す。同図で
は,湯面レベル,引抜き速度補正量,上記ニューラルネ
ットワーク16からの出力であって上記ストッパ10を
駆動するアクチュエータ15へ出力される開閉パルス
(上向きの黒塗り矢印は開動作を示し,下向きの黒塗り
矢印(図外)は閉動作を示す)の出力時点のそれぞれの
経時履歴が示される。同図によれば,定常時に湯面レベ
ルを上記引抜き速度によって主として制御しつつ,引抜
き速度の変化傾向に基づいて適切且つ適時に溶鋼4の注
湯量を介入制御することにより,期間aに示すように溶
鋼4の流量特性の変化に伴って変動する引抜き速度をそ
の変化量の許容範囲内で常に設定値に戻すように制御す
ることができる。これによって,湯面レベルLに対する
制御精度のよい引抜き速度制御系による制御を長期間継
続することができる。一方,上記定常時(B)の操業中
に,時刻T1 直前においてストッパ10の突発的な欠損
等により湯面レベルLが大きく上昇し,これを制御すべ
く引抜き速度が急激に変更される変化傾向(過去45秒
前までの時系列データ)が,ニューラルネットワーク1
g に入力され,この変化傾向が図20の※印を付した
パターンデータ若しくはこれらに類似するパターンデー
タであったとき,入力層のデータ入力用のニューロン1
7が,0.1秒間隔で計5秒間に相当するt10〜t9
ニューロン17に切換えられる(時刻T1 )。それによ
り,上記ニューラルネットワーク16g によるサンプリ
ング周期が5秒周期から0.1秒周期に切換えられ,従
って上記第4制御器13を介入させる併用周期が期間b
の間0.1秒になる。それにより,上記引抜き速度補正
量がその許容限度(ここでは設定値に対して+10%)
に達する前に,上記引抜き速度補正量を設定値に向けて
戻すことができる。そのため,上記ストッパ制御系によ
る湯面レベル制御への切換えを未然に防ぎ,定常時
(B)としての操業を継続させることができた。そし
て,時刻T2 においてt10〜t9 のニューロン17に入
力された時系列データが,例えば,図20の※印を付し
た以外のパターンデータ等であったとき,即ち最早0.
1秒の短周期で介入制御する必要がなくなったとき,ニ
ューラルネットワーク16g への入力は,5秒間隔の1
0個(t10〜t1 )分の引抜き速度補正量の時系列デー
タに切換えられて,5秒周期の注湯量制御系の併用が再
開される(期間c)。ただし,上記注湯量制御系の併用
周期の切換えタイミングは,上記実施例では図20の※
印を付したパターンデータに付随させてニューロン17
a の出力として予め学習させたが,これに代えて,例え
ば図24に示したルールにより新操業状態が非定常時
(C)と認識された時点を上記併用周期の切換えタイミ
ングとすることも可能である。この実施例においても,
サンプリング周期の切換え動作がニューラルネットワー
ク16g により実行されるので,従来技術において述べ
たような手間のかかる統計式やパラメータの設定・変更
を必要としない。
【0030】一方,上記制御器切換装置14は,上記タ
ンディッシュ重量Td,上記引抜き速度V,湯面レベル
Lに基づいて連続鋳造機2の操業状態を判断し該判断さ
れた操業状態に応じて上記第1乃至第4制御器22,1
2,23,13を選択するための制御モードの切換え信
号及び少なくとも第4制御器13の制御ゲインKp を調
整するためのゲイン調整信号を出力し,上記切換え信号
及びゲイン調整信号に基づいて上記湯面レベルLの制御
モードの切換えと上記制御ゲインの調整を行うようにな
っている。そして,上記制御器切換装置14は,検出さ
れた湯面レベルL,引抜き速度V,タンディッシュ重量
Tdに基づいて現在の連続鋳造機2の操業状態を認識す
るために,当該操業状態に応じた制御モードの切換えの
態様についての経験則(図24のルール1〜ルール6)
及び上記第4制御器13のゲイン調整についての経験則
(図24のルール7〜ルール9)としてのルールをルー
ルベース32に格納している。上記ルールの具体例を図
24に示す。そこで,上記制御器切換装置14の推論エ
ンジン31は,これまでの旧操業状態に応じた制御モー
ド,及び湯面レベル偏差dL,速度偏差dV,タンディ
ッシュ重量Tdの変化傾向TD等で表される操業因子と
条件部が適合するルールベース32から前向き推論によ
り検索して抽出し,当該抽出されたルールの結論部の内
容を実行する。尚,上記制御器切換装置14は,検出さ
れた湯面レベルL,引抜き速度V,タンディッシュ重量
Tdから以下に示す数値を推論に先立って演算し図外の
メモリに格納しておく。 dL・・・湯面レベルの目標値からの偏差〔mm〕 dLa ・・・dLの所定期間平均値 dL´・・・dLの一階微分値〔mm/s〕 dV・・・引抜き速度の設定値からの偏差〔mm/s〕 Vp ・・・dVの設定値に対する割合〔%〕 dV´・・・dVの一階微分値〔mm/s2 〕 Td・・・タンディッシュ重量〔ton〕 TD・・・タンディッシュ重量の変化傾向〔ton/m
in〕 Kp ・・・第4制御器13の制御ゲイン
【0031】本実施例における連続鋳造機2の鋳型内湯
面レベル制御装置1の制御動作につき図25をも参照し
つつ以下説明する。例えば上記制御モードの第2及び
第4制御器12,13の併用による湯面レベル制御中
に,時刻t0 において鋳型3への溶鋼の流入量に外乱を
生じ,これによって湯面レベルLの偏差dLが大きくな
った場合を考える。この場合,上記偏差dLを小さくす
るべく第2の制御器12により引抜き速度Vが大きくさ
れるが,それでも上記湯面レベルLの上昇を抑えきれ
ず,上記偏差dLの所定区間平均値dLa が例えば1m
mを超え,且つ上記偏差の一階微分値が+1.0mm/
secよりも大きくなったとき,即ち湯面レベルLが目
標値L 0 から離れる傾向にあるとき,上記推論エンジン
31は前向き推論によって上記の内容と条件部が満足す
るルール4(図24)をルールベース32から抽出し,
上記制御器切換装置14は,上記抽出されたルール4の
結論部の内容(制御モードからへの切換え指令)を
基に,湯面レベル制御を現行の制御モードから制御モ
ードに切換える。制御モードになると,上記引抜き
速度Vは第1制御器22の作用により徐々に戻されて設
定値V0 にほぼ一定される。一方,湯面レベルLは第3
制御器23のみにより,上記偏差が小さくなるように制
御される。この場合,第3制御器23は,湯面レベルL
を下げるようにストッパ開度を小さくするためのアクチ
ュエータ15へ閉動作指令信号(閉パルス)を出力す
る。
【0032】他方,上記制御モードにおいて,上記引
抜き速度偏差の設定値からの割合V p が±0.1%以内
になり且つ湯面レベルの偏差の所定期間平均値dLa
例えば0.1mm以下に収まったとき(図25中の時刻
1 ),推論エンジン31はルールベース32からルー
ル1(図24)を抽出し,その結論部の内容が制御器切
換装置14に出力されて制御モードから切換えられた
制御モードによって湯面レベルが制御される。そし
て,上記制御装器切換装置14は,制御モードによる
操業中にタンディッシュ重量の変化傾向TDが急増(T
D>1.0ton/min)又は急減(TD<−1.0
ton/min)したときにも湯面レベルに大きな変動
を期たさないように,ルール7又はルール8により上記
第4制御器13の制御ゲインKp が変更(増加)され
る。これにより,引抜き速度の変化に対する注湯量の感
度が増加され,このような場合の湯面レベルの変動が極
力抑制される。尚,上記タンディッシュ重量の変化傾向
TDが±1.0ton/min以内になると,上記制御
ゲインKp はルール9により元の設定値に戻される。更
に,上記実施例以外に,各制御モードにおける各種の操
業因子に係る制御ゲインを連続鋳造機2の操業状態に応
じて切換えるように構成することも可能である。例え
ば,引抜きロール8駆動用のアクチュエータ(不図示)
とストッパ開度変更用のアクチュエータ15への入力と
