JP3038928B2 - 保存温度管理用インディケーター - Google Patents

保存温度管理用インディケーター

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JP3038928B2
JP3038928B2 JP2416231A JP41623190A JP3038928B2 JP 3038928 B2 JP3038928 B2 JP 3038928B2 JP 2416231 A JP2416231 A JP 2416231A JP 41623190 A JP41623190 A JP 41623190A JP 3038928 B2 JP3038928 B2 JP 3038928B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は保存温度管理用インディ
ケーターに関する。さらに詳細には、保存温度が定めら
れているものに対して温度管理が適性に行われていたか
否かを判別する際に用いられる保存温度管理用インディ
ケーターに関する。
【0002】
【従来の技術】医薬品、食料品、化学製品等において
は、保存中の温度変化による成分の変質、物理的性状の
変化等の問題を回避するため、製品の保存温度が限定さ
れている例が多くみられ、例えば、医薬品としては非経
口輸液剤としての脂肪乳化製剤、酵素製剤等、食料品と
しては冷凍食品、生菓子、食肉、鮮魚等、化学製品とし
てはフィルム、酵素試薬等が挙げられる。これらの製品
は、例えば、保存温度が所定の温度よりも高温状態で保
存された場合、成分の分解、劣化、化学的副反応、着色
等の化学的変化、乳化製品における乳化粒子の崩壊・粗
大化等の物理的変化、食料品においては細菌の増殖によ
る腐敗等の問題を惹起する。そこで、このような問題を
生じ易い製品にあっては、低温で保存し、また輸送する
ことが行われている。
【0003】上記の各種製品中、脂肪乳化製剤は、経口
的に栄養補給の困難な患者に対して非経口的に栄養補給
を行う製剤で、非経口輸液剤として広く使用され、当該
脂肪乳化製剤は、通常、患者へ点滴静注されるため、毛
細血管でのつまりや凝集を防止する必要性から、脂肪粒
子の直径は小さい方が好ましいとされている。このよう
な脂肪乳化製剤は、30〜37℃の高温に放置された場
合、経時的に粒子の崩壊・粗大化、脂肪酸の遊離等が起
り、患者への投与時において予期せぬ副作用の原因とな
る。そのため、脂肪乳化製剤の保存は遮光条件下、25
℃以下とするように規定されている。また、脂肪乳化製
剤は、高温で劣化するのみならず、氷結温度以下で保存
した場合にも品質の劣化が生ずる。即ち、脂肪乳化製剤
が氷結温度以下の条件下に放置された場合、脂肪乳化製
剤中の氷が氷結し、乳化粒子に強い圧力を及して乳化粒
子の破壊・合一下が起る。そのため、一度氷結した脂肪
乳化製剤は、再溶解された際に乳化粒子の粗大化が生
じ、高温で保存されたときと同様に医薬品として使用で
きないものとなる。特に、粒子の粗大化は外観上判別困
難であるため、高温保存又は氷結−再溶解された製品の
使用を防止する必要上、厳格な温度管理が要求される。
【0004】また、市場に流通される製品に限らず、例
えば、医薬品の製造原料として使用される血液、血漿、
尿、動物臓器等においても、保存中の分解、劣化等を防
止するために保存温度の管理が必要であり、通常、凍結
又は低温にて輸送・保存されている。このように保存温
度が定められているものにおいては保存温度の管理は極
めて重要であり、通常、保存温度管理用インディケータ
ーを用いて保存中の温度管理が適性に行われていたか否
かの判別がなされている。
【0005】前述のような温度管理に使用されるインデ
ィケーターとしては、通常、容器内に、それまでに受け
た熱的経過を表示し得る熱履歴表示部材を収容してなる
インディケーターが用いられる。このようなインディケ
ーターに使用される熱履歴表示部材としては種々の材料
が用いられるが、例えば、保存温度が所定温度以上とな
っていたことを示す高温用表示部材としては、主として
(1) 質保全の許容上限温度である設定温度を越えた時に
発色させて知らしめるもの;(2) 温度によって可溶性が
変化する物質(脂溶性色素等)を設定温度以上に達した
時に拡散させることによって表示するもの等が挙げられ
