JP3048454B2 - 超音波探触子の検査方法および検査装置 - Google Patents

超音波探触子の検査方法および検査装置

Info

Publication number
JP3048454B2
JP3048454B2 JP03336959A JP33695991A JP3048454B2 JP 3048454 B2 JP3048454 B2 JP 3048454B2 JP 03336959 A JP03336959 A JP 03336959A JP 33695991 A JP33695991 A JP 33695991A JP 3048454 B2 JP3048454 B2 JP 3048454B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
probe
target
ultrasonic
ultrasonic probe
wave
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP03336959A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH05107234A (ja
Inventor
博幸 西森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Construction Machinery Co Ltd filed Critical Hitachi Construction Machinery Co Ltd
Publication of JPH05107234A publication Critical patent/JPH05107234A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3048454B2 publication Critical patent/JP3048454B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超音波顕微鏡等に用い
られる超音波探触子の検査方法および検査装置に関し、
特に、探触子の性能を評価するうえで重要な超音波ビー
ムの対称性を検査できるものである。
【0002】
【従来の技術】図14は、従来の集束型の超音波探触子
を評価する手法を説明するための図である。まず、集束
型の超音波探触子について説明すれば、この種の超音波
探触子は、図14(a)に示すように、音響レンズ4dの
上面に下部電極4cを形成し、その上に圧電素子4bお
よび上部電極4aを順次配置したもので、上下の電極4
a、4cに電圧を印加して圧電素子4bを励振させ、発
生した超音波を音響レンズ4dの下面に形成された凹部
4eによって集束させて試料(ターゲット)に送信する
とともに、反射波を同じ探触子により電気信号に変換し
て取り出せる構成となっている。
【0003】この場合、実質的に超音波が発生するのは
下部電極4c、圧電素子4bおよび上部電極4aの全て
が重複する部分のみであるため、これら圧電素子4bお
よび上部電極4aの中心軸が音響レンズ4d(凹部4
e)の中心軸と一致し、音響レンズ4d内を伝播する超
音波ビームの音軸と音響レンズ4d(凹レンズ)の中心
軸とが正確に一致していることが必要である。もし、こ
れら音軸および中心軸が一致していない場合は、音響レ
ンズ4dで集束された超音波送信ビームは非対称に出射
され、かつ、探触子4に入射される反射波も非対称に受
信されることになる。したがって、音響レンズ4d内を
伝播する超音波ビームの音軸と音響レンズ4dの中心軸
とが一致しているか否か、換言すれば超音波ビームが音
響レンズ4dの中心軸に関して対称に発生しているか否
かが探触子4の性能の重要な評価対象となる。
【0004】図14に戻って、図示する従来例はターゲ
ットとしてボールターゲットを用いたものである。ボー
ルターゲットは、直径Dなる真球状の鋼球からなるボー
ル20であり、同図(a)に示すように、支柱21を介し
て固定台19に支持され、あるいは、同図(b)に示すよ
うに直接固定されて用いられる。
【0005】いま、超音波検査装置にセットした探触子
4とボール20とを上下方向に並べて配置し、探触子4
の発生する超音波の集束点をボール20の表面上に設定
する。この状態で探触子4を水平方向の一方向に走査し
て反射波SBの信号強度を検出すると、同図(c)に示す
