JP3054197U - 食品包装紙材 - Google Patents

食品包装紙材

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JP3054197U
JP3054197U JP1998004520U JP452098U JP3054197U JP 3054197 U JP3054197 U JP 3054197U JP 1998004520 U JP1998004520 U JP 1998004520U JP 452098 U JP452098 U JP 452098U JP 3054197 U JP3054197 U JP 3054197U
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英之 藤村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 通気性,吸湿性など紙の特性を失わずに,折
曲げ部も含めて高度な撥水性と撥油性を与えることに
り,ケーキ,生和菓子などの表面粘着性食品,あるいは
フライ,中華饅頭など揚げ立て,蒸し立て食品などにお
いて紙と該食品類とが癒着しない食品用包装紙材を案出
する. 【解決手段】 食品の包装,カップ,箱などの内側にな
るべき片側の表面にフッソ系樹脂の微細網状皮膜を形成
したグラシン紙とすることにより,グラシン紙とフッソ
系樹脂との特性の相乗効果によって,紙の特性をもった
ままで,折曲げ部の耐久性のある高度な撥水性と撥油性
をもった食品用包装紙材を案出した.

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は,ビスケットや煎餅など乾燥食品に比較して,水分を多く含むところ のケーキ,カステラ,饅頭,生和菓子など水分や油性分で表面が粘着性をもつ食 品,あるいはフライ類,ドーナッツ類,中華饅頭類ならびに焼そば類など,揚げ 立て,蒸し立てならびに焼き立て食品類の直接包装用,食品テイクアウト箱用, カップ類用ならびに下敷用などの食品包装紙材に関する.
【0002】
【従来の技術】
饅頭,生和菓子などに代表される水分や油性分を比較的多量に含む食品,ある いはフライ類,ドーナッツ類,中華饅頭類など揚げ立て,蒸し立てなどの食品の 直接包装用の紙材には,晒包装紙であるところの純白ロール紙,晒クラフト紙, 薄口模造紙あるいはグラシン紙などが用いられている.未晒包装紙も食品の間接 包装紙などに用いられている. また,食品の箱,折りたたみ箱などに用いる紙器用板紙として使用される白板 紙にはマニラボールと白ボールとがあり,前者は両面が晒パルプ,中層はパルプ や古紙などから抄き合わされた厚さが0.4〜1.0mm程度の板紙であり,後 者は表面は晒パルプ,中層は古紙,裏面はパルプや古紙で抄合された前者よりや や厚い板紙である.また,多層の抄き合せで作る高級白板紙は,カップ類,ジュ ースやミルクカートン類に用いられる. 純白ロール紙はヤンキーマシンで抄造された片面光沢の紙で,かかる食品の包 装用紙材としては,そのままかあるいはアルミラミネートなどして使われている . 晒クラフト紙は両更と片艶とがあり,該食品類の包装用紙材としてはそのまま か,あるいはポリエチレンラミネートなどして使われている. グラシン紙は緻密で表面が平滑で,透明度が高く、耐油性があるため,填料を 加えて乳白色にしたものを含めてそのまま使われている.
【0003】 紙は,(1)強度,剛性があること,(2)折り曲げ加工,印刷,接着などの 加工性がよいこと,(3)吸湿性があること,(4)多孔質であり通気性,透湿 性があること,(5)無毒であること,(6)生分解性があること,(7)リサ イクル可能で再生産可能の無公害素材であることなどの特徴を有する. したがって,紙は饅頭や生菓子などの水分や油性分を比較的多量に含む食品や フライ,中華饅頭など揚げ立て,蒸し立てなどの食品の直接包装用材として用い る場合,カップ,食品箱類として用いる場合などに次に示す如き効果を発揮する . 直接的効果としては,吸湿性があること,通気性があることから,食品から遊 離した水分を紙の内側で吸収し外側で放出する,空気と共に水蒸気を透過するな どの特性から,包装内部に結露が生じず,包装保存中に外部と水分平衡状態を維 持し,かかる食品を適度な水分状態に保つ働きをする. 紙を用いることの間接効果としては,剛性,加工性,生分解性,リサイクル性 などがあるので,かかる面からも紙がこの分野に適する包材であるといえる.
