JP3034956B2 - アオイ科靭皮繊維植物を使用したボードとその製造方法 - Google Patents
アオイ科靭皮繊維植物を使用したボードとその製造方法Info
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Description
ィクルボード、ファイバーボード等のボード及びその製
造方法に関する。
加熱加圧することのみによって、ボードが製造できるこ
とは、古くから知られている。この方法は、主にリグノ
セルロース繊維のからみ合いか繊維間の水素結合に依存
しており、リグノセルロース物質成分の化学的な接着作
用はわずかであるため、製品の強度性能は大きく劣る。
したボードの製造方法については、天然の植物系成分を
利用する方法と高温高圧水蒸気処理によってリグノセル
ロース物質成分の一部を接着成分に変換させる方法と
が、知られている。
砕された植物葉を接着剤の代用品とするボードの製造法
が開示されている。特開昭60−30309号公報には、遊離
の糖類を多量に含有するリグノセルロース物質を原料と
したボードの製造法が開示されており、かかるリグノセ
ルロース物質として、サトウキビのバガス、モロコシの
茎、トウモロコシの茎、ヒマワリの茎、アマの茎等が開
示されている。更に、前記公報に関連するが、特公平3
−31565号公報には、必ずしもリグノセルロース物質と
は言えないが、糖又は澱粉を接着剤として添加するボー
ドの製造法が開示されている。
昭49−74773号公報、特開昭60−206604号公報、米国特
許第5017319号明細書等に記載されている。
0℃の過熱水蒸気で処理することと成形温度が250〜280
℃であることを特徴としており、特開昭60−206604号公
報の方法は、リグノセルロース物質を仕込んだ圧力容器
内に高温高圧水蒸気をすばやく充填することにより、該
リグノセルロース物質を10分以内の間190℃以上の温度
で加熱することと、ボードの成形温度を好ましくは200
〜220℃にすることを特徴としている。
の対応米国特許出願で、リグノセルロース物質中へのヘ
ミセルロースを分解して、水溶性樹脂物質に変換させる
のに、十分な時間高温高圧水蒸気処理下におくものであ
り、好ましい水蒸気温度T(℃)と処理温度t(秒)の
関係を、 T(℃)=306.4−35.7Log10t(秒)±15 の範囲であるとしている。
通常の接着剤を使用したものと比較して力学的強度が劣
り、パーティクルボード、ファイバーボード等の工業製
品として産業的な要求に応え得る水準のものではなかっ
た。
び米国特許第5017319号では、水蒸気処理条件が非常に
厳しく、少なくとも圧力20kgf/cm2以上の水蒸気発生装
置とそれに対応する耐圧容器等、特殊な設備を必要と
し、実用化が困難である。
用を有効に利用することによって、リグノセルロース物
質及びその変成物質を実質的な構成成分とし、接着剤に
由来する成分は一切含有せず、しかも、良好な力学的強
度を有するボードを提供すること、また接着剤に由来す
る成分の含有量がわずかでありながら、非常に良好な力
学的強度を有するボードを提供することを目的とする。
製造できる方法の提供をも目的とする。
材料として利用されているアオイ科靱皮繊維植物を使用
することによって、上記目的を達成した。
剤無添加の加熱加圧のみによるボード製造の公知の方法
を使用しても、他のリグノセルロース物質を使用した場
合より優れた強度性能のボードが得られる。
処理することにより、強度性能の非常に優れたボードが
得られることを見いだし、かかる高温高圧水蒸気処理の
最適条件が、従来のアオイ科靱皮繊維植物以外のリグノ
セルロース物質を水蒸気処理する場合の最適条件に比
べ、はるかにゆるやかで容易なものであることもわかっ
た。
て成形したボードであって、上記リグノセルロース物質
の30重量%以上がアオイ科靱皮繊維植物であり、接着剤
に由来する成分を実質的に含有せず、かつ下記式Iで得
