JP3064725U

JP3064725U - 電気点火器

Info

Publication number: JP3064725U
Application number: JP1999004104U
Authority: JP
Inventors: 蔡隆明
Original assignee: 国防部中山科学研究院
Priority date: 1999-06-09
Filing date: 1999-06-09
Publication date: 2000-01-21
Anticipated expiration: 2005-06-09

Abstract

(57)【要約】【課題】短時間で安定した点火延期時間と高い耐熱性を
備え、快速かつ信頼性の高い発火機能を備えた点火器を
作ることが課題である。【解決手段】ステンレス・フレーム本体、Ｏ型気密リン
グ、点火ヘッドセット、薬剤カップ及びステンレス保護
フレームから構成し、適切な重量比に調合したＺｒ、Ｎ
ＬＳ、ＫＣｌＯ_４の三種類から構成される発火薬を、点
火ヘッドセットのニクロム合金ブリッジ上に直接固定す
るので、常時振動する環境の影響を受けず、火薬とブリ
ッジの分離などの状況が起きず、一旦点火電流が流れる
と、必ず点火する仕組みになっているので、電気点火器
の点火延期時間を１ｍｓ以内に縮めることができ、ま
た、−４０℃から＋８５℃の温度範囲内で温度による影
響を受けずにすむため、短かく安定した点火延期時間と
高い耐熱性を備え、快速かつ信頼性の高い発火機能を提
供することができるようになった。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、自動車のエアバックまたは鋳造タイプの収縮シートベルト装置に応用可能な電気点火器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

自動車のエアバック及び鋳造タイプの収縮シートベルト装置は、自動車が強烈な衝撃を受け、衝撃センサーが事故発生を感知すると、即刻、電子制御システムに信号を送り、その真実性を決定し、再び点火電流を送り出し、一方でエアバックの点火器を引火させ、充気モジュール中の気体発生剤を燃焼させて、エアバックを２０ｍｓから５０ｍｓ内に膨らまし、あて板を撃ち破りドライバーまたは乗客の安全を確保する。もう一方で、送り出された電流は鋳造タイプの収縮シートーベルト装置の点火器を引火させ、シートベルトを１２ｍｓ以内に自動的に８ｃｍから１５ｃｍ収縮させ、ドライバーまたは乗客が衝撃により前方へ移動するのを回避し、保護の目的を達成する。自動車のエアバックに使用される点火器の最も基本的なニーズは２ｍｓ以内に４０―８０Ｂａｒの圧力を発生させ、気体発生剤を燃焼させてエアバックを膨らませ、乗客の保護という機能を発揮することである。また、鋳造タイプの収縮シートベルト装置においては、一般に点火器に対する最も基本的なニーズは２ｍｓ以内だが、収縮シートベルト装置の全動作時間は僅か１２ｍｓとなっており、このため、点火延期時間の長さが非常に大切になってくる。点火延期時間が短ければ作動時間が早く、乗客を保護する効果も高い。一般には、従来の点火器は環境温度が高いほど、点火延期時間が短く、環境温度が低いほど、点火延期時間が長いという欠点があった。自動車の中で、電気点火器が作動せず、エアバックなどの電気点火装置が正常に作動せず、ドライバーまたは乗客が高速による衝撃を回避できなかった場合、重傷や死亡事故を招くことになる。また、敏感すぎた場合は、エアバックなどの装置が誤作動を起こす。このため、エアバックなどの装置の電気点火器の安全性と信頼性に対するニーズはかなり厳格である。米国の特許第４，２０８，９６７号及び第５，２３０，２８７号はエアバックの点火器に関するものである。一般に、従来の点火器が採用している発火構造は、圧着方式で火薬を直接ブリッジ上に圧着する。この種の発火構造は常時震動する環境の影響を受け、火薬とブリッジが分離し、一旦点火電流が流れた時、不発火現象が起きる恐れがある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

