JP3040980B1 - 口腔内状況の判定装置及び算出図表 - Google Patents

口腔内状況の判定装置及び算出図表

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JP3040980B1 JP11004570A JP457099A JP3040980B1 JP 3040980 B1 JP3040980 B1 JP 3040980B1 JP 11004570 A JP11004570 A JP 11004570A JP 457099 A JP457099 A JP 457099A JP 3040980 B1 JP3040980 B1 JP 3040980B1
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Abstract

【要約】 【課題】 各人の口腔保健状態を客観的に表現する方法
および装置を提供すること。 【解決手段】 健全歯数とCPITNコード0のセクス
タント保有数とを変数とした回帰式によって口腔年齢を
算出する。このことより、口腔保健状態を口腔年齢とい
う指標で表示できることが可能となり、成人歯科健診事
業への効果的な応用の可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各人の口腔内状況
を客観的に判定することのできる判定方法及び判定装置
に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】現在、多くの企業では
社員に対する歯科検診を実施しているが、健診事業後の
事後措置としては、検診結果を単に一般的に提示した
り、治療処置の必要性を勧告するにとどまっていること
が多い。そのため、受診者は、歯の状態についての客観
的な指標、特に、同年代の者に比べて自分の歯の状態が
どうなのかを知ることができず、受診者の口腔保健への
関心を高めるには至っていないのが実情である。また、
仮に、受診者が口腔保健への関心を持ったことにより、
以降の生活で歯の健康に注意したとしても、同年代の者
に比べて歯の状態がどれほど改善されたかを知ることが
できず、健康管理の努力を評価することができなかっ
た。
【0003】したがって、受診者の興味を引くことがで
き、しかも、的確に口腔内状況を表現できる客観的な指
標があれば、検診結果を提示したり、努力目標を与える
上で極めて有効である。そして、指標としては、運動機
能や体力を体力年齢によって表現すると同様に、各自の
口腔保健状態を口腔年齢という指標によって表現するの
が最も望ましいと考えられる。この発明は、この着想に
基づいてなされたものであって、各人の口腔保健状態を
客観的に提示できる装置及び算出図表を提供することを
目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は、コンピュータを用いた口腔内状況の判定
装置であって、健全歯数の年齢別平均値についての統計
データに基づいて算出された、実年齢と健全歯数との関
係を示す第1の回帰式を記憶する第1記憶手段と、健全
歯茎セクスタント数の年齢別平均値についての統計デー
タに基づいて算出された、実年齢と健全歯茎セクスタン
ト数との関係を示す第2の回帰式を記憶する第2記憶手
段と、前記2つの回帰式から算出される2つの予測年齢
と、実年齢との関係を示す第3の回帰式を記憶する第3
記憶手段と、各人の健全歯数X1及び健全歯茎セクスタ
ント数X2を入力する入力手段と、入力手段から入力さ
れた前記健全歯数X1と前記第1記憶手段の第1回帰式
に基づいて第1予測年齢y1を算出する第1手段と、入
力手段から入力された前記健全歯茎セクスタント数X2
と前記第2記憶手段の第2回帰式に基づいて第2予測年
齢y2を算出する第2手段と、前記第1と第2の予測年
齢y1,y2と、前記第3記憶手段の第3回帰式に基づい
て総合的な予測年齢Yを算出する第3手段と、この算出
結果である総合的な予測年齢Yを表示する表示手段とを
備えている。
【0005】本発明では、健全歯数の年齢別平均値につ
いての統計データに基づき、実年齢Age と健全歯数X1
との関係を示す回帰式(1)を求め、回帰式(1)から
算出される年齢を、健全歯数に基づく予測年齢をy1
位置付ける。そして、この第1の回帰式を第1記憶手段
に記憶させている。なお、ここで健全歯数X1とは、2
8本の歯のうち健全な歯が何本あるかを示す数値であ
る。すなわち、人間の28本の歯は、それぞれ(a) 健全
な歯であるか(b) 充填材を詰めた歯であるか(c) 虫歯で
あるか(d) 歯が存在しないかのいずれかであるが、健全
歯数X1は0〜28の範囲内のいずれかの数値であっ
て、健全な歯が0本である場合から全ての歯が健全な場
合までを表すことができる。
【0006】また、本発明では、健全歯茎のセクスタン
ト数の年齢別平均値についての統計データに基づき、実
年齢Age と健全セクスタント数X2との関係を示す回帰
式(2)を求め、回帰式(2)から算出される年齢を、
健全歯茎に基づく予測年齢y2と位置付ける。そして、
この第2の回帰式を第2記憶手段に記憶させている。な
お、人間の歯茎は、右上部、右下部、前上部、前下部、
左上部、左下部の6セクスタント(6ブロック)に区分
