JP3071230B2 - 高速中性子ラジオグラフィー用蛍光コンバータ - Google Patents

高速中性子ラジオグラフィー用蛍光コンバータ

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JP3071230B2
JP3071230B2 JP6054291A JP6054291A JP3071230B2 JP 3071230 B2 JP3071230 B2 JP 3071230B2 JP 6054291 A JP6054291 A JP 6054291A JP 6054291 A JP6054291 A JP 6054291A JP 3071230 B2 JP3071230 B2 JP 3071230B2
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久志 奥田
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康司 吉井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高速中性子蛍光コンバ
ータに関し、更に詳しくは非破壊検査の一手法として利
用される高速中性子ラジオグラフィーのシンチレータと
して使用できる高速中性子ラジオグラフィー用蛍光コン
バータに関する。
【0002】
【従来の技術・課題】従来、放射線を利用した非破壊検
査には、X線が使用されている。また、近年、大学、研
究機関を中心に熱中性子を利用した中性子ラジオグラフ
ィーの研究が進められている。これらの放射線のうち、
X線は原子番号が小さい物質の場合、透過力は大きい
が、原子番号の大きい金属、無機物質等の透過力は小さ
く、検査の対象物に制限がでてくる。また、熱中性子ラ
ジオグラフィーは物質の重さに左右されず、各元素固有
の中性子吸収断面積により透過量が異なる。
【0003】この熱中性子ラジオグラフィーに使用され
ている蛍光コンバータは熱中性子吸収材及び蛍光体から
構成されている材料を基板であるアルミニウム板に接着
または塗布したものが一般的であり、検査対象物を透過
した熱中性子がコンバータの熱中性子吸収材に吸収さ
れ、その吸収材から放出されたα線、β線等の放射線が
蛍光体を励起させ、蛍光を発するものである。ただし、
熱中性子による検査では、対象物の厚さがプラスチック
で20mm程度、金属で50mm程度以内でなければ有
効な検査ができない。
【0004】そこで、現在、厚物の検査対象物に有効な
手法として考えられている高速中性子ラジオグラフィー
の研究がなされている。しかし、この高速中性子ラジオ
グラフィーシステムの検査対象物を透過した高速中性子
を蛍光に変換するシンチレータに有効なものがなく、高
感度な蛍光コンバータの出現が望まれている。
【0005】従って、本発明は高速中性子ラジオグラフ
ィーシステムのシンチレータに使用して検査対象物の鮮
明な画像を得られる蛍光コンバータを提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の高速中性子ラジ
オグラフィー用蛍光コンバータは、透明樹脂100重量
部に対し、硫化亜鉛系蛍光体を20〜400重量部添加
配合してなる厚さ0.5〜5.0mmの板状であることを
特徴とする。
【0007】
【作用】本発明の高速中性子ラジオグラフィー用蛍光コ
ンバータは、高速中性子ラジオグラフィーに使用する蛍
光コンバータであり、熱中性子を吸収する機能は必要な
く、樹脂に蛍光体を添加配合し、コンバータを得るもの
である。ただし、高感度な蛍光コンバータを得るために
は、検査対象物を透過した高速中性子が蛍光コンバータ
中の軽元素、特に水素原子とよく衝突する必要があり、
水素含有量の多い樹脂が必要である。また、蛍光発生時
に樹脂の色が妨害となるため、透明樹脂を使用する必要
がある。この衝突した中性子が硫化亜鉛系蛍光体を励起
させ、鮮明な画像を得るための蛍光を発する蛍光コンバ
ータとなる。
【0008】本発明の高速中性子ラジオグラフィー用蛍
光コンバータにおいて、添加される硫化亜鉛系蛍光体は
発光ピーク波長が4500Åにあり、平均粒径が20μ
m以下の銀付活硫化亜鉛である。なお、透明樹脂に蛍光
体を均一に分散し、コンバータの発光ムラを少なくする
ためには、平均粒径2〜8μmのものが好ましい。ま
た、蛍光体の混合割合は透明樹脂100重量部に対し4
00重量部を超える蛍光体の添加は困難であり、有効な
発光を得るためには、少なくとも20重量部添加する必
要がある。また、高速中性子ラジオグラフィー用蛍光コ
ンバータの輝光濃度及び製造上の問題を考慮すれば、蛍
光体の配合割合は70〜150重量部が好ましい。
【0009】本発明の高速中性子ラジオグラフィー用蛍
光コンバータに使用する透明樹脂は、例えばオレフィン