【0004】 然るに,紙をケーキ,饅頭,生和菓子などの表面粘着性食品や,フライ,中華 饅頭などの揚げ立て,蒸し立て食品などの包装や容器としてそのまま用いると次 の如き問題がある.紙は,湿潤強度が極めて低いので,包装している食品の水分 を吸収して軽度な摩擦や歪で破れやすくなる,包装している食品と紙とが癒着し て食品の取り出しがうまくいかないなどの欠陥があった. 欠陥例として癒着欠陥を図1で説明すれば,図1の1は表面が粘着性のある食 品3を包装紙4で包装している状態の模型断面略図,2はこれの開包途上の状態 の略図である.図1の1の状態において封部5をその横に示す矢印方向に裂いて 包装紙4を開包したときに,図1の2に示す如く,開包に伴って該食品3の一部 が包装紙4に癒着してしまい,食品の癒着物6として包装紙4に残り,該食品3 の形態が損なわれる. アルミなどの金属や,ポリエチレンなどの合成樹脂のラミネート紙は,紙の層 まで食品の水分が至らないので,強度的には問題ないが,通気性が全く無くなり ,内側からの吸湿性が無くなるので内側が結露することがあり,かような食品類 を適度な水分に保つという紙の特性を利用していないことになる.
【0005】 湿潤強度を上げるWS(ウエットストレングス)クラフト紙は湿潤紙力増強剤 を抄紙前の混合工程か表面処理工程で添加または塗工してつくるが,湿潤紙力増 強剤としては,尿素ホルムアルデヒド縮合物,メラミンホルムアルデヒド縮合物 などがあり,紙繊維間の接点を強化するものであるが,湿潤強度は上がるものの 食品と紙との癒着の問題は解決されない. また,遊離ホルムアルデヒドが発生する恐れがあるなど,食品包装紙材として 好ましくない面もあるので適正な解決策とはいえない.
【0006】 上記欠陥を克服しようとして,ケーキ,カステラ,饅頭,生和菓子などの水分 ,油性分で表面が粘着性をもつ食品の直接包装用,フライ,焼そば,中華饅頭な どの揚げ立て,焼き立て,蒸し立て食品の直接包装用,またカップ類用,箱類用 あるいは下敷用の包装紙材に適する紙材として,蝋引き紙,乾性油含浸紙,シリ コン油処理紙,フッソ系樹脂処理紙などが検討されてきた. 蝋引き紙は水蒸気透過性や吸湿性が全くなく,樹脂ラミネート紙同様に紙の持 つ特性を全く利用していなく,乾性油含浸紙やシリコン油処理紙は吸湿性がなく なり,さらに油性の食品の場合には食品との癒着の問題が解決されず,かかる食 品用紙材として何れも理想的とは言い難い紙材である.
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
紙にフッソ系樹脂エマルジョン処理を行った紙材があり,撥水性や撥油性が付 与されるので湿潤強度はそれほど損なわれず,該食品との癒着も少なく,通気性 も損なわれないので,かかる食品類の一応の包装紙材である. 然るに,「包むこと」には必ず折曲げが伴い,ある種のケーキ類は円盤状の紙 を継ぎ目無しで立体のカップ状にするために縁をジクザク状に折曲げる必要があ ること,箱状加工でも折曲げが必須なことなどから,かかる食品包装用紙材の重 要な特性として,折曲げ部の撥水性と撥油性が損なわれないことが必要となる.
【0008】 フッソ系樹脂エマルジョン加工前提で,紙を折曲げても撥水性と撥油性が損な わないようにするには,樹脂エマルジョンを含浸法によって,紙の断面において ,表層から裏層まで樹脂が含浸している状態(以降,この断面状態を全樹脂形と いう)にする必要がある. かような全樹脂形フッソ系樹脂加工紙は,折曲げ部の撥水性や撥油性は保つが ,紙の食品を包むべき側の反対側の印刷や接着が困難になる,紙の吸湿性がかな り損なわれる,含浸法に依らなければならないので樹脂量を多量に必要としコス ト高になるなどの欠陥があった. 紙にフッソ樹脂エマルジョンをコーテイングして得られる,食品の包装のとき に内側になるべき,極く表面層のみに樹脂膜が存在している状態(以降,この状 態を表面樹脂形という)とすれば,前記の全樹脂形の欠陥はないことになる.
