JP3054576U - 缶詰用の蓋体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本考案は、取扱が便利で安全な缶詰用の蓋体
を実現することを目的とする。 【解決手段】 本考案は、缶詰の開口部に着脱可能に冠
装され、円板状の天面と天面の周縁部に連設された円筒
状の側壁とからなる樹脂で成形されたキャップ状の缶詰
用の蓋体において、蓋体の側壁の放射方向に鍔板を延設
し、鍔板の先端の上面に鍵形に突出する係止片を形成し
た缶詰用の蓋体を構成した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

周知のように、主として固形物や半流動性の主・副食類等を詰めた缶詰の開缶 には“缶切り”が利用されるが、ジュース・コーヒー缶等の開口部にはタブと呼 ばれる摘みが設けられているので“缶切り”が不要になる。タブによる缶詰の開 缶には小さい飲み口を開ける飲料用のものと、開口部の周辺を残して大きな取り 出し口を切り開く構造のものとの二通りがあり、後者の構造は前記の固形物や半 流動性物等を封入した缶詰にも利用されている。

【０００２】 一方、ジュース・コーヒー等の飲料缶や主・副食類或いはペットフードの缶詰 は、開缶後飲み残しや余剰分を中に入れたまま樹脂製の蓋体で開口部を密封して 冷蔵庫に入れて保存するようなことが行われる。 本考案は、この種の缶詰類の開口部を覆う缶詰用の蓋体に係り、特にタブ付き 缶詰に適用して便利な缶詰用の蓋体に関するものである。

【０００３】

【従来の技術】

従来、一旦開封された缶入り飲料の飲み残しを衛生的且つ安全に保存するため の蓋を提供することを目的として、図６に示された「開封缶の蓋」が知られてい る。図６の（ａ），（ｂ）両図に示された「開封缶の蓋」は、特開平８−２６３ １２号公報に開示されている。図６（ａ）は「開封缶の蓋」の外観斜視図、図６ （ｂ）はその底面図である。

【０００４】 図６において、１は天板部、２は環状脚、３は突起溝、４は舌状片である。図 ６に示された従来の「開封缶の蓋」は天板部１を２段にして、環状脚２は口径の 異なる複数の缶の巻締部に嵌合できるように内，外環状脚が複数段に設けられて いる。また、環状脚２の天板部１と反対側の端部の缶接触側に、一部欠落した突 起溝３を位置を違えるように形成している。舌状片４は缶のタブ（プルタブ）を 引き起こす際に補助的に使用可能なもので、舌状片４の両側には補強用の三角形 のリブ７が形成されている。そして、環状脚２の外周部に舌状片４を設けて、蓋 全体の外形が水滴の形となるような構造に構成されている。

【０００５】 図６の「開封缶の蓋」の環状脚２は内外複数段に設けられているので、口径の 違う缶にも兼用することができる。環状脚２の缶接触側には一部欠落した突起溝 ３が設けられているので、炭酸入りの飲料のガスや高温時の水蒸気圧の逸散を助 ける。そして、この「開封缶の蓋」によれば一旦開封された缶入り飲料の飲み残 しを衛生的かつ安全に保存できる缶の蓋が提供でき、環状脚２の外周に設けられ た舌状片４が転倒時の転がりを防止すると共に、缶のタブを起こすときにも利用 されるという説明が為されている。

【０００６】 このほか、上記の舌状片４のような部材を設けた従来装置に、図７と図８に示 した構成のキャップ等もある。図７と図８に示したキャップと缶蓋は、実用新案 第３０３５３３８号と第３０３８１２９号公報に記載されている。 図７において、１は飲料缶、３は飲料缶用キャップ、５はキャップ本体、１７ はプルタブ起こし爪、１７ａは延長部である。プルタブ起こし爪１７はキャップ 本体５の一端を水平方向に延長して、先端の延長部１７ａを下方に折曲して折曲 部１７ｂが形成されている。この折曲部１７ｂを係止させた状態で、キャップ本 体５を動かすことによりプルタブを起こすことができる。