られる数値が100以上であることを特徴とする。
m3)を示す。
その製造工程における加熱加圧等で一部変性されて含ま
れることは当然である。また、本発明のボードは、平面
的なものだけでなく、立体的に成形されてもよく、二次
元及び三次元いずれの形状のものをも含む。
を使用しなくても、式Iの数値が、100以上、特に130以
上というような強度あるボードをも容易に得ることがで
きるものである。
れるが、この基礎となる曲げ強度はJIS A 5908 5−6に
準ずる方法で測定される。また、本発明の製品の比重
は、所望のボードに応じて異なるが、通常0.2〜1.4g/cm
3であり、0.3〜1.1g/cm3程度であるのが好ましい。
に含まれる靱皮部が長繊維材料となる植物であって、か
つ分類学上アオイ科に属するものをいう。具体的には、
ケナフ、ボウ麻(イチビ)等が挙げられるが、本発明に
おいては、特にケナフの使用が好ましい。ケナフとは、
アオイ科ハイビスカス属の一年草本であるが、その品種
改良されたものであってもよい。本発明においては、ア
オイ科靱皮繊維植物の茎部又は茎部のうち特に木質部の
使用が好ましい。、従来、長繊維材料の生産において
は、茎部の靱皮部のみが利用され、木質部は廃棄されて
おり、それが有効利用されるのは注目に値する。アオイ
科靱皮繊維植物の使用形態は特に限定されないが、茎部
を切断した形態、チップ状、フレーク状、繊維状、粉末
状等で使用されればよい。
セルロース物質を併用したものであってもよいが、併用
されるリグノセルロース物質としては、主にセルロー
ス、ヘミセルロース及びリグニンを主成分とする物質で
あり、木材、樹皮、パルプ等が挙げられるが、勿論これ
らに限定されるものではない。その使用形態も、アオイ
科靱皮繊維植物と同様、チップ状、フレーク状、繊維
状、粉末状等で使用されればよい。
加熱加圧して成形するという方法で容易に得ることがで
きるが、予め高温高圧水蒸気処理されたアオイ科靱皮繊
維植物が使用されるのが好ましい。
温度で実施されるが、これは、180℃未満の温度では、
長時間の熱圧を要すばかりでなく、熱硬化反応も不十分
となるため好ましくなく、また、250℃を越す温度で
は、アオイ科靱皮繊維植物の劣化が起こり、良好な強度
特性をもつ製品が得られず好ましくないからである。通
常、200〜230℃の温度で実施するのが好ましい。
おくのが好ましく、特に10%以下にしておくのがよい。
また、成形時間は、成形温度とボードの寸法により規定
されるが、成形圧は主に所望のボードの比重によって異
なる。
一部、例えば10重量%以上、特に50重量%以上を高温高
圧水蒸気処理して使用するのが好ましい。なお、この処
理温度は105〜210℃、特に120〜190℃であるのが好まし
く、処理温度が低い場合は時間を長く、また、逆に高い
場合は短くするのがよいことは当然である。しかし、処
理温度が105℃未満であると、アオイ科靱皮繊維植物の
自己接着剤効果が不十分となり所望の結果を得ることが
できず、また、処理温度が210℃を越えると、アオイ科
靱皮繊維植物の繊維構造が劣化するので好ましくない。
高い場合は、短くするのがよいことは当然である。高温
高圧水蒸気処理の好ましい温度T(℃)と時間t(分)
との関係は、下記式IIで示される。
オイ科靱皮繊維植物と水とを仕込んだ後所定の温度に昇
温する方法、(B)アオイ科靱皮繊維植物を仕込んだ圧
力容器と高温高圧水蒸気発生装置とを連結し、該高温高
圧水蒸気発生装置から該圧力容器に水蒸気を送り込む方
法等が挙げられるが、勿論これらに限定されるものでは
ない。
おいて、処理温度とは、送り込む水蒸気の温度を意味す
るものではなく、水蒸気が送り込まれた後の圧力容器内
の温度を表す。
は、発生させる水蒸気の温度、処理方法によって異な
り、一概には言えないが、アオイ科靱皮繊維植物に対し
て通常50〜500重量%程度でよく、特に100〜300重量%
であるのが好ましい。
セルロース物質に対して5重量%以下であれば、接着剤
