JP3054731B2 - 構造物基礎の支持力増強装置および支持力増強方法 - Google Patents
構造物基礎の支持力増強装置および支持力増強方法Info
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- JP3054731B2 JP3054731B2 JP8260721A JP26072196A JP3054731B2 JP 3054731 B2 JP3054731 B2 JP 3054731B2 JP 8260721 A JP8260721 A JP 8260721A JP 26072196 A JP26072196 A JP 26072196A JP 3054731 B2 JP3054731 B2 JP 3054731B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水浸状態の構造物
基礎の支持力増強装置および支持力増強方法に関するも
のである。
基礎の支持力増強装置および支持力増強方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】砂質土系地盤、粘性土系地盤あるいは風
化岩上で水浸状態にある構造物として、例えば、橋脚、
石油・ガス掘削用プラットフォームなどの永久構造物
や、工事用岸壁、ジャッキアッププラットフォームなど
の仮設構造物などがあるが、これらの構造物の基礎形式
として、直接基礎、杭基礎、ケーソン基礎などがある。
図17は構造物1としてのジャッキアッププラットフォー
ムの基礎2の例を示す。
化岩上で水浸状態にある構造物として、例えば、橋脚、
石油・ガス掘削用プラットフォームなどの永久構造物
や、工事用岸壁、ジャッキアッププラットフォームなど
の仮設構造物などがあるが、これらの構造物の基礎形式
として、直接基礎、杭基礎、ケーソン基礎などがある。
図17は構造物1としてのジャッキアッププラットフォー
ムの基礎2の例を示す。
【0003】上載荷重に対する反力は、直接基礎では構
造物の全荷重を基礎梁と基礎底板により支持地盤に直接
伝えることで得ており、杭基礎では支持杭により構造物
全体の荷重を支持地盤に伝え、また、摩擦杭により粘性
地盤層の付着力と摩擦力によって構造物全体の荷重を支
持し、ケーソン基礎では、構造物の自重や積載荷重を利
用して構造物を所定の深度の地盤まで沈下させて設置
し、土被り荷重によって反力を得ている。
造物の全荷重を基礎梁と基礎底板により支持地盤に直接
伝えることで得ており、杭基礎では支持杭により構造物
全体の荷重を支持地盤に伝え、また、摩擦杭により粘性
地盤層の付着力と摩擦力によって構造物全体の荷重を支
持し、ケーソン基礎では、構造物の自重や積載荷重を利
用して構造物を所定の深度の地盤まで沈下させて設置
し、土被り荷重によって反力を得ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】構造物が水浸状態にあ
る場合、基礎地盤にサクションを発生させることが可能
であり、このサクションを利用して支持力を増強するこ
とが可能であるが、従来の支持構造はこのサクションを
利用するものではなかった。特に海洋構造物の安定性を
確保するには、鉛直荷重のみならず風力、波力及び潮力
などに起因する水平荷重およびモーメント荷重の複合荷
重下での基礎の安定性が要求されるが、従来の構造、方
法では十分な支持力を得るための構造が大掛かりなもの
となったり、基礎構築のための費用も嵩んだ。
る場合、基礎地盤にサクションを発生させることが可能
であり、このサクションを利用して支持力を増強するこ
とが可能であるが、従来の支持構造はこのサクションを
利用するものではなかった。特に海洋構造物の安定性を
確保するには、鉛直荷重のみならず風力、波力及び潮力
などに起因する水平荷重およびモーメント荷重の複合荷
重下での基礎の安定性が要求されるが、従来の構造、方
法では十分な支持力を得るための構造が大掛かりなもの
となったり、基礎構築のための費用も嵩んだ。
【0005】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消
し、構造物が水浸状態にある場合は、基礎地盤にサクシ
