JP3063023B2 - 融雪電線 - Google Patents
融雪電線Info
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- Y02A30/14—Extreme weather resilient electric power supply systems, e.g. strengthening power lines or underground power cables
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- Non-Insulated Conductors (AREA)
- Insulated Conductors (AREA)
Description
電線周囲に発生する交番磁界により、前記架空電線に巻
付けた磁性線を発熱させて架空電線上の着雪等を解かす
融雪電線に関し、低潮流時の磁性線の発熱量が大でその
巻付量を少なくでき、送電量が多いときは過度に発熱し
ない融雪電線に係る。
けた融雪電線は、架空電線周囲に発生する交番磁界によ
り前記磁性線に渦電流や履歴損失を生じさせ、そのとき
の発熱により着雪や着氷を解かすようにした電線であ
る。この融雪電線の欠点は、着雪等が起き易い早朝は送
電量が少ない為磁性線が十分に発熱せず、送電量の多い
昼間は磁性線のみならず架空電線自身も高温に発熱する
為、送電量を落とさざるを得なくなることであった。
マロイ(Fe−Ni系)磁性線を用いて融雪電線の最大
許容電流における発熱を押さえていた。しかし、キュリ
ー温度の低い磁性線は一般に磁束密度が低く、前記のパ
ーマロイ磁性線も飽和磁束密度が 15000G以下であっ
た。この為早朝の低潮流時に融雪するには、例えばTA
CSR810mm2の場合、送電量 100A、表面磁界10 Oe の
条件下で、1m当たり1kgの磁性線を巻付ける必要があ
った。TACSR810mm2の1m当たりの重量は2.70kgで
あるから、磁性線を巻付けることにより架空電線は37%
重くなった。又軽量化を目的としたインバー線補強の特
別耐熱アルミ合金撚線XTACIR650mm2(外径33mm
φ、インバー線断面積106mm2、アルミ合金撚線断面積65
3mm2、1m当たりの重量2.57kg)を使用しても、パーマ
ロイ磁性線を架空電線1m当たり1kg巻付けるには 4.4
mmφのインバー線を5.3 mmφに太径化して強化する為イ
ンバー線自体が0.16kgの重量増となり、全体で1.16kg、
45%の重量増となった。この重量増は、鉄塔の建て替え
を要する程の大きさであり、この為磁性線は架空電線に
部分的に巻付けて使用しており、十分な融雪効果は期待
できなかった。
雪電線を布設するには、磁性線の巻付量を半分程度に減
らす必要があり、その為には低潮流時(XTACIR65
0mm2の場合で91A)での巻付前の磁束密度が 13500G以
上の磁性線が必要である。本発明は、このような状況の
中で鋭意研究を進めてなされたもので、小量の巻付量で
融雪可能であり、送電量が多いときには過度に発熱しな
い融雪電線を提供することを目的とする。
架空電線の外周に磁性線が螺旋状に巻付けられた融雪電
線において、前記磁性線が、10 Oe の磁界下で磁歪が正
のとき引張応力が残留し、10 Oe の磁界下で磁歪が負の
とき圧縮応力が残留するように巻付けられていることを
特徴とする融雪電線である。
に、低磁界(10 Oe程度) での磁歪が正の磁性線は引張応
力が残留するように、前記磁歪が負の磁性線は圧縮応力
が残留するように巻付けて、低磁界での磁性線の磁束密
度を高めることにより、磁性線の巻付量の低減を図った
ものである。前記残留応力は1kg/mm2以上かけるのが、
その効果が明瞭に顕れて望ましい。
し、磁歪が負のとき圧縮応力が残留するように巻付ける
理由は、磁歪と順向きに応力が残留すると磁束密度が向
上して磁性線の発熱量が増加する為である。前記引張応
力又は圧縮応力は、それぞれ磁歪の正又は負の動きを助
長して磁気特性を改善するものと推定される。
Oe の低磁界での磁歪の絶対値が大きく、引張応力又は
圧縮応力を残留させることにより、前記低磁界での巻付
後の磁束密度が 11000G以上となる磁性線が望ましい。
前記望ましい磁性線の材料は、具体的には、Fe-Ni 系
(パーマロイ)、Fe-Co系、Co-Ni 系、Fe-Co-Ni系、又
はFe-Si 系等の合金、更にこれら合金に他の元素を添加