上記の説明から分かるように、従来の電気点火器は震動の影響を受け、火薬とブリッジが分離し、不発火現象が起きる恐れがあった。このため、その構造を改善し、静電気に対し高い抵抗力を持ち、短かく安定した点火延期時間と高い耐熱性を備えた、快速かつ信頼性の高い発火機能を提供する電気点火器を作ることが課題である。

【０００４】

【考案を解決するための手段】

上記の課題を解決するため、本考案の電気点火器は、１つのステンレス・フレーム本体、１つのＯ型気密リング、１つの点火ヘッドセット、１つの薬剤カップ及び１つのステンレス保護フレームから構成する。ステンレス・フレーム本体は収納設置空間を備えており、Ｏ型気密リングをステンレス・フレーム本体にはめ込み、点火ヘッドセットをステンレス・フレーム本体の収納設置空間に設置する。点火ヘッドセットは、一対の電針と２本の電針に接続されたニクロム合金ブリッジ、２本の電針を固定並びに絶縁する充填ブロックを備えている。薬剤カップをこの点火ヘッドセットに被せるが、この薬剤カップの中に高速燃焼点火薬を充填し、ステンレス保護フレームを薬剤カップに被せ、この薬剤カップを保護する。本考案の点火ヘッドセットのニクロム合金ブリッジに、発火薬の構成物を固定するが、この発火薬の構成物は（ａ）Ｚｒ(Zirconium)、（ｂ）ＮＬＳ(lead sty phanate)、（ｃ）ＫＣｌＯ_４（potassium perchlorate）の三種類を含んでおり、その重量比はそれぞれＺｒが４０%から５５％、ＮＬＳが１０％から２５％、ＫＣｌＯ_４が２５％から４０％となっている。最も理想的な重量比は、Ｚｒが４５%から５０％で、ＮＬＳが１５％から２０％、ＫＣｌＯ_４が３０％から３５％である。この発火薬の構成物の中には、Ｋｅｌｆ−８００のようなその他の構成物を接合剤として加えても良い。電気点火器の原理は、ニクロム合金ブリッジに電流が流れた時、ニクロム合金ブリッジの温度が上昇し、その上に付着している発火薬が燃焼し、発火薬の燃焼により充分なエネルギーが発生すると、今度は周囲の高速燃料点火薬に引火するというもの。上述の構造により、電気点火器の点火延期時間を１ｍｓ以内に縮めることができ、また、−４０℃から＋８５℃の温度範囲内で温度による影響を受けずにすむため、短かく安定した点火延期時間と高い耐熱性を備え、快速かつ信頼性の高い発火機能を提供することができる。

【０００５】

【考案の実施の形態】

図１に示すように、本考案の電気点火器は、１つのステンレス・フレーム本体１０、１つのＯ型気密リング１１、１つの点火ヘッドセット２０、１つの薬剤カップ３０、１つのステンレス保護フレーム４０から構成される。Ｏ型気密リング１１をステンレス・フレーム本体１０にはめ込み、エアバック充気モジュール（図には示さない）と結合する時に、気体を密封するために使用する。点火ヘッドセット２０は一対の電針２１、抵抗が２オーム前後の１つのニクロム合金ブリッジ２２、１つの絶縁充填ブロック２３を含んでいる。薬剤カップ３０は点火ヘッドセット２０の上方に被せるが、この薬剤カップ３０の中には高速燃焼点火薬５０が充填されており、複数の予備亀裂層３１が設けられている。ステンレス保護フレーム４０を薬剤カップ３０に被せ、薬剤カップ３０を保護する。本考案の電気点火器の発火薬６０は、点火ヘッドセット２０のニクロム合金ブリッジ２２上に直接固定するので、常時振動する環境の影響を受けず、火薬とブリッジの分離などの状況が起きず、一旦点火電流が流れると、必ず点火する仕組みになっている。自動車のエアバック及び鋳造タイプの収縮シートベルトシステムで、標準のショートリング及び電源アダプタを備えた製品には、本考案の電気点火器の設計を適用することができる。