ョンを発生させることが可能であることを有効に利用し
て、支持力を増強し、構造物の安全性を向上するととも
に基礎構築のためのコストの低減も図る構造物基礎の支
持力増強装置および支持力増強方法を提供することにあ
る。
し、構造物が水浸状態にある場合は、基礎地盤にサクシ
ョンを発生させることが可能であることを有効に利用し
て、支持力を増強し、構造物の安全性を向上するととも
に基礎構築のためのコストの低減も図る構造物基礎の支
持力増強装置および支持力増強方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するため、構造として第1に、水浸状態の構造物基礎の
底部を透水性の多孔体で形成し、前構造物基礎に基礎地
盤からの集水を行う排水機構を前記透水性の多孔体に連
結させて付設することを要旨とするものである。
するため、構造として第1に、水浸状態の構造物基礎の
底部を透水性の多孔体で形成し、前構造物基礎に基礎地
盤からの集水を行う排水機構を前記透水性の多孔体に連
結させて付設することを要旨とするものである。
【0007】第2に、排水機構は、ポンプであること、
または、透水性の多孔体に第1の排水管を介して連通す
る水中に係留した水密性排水容器と、該水密性排水容器
に第2の排水管を介して連通する水上の排水ポンプとで
構成することを要旨とするものである。
または、透水性の多孔体に第1の排水管を介して連通す
る水中に係留した水密性排水容器と、該水密性排水容器
に第2の排水管を介して連通する水上の排水ポンプとで
構成することを要旨とするものである。
【0008】第3に、構造物基礎の周囲の地盤上に不透
水性シートを布設することを要旨とするものである。
水性シートを布設することを要旨とするものである。
【0009】また、方法としては、水浸状態の構造物基
礎の底部を透水性の多孔体で形成し、前記構造物基礎に
基礎地盤からの集水を行う排水機構を前記透水性の多孔
体に連結させて付設し、排水機構を作動して基礎地盤中
の水を透水性の多孔体を透過させて吸い上げ、この排水
により基礎地盤内にサクションを発生させ、地盤内の有
効応力の増加に伴う剪断抵抗を増加させることを要旨と
するものである。
礎の底部を透水性の多孔体で形成し、前記構造物基礎に
基礎地盤からの集水を行う排水機構を前記透水性の多孔
体に連結させて付設し、排水機構を作動して基礎地盤中
の水を透水性の多孔体を透過させて吸い上げ、この排水
により基礎地盤内にサクションを発生させ、地盤内の有
効応力の増加に伴う剪断抵抗を増加させることを要旨と
するものである。
【0010】請求項1、請求項5記載の本発明によれ
ば、水浸状態の構造物基礎の底部や周面の全部または一
部に透水性の多孔体を配設し、前記構造物基礎に基礎地
盤からの集水を行う排水機構を前記透水性の多孔体に連
結させて付設し、排水機構を作動して基礎地盤中の水を
透水性の多孔体を透過させて吸い上げることにより、基
礎地盤内にサクションが発生し、基礎底面での水頭が減
少して基礎底面と地盤表面間の水頭差により地盤内に浸
透流が生じる。
ば、水浸状態の構造物基礎の底部や周面の全部または一
部に透水性の多孔体を配設し、前記構造物基礎に基礎地
盤からの集水を行う排水機構を前記透水性の多孔体に連
結させて付設し、排水機構を作動して基礎地盤中の水を
透水性の多孔体を透過させて吸い上げることにより、基
礎地盤内にサクションが発生し、基礎底面での水頭が減
少して基礎底面と地盤表面間の水頭差により地盤内に浸
透流が生じる。
【0011】これにより基礎下部地盤中の間隙水圧が低
下し、相応分の有効応力が増加し、これに伴い地盤中の
砂の剪断抵抗が増加し支持力が増強する。
下し、相応分の有効応力が増加し、これに伴い地盤中の
砂の剪断抵抗が増加し支持力が増強する。
【0012】請求項2記載の本発明によれば、前記作用
に加えて、排水機構としてはポンプを基礎などに付設す
るだけの簡単な構造で基礎地盤から排水でき、基礎地盤
内に容易にサクションを発生させることができる。
に加えて、排水機構としてはポンプを基礎などに付設す
るだけの簡単な構造で基礎地盤から排水でき、基礎地盤
内に容易にサクションを発生させることができる。