した合金等である。この他に純鉄、純コバルト、又はこ
れらにGe,Sn,Cr,Al等の元素を添加した合金
を挙げることができる。因みに、純鉄は10 Oe での磁歪
が正で飽和磁歪が負であり、コバルトは10 Oeでの磁歪
と飽和磁歪がともに負である。又Fe-Ni 系,Fe-Co 系,
Co-Ni 系、及びFe-Co-Ni系合金はその殆どの組成におい
て、10 Oe での磁歪と飽和磁歪がともに正である。尚、
前記 Fe-Ni系合金のうちのFe−78wt%Ni合金、及び Fe-
Si系合金のうちのFe-6.5wt%Si合金は、ともに軟磁性合
金で磁歪が小さい(殆ど0)。従って、残留応力を付与
することによる発熱量増大の効果は余り期待できない。
留させるには、架空電線がACSRで磁性線がFe系磁
性線の場合、室温で磁性線を張力をかけながら架空電線
に巻付け固定するか、室温未満の温度に冷却した架空電
線に室温の磁性線を巻付け固定する。このようにする
と、ACSRの表面のアルミ撚線の熱膨張係数は23×10
-6であり、Fe系磁性線の熱膨張係数(Feで12×1
0-6)より大きい為、使用時の温度上昇により熱膨張差
が生じて磁性線に引張応力が残留する。又低磁界下(10
Oe) で磁性線に圧縮応力を残留させるには、例えば、室
温(20℃)を超えて所定温度に温めた架空電線に磁性線
を巻付け固定する。このようにすると融雪を必要とする
5℃以下の温度で圧縮応力がかかる。
下での磁歪が正の磁性線を、室温以下の温度で架空電線
に巻付け固定して、10 Oe の磁界下で磁性線に引張応力
が残留するようにしたことを特徴とする請求項1記載の
融雪電線である。この発明では、磁性線は引張応力によ
り、低磁界下で発熱が促進されるが、最大許容電流送電
時にも磁性線の発熱が促進される。しかし、巻付けた磁
性線のフィン冷却効果により、最大許容電流送電時の架
空電線の温度は磁性線を巻付けない場合より低く抑えら
れる。
の磁歪が正で、飽和磁歪が負の磁性線を、室温以下の温
度で架空電線に巻付け固定して、10 Oe 以上の磁界下で
磁性線に引張応力が残留するようにしたことを特徴とす
る請求項1記載の融雪電線である。この発明では、磁性
線は引張応力により、低磁界下で発熱が促進され、最大
許容電流送電時には、残留応力(引張応力)が磁歪
(負)と逆向きになって発熱が抑制される。最大許容電
流送電時の架空電線の温度は、磁性線のフィン冷却効果
により、磁性線を巻付けない場合より低く抑えられる。
下での磁歪が負の磁性線を、室温を超えて所定温度に温
めた架空電線に巻付け固定して、10 Oe の磁界下で磁性
線に圧縮応力が残留し、最大許容電流磁界下で引張応力
が残留するようにしたことを特徴とする請求項1記載の
融雪電線である。この発明では、磁性線は、低磁界下で
は圧縮応力により発熱が促進され、最大許容電流送電時
には、残留応力(引張応力)が磁歪(負)と逆向きにな
って発熱が抑制される。最大許容電流送電時の架空電線
の温度は、磁性線のフィン冷却効果により、磁性線を巻
付けない場合より低く押さえられる。
の磁歪が負で、飽和磁歪が正の磁性線を、室温を超えて
所定温度に温めた架空電線に巻付け固定して、10 Oe 以
上の磁界下で磁性線に圧縮応力が残留するようにした請
求項1記載の融雪電線である。この発明では、磁性線は
圧縮応力により、低磁界下での発熱が促進され、最大許
容電流送電時には、残留応力(圧縮応力)が磁歪(正)
と逆向きになって発熱が抑制される。最大許容電流送電
時の架空電線の温度は磁性線のフィン冷却効果により、
磁性線を巻付けない場合より低く押さえられる。この発
明での磁性線を巻付け固定するときの架空電線の温度
は、最大許容電流送電時の架空電線の温度を超える温度
である。
いて、磁性線を架空電線に固定する溶接法には、シーム
溶接法、スポット溶接法等、通常の溶接法が適用され
る。ろう付け法では、銀ろうや半田等が使用できるが、
融点の低いものの方が磁性線等の特性を害さず好まし
い。機械的固定法としては、バンド金具で固定する方法
等が用いられる。この発明で磁性線に圧縮応力を残留さ
せる場合は、磁性線は架空電線に短間隔に固定して磁性
線が外方に膨らんで圧縮応力が残留しなくなるのを防止
する。磁性線を架空電線に短間隔で固定すると、架線時
における金車通過の際の磁性線のずれが防止される。磁
性線に引張応力を残留させる場合は、磁性線の両端だけ
を固定しても良い。
具体的に説明する。図1イ、ロは、本発明の融雪電線の
態様を示すそれぞれ横断面図と側面図である。Al層1