【０００７】 また、図８の（ａ），（ｂ）において、１１は缶蓋、１３は蓋本体部、１５は 嵌合脚部、１７は舌片、１７ａは補強リブである。舌片１７は蓋本体部１３の側 端の互いに対面する位置に上面全体が連設され、下面より下方に向かって２つの 補強リブ１７ａが形成されている。舌片１７はプルタブを起こすときに使用可能 で、舌片１７の傾斜面は面積が大きく補強リブ１７ａが形成されているため舌片 １７の表面に傷も付きにくい。また、舌片１７は２つがそれぞれ互いに対面する 位置にあるように形成されているため、缶Ｋ（不図示）に装着した状態で缶が転 倒しても転がる量が少ないということが記載されている。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】

上記のように、前記した特開平８−２６３１２号公報に開示された「開封缶の 蓋」は、開封後の缶入り飲料の飲み残しを衛生的かつ安全に保存できる。また、 環状脚２の外周に設けられた舌状片４が、開缶時の缶のタブの引き起こしに利用 されることが記載されている。同様に、図７と８の実用新案第３０３５３３８号 と第３０３８１２９号公報に記載されたプルタブ起こし爪１７と舌片１７におい ても、飲料缶１と缶Ｋのプルタブの引き起こしに利用することができる。

【０００９】 しかしながら、これらの従来のプルタブ起こし爪１７等は、何れも文字通り飲 料缶１等のプルタブを引き起こすだけに利用されている。したがって、一旦プル タブを引き起こしてから、引き起こした蓋やキャップをテーブル等の上に置く。 その後、引き起こしたプルタブを指で摘んで、前記の飲み口や取り出し口を開け るような操作が行われることになる。この場合、プルタブの引き起こし角度が狭 いときは、再度プルタブを差し込んで立ち上げることが必要で開缶操作がそれだ け面倒になる。再度の引き起こしを怠ると、引き起こしたプルタブの狭い隙間で 手指に怪我をする等の問題点があった。

【００１０】 本考案は上記のような従来装置の問題点に鑑みてなれたもので、簡単な構造で プルタブを引き起こし、この引き起こし動作に継続して飲み口や取り出し口を開 けることのできる取扱が便利な缶詰用の蓋体を実現することを目的とするもので ある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】

本考案は、缶詰の開口部に着脱可能に冠装され、円板状の天面と天面の周縁部 に連設された円筒状の側壁とからなる樹脂で成形されたキャップ状の缶詰用の蓋 体において、蓋体の側壁の放射方向に鍔板を延設し、鍔板の先端の上面に鍵形に 突出する係止片を形成した缶詰用の蓋体を構成したものである。

【００１２】 また、本考案は、タブを設けた缶詰の開口部に着脱可能に冠装され、円板状の 天面と天面の周縁部に連設された円筒状の側壁とからなる樹脂で成形されたキャ ップ状の缶詰用の蓋体において、蓋体の側壁下縁の放射方向にほぼ半円形の鍔板 を延設し、鍔板の先端の上面にタブが係止される鍵形に突出する係止片を形成し た缶詰用の蓋体を構成したものである。 さらに、請求項２において、係止片にタブが着脱自在に嵌入する嵌入溝を形成 した缶詰用の蓋体を構成したものである。

【００１３】 缶詰を開けるときは、先ずタブの付いた開口部側を上にする。蓋体の係止片の 先端をタブの摘み部の下の隙間に差し込むと、摘み部が係止部と側壁との間に落 ち込んで係止部に係止される。係止部の係止状態でそのまま蓋体を引き上げると 、タブが立ち上げられて飲み口が開口される。ペットフード缶等のときは、立ち 上げたタブと一体に金属の蓋部分が取り去られる。開缶後、缶詰の内部に残り物 があるときは、立てた缶詰の上から蓋体を押し付ければ缶詰の開口部に蓋体が冠 装される。蓋体の冠装状態では缶詰の筒頂部が側壁の内周面の環状部内に収まり 、突出部が缶詰の外周に圧接して開口部の包囲空間が密封状態に保持される。こ の結果、飲み残しの缶詰を転倒したようなときでも、内部に残した飲料や汁類が こぼれ出すようなことがない。

【００１４】

【考案の実施形態】

以下、本考案の実施の形態を図面に基づいて説明する。 実施の形態１． 図１は本考案の実施の形態１の構成を示す斜視図、図２は実施の形態１の部分 図で、（ａ）は上面図、（ｂ）は（ａ）の前面図、（ｃ）は（ｂ）の右側面図、 図３は実施の形態１の拡大断面図、図４は実施の形態１の動作を示す斜視図であ る。