【0013】請求項3記載の本発明によれば、前記作用
に加えて、基礎下部地盤の全水頭と水密性排水容器内貯
留水の水頭の差を利用して、基礎底面または周面からの
排水を電気などの動力を使用せずに行えるから、停電な
どの非常時に容易に対処でき、確実に排水できる。
に加えて、基礎下部地盤の全水頭と水密性排水容器内貯
留水の水頭の差を利用して、基礎底面または周面からの
排水を電気などの動力を使用せずに行えるから、停電な
どの非常時に容易に対処でき、確実に排水できる。
【0014】請求項4記載の本発明によれば、前記作用
に加えて、構造物基礎の周囲の地盤上に不透水性シート
を布設することにより、サクションを発生させる範囲を
広く確保でき、また、基礎の洗掘防止も図れる。
に加えて、構造物基礎の周囲の地盤上に不透水性シート
を布設することにより、サクションを発生させる範囲を
広く確保でき、また、基礎の洗掘防止も図れる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面について本発明の実施
の形態を詳細に説明する。図1は本発明の構造物基礎の
支持力増強装置および支持力増強方法の実施の形態を示
す基礎構造の基本構成の説明図で、地盤4に構築され水
浸状態にあるジャッキアッププラットホームなどの構造
物1の基礎2の場合で、ポーラスメタルなどの透水性の
多孔体3を基礎形式および土層構成などに応じて基礎2
の底面あるいは周面などの全周または一部を形成する。
この場合、基礎2の底面などが透水を妨げない構造であ
る必要があり、基礎2の底面自体を透水性の多孔体3で
形成してもよいし、基礎2の構成部材とは別に透水性の
多孔体3を別途取り付けてもよい。
の形態を詳細に説明する。図1は本発明の構造物基礎の
支持力増強装置および支持力増強方法の実施の形態を示
す基礎構造の基本構成の説明図で、地盤4に構築され水
浸状態にあるジャッキアッププラットホームなどの構造
物1の基礎2の場合で、ポーラスメタルなどの透水性の
多孔体3を基礎形式および土層構成などに応じて基礎2
の底面あるいは周面などの全周または一部を形成する。
この場合、基礎2の底面などが透水を妨げない構造であ
る必要があり、基礎2の底面自体を透水性の多孔体3で
形成してもよいし、基礎2の構成部材とは別に透水性の
多孔体3を別途取り付けてもよい。
【0016】前記基礎2に基礎地盤である地盤4からの
集水を行う排水機構として排水ポンプ5を前記透水性の
多孔体3に連結させて付設する。
集水を行う排水機構として排水ポンプ5を前記透水性の
多孔体3に連結させて付設する。
【0017】基礎2の下部周面と基礎2の周囲の地盤4
の上に通常の止水目的の土木工事用ゴムシートなどの不
透水性のシート6を付設し、該シート6の端を基礎2に
締結金具7で接合しシート6を基礎2に密着させる。な
お、このシートは排水層が水底面に露出している場合に
のみ設置し、その面積は後述の期待する支持力増強効果
を考慮して決定する。
の上に通常の止水目的の土木工事用ゴムシートなどの不
透水性のシート6を付設し、該シート6の端を基礎2に
締結金具7で接合しシート6を基礎2に密着させる。な
お、このシートは排水層が水底面に露出している場合に
のみ設置し、その面積は後述の期待する支持力増強効果
を考慮して決定する。
【0018】また、シート6の表面には図2、図3に示
すようにサクションを作用させない時のシート6の浮き
上がりを防止するための重錘30を固定することが望まし
い。図示の例では重錘30は細長棒状に形成したものを複
数本使用し、これらをシート6の上に放射状に位置する
とともに円周にそって配置した。
すようにサクションを作用させない時のシート6の浮き
上がりを防止するための重錘30を固定することが望まし
い。図示の例では重錘30は細長棒状に形成したものを複
数本使用し、これらをシート6の上に放射状に位置する
とともに円周にそって配置した。
【0019】次に支持力増強方法について説明する。基
本的作用は、排水ポンプ5を作動し透水性の多孔体3を
通して前記のように水浸状態にある基礎2の底部の地盤
4からの排水を行うと、基礎2の底面での水頭が減少
し、基礎2の底面と地盤4の表面間の水頭差により地盤
