JP3034603B2 - 蒸気圧縮システム及びフロート弁 - Google Patents

蒸気圧縮システム及びフロート弁

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は例えば、冷凍機、空調機及びヒートポンプ等
に使用される蒸気圧縮システムに関する。
従来の蒸気圧縮システムは蒸発器、凝縮器及び圧縮機
から構成されており、圧縮機蒸発器(ここで冷媒が熱を
失う)に充満している冷媒蒸気から、凝縮器(ここでは
冷媒は熱を得る)内に広がる冷媒蒸気へと圧力を上昇さ
せる。凝縮された液体冷媒は凝縮器から蒸発器へ膨張装
置を介して供給され、膨張装置は凝縮器と蒸発器間の圧
力差を維持し、システム内の冷媒の流れを制限する。多
くの応用例のなかで、上記システムの部品は集積された
密封ユニットに一体に組付けられている。
特に、上記圧縮システムが、ある温度範囲にわたって
他の流体に放熱している間、ある温度範囲にわたって流
体を冷却する必要がある時、数種類の相互溶融物質から
なり、共佛混合物を構成しない冷媒を使用することによ
ってシステムの効率を上げることができる。従って、あ
る温度範囲以上で凝縮、沸騰が行われる。2つの物質の
沸点は約10゜から50℃程度離れている。混合された冷媒
用の溶融物の組み合わせを適当に行うと、その混合され
た冷媒が凝縮する沸点は、伝熱流体の温度に近接して追
従するように設定することができる。熱流体は冷媒と伝
は互いに逆流する関係にあり、凝縮器内でその全長にわ
たって熱せられる。同様の考察は蒸発器においても適応
できる。その結果、必要となる圧縮機の圧力上昇分が小
さくなるため、圧縮機を駆動する動力が小さくてすむ。
しかしながら、混合冷媒は連続的に凝縮あるいは蒸発
をするので、気−液二相混合の結果は常に同方向に流れ
なければならず、また、互いに熱及び流量移動の関係が
緊密でなければならないという、混合冷媒の設計上の制
度が非常に大きい。混合冷媒を蒸気圧縮システムに使用
することに関する情報は冷凍機学会(Institute of Ref
rigeration)の学会誌(1974−5)71巻の18〜23頁に見
られる。
単一冷媒の蒸気圧縮システムを最適効率で運転させる
ための多くの必要運転条件が規定されている。一定の条
件の下にそのようなシステムを効率的に運転する方法は
広く知られている。一方、環境条件が広く変化する場合
や、システムの負荷が小さくなる場合、例えば、冷却効
果を低下するように圧縮機の排気量を減らすこと等、負
荷が変化する領域の下で、効率的に運転するシステムを
設計することは非常に困難である。特に、例えば、運転
開始状態等、システムが一つの状態から他の状態に移る
間の過渡状態において効率的に運転することを保証する
ことは困難である。混合冷媒を使用することはさらに複
雑さをもたらすことになる。
蒸気圧縮システムを最適運転効率で運転させるために
は、凝縮器及び蒸発器の伝熱面が全ての運転条件の下で
効果的な責務を果たすことが要求されている。凝縮器の
場合、凝縮器の出口部分に伝熱面の一部を覆うような凝
縮された液体冷媒が積層されないことが要求されてい
る。また、蒸発器の場合では、液体冷媒が蒸発器全長に
わたって、伝熱面を湿らせることが要求される。システ
ムに残っている全体の冷媒の量が一定の間は、これらの
要求は同時に満たされることが望ましい。しかし、もう
一つの要求は圧縮機に故障をもたらすような、液体冷媒
の圧縮機への流入がないことである。この問題を解決す
るため、冷媒蒸気が約5℃程過熱状態で蒸発器を排出さ
せることが一般的である。しかし、蒸気を過熱するため
の伝熱係数は蒸発のための伝熱係数より非常に小さいた
め、この解決方法は、過熱のための蒸発器の表面積を実
際の熱負荷が必要するものよりはるかに大きくしなけれ
ばならないという欠点を有している。典型的なもので
は、蒸気を過熱するためには少なくとも25%以上の伝熱
面を必要とする。
もう一つの蒸気圧縮システムの挙動に影響を与える要
因として、圧縮機から排出して冷媒蒸気に混入する圧縮
機のオイルの存在があげられる。このオイルは蒸気と一
緒に凝縮器に運ばれ、さらに、凝縮液とともに蒸発器へ
運ばれる。そしてそこに蓄積され熱伝達に悪影響を与え
る。この問題を最小限にするため、蒸気圧縮システムの