を添加したり、又はホルムアルデヒド系硬化剤を添加し
てもよい。しかし、大量の使用は不経済なだけでなく、
作業環境にも悪影響を及ぼすので、好ましくない。特
に、ホルムアルデヒド系硬化剤の場合、その添加量は3
重量%以下であるのが好ましい。
量%以上含有するリグノセルロース物質に、5重量%以
下の接着剤を添加した後に、180〜250℃、好ましくは20
0〜230℃の温度で加熱加圧して成形して、前記式Iで得
られる数値が100以上、特に130以上のボードを得ること
ができる。なお、この場合、前記式IIで表される条件で
高温高圧水蒸気処理したアオイ科靱皮繊維植物を20重量
%以上含有するリグノセルロース物質を使用するのが好
ましい。
ン樹脂等ボードの製造において一般に使用される合成樹
脂の使用が好ましいが、勿論これらに限定されるもので
はない。また、ホルムアルデヒド系硬化剤としては、ヘ
キサメチレンテトラミン、パラホルムアルデヒド、ポリ
オキシメチレン等が使用できる。
離型剤や撥水剤等の添加剤を添加してもよい。
剤、離型剤、撥水剤等を添加使用する場合には、これら
のリグノセルロース物質への添加は、加熱加圧成形の前
に実施される必要があり、また、リグノセルロース物質
を高温高圧水蒸気処理する場合は、該処理後で、加熱加
工成形前に実施される必要がある。
する理由は、必ずしも明確なものではないが、次のこと
が推察される。
ロースが高温高圧水蒸気条件下でペントース等の単糖類
を経てフラフール等のアルデヒド類へと分解する反応機
構は一般に知られており、特開昭60−206604号公報で
は、主にヘミセルロースの分解による遊離の糖、フルフ
ラール及び他の分解生成物が接着効果を発揮する本質的
な部分であるとされている。更に、本発明者らが実験し
たところ、ヒノキ(針葉樹)、ナラ(広葉樹)、ラワン
(南洋材)及び籾穀の4種類のリグノセルロース物質を
3分間高温高圧水蒸気処理した場合、いずれも処理温度
180℃以上でボードの成形が可能となり、210〜220℃で
ボードの曲げ強度が最高に達した。その際、高温高圧水
蒸気処理直後の試料の臭気を観察したところ、成形可能
となる処理温度180℃以上のものでフルフラール臭を感
じ、ボードの曲げ強度が最高となる210〜220℃でフルフ
ラール臭を最も強く感じた。これらの結果は、特開昭60
−206604号公報の推察を裏付けるものである。
ろ、フルフラール臭については処理温度180℃以上で感
じ、210〜220℃で最も強く感じるという上記リグノセル
ロース物質と同様の結果が得られたが、ボードの曲げ強
度については処理温度170〜180℃で最高となり、それに
より処理温度が更に高くなると、曲げ強度は低下すると
いう結果となった。
グノセルロース物質における接着効果の発生の原理とは
異なる要素を含んでいるものと考えられる。
オイの根に含まれる粘質液が最も重量な糊料として使用
されている。このことからも、アオイ科靱皮繊維植物に
おいては、他のリグノセルロース物質とは異なる特殊な
接着成分を含有していると考えられる。
れる亜麻について開示しているが、麻とは、長繊維材料
として利用される植物の通称であって、各々分類学上も
構成成分も大きくことなる。参考のため、麻の種類と組
成及び特開昭60−30309号公報で特に好ましい材料とし
ているところのバガスの科目と組成を表1に示す。
スとリグニンの含有量が共に高いことも、本発明のボー
ドが優れた性能を発揮する要因の一つであるかもしれな
い。
示すグラフである。
ける式Iの数値が最高となった各温度T(℃)と時間t
(分)を示す点で、本発明の式II:T=194−46log10tの
曲線に沿った値を示す。
ス原料(ラワン、ヒノキ、ナラ)の高温高圧水蒸気処理
における式Iの数値が最高となった各温度T(℃)と時
間t(分)を示す点を示すが、これらは、米国特許第5,
017,319号において最適とされる水蒸気処理温度T
(℃)と時間t(分)の関係式の曲線に沿った値となっ
ている。
本発明はこれによって限定されるものではない。
