JP3039292U - 水素・酸素混合ガスに炭化水素系添加物を使用した焼却・溶融炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】二酸化炭素排出抑制と共に地球温暖化や酸性雨
等の環境問題の解決に役立たせる水素・酸素混合ガスを
使用し、高温によるダイオキシンの発生を抑制できる燃
焼雰囲気を作りだす焼却・溶融炉を提供する。 【解決手段】焼却炉および灰溶融炉での燃焼手段とし
て、電解セル１２内で脱イオン水を電気分解して水素２
部と酸素１部の割合の水素・酸素混合ガスを発生させる
水素・酸素混合ガス発生装置８に炭化水素系添加物を使
用する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、例えば都市ゴミ等を焼却し、またその焼却灰を溶解するために水素 と酸素との混合ガスに炭化水素系添加物を使用した焼却・溶融炉に関するもので ある。

【０００２】

【従来の技術】

従来から、この種の焼却・溶融炉としてはＮＬＧまたはＬＰＧ等の燃料と純酸 素を使用した燃焼バ−ナによりゴミ焼却灰を高温溶解する方式や、ゴミ焼却灰に 対して重量比で１０％乃至２５％の無水炭酸ナトリウムを添加させ、燃料と酸素 濃度が５０％以上の純酸素を使用した燃焼バ−ナによって溶解物の表面温度を１ ５００度乃至１７００度の高温で溶融する方式がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら上記した両方式では、限りある高価な燃料を絶えずボンベに貯蔵 維持しておきながら使用するので経済性とメンテナンスの面で問題があり、また 一酸化炭素・炭化水素類の毒性ガスを発生させるという問題点を有していた。

【０００４】 そこで本考案は、上記した問題点に鑑み創出なされたものであり、自然界の水 を原料とし且つ燃焼により原料である水に復帰させるという理想的なサイクルを 有し、水の電気分解を利用した工業的ベ−スのガス、エネルギ−を発生させる無 公害クリ−ンな燃料ガスとして二酸化炭素排出抑制と共に地球温暖化や酸性雨等 の環境問題の解決に役立たせる水素・酸素混合ガスを使用し、ダイオキシンの発 生を高温によって抑制できる燃焼雰囲気を作りだす焼却・溶融炉を提供すること を目的としたものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上述した目的を達成するため、本考案にあっては、ゴミを高温熱処理する焼却 炉および該焼却炉で焼却処理したゴミ焼却灰を溶解する灰溶融炉において、該焼 却炉および灰溶融炉での燃焼手段として、電解セル内で脱イオン水を電気分解し て水素２部と酸素１部の割合の水素・酸素混合ガスを発生させる水素・酸素混合 ガス発生手段を使用し、この水素・酸素混合ガス発生手段に炭化水素系添加物を 使用したことを特徴とする。

【０００６】 また、前記焼却炉から焼却灰が投入される灰溶融炉の燃焼室内底部は、該燃焼 室内底部で水平スライドする灰押込み棒により灰を階段に沿ってスラグ排出側へ 順次落とし込むようにステップ形状に形成され、該燃焼内底部の各ステップの複 数段に亙り両サイドから水平内方へ向けて前記水素・酸素混合ガス発生手段の混 合ガス噴出用火口を対向配置したことを特徴とする。

【０００７】 さらに、前記混合ガス噴出用火口を各ステップの両サイドに夫々１対計６個設 けたり、また、前記水素・酸素混合ガス発生手段には、混合ガス燃焼前に炭化水 素系有機溶剤を通過させ、一定圧力内で一定量の炭化水素を気化混入させる高カ ロリ−化のための添加剤ボトルを配したことを特徴とする。