設計者は、オイルの混入を低減したり、混入したオイル
が凝縮器及び蒸発器からできる限り早急に排出され、圧
縮機に返すことを確実にする方法を見出すように努力し
ている。
本発明は、単一あるいは混合された冷媒システムに使
用するための蒸気圧縮システムを提供することであり、
伝熱面の最適使用、及び消費動力の最小化を行うため
に、システムの部品内の冷媒の圧力及び流量が制御され
る。
一つの態様として、本発明はある量の冷媒が少なくと
も2つの圧力レベル間を循環する蒸気圧縮システムを提
供し、蒸気圧縮システムは (a)冷媒蒸気を昇圧する圧縮機と、 (b)圧縮機から高圧冷媒蒸気が送られる凝縮器と、 (c)凝縮器からの液体冷媒の供給を制御する膨張装置
で、該装置内あるいはそれより後方にある凝縮された液
体冷媒の量が所定のレベルを越える時、該装置は少なく
とも部分的な開放から全開位置まで移動するように設定
され、膨張装置の作動に要する力はその装置における圧
力降下に依存しないこと、 (d)液体冷媒用2区分された蒸発器と、 前記蒸発器は、 (i)低圧の冷媒蒸気を圧縮機に供給する液体冷媒用
リザーバーと、 (ii)凝縮器から膨張装置を介して冷媒が流入され、
さらに、その冷媒の一部を蒸発させ、二相の冷媒を、液
体冷媒が集められるリザーバーに排出させ、さらに、低
圧冷媒蒸気を圧縮機に供給する第1の蒸発器区分と、 (iii)液体冷媒がリザーバーから流入され、冷媒の
少なくとも一部を蒸発させる第2の蒸発器区分と からなることを特徴とする。
他の態様として、本発明はある量の冷媒が少なくとも
2つの圧力レベル間を循環する蒸気圧縮システムを提供
し、蒸気圧縮システムは (a)冷媒蒸気を昇圧する圧縮機と、 (b)圧縮機から高圧冷媒蒸気が送られる凝縮器と、 (c)凝縮器からの液体冷媒の供給を制御する膨張装置
と、該装置内あるいはそれより後方にある凝縮された液
体冷媒の量が所定のレベルを越える時、該装置は少なく
とも部分的な開放から全開位置まで移動するように設定
され、膨張装置の作動に要する力はその装置における圧
力降下に依存しないこと、 (d)液体冷媒用2区分された蒸発器と、 前記蒸発器は、 (i)低圧の冷媒蒸気を圧縮機に供給する液体冷媒用
リザーバーと、 (ii)凝縮器から膨張装置を介して冷媒が流入され、
さらに、その冷媒の一部を蒸発させ、二相の冷媒を、液
体冷媒が集められるリザーバーに排出させ、さらに、低
圧冷媒蒸気を圧縮機に供給する第1の蒸発器区分と、 (iii)液体冷媒がリザーバーから流入され、冷媒の
少なくとも一部を蒸発させる第2の蒸発器区分と (e)非共沸混合を構成しない少なくとも2以上の相互
溶融物質からなるある量の冷媒と からなることを特徴とする。
蒸気圧縮システムにおいて、関連するリザーバーと共
に2区分された蒸発器を使用することは、蒸発器内の全
ての伝熱面の最適使用が保証できるという重要な効果を
有する。第1の蒸発器区分から低圧の冷媒が排出される
リザーバーを使用することは、第1の蒸発器区分内の冷
媒がその区分の長さ方向全体にわたって気体及び液体の
二相状態で存在でき、液体冷媒が圧縮機に供給されない
ことを保証できる。そして、圧縮機はリザーバーから冷
媒蒸気のみを吸引する。さらに、凝縮器、蒸発器及び圧
縮機内の負荷の特別な条件に限らず、リザーバーは冷媒
を収容するスペースを提供する。この点は、冷媒が弁を
介して凝縮器から排出されるシステムにおいて重要で、
その弁は液体冷媒の量が所定のレベル以内あるいはそれ
に到達するまで開放され、さらに、過剰の冷媒が弁の後
方を滞って、凝縮器の伝熱面を覆わないことを保証す
る。これは、例えば、環境温度が変わったり、部分負荷
で運転されるような広い範囲の負荷を取り扱うシステム
において重要である。
第1の蒸発器区分は一般に第2の蒸発器区分より極め
て長い。例えば、第1の蒸発器区分は少なくとも3倍、
好ましくは4倍、より好ましくは5倍、第2の蒸発器区
分より長い。冷媒は膨張装置からの排出時に、圧力が行
き渡っている状態で第1の蒸発器区分を通過する。その
時の流動抵抗は、沸点の余計な上昇を引き起こすことな
く高い熱伝導率を与えるように最適化することができ
る。これとは対照的に、冷媒は一般に自然循環による蒸
発の結果として第2の蒸発器区分を通過し、その流動抵
抗は一般に比較的低く設定されている。
