JP3051477B2 - 熱交換器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、カークーラー用の凝
縮器等に用いられる熱交換器に関する。

【０００２】

【従来の技術】上記のような用途に用いられる熱交換器
としては、サーペンタイン形熱交換器が用いられていた
が、軽量小型で高熱交換効率を実現しうるものとして、
マルチフロー型あるいはパラレルフロー型と称される熱
交換器が昨今使用されるようになってきている。

【０００３】かかるマルチフロー型の熱交換器におい
て、サーペンタイン型のものと同様に熱交換媒体を蛇行
状に流通させること等を目的として、ヘッダーに設けた
スリット状の開口部から仕切板をヘッダー内に挿入配置
し、もってヘッダー内を複数の仕切室に分割することが
行われている（例えば実開昭６３−４９１９３号）。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な仕切板を備えた従来の熱交換器は、単に仕切板をヘッ
ダー内に挿入するのみで挿入後仕切板を抜け止め固定す
る手段がなかった。このため、熱交換器の仮組後ろう付
によりヘッダーと仕切板とをろう付するまでの取扱い中
に仕切板が不本意に揺動して位置ずれを起し、ひいては
熱交換媒体の液洩れの原因となるとか、甚しくは仕切板
がヘッダーから脱落するとかの問題があった。このた
め、一般には固定治具を用いて仕切板を固定している
が、治具の取付け取外しが面倒で時間がかかり、生産性
の向上を妨げる一因となっていた。

【０００５】この発明は、かかる欠点を解消するために
なされたものであって、ヘッダーに挿入配置した仕切板
の位置ずれや脱落を、別途治具を用いることなく簡易な
構成で確実に防止しうる熱交換器の提供を目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明の一つは、図面の符号を用いて示すと、並
列状に配置された複数本のチューブ（１）の少なくとも
一端が中空ヘッダー（３）（４）に連通接続されるとと
もに、隣接する所定の２本のチューブ（１）（１）間の
位置において、ヘッダー（３）（４）の長さ方向を仕切
る仕切板（10）が、ヘッダーに設けたスリット状の開口
部（13）からヘッダー内へ差し込まれることにより配置
された熱交換器において、前記仕切板（10）は、これに
隣接するチューブ（１）の厚さ方向の一方の外面によっ
て前記開口部（13）からの脱落を防止する方向に押しつ
けられることにより、抜け止め状態に配置されかつろう
付されていることを特徴とする熱交換器を要旨とする。

【０００７】また、この発明の他の一つは、並列状に配
置された複数本のチューブ（１）の少なくとも一端が中
空ヘッダー（３）（４）に連通接続されるとともに、隣
接する所定の２本のチューブ（１）（１）間の位置にお
いて、ヘッダー（３）（４）の長さ方向を仕切る仕切板
（10）が、ヘッダーに設けたスリット状の開口部（13）
からヘッダー内へ差し込まれることにより配置された熱
交換器において、前記仕切板（10）には厚さ方向の一面
に嵌合凹部（10c）が設けられ、この嵌合凹部（10c）
に、隣接するチューブ（１）の長さ方向の端部が嵌合さ
れることにより、前記仕切板（10）が抜け止め状態に配
置されかつろう付されていることを特徴とする熱交換器
を要旨とする。

【０００８】

【作用】仕切板（10）が隣接チューブ（１）の外面によ
って押しつけられることにより、あるいは仕切板（10）
の嵌合凹部（10c）に隣接チューブの端部が嵌合される
ことにより、仕切板（10）は抜け止め状態に配置されて
いるから、仕切板（10）のセッティング後ろう付により
ヘッダー（３）（４）と仕切板（10）とが接合されるま
での取扱い中に、仕切板が不本意に揺動することにより
位置ずれを起こしたりヘッダーから脱落する不都合が解
消される。また、仕切板（10）は抜け止め状態でろう付
されているから、位置ずれによる接合不良がなくなる。

【０００９】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基いて説明
する。

【００１０】図１〜図５はこの発明の一実施例に係るカ
ークーラー用のアルミニウム（その合金を含む）製熱交
換器を示しており、（１）は水平状態で上下方向に配置
された複数のチューブ、（２）はその隣接するチューブ
（１）（１）間に介在されたコルゲートフィンである。
チューブ（１）はアルミニウム材による偏平状の押出形
材をもって構成されたものである。このチューブ（１）
はいわゆるハモニカチューブと称されるような多孔形の
ものを用いても良い。また押出形材によらず電縫管を用
いても良い。コルゲートフィン（２）はチューブ（１）
と略同じ幅を有し、ろう付によりチューブ（１）に接合
されている。コルゲートフィン（２）もアルミニウム製
であり、望ましくはルーバーを切り起こしたものを用い
るのが良い。