して,次の各式により演算することもできる。 ストッパ開度変更量=K1*(湯面レベル偏差)+K2* (湯面レベル偏差の微分値)+K3*(引抜き速度)+K4* (引抜き速度の微分値)+K5*(フィードフォワード補償器の演算値) ・・・(2) ただし,制御モードにおいて第3制御器23のストッ
パ制御によって湯面レベルLが安定化される際に引抜き
速度が変動するが,図示せぬフィードフォワード補償器
が,上記変動した引抜き速度Vが第1制御器22により
設定値V0 に戻されるときの湯面レベルへの影響を補償
する。 引抜き速度変更量=k1*(湯面レベル偏差)+k2* (湯面レベル偏差の積分値)+k3*(引抜き速度) +k4*(引抜き速度の積分値) ・・・(3) (2)式,(3)式のそれぞれの制御ゲインK1〜K
5,k1〜k4は操業状態に応じた経験値の組合せとし
て,そのときの操業状態と対で例えば上記ルールベース
32に予め格納されている。
【0033】そして,そのとき検出された操業状態に応
じて適宜の組合せの制御ゲインがルールベース32から
抽出され,上記ストッパ開度変更量(制御モード)若
しくは引抜き速度変更量(制御モード)の演算に用い
られる。このような構成を採ることによって,操業状態
に応じた適正な制御モードの切換え及び制御ゲインの調
整が人手をわずらわせることなく自動的に行われる。そ
の結果,より精緻な湯面レベル制御が実現される。尚,
上記実施例では,経験則に従って制御モードの切換えや
制御ゲインの調整を行うアルゴリズムとして,推論エン
ジン31及びルールベース32を備えたエキスパートシ
ステムの例を挙げたが,このようなアルゴリズムとして
は,上記エキスパートシステムに代えて,例えば,上記
操業状態を入力データとしこれと対で制御モードの切換
え態様や制御ゲイン調整を出力データ及び教師データと
するニューラルネットワークを使用することもできる。
ただしこの場合,上記経験則はニューラルネットワーク
の学習により決定された連結重みに集約されて記憶され
る。
【0034】一方,上記制御器切換装置14は,上記ス
トッパ制御系(第5の注湯量制御系の一例)と上記引抜
き速度制御系を切換えるためのルールやファジィルール
を上記ルールベース32に格納することも可能である。
そこで,図24に示したルールに代えて,例えばファジ
ィルール等を用いてこれらの制御系の切換えを行うこと
もできる。上記引抜き速度制御系とストッパ制御系の切
り換えは,レベル計9により検出された湯面レベルの目
標値からの偏差の大きさにより行われる。図26は偏差
の大きさを基にした切り換え基準を示す説明図で,偏差
が大きく±Cゾーンにある時はストッパ制御系のみを用
い,偏差が小さく±Aゾーンにある時は引抜き速度制御
系のみを用い,偏差がそれらの過渡状態(中間値)の±
Bゾーンにある時はストッパ制御系と引抜き速度制御系
の両制御系を併用して行うように推論エンジン31を用
いて演算し切り換え制御する。そして更に,偏差が過渡
状態の±Bゾーンにある時には,制御の切り換えを滑ら
かにし湯面レベルに外乱を与えないようにするため,両
制御系のゲイン調整が行われる。即ち偏差が前回計測時
にCゾーンにあった場合,ストッパ制御系のゲインをそ
のまま保持または少し弱めにし,引抜き速度制御系のゲ
インを弱めにする。また前回計測時にBゾーンにあった
場合は,引抜き速度制御系のゲインを相対的に高めに設
定する。更に前回計測時にAゾーンにあった場合は,上
記Cゾーンにあった場合とは逆に,引抜き速度制御系の
ゲインをそのまま保持または少し弱めにし,ストッパ制
御系のゲインを弱めにする。この実施例の方法を用いて
連続鋳造した結果,従来の例えばPI制御のみを用いた
場合と比較して図27に示すように,従来では鋳型内湯
面レベルが±6mm前後と大きく変動したのに対し,こ
の実施例では±2mm以内と安定して保持することがで
きた。尚,この実施例において,例えば偏差が±3mm
以内にある時は引抜き速度制御系を使用し,±3mm〜
±5mmの範囲にある時は引抜き速度制御系とストッパ
制御系とを併用し,±5mmの範囲外にある時はストッ
パ制御系を使用するようにした。尚,上記実施例では,
ストッパ制御系にPID制御を用いた例を説明したが,
PID制御のゲインを上げる制御を採用してもよい。し
かし,この場合には偏差がCゾーンにある場合,ゲイン
を上げるとノイズを増幅させることとなり危険を伴う。
そこで,偏差の大きさに応じて操作量を加えるファジィ
ルールを採用してもよい。例えば,図28に示すよう
に,CゾーンをさらにC1 ,C2 ,C3 に分け,偏差が
+C3 ゾーンにある時は操作量PBを,偏差が+C2
ーンにある時は操作量PMを,偏差が−C3 ゾーンにあ
る時は操作量NBを,偏差が−C2 ゾーンにある時は操
作量NMを,また偏差が±C1 ゾーンにある時は操作量
Zを加えるようなファジィルールが適用される。但し,
ルールの結論部には図29に示すようなファジィメンバ
ーシップ関数が対応し,5〜10秒間程度のデータから
得られた結果が合成され,重心を採って出力とされる。
【0035】そして,本実施例装置が備えた他の特徴的
な構成は,レベル計9により検出された湯面レベルLの
目標値L0 からの偏差の時間微分値d(dL)/dt
(即ち,本発明にいう湯面レベルの変化傾向の一例)が
制御器切換装置14(本発明の湯面レベル変化傾向演算
手段の一例)により所定のサンプリング時刻毎に演算さ
れ図外のメモリに格納されていることと,上記制御モー
ドから制御モードへ切換える前に演算された上記偏
差の時間微分値d(dL)/dtに応じて,そのときの
湯面レベルLがその目標値L0 に戻る傾向を与える注湯
量に対応したアクチュエータ15への補償開閉パルスの
出力量Uが上記制御器切換装置14(本発明の切替注湯
量演算手段の一例)により以下に示す(4)式から演算
され第4制御器13を介してアクチュエータ15に出力
されるようになっていることである。 U=α・(d(dL)/dt) ・・・(4) ここで,α:比例定数 尚,上記比例定数αは,上記時間微分値d(dL)/d
tに応じてそのときの湯面レベルLがその目標値L0
戻る傾向を与える注湯量を得るように,実験等により予
め決定され設定されている。そこで,図30に示すよう
に,例えば上記制御モードによる湯面レベル制御中
に,時刻t0 において鋳型3への溶鋼4の流入量に外乱
を生じ,これによって湯面レベルLの目標値L0 からの
偏差dLが大きくなった場合を考える。この場合,上記
偏差dLを小さくするべく第2制御器12により引抜き
速度Vが大きくされるが,それでも上記湯面レベルLの
上昇を抑えきれず,上記偏差dLが例えば3mmを超え
たとき,制御器切換装置14はNo.2のルール(図2
4)を適用して,制御モードから制御モードに切換
える。同時に,実際の引抜き速度Vは上記第1制御器2
2の作用により徐々に戻されて上記設定値で一定にされ
る。一方,上記湯面レベルLは制御モードにおける第
3制御器23のみにより,目標値L0 との偏差dLが小
さくなるように制御される。この場合上記第3制御器2
3は湯面レベルLを下げるようにストッパ開度を小さく
するためのアクチュエータ15の閉動作指令信号(閉パ
ルス)を出力する。
【0036】それにより,上記湯面レベルLは,数多く
出力された閉パルスKの作用によって低下していく。そ
して,上記引抜き速度が設定値に一定であり(dV=
0)且つ上記湯面レベルの偏差dLが0という切換え条
件を満たしたとき(図中,時点Pにて示す),制御器切
換装置14は制御モードから制御モードに切換えて
湯面レベルLの制御を行う。このとき,上記制御器切換
装置14は,上記時点Pにおいて演算した上記偏差の時
間微分値d(dL)/dtに応じて,(4)式から上記
補償開閉パルスの出力量Uを演算し,上記第4演算器1
3を介してアクチュエータ15に出力する。それによ
り,上記制御モードに切換えられた後の湯面レベルL