4の内部に浸透流が生じる。これにより基礎2の下部の
地盤4およびシート6が付設されている下方の地盤4中
にサクションが発生して地盤4中の間隙水圧が低下し、
相応分の有効応力が増加し、基礎地盤の支持力が増強す
る。
本的作用は、排水ポンプ5を作動し透水性の多孔体3を
通して前記のように水浸状態にある基礎2の底部の地盤
4からの排水を行うと、基礎2の底面での水頭が減少
し、基礎2の底面と地盤4の表面間の水頭差により地盤
4の内部に浸透流が生じる。これにより基礎2の下部の
地盤4およびシート6が付設されている下方の地盤4中
にサクションが発生して地盤4中の間隙水圧が低下し、
相応分の有効応力が増加し、基礎地盤の支持力が増強す
る。
【0020】図4は基本原理である増加有効応力の等ポ
テンシャル線の概念図であり、これにより基礎地盤から
の排水による地盤4内の有効応力(有効拘束圧)が増加
するとこれに伴い地盤4を形成する砂の剪断抵抗が増加
することがわかる。本発明はこの剪断抵抗の増加を利用
して支持力を増強させるものである。
テンシャル線の概念図であり、これにより基礎地盤から
の排水による地盤4内の有効応力(有効拘束圧)が増加
するとこれに伴い地盤4を形成する砂の剪断抵抗が増加
することがわかる。本発明はこの剪断抵抗の増加を利用
して支持力を増強させるものである。
【0021】図5はかかる基本原理の有効性確認のため
の実験装置を示し、模型の地盤8は砂を用いてドラム内
の中央チャンネル内に相対密度が50%、層厚が10.5cm
になるように作成した。基礎模型9は直径76.7mmの円形
で、内部にロードセルを配置した。また、基礎の地盤8
からの集水のため、その底面にポーラスメタルを採用
し、側面に排水用チューブ10を接続し、該排水用チュー
ブ10の他端は下部チャンネルに設置したスタンドパイプ
11に接続し、その高さを制御することにより生じる中央
チャンネル内水位との水位差を利用して排水が行われる
ようにした。
の実験装置を示し、模型の地盤8は砂を用いてドラム内
の中央チャンネル内に相対密度が50%、層厚が10.5cm
になるように作成した。基礎模型9は直径76.7mmの円形
で、内部にロードセルを配置した。また、基礎の地盤8
からの集水のため、その底面にポーラスメタルを採用
し、側面に排水用チューブ10を接続し、該排水用チュー
ブ10の他端は下部チャンネルに設置したスタンドパイプ
11に接続し、その高さを制御することにより生じる中央
チャンネル内水位との水位差を利用して排水が行われる
ようにした。
【0022】さらに浸透流路長を長くして有効応力の増
加範囲を広くするため、不透水性のシート(ホリゾンタ
ルスカート)6を基礎模型9の側面に接続し、これによ
り基礎周辺地盤の表面を覆った。
加範囲を広くするため、不透水性のシート(ホリゾンタ
ルスカート)6を基礎模型9の側面に接続し、これによ
り基礎周辺地盤の表面を覆った。
【0023】サクション圧は基礎模型9内に設置した間
隙水圧計12のモニター値により制御した。また、基礎模
型9への載荷は地盤8の表面に対して水平方向に1本の
油圧式の上部水平ジャッキ13a及び1本の下部水平ジャ
ッキ13b、鉛直方向に1本の鉛直ジャッキ14を設置し、
これを制御することにより行い、地盤8の飽和終了後
に、サクション圧及び鉛直荷重を一定の値に制御した状
態で、上部水平ジャッキ13a及び下部水平ジャッキ13b
を用いて降伏点を確認するまで載荷を行った。
隙水圧計12のモニター値により制御した。また、基礎模
型9への載荷は地盤8の表面に対して水平方向に1本の
油圧式の上部水平ジャッキ13a及び1本の下部水平ジャ
ッキ13b、鉛直方向に1本の鉛直ジャッキ14を設置し、
これを制御することにより行い、地盤8の飽和終了後
に、サクション圧及び鉛直荷重を一定の値に制御した状
態で、上部水平ジャッキ13a及び下部水平ジャッキ13b
を用いて降伏点を確認するまで載荷を行った。
【0024】かかる遠心模型実験により、地盤8が崩壊
せず安定である鉛直荷重及び水平荷重などの外力の範囲
を、0、20及び40kPaのサクションに対して求めた結
果は図6に示す通りである。図中の曲線に囲まれた領域
内に外力があれば、地盤8は安定であることを意味し、