ような反射波SBの包絡線が得られる。この包絡線がピ
ーク値を軸として左右対称であるか否かによって、超音
波ビームと音響レンズ4dとの対称性が評価できる。
【0006】あるいは、同様の走査を互いに直交する水
平二方向に行い、図14(c)に示すように、各方向にお
ける包絡線の半値幅、つまりピーク値を挟んで信号強度
がピーク値の半分(すなわちピーク値から−6dB)と
なる2点間の距離d-6を求める。この半値幅(これをビ
ーム径と称する)d-6は理論上次式で表されるが、直交
する二方向について実際に測定して求めた値が一致する
か否かによって対称性を評価する。
【数1】 なお、上式においてλwは媒質中における波長であり、
媒質中における音速をCw、周波数をfとすればλw=C
w/fで表される。またFは探触子4の焦点距離、rは
凹部4eの開口半径である。
【0007】また、探触子4を超音波顕微鏡等にセット
し、同様にボールターゲットを水平面内で走査して結果
を画像化し、その画像が円になっているか否かによって
評価することも可能である。なお他に探触子の性能の一
般的な評価方法としては、一定幅の溝(スリット)を複
数形成した回折格子状の試料を溝の幅を変えて複数種用
意し、溝の上部と底部とが分離可能な最小の溝幅によっ
て分解能を評価するものがある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような従来のボールターゲットを用いた超音波探触子
の検査においては、測定上必要とされるボール20の直
径Dはビーム径d-6と同程度であるため、検査対象とな
る探触子のビーム径に応じて多くのボールターゲットを
用意しなければならない、という問題があった。
【0009】また、100MHzから1〜2GHzの高周
波帯で使用される超音波顕微鏡用の探触子4では、ビー
ム径d-6が30〜1μm程度であるためボール20の直径
も30〜1μm程度でなければならないことになるが、ボ
ールがこのように小さくなると真球の入手が困難である
とともに、図14(a)に示すように、ボール20を支持
するための支柱21を固定台19に設置することが至難
となる、という問題があった。一方、同図(b)に示すよ
うに、ボール20を固定台19に直接固定すると、固定
台19の表面からの反射波SPとボール20からの反射
波SBとが干渉し、同図(c)に示したような包絡線が得
られない、という問題があった。
【0010】また、スリットを設けた試料を用いる方法
は分解能を検査するためのものであり、振動子によって
発生する超音波の音軸と音響レンズの中心軸とが一致し
ているか否かを直接的に判断するのは困難である。
【0011】本発明の目的は、超音波顕微鏡等に用いら
れる高周波用探触子であってもその評価を簡易にかつ正
確に行いうる超音波探触子の検査装置を提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】一実施例を示す図1に対
応付けて説明すると、本発明は、超音波探触子4から送
信される超音波ビームの対称性を評価する超音波探触子
4の検査方法および検査装置に適用される。そして、請
求項1の発明は、断面が少なくとも1軸に対して軸対称
な凸曲面を少なくともその一部に有するターゲット6に
対し、このターゲット6からの直接反射波と他の反射波
とが前記超音波探触子4により受信される際に互いに干
渉するように、前記超音波探触子4を前記ターゲット6
の前記軸に対して直交する方向に相対的に移動させつつ
前記超音波探触子4と前記ターゲット6との間で超音波
の送受信を行う工程と、前記超音波の送受信工程で得ら
れる受信信号の強度変化をこの受信信号が得られた時の
超音波探触子4の位置に対応して出力する工程とを備
え、この信号強度変化の対称性から前記超音波ビームの
対称性を評価可能とすることにより上述の目的を達成し
ている。また、請求項2の発明は、請求項1に記載の超
音波探触子の検査方法を実施するための装置において、
断面が少なくとも1軸に対して軸対称な凸曲面を少なく
ともその一部に有するターゲット6と、探触子4の焦点
位置が前記ターゲット6および前記軸を横切り、かつ、
前記断面内において前記軸に対して直交する方向に超音
波探触子4を相対的に移動させる移動手段11と、前記
超音波探触子4を励振して超音波を送信させる送信手段
1と、前記超音波探触子4からの信号を受信する受信手
段7と、前記移動手段11により前記超音波探触子4を
移動させながら前記受信手段7で受信された信号の強度