【００１１】（３）（４）は左右のヘッダーである。こ
れらのヘッダー（３）（４）は、各１本の断面円形のア
ルミニウム製電縫管をもって形成されたものである。各
ヘッダー（３）（４）には、長さ方向に沿って間隔的に
チューブ挿入孔（５）が穿設されるとともに、該孔
（５）に各チューブ（１）の両端が挿入され、かつろう
付により強固に接合連結されている。さらに、左ヘッダ
ー（３）の上端には冷媒入口管（６）が、また右ヘッダ
ー（４）の下端には冷媒出口管（７）が連結されてい
る。また左ヘッダー（３）の下端及び右ヘッダー（４）
の上端には蓋片（８）（９）がそれぞれ取着されてい
る。さらに、左ヘッダー（３）の中央部より上側の位置
及び右ヘッダー（４）の中央部より下側の位置にはそれ
ぞれ仕切板（10）が設けられ、各ヘッダーが２室に仕切
られている。かかる仕切板（10）の設置により、冷媒入
口管（６）から左ヘッダー（３）に流入した冷媒は、チ
ューブ群によって構成される全通路をめぐって蛇行状に
流通し、冷媒出口管（７）から流出するものとなされて
いる。なお、第２図に示す（11）（12）は最外側のコル
ゲートフィン（２）の外側に配置された上下のサイドプ
レートである。

【００１２】前記仕切板（10）は、図１及び図４に示す
ように、ヘッダー（３）（４）の内周形状に適合する径
小円周の内側半周部（10a ）と、ヘッダー（３）（４）
の外周形状にほぼ適合する径大円周の外側半周部（10b
）とで構成される周面を有する略円板状をなしてい
る。そして、かかる仕切板（10）が、この実施例ではヘ
ッダー（３）（４）に次のようにして取付けられてい
る。

【００１３】即ち、図１及び図４に示すように、ヘッダ
ー（３）（４）にはチューブ挿入側の面において仕切板
（10）の取着予定位置に周方向の略半周にわたってスリ
ット状開口部（13）が形成されている。かつこの開口部
（13）は上側に隣接するチューブ挿入孔（５）の直近下
方において、該チューブ挿入孔（５）と開口部（13）と
が連通した状態に設けられている。かつまた、この連通
孔の高さはチューブの厚さと仕切板の厚さとの合計厚さ
よりもやや小に設定されている。一方前記仕切板（10）
は、内側半周部（10a ）側からスリット状開口部（13）
を介してヘッダー（３）（４）内に嵌入されることによ
り、内側半周部（10a ）の周端面がヘッダー（３）
（４）の内周面に適合するとともに、外側半周部（10b
）の周端部がスリット状開口部（13）の端縁に適合す
る状態に配置される。一方また、スリット状開口部（1
3）に連通したチューブ挿入孔（５）に挿入されるチュ
ーブ（１）には、図５に示すように、該挿入孔への挿入
端下面に所定長さ範囲に亘って浅い凹面（1a）が形成さ
れるとともに、凹面と通常のチューブ面との連接部に段
部（1b）が形成されている。而して、組立工程におい
て、上記チューブ（１）が仕切板挿入用開口部（13）に
連通するチューブ挿入孔（５）に仕切板（10）の挿入と
同時にあるいは仕切板の挿入後に、強制的に挿入され
る。この状態においては、図１に示すように、前記チュ
ーブの凹面（1a）が仕切板（10）の上面に当接するとと
もに、前記段部（1b）が仕切板（10）の外側半周部端縁
に係止した状態となされており、仕切板（10）は抜止め
用ストッパとしての段部（1b）によって抜け止め状態に
固定される。従って、その後の取扱い中に仕切板（10）
が位置ずれを起したり抜け落ちたりする危険をなくしう
る。そしてこの状態で仕切板（10）、ヘッダー（３）
（４）、チューブ（１）がろう付一体化される。このろ
う付手段としては、ヘッダー（３）（４）、仕切板（1
0）等をアルミニウムブレージングシートで製作し、一
括ろう付を行う方法が好適であるが、他の方法でも差支
えない。

【００１４】ろう付後においては、仕切板（10）の内側
半周部（10a ）はヘッダー内周面と接合され、外側半周
部（10b ）の周端部はヘッダー（３）（４）の開口部
（13）の端縁と接合され、さらにまた外側半周部（10b
）の上面はチューブ凹面（1a）と接合され、仕切板（1
0）の位置ずれによる液洩れはない。

【００１５】なお、以上の実施例では対応チューブ
（１）の下面に凹面（1a）を設けることによって段部
（1b）を形成し、この段部（1b）を仕切板抜け止め用ス
トッパとして機能させたが、凹面（1a）を設けることな
く、段部（1b）の位置に突起を設けてストッパとして機
能させても良い。

【００１６】図６〜図８はこの発明の他の実施例を示す
ものである。なお、これらの図において、図１〜図５に
示したものと同一構成部分については同一符号を付しそ
の説明を省略する。