【0009】 表面樹脂形をとれば,食品を包むべき内側が撥水性と撥油性であるので,該食 品との癒着がなく,この面以外は紙そのものであるので,紙の特性を保って吸湿 性と通気性があり,湿潤強度も比較的高く,外側は紙そのままであるので印刷や 接着加工性も損なうことなく,かかる食品用の一応理想的な包装紙材といえる. しかるに,晒包装紙など通常の包装用紙に表面樹脂形を適用すると,かかる食 品用の包装紙材としての必要条件である折曲げ部の耐久性がなく,樹脂層が紙の 極く表層のみであるので,折曲げると表面のフッソ樹脂のコーテイング層が割れ たり破壊して,この部分の撥水性と撥油性が損なわれる欠陥がある.
【0010】 通常の包装用紙への適用で,折曲げなどの耐久性を上げるためには,フッソ系 樹脂エマルジョンを含浸させる方法で加工した全樹脂形をとらなければならず, 樹脂の付着量が大きくなると共に,紙を構成する繊維全体が撥水性を持つため吸 湿性が低くなり,紙の持つ特性が損なわれることになり,印刷や接着性も損なわ れ,また,付着量が大きくなるのでコト高にもなり問題がある. フッソ系樹脂エマルジョンによる加工紙は,表面樹脂形においてこそ,紙の持 つ特性を失わないが,かかる食品用包装紙材における必須な特性であるところの ,折曲げ部の撥水性と撥油性が得られなかった.つまり,フッソ樹脂の微細網状 皮膜の表面樹脂形で,折曲げ部においても撥水性と撥油性が失われない形態の, かかる食品用包装紙材の開発が望まれているところである.
【0011】
【課題を解決する手段】
本考案は鋭意検討の結果,ケーキ,生和菓子などの,水分や油性分で表面が粘 着性をもつ食品類の直接包装用の紙材,フライ,中華饅頭などの揚げ立て,蒸し 立て食品などの直接包装用紙材,またカップ類用,箱類用あるいは下敷用の紙材 において,食品と接触する内側がフッソ系樹脂による表面樹脂形をとって撥水性 と撥油性があり,紙が持つ特性であるところの,適度な通気性,透湿性ならびに 吸湿性があり,湿潤強度が十分高く,包装した食品と癒着しにくく,開包時には 綺麗に剥離でき,折り曲げなどの耐久性があるところの,かかる食品の包装用紙 材として理想的な紙材の開発に至ったものである. すなわち,包装用加工紙において,包むときに内側になるべき表面にフッソ系 樹脂の微細な網状皮膜を有するグラシン紙であることを特徴とする包装紙材の考 案に至った. さらに,二層構造の紙であって,包むときの内側になるべき紙が,該グラシン 紙であって,該グラシン紙と,坪量が大凡30〜300g/mの通常紙の両者 が,包むときの外側において吸湿性の高い接着剤で接合されているか,あるいは 包むときの外側において接着部分が縞状,網目状,ドット状など接着剤の部分接 着で接合されている包装紙材の考案に至った. 本考案でいう通常紙とは,グラシン紙以外の包装紙材を指し,未晒,晒包装紙 ,板紙であるマニラボール,白ボールなどの白板紙などをいう.また,坪量とは 紙における単位面積当たりの質量のことをいう. 各機能の中でも,包装用紙材というものは使用に当たって必ず折曲げが伴うも のであり,この折曲げ部分の撥水性と撥油性がきわめて重要な機能といえ,本考 案の紙材は,この面においても優れた機能を発揮する.
【0012】
【考案の実施の形態】
フッソ系樹脂による表面コーティング法によって作られる表面樹脂形を前提と し,撥水性と撥油性があり,該性能が折曲げても失いにくい構造を得るべく各種 紙材とフッソ系樹脂エマルジョンによるフッソ系樹脂皮膜について検討を加えた . 撥水性と撥油性の評価方法については各種あるが,最も一般的に用いられてい る次に示す方法によった. 撥水性については,水にイソプロピルアルコールを容量比にて,2,5,10 ,20,30,40,50,60%と8段階に添加した各試験液を作り,添加量 の低い方つまり表面張力の大きい順から1〜8級までとし,ピペットなどを用い て評価すべき紙材の表面に約直径3mmの液滴を静かに置き,30秒間放置後に 界面接触角が150度以上の場合を浸透したと判断し,浸透を示さない最大の級 をもってその紙材の撥水性の級とするところの,級値が大きいほど撥水性が高い と評価できる液滴法によった. この液滴による評価方法では,一般的に4級以上であれば撥水性は高く十分な 性能があると評価されている.