は上記出力量Uの作用により,当該出力量Uが出力され
なかった場合に想定される湯面レベルの軌跡Sのように
逆方向(この場合,負の方向)に行き過ぎることがな
く,当該目標値L0 近傍に落ちつくため,再び制御モー
ドに切換えられることがなく,上記制御モードによ
る湯面レベル制御を安定して継続させることができる。
尚,本実施例の連続鋳造機2におけるアクチュエータ1
5への開閉パルスは図33,34,38,40,42,
45中の各1本につき,ストッパ10の移動距離が一定
となるように設定されているので,ストッパ開度は上記
開閉パルスの開閉方向及び出力本数により決定される。
同時に,上記補償開閉パルスの出力量Uも上記開閉パル
スの開閉方向及び出力本数により決定される。ただし,
上記出力量Uに係る開閉パルスとしては,一度に連続し
た時間分出力してもよいし,複数回に分けて出力しても
よく,開閉パルスの出力時間の合計が上記出力量Uに対
応して等しければよい。更に,上記実施例では,上記制
御モードから制御モードへの湯面レベルに関する切
換え条件として,湯面レベルの偏差dL=0を用いた
が,これに限定されず,上記切換え条件としては,例え
ば制御モードにおけるある時刻aから時刻bまでの上
記偏差の区間平均値dLavを以下に示す(5)式より求
め,そのとき同時に求めた偏差dLの値が当該区間平均
値dLavと一致したときを上記切換え条件として採用す
ることも可能である。
【数1】
【0037】また,本実施例装置が備えた更に別の特徴
的な構成は,制御モードにより制御中にも,引抜き速
度の想定操作量dVa が,以下に示す(6)式のよう
に,レベル計9により検出された湯面レベルLの目標値
0 からの偏差dLと該偏差の時間微分値d(dL)/
dtとの和に基づいて上記制御器切換装置14により演
算されていることと,上記制御モードから制御モード
への切換え前に上記演算された引抜き速度の想定操作
量dVa が0に近づいた時,上記制御切換装置14によ
り制御モードから制御モードへ切換えられるように
なっていることである。 dVa =Kp ・{dL+d(dL)/dt} ・・・(6) ここで,Kp ;比例定数
【0038】そこで,図31に示すように,例えば上記
制御モードによる湯面レベル制御中に,時刻t0 にお
いて鋳型3への溶鋼4の流入量に外乱を生じ,これによ
って湯面レベルLの目標値L0 からの偏差dLが大きく
なった場合を考える。この場合も先の実施例と同様に,
上記偏差dLを小さくするべく第2制御器12により引
抜き速度Vが大きくされるが,それでも上記湯面レベル
Lの上昇を抑えきれず,上記偏差dLが例えば3mmを
超えたとき,制御器切換装置14はNo.2のルール
(図24)を適用して,制御モードから制御モード
に切換える。同時に,実際の引抜き速度Vは上記第1制
御器22の作用により徐々に戻されて上記設定値で一定
にされる。 一方,上記湯面レベルLは制御モードに
おける第3制御器23のみにより,目標値L0 との偏差
dLが小さくなるように制御される。この場合上記第3
制御器23は湯面レベルLを下げるようにストッパ開度
を小さくするためのアクチュエータ15の閉動作指令信
号(閉パルス)を出力する。
【0039】他方,この制御モードにおいても,上記
引抜き速度の想定操作量dVa は制御器切換装置14に
おいて(6)式から演算されている。そして,上記偏差
dLが例えば±2mm以下になり且つ上記想定操作量d
a が0になったとき(図中,点Pにて示す),制御器
切換装置14は制御モードから制御モードに切換え
て湯面レベルLの制御を行う。 即ち,上記演算された
引抜き速度の想定操作量が0であるとき,(6)式の右
辺が0であるので, dL+d(dL)/dt=0 ・・・(7) の関係が成立する。(7)式は,例えば上記偏差dLが
正の場合には,該偏差の時間微分値d(dL)/dtが
負であって上記偏差dLを示す曲線は時間方向に対して
下向きであることを表わし,逆に偏差dLが負の場合は
上記時間微分値d(dL)/dtは正であって上記偏差
dLを示す曲線は時間方向に対して上向きであることを
表わしている。即ち,いずれの場合も,湯面レベルLが
その目標値L0 に向けて戻りつつあり且つ上記目標値L
0 に近いときである。そして,この時点で制御モード
から制御モードへ切換えられるので,例えば上記湯面
レベルLがその目標値L0 から遠ざかっているときに制
御モードから制御モードに切換えられた場合と比べ
ると,制御モードに切換えられた直後に実際の引抜き
速度をほとんど操作する必要がない。その結果,湯面レ
ベル制御性の優れた制御モードへ切換えた後も,再び
制御モードに戻るようなことがなく,上記制御モード
を安定して継続させることができる。また,上記実施
例において,湯面レベルの制御に用いられる引抜き速度
として,速度計7からの検出値が用いられたが,これに
限定されず上記検出値に基づいて演算された演算値或い
は予測値(時系列データ)を用いることも可能である。
【0040】ここで,変化した引抜き速度を自動的に且
つ任意の戻し方でその設定値に戻すことのできる鋳型内
湯面レベル制御装置の例を示す。この実施例に係る鋳型
内湯面レベル制御装置1b は,図32及び図33に示す
ように,図40及び図41に示した上記従来の鋳型内湯
面レベル制御装置1d の如く,ストッパ10のアクチュ
エータ15を操作して湯面レベルLを目標値L0にフィ
ードバック制御する基本的な構成(第12の注湯量制御
系の一例)をほぼ同様とし,その構成上の相違点は, 上記速度計7により検出された鋳片6の引抜き速度V
が当該設定値V0 に近づくように上記引抜きロール8の
回転速度をフィードバック制御するフィードバックルー
プ及び安定化制御器46と, 上記安定化制御器46に設定される比例ゲインKp
時定数T7 等を任意に設定入力するための制御ゲイン入
力部40(制御ゲイン入力手段の一例)と, 上記引抜き速度Vの設定値V0 からの偏差dVにより
生じる上記湯面レベルLの変動を抑制するために,上記
ストッパ制御器43から演算されたストッパ10の駆動
量(鋳片3への溶鋼4の注湯量に対応する)を補償する
補償量△Ps を上記設定された時定数T7 等に応じて演
算し上記ストッパ制御器43の演算結果に加算させるべ
く出力するFF速度補償器47(フィードフォワード補
償手段の一例)とが配備されたことである。そして,上
記ストッパ10,アクチュエータ15(油圧サーボ),
引抜きロール8,鋳型3の動特性モデルは図36のブロ
ック図に示した内容のように予め作成されている。更
に,上記安定化制御器46は,PD演算器42,一次遅
れ系44及び積分器45より構成され,引抜きロール8
の動特性モデルとともに引抜き速度制御系(引抜き速度
制御手段の一例)の動特性モデルを構成している。図3
3に示した各パラメータの内容につき,以下説明する。 T5 :引抜きロール8の時定数 T7 :引抜き速度の安定化制御器46の一時遅れ系44
の時定数 Kv :引抜きロール8のゲイン Kp :引抜き速度の安定化制御器46のPD演算器42
の比例ゲイン TD :引抜き速度の安定化制御器46のPD演算器42
の微分ゲイン a :FF速度補償器47のゲイン b :FF速度補償器47のゲイン ここに,パラメータa,bは,予め実験等により求めら
れた動特性モデルと安定化制御器46のパラメータとか
ら,。PD演算結果ΔVs と補償量ΔPs が打消される
ように計算され設定されている。上記鋳型内湯面レベル
制御装置1b では,上記制御ゲイン入力部40から安定
化制御器46のPD演算器42の制御ゲインKp と一次
遅れ系44の時定数T7とを任意に設定することができ
る。ただし,上記一次遅れ系44の時定数T7 は常に引
抜きロール8の時定数T5 と異なる値に設定される。そ
して,上記制御ゲインKp と時定数T7 とが適宜の値に
設定されることにより,上記安定化制御器46及びFF