【００１５】 図１乃至図３において、１は缶詰用の蓋体である。蓋体１には、例えばポリエ チレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリイソブチレン、サーモプラスチ ックエラストマー等の軟質でやや弾性を有する強靱な合成樹脂材が用いられ、図 示のようなキャップ状に一体成形される。２は蓋体１の円板状の天面、３は天面 ２の周縁部に連設された円筒状の側壁である。天面２は段差２１を隔てて区画さ れた外周の環状部と、環状部に囲まれて上面側に膨出した円形部により二重円板 を構成する。また、側壁３の内周面には、環状部３１を介して断面の形状が高さ の低い三角形の突出部３２が形成されている。側壁３内周面の環状部３１の幅ｗ １は、後述する缶詰の筒頂部ｗ２より幾分大きく作られている。また、段差２１ により天面２の内部の中心部に余裕空間が形成されると共に、側壁３の内周面に 形成された突出部３２により気密性・液密性が保持される。

【００１６】 ４は鍔板である。鍔板４は先端４１に僅かな直線部を形成したほぼ半円形で、 側壁３の下縁の放射方向に延設されている。５は係止片で、鍔板４の上面に鍵形 に突出して形成されている。５１は係止片５の傾斜面、５２は平面部、５３は係 止部である。係止片５は傾斜面５１により先端４１側から除々に厚くなり、平面 部５２を介して係止部５３を前記側壁３に対向させている。係止部５３と側壁３ との間隔ｇは、次に説明するタブの摘み部の幅ｗ３とほぼ等しく構成されて摘み 部が挟着されるようになっている。 なお、図４の６は缶詰、６１はその開口部、６２は厚みのある筒頂部である。 また、７は缶詰６の開口部６１に設けられた開缶用のタブ、７１は摘み部、７２ は固定部である。

【００１７】 上述のような構成の本考案の蓋体１は、立てた缶詰６の上から押し付けられて 側壁３が弾性的に伸縮して開口部６１に冠装される。筒頂部６２に蓋体１を冠装 した缶詰６は、蓋体１の冠装状態で携行されたり保管棚等に保管される。缶詰６ は開口部６１が蓋体１で気密・液密に覆われているので、内容物がこぼれて汚れ たり無駄にすることがない。また、開口部６１にゴミやホコリが付かないので、 衛生状態が保たれるこ+ とにもなる。さらに、蓋体１を嵌装した缶詰は、鍔板４ により転倒時の転がり角度が規制される。

【００１８】 ここで、缶詰６を開けるときは、先ずタブの付いた開口部６１側を上にする。 図４に示すように、蓋体１の係止片５の先端４１を摘み部７１の下の隙間に差し 込むと、摘み部７１が押し上げられながら係止部５３と側壁３との隙間ｇに落ち 込んで挾着される。摘み部７１が係止部５３に挾着されて係止された状態でその まま蓋体１を引き上げると、タブ７が固定部７２を支点に立ち上げられて開口部 ６１の周辺が切断されて取り出し口が開口されることになる。開口された取り出 し口を利用して、缶詰の内容物が取り出される。開缶後、缶詰６の内部に内容物 が残されているときは、前記と同じ要領で缶詰６の開口部６１に蓋体１が冠装さ れて保管される。

【００１９】 蓋体１の冠装状態では缶詰６の筒頂部６２が環状部３１内に収まり、突出部３ ２が缶詰６の外周に弾性的に圧接して開口部６１の包囲空間が密封状態に保持さ れる。したがって、飲料缶を開缶したような場合は飲み残しの缶詰６を転倒した ようなときでも、内部に残した飲料がこぼれ出すようなことがない。

【００２０】 実施の形態２． 図５は実施の形態２の要部の拡大断面図である。 図５において、５４は嵌入溝である。嵌入溝５４は係止片５における係止部５ ３の顎部に設けられ、タブ７の摘み部７１が着脱自在に嵌入する大きさに形成さ れている。そして、前述と同じ動作で係止片５を摘み部７１の下に差し込むと、 摘み部７１が隙間ｇに落ち込む。このとき、図５の矢印Ａ→ａに示すように差し 込んだ係止片５を僅かに手前に引き込むと、摘み部７１が嵌入溝５４に着脱自在 に嵌入される。この摘み部７１の嵌入状態で矢印図示のようにそのまま蓋体１を 引き上げれば、缶詰６の開口部６１がワンタッチ操作で開口される。実施の形態 ２の構成によれば、蓋体１とタブ７の結合が強固になり、開缶を一層容易且つ安 全に実施することができる。