50cm角の成形可能な電熱ヒーター付油圧プレスを使用
し、220mm角のフォーミングボックスに調湿処理後の試
料100gを手撤きしてマットフォーミングした後、2.1mm
サイズのスペーサーを用い、圧力50kgf/cm2で、所定の
温度及び時間加熱することによって行った。実施例及び
比較例における加熱加圧成形の際の温度は、成形中の熱
板温度を意味する。
は、各成形品を50×200mmのサイズにカットして得た3
本の試験片をJIS A 5908、5−6に準拠して測定した値
を示す。
チップ、フレーク又は繊維状のいずれかの形態で加熱加
圧成形されるが、実施例及び比較例においては、ナイフ
リングフレーカー(Pallman)を使用し、刃出し0.6mmで
加工したフレークを用いた。従って、実施例及び比較例
で言うフレークとは、上記方法で調整された小片を意味
する。
蒸気処理は、実施例11、比較例11、12を除き、3Lの加熱
装置付き高圧容器(A)と1Lの加熱装置付き高圧容器
(B)とを連結した装置を使用した下記の方法である。
ルロース物質原料150gと水50gとを仕込み、内温が100℃
になるまで予熱し(この間の処理時間約10〜15分)、一
方、高圧容器(B)で280℃の熱水を作り、連結管のバ
ルブを開くことにより、高温高圧水蒸気が高温高圧容器
(A)に送り込まれるようにする。該水蒸気により、高
圧容器(A)の内温は急速に上昇するので、該水蒸気量
を加減しながら所望の温度に調整し(この間の所要時間
1分以内)、所定の時間容器(A)の内温を一定の時間
保持する。最後に、容器(A)に水を掛けて100℃以下
になるまで冷却し(冷却時間5〜10分)、試料を取り出
す。
て調整され、一定に保持された容器(A)の内温を意味
し、時間はその一定に保持されている間の時間を表す。
又はその他のリグノセルロース物質を含水率は5〜10重
量%に調湿したが、この調湿は、硬化剤を使用しない場
合は、ケナフ等を105℃で乾燥した後に、20℃65%RH中
に72時間放置するという方法により、また、硬化剤を使
用する場合は、80℃で乾燥した後に20℃65%RH中に72時
間放置する方法によった。
フ木質部(棒状、直径0.5〜2.0cm)をフレーク化した
(以下、この試料をケナフ木質部フレークと言う)。次
に、ケナフ木質部フレークを原料とし、それを調湿した
後、210℃で3分間加熱加圧成形して、ケナフ及びその
変成物質のみを構成成分とするボードを製造した。この
ボードの比重は0.92g/cm3、曲げ強度は263kgf/cm2であ
り、式Iの数値は149となった。
で、リグノセルロース物質及びその変成成分のみを構成
成分とするボードの製造を試みたが成形できなかった。
で、リグノセルロース物質及びその変形物質のみを構成
成分とするボードを製造した。このボードの比重は0.82
0g/cm3、曲げ強度は47kgf/cm2であり、式Iの数値は34
となった。
で、リグノセルロース物質及びその変形物質のみを構成
成分とするボードを製造した。このボードの比重は0.87
g/cm3、曲げ強度は132kgf/cm2であり、式Iの数値は84
となった。
0.5〜2.0cmの棒状のケナフ木質部を約30cmの長さに切断
したものを原料とし、それを処理温度180℃で3分間高
温高圧水蒸気処理した後、フレーク化して試料(a)を
得た。次に、試料(a)を調湿した後、210℃で3分間
加熱加圧成形して、ケナフ及びその変成物質のみを構成
成分とするボードを製造した。このボードの比重は0.87
g/cm3、曲げ強度は419kgf/cm2であり、式Iの数値は266
となった。
時間を20分とする他は実施例2と同じ方法で、ケナフ及
びその変成物質のみを構成成分とするボードを製造し
た。このボードの比重は0.910g/cm3、曲げ強度は387kgf
/cm2であり、式Iの数値は224となった。
時間を2分とする他は実施例2と同じ方法で、ケナフ及
びその変成物質のみを構成成分とするボードを製造し