変化を検出する検出手段8、9とを備えたものである。
さらに、請求項3の発明は、請求項2に記載の検査装置
において、前記送信手段1と受信手段7とにより前記タ
ーゲット6の表面で反射されるターゲット直接反射波と
このターゲット6からの弾性表面波との干渉波を受信す
るようなものである。そして、請求項4の発明は、請求
項2に記載の検査装置において、前記送信手段1と受信
手段7とにより少なくとも前記ターゲット6の表面で反
射されるターゲット直接反射波と前記超音波探触子4の
先端界面で反射される探触子内反射波との干渉波を受信
するようなものである。
【0013】
【作用】ターゲット6からの直接反射波と他の反射波と
が超音波探触子4により受信される際に互いに干渉する
ように、移動手段11により超音波探触子4を相対的に
移動させつつ受信手段7で信号を受信すると、この超音
波探触子4とターゲット6との間の距離が軸を対称とし
て左右対称に変化し、この結果、受信手段7により受信
される干渉波の強度も変化する。超音波ビームが対称で
あれば、受信手段7により受信される信号変化もこの軸
に対して左右対称に現れるが、超音波ビームが非対称で
あれば受信信号の変化も非対称に現れる。従って、検出
手段8、9により受信信号の強度変化を検出すれば、こ
の信号強度変化の対称性から超音波ビームの対称性が判
定可能となる。
【0014】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段と作用の項では、本発明を分かり易
くするために実施例の図を用いたが、これにより本発明
が実施例に限定されるものではない。
【0015】
【実施例】
−第1実施例− 図1〜図11により本発明の第1実施例を説明する。図
1は本実施例の検査装置の構成を示すブロック図であ
る。図において、発振器1はパルス状あるいは一定時間
だけ連続するパルス状の電気信号を発生する。この信号
はサーキュレータ2および整合器3を介して探触子4の
上部電極4aおよび下部電極4cに印加され、圧電素子
4bにより超音波が発生する。この超音波は、音響レン
ズ4dを伝播してその下面にある凹部(凹レンズ)4e
により集束され、ターゲット6に向けて媒質(主として
水)5中に送信される。ターゲット6で反射された超音
波は上述と逆の経路をたどって圧電素子4bで受信され
て電気信号に変換され、上部・下部電極4a、4cを介
して外部に取り出される。取り出された受信信号は整合
器3およびサーキュレータ2を介してレシーバ7におい
て増幅され、ピーク検出器8においてそのピーク値を検
出し、ピーク値に比例した直流電圧を出力する。検出さ
れたピーク値はマイクロコンピュータ9でデジタル値と
して変換し、取り込まれる。
【0016】マイクロコンピュータ9はまた、ターゲッ
ト6が載置されたXYZスキャナ11の走査をXYZコ
ントローラ10を介して行い、上述したピーク値をその
時のXYZスキャナ11のX,Y,Z座標上の位置と対
応させて画像メモリ12に格納し、さらにモニタ(2)
13a上にその画像をリアルタイムに表示させる。走査
範囲や座標等はモニタ(1)13bに表示され、設定値
等の入力はキーボード14から行われる。画像計測部1
5は計測結果を解析し評価するが、これについては後に
詳述する。オシロスコープ16は、ターゲット6からの
反射波のピーク値をピーク検出器8で検出するためのゲ
ートをモニタする。
【0017】以上の構成における請求の範囲と実施例と
の対応において、発振器1は送信手段を、レシーバ7は
受信手段を、ピーク検出器8およびマイクロコンピュー
タ9は検出手段をそれぞれ構成している。なお、以下の
説明において、Z軸は垂直方向にとられ、X軸は図1に
おいて紙面の左右方向に延びる水平方向に、Y軸は図1
において紙面を貫く水平方向にとられている。
【0018】図2は探触子4から送信される超音波は音
響レンズ4dにより集束される集束点(以下、焦点位置
と称し、音響レンズ4dの凹部4eまでの距離を焦点距
離と呼ばれる。)を試料17表面から−Z方向に移動し
た時の図である。試料17表面を伝播する弾性表面波速
度CRが媒質5の速度CWより速い場合は、音響レンズ4
dの凹部4e中心から媒質5を介し、試料17表面で反
射した超音波(実線の経路)と音響レンズ4dの凹部4
e周辺部から媒質5を介し、試料17表面の垂線となす
角度ψ(=sin-1W/CR)で入射する超音波が試料1
7表面に弾性表面波を発生させ再び角度ψで媒質5を介