これにより、サクション圧の増加とともに地盤8の安定
領域が大きくなることが確認された。
せず安定である鉛直荷重及び水平荷重などの外力の範囲
を、0、20及び40kPaのサクションに対して求めた結
果は図6に示す通りである。図中の曲線に囲まれた領域
内に外力があれば、地盤8は安定であることを意味し、
これにより、サクション圧の増加とともに地盤8の安定
領域が大きくなることが確認された。
【0025】0、40及び80kPaのサクション作用状態
に対して、傾斜荷重に対する地盤8の破壊荷重及び破壊
面を理論解析により算定した結果を図7、表1に示す。
これにより、サクション圧の増加とともに破壊面が拡大
し、これに伴い破壊荷重も増加することがわかる。
に対して、傾斜荷重に対する地盤8の破壊荷重及び破壊
面を理論解析により算定した結果を図7、表1に示す。
これにより、サクション圧の増加とともに破壊面が拡大
し、これに伴い破壊荷重も増加することがわかる。
【0026】
【表1】 ────────────────────────────────── サクション圧 鉛直破壊荷重 水平破壊荷重 ────────────────────────────────── 0kPa 2724kN/m 730kN/m 40kPa 4206kN/m 1127kN/m 80kPa 5460kN/m 1463kN/m ──────────────────────────────────
【0027】前記のような実験結果と理論解析結果の比
較により補正を行った修正理論解析手法により一例とし
て内部摩擦角35°の砂地盤上の、根入れが1.5 m、直
径5mの円形基礎が、安定である外力領域を、サクショ
ン圧0、40及び80kPaに対して試算した結果を図8に
示す。これにより、サクション圧80kPaの場合、サク
ション圧がない場合に比べて鉛直荷重に対する支持力は
約40%、水平荷重に対する支持力は約60%増加すること
が予測できる。
較により補正を行った修正理論解析手法により一例とし
て内部摩擦角35°の砂地盤上の、根入れが1.5 m、直
径5mの円形基礎が、安定である外力領域を、サクショ
ン圧0、40及び80kPaに対して試算した結果を図8に
示す。これにより、サクション圧80kPaの場合、サク
ション圧がない場合に比べて鉛直荷重に対する支持力は
約40%、水平荷重に対する支持力は約60%増加すること
が予測できる。
【0028】以上のようにして構造物1の基礎2を支持
する地盤4中から排水することによりサクションを生じ
させ、支持力を増加するものであるが、図9は砂の地盤
4に設置した直接基礎15に実施した場合で、透水性の多
孔体3は図10にも示すように十字状に配置した。よっ
て、排水ポンプ5を作動して透水性の多孔体3を介して
直接基礎15およびシート6の下部の地盤4から排水を行
えば、地盤4中にサクションが発生して地盤4の支持力
が増強する。
する地盤4中から排水することによりサクションを生じ
させ、支持力を増加するものであるが、図9は砂の地盤
4に設置した直接基礎15に実施した場合で、透水性の多
孔体3は図10にも示すように十字状に配置した。よっ
て、排水ポンプ5を作動して透水性の多孔体3を介して
直接基礎15およびシート6の下部の地盤4から排水を行
えば、地盤4中にサクションが発生して地盤4の支持力
が増強する。
【0029】図11、図12は地盤4として粘性土層4aの
下部の砂層4bを支持層とするケーソン基礎16に実施し
た例で、ケーソン基礎16の底部の凹部に透水性の多孔体
3を日状に配置し、多孔体3間の隙間に中詰めコンクリ
ートまたはモルタルなどの充填材17を充填する。よっ
て、排水ポンプ5を作動して透水性の多孔体3を介して
ケーソン基礎16の下部の砂層4bから排水を行えば、砂
層4b中にサクションが発生して支持力が増強する。
下部の砂層4bを支持層とするケーソン基礎16に実施し
た例で、ケーソン基礎16の底部の凹部に透水性の多孔体
3を日状に配置し、多孔体3間の隙間に中詰めコンクリ
ートまたはモルタルなどの充填材17を充填する。よっ
て、排水ポンプ5を作動して透水性の多孔体3を介して
ケーソン基礎16の下部の砂層4bから排水を行えば、砂