た。このボードの比重は0.880g/cm3、曲げ強度と167kgf
/cm2であり、式Iの数値は104となった。
m)を約30cmの長さに切断したものを使用する以外は、
実施例2と同じ方法で、ケナフ及びその変成物質のみを
構成成分とするボードを製造した。このボードの比重は
0.895g/cm3、曲げ強度は422kgf/cm2であり、式Iの数値
は253となった。
キ及びその変成物質のみを構成成分とするボードを製造
した。このボードの比重は0.840g/cm3、曲げ強度は83kg
f/cm2であり、式Iの数値は56となった。
2分とする他は比較例4と同じ方法で、ヒノキ及びその
変成物質のみを構成成分とするボードを製造した。この
ボードの比重は0.910g/cm3、曲げ強度は111kgf/cm2であ
り、式Iの数値は64となった。
びその変成物質のみを構成成分とするボードを製造し
た。このボードの比重は0.930g/cm3、曲げ強度は126kgf
/cm2であり、式Iの数値は70となった。
ン及びその変成物質のみを構成成分とするボードを製造
した。このボードの比重は0.880g/cm3、曲げ強度は50kg
f/cm2であり、式Iの数値は31となった。
他は実施例2と同じ方法で、ケナフ及びその変成物質の
みを構成成分とするボードを製造した。このボードの比
重は0.850g/cm3、曲げ強度は218kgf/cm2であり、式Iの
数値は145となった。
2と同じ方法で、ケナフ及びその変成物質のみを構成成
分とするボードを製造した。このボードの比重は0.905g
/cm3、曲げ強度は252kgf/cm2であり、式Iの数値は148
となった。
キサメチレンテトラミンを10重量%濃度の水溶液にした
ものを振り掛け、よく混合したものを原料とする他は実
施例1と同じ方法で、ケナフ及びそれに由来する成分の
含有量が97%以上であり、接着剤に由来する成分は一切
含有しないボードを製造した。このボードの比重は0.87
0g/cm3、曲げ強度は280kgf/cm2であり、式Iの数値は17
8となった。また、このボードにおけるケナフ及びそれ
に由来する成分の含有量は理論的に98%以上であると計
算された。
%のヘキサメチレンテトラミンを10重量%濃度の水溶液
にしたものを振り掛け、欲混合したものを原料とする他
は実施例1と同じ方法で、ケナフ及びそれに由来する成
分の含有量が97%以上であり、接着剤に由来する成分は
一切含有しないボードを製造した。このボードの比重は
0.911g/cm3、曲げ強度は463kgf/cm2であり、式Iの数値
は268となった。また、このボードにおけるケナフ及び
それに由来する成分の含有量は理論的に98%以上である
と計算された。
った実施例で得られたボードはいずれも式Iの数値が13
0以上と強度あるものであったのに対し、ケナフ以外の
リグノセルロース物質を使用した比較例では、式Iの数
値が84以下と低く、あまり実用性ある製品を得ることは
できなかった。
件である温度120〜190℃かつ式IIの時間と温度との関係
を満たすもので、より強度あるボードが得られた。ま
た、好ましいプレス温度200〜230℃のものでより強度あ
るボードが得られた。
(180x3)は、180℃で3分間の高温高圧水蒸気処理した
ケナフを意味する。
グノセルロース物質に対する重要%を示す。
示す所定の温度及び時間で、高温高圧水蒸気処理した
後、フレーク化し、乾燥して、210℃で3分間、加熱加
圧成形して得たケナフボードの式Iの数値を表3に示
す。
と同じ方法によるボードの高温高圧水蒸気処理の温度、
時間及び式Iの数値を表3に示す。
の数値。
ける式Iの数値が最高となった各温度T(℃)と時間t
(分)を示す点、本発明のケナフの最適水蒸気処理条件
である温度T(℃)と時間t(分)の関係式II:T=194
−46log10tのグラフを図1に示す。
高圧水蒸気処理における式Iの数値が最高となった各温
度T(℃)と時間t(分)を示す点と、米国特許第5,01