る。また、保存温度が氷結温度以下のような低温となっ
ていたことを示す低温用表示部材としては、(3) 氷結に
より色素が分離し、発色して知らしめるもの等が挙げら
れる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記
(1) はたとえば濾紙等を用いてこれが発色するように構
成されており、(2) はたとえば色素層中の色素が拡散層
内に拡散するように構成されており、また(3) はたとえ
ば乳化した親油性色素を用い、氷結により乳化粒子が崩
壊し、色素が分離するように構成されており、これら構
成から明らかなように、従来の熱履歴表示部材は、一度
設定温度範囲外を指示すれば、すなわち発色や拡散が起
これば再使用不可能となり、このようなを熱履歴表示部
材を用いた保存温度管理用インディケーターは使用後廃
棄される使い捨てのものであった。また、従来の熱履歴
表示部材は、設定温度での発色や拡散の調整が面倒で、
そのためインディケーターの製造が容易ではなく、コス
トが高くなる。さらに、従来の熱履歴表示材料は、例え
ば、湿度、振動等により影響を受け易く、信頼性に欠け
る面があり、またそれを長期保存することも困難であっ
た。本発明は上記種々の問題点に鑑みてなされたもの
で、本発明は、調製が容易であると共に再使用可能で、
信頼性が高く、保存も簡単に行うことができる保存温度
管理用インディケーターを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決すべく
なされた本発明の保存温度管理用インディケーターは、
容器内に熱履歴表示部材を収容してなる保存温度管理用
インディケーターにおいて、容器内に少なくとも2つの
ゲル化層が積層形成され、当該容器内に、所定温度を境
として変形−復元を繰り返す二方向形状記憶合金をゲル
化層界面と形状記憶合金の変形部とが対応するように収
容してなること特徴とする。上記の構成からなる本発明
は、形状記憶合金の温度−変形特性を利用したもので、
品質保全の許容限界温度である設定温度にて変形するよ
うに設計された形状記憶合金を用い、製品等が設定温度
外の条件下にさらされると、形状記憶合金が変形するの
で、ゲル化層界面の変形の有無を観察することにより、
保存温度管理が適性に行われていたか否かの判別を行う
ことができる。
【0008】形状記憶合金は、低温側で受けた変形が温
度を上昇させることにより変形前のもとの形状に戻る形
状記憶効果を有することが知られている。形状記憶効果
は温度の上昇或いは降下に従って、マルテンサイト相が
連続的に消滅したり出現する現象に基づいている。即
ち、安定な母相を冷却することによって生じたマルテン
サイト相に外部応力を加えると、結晶が母相の結晶格子
と対応しながら順々に向きを変える双晶変形により変形
がまかなわれる。そのため、変形の前後においても結晶
間のつながりが保たれており、マルテンサイト状態で変
形された該合金を加熱すると逆変態がおこり、母相に戻
るが、結晶間のつながりが保たれているので、該合金も
元の形状に戻ってひずみが解消する。
【0009】このような特性を有する形状記憶合金とし
ては、例えば、Ti−Ni系合金、銅系合金(例えば、
銅−亜鉛合金、銅−亜鉛−アルミニウム合金、銅−金−
亜鉛合金、銅−アルミニウム−ニッケル合金等)、Ni
−Al系合金、In−Tl系合金等が挙げられる。特
に、再現性のよいこと、変態温度の調整が容易であるこ
とから、Ti−Ni系合金、銅系合金が好ましい。前記
のように、形状記憶効果は熱弾性型マルテンサイト変態
により生ずるものであるから、変態温度は合金組成を変
化させることにより容易に調整することができる。従っ
て、所定の設定温度で変形する形状記憶合金の調製は、
合金組成を変え、マルテンサイト変態温度を変えること
により行うことができる。
【0010】また、形状記憶合金には、外力により生じ
た変形が加熱により元の形状に復元して機能が終了する
一方向形状記憶合金の他に、加熱−冷却の温度変化で自
発的に変形−復元を繰り返して行う二方向形状記憶合金
(可逆形状記憶合金とも称される)が知られており、こ
の可逆性はたとえば冷却時のマルテンサイト生成に方向
性を付与することにより行うことができる。
【0011】熱履歴表示部材として形状記憶合金を用い