速度補償器47の作用により,引抜き速度Vをその設定
値V0 に戻すときに要する応答時間を適切に設定するこ
とができる。
【0041】引き続いて本実施例装置の動作につき図3
4を併用して説明する。時刻0秒において,希望する引
抜き速度の設定値V0 が設定されると,そのときの引抜
き速度Vは,安定化制御器46のフィードバック特性に
よりこのときの引抜き速度V1 から上記設定値V0 に向
けて実線で示す曲線の如く変更される。そして,上記安
定化制御器46のPD演算器42により演算された演算
結果に基づいて,FF速度補償器47の作用により,上
記引抜き速度Vとその設定値V0との偏差dVに応じて
生じる湯面レベルLの変動を打ち消すように,ストッパ
10の駆動量を補償する補償量△Ps が動的即ち連続的
に演算される。この補償量△Ps は,このときストッパ
制御器43(PD演算)により算出された演算結果に加
算されて,当該演算結果を補償する。そして,上記補償
されたストッパ10の駆動量がアクチュエータ15に出
力される。図34に示したシミュレーション結果は,上
記設定された比例ゲインKp ,時定数T7 及び他の残り
のパラメータが実操業条件に適合している場合を表わし
ているが,引抜き速度Vのフィードバックによる変更に
よっても,従来装置に係るシミュレーション結果(図4
2)のように湯面レベルLが大きく変動することがな
く,その目標値L0 に極めて緻密に制御されていること
がわかる。これは,上記比例ゲインKp や時定数T7
設定変更により,引抜き速度Vの応答時間を短くした場
合(2点鎖線で示す曲線m)や逆に長くした場合(2点
鎖線で示す曲線n)も,FF速度補償器47に設定され
た時定数T7 の作用によって,上記と同様に緻密な湯面
レベル制御が行われるからである。又,既に述べたよう
に,本実施例装置は,引抜き速度のフィードバックルー
プの存在により,外乱の印加により引抜き速度Vが変化
しても,その設定値V0 に自動的に近づけることができ
る。従って,上記FF速度補償器47の作用とも併せ
て,本実施例装置は連続鋳造機のプロセス特性のある程
度の変動に対してもロバストな機能を備えていると言え
る。尚,上記した実施例において,FF速度補償器47
に設定されている各パラメータは,現状の連続鋳造機2
の状態モデルパラメータにより決定されている。もし,
連続鋳造機2の状態が変動するような場合は,オンライ
ンで状態モデルを推定し,推定された状態モデルの推定
パラメータを用いて上記FF速度補償器47の各パラメ
ータを決定してもよい。それによって,連続鋳造機2の
状態の変動に対し,よりロバストな制御系を構成するこ
とが可能となる。
【0042】上記した各実施例では,上記引抜き速度制
御系を用いて鋳型3内の湯面レベルの制御を行うに際し
て,速度計7により検出された引抜き速度Vを用い,こ
の検出された引抜き速度Vの設定値からの偏差に応じて
上記引抜き速度を調整することにより上記湯面レベルを
制御した例を述べた。しかしながら,上記したように検
出された引抜き速度を用いると,検出遅れを有する検
出値を入力すること,検出値にはノイズが重畳されや
すいこと等の問題を生じることがある。従って,レベル
計9により検出された湯面レベルLの目標値L0 からの
偏差dLから演算された引抜き速度補正量の方が,上記
検出された引抜き速度よりも正確な場合がある。そこ
で,偏差dLから演算された引抜き速度補正量を用いた
引抜き速度制御系による湯面レベル制御のシミュレーシ
ョン結果を図35(a)に示す。尚,上記シミュレーシ
ョンに用いられた外乱条件は,周期100秒,振幅50
000mm 3 /秒の流量外乱である。同図のシミュレー
ション結果によれば,湯面レベルの変動は±3mm以内
に収まっている。これに対し,同じシミュレーション条
件において,従来装置のように,検出された引抜き速度
を用いたシミュレーション結果を示す図35(b)によ
れば,湯面レベルの変動が±7mm程度と比較的大きな
結果を生じており,上記演算された引抜き速度補正量を
用いた方が高精度の湯面レベル制御を行えることが明ら
かである。そこで,本発明においては,湯面レベル制御
に最小限用いられる種類の操業因子の検出値としては,
直接の制御対象である湯面レベルの目標値からの偏差と
した。無論,上記操業因子としては,上記検出された湯
面レベルの目標値からの偏差に加えて,上記引抜き速度
(検出値又は演算値),タンディッシュ重量,溶鋼温度
等を用いることもできる。また,上記引抜き速度を基に
計算される鋳型内流下速度vL に付いても同様に演算値
又は予測値を用いてもよい。この場合,(1)式の右辺
第1項のVとしては,検出値を用いる必要がなく,演算
当初に初期値を設定しておけばよい。なお,上記した各
実施例では,定常時に第2制御器12を用い,ニューラ
ルネットワーク等の演算結果に基づいて第4制御器13
を間欠的に併用するように構成したが,これは併用の一
態様に過ぎず,例えば,上記第2制御器12の引抜き速
度に係る制御ゲインを大きく設定する一方,第4制御器
13のストッパ開度に係る制御ゲインを極めて小さく設
定することによって,引抜き速度制御系と注湯量制御系
とを常時併用してもよい。
【0043】
【発明の効果】第1の発明は上記したように構成されて
いる。従って,比較的制御精度のよい引抜き速度制御系
を用いて鋳型内湯面レベルを制御するに際し,例えば鋳
型へ注入される溶鋼の流動特性の変化に伴って上記連続
鋳造機の操業因子が変化する場合でも,タンディッシュ
内の溶鋼の量,上記溶鋼の量,上記注湯量,上記溶鋼の
鋳型内流下速度などの操業因子の変化傾向に基づいて第
1の注湯量制御系を介入させて併用することにより,上
記引抜き速度をその変化量の許容範囲から逸脱させるこ
となく適宜設定値に向けて戻すことができる。従って,
上記第1の注湯量制御系が適宜介入しつつ併用される上
記引抜き速度制御系により,精度のよい湯面レベル制御
を行い得るとともに,外乱等により生じた引抜き速度の
設定値からの偏差を適時小さくすることができる。第2
の発明は上記したように構成されている。従って,上記
操業因子の変化傾向に基づいて引抜き速度制御系と併用
される第2の注湯量制御系は,学習済みの第1のニュー
ラルネットワークにより併用態様が演算される。上記第
1のニューラルネットワークによれば,操業因子の変化
傾向を入力とし上記併用態様を出力とする関係が演算重
みの学習により自動的に決定されるので,上記関係につ
いてパラメータや統計式等の設定・変更を行う必要がな
い。第3の発明は上記したように構成されている。従っ
て,比較的制御精度のよい引抜き速度制御系による湯面
レベル制御中に所定のサンプリング周期で併用される第
3の注湯量制御系のサンプリング周期間に急激な外乱が
印加されても,上記引抜き速度をその変化量の許容範囲
から逸脱させることなく未然にその設定値に向けて戻す
ことができる。その結果,制度のよい湯面レベル制御を
できる限り継続させることができ,一定品質の鋳片の製
造に寄与し得る。第4の発明は上記したように構成され
ている。即ち,急激な外乱に対しても湯面レベルを安定
して制御し得るように,上記操業因子の変化傾向に基づ
いて上記第4の注湯量制御系を引抜き速度制御系に併用
させる手法として,第2のニューラルネットワークが採
用されている。従って,急激に変化するような操業因子
の変化傾向を入力とし両制御系を併用させる併用態様を
出力とする関係が演算重みの学習により自動的に決定さ
れる。それにより,上記関係についてパラメータや統計
式等の設定・変更を行う必要がない。
【0044】第5の発明によれば,上記湯面レベルの目
標値からの偏差が大きいときは応答性の良い第5の注湯
量制御系が用いられる一方,上記偏差が小さいときは制
御精度のよい引抜き速度制御系が用いられる。又,上記
偏差が中間値のときは両制御系が併用される。従って,
各制御系のそれぞれの良い制御特性を用いて湯面レベル