第1の蒸発器区分、及び多くの場合において第2の蒸
発器区分も複数のフィン付管で構成され、両者は流入口
付近及び蒸発器からの排出口で互いに連結され、その2
つの区分の間で冷媒の流れは分離している。
第1の蒸発器区分は冷媒が平行して流れる管と管の間
に結合部及び先端部を有している。例えば、冷媒の2相
流速を最適化するために、冷媒が蒸発するにつれて変化
する冷媒の量を考慮に入れて、第1の区分の途中から管
の数は倍になる。同様に、凝縮器においても冷媒が凝縮
する特定の量だけ減らして2相流速を最適化するという
方法をとることができる。先端部を設けると、凝縮器用
の平行に連結されている管の数を減らすことができる。
好ましくは重力式循環によって、リザーバーから液体
冷媒が供給される第2の蒸発器区分を使用することは、
全ての定常運転状態において、第1の蒸発器区分からリ
ザーバーへ排出される冷媒はある比率の液相を有するこ
とを保証できるという効果を有する。第1の蒸発器区分
から排出される冷気の気相及び液相の相対的な比率は、
第2の蒸発器区分内の蒸発の割合によって決定されてい
る。これは、第2の蒸発器区分中で蒸発するリザーバー
からの液体冷媒の正味量は、全体的な物質収支からの制
限により、第1の蒸発器区分からの液体冷媒によって補
充されなければならないという理由からである。すなわ
ち、閉システムにおいて、システムの残りの部分に存在
する量が一定であるならば、液体は同量の液体が流入さ
れないかぎり、リザーバー等の容器から連続的に液体を
排出させることはできない。第2の蒸発器区分内の蒸発
の割合は、第1の蒸発器区分から排出された冷媒の湿り
度を適度に保つように運ばれており、その割合は第2蒸
発器の全長によって決められている。リザイバー内の圧
力は全体的なマスバランスを維持するようにまた一定に
するようにその圧力を調整している。
第2の蒸発器区分内から排出された冷媒は通常色々な
条件の下で蒸気と液体とを含んでおり、さらにいくらか
のオイルを含んでいる。
第2の蒸発器区分から排出された冷媒はリザーバーに
排出されることが好ましい。しかしながら、排出時に液
体冷媒の量が少ない場合、排出された冷媒は直接圧縮機
に供給されることがある。
好ましくは、第2の蒸発器区分は第1の蒸発器区分を
構成する管とは別の少なくとも1本の管から構成されて
いる。このため、蒸発器内では第1及び第2の蒸発器区
分からの冷媒の蒸発が混ざり合うことはない。しかしな
がら、別の実施例において、第2の蒸発器区分内の冷媒
が第1の蒸発器区分内の冷媒と混ざり合うこともある。
例えば、これは冷媒をリザーバーから蒸発器の管に噴射
することによって達成でき、凝縮器から流入される冷媒
が蒸発器の管その端部に向かって流れ込む。噴射器を通
過する管内の冷媒の流れは噴射器から冷媒を吸引するの
を助ける。この構成において、噴射器の管の下流部分は
第2の蒸発器区分として考えられ、噴射器の上流部分を
第1の蒸発器区分と考えられる。従って、第1の蒸発器
区分からの冷媒は蒸発器から第2の蒸発器区分を経て排
出されるものとみなされる。
一般に、本発明のシステムにおける蒸発器及び凝縮器
間の圧力差を維持する膨張装置は、膨張装置内または後
方の液体冷媒の量が所定のレベルに達する時に開放され
るニードル弁からなる。
好ましくは、凝縮器と蒸発器との間の圧力差を維持す
る膨張装置はフロート弁である。特に好ましくは、膨張
装置は該装置内あるいはそれより後方にある凝縮された
液体冷媒の量が所定のレベルに達する時、開放される弁
であり、その弁を通過する流量がまさに凝縮量とバラン
スする平衡点で保持される。そのような弁を使用するこ
とは、凝縮器内の伝熱面の一部を覆う液体冷媒が蓄積さ
れることを回避できるという利点を有している。これに
より、凝縮器の圧力を可能なかぎり低く抑えられ、圧縮
器の仕事量を低減できる。この利点は凝縮器に求められ
る責務とは係わりなく達成することができる。
弁より後方の凝縮された液体冷媒の量が所定のレベル
に達する時、弁を開放して、その結果、流入量と流出量
とバランスする平衡点で保持することは、数多くの方法
によって達成可能である。例えば、信号によって(これ
は例えば現存する電気的あるいは光学的なものでよい)
液体冷媒がレベル所定の値なったことを検出して弁を閉
じるようにした液体冷媒用のセンサを用意してもよい。