【０００８】 本考案に係る水素・酸素混合ガスを使用した焼却・溶融炉にあって、水素・酸 素混合ガス発生手段は、脱イオン水を電気分解することにより水素と酸素を分離 するプロセスを連続的に行なわせ、水素２、酸素１の割合で製造される混合ガス は燃焼にとって理想的な混合比であり、火炎は完全な中性炎となる。また、この 混合ガスに燃焼前に例えばヘキサン、トルエン等の有機溶剤を通過させる（バブ リング）ことにより、一定圧力内で一定量の炭化水素を気化混入させ燃焼させれ ば、アセチレン、ＬＰＧ等の燃料に類似した種々の性質の炎を発生させることが 可能となり、従来の純酸素方式の燃焼バ−ナ方式と同様な火炎を作ることができ る。燃焼内底部の各ステップに応じた両サイドから水平内方へ向けて対向配置し た水素・酸素混合ガス発生手段の混合ガス噴出用火口により、燃焼灰は上段から 下段にかけて自重に任せて流動して行くのに伴い、各ステップ毎に順次高温加熱 処理されるので熱伝導効率が向上する。

【０００９】

【考案の実施の形態】

以下、図面を参照して本考案の実施の一形態を説明するに、図において示され る符号１は、例えば都市ゴミ等を焼却しその焼却灰を溶解するための灰溶融炉で あり、該灰溶融炉１は、図１、図２に示すように有底の円筒状の容器に形成され 、その上部にはゴミ焼却炉の焼却灰排出口（図示せず）に通じる焼却灰投入口２ を設け、底部には内部に蓄積積載された焼却灰Ｐを円筒状の容器の下部側壁に連 設した階段状底面部３を有する灰溶融室４側へ順次押し落とすための灰押込み棒 ５を水平方向にスライド自在に設け、さらに階段状底面部３の最下段側にはスラ グ排出部６が設けられている。また、灰溶融室４の上部にはガス排気口７が設け られている。そして、前記階段状底面部３の各ステップに応じた両サイドには水 平内方へ向けて水素・酸素混合ガス発生装置８に接続された一対の混合ガス噴出 用火口９を各ステップ毎に順次高温加熱処理できるように例えば上段、中段、下 段に夫々１対ずつ相対峙するように計６本が配置されている。

【００１０】 この水素・酸素混合ガス発生装置８は、図３に示すように、水道水中の塩素イ オン等の無機イオンを含む不純物を除去する純水器１０と、後述する電解セルの フロ−トスイッチからの信号によりセルへの給水を自動的に行なわせる自動給水 ポンプ１１と、ガス発生の原料となる水酸化カリウム水溶液が入っており、ここ で電気分解が行なわれアクアガス（水素・酸素混合ガス）を発生させる電解セル １２と、前記電解セル１２で発生したガスが含んでいるアルカリ分を除去すると 同時に、発生したガスを一度安定させ、除湿・不純物除去の役目をし、さらに圧 力スイッチ、圧力警報機、破裂弁を設けたガス精製装置１３と、ガスの使用圧力 を約１ｋｇｆ／ｃｍ2に調整する減圧弁１４と、バックファイヤ−が起こった場 合に装置まで戻るのを防止する水封式安全器１５と、水素・酸素混合ガスをヘキ サン・トルエン等の有機溶剤に通して（バブリング）全熱量（カロリ−）を高め ると同時に燃焼速度を落とし、バックファイヤ−を起こりにくくするための添加 剤ボトル１６と、追加酸素の必要な場合に完全なボンベレスで作動できる酸素発 生機１７（３００〜６００リットル／Ｈ）とから構成されており、全構成要素は 可搬性のあるコンパクトなユニット製品とされている。そして、前記混合ガス噴 出用火口９はこの添加剤ボトル１６および酸素発生機１７に個別に接続されてい る。このように、本考案の特徴は、ゴミを高温熱処理する焼却炉および該焼却炉 で焼却処理したゴミ焼却灰を溶解する灰溶融炉において、該焼却炉および灰溶融 炉での燃焼手段として、電解セル１２内で脱イオン水を電気分解して水素２部と 酸素１部の割合のクリ−ンで安定した水素・酸素混合ガスを発生させる水素・酸 素混合ガス発生装置８を利用し、この水素力と酸素力でもって燃焼効果を高めた 点にある。尚、クリ−ンガス製造圧力は２.８ｋｇ／ｃｍ2を上限としてあり、生 成したガスを溜めないために高圧ガス取締法の適用を受けないようにされている 。