し、音響レンズ4dを伝播する超音波(破線の経路)が
干渉して探触子4で受信される。したがって、この二つ
の経路を伝播する超音波は探触子4と試料17の位置に
よって経路差(すなわち、超音波の位相差)が生じ、受
信信号強度が異なる。その結果、図3に示すように、探
触子4の焦点位置を試料表面(Z=0)として、横軸に
−Z方向の距離,縦軸に信号強度Vをとった場合、一定
の周期をもつ曲線が得られることが知られている。この
曲線をV(Z)曲線という。
【0019】V(Z)曲線は、平板状の試料17に対して
探触子4を近づけた場合にのみ得られるのではなく、図
4、図6に示すような探触子4の凹レンズの開口2rよ
り十分大きな直径Dをもった球状のボールターゲット6
を用いても同様に得られる。すなわち、図4に示すよう
に、直径D(D>2r)のボールターゲット6に対しそ
の中心軸上で探触子4の焦点位置をボールターゲット6
の表面からZ1だけ下げ(−Z1だけデフォーカスさせ)
た状態で、例えばX方向に走査すると、ボールターゲッ
ト6が球であるために探触子4からボールターゲット6
の表面までの距離が変化し、その結果、平面状の試料1
7でZ軸方向に近づけた場合と同様に反射波の信号強度
が変化する。
【0020】この変化は、図4に示すように、音響レン
ズ4dに対して圧電素子4bおよび上部電極4aが同心
円状に形成されている場合には、ボールターゲット6の
表面との間のZ軸方向の距離が対称に変化するために対
称に現れるが、図6(a),(b)に示すように、上部電極
4aまたは圧電素子4bの中心軸と音響レンズ4dの中
心軸とがずれ、発生する超音波の音軸と音響レンズ4d
の中心軸とが一致しない不良探触子である場合には非対
称に現れる。したがって、この反射波の信号強度変化を
検出することで、その探触子4の発生する超音波の音軸
と音響レンズの中心軸とが一致しているか否かを検査す
ることができる。
【0021】ここで、ボールターゲット6の半径につい
て検討する。探触子4のZ方向デフォーカス量を−
1、XY平面内における走査範囲、例えばX方向の探
触子の移動量を図9に示すようにX、ボールターゲット
6のZ軸方向の中心軸と走査範囲端Aを通る中心軸との
開き角をθとすれば、ボールターゲット6の半径Rは次
式で表される。
【数2】
【0022】いま、例として100MHz、開口角100゜、
ビーム径14μmの探触子について石英ガラスのV(Z)曲
線を測定した結果を図10に示す。この図から、ボール
ターゲット6の中心軸上における探触子4のデフォーカ
ス量をほぼ−80μmとする。次に、モニタ13aの画素
数を400×400ドット、測定ピッチを2.5μmとすれば、
X方向の探触子の移動量はX=2.5×400=1000μmとな
る。さらに開き角θを5゜(経験値)とする。これらの
数値を式2に代入してRを求めるとR≒5.8mmとな
る。
【0023】次に、200MHz、開口角100゜、ビーム径
7μmの探触子について同様にV(Z)曲線を測定した結
果を図11に示す。この図から、ボールターゲット6の
中心軸上における探触子4のデフォーカス量をほぼ−40
μmとする。また、X方向の探触子の移動量Xは同様に
1000μmとする。同様に開き角θとして5゜を用い、上
式からRを求めると、R≒5.8mmとなる。このよう
に、上式において右辺第2項の値は右辺第1項の値より
通常は十分小さいため、この右辺第2項を省略してR=
X/2tanθで表せば共通のボールが使用できる。
【0024】次に、本実施例の動作について説明する。
既に述べたように、ターゲット6として図4に示すよう
な直径D(D>2r)の鋼鉄製のボールターゲット6を
用い、その中心軸上で探触子4をボールターゲット6の
表面からZ1だけ下げた距離に保った状態でXY平面内
で走査し、受信された反射波の信号強度を、その大きさ
によって図3に示した4階調で表示する。探触子4が図
4に示すように正常な探触子である場合には、各階調で
示される図形は図5に示すように同心円環状となり、各
図形の重心はすべて1点Oに一致する。
【0025】これに対し、図6(a),(b)に示すような
不良探触子である場合には、図7に示すような画像が得
られ、各階調で示される図形の重心はO0〜O3となって
一致しない。そこで、各階調で示される図形の重心およ
び各重心のずれを画像計測部16によって算出すること
によりこの探触子の良否を判定する。
【0026】具体的には、XY平面内における走査範囲
