JP3056218U - 儀式用の祭器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 仏事又は神事としての儀式における礼拝対象
を象徴的に表すような祭器を創出することである。 【解決手段】 模様又は絵入りの周縁２を有し、その周
縁の上端枠３内に形成された台座面４上において、信仰
対象物を成す仏像、曼陀羅又は神体等の尊体５を立設す
るとともに、その尊体の正面に燭台又は模灯火台６もし
くは模神鏡、碗又は皿７、及び散華８等の祭壇具足類を
配置し、前記台座面上又は周縁のいずれか一所に、当該
儀式の祭司者が依拠する宗派等の本山又は本庁の下付印
証９を表示したものであって、前記尊体が入道場もしく
は降臨するための乗物を擬して全体的に可燃物で形成さ
れた儀式用の祭器を構成したものである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、神仏像、神仏画、位牌、墓石等の礼拝対象物又はこれに準ずる器 物の開眼、入魂、閉眼、撥遣（ハッケン）等の移徒（ワタマシ）、あるいは地鎮 祭等の諸祈願など、仏事又は神事として行われる儀式に用いるための祭器に関す るものである。

【０００２】

【従来の技術】

移徒その他、仏事又は神事としての儀式においては、対象物である神仏像や墓 石等が存在する場合はその前で、また地鎮祭等の野外儀式においては設えた祭壇 の前で、僧侶が読経したり神官が祝詞を上げたりするのが普通である。

【０００３】 この場合、礼拝対象物の安置処まで、本山又は本庁からその儀式の趣意が運ば れて来たことを象徴的に表すような祭器を配置すれば、その儀式をより厳かにし 、施主や他の参加者の精神的満足度も大きくなると思われる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は、上記のような儀式を象徴的に表すための祭器を創出し、これによっ てその儀式を荘厳し又は格式を与え、施主や他の参加者に精神的満足度を与える とともに、僧侶や神官など祭司者の利便にも供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

このため本考案は、模様又は絵入りの周縁を有し、その周縁の上端枠内に形成 された台座面上において、信仰対象物を成す仏像、曼陀羅又は神体等の尊体を立 設するとともに、その尊体の正面に燭台又は模灯火台、碗又は皿、及び散華等の 祭壇具足類を配置したものであって、前記尊体が入道場もしくは降臨するための 乗物を擬して全体的に可燃物で形成されたことを特徴とする儀式用の祭器を構成 した。

【０００６】 この場合、前記台座面上又は周縁のいずれか一所に、当該儀式の祭司者が依拠 する宗派等の本山又は本庁の下付印証を表示することにより、祭器の宗教的権威 を高め、参加者の得心を深めるのにも役立つ。特に、祭器は周縁の叢雲模様や絵 模様と全体的形状によって、尊体が施主宅に入道場もしくは降臨するための雲、 舟又は車等の乗物を擬しているものであるから、そのような下付印証は当該本山 を特定し、尊体がそこから祭司者を擁する末寺等を経て入道場もしくは降臨され たという儀典形式の依拠ともなるものである。

【０００７】

【考案の実施の形態】

図１は本考案の第１の実施例における祭器を示す斜視図である。祭器１は、適 当な反復周回模様又は絵模様を付した円筒状周縁２を有し、その周縁２の上端枠 ３の内側に平坦な台座面４を形成したものである。台座面４上には例えば、信仰 対象物を成すミニ仏像等の尊体５が背側を上端枠３に近づけて立設され、その尊 体５の正面側において最前列の左右に模灯火台６、塩等を盛る皿７を、そのやや 背後に散華８を配し、さらにその背後（尊体５の直前）に、祭司者が依拠する宗 派等の本山又は本庁の下付印証９を張りつけたものである。但し、下付印証９の 張りつけは他の位置、例えば周縁２の適当位置としてもよい。また尊体５の背後 に光背模型１０を配置することができる。

【０００８】 祭器１は、前述のように尊体が、例えば本山から祭司者を擁する末寺等を経て 式場に入道場もしくは降臨される際の乗物を擬して形成されたものであり、尊体 ５としては、上記のようなミニ仏像の他、立て碑文上に神仏名、真言、名号又は 題目等を表示したものも適用可能である。さらに模灯火台６に代えて燭台を、ま た皿７に代えて碗を用いることができる他、散華８に代え又は散華８と共に、木 、火、土、金、水を配した所謂「五偉」や、地、水、火、風、空を表す「五輪」 等の抽象模型を設置し、特に神事においては模神鏡をも設置することができる。 なお、上枠３等に沿って五色糸を装飾的に巡らせてもよい。

【０００９】 上記実施例の構造は周縁２及び台座面４からなる祭器１の本体だけでなく、台 座面４上に配置される尊体５及び具足類６、７、８等もすべて紙又は布等の無害 可燃物から形成される。従って、儀式に使用した後は直ちに焼却可能である。こ れは浄火焼きとして行われるため、儀式の一環とすることができる。

【００１０】 図２は第２の実施例を示すもので、祭器１’の周縁２’には叢雲と見立てた模 様が施され、尊体５’としては厚紙に仏像の線画を描いたものの下部を、台座面 ４に差し込み又は張りつけて立体的にしたものが用いられる。その他、図１と同 一の参照数字を付したものは、同図に示した第１実施例のものと同じであり、説 明を省略する。

【００１１】 以上述べた第１及び第２の実施例において、周縁２及び２’は３段構造として 図示されているが、それ以上又はそれ以下の段数とし、祭器のサイズや他の配置 物の装飾程度、又は配置数と併せて祭礼の格付けに用いることができる。

【００１２】

【考案の効果】

本考案は以上述べた通り、諸儀式の祈願を祭器によって目に見える形とし、こ れによって荘厳さを高め、参加者の得心をより強固なものとすることができる。 また、祭器は無害の可燃物から形成され、浄火で焼却することを儀式作法とする ことにより、使用後の処分に困ることもない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例における祭器を示す斜視図
である。

【図２】本考案の第２実施例における祭器を示す斜視図
である。

【符号の説明】

１ 祭器 ２ 周縁 ３ 上枠 ４ 台座面 ５ 尊体 ６ 模灯火台 ７ 皿 ８ 散華 ９ 下付印証 １０ 光背

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 宮川 典祐 滋賀県守山市守山六丁目９番41号 (72)考案者 宮川 朋子 滋賀県守山市吉身一丁目６番25号

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 模様又は絵入りの周縁を有し、その周縁
   の上端枠内に形成された台座面上において、信仰対象物
   を成す仏像、曼陀羅又は神体等の尊体を立設するととも
   に、その尊体の正面に燭台又は模灯火台、模神鏡、碗又
   は皿、及び散華等の祭壇具足類を配置したものであっ
   て、前記尊体が入道場もしくは降臨するための乗物を擬
   して全体的に可燃物で形成されたことを特徴とする儀式
   用の祭器。
2. 【請求項２】 前記台座面上又は周縁のいずれか一所
   に、当該儀式の祭司者が依拠する宗派等の本山又は本庁
   の下付印証を表示したことを特徴とする請求項１記載の
   祭器。