【００１７】この実施例では、仕切板挿入用のスリット
状開口部（13）は、チューブ差込み側と反対側の面にお
いて、対応チューブと同一高さ位置あるいはやや高い位
置に設けられている。一方、仕切板（10）は全体がやや
厚肉に形成されるとともに、その内側半周部（10a ）下
面に先端側から外側半周部（10b ）に向けて所定長さ切
込まれた下面開口の嵌合凹部（10c ）が形成されてい
る。かつこの嵌合凹部（10c ）の幅はチューブ（１）の
幅よりも若干小さく設定されており、チューブ先端を該
嵌合凹部（10c ）に強制的に圧入嵌合しうるものとなさ
れている。かかる仕切板（10）は具体的には次のように
してヘッダーに取着される。即ち、ヘッダー（３）
（４）のチューブ挿入孔（５）にチューブ（１）を挿入
すると共に、仕切板（10）をチューブの挿入方向と反対
側からヘッダー（３）（４）のスリット状開口部（13）
を介して挿入する。挿入は、対応チューブの先端を嵌合
凹部（10c）に圧入しつつ内側半周部（10a ）の周端面
がヘッダー内面に適合し、外側半周部（10b ）の周端部
が開口部（13）の端縁に適合するまで行う。この挿入状
態においては、仕切板（10）はチューブ（１）と一体的
に固定されており、従って接合までの取扱い中の仕切板
（10）の位置ずれや脱落を防止できる。その後ろう付を
施して仕切板（10）、ヘッダー（３）（４）、チューブ
（１）をろう接一体化する。

【００１８】なお、この方法によれば、ヘッダー（３）
（４）に圧力を加えることなく仕切板（10）を固定でき
るため、ヘッダーが変形することはない。

【００１９】

【発明の効果】この発明は上述の次第で、仕切板が隣接
チューブの外面によって押しつけられることにより、あ
るいは仕切板の嵌合凹部に隣接チューブの端部が嵌合さ
れることにより、仕切板は抜け止め状態に配置されてい
るから、仕切板のセッティング後ろう付によりヘッダー
と仕切板とが接合されるまでの取扱い中に、仕切板が不
本意に揺動して位置ずれを生じたりヘッダーから脱落す
る危険を確実に防止しうる。また、仕切板は抜け止め状
態でろう付されているから、位置ずれによる接合不良を
防止でき、不良率の少ない高品質の熱交換器となしう
る。かつまた、固定治具を用いて仕切板を固定する必要
がなくなるから、治具の取付け取外しが不要となり、工
程時間の短縮を図りえて生産性を向上できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図２に示す熱交換器の仕切板の取着状態を示す
断面図である。

【図２】この発明の一実施例に係る熱交換器の正面図で
ある。

【図３】同じく平面図である。

【図４】ヘッダーとチューブとフィンと仕切板を分離し
て示す斜視図である。

【図５】仕切板と係合するチューブの端部を示す正面図
である。

【図６】この発明の他の実施例を示すもので、ヘッダー
とチューブとフィンと仕切板を分離して示す斜視図であ
る。

【図７】図６に示す熱交換器の仕切板の取着状態を示す
断面図である。

【図８】図７のVIII−VIII線断面図である。

【符号の説明】

１…チューブ ３、４…ヘッダー 10…仕切板 13…開口部

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 並列状に配置された複数本のチューブ
   （１）の少なくとも一端が中空ヘッダー（３）（４）に
   連通接続されるとともに、隣接する所定の２本のチュー
   ブ（１）（１）間の位置において、ヘッダー（３）
   （４）の長さ方向を仕切る仕切板（10）が、ヘッダーに
   設けたスリット状の開口部（13）からヘッダー内へ差し
   込まれることにより配置された熱交換器において、 前記仕切板（10）は、これに隣接するチューブ（１）の
   厚さ方向の一方の外面によって前記開口部（13）からの
   脱落を防止する方向に押しつけられることにより、 抜け
   止め状態に配置されかつろう付されていることを特徴と
   する熱交換器。
2. 【請求項２】 並列状に配置された複数本のチューブ
   （１）の少なくとも一端が中空ヘッダー（３）（４）に
   連通接続されるとともに、隣接する所定の２本のチュー
   ブ（１）（１）間の位置において、ヘッダー（３）
   （４）の長さ方向を仕切る仕切板（10）が、ヘッダーに
   設けたスリット状の開口部（13）からヘッダー内へ差し
   込まれることにより配置された熱交換器において、 前記仕切板（10）には厚さ方向の一面に嵌合凹部（10
   c）が設けられ、この嵌 合凹部（10c）に、隣接するチュ
   ーブ（１）の長さ方向の端部が嵌合されること により、
   前記仕切板（10）が抜け止め状態に配置されかつろう付
   されていることを特徴とする熱交換器。