【0013】 撥油性については,AATCC(米国繊維化学色彩研究者協会)118−19 78法による,脂肪族炭化水素アルケンの分子量違いで級づけする方法,つまり 分子量が大きく表面張力の高いヌジョール(nujol;プラウグ社の鉱物油の 商標)を1級とし,分子量が小さく表面張力の低いn−ヘプタンを8級とする8 段階の試験液にて,先に記載した撥水性評価とほぼ同様な液滴による評価方法で ,級数が大きいほど撥油性が高いと評価できる方法によった.この評価方法では ,一般的に3級以上であれば撥油性が高く十分な性能があると評価されている.
【0014】 折曲げ部分の撥水性と撥油性の評価方法は,紙材を2cmのピッチでジクザク に折曲げ,曲げて畳んだ状態で荷重30gf/cmで5分間圧縮後に広げてほ ぼ平面状となし,折曲げ時に凸部および凹部であった部分の撥水性と撥油を評価 した. 折り曲げ部分の撥水性と撥油性における紙の種類の効果を検討するために,パ ーフルオロアルキル基含有アクリル酸エステルを主成分とするフッソ樹脂エマル ジョンを固形分で0.6g/m相当を各紙の片側表面にコートし,乾燥後13 0℃,2分間熱処理する方法で評価した. 評価した紙は,晒包装紙として,片面光沢の純白ロール紙,両更および片艶の 晒クラフト紙,薄口模造紙,グラシン紙などの各種紙について行った.
【0015】 結果については,紙における要件として次の事柄が分かった. 紙層の形成においては,粗な紙は折曲げ部の撥水性と撥油性が低く,紙層の形 成が緻密な紙ほど高いことが分かった.紙の厚さでは,薄い紙ほど折曲げ部の撥 水性と撥油性が高いことが分かった.また,繊維長の短いパルプによる紙は,長 いパルプによる紙に比較して折曲げ部の撥水性,撥油性が低くいと判断された. したがって,叩解時に繊維を切断する作用が主な遊離状叩解のパルプによるか さ高な柔軟な紙は,折曲げ部の撥水性,撥油性が低く,繊維を摩砕する作用が主 な粘状叩解による緻密な紙はそれが高いことが分かった.
【0016】 紙の具体的紙種として,ほぼ同様な坪量の種類間の比較において,驚くべきこ とに,グラシン紙が非折曲げ部,折曲げ部共に,かなり良好な撥水性と撥油性を 示した.グラシン紙は,化学パルプ繊維の繊維長を切断しないように摩砕作用で 叩解するところの,粘状叩解によってヘミセルロースを出させ,ヘミセルロース の自己接着性を利用して抄造し,スーパーカレンダー掛けなどして得られた緻密 で表面平滑な,透明度の高い紙である. 普通の紙の密度が1.0g/cm以下であるのに対し,グラシン紙は1.1 g/cm程度と密度が高く,填料を加えて乳白色にしたものや,着色剤で着色 したものがあり,薬品,菓子類などの包装,剥離紙,ワックス加工紙の基紙など に利用されている.
【0017】 然るに,ケーキ,生和菓子などの水分と油性分で表面が粘着性をもつ食品類の 直接包装用,カップ用または下敷用の紙材,フライ,中華饅頭などの揚げ立て, 蒸し立てなどの食品用紙材としての適合性については,グラシン紙そのままでは 水分によって強度が著しく下がって破れたり,食品と紙とが癒着してしまい,解 包するときに食品の形態を破壊したり,食品の一部分が紙の方に残って汚らしい と共に食品の無駄につながることになる欠陥があった. 図2は表面にフッソ系樹脂の微細網状皮膜の接合層を有するグラシン紙の断面 の部分模型拡大図である. フッソ系樹脂エマルジョンによる表面樹脂形前提で,図2の7に示すように, グラシン紙8の表面に網状のフッソ系樹脂の微細皮膜の接合層9を形成すること によって,グラシン紙をそのまま用いた場合の欠陥がなくなり,包装紙として避 けて通れない,折曲げ部の撥水性と撥油性が高く維持できることが分かった.