7,319号において最適とされる水蒸気処理温度T(℃)
と時間t(分)の関係式のグラフも図1に示す。ただ
し、米国特許第5,017,319号の T(℃)=306.4−35.7log10t(秒)は、 T(℃)=242.9−35.7log10t(分)に相当する。
のリグノセルロース物質においては、米国特許第5,017,
319号において最適とされる高温高圧水蒸気処理の温
度、時間条件と近い値を示すことがわかるが、実施例の
ケナフでは、それらに比べてはるかにゆるやかな高温高
圧水蒸気処理条件で、最適な強度性能のボードが得られ
ることがわかる。
と水300gとを仕込み、ヒーターを250℃に設定して昇温
することにより、ケナフの高温高圧水蒸気処理の最適条
件の一つである温度135℃時間20分の処理を行った。
た。20分間温度を135℃に保持した後に、容器(A)に
水をかけて100℃以下になるまで冷却した。この間の所
要時間は45分であった。
ボードの比重は、0.76g/cm3、曲げ強度は408kgf/cm2で
あり、式Iの数値は339であった。
11と同じ方法で、ナラの高温高圧水蒸気処理の最適条件
の一つである温度180℃、時間20分の処理を行った。
た。20分間温度を180℃に保持した後に、容器(A)に
水をかけて100℃以下になるまで冷却した。この間の所
要時間は110分であった。
ボードの比重は、0.74g/cm3、曲げ強度は93kgf/cm2であ
り、式Iの数値は82であった。
法で、温度180℃、時間20分の高温高圧水蒸気処理を行
ったところ、昇温開始から冷却終了までの所要時間は80
分と短縮されたが、容器接触部付近の試料が炭化し、容
器にこびりついていた。
ボードの比重は、0.73g/cm3、曲げ強度は52kgf/cm2であ
り、式Iの数値は47であった。
蒸気処理することは、他のリグノセルロース物質の場合
に比べ、はるかに容易であり、通常のバッチ式の耐圧容
器で容易に生産可能であることがわかる。
ーミングする際のケナフ試料を100gから40gに変更する
以外は実施例2と同じ方法でケナフボードを製造した。
であり、式Iの数値は251となった。
フ木質部(棒状、直径0.5〜2.0cm)をフレーク化したも
の(以下、この試料をケナフ木質部フレークと言う)と
気乾状態のヒノキフレークとを1:1の割合で混合したも
のを原料とし、これを調湿した後、210℃で3分間加熱
加圧成形して、リグノセルロース物質及びその変成物質
のみを構成成分とするボードを製造した。このボードの
比重は0.880g/cm3、曲げ強度は226kgf/cm2であり、式I
の数値は140となった。
圧水蒸気処理し、調湿した後、210℃で3分間加熱加圧
成形して、リグノセルロース物質及びその変成物質のみ
を構成成分とするボードを製造した。このボードの比重
は0.845g/cm3、曲げ強度は314kgf/cm2であり、式Iの数
値は211となった。
0.5〜2.0cmの棒状のケナフ木質部を約30cmの長さに切断
したものを処理温度180℃で3分間高温高圧水蒸気処理
した後、フレーク化して試料(a)を得た。この試料
(a)を同量のヒノキフレークとよく混合し、調湿した
後、210℃で3分間加熱加圧成形して、リグノセルロー
ス物質及びその変成物質のみを構成成分とするボードを
製造した。このボードの比重は0.86g/cm3、曲げ強度は1
95kgf/cm2であり、式Iの数値は127となった。
のである。
自己接着作用に基づくボード類と比較して、はるかに良
好な力学的強度を有するので、家具、コンクリートパネ
ル、内装材、床材、更には、自動車内装用芯材パネル等
のパーティクルボード又はファイバーボード製品として
利用できる。
で、又は合成樹脂成分を使用したとしても極く少量の使
用で、得ることができるので、有害物質の発生しない、
地球環境の保全に役立つ製品となる。
硬化剤を使用しないものは、製品からホルムアルデヒド
が一切発生せず、安全である。
また、仮に接着剤を使用したとしても、極く少量である