層4b中にサクションが発生して支持力が増強する。
【0030】図13〜図15は地盤4として上部砂層4c、
粘性土層4d、下部砂層4eからなる互層地盤に造成し
た杭基礎で支持された構造物18に実施した例を示し、透
水性の多孔体3は構造物の下部の各側面に配置するとと
もに底面に方形に配置した。よって、排水ポンプ5を作
動して透水性の多孔体3を介して杭基礎で支持された構
造物18およびシート6の下部の上部砂層4cから排水を
行えば、上部砂層4c中にサクションが発生して地盤4
の支持力が増強する。
粘性土層4d、下部砂層4eからなる互層地盤に造成し
た杭基礎で支持された構造物18に実施した例を示し、透
水性の多孔体3は構造物の下部の各側面に配置するとと
もに底面に方形に配置した。よって、排水ポンプ5を作
動して透水性の多孔体3を介して杭基礎で支持された構
造物18およびシート6の下部の上部砂層4cから排水を
行えば、上部砂層4c中にサクションが発生して地盤4
の支持力が増強する。
【0031】排水設備として、前記の例では排水ポンプ
5を使用したが、ポンプなどによる場合は停電などの非
常時に作動できなくなるおそれがある。これに対処する
には非常用電源を確保しておく必要があり、装置が大が
かりとなることから、排水設備として図16に示すような
電源を必要としないものを採用することもできる。
5を使用したが、ポンプなどによる場合は停電などの非
常時に作動できなくなるおそれがある。これに対処する
には非常用電源を確保しておく必要があり、装置が大が
かりとなることから、排水設備として図16に示すような
電源を必要としないものを採用することもできる。
【0032】これは基本構成として透水性の多孔体3に
第1の排水管20を介して連通する水中に係留した水密性
排水容器19と、該水密性排水容器19に第2の排水管21を
介して連通する水上の船29などに設置の排水ポンプ22と
で構成するものであり、水密性排水容器19には大気に開
口するエア抜きパイプ24を接続して容器内を大気圧に保
持し、水密性排水容器19は係留施設23で海底に繋いでお
く。
第1の排水管20を介して連通する水中に係留した水密性
排水容器19と、該水密性排水容器19に第2の排水管21を
介して連通する水上の船29などに設置の排水ポンプ22と
で構成するものであり、水密性排水容器19には大気に開
口するエア抜きパイプ24を接続して容器内を大気圧に保
持し、水密性排水容器19は係留施設23で海底に繋いでお
く。
【0033】そして、第1の排水管20と第2の排水管21
とにはそれぞれ開閉装置を備えるバルブとして電磁弁2
5、26などを設け、また、水密性排水容器19内の底部に
水位検出装置27を設置して、該水位検出装置27と前記電
磁弁25とをデータ送信や遠隔制御のために水面に設置の
通信装置28に接続する。
とにはそれぞれ開閉装置を備えるバルブとして電磁弁2
5、26などを設け、また、水密性排水容器19内の底部に
水位検出装置27を設置して、該水位検出装置27と前記電
磁弁25とをデータ送信や遠隔制御のために水面に設置の
通信装置28に接続する。
【0034】地盤4から排水するには電磁弁25を開け
ば、基礎2の下部の地盤4の全水頭h0 と水密性排水容
器19の内部に貯留されている水の水頭h1 との差Δhに
より、基礎2の底面または周囲から第1の排水管20を介
して水密性排水容器19へと自然に排水される。
ば、基礎2の下部の地盤4の全水頭h0 と水密性排水容
器19の内部に貯留されている水の水頭h1 との差Δhに
より、基礎2の底面または周囲から第1の排水管20を介
して水密性排水容器19へと自然に排水される。
【0035】水密性排水容器19内では水位検出装置27に
より容器内の貯留水の水位が自動的に計測され、通信装
置28により船29などの管理所にデータ通信されるから、
一定の水位に達すれば、船29からの操作で電磁弁26を開
き、排水ポンプ22を作動して第2の排水管21を介して水
密性排水容器19内の水を海上に排水する。これにより、
水密性排水容器19内の水位を所定値に保持し、基礎下部
地盤との水位差を確保し、自然排水を可能にする。
より容器内の貯留水の水位が自動的に計測され、通信装