制御を行うことができる。第6の発明は上記したように
構成されている。それにより,そのときの操業状態に応
じた適性な制御モードの切換え及び適性な制御ゲインの
調整が予め記憶された各経験則に従って自動的に実行さ
れる。その結果,これらの操作に人手を介する必要がな
く,鋳型内の溶鋼の湯面レベルを高精度に制御すること
ができる。第7の発明は上記したように構成されてい
る。従って,上記の如く演算された第3の制御モードへ
の切換え前の湯面レベルの変化傾向に応じた注湯量が演
算され出力される。そして,この注湯量により上記湯面
レベルがその目標値に戻る傾向にされる。その結果,上
記第3の制御モードに切換えられた後に湯面レベルにハ
ンチングを生じて第4の制御モードに戻されることがな
く,上記第3の制御モードによる湯面レベル制御が安定
して継続される。第8の発明は上記したように構成され
ている。即ち,制御すべき湯面レベルがその目標値に向
けて戻りつつあり且つ極めて近くなったタイミングで第
6の制御モードから第5の制御モードに切換えられる。
従って,第5の制御モードに切換え直後の実引抜き速度
をほとんど操作する必要がない。これにより,上記湯面
レベルにハンチングを生じることが防止されるため,上
記第5の制御モードによる湯面レベル制御を安定して継
続させることができる。第9の発明によれば,上記第1
2の注湯量制御系により湯面レベルがフィードバック制
御されているときに,外乱等により引抜き速度が変動し
たとしても,上記引抜き速度を任意の戻し方でその設定
値に戻すことが可能で,且つ上記設定値に向う引抜き速
度の変化によっても上記溶鋼の湯面レベルが変動するこ
とを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る連続鋳造機の鋳型内
湯面レベル制御装置を示す概略構成図。
【図2】 上記鋳型内湯面レベル制御装置の制御系統を
示す制御ブロック図。
【図3】 上記鋳型内湯面レベル制御装置の第4制御器
が具備するニューラルネットワークの概念上の構成を示
す概念図。
【図4】 上記ニューラルネットワークの学習に用いら
れる複数の学習用の入力データと教師データとをそれぞ
れ対で示す説明図。
【図5】 学習済のニューラルネットワークに入力され
る制御時の複数の入力データとそのときの出力をそれぞ
れ対で示す説明図。
【図6】 上記鋳型内湯面レベル制御装置の引抜き速度
制御系を用いて溶鋼の湯面レベルを制御するに際して注
湯量制御系を間欠的に併用した場合の湯面レベルと引抜
き速度変化量とを示すグラフ図。
【図7】 上記第4制御器が具備するニューラルネット
ワークに溶鋼の鋳型内流下速度の時系列データを入力デ
ータとして用いた場合の概念図。
【図8】 図3のニューラルネットワークを用いて湯面
レベル制御を行った場合の応答特性を示すグラフ図。
【図9】 図7のニューラルネットワークを用いて湯面
レベル制御を行った場合の図8に対応するグラフ図。
【図10】 上記鋳型内湯面レベル制御装置の第4制御
器が具備するニューラルネットワーク統合システムの概
念上の構成を示す概念図。
【図11】 上記ニューラルネットワーク統合システム
を構成するニューラルネットワーク内の,引抜き速度の
検出値の時系列データを入力するものの構成を示す概念
図。
【図12】 上記ニューラルネットワーク統合システム
の学習に用いられる学習用の入力データ(「入力」)と
教師データ(「出力」)とをそれぞれ対で示す説明図。
【図13】 上記鋳型内湯面レベル制御装置の引抜き速
度制御系を用いて溶鋼の湯面レベルを制御するに際して
注湯量制御系を間欠的に併用した場合の湯面レベル,引
抜き速度補正量,タンディッシュ重量,溶鋼温度及びス
トッパへの開閉指令の経時変化を示すグラフ図。
【図14】 上記ニューラルネットワーク統合システム
についての変形例を示す概念図。
【図15】 図14のニューラルネットワーク統合シス
テムのエキスパートシステムに用いられる推論ルールの
内容を示す説明図。
【図16】 複数のエキスパートシステムより構成した
エキスパートシステム統合システムの概念上の構成を示
す構成図。
【図17】 上記鋳型内湯面レベル制御装置の第4制御
器が具備するサンプリング周期切換え出力を演算可能の
ニューラルネットワークの概念上の基本構成を示す概念
図。
【図18】 上記ニューラルネットワークの入力層のニ
ューロンの構成を詳細に示す説明図。
【図19】 上記ニューラルネットワークに短周期で入
力される入力層のニューロンの構成を示す説明図。
【図20】 上記図18のニューラルネットワークの学
習に用いられる複数の学習用の入力データと教師データ
とをそれぞれ対で示す説明図。
【図21】 学習済の図18のニューラルネットワーク
に入力される制御時の複数の入力データとそのときの出
力をそれぞれ対で示す説明図。
【図22】 上記鋳型内湯面レベル制御装置の引抜き速
度制御系を用いて溶鋼の湯面レベルを制御するに際して
注湯量制御系を周期可変に併用した場合の湯面レベル,
引抜き速度変化量及びアクチュエータ開閉パルス出力を
示すグラフ図。
【図23】 上記鋳型内湯面レベル制御装置が具備する
制御器切換装置の概略構成を示すブロック図。
【図24】 上記制御器切換装置のルールベースに格納
されたルール例を示す図表。
【図25】 上記鋳型内湯面レベル制御装置を用いて溶
鋼の湯面レベルを制御した場合の湯面レベルと引抜き速
度とを示すグラフ図。
【図26】 制御の切換え方法の説明図。
【図27】 本実施例の制御系の切換え方法を適用した
場合と従来方法を適用した場合の鋳型内の湯面レベル変
動の比較図。
【図28】 別の実施態様を示す制御系の切換え方法の
説明図。
【図29】 図28に示す制御系の切換え方法に採用さ
れたファジィメンバシップ関数の対応図。
【図30】 上記鋳型内湯面レベル制御装置を用いて溶
鋼の湯面レベルを制御した場合の湯面レベル,引抜き速
度及びストッパアクチュエータの開閉パルス出力を示す
グラフ図。
【図31】 上記鋳型内湯面レベル制御装置の別個を用
いて溶鋼の湯面レベルを制御した場合の湯面レベル,引
抜き速度,引抜き速度の想定操作量及びアクチュエータ
の操作量を示すグラフ図。
【図32】 FF速度補償器を備えた鋳型内湯面レベル
制御装置を示す概略構成図。
【図33】 上記図32の鋳型内湯面レベル制御装置の
制御系統を示す制御ブロック図。
【図34】 上記図32の鋳型内湯面レベル制御装置に
より湯面レベルを制御したときの引抜き速度,ストッパ
開度,ストッパアクチュエータへの開閉指令出力(連続
的)の経時変化を示すグラフ図。
【図35】 引抜き速度制御系による湯面レベル制御の
シミュレーション結果を示し,(a)は湯面レベルの目
標値からの偏差から演算した引抜き速度補正量による湯
面レベル制御結果を示すグラフ図,(b)は速度計によ
り検出された引抜き速度による湯面レベル制御結果を示
すグラフ図。
【図36】 本発明の背景の一例となる連続鋳造機及び
溶鋼の鋳型内における湯面レベル及び鋳片の引抜き速度
を制御する制御系を示す概略構成図。
【図37】 従来装置により上記制御モードと制御モ
ードとを切換えた場合の湯面レベル,引抜き速度及び
ストッパアクチュエータの開閉パルス出力を示すグラフ
図。
【図38】 図36の制御系により制御された湯面レベ
ルと引抜き速度の経時変化を示し,(a)はいずれにも
ほどほどの制御ゲインが設定されている場合のグラフ
図,(b)は湯面レベルに重きをおいて制御ゲインが設
定された場合のグラフ図,(c)は引抜き速度に重きを
おいて制御ゲインが設定された場合のグラフ図。
【図39】 従来装置により上記湯面レベル制御中に急
激な外乱を受けて湯面レベルにハンチングを生じた場合
の湯面レベル,引抜き速度及びストッパアクチュエータ
の開閉パルス出力を示すグラフ図。
【図40】 本発明の背景の別例となる連続鋳造機及び