【００１１】 尚、図示による説明を省略するが、この水素・酸素混合ガス発生装置８をゴミ 焼却炉の燃焼手段として利用することも勿論可能である。

【００１２】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案は、焼却炉および灰溶融炉での燃焼手段として、 電解セル内で脱イオン水を電気分解して水素２部と酸素１部の割合の水素・酸素 混合ガスを発生させる水素・酸素混合ガス発生手段を使用したので、無尽蔵にあ る純水だけでもって一定の混合比でガス成分にバラツキのない安定した無公害な クリ−ンガスを燃焼手段として使用でき、ダイオキシンの発生を抑制できるクリ −ンで経済性に富んだ燃焼雰囲気を作りだし、高温によるダイオキシンの分解お よび消滅を一層促進させることができる。また、クリ−ンガス製造のランニング コストの大幅な節減が図れる。

【００１３】 また、焼却炉から焼却灰が投入される灰溶融炉の燃焼室内底部は、該燃焼室内 底部で水平スライドする灰押込み棒により灰を階段に沿ってスラグ排出側へ順次 落とし込むようにステップ形状に形成され、該燃焼内底部の各ステップに応じた 両サイドから水平内方へ向けて前記水素・酸素混合ガス発生手段の混合ガス噴出 用火口を対向配置したので、燃焼灰は上段から下段にかけて自重に任せて流動し て行き、各ステップ毎に高温加熱処理されるので熱伝導効率が向上する。また、 高温完全燃焼によるＣＯ発生の抑制と、ダイオキシンの分解と同時にゴミ焼却灰 のガラス状の溶解を容易に行なうことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施の形態を示した焼却灰溶融炉の概
略断面図である。

【図２】同じく焼却灰溶融炉の概略平面図である。

【図３】同じく水素・酸素混合ガス発生装置の過程ブロ
ック図である。

【符号の説明】

１…灰溶融炉 ２…焼却灰投入口 ３…階段状底面部 ４…灰溶融室 ５…灰押込み棒 ６…スラグ排出部 ７…ガス排気口 ８…水素・酸素混合ガス発生
装置 ９…混合ガス噴出用火口 １０…純水器 １１…自動給水ポンプ １２…電解セル １３…ガス精製装置 １４…減圧弁 １５…水封式安全器 １６…添加剤ボトル １７…酸素発生機

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【手続補正書】

【提出日】平成９年２月６日

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】請求項２

【補正方法】変更

【補正内容】

フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ０９Ｂ 3/00 ３０３Ｌ

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ゴミを高温熱処理する焼却炉および該焼
   却炉で焼却処理したゴミ焼却灰を溶解する灰溶融炉にお
   いて、該焼却炉および灰溶融炉での燃焼手段として、電
   解セル内で脱イオン水を電気分解して水素２部と酸素１
   部の割合の水素・酸素混合ガスを発生させる水素・酸素
   混合ガス発生手段を使用し、この水素・酸素混合ガス発
   生手段に炭化水素系添加物を使用したことを特徴とする
   水素・酸素混合ガスに炭化水素系添加物を使用した焼却
   ・溶融炉。
2. 【請求項２】 前記焼却炉から焼却灰が投入される灰溶
   融炉の燃焼室内底部は、該燃焼室内底部で水平スライド
   する灰押込み棒により灰を階段に沿ってスラグ排出側へ
   順次落とし込むようにステップ形状に形成され、該燃焼
   内底部の各ステップの複数段に亙り両サイドから水平内
   方へ向けて前記水素・酸素混合ガス発生手段の混合ガス
   噴出用火口を対向配置したことを特徴とする請求項１記
   載の水素・酸素混合ガスに炭化水素系添加物を使用した
   焼却・溶融炉。
3. 【請求項３】 前記混合ガス噴出用火口を各ステップの
   両サイドに夫々１対計６個設けたことを特徴とする請求
   項１または２記載の水素・酸素混合ガスに炭化水素系添
   加物を使用した焼却・溶融炉。
4. 【請求項４】 前記水素・酸素混合ガス発生手段には、
   混合ガス燃焼前に炭化水素系有機溶剤を通過させ、一定
   圧力内で一定量の炭化水素を気化混入させる高カロリ−
   化のための添加剤ボトルを配したことを特徴とする請求
   項１乃至３いずれか記載の水素・酸素混合ガス水素・酸
   素混合ガスに炭化水素系添加物を使用した焼却・溶融
   炉。