本発明のシステムの好ましい実施例はフロート弁を利
用し、その弁内において、室内の冷媒の量がフロート
(float)を動かす時に弁が開放するように、得体冷媒
が集まる室内に設けられたフロートに可動部材が止着さ
れている。
膨張装置は弁であることが好ましく、この弁は、 (a)ほぼ同じ寸法を有する2つのシール部が離間配設
されているシャフトと、 (b)前記シール部が嵌入され、シャフトの動きが開口
をほぼ同時に開放する同一寸法をなす一対のオリフィス
と、 (c)弁に流入する流体を通過させる流入口と、弁から
の液体が排出する排出口と、流入口と排出口とは、オリ
フィスを通過する液体が反対方向へ流れるように配設さ
れていることと、 (d)シャフトの動きが室内の流体の量に依存するよう
に、シャフトに取付けられるとともに室内に配置された
フロートと からなる 好ましくは、弁におけるシャフトのシール部は、シャ
フトの動きが連続的にほぼ同時に両オリフィスを開放す
るようにテーパ状に構成されている。
弁を開放し、または部分的に開放されるような位置に
弁を保持するために必要な力は、その弁における圧力降
下に依存しないことが特に望ましい。好ましくは、弁が
閉められている時、弁部材に対して高圧液体冷媒により
加えられる力が、開位置と閉位置との間を移動する方向
において、事実上無視できるように弁を通過する液体冷
媒の流れを決定することによって達成することができ
る。
好ましい実施例としては、弁はオリフィス内のにある
いはオリフィスから外に移動するテーパ状のニードル
で、そのニードルはオリフィスに嵌入される。好ましく
は、ニードルは同じ寸法の、2つのテーパ部が互いに離
間して1本のシャフトに設けられている。テーパ部は各
々同寸法のオリフィスに嵌入され、シャフトの移動が両
オリフィスを同時に開放するように配設されている。オ
リフィスを通過する流れ及びオリフィスにおける圧力降
下はほぼ反対方向に向いている。さらに、オリフィスを
通過する液体冷媒の流れの方向は、ほぼニードルの軸方
向に平行であり、一方のオリフィスを通過する流れの方
向と他方を通過する流れの方向は反対方向である。さら
に、ニードルのテーパ部分は約10mmから約50mmの長さに
わたって形成されている。フロートはその平衡位置を約
0.1mmの範囲内で検出するということが知られており、
弁を通過する流量を正確に調整することができる。
弁を開放し、または部分的に開放されるような位置に
弁を保持するために必要な力は、その弁における圧力降
下に依存していない弁を使用することは、液体冷媒が弁
を通過する流れがより安定するという利点を有してい
る。この特徴を持たない弁は、圧力降下分に対して弁を
開放し始める際に比較的大きな力を必要とする。一旦、
このような弁が開放されると、圧力降下分は小さくな
り、弁はより多く開放されるようになる。その結果、弁
を通過する液体冷媒の初期流量は自己伝播するサージ流
となる。弁を開放するために必要な力がその弁における
圧力降下に依存しない弁を使用することは、弁を通過す
る液体冷媒の初期流量がサージ流となるような傾向を除
くことができるか、あるいは最小限に抑えることができ
る。この点は、蒸発器及び凝縮器の、両者の伝熱面の最
適使用がなされていることを保証することにより、最大
効率が要求される蒸気圧縮システムにとって特に利点と
なる。凝縮器内に液体冷媒が集められるという傾向を除
くことと同様に、凝縮器から蒸発器への冷媒の安定した
流れを提供することは、蒸発器を通過する冷媒の流れを
制御することをも可能にする。このようにして、冷凍機
システムが2つの部分の蒸発器を関連するリザーバーと
ともに有すると、蒸発器の全ての可能な伝熱面の使用が
できるようになる。
凝縮器と蒸発器の間の圧力差を維持するように使用さ
れるその他のタイプの装置は、細管あるいは温度制御素
子を含む。
第2の蒸発器区分から排出される冷媒は、好ましくは
直接的にあるいは非直接的にリザーバーに排出される。
この特徴は、液体冷媒が圧縮機に入り込むことを防止す
ることができるという利点を有している。特に、圧縮器
のオイルが冷媒に混入する可能性がある場合は、リザー
バーへの冷媒の排出はオイルコンセントレータ(oil co
ncentrator)容器を通して行われることもある。第2の