る保存温度管理用インディケーターにおいて、当該形状
記憶合金としては上記の一方向形状記憶合金及び二方向
形状記憶合金の何れも使用することができる。これらの
形状記憶合金は所定の設定温度を感知して変形するが、
設定温度を感知してから変形するまでの時間の調整は合
金種を適宜選択することなどにより行うことができる。
特に、所定の設定温度にて任意な一定時間を経過した後
に変形する性質を有するものが好ましい。また、形状記
憶合金の変形は、温度上昇による記憶形状の復元に基づ
く変形のみならず、例えば、荷重の存在下、強度の高い
母相を冷却して強度の低いマルテンサイト相を生成する
際の変形、二方向形状記憶合金の加熱−冷却の温度変化
により自発的に生ずる変形等を用いることができる。
【0012】熱履歴表示部材として形状記憶合金を用い
る保存温度管理用インディケーターにおいて、設定温度
外の条件下にさらされて生ずる形状記憶合金の変形は直
接又は他の部材を介する何れの手段でも観察することが
できる。形状記憶合金の変形を直接的に観察する態様の
好ましい例としては、例えば、容器内に、所定の設定温
度で変形する一方向形状記憶合金を収容してなるインデ
ィケーターが挙げられる。上記のインディケーターにお
いて、容器内に形状記憶合金を収容する態様としては種
々の態様を採用することができる。例えば、有底容器内
に、マルテンサイト状態で変形させた一方向形状記憶合
金を収容し、必要に応じて蓋体にて密封したもの;蓋体
内側面に、マルテンサイト状態で変形させた一方向形状
記憶合金を固定化し、容器内に形状記憶合金が吊設され
るように蓋体を冠着して収容したもの等が挙げられる。
この際、適当な溶媒を封入し、この溶媒の特性(例え
ば、熱伝導度、比熱等)を変えることにより、復元時間
(変形時間)を調整することも可能である。溶媒として
は、形状記憶合金と化学反応を起こさないものであれば
何れのものも使用することができる。これらの例におい
ては、使用する形状記憶合金の母相への変態温度を所定
の設定温度に調整することにより、設定温度以上の条件
下にさらされた場合、形状記憶合金が記憶形状に復元す
るので、形状記憶合金の変形の有無により保存温度管理
の適否が判別できる。この例において使用される容器の
形状は特に制限されず、円柱状、四角柱状等適宜な形状
のものを使用することができる。さらに、容器の材質も
特に制限されず、ガラス、プラスチック等を用いること
ができるが、形状記憶合金の変形を容易に確認できるよ
うに、容器の一部に切欠部を設けるか、又は容器の一
部、好ましくは全部を透明とするのがよい。
【0013】また、熱履歴表示部材として形状記憶合金
を用いる保存温度管理用インディケーターにおいて、形
状記憶合金の変形を他の部材を介して観察する態様とし
ては、形状記憶合金の変形を他の部材の変形、発色、変
色等により記録、保存等して観察する手段が挙げられ、
形状記憶合金の変形態様と他の部材との組合せにより種
々の態様が採用し得る。本発明の保存温度管理用インデ
ィケーターは係る形状記憶合金の変形を他の部材を介し
て観察する態様の一種であり、容器内に少なくとも2つ
のゲル化層が積層形成され、当該容器内に、所定温度を
境として変形−復元を繰り返す二方向形状記憶合金をゲ
ル化層界面と形状記憶合金の変形部とが対応するように
収容してなるインディケーターである。上記のインディ
ケーターにおいては、所定の設定温度を境として自発的
に変形−復元を繰り返す二方向性形状記憶合金が用いら
れているので、設定温度外の条件下にさらされると形状
記憶合金が変形又は復元し、その動きによりゲル下層界
面が乱れるので、その乱れの有無により、保存温度管理
の適否を判別することができる。
【0014】本発明の保存温度管理用インディケーター
は、温度管理を要する医薬品及びその原料、食料品、化
学製品等、特に前記の脂肪乳化製剤のような厳格な温度
管理が要求される製品に同封された状態で使用され、収
容された形状記憶合金の変形により高温状態又は氷結状
態を経たことによる製品等の不良化を検知することがで
きる。
【0015】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。図1は形状記憶合金を使用した保存温度管理