をX×Y=a×a(単位はmm)、測定ピッチをP=b
(同)とすると、画素数N×N=a/b×a/bであ
る。画面上の階調をS(X,Y)(X,Y=0〜3)で表
示すれば、各階調の図形の重心On(Xn,Yn)(n=0
〜3)の座標値Xn、Ynは次式によって算出される。
【数3】 このようにして得られたO0〜O3の位置を、図8に重ね
て示す。そして、これらの重心座標間の距離Lm(m=
0〜5)は、次式によって算出される。なお次式におい
てi=0〜3、j=1〜3(ただしi≠j)である。
【数4】
【0027】このようにして得られたLmが要求される
探触子性能を満足する許容範囲内にあるか否かによって
探触子4の良否を判定する。もちろん、図5または図7
に示したような画像をモニタ上で観察し、直接視覚的に
その良否を判定してもよい。
【0028】このように本実施例によれば、上部電極4
aまたは圧電素子4bと音響レンズ4dとの中心軸のず
れが画像として示され、イメージと数値の双方によって
表示・判断かつ記録することができる。しかもターゲッ
ト6に用いたボールターゲット6はmm単位の大きさを
もち、真球の入手が容易であるとともに、ボールターゲ
ット6の製作および探触子の位置決め作業などが楽に行
える利点を有する。
【0029】−第2実施例− 図12〜図13を参照して、本発明の第2実施例を説明
する。図12は本実施例の検査方法および検査装置の原
理を説明するための図である。本実施例の検査装置の構
成は、発振器1で発生されるパルス状の電気信号の継続
時間、ひいては圧電素子4bで発生される超音波の継続
時間を除いて上述の第1実施例の検査装置のそれと同一
であり、従って、同様の構成要素については同一の符号
を付してその説明を簡略化する。
【0030】具体的には、発振器1で発生されるパルス
状の電気信号の継続時間は、図2において音響レンズ4
dの凹部(凹レンズ)4eの界面で反射されるエコーR
lと、平板状の試料17の表面で反射される直接反射エ
コーRsとが圧電素子4bで受信される際に互いに干渉
して受信されるように選択されている。このような条件
は、発振器1で発生される電気信号の継続時間を十分長
くとれば実現できるものであり、逆に、上述の第1実施
例においては、これらエコーRl、Rsが互いに干渉しな
いように電気信号の継続時間を短く設定している。エコ
ーRl、Rsが干渉するための条件は、探触子4の中心軸
上における凹レンズ4eから試料17までの距離をf0
(図2においては超音波ビームの集束点が試料17の表
面上に位置されているため、この距離は焦点距離に等し
い)、媒質5の音速をCw、圧電素子4bで発生される
超音波の継続時間をTとすれば、
【数5】 で与えられる。
【0031】上式で与えられる条件により超音波が発生
されると、横軸に−Z方向の距離、縦軸に受信された信
号強度をとった場合、干渉に基づく一定の周期λw/2
(λwは媒質5の縦波音速)をもつ曲線が得られる。図
12は、周波数440MHz、開口角100゜、ビーム径3.2
μmの探触子について、上述の条件に基づいて石英ガラ
スからの反射波の強度を測定した結果を示す図である。
試料表面波と直接反射エコーとの干渉(周期ΔZ)、お
よびレンズ面反射エコーと直接反射エコーとの干渉(周
期λw/2)の双方が重畳された曲線が得られることが
理解できる。このレンズ面反射エコーと直接反射エコー
との干渉は、試料の音響的性質(例えば表面波の発生の
有無)にかかわらず、上述の条件を満足すれば得られ
る。
【0032】図12に示すような曲線は、上述の第1実
施例と同様に、平板状の試料17に対して探触子4を近
付けた場合にのみ得られるのではなく、図4、図6に示
すような探触子4の凹レンズの開口2rより十分大きな
直径Dをもった球状のボールターゲット6を用いても同
様に得られる。すなわち、図4に示すように、直径D
(D>2r)のボールターゲット6に対しその中心軸上
で探触子4の焦点位置をボールターゲット6の表面から
1だけ下げ(−Z1だけデフォーカスさせ)た状態で、
例えばX方向に走査すると、ボールターゲット6が球で
あるために探触子4からボールターゲット6の表面まで
の距離が変化し、その結果、平面状の試料17でZ軸方
向に近付けた場合と同様に反射波の信号強度が変化す
る。
【0033】この変化は、図4に示すように、音響レン
ズ4dに対して圧電素子4bおよび上部電極4aが同心
円状に形成されている場合には、ボールターゲット6の