を被覆したインバー線2のインバー撚線3の外周に、断
面扇形の特別耐熱アルミ合金線4を3層に撚合わせて架
空電線5を構成し、この架空電線5の外周に磁性線6が
撚合わされている。磁性線6は架空電線5より突出して
巻付けられており、フィン冷却効果が得られる。磁性線
6には電食防止の為Zn層7が被覆されている。
用いた特別耐熱アルミ合金撚線XTACIRは、補強芯
材に鋼線を用いたACSRより、架空電線表面の磁界が
高く磁性線の発熱量が大きくなる。またインバー線は鋼
線より抵抗発熱が大きく、架空電線自身の発熱量も増大
するので、融雪電線の軽量化に有利である。
線が螺旋状に巻付けられた融雪電線において、前記磁性
線が、10 Oe の磁界下で磁歪が正のとき引張応力が残留
し、10 Oe の磁界下で磁歪が負のとき圧縮応力が残留す
るように巻付けられていることを特徴とする融雪電線で
ある。従って、この発明では、架空電線に巻付けられた
磁性線の磁束密度が向上して、磁性線の巻付量を低減で
きる。前記引張応力又は圧縮応力は、例えば、所定温度
に加熱又は冷却した架空電線に室温の磁性線を溶接によ
り固定し、架空電線と磁性線間の熱膨張差を利用して発
生させることができる。磁性線は架空電線に巻付け固定
されているので、融雪電線を金車を通し架線するときの
磁性線のずれが防止される。磁性線は架空電線の外周に
螺旋状に巻付けられているので、磁性線によるフィン冷
却効果が得られ、最大許容電流(XTACIR-650mm2 の場合
で2300A)送電時も架空電線の温度を、磁性線を巻付け
ない場合の架空電線の温度より低く押さえられる。
る。用いた磁性線の合金組成及び磁気特性を表1及び表
2に示す。 用いた各々の磁性線について、種々の特性は
下記方法により測定した。即ち、飽和磁束密度とキュリ
ー温度は振動試料型磁力計により、10 KOeの磁界強度下
で長さ5mmの試料を用いて測定した。磁束密度は、0.65
mmφのエナメル線を 327ターン巻付けた励磁コイルの中
心に25ターンの磁束検出用コイルを配置し、この検出用
コイルの中に 2.6mmφ×1000mmの磁性線材を入れ、直流
B−Hカーブトレーサーを用い、10及び40 Oe 磁界強度
下で測定した。巻付後の磁束密度は、磁性線を34.4mmφ
の丸棒(架空電線の代わり)に巻付けて測定した。この
ときの張力は引張試験機で付与した。比抵抗は0℃での
値を示した。磁歪はレーザー光による磁歪測定装置を用
い、長さ50mmの試料について測定した。なお、表1及び
表2の磁束密度の欄の上段は巻付前の磁束密度、中段は
巻付後の磁束密度、下段は引張応力又は圧縮応力をかけ
たときの磁束密度である。
(合金No.a〜y )は、低潮流時の 10 Oe磁界下における
巻付後の磁束密度がいずれも融雪に必要な 11000G以上
であり、磁性線の巻付量を架空電線1m当たり 0.5Kg以
下にできるものである。これに対し、磁性線(z〜ai)
は、表2より明らかなように、 10 Oe磁界下における巻
付後の磁束密度がいずれも 11000G未満である。しか
し、磁性線の磁歪の正負に応じてそれぞれ引張応力又は
圧縮応力をかけることにより、10 Oe での磁束密度が 1
1000G以上に向上している。尚、10 Oe での磁歪がゼロ
のFe−78wt%Ni合金(合金No.ah)は巻付け加工後も磁束
密度が低く、引張り応力をかけても磁束密度が改善され
ないことが分かる。
の磁性線にAl、Al合金、Zn、又はZn合金を被覆
した。被覆は電気めっき、浸漬めっき、又はアルミ管の
複合加工により行った。厚さ40μm以上のアルミを電気
めっきする場合は、めっき途中に表面研磨を入れた。次
に、前記Al等を被覆した磁性線をインバー線で補強し
た特別耐熱アルミ合金撚線XTACIR(650mm2、外径
34.3mmφ)に1m当たり 0.5kg又は1kg巻付けた。イン
バー線の径は、巻付重量に応じて 4.4mmφから 4.9mmφ
又は 5.3mmφに太くして、磁性線を巻付けたときの重量
増加に耐えられるようにした。
シーム溶接により固定して融雪電線を製造した。磁性線
を巻付け固定するときの架空電線の温度は、各々の磁性
線の10 Oe の磁界下における磁歪の正負に応じて、10 O
e の磁界下で30kgf の引張応力又は圧縮応力がそれぞれ
残留するように設定した。残留応力の条件は、磁歪の正
負と残留応力の引張と圧縮を組合わせた中の4通り
(イ、ロ、ハ、ニ)について示した。又10 Oe 磁界下で