用インディケーターの一例(高温用)を示す参考図で、
図1(a) は正面図、同図(b) は側面図、同図(c) は所定
の設定温度以上の条件下にさらされた後のインディケー
ターの正面図、同図(d) は(c) のI−I線断面図を示
す。図1に示されるインディケーターは、透明な容器
1、容器1の開口部に冠着された蓋体3及び容器1内に
収容された形状記憶合金2とからなる。容器1内に収容
されている形状記憶合金2は、幅狭板状の一方向形状記
憶合金を長さ方向の略中央部で折り曲げたヘヤピン状を
なし、この形状記憶合金2は同図(c) の形状記憶合金
2′に示されるV字型の形状を記憶しており、また形状
記憶合金2は当該V字型の形状記憶合金2′を冷却して
マルテンサイト相とした後、外力によりヘヤピン状に形
成したものである。形状記憶合金2(及び2′)は、そ
の変態温度が所望の設定温度(例えば、脂肪乳化製剤に
使用する場合には25〜30℃)となるように調整され
ているので、設定温度より低温に冷却するとマルテンサ
イト相となり、外力で変形可能であり、またマルテンサ
イト相で変形された形状記憶合金は設定温度以上の条件
下にさらされると母相への変態が起り、記憶された形状
であるV字型に復元する。図1のインディケーターは上
記の構成よりなり、所定の設定温度より低温の条件下に
置かれ続けた場合には形状記憶合金2はヘヤピン状を維
持するが、設定温度以上の条件下に置かれた場合にはヘ
ヤピン状からV字型に変形するので、保存温度管理が適
性に行われていたか否かを判別することができる。ま
た、合金種の選択により、設定温度を感知してから変形
するまでの時間の調整が可能である。
【0016】また、図1のインディケーターにおいて
は、ヘヤピン上の形状記憶合金2の密着面の一方又は両
方に、使用できないことを示す表示(同図においては
「使用禁止」の文言)が印刷等の手段で付されており、
設定温度以上の条件下にさらされてV字型の形状を呈す
ると、図1(d) に示されるように、その表示が顕在化し
て使用者の注意を喚起し、誤認による使用を防止してい
る。なお、形状記憶合金2として一方向形状記憶合金が
使用されているので、一度、設定温度以上の条件下に置
かれて生成したV字型形状は、その後再冷却されてもV
字型形状を維持するので、設定温度以上の条件下にさら
されたか否かを確実に判別することができる。さらに、
V字型に変形した形状記憶合金2は設定温度より低温に
冷却し、外力を加えることによりヘヤピン状に戻すこと
ができ、容易に再使用することができるという利点を有
する。
【0017】図2は形状記憶合金を使用したインディケ
ーターの他の例(高温用)を示す参考図で、同図(a) は
正面図、同図(b) は所定の設定温度以上の条件下にさら
された後のインディケーターの正面図を示す。図2のイ
ンディケーターは、透明な容器21、容器の開口部に冠
着された蓋体23及び蓋体23から吊設された形状記憶
合金22とからなる。容器21内に収容されている形状
記憶合金22は直線状の一方向形状記憶合金であり、そ
の一端は蓋体23の内側面の中心よりやや外周方向にず
れた位置に設けられた切込み部に接着等の固着手段で固
定化されている。この形状記憶合金22は、同図(b) の
形状記憶合金22′に示されるように固定されていない
側の一端から長さ方向の略中央部まで巻き込まれたスパ
イラル形状を記憶しており、また形状記憶合金22は、
スパイラル状の形状記憶合金22′をマルテンサイト相
まで冷却した後、外力で引き伸ばして直線状に形成した
ものである。形状記憶合金22(及び22′)は、その
変態温度が所望の設定温度となるように調整されてい
る。従って、図2に示されるインディケーターは、図1
に示されるインディケーターと実質的に同様に機能し、
所定の設定温度より低温の条件下に置かれ続けた場合に
は形状記憶合金22は直線状を維持するが、設定温度以
上の条件下に置かれた場合には直線状からスパイラル状
に変形するので、保存温度管理が適性に行われていたか
否かを判別することができる。また、合金種の選択によ
り、設定温度を感知してから変形するまでの時間の調整
が可能である。
【0018】図3は本発明のインディケーターの一実施
例(低温用)を示すもので、同図(a) は正面図、同図
(b) は所定の設定温度より低温の条件下にさらされた後