表面との間のZ軸方向の距離が対称に変化するために対
称に現れるが、図6(a),(b)に示すように、上部電極
4aまたは圧電素子4bの中心軸と音響レンズ4dの中
心軸とがずれ、発生する超音波の音軸と音響レンズ4d
の中心軸とが一致しない不良探触子である場合には非対
称に現れる。したがって、この反射波の信号強度変化を
検出することで、その探触子4の発生する超音波の音軸
と音響レンズの中心軸とが一致しているか否かを検査す
ることができる。
【0034】ボールターゲット6の半径については、上
述の第1実施例と同様の議論が成立するので、その説明
を省略する。いま、例として上述の周波数440MHz、
開口角100゜、ビーム径3.2μmの探触子について検討し
てみると、水(媒質)の音速Cw=1500m/sであるのでλ
w=3.4μm、λw/2=1.7μmとなる。図12を参照し
て、上述のデフォーカス量Z1=1.5×(λw/2)≒2.6μ
mとする。次に、モニタ13aの画素数を400×400ドッ
ト、測定ピッチはビーム径以下であればよいのでこれを
(ビーム径)/2とすれば1.6μmであるので、X方向の
探触子の移動量はX=1.6×400=640μmとなる。さら
に開き角θを5゜(経験値)とする。これらの数値を数
2に代入してRを求めるとR≒3.7mmとなる。
【0035】次に、本実施例の動作について説明する。
既に述べたように、ターゲット6として図4に示すよう
な直径D(D>2r)の鋼鉄製のボールターゲット6を
用い、その中心軸上で探触子4をボールターゲット6の
表面からZ1だけ下げた距離に保った状態でXY平面内
で走査し、受信された反射波の信号強度を、その大きさ
によって図12に示した4階調で表示する。探触子4が
図4に示すように正常な探触子である場合には、各階調
で示される図形は図5に示すように同心円環状となり、
各図形の重心はすべて1点Oに一致する。
【0036】これに対し、図6(a),(b)に示すような
不良探触子である場合には、図7に示すような画像が得
られ、各階調で示される図形の重心はO0〜O3となって
一致しない。そこで、各階調で示される図形の重心およ
び各重心のずれを画像計測部16によって算出すること
によりこの探触子の良否を判定する。以上の手順は上述
の第1実施例と同様であり、従ってその詳細な説明を省
略する。
【0037】従って、本実施例によっても、上述の第1
実施例と同様の作用効果を得ることができる。特に、本
実施例には、第1実施例による測定が困難である探触子
についてもその性能評価を行うことができる、という優
れた効果がある。すなわち、第1実施例の検査方法およ
び装置は、試料(ボールターゲット6)から得られるV
(Z)曲線(図13の曲線A)の周期ΔZを用いて探触子
4の評価を行っているので、試料と探触子との関係によ
りV(Z)曲線が得られない場合には評価が不能になるお
それがある。例えば、内部探傷等の目的で用いられ、図
2に示す開口角φが十分に小さくて試料17の表面に弾
性表面波が生じないような探触子4についてはV(Z)曲
線が得られない(図13の曲線B)。また、高周波用の
探触子4は凹レンズ4eの曲率半径も小さく、焦点距離
も短くなるのでデフォーカス量を大きくとることができ
ず、探触子4の評価のために必要なデフォーカス量Z1
を確保できない(図13の曲線C)。図13の曲線Bに
示す探触子の場合、ターゲットの材質に音速の速いもの
(例えばセラミック)を選択すればV(Z)曲線が得られ
るが、評価すべき探触子に応じてターゲットの材質を選
択する作業は手間がかかる。
【0038】一方、本実施例の検査方法および装置は、
ターゲットの音響的性質にかかわらず、媒質の音速、音
響レンズ4dとターゲット6との間の距離および超音波
の継続時間によって定まる干渉の周期λw/2を用いて
探触子4の評価を行っているので、第1実施例による評
価が困難であった探触子についても超音波ビームの対称
性を評価することができ、しかも、同一の材質のターゲ
ットを用いて全ての探触子4の評価作業を行うことがで
きる。
【0039】なお、本発明の超音波探触子の検査装置
は、その細部が上述の一実施例に限定されず、種々の変
形が可能である。一例として、上述の一実施例では真球
状のボールターゲットを用いたが、ターゲットは必ずし
も球に限らず、少なくとも断面が1軸に関して対称な凸
曲面を一部に有するものであれば、その対称軸に直交す
る方向に走査を行うことで、同様にその方向における超
