JP3057414U - 建造物設置用小型風力発電装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 建造物（住宅、ビル、鉄塔、マイクロタワー
等）の屋上や頂部などの風況に適した（風速５〜２０ｍ
／ｓの風の吹く処）地点での空間スペースを利用して小
型の風力発電装置を設置し、これと太陽光発電装置とを
電気的に結合し、無限の自然エネルギーにより複合発電
した低廉な電力を供給する。 【構成】 １本の垂直回転軸１に２枚羽根の風杯２０を
持つ水平の回転子２が多段装着された小型の風車発電装
置８を建造物上に設置し、回転軸１と発電機５を直結駆
動して発電する。また、建造物上の空間スペースの広さ
に応じて風車発電装置８を複数台並列設置し、回転方向
の異なる垂直回転軸１にデフ４を取付け、水平軸６によ
って水平設置の発電機５と連結し、複数台の水平風車に
より発電機５を駆動し発電する。さらに別途、設置され
た太陽光発電装置９と風車発電装置８とを制御装置によ
り電気的に結合して風力と太陽光による複合（ハイブリ
ッド）発電システムを構成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本発明は、垂直方向の軸を有する水平回転翼形の風車（垂直軸風車）を利用す る風力発電装置と、これと電気的に結合して複合発電を行う太陽光発電装置とに 関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、垂直軸を有する水平回転翼形の小型の風車発電装置として代表されるも のとしてはバトル形、サボニウス形、クロスフロー形などが知られており、多数 の羽根を持ち、受風面積が大きく、回転力の高い風車としてサボニウス形やクロ スフロー形が注目されている。

【０００３】 その中で、例えば、特開平９−６０５７３に記載の風力発電装置のように、回 転子の羽根の有効受風面積を大きくした枠板に開閉式シャッタを取付けて風抗力 の差を大きくすることにより大きな回転トルクを発生させる垂直軸形の水平風車 発電装置が公報されている。

【０００４】 また、登録実用新案公報（平成８年、登録番号、第３０２３０４５号）には鉄 塔頂部の空間を利用して２風杯形の回転子を十字形に配設した小型水平風車発電 装置を設置するとともに腕金の上面を利用してソーラー・パネルを設置し、これ らを電気的に結合したハイブリッド（複合）発電システムが公報されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

前者においては、回転子（以下、回転翼ともいう）の板状の羽根（以下、翼板 ともいう）に取付けられた通風口の面積の翼板全体の投影面積に占める割合が小 さいこと、回転子の位相配置が９０度間隔の十字形のため、風向に正体する翼板 （最大受風面）が１面で、他面は風向と並行するため、持続性回転力が発生しに くい構造である。 また、斜風（４５度方向）時にはシャッターが完全開閉せず通風特性が低下す るほかシャッターの開閉時に騒音が発生するなどに問題があった。

【０００６】 一方、後者の複合発電システムの小型風車発電装置においては、回転子が１段 で風杯の受風投影面積が小さく、風杯の凹面（順風側）と凸面（逆風側）との風 抗力の差が小さく、回転子の長さも１〜１．５ｍと短かいことと前者と同じく回 転子が十字形で風向に正体する風杯の風を受風して回転駆動させる構造のため、 持続性回転力が発生しにくい低速回転形で、大きな回転力（発生電力）が得られ ないといった点に問題があった。 よって、これを補う太陽光発電装置との併用による発生電力増を図っている。

【０００７】 上記の風車発電装置はいずれも単独では回転翼板の風抗力の差が小さいため、 回転力と回転速度を高めて発電出力を大きくすることができない構造であった。

【０００８】 本発明は、上記のような抗力型水平風車発電装置における問題点である回転翼 の受風構造の改善（風杯の有効受風面積と両翼の風抗力差の増大）並びにそのメ カニズムを改善（変速ギアによる高速化、並列運転による回転力の増大）するこ とによるエネルギー変換効率の一層の向上を図ることを目的としている。

【０００９】

【考案が解決するための手段】

上記の目的を達成するため、本考案における風車発電装置の回転子は、上下２ 枚の板状の羽根（翼板）と風止ベーンより形成された風杯を持った回転子の左右 の連結された風杯が回転にともなう風抗力によって交互連動して開閉する構造と することによって左右の風杯の風抗力の差を大きくすることを第１要旨とした。 即ち、回転子の回転にともない順風側の上下２枚の翼板が横Ｖ形（＞）に開く と同時に逆風側の上下２枚の翼板が横Ｉ形（＝）に閉じる構造とした。