置28により船29などの管理所にデータ通信されるから、
一定の水位に達すれば、船29からの操作で電磁弁26を開
き、排水ポンプ22を作動して第2の排水管21を介して水
密性排水容器19内の水を海上に排水する。これにより、
水密性排水容器19内の水位を所定値に保持し、基礎下部
地盤との水位差を確保し、自然排水を可能にする。
【0036】なお、本発明は、杭基礎の設置が困難な巨
礫混じり砂や風化岩からなる地盤に対しても実施可能な
ものである。
礫混じり砂や風化岩からなる地盤に対しても実施可能な
ものである。
【0037】また、粘性土地盤に実施した場合は、特に
真空圧密に類似した地盤改良も期待できる。
真空圧密に類似した地盤改良も期待できる。
【0038】
【発明の効果】以上述べたように本発明の構造物基礎の
支持力増強装置および支持力増強方法は、基礎地盤内に
サクションを発生させるだけの簡単な方法で、基礎下部
地盤中の間隙水圧が低下し、相応分の有効応力が増加
し、これに伴い地盤中の砂の剪断抵抗が増加し支持力が
増強し、構造物の安全性を確保するための装置、方法と
してのコストを低減できる。
支持力増強装置および支持力増強方法は、基礎地盤内に
サクションを発生させるだけの簡単な方法で、基礎下部
地盤中の間隙水圧が低下し、相応分の有効応力が増加
し、これに伴い地盤中の砂の剪断抵抗が増加し支持力が
増強し、構造物の安全性を確保するための装置、方法と
してのコストを低減できる。
【0039】また、基礎地盤からの排水機構としてはポ
ンプなどを基礎などに付設するだけの簡単な構造でたり
る。
ンプなどを基礎などに付設するだけの簡単な構造でたり
る。
【0040】さらに、構造物基礎の周囲の地盤上に不透
水性シートを布設することにより、サクションを発生さ
せる範囲を広く確保できるだけでなく、基礎の洗掘防止
も図れるものである。
水性シートを布設することにより、サクションを発生さ
せる範囲を広く確保できるだけでなく、基礎の洗掘防止
も図れるものである。
【図1】本発明の構造物基礎の支持力増強装置および支
持力増強方法の実施形態を示す基礎の基本構成の説明図
である。
持力増強方法の実施形態を示す基礎の基本構成の説明図
である。
【図2】本発明の構造物基礎の支持力増強装置および支
持力増強方法の実施形態を示す基礎の平面図である。
持力増強方法の実施形態を示す基礎の平面図である。
【図3】本発明の構造物基礎の支持力増強装置および支
持力増強方法の実施形態を示す基礎の正面図である。
持力増強方法の実施形態を示す基礎の正面図である。
【図4】サクションによる増加有効応力の等ポテンシャ
ル線の説明図である。
ル線の説明図である。
【図5】遠心模型実験装置の説明図である。
【図6】遠心模型実験による地盤が安定な範囲を示す説
明図である。
明図である。
【図7】理論解析による地盤の破壊面を示す説明図であ
る。
る。
【図8】修正理論解析による鉛直荷重と水平荷重から成
る傾斜荷重に対して地盤が安定な範囲を示す説明図であ
る。
る傾斜荷重に対して地盤が安定な範囲を示す説明図であ
る。
【図9】本発明を直接基礎に実施した場合の縦断正面図
である。
である。
【図10】本発明を直接基礎に実施した場合の底面図で
ある。
ある。
【図11】本発明をケーソン基礎に実施した場合の縦断
正面図である。
正面図である。
【図12】本発明をケーソン基礎に実施した場合の底面
図である。
図である。
【図13】本発明を杭基礎によって支持された構造物に
実施した場合の一部切欠いた正面図である。
実施した場合の一部切欠いた正面図である。
【図14】本発明を杭基礎によって支持された構造物に
実施した場合の他の一部切欠いた正面図である。
実施した場合の他の一部切欠いた正面図である。
【図15】本発明を杭基礎によって支持された構造物に
実施した場合の横断平面図である。
実施した場合の横断平面図である。
【図16】排水設備の例を示す説明図である。
【図17】従来の構造物基礎を示す説明図である。
1…構造物 2…基礎 3…透水性の多孔体 4…地盤 4a…粘性土層 4b…砂層 4c…上部砂層 4d…粘性土層 4e…下部砂層 5…排水ポンプ 6…シート 7…締結金具 8…地盤 9…基礎模型 10…排水チューブ 11…スタンドパイプ 12…間隙水圧計 13a…上部水平ジャッキ 13b…下部水平ジャ