【０００６】本考案の電気点火器の発火薬の構成物は、（ａ）Ｚｒ(Zirconium)、（ｂ）ＮＬＳ(lead styphanate)、（ｃ）ＫＣｌＯ_４（potassium perchlorate）の三種類から構成される。各構成物の構成比率については、Ｚｒの重量比が４０%から５５％、ＮＬＳの重量比が１０％から２５％、ＫＣｌＯ_４の重量比が２５％から４０％。本考案の電気点火器の発火薬の構成物は、点火時間を１ｍｓ以内まで短縮し、 −４０℃から＋８５℃の温度範囲でいかなる影響も受けないようにする。以下の実施例を持って、具体的な説明としたい。本実施例に使用する分量と割合は、特に表示がある場合を除き重量比とする。実施例１（発火薬の構成物）：Ｚｒを５０、ＮＬＳを１６、ＫＣｌＯ_４を３４とし、三者を混ぜ合わせ、乾燥した粉末薬を作る。実施例２（発火薬の構成物）：Ｚｒを５０、ＮＬＳを２０、ＫＣｌＯ_４を３０とし、三者を混ぜ合わせ、乾燥した粉末薬を作る。実施例３（発火薬の構成物）：Ｚｒを４５、ＮＬＳを２０、ＫＣｌＯ_４を３５とし、三者を混ぜ合わせ、乾燥した粉末薬を作る。実施例４（発火薬の構成物）：Ｚｒを４８、ＮＬＳを１９、ＫＣｌＯ_４を３３とし、三者を混ぜ合わせ、乾燥した粉末薬を作る。実施例５（点火ヘッドの形成）：実施例１の発火薬の構成物を取り、適当に希薄した接合剤Ｋｅｌｆ−８００の中に入れ、撹拌してジェル状になったら、毛筆で点火ヘッドのブリッジ及び電針上に塗布し、水滴状にする。その後、４０℃から５０℃のオープンの中に入れ、四時間以上加熱乾燥させ、取り出し、冷却してから、再び塗装し、６０℃から６３ ℃で、２４時間以上オーブンの中で加熱乾燥し、冷却して、最後にセルロイド樹脂で表面塗装をする。実施例６から８（点火ヘッドの形成）：実施例５のステップに従い、但しそれぞれ実施例２から４の発火薬構成物を実施例１の発火薬構成物と置き換え、異なる構成比率の点火ヘッドを作る。テストの方法：実施例５から８の点火ヘッド、及びＺｒ５２％、ＫＣｌＯ_４４２％、接合剤６％の構成比率で構成した重量１００ミリグラムの高速燃料点火薬５０で電気点火器を製作し、電気点火器の製作完了後、下記の性能テストを行う。（１）電気敏感度テスト：測定方法は、Ｂｒｕｃｅｎｔｏｎ上下法を採用する。このテストデータは予め統計方式で、全発火電流及び不発火電流を推計後、再びテスト検証する。（２）内弾道性能テスト：１．４アンペア３ｍｓの電流パルスにより、それぞれ常温、高温（＋８５℃）及び低温（−４０℃）下で、電気点火器を引火し、１０ｃｃ測定容器内の圧力−時間曲線を測定し、かつ点火延期時間及びピーク圧力などのデータを読みとる。（３）静電気抵抗安全性テスト：米軍の規範ＭＩＬ−ＳＴＤ−１５１２、Ｍｅｔｈｏｄ２０５方式により測定する。（４）絶縁インピーダンステスト：米軍の規範ＭＩＬ−ＳＴＤ−１５１２、Ｍｅｔｈｏｄ１１７方式により測定する。テスト結果：実施例５から８の点火ヘッドで製作した電気点火器は、テストの結果、下記の条件を充たし、本考案の電気点火器の機能が従来の電気点火器の性能を大きく上回っていることが証明された。１．全発火電流：０．８Ａ／３ｍｓ。２．不発火電流：０．２Ａ／１０ｓｅｃまたは０．２８Ａ／３ｍｓ。３．発火後のインピーダンス：＞１００ＫΩ。４．点火延期時間：＜１ｍｓ（１０ｃｃの測定容器の中で）。５．ピーク圧力：５５±１０ｂａｒ（１０ｃｃの測定容器の中で）。６．適用温度範囲：−４０℃から＋８５℃。７．温度による影響：無（−４０℃から＋８５℃の温度範囲内で）。８．静電気抵抗安全性テスト：２５ＫＶの静電気放電テストに通過。９．絶縁インピーダンス：１００ＭΩ／５００ＶＤＣ。