【００１０】 上記の風杯を持つ回転子を同一回転軸に３０度、４５度または６０度等の位相 角で等間隔に配置し、３段、４段または６段装着することにより受風面積の増大 とともに持続性回転力（自己起動性）の増高を第２要旨とした。 即ち、各段の回転子の回転軸への取付けは、各風杯が回転により順次、自動的 に風に対して最適な回転力が得られるような迎え角をもつた位相配置とした。 上記回転軸に発電機（０．３〜０．５ｋｗ）を直結し駆動する機構とした。

【００１１】 また、回転方向の異なる風車装置を複数台並設して連係し、より大きな回転力 と回転速度を高めることを第３要旨とした。 そのため、デフ機構（以下、デフという）と水平被駆動軸（以下、水平軸とい う）を使用し、水平設置した発電機（１〜３ｋｗ）を駆動する機構とした。

【００１２】 さらに、上記の小型風車発電装置と別途、設置された太陽光発電装置とを電気 的に結合し、不規則性、間欠（自然）エネルギーによる複合発電能力を高めるこ とによって低廉な電力を安定供給するシステムとすることを第４要旨とした。

【００１３】

【考案の実施の形態】

実施例について図面を参照して説明すると、図１は、考案による水平風車で、 複翼の回転子を垂直回転軸に６段取付けた独立型風車装置で、その規模は、羽根 の幅（ｗ）１０ｃｍ，長さ（ｌ）４０ｃｍ、回転子の直径（Ｄ）１ｍφ，高さ（ Ｈ）１．５ｍ，出力が０．５ｋｗ程度のテレビアンテナ相当の構造である。 主要の回転子２の風杯２０は、図３（ａ）の斜視図と（ｂ）の翼板３のように 断面が八つ橋（半円，２．５ｃｍＲ）形の細長い腕木２３の両縁部に短冊状の羽 根３を４０度ひねった状態で取付けた翼板３を上下２枚組合わせて構成される。 羽根の材質は、軽量かつ強靱なＦＲＰまたはアクリル材を使用し、５ｍｍの厚 さで鋳型成型する。

【００１４】 回転子２は、図４（ａ）（ｂ）（ｃ）のように、心棒３０（鋼、２ｃｍφ）に 上下２枚の翼板３を被嵌枢設し、更に、これに支持套管３１（鋼、３ｃｍＲ）を 被嵌係着した後、両翼端に風止ベーン２１を取付け後、これらをナット３３によ り締着することにより開閉式翼板が枢軸３０上を滑動する回転子２が構成される 。

【００１５】 ２風杯形の回転子２の中心を図５に示す直交クランプ１１によって固定する。 次に各回転子間の配置位相角０（３０度〜６０度）決めた後、各回転子２の直交 クランプ１１間をシャフト１０（鋼、５ｃｍφ）により連結固定し、多段式の垂 直回転軸１を構成する。

【００１６】 多段式風車装置を支持する架台７を設置し、風車が１台の場合は、垂直回転軸 １と発電機５を直結する。また、複数台の場合は、各風車毎にデフ４を取付け、 水平軸６を使って水平設置の発電機５に連結する。

【００１７】 同一建造物上に設置された太陽光発電装置９との結合のため、必要に応じて図 （ａ）（ｂ）のようにダイオード、バッテリー、コンバーター等の制御装置を設 置して配線する。

【００１８】

【考案の効果】

本考案は、上述のとおり構成されているので、次に記載する効果を奏する。 請求項１における回転子の上下２枚の翼板が形成する左右の風杯が、回転子の 回転にともなう風抗力によって自動的に交互連動して開閉（順風側が開き、逆風 側が閉じる）する構造であって左右の風杯の受風面積の差が大きいために大きな 風抗力による回転力が得られる。

【００１９】 また、同一回転軸に２風杯形の回転子を同一ピッチ角度（３０度、４５度、６ ０度等）をもって放射状に３〜６段位相配置し、多段翼構造とすることによって より持続性回転性能が向上するため、大きな風抗力と回転力が得られる。

【００２０】 請求項２における回転方向が逆の２台の水平風車を連設し、デフ（差動傘形歯 車装置）と水平軸を使って、２台の風車の回転力を水平設置した発電機に直結し 並列運転することによって、より大きな回転力と回転速度が得られる。