のインディケーターの正面図を示す。図3のインディケ
ーターは、透明な容器31、容器の開口部に冠着された
蓋体33、容器31内に積層形成された2種類のゲル化
層34及び35、並びに上記ゲル化層中に埋設された形
状記憶合金32とからなる。ゲル化層中に埋設された形
状記憶合金32は幅狭板状の二方向形状記憶合金であ
り、母相状態では同図(a) に示されるような略直板状で
あるが、マルテンサイト状態では同図(b) の形状記憶合
金32′に示されるように上端部が湾曲した形状を自発
的に呈するように調製されている。そして、形状記憶合
金32は、変形して湾曲した際にその湾曲部がゲル化層
34及び35の界面に略対応するようにゲル化層中に埋
設されている。さらに、形状記憶合金22(及び2
2′)は、その変態温度が所望の設定温度となるように
調整されているので、設定温度より低温に冷却するとマ
ルテンサイト相となり、自発的に変形して上端部が湾曲
した形状を呈する。
【0019】図3のインディケーターは上記の構成より
なり、所定の設定温度より高温の条件下に置かれ続けた
場合には形状記憶合金32は略直板状を維持するのでゲ
ル化層34及び35の界面の乱れは認められないが、設
定温度よりも低温の条件下に置かれた場合には略直板状
から上端部が湾曲した形状に変形するので、ゲル化層3
4及び35の界面が乱れ、保存温度管理が適性に行われ
ていたか否かを判別することができる。なお、この際、
設定温度よりも低温の条件下に置かれた後、再度、設定
温度よりも高温条件下に置かれた場合、湾曲した形状記
憶合金32′は再び直板状の形状記憶合金32に戻る
が、乱れたゲル化層界面はそのまま残るので、保存温度
管理の適否の判別を誤認するおそれはない。また、合金
種の選択により、設定温度を感知してから変形するまで
の時間の調整が可能である。
【0020】図3に示されるインディケーターの調製法
としては種々の方法が採用できる。その一例を示すと、
まず、容器31内に、ゲルを加熱してゾル化した液を加
えた後、冷却してゲル化層35を形成する。次いで、形
状記憶合金32をゲル化層35の上面の略中心部に、上
端部の湾曲可能の部分が突出する程度に挿入する。この
ような状態で、ゲルを加熱してゾル化した液を加え、冷
却することによりゲル化層34を形成し、蓋体33で密
封することにより調製される。上記のゲル化層として
は、例えば、寒天ゲル、ポリアクリルアミドゲル、ポリ
2−ヒドロシエチルアクリレートゲル、高吸水性樹脂ゲ
ル等が挙げられ、ゲル化層34及び35は異なった材料
からなるゲルとするのが好ましい。また、ゲル化層34
及び35は、ゲル化層の乱れを容易に確認できるよう
に、その一方又は両方を慣用の着色剤で着色してもよ
い。両層を着色する場合には、異なった色とするのが好
ましい。
【0021】なお、図3のインディケーターでは、ゲル
化層は2層であるが3層以上としてもよく、また二方向
形状記憶合金として、板状のものが使用されているが、
コイル状の二方向形状記憶合金を、その変形部位がゲル
化層界面に対応するように、ゲル化層中に埋設したもの
でも同様の効果が得られる。さらに、上記の例は低温用
のインディケーターであるが、変態温度の高い二方向形
状記憶合金を使用すれば、高温用のインディケーターと
することもできる。
【0022】図4は形状記憶合金を使用したインディケ
ーターの他の例(低温用)を示す参考図で、同図(a) は
正面図、同図(b) は所定の設定温度より低温の条件下に
さらされた後のインディケーターの正面図を示す。図4
のインディケーターは、透明な容器41、容器41の開
口部に冠着された蓋体43、蓋体43から吊設されたコ
イル状の形状記憶合金42、下面に針44を有し、コイ
ル状の形状記憶合金42の下端に固定された錘45、及
び容器41の底部に配設され、着色液体を内包する軟カ
プセル46とからなる。容器41内に収容されている形
状記憶合金42はコイル状を記憶している一方向記憶合
金であり、その一端は蓋体43の内側面に設けられた切
込み部に接着等の固着手段で固定化されている。形状記
憶合金42の下端には、下面に針44を有する錘45が
固定化されており、当該錘45はコイル状形状記憶合金
42の弾性力と均衡し、容器41の深さ方向の略中央で
保持されている。形状記憶合金42は、その変態温度が