蒸発器区分内の冷媒の蒸発のため、オイルコンセントレ
ータ容器内の冷媒に含まれたオイルの濃度はリザーバー
内における冷媒に含まれるオイルの濃度より大きい。オ
イルコンセントレータ容器はオーバーフロー流路を介し
てリザーバーに連結され、その流路を通って冷媒蒸気と
余剰の液体冷媒はリザーバーに返る。オイルコンセント
レータ容器はオイルリターン配管を介して圧縮機に連結
されてもよく、この配管を通過することにより、冷媒の
流れはオイルの再循環が可能で、さらに容器から圧縮機
へ流れて故障を起こさない程度に制限されている。
冷媒に圧縮機オイルが混入する可能性がある場合、そ
の結果、圧縮機オイルは液体冷媒の表面を浮いて流れ、
リザーバー内でオイルが冷媒の上に蓄積するように条件
が設定され、ポートから圧縮機に吸引される。
第2の蒸発器区分を通過する冷媒の流れと、その内部
の蒸発の割合が排出時の液体冷媒の量が小さくなる程度
であれば、排出冷媒は圧縮機に直接供給され、このため
に圧縮器オイルを圧縮機に返すことが可能となる。
凝縮器は空気あるいは液体によって冷却される。特に
凝縮器が液体(特に水)によって冷却される時は、凝縮
器は容器の形態をとることができ、圧縮器から冷媒がそ
の中に排出される。冷却媒体は容器の室内を1あるいは
それ以上の管内を通過し、その管の外周面は冷媒の凝縮
がその上で起こる凝縮面を提供している。混合冷媒が使
用されると、容器内にじゃま板が配置されて、冷媒はじ
ゃま板の間を流れて容器の一端から他端へ液体冷媒と反
対方向に流れる。より好ましくは、凝縮器が空気のよう
な気体で冷却されている場合、1あるいはそれ以上の凝
縮管を備え、その内部を冷媒が流れる。その管は冷却媒
体が流れる部分にわたって、多くのフィンが取り付けら
れている。そして、凝縮管の内面で凝縮が起こる。空気
外の熱交換は、蒸発凝縮器のように、水を噴射すること
により増大することができる。
単一冷媒システムに冷媒として使用することに適して
いる材料の例は、記号R12,R22,R134aで表されるもので
ある、さらなる本発明のシステムの利点は、非共沸混合
冷媒を使用する場合に適している。その中で特に次のこ
とが要求されるものについて適している。すなわち、凝
縮器及び蒸発器内の全ての部位において、液体及び蒸気
状の冷媒は平衡して一緒に同一方向に流れ、一方、混合
冷媒は熱交換する流体と実質的に反対方向の流れとなる
ような場合である。この目的は、本発明のシステムによ
って、特に、膨張弁の開放に要する力はその弁に加えら
れる圧縮降下にほぼ依存しないことと、低圧リザーバー
と関連して2区分された蒸発器を有することとの両者を
有するシステムによって達成可能である。従って、本発
明の蒸気圧縮システムは必要動力を低減することが可能
で、それは混合冷媒を使用することにより可能である。
さらに、必要動力を低減することは、本発明のシステム
が始動状態や、環境条件が変わる場合等の負荷の変動に
適合でき、最適効率で運転できる理由により達成するこ
とができる。混合冷媒の適した例は、記号R22/R142bとR
22/R124で表されるものである。
本出願中における「冷媒」とは蒸気圧縮システム内を
循環する液体を意味し、空調機あるいはヒートポンプ等
の機能するシステム内を循環する液体に適応可能であ
る。
第1の蒸発器区分から冷媒が排出されるリザーバー
は、その中に集まる冷媒の表面積が大きくなるように配
設されている。例えば、液体冷媒の表面積は少なくとも
リザーバーの高さの2乗の約2倍程度で、少なくともリ
ザーバーの高さの2乗の約3倍である。これは、リザー
バー内の液体冷媒の量が変化しても液体の深さは大きく
変化することはないということと、リザーバー内の冷媒
に発生した泡が圧縮機に供給される液体冷媒に導かれる
ことが少ないという利点がある。これにより、集まった
液体冷媒の上部表面と、蒸気が圧縮機に供給されるため
の排出口との距離が充分大きく維持することができ、い
かなる運転条件においても圧縮機に大量の液体冷媒が供
給されることを好ましくは防止できる、あるいは最小限
に抑えることができる。
蒸気圧縮システムによって運転される負荷は、システ
ム内を通過する冷媒蒸気の流れを適切に調節することに
より選択される。これは多くの方法によって実施可能で
ある。例えば、圧縮機全体を調整することが可能であ