従来の鋳型内湯面レベル制御装置を示す概略構成図。
【図41】 図40の鋳型内湯面レベル制御装置の制御
系統を示す制御ブロック図。
【図42】 図40の鋳型内湯面レベル制御装置により
湯面レベルを制御したときの引抜き速度,ストッパ開
度,ストッパアクチュエータへの開閉指令出力(間欠
的)の経時変化を示すグラフ図。
【符号の説明】
1,1b ,1c ,1d …鋳型内湯面レベル制御装置 2…連続鋳造機 3…鋳型 4…溶鋼 5…タンディッシュ 6…鋳片 8…引抜きロール 9…レベル計 10…ストッパ 11…協調制御装置 12…第2制御器 13…第4制御器 14…制御器切換装置 16,16a ,16b ,16c ,16d ,16e ,16
f ,16g …ニューラルネットワーク 17a …切換えタイミング出力用のニューロン 31…推論エンジン 32…ルールベース 40…制御ゲイン入力部 43…ストッパ制御器 46…安定化制御器 47,47a …FF速度補償器 L…湯面レベル L0 …目標値 dL…偏差 V…引抜き速度 V0 …設定値 dV…偏差 Kp …比例ゲイン T7 …時定数 dVa …引抜き速度の想定操作量 vL …鋳型内流下速度 Td…タンディッシュ重量 ts…溶鋼温度 △S2 …ストッパ開度補正量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平4−77075 (32)優先日 平成4年3月31日(1992.3.31) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−77076 (32)優先日 平成4年3月31日(1992.3.31) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−77077 (32)優先日 平成4年3月31日(1992.3.31) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−77078 (32)優先日 平成4年3月31日(1992.3.31) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4−77079 (32)優先日 平成4年3月31日(1992.3.31) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 渡辺 省三 神戸市灘区灘浜東町2番地 株式会社神 戸製鋼所 神戸製鉄所内 (72)発明者 古川 和寛 神戸市灘区灘浜東町2番地 株式会社神 戸製鋼所 神戸製鉄所内 (72)発明者 板敷 政和 神戸市灘区灘浜東町2番地 株式会社神 戸製鋼所 神戸製鉄所内 (56)参考文献 特開 昭63−97347(JP,A) 特開 昭54−77229(JP,A) 特開 平4−361860(JP,A) 特開 平4−284957(JP,A) 特開 昭61−235056(JP,A) 特開 昭61−17348(JP,A) 特開 平5−237618(JP,A) 特開 平4−270050(JP,A) 特開 平4−251307(JP,A) 特開 平2−207957(JP,A) 特開 昭58−77761(JP,A) 特開 昭57−209763(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/18 B22D 11/16 104 G05D 9/12 G06F 15/18 550

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保ち
    つつタンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を上記
    鋳型から引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造機の
    操業因子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型への溶鋼
    の注湯量を制御する第1の注湯量制御系と,検出された
    上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引抜き
    速度を制御する引抜き速度制御系とを併用して,上記溶
    鋼の湯面レベルを制御する鋳型内湯面レベル制御装置に
    おいて, 上記溶鋼の湯面レベルを上記引抜き速度制御系を用いて
    制御するに際して,上記湯面レベルの目標値からの偏差
    と上記タンディッシュ内の溶鋼の量とを含む操業因子の
    変化傾向に基づいて,上記第1の注湯量制御系を併用す
    ることを特徴とする連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御
    装置。
  2. 【請求項2】 鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保ち
    つつタンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を上記
    鋳型から引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造機の
    操業因子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型への溶鋼
    の注湯量を制御する第1の注湯量制御系と,検出された
    上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引抜き
    速度を制御する引抜き速度制御系とを併用して,上記溶
    鋼の湯面レベルを制御する鋳型内湯面レベル制御装置に
    おいて, 上記溶鋼の湯面レベルを上記引抜き速度制御系を用いて
    制御するに際して,上記湯面レベルの目標値からの偏差
    と上記溶鋼の温度とを含む操業因子の変化傾向に基づい
    て,上記第1の注湯量制御系を併用することを特徴とす
    る連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置。
  3. 【請求項3】 鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保ち
    つつタンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を上記
    鋳型から引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造機の
    操業因子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型への溶鋼
    の注湯量を制御する第1の注湯量制御系と,検出された
    上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引抜き
    速度を制御する引抜き速度制御系とを併用して,上記溶
    鋼の湯面レベルを制御する鋳型内湯面レベル制御装置に
    おいて, 上記溶鋼の湯面レベルを上記引抜き速度制御系を用いて
    制御するに際して,上記湯面レベルの目標値からの偏差
    と上記注湯量とを含む操業因子の変化傾向に基 づいて,
    上記第1の注湯量制御系を併用することを特徴とする連
    続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置。
  4. 【請求項4】 鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保ち
    つつタンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を上記