【0018】 フッソ系樹脂加工紙は,紙の表面にコモノマー網状結合の側鎖がフルオロカー ボンで,これが緻密で微細な突起群を形成して表面張力を下げ,撥水性と撥油性 を与えるものである.フッソ系樹脂加工紙の構造における表面樹脂形という前提 において,紙側の要件であるグラシン紙の特性と,フッソ系樹脂の特性との相乗 効果によって高度な撥水性と撥油性が得られる. この理由は,緻密で平滑な構造のグラシン紙に表面樹脂形を採用することによ って,グラシン紙の極く表面部に薄い緻密なフッソ系樹脂の微細網状皮膜が強固 な接合状態で生成し,撥水性と撥油性が高くなり,折曲げたときには皮膜と紙と が一体として歪むため,皮膜が破壊されないものと考えられる.
【0019】 次に,フッソ樹脂の種類,加工条件などについて検討の結果を示す. 紙の坪量については,グラシン紙は標準品が坪量30.5g/mであるが, 特殊規格のグラシン紙を含めて検討の結果,坪量が大凡20〜60g/mのグ ラシン紙が,折曲げ部と非折曲げ部において,大略同じ撥水性と撥油性を示すこ とが分かった. グラシン紙は標準品の坪量が比較的小さく,薄い部類の包装紙材に入り,厚い 種類は一般的でない.図3,図4は表面樹脂形のグラシン紙に,通常紙を接着し て二層構造とした場合の断面の部分模型拡大図を示す. 厚い紙が必要な,ある種のカップ類,箱類などの場合には,図3の10に示す ように,表面にフッソ系樹脂微細網状皮膜の接合層9を有する,表面樹脂形のグ ラシン紙8の外側,つまり食品類を包む側を内側としたときの外側(図3の10 では下部)に通常紙11を貼り合わせる方法によって,紙として二層構造の包装 紙材とすることを考案した.
【0020】 図3の10において,表面樹脂形グラシン紙と通常紙との接着部12は,接着 剤として,澱粉系,CMC(カルボキシルメチルセルローズ)系,PVA(ポリ ビニルアルコール)系などの吸湿性接着剤による.かようにすれば接着部の存在 下でも紙全体として吸湿性など本来の特性が失われることはない. 図4の13に示す構造は,非吸湿性合成樹脂系接着剤あるいはゴム系接着剤な どの吸湿性の無い接着剤を用いる場合の例で,図4の15に示すように,紙の平 面において接着部を縞状,網目状あるいはドット状とするなど,断面の部分模型 拡大図である図4の15に一例を示すように,部分接着法によることで,16に 示すような空隙を作ることによって吸湿性と通気性が保たれる. なお,吸湿性接着剤の場合にも図4の15に示す如く,部分接着形を採用して もよいことは言うまでもない. 貼り合わせる通常紙の坪量については30〜300g/m程度までであれば ,折り曲げ部と非折り曲げ部の撥水性と撥油性が殆ど変わらないことが分かった .
【1021】 フッソ系樹脂エマルジョンについては,フッソ系樹脂の水分散形,水アルコー ル分散形,アルコール分散形が含まれ,フッソ樹脂としてはフルオロカーボン誘 導体であるところの,パーフルオロスルフォン酸,パーフルオロカルボン酸,パ ーフルオロアルキル基などを含有するアクリル酸エステルもしくは塩化ビニリデ ンなどが適用できることが分かった. 紙へのコーティング法を,水分散形を用いた場合で説明すれば,フッソ樹脂の 固形分は2〜30%程度分散した加工液を用い,適宜イソシアネートなどの架橋 剤,粘度調整剤としてのCHC,PVA,澱粉系,デキストリンなど,場合によ ってはロジン,ワックス系,アルキルケテンダイマーなどのサイズ剤,消泡剤な どを添加し,紙への付着量はフッソ樹脂の固形分で大凡0.1〜2.0g/m 程度である. コート法はロールコート方式,グラビアロール方式など適宜方式 によって,紙の表面にコーティングし,引き続き乾燥,熱処理してフッソ樹脂の 微細な網状の樹脂皮膜の強固な接合層をグラシン紙表面に形成する.