る。それは、速度の調整により、あるいは、1又はそれ
以上のシリンダを取り外すことにより、また、1台以上
の圧縮機が備えられ、循環に必要な冷媒の量に従って、
幾らかの、あるいは全ての圧縮機が使用されることによ
り実施可能である。あるいは、それに代わって、圧縮機
を必要に応じて選択的にON−OFFスイッチングさせるこ
とにより要求される熱伝達量が得られる。
圧縮機の排気量は、システムにより暖められあるいは
冷却される冷却媒体の検出された温度変化にともなって
制御することが要求されている。例えば、冷凍機システ
ムにおいて、冷蔵室の温度が上昇したことが検出される
と、圧縮機の排気量を増加させるような温度センサを使
用してもよい。
凝縮器あるいは蒸発器の熱交換媒体として空気が使用
される場合、さらにユニットの負荷が広い範囲で変化す
る時は、空気流量の調整及び出力を維持するために可変
出力ファンを使用してもよい。
2区分された蒸発器と、弁の開放に要する力はその弁
に加えられる圧力降下にほぼ依存しない膨張弁とを備え
る本発明の蒸気圧縮システムは、変化する負荷に適合で
きるという利点を有している。この変化する負荷は、例
えば、大きく変化する環境条件であり、あるいは、圧縮
機の排気量を小さくして冷却効果が低下する場合のよう
に、システムの出力が低下した時の負荷等である。凝縮
器及び蒸発器の両方の伝熱面の最適使用がなされ、圧縮
機の必要とする動力が最小限に抑えられる一方、このよ
うな方法によって適合することもできる。伝熱面を最適
使用することはシステムが混合冷媒を使用する時に最適
であり、さらにそのような材料を使用することにより消
費動力を抑えることが可能である。
本発明の実施例を添付した図面を参考にして詳述す
る。
図1は本発明に係わるに蒸気圧縮システムの配管図で
ある。
図2は図1のシステムに使用される弁の断面形状を示
す斜視図である。
図3は冷凍機システムの別例の部品を示す配管図であ
る。
図面を参照して、図1に示すように、蒸気圧縮システ
ムは冷媒蒸気を昇圧し、その蒸気を第1の通路3を介し
て凝縮器5に送り出す圧縮機1を備えている。凝縮器5
は凝縮管7の列からなり、一般に、直列にあるいは並列
に連結された複数の管で構成され、それらの管にはフィ
ン9が取り付けられ、フィン9の間を流れる冷却媒体と
凝縮管7内に収容された冷媒との間の熱交換を促進す
る。そのシステムが空調機ユニットあるいは冷凍機の一
部を構成している時、その冷却媒体は例えば、空気であ
ってもよい。この2つの流体の流れる方向は実質的に逆
方向で、これは単一冷媒と同様に混合冷媒にも適合でき
る構成となっている。
冷媒は凝縮器5から弁13を介して第2の通路11へ排出
される。弁13への流入口が蒸気閉塞を起こさないため
に、蒸気リターンチューブ14が設けられている。弁13
は、弁13内の液体冷媒の量が所定の範囲内にある場合に
開放するよう設定されている。図1を参照してより詳細
に調べると、弁13の開放に要する力は弁13における圧力
降下にはほぼ依存しないように設定されている。
凝縮器5らの冷媒は弁13及び第2の通路11を介して蒸
発器15に送られる。蒸発器15は直列にあるいは並列に連
結された複数の管の列からなる第1の蒸発器区分17と、
第2の蒸発器区分19とから構成されている。さらに蒸発
器15は蒸発器フィン21を備え、流体は熱を伝達して冷媒
が蒸発するようにフィンの表面を流れる。その結果流体
は冷却される。この流体は例えば、冷凍システムが空調
機のユニットあるいは冷凍機の一部である時は空気であ
ってもよい。
冷媒は蒸発器15からリザーバー23へ排出される。リザ
ーバー23に収容される液体冷媒の表面積は少なくともリ
ザーバーの高さの2乗の約3倍以上が好ましい。第1の
蒸発器区分17及びリザーバー23の両者の中で、液体及び
蒸気冷媒は互いに密接に混合されている。
液体冷媒はリザーバー23から通路を経て第2の蒸発器
区分に送られ、蒸気揚力作用により冷媒はその中を循環
する。第2の蒸発器区分19からの冷媒はオイルコンセン
トレータ容器に排出さる。蒸気状の冷媒はオイルコンセ
ントレータ容器からリザーバー23へ送られ、リザーバー
23から圧縮機に供給される。オイルコンセントレータ容
器に集まる液体は液体冷媒と圧縮機オイルと混合液で、
本来混合されるべきものではないが、混合されてしまう