    鋳型から引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造機の
    操業因子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型への溶鋼
    の注湯量を制御する第1の注湯量制御系と,検出された
    上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引抜き
    速度を制御する引抜き速度制御系とを併用して,上記溶
    鋼の湯面レベルを制御する鋳型内湯面レベル制御装置に
    おいて, 上記溶鋼の湯面レベルを上記引抜き速度制御系を用いて
    制御するに際して,上記湯面レベルの目標値からの偏差
    と上記溶鋼の湯面レベルの時間微分値から演算される上
    記溶鋼の鋳型内流下速度とを含む操業因子の変化傾向に
    基づいて,上記第1の注湯量制御系を併用することを特
    徴とする連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置。
  5. 【請求項5】 鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保ち
    つつタンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を上記
    鋳型から引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造機の
    操業因子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型への溶鋼
    の注湯量を制御する第2の注湯量制御系と,検出された
    上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引抜き
    速度を制御する引抜き速度制御系とを併用して,上記溶
    鋼の湯面レベルを制御する鋳型内湯面レベル制御装置に
    おいて, 上記湯面レベルの目標値からの偏差を含む操業因子の変
    化傾向を入力データとし,上記鋳型への溶鋼の注湯量を
    出力データ及びこれに対応する教師データとする第1の
    ニューラルネットワークを備え,上記溶鋼の湯面レベル
    を上記引抜き速度制御系を用いて制御するに際して,予
    め学習済みの上記第1のニューラルネットワークに上記
    操業因子の変化傾向を入力して演算された出力データに
    基づいて上記注湯量を制御する第2の注湯量制御系を併
    用することを特徴とする連続鋳造機の鋳型内湯面レベル
    制御装置。
  6. 【請求項6】 鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保ち
    つつタンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を上記
    鋳型から引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造機の
    操業因子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型への溶鋼
    の注湯量を制御する第3の注湯量制御系と,検出された
    上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引抜き
    速度を制御する引抜き速度制御系とを併用して,上記溶
    鋼の湯面レベルを制御する鋳型内湯面レベル制御装置に
    おいて, 上記溶鋼の湯面レベルを上記引抜き速度制御系を用いて
    制御するに際して,上記湯面レベルの目標値からの偏差
    を含む操業因子の変化傾向が比較的ゆるやかなときは所
    定のサンプリング周期で上記第3の注湯量制御系を併用
    させるとともに,上記操業因子の変化傾向が比較的急激
    になったときに上記所定のサンプリング周期よりも短周
    期で上記第3の注湯量制御系を併用させることを特徴と
    する連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置。
  7. 【請求項7】 鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保ち
    つつタンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を上記
    鋳型から引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造機の
    操業因子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型への溶鋼
    の注湯量を制御する第4の注湯量制御系と,検出された
    上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引抜き
    速度を制御する引抜き速度制御系とを併用して,上記溶
    鋼の湯面レベルを制御する鋳型内湯面レベル制御装置に
    おいて, 上記湯面レベルの目標値からの偏差を含む操業因子の変
    化傾向を入力データとし,上記鋳型への溶鋼の注湯量を
    出力データ及びこれに対応する教師データとする第2の
    ニューラルネットワークを備え,上記溶鋼の湯面レベル
    を上記引抜き速度制御系を用いて制御するに際して,予
    め学習済みの上記第2のニューラルネットワークに上記
    操業因子の変化傾向を入力して演算された出力データに
    基づいて上記注湯量を制御する第4の注湯量制御系を併
    用するとともに,上記操業因子の変化傾向が比較的ゆる
    やかなときは所定のサンプリング周期で上記第4の注湯
    量制御系を併用させるとともに,上記操業因子の変化傾
    向が比較的急激になったときに上記所定のサンプリング
    周期よりも短周期で上記第4の注湯量制御系を併用させ
    ることを特徴とする連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御
    装置。
  8. 【請求項8】 上記第2のニューラルネットワークから
    の出力データとして,上記サンプリング周期の切換えデ
    ータを出力させるようにした請求項に記載の連続鋳造
    機の鋳型内湯面レベル制御装置。
  9. 【請求項9】 鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保ち
    つつタンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を上記
    鋳型から引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造機の
    上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記鋳型へ
    の溶鋼の注湯量を制御する第5の注湯量制御系と,検出
    された上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記
    引抜き速度を制御する引抜き速度制御系とを併用して,
    上記溶鋼の湯面レベルを制御する鋳型内湯面レベル制御
    装置において, 上記検出された湯面レベルの目標値からの偏差が大きい
    時には上記第5の注湯量制御系を用いるとともに,上記
    偏差が小さい時は上記引抜き速度制御系を用い,上記偏
    差が中間値の時は両制御系を併用することを特徴とする