【0022】 熱処理の温度条件は,工業的には大凡110〜200℃の範囲で,熱処理時間 は1〜20秒程度であるが,高温度であれば短くてよく,低温度であれば長くす る必要がある.熱処理は紙への加熱方式によって熱伝達効率が大きく異なり,加 熱ロール接触方式であれば,著しく伝熱効率がよいので1秒以下でも十分なこと がある. かようにして,紙の片面に微細な網状のフッソ樹脂皮膜の接合層が形成される . この微細な網状皮膜の接合層の強固な生成により,グラシン紙が本来持つ透湿 性や吸湿性を失うことなく,グラシン紙の片側に優れた撥水性と撥油性を与える .
【0023】 さらに詳しく実施の形態についての例を記載する.坪量30.5g/m,密 度1.15g/cmのグラシン紙,および晒包装紙として坪量33g/mの 純白ロール紙に,すでに架橋剤,増粘剤などを処方しているパーフルオロアルキ ル基含有アクリル酸エステルを主成分とするエマルジョンのコンパウンドを用い ,これを容量で水40%,メチルアルコール60%の溶液に固形分が4%になる ように調製し,これをグラビア式ロールコーターで,該グラシン紙の片面に付着 量15g/m(固形分で0.6g/m)塗布して乾燥させた.これを表面温 度170℃の加熱ローラーに塗布面の反対側に接触摺動して走行させ,約1秒間 熱処理した. この表面樹脂形の加工グラシン紙のフッソ系樹脂加工側の撥水性と撥油性は, 先に記載した液滴法による評価で,撥水性が7級,撥油性が7級であった. 一方,純白ロール紙の方は撥水性が2級,撥油性が3級であった. 同様に,該加工グラシン紙の折曲げ部の撥水性は6級,撥油性は7級であり, 非折り曲げ部とほぼ同様であったが,純白ロール紙の方は折曲げ部の撥水性が1 級末満,撥油性が1級未満であり,明らかにグラシン紙の方が非折曲げ部,折曲 げ部ともに良好であることが分かった.
【0024】 該加工グラシン紙のフッソ樹脂加工面の反対側に,包装用紙として,純白ロ ール紙の坪量33g/m,の試料,晒クラフト紙として坪量70g/mと 120g/mの試料,ならびに紙器用板紙として白ボールの坪量210g/ mと305g/mの試料を,接着剤としてソリビルスターチ(可溶性澱粉) の水系糊で貼り合わせて乾燥し,図3の10に示す如き,紙として二層構造の加 工紙とした. この表面樹脂形の二層構造の加工紙のグラシン紙側の撥水性と撥油性は,が 各々7級と7級,の坪量70g/m貼付の方が各々7級と7級,120g/ m貼付の方が各々6級と7級であり,の坪量210g/mの貼付の方が各 々6級と7級で,305g/m貼付の方が各々6級と7級であった. これに対し,この二層構造の加工紙の折曲げ部のグラシン紙側の撥水性と撥油 性は,が各々6級と6級,の坪量70g/m貼付の方が各々5級と6級, および120g/m貼付の方が各々5級と6級であり,の坪量210g/m 貼付の方が各々5級と6級,および305g/mの貼付の方が各々5級と5 級であった. かように,非折曲げ部,折曲げ部共に十分な撥水性と撥油性が認められた.
【0025】 また,図4の13に示すように,該加工グラシン紙の非加工側の面に,アクリ ル酸エステル系接着剤で,該加工グラシン紙の単位面積当たりで,接着部の合計 の比率が約30%になるようなドット群状で,前記,,を貼付した二層加 工紙は,グラシン紙側の撥水性と撥油性において,非折曲げ部で,が各々7級 と7級,の坪量70g/m貼付が各々6級と7級,120g/m貼付が7 級と7級,の坪量210g/m貼付が6級と6級,305g/m貼付が各 々6級と7級であった. これに対し,折曲げ部は,が各々6級と6級,が各々6級と6級,および 5級と6級,が各々5級と6級,および5級と5級であり,非折曲げ部,折曲 げ部とも十分な撥水性と撥油性を示した. したがって,表面樹脂形のグラシン紙を補強するために貼付する通常紙の坪量 は,大凡30〜300g/m程度の範囲といえることが分かると共に,グラシ ン紙におけるフッソ樹脂微細網状皮膜の表面樹脂形の二層構造紙は,非折曲げ部 ,折曲げ部とも良好な撥水性と撥油性をもち,折曲げ部の耐久性も高いことが分 かった.