所望の設定温度となるように調整されており、設定温度
よりも低温に冷却されると柔らかいマルテンサイト相と
なる。
【0023】図4のインディケーターは上記の構成より
なり、所定の設定温度以上の条件下に置かれ続けた場合
には、コイル状形状記憶合金42に保持された錘45は
そのままの状態を維持するが、設定温度よりも低温の条
件下にさらされると形状記憶合金42はマルテンサイト
相に変態する。マルテンサイト相は極めて柔らかいの
で、コイル状形状記憶合金42はその弾性力を失い、同
図(b) の形状記憶合金42′のように錘45の作用で下
方に垂れ下がる。その結果、錘45の下面に設けられた
針44と軟カプセル46が接触し、軟カプセル46が破
れ、内包されていた着色液体が容器41の底部に溜まる
ので、保存温度管理が適性に行われていたか否かを判別
することができる。この際、設定温度よりも低温の条件
下に置かれた後、再度、設定温度よりも高温条件下に置
かれた場合、垂れ下がった形状記憶合金42′は再びコ
イル状形状記憶合金42に戻るが、容器41の底部には
着色液体がそのまま残るので、保存温度管理の適否の判
別を誤認するおそれはない。また、軟カプセル46は、
振動、転倒等による針44との接触を回避するため、容
器41の底部に固定化しておくのが好ましい。また、合
金種の選択により、設定温度を感知してから変形するま
での時間の調整が可能である。
【0024】なお、本発明のインディケーターは上記の
実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱
しない範囲で適宜設計変更することができる。例えば、
図2に示されるインディケーターと図3に示されるイン
ディケーターを組み合わせれば、高温用と低温用を一体
化したインディケーターとすることができるなど適宜組
み合わせ、複合化して実施することもできる。更に、変
形部にのみ形状記憶合金を使用し、非変形部には他の部
材を使用する構成としてもよい。
【0025】
【発明の効果】以上のように、本発明の保存温度管理用
インディケーターは、熱履歴表示部材として形状記憶合
金が使用されており、形状記憶合金は変形−復元の耐久
性に優れるので、繰り返して使用することができると共
に従来のものに比べて発色や拡散の面倒な調整が不要な
ので、廉価に製造することができる。また、変態温度を
容易に調整することができると共に適度な温度感度を有
するので、温度に対する取扱が簡便である。さらに、湿
度、振動等の影響を受けなので、信頼性の高いインディ
ケーターとすることができ、また保存も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】形状記憶合金を使用したインディケーターの一
例を示す図で、(a) 及び(b) はそれぞれ作動前の状態を
示す正面図及び側面図、(c) は作動後の状態を示す正面
図、(d) は(c) のI−I線断面図である。
【図2】形状記憶合金を使用したインディケーターの他
の例を示す図で、(a) は作動前の状態を示す正面図及び
(b) は作動後の状態を示す正面図である。
【図3】本発明のインディケーターの一実施例を示す図
で、(a) は作動前の状態を示す正面図及び(b) は作動後
の状態を示す正面図である。
【図4】形状記憶合金を使用したインディケーターの他
の例を示す図で、(a) は作動前の状態を示す正面図及び
(b) は作動後の状態を示す正面図である。
【符号の説明】
1、21、31、41 容器 2、22、32、42 形状記憶合金 3、23、33、43 蓋体 34、35 ゲル化層 44 針 45 錘 46 軟カプセル

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容器内に熱履歴表示部材を収容してなる
    保存温度管理用インディケーターにおいて、容器内に少
    なくとも2つのゲル化層が積層形成され、当該容器内
    に、所定温度を境として変形−復元を繰り返す二方向形
    状記憶合金をゲル化層界面と形状記憶合金の変形部とが
    対応するように収容してなることを特徴とする保存温度
    管理用インディケーター。
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