されるが、各セクスタントは、健全な状態(コード0)
から極端に不健全な状態(コード4)まで5段階の数値
(CPITNコード)で表される。そして、健全セクス
タント数(CPITNコード0セクスタント数)X2
は、上記6つのブロックのうち、コード0の歯茎が何ブ
ロック存在するかを表すものであり、0から6までの数
値範囲をとる。
【0007】また、本発明では、予測年齢y1及び予測
年齢y2と、実年齢Age との関係を示す回帰式(3)を
求め、回帰式(3)から算出される年齢を口腔年齢Yと
位置付ける。そして、この第3の回帰式を第3記憶手段
に記憶させている。なお、この回帰式(3)は、例え
ば、一次多項式であるY=αy1+βy2+γの形で与え
られる。
【0008】本発明において、各人の健全歯数X1及び
健全歯茎セクスタント数X2が入力手段によって入力さ
れた場合、第1手段〜第3手段からなる演算手段は、前
記第1、第2、第3の記憶手段を参照して、記憶された
回帰式に基づいて各人の総合的な予測年齢Yを算出す
る。そして、表示手段は、この演算手段の算出結果を表
示するので、本発明によれば、各人ごとの健全歯数X1
と健全歯茎のセクスタント数X2とを入力するだけで、
直ちに各人の口腔年齢を客観的に知ることができる。
【0009】また、本発明は、横軸に年齢軸をとる一
方、左右の縦軸に健全歯数X1と健全歯茎のセクスタン
ト数X2をとった算出図表であって、健全歯数の年齢別
平均値についての統計データに基づいて算出された、実
年齢と健全歯数X1との関係を示す第1の回帰式に関す
る曲線が記載されていると共に、健全歯茎セクスタント
数の年齢別平均値についての統計データに基づいて算出
された、実年齢と健全歯茎セクスタント数X2との関係
を示す第2の回帰式に関する曲線が記載されており、健
全歯数X1と健全歯茎のブロック数X2に対応して、横軸
の該当箇所から特定される2つの年齢に基づいて、各人
の口腔年齢を知ることができるようになっている。例え
ば、横軸に年齢軸をとる一方、左右の縦軸に健全歯数X
1(=0〜28)と健全歯茎のセクスタント数X2(=0
〜6)とをとり、健全歯数X1に基づく予測年齢αy
1と、健全歯茎に基づく予測年齢βy2の曲線を描いてお
く(図5参照)。このようにしておけば、各人の健全歯
数X1と健全歯茎のブロック数X2に対応して、横軸の該
当箇所から、その者のαy1とβy2を知ることができ、
αy1とβy2を加えるとともに補正項γを加算すれば、
簡単に口腔年齢を知ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、実施例に基づいて本発明に
ついて具体的に説明する。 (1)調査対象および方法 口腔年齢の算出式を検索するための資料として、平成7
年に実施した厚生省委託事業「被災地居住者成人に対す
る歯科健康診査」のうち、歯の診査およびCPITNに
よる歯周組織の診査結果を用いた。調査対象者数は、2
0歳〜100歳(平均年齢54.2±12.9歳)の44301
名であり、そのうち男性(54.6±12.8歳)は17793
名であり、女性(54.0±13.0歳)は26508名であ
る。前述したように、本発明者は、この診査結果のう
ち、各自の口腔保健状態を表現する項目として、歯およ
び歯周組織の健全な状態、すなわち、健全歯数X1 とC
PITNコード0のセクスタント数X2 に着目した。
【0011】図1は、横軸を実年齢Age にして、年齢別
−人平均健全歯数X1 を表したものである。平成5年度
歯科疾患実態調査(−○−)の結果と比較すると、60
歳以上では、やや大きい値で推移するものの、ほぼ同様
の曲線を示している。図2は、横軸を実年齢Age にし
て、年齢別−人平均CPITNコード0セクスタント保
有数人平均健全歯数X1 を表したものである。CPIT
Nコード0のセクスタント数の年齢別平均値について
は、我が国の代表値となるデータがないため検証するこ
とが出来ないが、健全歯の推移からみて調査対象集団は
我が国の平均的な集団であり、回帰モデルの作成に適し
た集団であると判断した。
【0012】以上のデーターを踏まえて、年齢別−人平
均健全歯数X1 を説明変数とし、100歳までの実年齢
を目的変数yとしてX1 を変化させ最も実年齢と適合す
る多項式回帰を検索した。同様に、年齢別−人平均コー
ド0のセクスタント数X2 についても、X2 を変化させ
多項式近似する回帰式を検索した。ただし、変数として
用いるデータは平均値であり、健全歯数およびコード0
のセクスタント数の最高値は、20歳で約19本および
3セクスタントであり、実際の最高値より少なくなって
いる。そこで、20歳未満の口腔年齢を算出するため
に、13歳では、28本、6セクスタントを所有すると
仮定し、13歳から20歳まではそれぞれ直線回帰に当
てはめた。
【0013】その結果、図3、図4に示すように、健全
歯数の平均値から実年齢を多項式近似する曲線、及びコ
ード0セクスタント数の平均値から実年齢を多項式近似
する曲線が得られた。すなわち、健全歯数においては、
5次式 y1 =98.7559 −8.8912・X1 +1.5110・X1 2−0.1641・X1 3+0.00708 ・X1 4 −0.0001・X1 5 ……(式1)が得られ、 コード0のセクスタント数においては、4次式 y2 =98.186−73.496X2 +26.267・X2 2−4.188 ・X2 3+0.2426・X2 4 …… (式2)が得られた。
【0014】次に、健全歯数およびコード0のセクスタ
ント数それぞれから得られた予測年齢y1 とy2 を用
い、実年齢との適合のよい回帰式を求めた結果、口腔年
齢は Y=−0.49+0.7 ・y1 +0.3 ・y2 ……(式3) で表わされることが明らかとなった。(式3)に示す通
り、口腔年齢に対して、健全歯数は7割、コード0セク
スタント数は3割の評価となる。
【0015】したがって、歯科医師に検査を受け、得ら
れた健全歯数X1 とコード0セクスタント数X2 とを、
それぞれ(式1)と(式2)に代入してy1 とy2 を算
出し、更に、y1 とy2 を(式3)に代入すれば、その
者の口腔年齢が得られる。そして、得られた口腔年齢
が、実年齢と同じなら年相応の歯でありことになる。一
方、実年齢より大きければ、歯の老化が進んでおり、実
年齢より小さければ、若々しい歯を維持していることに
なる。健全歯数X1 は、年齢とともに必ず降下し、上昇
することは有り得ないが、コード0セクスタント数X2
は、事後措置によって改善できるので、前記した(式
3)により得られる各人の年齢を口腔年齢と位置付け、
歯や歯茎の良否を判定する指標にすれば、各人の努力目
標や、歯科医師の指導の指標として極めて有益である。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
口腔保健状態を客観的な指標で表示することが可能とな
り、算出された口腔年齢によって、各受診者の口腔内状
況を的確に認識することができる。したがって、例え
ば、成人歯科検診における事後措置として、受診者の現
在の口腔保健状態を分かりやすい指標で提示することが
可能となり、また、適切な事後措置表を作成することも
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】年齢別−人平均健全歯数の推移を示す図表であ
る。
【図2】年齢別−人平均CPINTコード0のセクスタ
ント数の推移を示す図表である。
【図3】人平均健全歯数と予測年齢の関係を図示したも
のである。
【図4】人平均CPINTコード0のセクスタント数と
予測年齢の関係を図示したものである。
【図5】各人の健全歯数とコード0セクスタント数から
口腔年齢を算出する図表を例示したものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61C 19/00 - 19/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 健全歯数の年齢別平均値についての統計
    データに基づいて算出された、実年齢と健全歯数との関
    係を示す第1の回帰式を記憶する第1記憶手段と、 健全歯茎セクスタント数の年齢別平均値についての統計
    データに基づいて算出された、実年齢と健全歯茎セクス
    タント数との関係を示す第2の回帰式を記憶する第2記
    憶手段と、 前記2つの回帰式から算出される2つの予測年齢と、実
    年齢との関係を示す第3の回帰式を記憶する第3記憶手
    段と、 各人の健全歯数X1及び健全歯茎セクスタント数X2を入
    力する入力手段と、 入力手段から入力された前記健全歯数X1と前記第1記
    憶手段の第1回帰式に基づいて第1予測年齢y1を算出
    する第1手段と、 入力手段から入力された前記健全歯茎セクスタント数X
    2と前記第2記憶手段の第2回帰式に基づいて第2予測
    年齢y2を算出する第2手段と、 前記第1と第2の予測年齢y1,y2と、前記第3記憶手
    段の第3回帰式に基づいて総合的な予測年齢Yを算出す
    る第3手段と、 この算出結果である総合的な予測年齢Yを表示する表示
    手段とを備えることを特徴とするコンピュータを用いた
    口腔内状況の判定装置。
  2. 【請求項2】 前記第3の回帰式は、予測年齢y1,y2
    を変数とした一次多項式である請求項1に記載の口腔内
    状況の判定装置。
  3. 【請求項3】 前記第1の回帰式は、5次多項式であ
    り、前記第2の回帰式は、4次多項式である請求項1又
    は請求項2に記載の口腔内状況の判定装置。
  4. 【請求項4】 横軸に年齢軸をとる一方、左右の縦軸に
    健全歯数X1と健全歯茎のセクスタント数X2をとった算
    出図表であって、 健全歯数の年齢別平均値についての統計データに基づい
    て算出された、実年齢と健全歯数X1との関係を示す第
    1の回帰式に関する曲線が記載されていると共に、健全
    歯茎セクスタント数の年齢別平均値についての統計デー
    タに基づいて算出された、実年齢と健全歯茎セクスタン
    ト数X2との関係を示す第2の回帰式に関する曲線が記
    載されており、 健全歯数X1と健全歯茎のブロック数X2に対応して、横
    軸の該当箇所から特定される2つの年齢に基づいて、各
    人の口腔年齢を知ることができるようになっている算出
    図表。
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