ものである。オイルコンセントレータ容器内の液体中の
圧縮機オイルの集中は、リザーバー内とで比較して高
い。オイルリターン配管27は、オイルコンセントレータ
容器内に集まる液体を圧縮機に戻すように配置されてい
る。オイルリターン配管27を通る液体の流れは、オイル
の再循環に適するように制限されており、オイルと冷媒
が混合されるシステムの場合は、冷媒の余剰分が圧縮機
に流入しないようになっている。オイルコンセントレー
タは小さいので、運転停止時に圧縮機を通過する液体の
量は少ない。
弁13は、その弁における圧力降下にほぼ依存しない力
によって開放されるように設定されている。これは、凝
縮器からの冷媒の流れが安定し、特に、冷媒のサージ流
が発生しないという特性を有する利点がある。
第1及び第2の蒸発器区分17,19の2つの区分を有す
る蒸発器15を使用することは、システムが安定状態にあ
る時、第1の蒸発器区分17の長さ方向にわたる全ての点
において、リザーバー23に流入される冷媒は気−液2相
状態で排出されるとともに、高い伝熱係数を与えるレベ
ルに液体及び蒸気状の冷媒の流量は保たれる。第1の蒸
発器区分から排出される冷媒の湿り度は、第2の蒸発器
区分内の冷媒の蒸発する率に直接依存していることと、
システム全体として、やがて、蒸発器全体にわたって行
われる熱伝達が高率を示す安定動作条件を達成できるこ
ととがわかる。このことは、システム全体としてその中
に含まれる冷媒の量が一定であるということと、その中
に蒸発さる冷媒を補充するために、液体冷媒が第2の蒸
発器通路19に供給されるという事実によって理解され
る。
図1の冷凍システムの使用に好適なフロート弁を図2
に示す。この弁は液体用の室31を有し、液体は弁内に流
入口33から入り、排出口35から弁内を出る。蒸気リター
ンパイプ36が液体の流入の蒸気閉塞を防ぐために設けら
れている。可動の弁部材37は、互いに離間して配設され
る2つのテーパ部を有するニードル39から構成されてい
る。各々のテーパ部41,43はオリフィスに嵌入される短
い平行部で囲まれている。弁のテーパ部は約20mmにわた
ってテーパが形成されている。ニードル39は室31内に位
置するフロート45に固着されている。
弁が閉じられている時で、室31内の液体がフロート45
を持ち上げる程には充分でない時、ニードル39のテーパ
部41,43を囲む短い平行部はそれぞれのオリフィス47,49
に嵌入されている。室31内に収容されている液体の量が
増えるに従って、ニードル39のテーパ部41,43を各々の
オリフィス47,49から離間するようにフロート45が持ち
上げられる。
流入口33を通過して弁に流入する液体は2つの液流に
分離される。第1の液流は第1の副流入口51を経て室31
に入る。第2の液流が室に入る時に、流入する液体がフ
ロートに直接当たることを防ぐために、転向板53によっ
て方向が変えられる。第2の液流は第2の副流入口55を
通って流れる。弁が閉められているか、あるいは一部が
開放されている時、液体が副流入口51,55を経て弁に流
入することによって、力が弁部材37に加えられる。しか
しながら、液体によって弁部材に加えられる正味の力
は、弁部材が移動する方向に加えられ、その大きさはほ
ぼゼロである。何故なら、第1の副流入口51から第1の
オリフィス47を経て流れようとする、あるいは流れてい
る液体は弁部材に力を加えるが、その力は、第2の副流
入口55から第2のオリフィス49を経て流れようとする、
あるいは、流れている液体により弁部材37に加えられる
力と全く反対方向であるためである。その結果、弁を開
放するための、あるいは一部の開放を維持する力はただ
弁部材37の重量に打ち勝つだけの力さえあればよい。従
って、力は弁における圧力降下及び弁を流れる流量には
ほとんど依存せず、弁が閉じられていても、あるいは一
部又は全部が開放されているかに係わらない。
この弁の構成は、凝縮器からの流量に依存して、弁を
通過する液体の実質的に安定な流れを提供する。この流
れは、単一のニードルが各々のオリフィスに嵌合される
ような他のフロート弁からの間歇的な流れとは対照的で
あり、蒸発器を通る冷媒の流れを安定させることが要求
される本発明の蒸気圧縮システムにおいては特に有益で
ある。