【００２１】 なお、上述の実施の形態では蓋体における側壁の内周面に環状の突出部を形成 した場合を例示したが、低い突出部を部分的に設けてもよい。このように構成す れば内部に発生したガスが圧力で低い突出部から外部に逸散されるので、発生ガ スによって蓋体が吹き飛ばされるのを防止することができる。また、動物食等の 缶詰で大きい取り出し口を開缶する場合で説明したが、飲料用の缶詰の小さい飲 み口を開けるような場合にも本考案を適用することができる。また、図６のよう に側壁を多重構造にして、缶径の異なる缶詰にも本考案は適用できる。

【００２２】

【考案の効果】

本考案は、缶詰の開口部に着脱可能に冠装され、円板状の天面と天面の周縁部 に連設された円筒状の側壁とからなる樹脂で成形されたキャップ状の缶詰用の蓋 体において、蓋体の側壁の放射方向に鍔板を延設し、鍔板の先端の上面に鍵形に 突出する係止片を形成した缶詰用の蓋体を構成した。

【００２３】 また、本考案は、タブを設けた缶詰の開口部に着脱可能に冠装され、円板状の 天面と天面の周縁部に連設された円筒状の側壁とからなる樹脂で成形されたキャ ップ状の缶詰用の蓋体において、蓋体の側壁下縁の放射方向にほぼ半円形の鍔板 を延設し、鍔板の先端の上面にタブが係止される鍵形に突出する係止片を形成し た缶詰用の蓋体を構成した。 さらに、上記考案において、係止片にタブが着脱自在に嵌入する嵌入溝を形成 した缶詰用の蓋体を構成した。

【００２４】 この結果、本考案によれば、鍔板の上面に係止片を設けたので、タブの立ち上 げに継続して缶詰の開口部に飲み口や取り出し口を開口することができる。 よって、取扱が便利で安全な缶詰用の蓋体を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施の形態１の構成を示す斜視図であ
る。

【図２】実施の形態１の部分図である。

【図３】実施の形態１の拡大断面図である。

【図４】実施の形態１の動作を示す斜視図である。

【図５】実施の形態２の要部の拡大断面図である。

【図６】従来装置の構成を示す説明図である。

【図７】第２の従来装置の構成を示す斜視図である。

【図８】第３の従来装置の構成を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 蓋体 ２ 天面 ３ 側壁 ４ 鍔板 ５ 係止片 ６ 缶詰 ７ タブ ２１ 段差 ３１ 環状部 ３２ 突出部 ４１ 鍔板の先端 ５１ 傾斜面 ５２ 平面部 ５３ 係止部 ５４ 嵌入溝 ６１ 開口部 ６２ 筒頂部 ７１ 摘み部 ７２ 固定部 ｇ 間隔 ｗ１，ｗ２，ｗ３ 幅

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 缶詰の開口部に着脱可能に冠装され、円
   板状の天面と該天面の周縁部に連設された円筒状の側壁
   とからなる樹脂で成形されたキャップ状の缶詰用の蓋体
   において、 該蓋体の側壁の放射方向に鍔板を延設し、該鍔板の先端
   の上面に鍵形に突出する係止片を形成したことを特徴と
   する缶詰用の蓋体。
2. 【請求項２】 タブを設けた缶詰の開口部に着脱可能に
   冠装され、円板状の天面と該天面の周縁部に連設された
   円筒状の側壁とからなる樹脂で成形されたキャップ状の
   缶詰用の蓋体において、 該蓋体の側壁下縁の放射方向にほぼ半円形の鍔板を延設
   し、該鍔板の先端の上面に前記タブが係止される鍵形に
   突出する係止片を形成したことを特徴とする缶詰用の蓋
   体。
3. 【請求項３】 前記係止片にタブが着脱自在に嵌入する
   嵌入溝を形成したことを特徴とする請求項２記載の缶詰
   用の蓋体。