音波の音軸と音響レンズの中心軸との一致を検査するこ
とができる。例えば円筒状のターゲットを、その軸方向
をX軸に平行にして配置してY軸方向に走査すれば、探
触子のY軸方向の対称性が評価できる。
【0040】また、上述の一実施例ではビームをスポッ
ト状に集束する探触子を検査する場合について説明した
が、本発明はライン状にビームを集束するシリンドリカ
ル形の探触子の検査にも同様に適用できる。
【0041】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、超音波顕微鏡等に用いられる高周波用探触子につ
いても、ビーム径によらず比較的大きなターゲットを利
用して、振動子によって発生する超音波ビームの音軸と
音響レンズの中心軸とが一致しているか否かの検査を簡
易にかつ正確に行うことができる。特に、請求項4の発
明によれば、V(Z)曲線が得られない探触子について
も、ビーム径によらず比較的大きなターゲットを利用し
て、超音波ビームの音軸と音響レンズの中心軸とが一致
しているか否かの検査を簡易にかつ正確に行うことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す検査装置のブロック
【図2】本発明の原理を説明するための図
【図3】V(Z)曲線の一例を示す図
【図4】正常な探触子の一例を示す図
【図5】図4の探触子の検査結果の一例を示す図
【図6】不良探触子の一例を示す図
【図7】図6の探触子の検査結果の一例を示す図
【図8】不良探触子の検査結果の一例を示す図
【図9】ボールターゲットの半径の算出方法を説明する
ための図
【図10】V(Z)曲線の一例を示す図
【図11】V(Z)曲線の一例を示す図
【図12】本発明の第2実施例の原理を説明するための
【図13】各種探触子における距離と受信強度との関係
の一例を示す図
【図14】従来の検査方法を説明するための図
【符号の説明】
1 発信器 4 探触子 4d 音響レンズ 6 ターゲット 7 レシーバ 8 ピーク検出器 9 マイクロコンピュータ 10 XYZコントローラ 11 XYZスキャナ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波探触子から送信される超音波ビー
    ムの対称性を評価する超音波探触子の検査方法におい
    て、 断面が少なくとも1軸に対して軸対称な凸曲面を少なく
    ともその一部に有するターゲットに対し、このターゲッ
    トからの直接反射波と他の反射波とが前記超音波探触子
    により受信される際に互いに干渉するように、前記超音
    波探触子を前記ターゲットの前記軸に対して直交する方
    向に相対的に移動させつつ前記超音波探触子と前記ター
    ゲットとの間で超音波の送受信を行う工程と、 前記超音波の送受信工程で得られる受信信号の強度変化
    をこの受信信号が得られた時の超音波探触子の位置に対
    応して出力する工程とを備え、 この信号強度変化の対称性から前記超音波ビームの対称
    性を評価可能としたことを特徴とする超音波探触子の検
    査方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の超音波探触子の検査方
    法を実施するための装置であって、 断面が少なくとも1軸に対して軸対称な凸曲面を少なく
    ともその一部に有するターゲットと、 探触子の焦点位置が前記ターゲットおよび前記軸を横切
    り、かつ、前記断面内において前記軸に対して直交する
    方向に超音波探触子を相対的に移動させる移動手段と、 前記超音波探触子を励振して超音波を送信させる送信手
    段と、 前記超音波探触子からの信号を受信する受信手段と、 前記移動手段により前記超音波探触子を移動させながら
    前記受信手段で受信された信号の強度変化を検出する検
    出手段とを備えたことを特徴とする超音波探触子の検査
    装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の検査装置において、 前記送信手段と受信手段とにより前記ターゲット表面で
    反射されるターゲット直接反射波とこのターゲットから
    の表面弾性波との干渉波を受信することを特徴とする超
    音波探触子の検査装置。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の検査装置において、 前記送信手段と受信手段とにより少なくとも前記ターゲ