【００２１】 請求項３における住宅等の屋上に設置した小型風車発電装置と太陽光発電装置 との結合による複合発電システムの構成によって、不規則性、間欠性である双方 の自然エネルギーの転換効率の向上とともに蓄電と発電能力の一層の向上が可能 となる。

【００２２】 本考案による小形風車装置は、汎用のプロペラ型風車（水平軸型）に比べ、軽 量かつ機構がシンプルであるため、製作が容易で安価であることのほか、建造物 の屋上等の空間を有効に利用（用地費不要）して発電装置を容易設に置すること ができることから、自然エネルギー（クリーン・エネルギーの利用）政策の一環 （一般家庭住宅利用）として、これが普及促進に寄与するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 独立型複翼６段式水平風車発電装置の平面図
と側面図。

【図２】 連立型複翼６段式水平風車発電装置の平面図
と側面図。

【図３】 回転子 （ａ） 翼板の斜視図。 （ｂ） 翼板の平面図と側面図。 （ｃ） 心棒の平面図と側面図。 （ｄ） 支持套管の平面図と側面図。

【図４】 回転子 （ａ） 翼板の平面図。 （ｂ） 風杯の断面図（Ａ−Ａ）。 （ｃ） 風止ベーンの側面図。 （ｄ） 風杯の端部拡大図。

【図５】 直交クランプ （ａ） 斜視図。 （ｂ） 正面図と側面図。

【図６】 風力・太陽光複合発電システム。 （ａ） 建造物設置状況図 （ｂ） システム配線図

【符号の説明】

１ 垂直回転軸（回転軸） ２ 回転子（回転翼、ローター） ３ 翼板（羽根） ４ デフ機構（デイフアレンシャル・ギア、差動傘形歯
車装置） ５ 発電機（交流または直流） ６ 水平被駆動軸（水平軸） ７ 支持架台 ８ 水平風車発電装置（風車発電装置、風力発電装置） ９ 太陽光発電装置 １０ シャフト（回転軸） １１ 直交クランプ（フレンジ付） １２ ベアリング（軸受け） ２１ 風止ベーン ２２ キャンバー（反り） ２３ 腕木 ３０ 心棒（枢軸） ３１ 支持套管 ３２ 係止片 ３３ ナット（固定用） Ｒ 半径 ｌ 翼板の長さ Ｄ 直径 Ｗ 翼板の幅 Ｈ 高さ Ｃ コントローラー
（制御装置） Ｓ スパン Ｉ インバーター Ｐ ピッチ Ｂ バッテリー θ 水平角（位相角） Ｄ ダイオード

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【手続補正書】

【提出日】平成１０年１０月１２日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】実用新案登録請求の範囲

【補正方法】変更

【補正内容】

【実用新案登録請求の範囲】

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 垂直回転軸型の水平風力発電装置であっ
   て、（イ）回転子の左右の風杯が、４０度ひねった左右
   の羽根が連結した上下２枚の翼板よりなり、（ロ）上下
   ２枚の翼板が形成する左右の風杯が回転子の回転にとも
   なう風抗力によって交互連動して開閉（断面形状は順風
   側が＞形、逆風側が＝形）し、（ハ）上記の２風杯形の
   回転子が同一回転軸に３〜６段装着され、（ニ）各段の
   回転子が軸心から同一ピッチの角度（３０度、４５度、
   ６０度等）で放射状に位相配置され、（ホ）各回転子の
   風杯先端部に風止ベーンを具備し、翼板の前縁部にキャ
   ンバー（反り）付の、（ヘ）垂直回転軸と発電機の機軸
   が直結して回転駆動する。以上の如く構成されてなる複
   翼多段式の独立型の小型風力発電装置。
2. 【請求項２】 回転子の回転方向が逆（風杯の開閉方向
   が逆）の２台の複翼多段式小型風車装置を連設（相互接
   近する風杯に最大の風抗力が得られる位相角を持った配
   置）し、それぞれの垂直回転軸の下端に逆転増速用のデ
   フ機構（差動傘形歯車装置）を取付け、これを介して水
   平被駆動軸を連結し、これに水平設置した発電機を直結
   して回転駆動する連立型（並列運転）の小型風力発電装
   置。
3. 【請求項３】 建造物（住宅、ビル、タワー等）の上に
   別途、設置された太陽光発電装置に併設して、これと電
   気的に結合し、風力と太陽による複合発電電力を蓄電、
   供給する上記、請求項１および２記載の小型風力発電装
   置。