【０００７】

【考案の効果】

以上に詳述した本考案の電気点火器は、ステンレス・フレーム本体、Ｏ型気密リング、点火ヘッドセット、薬剤カップ及びステンレス保護フレームから構成されており、適切な重量比に調合されたＺｒ、ＮＬＳ、ＫＣｌＯ_４の三種類から構成される発火薬を、点火ヘッドセットのニクロム合金ブリッジ上に直接固定するので、常時振動する環境の影響を受けず、火薬とブリッジの分離などの状況が起きず、一旦点火電流が流れると、必ず点火する仕組みになっているので、電気点火器の点火延期時間を１ｍｓ以内に縮めることができ、また、−４０℃から＋８５℃の温度範囲内で温度による影響を受けずにすむため、短かく安定した点火延期時間と高い耐熱性を備え、快速かつ信頼性の高い発火機能を提供することができるようになった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の電気点火器の断面構造説明図。

【符号の説明】

１０：ステンレス・フレーム本体１１：Ｏ型気密リング１１２０：点火ヘッドセット２１：電針２２：ニクロム合金ブリッジ２３：絶縁充填ブロック３０：薬剤カップ３１：予備亀裂層４０：ステンレス保護フレーム５０：高速燃焼点火薬６０：発火薬

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】収納設置空間を備えた１つのステンレス・
フレーム本体、このステンレス・フレーム本体にはめ込
む１つのＯ型気密リング、ステンレス・フレーム本体の
収納設置空間に設置され、一対の電針とこの電針に接続
された１つのニクロム合金ブリッジ及び２本の電針を固
定絶縁する１つの絶縁充填ブロックを含んだ１つの点火
ヘッドセット、点火ヘッドセットに被せる高速燃焼点火
薬が充填された１つの薬剤カップ、薬剤カップに被せ、
薬剤カップを保護する１つのステンレス保護フレームか
ら構成されることを特徴とする電気点火器。
【請求項２】前記薬剤カップが最低でも１つ以上の予備
亀裂層を備えたプラスチック薬剤カップであることを特
徴とする請求項１に記載の電気点火器。
【請求項３】点火ヘッドセットのニクロム合金ブリッジ
に発火薬の構成物が固定されていることを特徴とする請
求項１に記載の電気点火器。
【請求項４】発火薬の構成物が（ａ）Ｚｒ(Zirconiu
m)、（ｂ）ＮＬＳ(lead styphanate)、（ｃ）ＫＣｌＯ
_４（potassium perchlorate）を含んでおり、各構成物
の重量比については、Ｚｒの重量比が４０%から５５
％、ＮＬＳの重量比が１０％から２５％、ＫＣｌＯ_４の
重量比が２５％から４０％であることを特徴とする請求
項３に記載の電気点火器。
【請求項５】Ｚｒの重量比が４５%から５０％、ＮＬＳ
の重量比が１５％から２０％、ＫＣｌＯ_４の重量比が３
０％から３５％であることを特徴とする請求項４に記載
の電気点火器。
【請求項６】Ｋｅｌｆ−８００を添加することを特徴と
する請求項４に記載の電気点火器。