    ット表面で反射されるターゲット直接反射波と前記超音
    波探触子の先端界面で反射される探触子内反射波との干
    渉波を受信することを特徴とする超音波探触子の検査装
    置。
JP03336959A 1991-08-19 1991-12-19 超音波探触子の検査方法および検査装置 Expired - Fee Related JP3048454B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3-231005 1991-08-19
JP23100591 1991-08-19

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH05107234A JPH05107234A (ja) 1993-04-27
JP3048454B2 true JP3048454B2 (ja) 2000-06-05

Family

ID=16916749

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP03336959A Expired - Fee Related JP3048454B2 (ja) 1991-08-19 1991-12-19 超音波探触子の検査方法および検査装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3048454B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20010057318A (ko) * 1999-12-21 2001-07-04 윤영석 초음파 수직탐촉자 특성 검출 장치 및 방법
CN102759578B (zh) * 2011-04-28 2015-03-18 光洋应用材料科技股份有限公司 溅镀靶材检测机构

Also Published As

Publication number Publication date
JPH05107234A (ja) 1993-04-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7779694B2 (en) Ultrasonic testing system and ultrasonic testing technique for pipe member
KR20090115170A (ko) 관체의 초음파 탐상 장치 및 초음파 탐상 방법
JPH0136584B2 (ja)
KR20100101683A (ko) 초음파 계측 장치 및 초음파 계측 방법
KR20220034889A (ko) 초음파 검사 시스템 및 초음파 검사 방법
TW201331580A (zh) 超音波感測器、使用其之檢查方法及檢查裝置
JP3048454B2 (ja) 超音波探触子の検査方法および検査装置
JP6598045B2 (ja) 超音波検査方法
JP2004150875A (ja) 超音波による内部欠陥の映像化方法、及び、装置
KR101767422B1 (ko) 공간분해능이 향상된 분리형 초음파 탐촉자
JP2008261889A (ja) 超音波による内部欠陥の映像化方法、及び、装置
JP2019211215A (ja) 超音波探傷方法、超音波探傷装置、鋼材の製造設備列、鋼材の製造方法、及び鋼材の品質保証方法
CN113899785A (zh) 一种基于超声和红外探伤对锂电池的检测方法
JP2002323481A (ja) 超音波探傷方法および装置
JP2551218Y2 (ja) 超音波顕微鏡装置
JP2883051B2 (ja) 超音波臨界角探傷装置
CN214374519U (zh) 一种细声束超声波探头
JPH0376419B2 (ja)
JPH05180807A (ja) 超音波探触子の選択方法及び該方法で選択した探触子
JPH0545346A (ja) 超音波探触子
JPH07120438A (ja) 球状被検体の検査装置
CN115932328A (zh) 一种微悬臂、探针及原子力显微镜
JPH0365495B2 (ja)
JPS6091256A (ja) 超音波顕微鏡装置
JPS61209353A (ja) 方向性超音波顕微鏡

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees