JP3039457U - 水素発生用電解セル - Google Patents

水素発生用電解セル

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JP3039457U JP1997000084U JP8497U JP3039457U JP 3039457 U JP3039457 U JP 3039457U JP 1997000084 U JP1997000084 U JP 1997000084U JP 8497 U JP8497 U JP 8497U JP 3039457 U JP3039457 U JP 3039457U
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水素吸蔵性金属のパイプからなるカソードの
使用効率を向上させると共に、腐食や漏れ、穴を生じさ
せず、長期間にわたって連続使用が可能な水素発生用の
電解セルを提供することである。 【解決手段】 電解槽21内部にアルカリ水溶液22、
及び電源の陰極と接続される水素吸蔵性金属からなる電
極23、並びに、電解槽21又はその内部に電源の陽極
と接続される金属製電極24を有する水素発生用電解セ
ルにおいて、電極23はパイプ状であり、この電極23
の所定本数を電解槽21の底部付近にそれぞれ配置し、
電極23の両端を電解槽21の側壁を貫通させて電解槽
21外部に設けられた水素回収部25に連通してなる。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案は、水素発生装置用の電解セルに関し、詳しくは、電源の陰極と接続 される、電極として水素吸蔵性金属を用いた水素発生装置用の電解セルに関する 。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電源の陰極と接続される電極、すなわち、カソードとして使用される 電極にパラジウム金属等の水素吸蔵性金属を用いた水素発生用の電解セルは、図 7に示すような電解セルが知られており、電解槽1として縦長の円筒体が用いら れる。
【0003】 この電解槽1は金属製であり、図7及び図8に示すように、下端は閉塞される と共に上端は開放されており、この上端部では、ここに設けたつば部で蓋2と接 合することによって電解槽1内部を密閉している。この蓋2及び接合部材は金属 性であることから、蓋2に端子3を設けて電源の陽極に接続することにより、電 解槽1自体をアノードとして使用することができる。
【0004】 また、図8に示すように、上記の電解槽1の内部には、カソード4としてパラ ジウム金属製のパイプが垂直に挿入されており、それらが電解槽1の上端部分と 蓋2との間にシール部材5及び6を介して設置されたカソード支持板7に接合さ れている。このカソード支持板7には、電源の陰極に接続するための端子8が設 けられている。
【0005】 カソード支持板7には所定数の孔が設けられており、この孔にカソード4を挿 入して銀溶接等の溶接をすることにより、カソード支持板7とカソード4が接合 されている。また、カソード4の上記カソード支持板7と接合する端部と反対側 の端部は、銀溶接等の溶接により閉塞されている。
【0006】 電解槽1内部には水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液9が注入されており、 端子3を電源の陽極と接続し、端子8を電源の陰極と接続して電流を流すと、電 解槽1内で水の加水分解がおこる。カソード4として水素吸蔵性のパラジウム金 属を使用することから、カソード4外周面で生じた水素はカソード4内部に吸蔵 され、カソード4内周面を通ってパルプの中空部に放出される。次いで、端部が 開放されているカソード支持板7側へ移動し、カソード支持板7と蓋2との間に 形成された水素回収部10に回収される。水素回収部10に回収された水素は蓋 2内部に設けられた水素排出路11を通って電解セルから排出され、分析機器等 用の水素として使用される。
【0007】 また、電極の陽極と接続された電解槽1はアノードとなり、この表面で酸素が 発生する。この酸素は、アルカリ水溶液9と電解槽1の上端との間の気相部12 に集められ、ここの壁面に設けられた酸素排出口13から排出される。
【0008】 加水分解によって、電解槽1中のアルカリ水溶液の水が減少するので、電解槽 1の下端部側壁に設けた水注入口14より水が補給され、電解槽1中のアルカリ 水溶液の界面はほぼ一定に保たれる。
【0009】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、加水分解反応が始まると、カソード4のパラジウム金属内に多 量の水素が吸蔵されるため、カソード4はかなりの熱量を保有する。このとき、 このカソード4が酸素に触れると、カソード4表面が酸化等の反応が生じ、カソ ード4の水素吸蔵機能を阻害する。このため、水の電気分解で生じた水素のカソ ード4中空部への移動が阻害される。
【0010】 したがって、図8の水素発生用の電解セルの場合は、気相部12に配されるカ ソード4の部分は、この気相部12に含まれる酸素によって、水素吸蔵機能が阻 害され、高価なパラジウム等の水素吸蔵性金属の使用効率を低下させる。
【0011】 また、カソード4下端の溶接部15は、アルカリ水溶液9中にあるため、電池 反応等により腐食を生じやすい。
【0012】 さらに、溶接部15の溶接金属は、水素を吸蔵機能を有さないため、この部分 のカソード4に吸蔵された水素は、カソード4とこの溶接金属との境界に蓄積さ れる。このため、溶接部分15の発生水素ガスによる変形が生じやすく、カソー ド4と溶接金属に間隙ができて漏れを生じやすい。
【0013】 さらにまた、水素吸蔵により生じる発熱によって、カソード4に曲がりが生じ やすい。カソード4が曲がると、アノードとカソード4との距離が均一でなくな るため、カソード4の部位によって水素発生量が相違が生じ、全体として水素発 生量が低下する。また、水素発生量の特に多いカソード4の部位は、水素吸蔵量 が増大して結晶格子の変化等のより割れが生じやすくなり、微粉化して穴があき やすい。
【0014】 そこで、この考案の課題は、水素吸蔵性金属のパイプからなるカソードの使用 効率を向上させると共に、腐食や漏れ、穴を生じさせず、長期間にわたって連続 使用が可能な水素発生用の電解セルを提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、この考案は、電解槽内部にアルカリ水溶液、及び 電源の陰極と接続される水素吸蔵性金属からなる電極、並びに、電解槽又はその 内部に電源の陽極と接続される金属製電極を有する水素発生用電解セルにおいて 、上記の電源の陰極と接続される電極はパイプ状であり、この電極の所定本数を 上記電解槽の底部付近にそれぞれ配置し、上記電極の両端を上記電解槽の側壁を 貫通させて上記電解槽外部に設けられた水素回収部に連通してなる構成を採用し たのである。
【0016】 また、上記の水素発生用電解セルの上記電極が貫通する上記電解槽の側壁部分 に、シール部材を装着することができる。
【0017】 カソードとなる水素吸蔵性金属からなるパイプを電解槽底部付近に、その両端 が電解槽の側壁を貫通させて配置したので、このカソード全体が完全にアルカリ 水溶液中に浸漬される。このため、このパイプを酸素から遮断することができる ので、カソード全体を有効に使用することができる。
【0018】 また、カソードを溶接によって電解槽側壁部分と接合せず、シール部材によっ てシールしながら保持したときは、アルカリ水溶液との直接接触による溶接の腐 食や溶接部におこる漏れを防ぐことができる。
【0019】
【考案の実施の形態】
以下、この考案の実施形態を図面を参照して説明する。
【0020】 この考案にかかる水素発生用電解セルは、図1〜図4に示すように、電解槽2 1、この内部に電源の陰極と接続される電極、すなわちカソード23、及び、電 源の陽極と接続される電極、すなわちアノード24、及び水素回収部25、25 ’から構成される。
【0021】 上記電解槽21は、任意の形状を採用することができるが、図1〜図4に示す ように、机上に設置することができるよう、底面が平坦であることが好ましく、 また、電解槽として使用することからその内部にアルカリ水溶液22を注入して 保持することができることが必要である。さらに、上記カソード23及びアノー ド24は、図1〜図4に示すように、この電解槽21の底部付近に設けられてお り、上記カソード23の最上部のものと、アルカリ水溶液の界面との間に、所定 幅の水層を有している。したがって、この電解槽21は、カソード23及びアノ ード24を有する電気分解部と、アルカリ水溶液をこの電気分解部に水を供給す るための上記水層からなる水タンク部の両方を一体に有する構造となっている。
【0022】 この電解槽21は、上記水タンク部を有するので、電気分解によりかなりの水 が使用されても、カソード23がアルカリ水溶液22の界面上に浮上することを 防止できる。この水タンク部の高さは、1週間程度外部から水を供給せずに電気 分解反応を行っても、アルカリ水溶液22の界面が、上記カソード23の最上部 のものより下回らないような高さを有することが好ましい。また、電解槽21の 上面部に設けられた穴36より水面検知器を入れ、規定以上の水面降下を生じた ときに、水供給口37より水を供給することにより、電解槽21中のアルカリ水 溶液22の量が一定に保たれる。
【0023】 また、この電解槽21の電気分解部の側壁には、カソード23の両端を貫通さ せるためのカソード穴39が、カソード23の本数に合わせて設けられている。 カソード23は、このカソード穴39を通ってその端部が電解槽21の外部に突 き出ているが、このカソード穴39からアルカリ水溶液22が漏出するおそれが ある。これを防ぐため、この電解槽21の電気分解部の側壁にシールが施される 。
【0024】 このシールは、溶接等任意のシール方法を採用することができる。溶接をする 場合は、例えば銀溶接を採用することができる。ただ、この溶接される部分は、 アルカリ水溶液22と接触することから、カソード23に使用される金属と溶接 に使用する金属とが異なる場合は、両者の間で電池反応が生じ、溶接部分が腐食 される場合がある。これを防ぐために、金属で溶接するのではなく、耐アルカリ 性を有する高分子樹脂を用いてシールすることがより好ましい。これにより、カ ソード23と電解槽21の側壁の間をシールすることができる。
【0025】 この高分子樹脂としては、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム 、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR) 、アクリルゴム、ポリエーテルウレタンゴム、ポリエステル−ウレタンゴム等が あげられる。また、上記シール部材の形状としては、特に限定されるものではな いが、例えばOリング等をあげることができる。
【0026】 上記シール部材は、電解槽21の電気分解部のうちカソード23が貫通するカ ソード穴39に装着すればよい。また、このカソード穴39に直接シール部材を 設けにくい場合は、図3や図5に示すように、カソード穴39の外面に、カソー ド23が貫通すると共に、シール部材29を装着できるシール補助部材28を設 けることができる。このシール部材29をシール補助部材28に装着すると共に 、このシール部材29が電解槽21の側壁のカソード穴39円周部と密着するよ うにシール補助部材28を電解槽21側壁に設置することにより、シール部材2 9によるカソード23と電解槽21側壁との間のシールを容易に実現することが でき、また、シール部材29の取付けが容易となる。
【0027】 上記電解槽21の材料としては、後述するように、電解槽21自体をアノード とする場合は後述の金属が用いられるが、金属を用いない場合は、アルカリ水溶 液22に耐性を有する材料であれば特に限定されない。このような例として、ポ リプロピレン樹脂やポリ塩化ビニル樹脂等の合成樹脂があげられる。
【0028】 上記アルカリ水溶液22は、アルカリ金属水酸化物の水溶液である。このアル カリ金属水酸化物としては、特に限定されるものではなく、水酸化ナトリウム、 水酸化カリウム等の任意のものを使用できる。また、アルカリ水溶液22中のア ルカリ金属水酸化物の濃度は、特に限定されるものではなく、水の電気分解によ り発生させる水素の量に合わせて調整すればよい。なお、電気分解されるのは水 であることから、アルカリ金属水酸化物は残存する。このため、水供給口37か らイオン交換水等の水を供給すれば、アルカリ水溶液22の濃度は一定に保たれ る。
【0029】 上記アノード24は、金属製であり、電解槽21又はその内部に設けられる。 電解槽21自体を金属製とすれば、内部に特に別のアノードを設けなくてもよい 。ただ、電解槽21の底面をも金属製とすると、ここから発生した酸素が浮上す る際にカソードと接触する場合が生じやすく、カソードの水素吸蔵機能を阻害さ せることがある。このため、電解槽21自体をアノードとする場合は、底面以外 の部分、例えば、両側面や両端面を金属製にすることが好ましい。
【0030】 また、電解槽21と共に、又は電解槽21とは別に、その内部にアノード24 を設けてもよい。電解槽21内部へのアノード24の配置方法は、任意の方法を 採用することができるが、水の電気分解反応時に発生する酸素が浮上する際に、 カソード23と接触するのを防ぐため、アノード24の上方にカソード23が配 置されないようにすることが好ましい。例えば、図4に示すように、カソード2 3のパイプを所定間隔に縦横に並べ、アノード24の板を垂直にたてて、カソー ド23のパイプの間に介在させ、カソード23のパイプの縦列とアノード24の 板を交互に配列することができる。このとき、全てのアノード24をアノード連 絡棒26で連結し、その一端を電解槽21から外部に突出させれば、この突出部 分を電源の陽極と接続しうる端子27として取り扱うことができる。
【0031】 このように、カソード23を縦横に並べると共にアノード板24をカソード2 3間に垂直にたてて、アノード板24とカソード23を交互に配列すると、カソ ード23が水素吸蔵により生じる熱で曲がっても、曲がる方向は鉛直方向となる ため、アノード板24とカソード23の距離に変化は生じない。このため、カソ ード23が熱で曲がってもカソード23の部位による水素発生量の偏りが生ぜず 、局部的な水素吸蔵の増大によるカソード23の割れが生じにくく、微粉化して カソードに穴があくことを防止できる。
【0032】 アノード24に使用される金属としては、特に限定されるものではなく、ニッ ケル等を例としてあげることができる。
【0033】 上記カソード23は、水素吸蔵性の金属からなり、パイプ状である。このカソ ード23の所定本数が電解槽21の底部付近、すなわち、上記電気分解部にそれ ぞれ配置されており、カソード23の両端は、電解槽21の側壁を貫通させて電 解槽21外部に設けられた水素回収部25、25’に連通される。カソード23 の配置は、電解槽21の側壁を貫通させれば特に限定されないが、例えば、水平 に配することができ、また、必要に応じて電解槽21の底面に対して所定の角度 を有して配してもよい。
【0034】 上記水素吸蔵性金属としては、水素吸蔵機能を有すれば特に限定されるもので はなく、例えば、パラジウム等をあげることができる。また、上記水素吸蔵性金 属の純度は、100%が最も好ましいが、これに限られる必要はなく、水素吸蔵 機能に影響を与えなければ、不純物が含まれていてもよい。水素吸蔵機能の点か ら、上記水素吸蔵性金属の含有量は60%以上が好ましく、85%以上がより好 ましい。
【0035】 上記カソード23の電解槽21を貫通して外部に突き出た端部に、金属製の端 子引き出し板31が設けられる。この端子引き出し板31の側面には、端子32 が設けられており、ここに電源の陰極と接続される。
【0036】 上記各カソード23の電解槽21を貫通して外部に突き出た両端縁は、図3又 は図5に記載のように、水素回収部25、25’に連通している。電気分解で発 生した水素は、カソード23に吸蔵され、パイプの中空部に放出されて、この水 素回収部25、25’に集められる。水素回収部25、25’に集められた水素 は、ここから外部に導出される。
【0037】 この水素回収部25、25’は、各カソード23の両端縁が配されるように配 置すれば、その配置方法については特にされるものではないが、例えば、図3や 図5に示すように、電解槽21の側壁に接して設けてもよい。
【0038】 端子引き出し板31及び水素回収部25を電解槽21の側壁に接して設けた場 合の例として、図3や図5に示す構成があげられる。これは、電解槽21のシー ル補助部材28に接して端子引き出し板31を設け、そして、この端子引き出し 板31に接して水素回収部25を設けたものである。シール補助部材28と端子 引き出し板31はOリング等のシール部材41によって両者間をシールすると共 に、カソード23を支持しており、また、端子引き出し板31と水素回収部25 、25’の水素回収部材33、33’とはシール部材34や41によってシール されて、回収された水素の漏れを防止する。
【0039】 電解槽21のシール補助部材28、端子引き出し部材31、水素回収部材33 又は33’、及びシール部材29、41、34を電解槽21の側壁に直接取り付 ける場合は、図6に示すように、各部品を所定の配列に並べ、ビスによって一体 的に電解槽21の側壁に接合することができる。このようにすれば、各部品が単 独で移動することが防止され、カソード23の損傷を防ぐことができる。また、 各部品に設けられるカソード23貫通穴も、カソード23の動きに合わせて必要 以上に大きくする必要がなくなり、シールも容易となる。
【0040】 また、水素回収部材33、33’に設けられる凹部、すなわち、水素を回収す る部分の大きさも、カソード23の配置にあわせて小さくすることができるので 、水素回収部25全体の大きさも、コンパクト化することができる。
【0041】 上記水素回収部25には、回収した水素を電解セルの外部へ導出するためのジ ョイント部35が設けられている。また、水素回収部25’は、他方の水素回収 部25で、水素を外部へ導出することができることから、水素を外部へ導出する ためのジョイント部は設けられていない。この水素回収部25’から水素を外部 へ導出する場合は、水素回収部25と同様のジョイント部を設ければよい。
【0042】 カソード23の両端部のシール部材が配される部分は、シール部材による圧力 で変形が生じる場合がある。これを防ぐため、図3や図5に示すように、シール 部材29、32、34等が配される部分のカソード23のパイプの中空部に真鍮 等の保護管42を挿入してもよい。
【0043】 次に、この水素発生用電解セルを用いた水の加水分解反応を説明する。
【0044】 まず、電解槽21内にアルカリ水溶液を注入し、端子32に電源の陰極をつな いで、端子27に電源の陰極をつなぐ。次いで、電源を入れる。電気が流れると 、アノード24から酸素が発生する。この酸素はアルカリ水溶液内を浮上し、電 解槽21の上面部付近の気相部40に達する。そして、酸素排出口38より導出 され、大気に拡散する。
【0045】 また、カソード23の外周面に水素が発生する。この水素はカソード23に吸 蔵され、カソード23の中空部に放出される。そして、水素回収部25に誘導さ れる。その後、ジョイント部35を経由して電解槽21外部に導出される。
【0046】 カソード23に使用される水素吸蔵性金属は、水素のみを吸蔵し、他の気体や 液体を吸蔵しない性質を有する。このため、得られる水素ガスは高純度となり、 分析機器用等の高純度の水素を要求する機器に使用することができる。
【0047】
【実施例】
水素発生用電解セルとして、図1〜図4に記載のセルを使用した。すなわち、 ポリプロピレン製の電解槽21の内部に、パラジウム金属製のパルプからなるカ ソード23を縦3列、横3列配置し、ニッケル板からなるアノード24を電解槽 21の両側面内側に沿わせると共に、カソード23間に垂直にたてて配置し、電 解槽21内部に水酸化ナトリウム水溶液を所定量挿入した。また、シール部材2 9として、エチレン−プロピレンゴム製のOリングを使用してシールした。さら に、穴36から水面検知器を差し込み、水供給口37に水供給装置をつないで、 電解槽21内の水量を一定に保持した。
【0048】 水の電気分解反応は、端子32に電源の陰極をつないで、端子27に電源の陽 極をつないで行った。なお、水の電気分解における詳細条件は、次の通りである 。 電圧 :2.6〜2.9V 直流電流:30A 水酸化ナトリウム水溶液:NaOH/H2 O=10g/1リットル 使用パラジウムパルプ:φ3mm×200mm、9本 電気分解時間:2年 発生した水素はジョイント部35から取り出し、発生量を測定した。水素発生 量は、220cc/minであった。約1年経過後、水素発生量が200cc/ minに低下した。これは、水酸化ナトリウムが空気中の二酸化炭素と反応し、 水酸化ナトリウム水溶液の濃度が低下したためであると考えられる。
【0049】
【考案の効果】
この考案によれば、カソードとなる水素吸蔵性の金属からなるパイプを電解槽 底部付近に、その両端が電解槽の両側壁を貫通するように配置したので、このカ ソード全体が完全にアルカリ水溶液中に浸漬される。このため、このパイプを酸 素から遮断することができるので、カソード全体を有効に使用することができる 。
【0050】 また、カソードを溶接によって電解槽側壁部分と接合せず、シール部材によっ てシールしながら保持した場合は、アルカリ水溶液との接触による溶接の腐食や 、溶接部に生じる漏れを防止することができる。さらに、カソード管の1本が破 損した場合でも、カソード管全体を交換するのではなく、破損した1本のカソー ド管のみの交換で、継続的に使用することが出来る。
【0051】 さらにまた、カソードを縦横に並べると共にアノード板をカソード間に垂直に たてて、アノード板とカソードを交互に配列した場合、カソードが水素吸蔵によ り生じる熱で曲がっても、曲がる方向は鉛直方向となるため、アノード板とカソ ードの距離に変化は生じない。このため、カソードが熱で曲がってもカソードの 部位による水素発生量の偏りが生じず、局部的な水素吸蔵によるカソードの微粉 化によりカソードに穴が開くことを防止できる。
【0052】 また、この電解槽は、電気分解部と水タンク部を一体化させたので、水供給タ ンクを含めた水素発生電解セルとして、余分な配管等を省略することができると 共に、水素発生電解セル全体をコンパクトにすることができる。従って、これに 電源等の必要な装置を装備した水素発生装置全体としても、コンパクトにまとめ ることができる。このため、分析機器に隣接して設置したときでも、場所を取ら ず、分析機器全体としてコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案にかかる水素発生用電解セルの例を示
す斜視図
【図2】図1の一部切欠縦断面図
【図3】図1の縦断正面図
【図4】図1の縦断側面図
【図5】図3の一部拡大断面図
【図6】この考案にかかる水素発生用電解セルのシール
補助部材及び水素回収部の例を示す分解斜視図
【図7】従来の水素発生用電解セルを示す斜視図
【図8】図7の縦断面図
【符号の説明】
1 電解槽 2 蓋 3 端子 4 カソード 5 シール部材 6 シール部材 7 カソード支持板 8 端子 9 アルカリ水溶液 10 水素回収部 11 水素排出口 12 気相部 13 酸素排出口 14 水注入口 15 溶接部 16 溶接部 21 電解槽 22 アルカリ水溶液 23 カソード 24 アノード 25、25’ 水素回収部 26 アノード連結棒 27 端子 28 シール補助部材 29 シール部材 31 端子引き出し板 32 端子 33、33’ 水素回収部材 34 シール部材 35 ジョイント部 36 穴 37 水供給口 38 酸素排出口 39 カソード穴 40 気相部 41 シール部材 42 保護管

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解槽内部にアルカリ水溶液、及び電源
    の陰極と接続される水素吸蔵性金属からなる電極、並び
    に、電解槽又はその内部に電源の陽極と接続される金属
    製電極を有する水素発生用電解セルにおいて、 上記の電源の陰極と接続される電極はパイプ状であり、
    この電極の所定本数を上記電解槽の底部付近にそれぞれ
    配置し、上記電極の両端を上記電解槽の側壁を貫通させ
    て上記電解槽外部に設けられた水素回収部に連通してな
    る水素発生用電解セル。
  2. 【請求項2】 上記電源の陰極と接続される電極が貫通
    する上記電解槽の側壁部分に耐アルカリ性の高分子樹脂
    からなるOリングを装着することにより、上記電極と上
    記側壁の間をシールする請求項1に記載の水素発生用電
    解セル。
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JPH04128657U (ja) * 1991-05-17 1992-11-24 フランスベツド株式会社 マツトレス装置
JPH0515874U (ja) * 1991-08-15 1993-03-02 日本用品株式会社 シユラフ構成材
JPH063153U (ja) * 1992-06-26 1994-01-18 西川産業株式会社 マットレス
WO2005052215A1 (ja) * 2003-11-25 2005-06-09 Japan Science & Technology Agency 電気化学セル用電極及び電気化学セル
KR100901507B1 (ko) * 2007-08-27 2009-06-08 삼성전기주식회사 수소 발생 장치 및 연료전지 발전 시스템

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