系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂等の水素原子を
5重量%以上含有する樹脂であれば特に限定されるもの
ではない。上記のような透明樹脂に上記蛍光体を添加混
合し、熱ロール、熱プレス、射出成形等を使用すれば、
板状の高速中性子ラジオグラフィー用蛍光コンバータを
得ることができる。なお、混合には、バンバリミキサ
ー、単軸もしくは2軸の押出混練機等を使用することが
できる。
【0010】このようにして得られた高速中性子ラジオ
グラフィー用蛍光コンバータは、厚さを自由に設定する
ことができるが、コンバータとして有効な発光を得るに
は、0.5〜5.0mmの厚さが必要であり、輝光濃度
のピークが存在する1.2〜3.0mmの厚さがコンバ
ータとしては好ましく、高速中性子ラジオグラフィーの
シンチレータとして有効な高速中性子ラジオグラフィー
用蛍光コンバータを得ることができる。
【0011】
【実施例】
実施例 表1に記載する配合に基づき、樹脂のペレットとZnS
(Ag)を乾式で混合し、各樹脂に適した温度で熱ロール
混練機にて混練し、素練シートを作製し、その後各樹脂
に適した温度で熱プレスにより成形し、所定の厚さの高
速中性子ラジオグラフィー用蛍光コンバータ試料No.
1、2、3及び4を得た。これらについて、東京大学高
速中性子源炉「弥生」の高速中性子ラジオグラフィーを
用いて特性値を測定した結果を表2、図1及び図2に示
す。
【0012】
【表1】 表1:配合表 使用した樹脂及び量 ZnS(Ag) 混練温度 成形温度 試料No. (重量%) 添加量(重量%) (℃) (℃) 1 ポリエチレン 50 50 140 170 2 ポリメチルペンテン 50 50 230 250 3 ポリプロピレン 80 20 180 200 4 ポリプロピレン 50 50 180 200
【0013】
【表2】 試料No. 厚さ(mm) 密度(g/cm3) 輝光濃度比 1 1.2 1.4 1.7 2 1.3 1.4 3.3 3 1.4 1.0 4 1.3 1.4 4.3 従来品 1.0 表2中、従来品はCR39[ソーラ・ジャパン(株)]を粉
末化し、ZnS(Ag)と混合し、塗布した蛍光コンバー
タである。
【0014】
【発明の効果】本発明の高速中性子ラジオグラフィー用
蛍光コンバータは高速中性子を光に変換する性能が良好
であり、高速中性子ラジオグラフィーにおいて鮮明な画
像を得ることができるので、原子力関連産業、航空機産
業、宇宙産業における部品、部材等の非破壊検査に有効
な検査システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試料No.1、2、4及び従来品の放射線照射量
と輝光濃度の関係を示す図である。
【図2】試料No.3及び4の放射線照射量と輝光濃度の
関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉井 康司 茨城県常陸太田市新宿町1349−15 (72)発明者 古川 博章 三重県四日市市別名3−5−7 東ソー 社宅C−401 (56)参考文献 特開 昭60−161596(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21K 4/00 G01T 3/00 G21H 3/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明樹脂100重量部に対し、硫化亜鉛
    系蛍光体を20〜400重量部添加配合してなる厚さ
    0.5〜5.0mmの板状であることを特徴とする高速
    中性子ラジオグラフィー用蛍光コンバータ。
  2. 【請求項2】 硫化亜鉛系蛍光体が平均粒径が20μm
    以下であり、発光スペクトルのピーク波長が4500Å
    の銀付活硫化亜鉛である、請求項1記載の高速中性子ラ
    ジオグラフィー用蛍光コンバータ。
  3. 【請求項3】 透明樹脂が5重量%以上の水素原子を含
    有するものである、請求項1記載の高速中性子ラジオグ
    ラフィー用蛍光コンバータ。
JP6054291A 1991-03-25 1991-03-25 高速中性子ラジオグラフィー用蛍光コンバータ Expired - Fee Related JP3071230B2 (ja)

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US9238773B2 (en) 2011-09-22 2016-01-19 Lawrence Livermore National Security, Llc Lutetium oxide-based transparent ceramic scintillators

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