最大の発熱量が得られる最適残留応力を求めた。残留応
力のかけ方は、10 Oe での磁歪が正の磁性線は、磁性線
の一端を架空電線に機械的に固定し、磁性線に引張応力
をかけながら架空電線に巻付け、磁性線の他端を機械的
に架空電線に固定した。10 Oe での磁歪が負の磁性線
(合金No.ag)は、加熱した架空電線に磁性線を巻付けシ
ーム溶接して、磁性線に0℃近傍で100Kgfの圧縮応力を
残留させた。
霧試験により耐食性を調べた。91A(電線表面磁界10 O
e)送電時の発熱量、及び最大許容電流(2300A)送電時
の温度上昇を測定した。残留応力を 30kgf付与した場合
と、最適残留応力を付与した場合の結果を表3と表4に
示す。
に残留応力を付与したもの(No.42〜75)は、磁性線の
巻付量が従来の半分(1m当たり0.5kg)であるにも関わら
ず、91A送電時の発熱量が、毎時5mmの降雪(降水量換
算値)を完全融雪するのに必要な 15.9w/m、又は部分融
雪に必要な12.5w/m を超えた。又最大許容電流送電時の
温度上昇も、磁性線を巻付けない場合の温度(230℃)を
下回った。融雪電線(No.76 〜85)でも最適残留応力を
付与することにより1mあたり 0.5kgの巻付量でも十分
な融雪効果が得られた。特にFe−50wt%Niパーマロイ合
金磁性線を用いた融雪電線(No.76) では引張応力を残留
させることにより2倍程度まで発熱量が増加した。
溶接又は機械的に固定する場合について説明したが、本
発明は、磁性線をろう付けやスポット溶接等の他の方法
により固定しても同様の効果が得られる。又本発明は、
架空電線が銅電線等の他の電線の場合に適用しても同様
の効果が得られる。上記実施例に示した本発明の融雪電
線を金車に通したが、磁性線がずれるようなことがなか
った。
時における磁性線の発熱量が大きい為、その巻付量を低
減できて融雪電線が軽量となり架線費用等が節減され、
又送電量が多いときに過度に発熱することがなく、従っ
て良好な送電が低コストで長期に渡り可能となり、工業
上顕著な効果を奏する。
側面図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 架空電線の外周に磁性線が螺旋状に巻付
けられた融雪電線において、前記磁性線が、10 Oe の磁
界下で磁歪が正のとき引張応力が残留し、10Oe の磁界
下で磁歪が負のとき圧縮応力が残留するように巻付けら
れていることを特徴とする融雪電線。 - 【請求項2】 10 Oe 以上の磁界下での磁歪が正の磁性
線を、室温以下の温度で架空電線に巻付け固定して、10
Oe の磁界下で磁性線に引張応力が残留するようにした
ことを特徴とする請求項1記載の融雪電線。 - 【請求項3】 10 Oe の磁界下での磁歪が正で、飽和磁
歪が負の磁性線を、室温以下の温度で架空電線に巻付け
固定して、10 Oe 以上の磁界下で磁性線に引張応力が残
留するようにしたことを特徴とする請求項1記載の融雪
電線。 - 【請求項4】 10 Oe 以上の磁界下での磁歪が負の磁性
線を、室温を超えて所定温度に温めた架空電線に巻付け
固定して、10 Oe の磁界下で磁性線に圧縮応力が残留
し、最大許容電流磁界下で引張応力が残留するようにし
たことを特徴とする請求項1記載の融雪電線。 - 【請求項5】 10 Oe の磁界下での磁歪が負で、飽和磁
歪が正の磁性線を、室温を超えて所定温度に温めた架空
電線に巻付け固定して、10 Oe 以上の磁界下で磁性線に
圧縮応力が残留するようにした請求項1記載の融雪電
線。
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Applications Claiming Priority (3)
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JP12975994 | 1994-05-18 | ||
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JP7040147A Expired - Fee Related JP3063023B2 (ja) | 1994-05-18 | 1995-02-28 | 融雪電線 |
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1995
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