【0026】
【考案の効果】
本考案の食品用包装紙材を用いることにより,下記の効果を得た. (1)本考案の包装紙材は,食品を包装したままで電子レンジで加熱できるが, さらに紙の持つ通気性,透湿性ならびに吸湿性が保持されているので,加熱によ って発生した余分な水蒸気を包装紙材を通して外に排出し,食品種類によっては 水分の遊離,結露,変質などを防止する効果がある. (2)包む内側になるべき表面に,強固で高い撥水性と撥油性をもちながら,紙 本来の持つ通気性,透湿性ならびに吸湿性がある包装紙材を提供できた. したがって,比較的水分含有の高いケーキ類,饅頭類,生和菓子類などの表面 が粘着性のある食品,またフライ類,中華饅頭類あるいは焼そば類など,揚げ立 て,蒸し立てあるいは焼き立て食品などの直接包装に用いた場合に,紙の特性が 失われないので,内側が結露することなく,食品との癒着が無く,開包にあたっ ては食品から容易に剥離されるので,綺麗で清潔感があり,包む食品を無駄にし ない効果がある. (3)表面樹脂形でありながら,折り曲げ部の撥水性と撥油性が損なわれない. したがって,包むときなどの折り曲げ部,またカップ状,箱状などに加工した 場合の折曲げ変形部において,非折曲げ部と殆ど同様な撥水性と撥油性があるの で,実用のときに包装や紙器などの如何なる部分においても,均質で,高い撥水 性と撥油性とを与える効果がある. (4)表面樹脂形であるので,包む外側になるべき表面は紙そのものであるので ,印刷,着色,接着などの加工を行う場合の障害がなく,印刷を伴う加工,カッ プ,箱状加工のときの接着加工などが容易になる効果がある. (5)表面樹脂形であるので,紙に対するフッソ樹脂の使用比率が全樹脂形に比 較して極めて少なく,経済性があると共に,再生紙の原料工程での離解性がよく ,リサイクル性も極めてよい. 以上,本考案は,食品用包装紙材ばかりでなく,本材の包装用紙材,肥料の包 装用紙材,飼料用包装紙材,呼吸作用を伴う籾,米,野菜などの農産物包装紙材 などに広く用いることができるので,産業発展に資するところが大きい.
【図面の簡単な説明】
【図1】紙による食品の包装,開包態様の断面模型図.
【図2】フッソ系樹脂の微細網状皮膜の接合層を有する
表面樹脂形グラシン紙の断面の部分模型拡大図.
【図3】表面樹脂形グラシン紙と通常紙との接着部が吸
湿性接着剤である二層構造紙材の断面の部分模型拡大
図.
【図4】表面樹脂形グラシン紙と通常紙との接着部が部
分接着形である二層構造紙材の断面の部分模型拡大図.
【符号の説明】
1 食品の包装状態断面模型図 2 開包途上の断面模型図 3 表面粘着性食品 4 包装紙 5 封部 6 食品癒着物 8 グラシン紙部 9 グラシン紙表面に接合状態のフッソ系樹脂微細網
状皮膜部 11 通常紙部 12 吸湿性接着部 15 部分接着部 16 空隙部

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 包装用加工紙において,包むときに内側
    になるべき表面にフッソ系樹脂の微細な網状皮膜を有す
    るグラシン紙であることを特徴とする包装紙材.
  2. 【請求項2】 二層構造の紙であって,包むときの内側
    になるべき紙が請求項1記載のグラシン紙であって,該
    グラシン紙と坪量が大凡30〜300g/mの通常紙
    の両者が,包むときの外側において吸湿性の高い接着剤
    で接合されている包装紙材.
  3. 【請求項3】 二層構造の紙であって,包むときに内側
    になるべき紙が請求項1記載のグラシン紙であって,該
    グラシン紙と坪量が大凡30〜300g/mの通常紙
    の両者が,包むときの外側において接着部分が縞状,網
    目状,ドット状など接着剤の部分接着で接合されている
    包装紙材.
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004506535A (ja) * 2000-05-15 2004-03-04 ストゥラ エンソ アクチボラグ 紙または厚紙の積層体およびこの積層体の製造方法

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