    連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置。
  10. 【請求項10】 鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保
    ちつつタンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を上
    記鋳型から引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造機
    の操業因子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型への溶
    鋼の注湯量を制御する第6の注湯量制御系と,検出され
    た上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引抜
    き速度を制御する引抜き速度制御系とを備え,上記溶鋼
    の湯面レベルを制御するに際して,上記引抜き速度制御
    系と上記第6の注湯量制御系とを併用する第1の制御モ
    ードと,検出された上記湯面レベルの目標値からの偏差
    に応じて上記鋳型への溶鋼の注湯量を制御する第7の注
    湯量制御系を用いる第2の制御モードとを所定の条件が
    満たされたとき切換えるようにした連続鋳造機の鋳型内
    湯面レベル制御装置において, 上記第1の制御モードと上記第2の制御モードとの操業
    状態に応じた切換えの態様についての経験則と少なくと
    も上記第6の注湯量制御系のゲイン調整についての経験
    則とを予め記憶し,上記連続鋳造機の操業状態を検出
    し,該検出された操業状態から上記各経験則に従って適
    正な制御モードの切換えの態様及び適正な制御ゲインの
    調整量を演算することを特徴とする連続鋳造機の鋳型内
    湯面レベル制御装置。
  11. 【請求項11】 鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保
    ちつつタンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を上
    記鋳型から引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造機
    の操業因子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型への溶
    鋼の注湯量を制御する第8の注湯量制御系と,検出され
    た上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引抜
    き速度を制御する引抜き速度制御系とを備え,上記溶鋼
    の湯面レベルを制御するに際して上記引抜き速度制御系
    と上記第8の注湯量制御系とを併用する第3の制御モー
    ドと,検出された上記湯面レベルの目標値からの偏差に
    応じて上記鋳型への溶鋼の注湯量を制御する第9の注湯
    量制御系を用いる第4の制御モードとを所定の条件が満
    たされたときに切換えるようにした連続鋳造機の鋳型内
    湯面レベル制御装置において, 上記第4の制御モードから上記第3の制御モードへ切換
    える前の湯面レベルの変化傾向を演算する湯面レベル変
    化傾向演算手段と, 上記演算された湯面レベルの変化傾向に応じて上記湯面
    レベルがその目標値に戻る傾向を与える注湯量を演算し
    出力する切替時注湯量演算手段とを具備してなることを
    特徴とする連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置。
  12. 【請求項12】 鋳型内の溶鋼の湯面レベルを一定に保
    ちつつタンディッシュから鋳型内に注入された溶鋼を上
    記鋳型から引抜くことにより鋳片を製造する連続鋳造機
    の操業因子の設定値からの偏差に応じて上記鋳型への溶
    鋼の注湯量を制御する第10の注湯量制御系と,検出さ
    れた上記湯面レベルの目標値からの偏差に応じて上記引
    抜き速度を制御する引抜き速度制御系とを備え,上記溶
    鋼の湯面レベルを制御するに際して上記引抜き速度制御
    系と上記第10の注湯量制御系とを併用する第5の制御
    モードと,検出された上記湯面レベルの目標値からの偏
    差に応じて上記鋳型への溶鋼の注湯量を制御する第11
    の注湯量制御系を用いる第6の制御モードとを所定の条
    件が満たされたときに切換えるようにした連続鋳造機の
    鋳型内湯面レベル制御装置において, 上記引抜き速度の想定操作量が0に近づいた時,上記第
    6の制御モードから上記第5の制御モードに切換えるよ
    うにしたことを特徴とする連続鋳造機の鋳型内湯面レベ
    ル制御装置。
  13. 【請求項13】 上記引抜き速度の想定操作量が,上記
    検出された湯面レベルの目標値からの偏差と該偏差の時
    間微分値との和に基づいて演算されてなる請求項12
    記載の連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置。
  14. 【請求項14】 タンディッシュから鋳型内に注入され
    た溶鋼の検出された湯面レベルの目標値からの偏差に応
    じて第12の注湯量制御系によりフィードバック制御さ
    れる上記鋳型への溶鋼の注湯量を,上記鋳型からの鋳片
    の引抜き速度の変化に基づいて補償するようにした連続
    鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置において, 上記引抜き速度がその設定値に近づくようにフィードバ
    ック制御する引抜き速度制御手段と, 上記引抜き速度制御手段の制御ゲインを任意に設定入力
    するための制御ゲイン入力手段と, 上記引抜き速度の設定値からの偏差に応じて,上記第1
    2の注湯量制御系からの注湯量を補償する補償量を上記
    制御ゲイン入力手段により設定入力された制御ゲインに
    基づいて演算し出力するフィードフォワード補償手段と
    を具備してなることを特徴とする連続鋳造機の鋳型内湯
    面レベル制御装置。
  15. 【請求項15】 上記操業因子の変化傾向が,上記タン
    ディッシュ内の溶鋼の量の変化傾向を含む請求項
    若しくはのいずれかに記載の連続鋳造機の鋳型内湯面
    レベル制御装置。
  16. 【請求項16】 上記操業因子の変化傾向が,上記溶鋼
    の温度の変化傾向を含む請求項1,若しくは
    のいずれかに記載の連続鋳造機の鋳型内湯面レベル
    制御装置。
  17. 【請求項17】 上記操業因子の変化傾向が,上記注湯
    量の変化傾向を含む請求項1,2,5,1
    しくは1のいずれかに記載の連続鋳造機の鋳型内湯面
    レベル制御装置。
  18. 【請求項18】 上記操業因子の変化傾向が,上記鋳片
    の引抜き速度及び上記溶鋼の湯面レベルの時間微分値か
    ら演算される上記溶鋼の鋳型内流下速度の変化傾向を含
    む請求項1,2,3,5,1,1若しくは
    のいずれかに記載の連続鋳造機の鋳型内湯面レベル
    制御装置。
  19. 【請求項19】 上記操業因子が,上記鋳型内の溶鋼の
    湯面レベルの目標値からの偏差に基づいて演算された引
    抜き速度である請求項1,2,3,4,5,6,7,
    11,12,1,16,17若しくは1のいず
    れかに記載の連続鋳造機の鋳型内湯面レベル制御装置。
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