ので、従来より原料コストを低減することができる。
物質と接着剤との混合工程を省くことができるため、従
来のボード類の製法より製造工程を簡素化することがで
きる。
も、実用性あるボードを得ることができるので、従来の
リグノセルロース物質の自己接着作用に基づくボード類
の製法より製造工程の簡素化を図ることができる。
を使用する場合であっても、その処理条件は10〜12kg/c
m2の蒸気圧で短期間蒸煮でよいため、特殊な設備を必要
とせず、一般的な繊維板の解繊前処理装置で対応でき
る。
棄物である木質部を利用できるため、資源の有効利用と
なる。
クルボードが製造できる。
効率的にボードが製造できる。
Claims (14)
- 【請求項1】リグノセルロース物質を加熱加圧して成形
したボードであって、リグノセルロース物質の30重量%
以上がアオイ科靱皮繊維植物であり、接着剤に由来する
成分を含有せず、かつ曲げ強度y(kgf/cm2)、比重x
(g/cm3)としたとき、下記式Iで得られる数値が100以
上であることを特徴とするボード。 式I=0.48×y/x2 - 【請求項2】式Iの数値が130以上である請求項1のボ
ード。 - 【請求項3】上記アオイ科靱皮繊維植物が高温高圧水蒸
気処理されたものである請求項1又は2のボード。 - 【請求項4】アオイ科靱皮繊維植物の木質部が使用され
ている請求項1〜3いずれか1項のボード。 - 【請求項5】上記アオイ科靭皮繊維植物がケナフである
請求項1〜4いずれか1項のボード。 - 【請求項6】リグノセルロース物質を180〜250℃の温度
で加熱加圧して成形する方法であって、上記リグノセル
ロース物質の30重量%以上がアオイ科靱皮繊維植物であ
ることを特徴とする、接着剤に由来する成分を含有せ
ず、かつ曲げ強度y(kgf/cm2)、比重x(g/cm3)とし
たとき、下記式Iで得られる数値が100以上であるボー
ドの製造方法。 式I=0.48×y/x2 - 【請求項7】アオイ科靱皮繊維植物の木質部が使用され
ている請求項6の方法。 - 【請求項8】上記アオイ科靱皮繊維植物がケナフである
請求項6又は7の方法。 - 【請求項9】上記アオイ科靱皮繊維植物の10重量%以上
が予め105℃〜210℃の高温高圧水蒸気で処理されたもの
である請求項6〜8いずれか1項の方法。 - 【請求項10】上記高温高圧水蒸気処理温度T(℃)と
処理時間t(分)との間の関係が下記式IIで表される請
求項9の方法。 (式II)T=194−46log10t±40 - 【請求項11】アオイ科靱皮繊維植物を20重量%以上含
有するリグノセルロース物質に、5重量%以下の接着剤
を添加した後に、180〜250℃の温度で加熱加圧して成形
することを特徴とする下記式Iで得られる数値が100以
上であるボードの製造方法。 式I=0.48×y/x2 〔ただし、y:曲げ強度(kgf/cm2)、x:比重(g/cm3)〕 - 【請求項12】式IIで表される条件で高温高圧水蒸気処
理したアオイ科靱皮繊維植物を20重量%以上含有するリ
グノセルロース物質に、5重量%以下の接着剤を添加し
た後に、180〜250℃の温度で加熱加圧して成形すること
を特徴とする請求項11の方法。 (式II)T=194−46log10t±40 - 【請求項13】上記アオイ科靱皮繊維植物がケナフであ
る請求項11又は12の方法。 - 【請求項14】上記リグノセルロース物質に対して5重
量%以下のホルムアルデヒド系硬化剤を添加する請求項
11〜13いずれか1項の方法。
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JP33609294 | 1994-12-22 | ||
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JP9033295 | 1995-03-22 | ||
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