ッキ 14…鉛直ジャッキ 15…直接基礎 16…ケーソン基礎 17…充填材 18…杭基礎で支持さ
れた構造物 19…水密性排水容器 20…第1の排水管 21…第2の排水管 22…排水ポンプ 23…係留施設 24…エア抜きパイプ 25…電磁弁 26…電磁弁 27…水位検出装置 28…通信装置 29…船 30…重錘
ッキ 14…鉛直ジャッキ 15…直接基礎 16…ケーソン基礎 17…充填材 18…杭基礎で支持さ
れた構造物 19…水密性排水容器 20…第1の排水管 21…第2の排水管 22…排水ポンプ 23…係留施設 24…エア抜きパイプ 25…電磁弁 26…電磁弁 27…水位検出装置 28…通信装置 29…船 30…重錘
Claims (5)
- 【請求項1】 水浸状態の構造物基礎の底部や周面の全
部または一部に透水性の多孔体を配設し、前記構造物基
礎に基礎地盤からの集水を行う排水機構を前記透水性の
多孔体に連結させて付設することを特徴とする構造物基
礎の支持力増強装置。 - 【請求項2】 排水機構は、ポンプである請求項1記載
の構造物基礎の支持力増強装置。 - 【請求項3】 排水機構は、透水性の多孔体に第1の排
水管を介して連通する水中に係留した水密性排水容器
と、該水密性排水容器に第2の排水管を介して連通する
水上の排水ポンプとで構成する請求項1記載の構造物基
礎の支持力増強装置。 - 【請求項4】 構造物基礎の周囲の地盤上に不透水性シ
ートを布設する請求項1から請求項3のいずれかに記載
の構造物基礎の支持力増強装置。 - 【請求項5】 水浸状態の構造物基礎の底部を透水性の
多孔体で形成し、前記構造物基礎に基礎地盤からの集水
を行う排水機構を前記透水性の多孔体に連結させて付設
し、排水機構を作動して基礎地盤中の水を透水性の多孔
体を透過させて吸い上げ、この排水により基礎地盤内に
サクションを発生させ、地盤内の有効応力の増加に伴う
剪断抵抗を増加させることを特徴とする構造物基礎の支
持力増強方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8260721A JP3054731B2 (ja) | 1996-10-01 | 1996-10-01 | 構造物基礎の支持力増強装置および支持力増強方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8260721A JP3054731B2 (ja) | 1996-10-01 | 1996-10-01 | 構造物基礎の支持力増強装置および支持力増強方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10102513A JPH10102513A (ja) | 1998-04-21 |
JP3054731B2 true JP3054731B2 (ja) | 2000-06-19 |
Family
ID=17351843
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8260721A Expired - Fee Related JP3054731B2 (ja) | 1996-10-01 | 1996-10-01 | 構造物基礎の支持力増強装置および支持力増強方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3054731B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002121754A (ja) * | 2000-10-13 | 2002-04-26 | Ohbayashi Corp | 水中基礎の構築工法 |
-
1996
- 1996-10-01 JP JP8260721A patent/JP3054731B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10102513A (ja) | 1998-04-21 |
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