図3に示すように、蒸発器61は凝縮器から液体及び蒸
気状にの混合された冷媒が流入される。蒸発器はバスト
ロフェドン(bustrophedon)の様な通路に用いる単一管
からなり、あるいは熱伝達を促進するようにフィンが取
り付けられ、平行に連結された管の列から構成される。
冷媒は蒸発器の管あるいは管63からリザーバー67に排出
され、リザーバーから冷媒蒸気が圧縮器に供給される。
液体冷媒はリザーバー67から蒸発器の管あるいは管63に
噴射器69を介して供給される。管への冷媒の噴射は、凝
縮器から蒸発器へ入る冷媒が噴射器を通過することによ
って促進される。
蒸発器の管あるいは管63は2つの区分からなることが
考えられる。第1の区分71は噴射器69の上流側で、第2
の区分73は噴射器の下流側である。第1の区分69におい
て、蒸発する冷媒は凝縮器から供給され、リザーバー67
から供給される冷媒によって、第2の区分内で、補充さ
れる。リザーバー67から供給された冷媒の蒸発器の管の
第2の区分73内での蒸発は、管から排出される冷媒が液
体及び蒸気からなることを保証することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F25B 5/04 F25B 1/00 389 F25B 39/02 F25B 41/06 F25B 43/00

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ある量の冷媒が少なくとも2つの圧力レベ
    ル間を循環する蒸気圧縮システムにおいて、 (a)冷媒蒸気を昇圧する圧縮機と、 (b)圧縮機から高圧冷媒蒸気が送られる凝縮器と、 (c)凝縮器から液体冷媒を受け取るとともに、低圧の
    冷媒蒸気を圧縮機に供給する蒸発器と、 (d)凝縮器から蒸発器への液体冷媒の供給を制御する
    膨張弁と、該膨張弁内あるいはそれより後方にある凝縮
    された液体冷媒の量が所定のレベルを越える時、該膨張
    弁は開放されるように設定され、膨張弁の開放に要する
    力はその膨張弁における圧力降下に依存しないことと からなることを特徴とする蒸気圧縮システム。
  2. 【請求項2】前記膨張弁はフロート弁であることを特徴
    とする請求項1に記載の蒸気圧縮システム。
  3. 【請求項3】前記膨張弁は往復動可能な弁部材を有し、
    膨張弁内の液体冷媒によって弁部材に加えられる正味の
    力がほぼゼロになるように、膨張弁に流入する液体冷媒
    は、弁部材に対して互いに反対方向に力を加える2つの
    液流に分離されることを特徴とする請求項1に記載の蒸
    気圧縮システム。
  4. 【請求項4】前記膨張弁は、 (a)液体冷媒用の室と、 (b)互いに離間して配設されたほぼ同一寸法をなす2
    つのシール部を有するシャフトと、 (c)前記シール部が嵌入可能な同一寸法をなす一対の
    オリフィスと、シャフトの動きは両オリフィスをほぼ同
    時に開放することと、 (d)前記室に流入する流体を通過させる流入口及び流
    体を前記室から排出させる排出口と、流入口と排出口と
    は、両オリフィスを通過する流体が互いに反対方向へ流
    れるように配設されていることと、 (e)シャフトの動きが室内の流体の量に依存するよう
    に、シャフトに取り付けられるとともに室内に配置され
    たフロートと からなることを特徴とする請求項1に記載の蒸気圧縮シ
    ステム。
  5. 【請求項5】前記冷媒は、非共沸混合を構成しない少な
    くとも2以上の相互溶融物質からなることを特徴とする
    請求項1〜4の何れか一項に記載の蒸気圧縮システム。
  6. 【請求項6】流体の流れを制御するフロート弁におい
    て、 (a)液体用の室と、 (b)互いに離間して配設されたほぼ同一寸法をなす2
    つのシール部を有するシャフトと、 (c)前記シール部が嵌入可能な同一寸法をなす一対の
    オリフィスと、シャフトの動きは両オリフィスをほぼ同
    時に開放することと、 (d)前記室に流入する液体冷媒を通過させる流入口及
    び液体冷媒を前記室から排出させる排出口と、流入口と
    排出口とは、両オリフィスを通過する液体冷媒が互いに
    反対方向へ流れるように配設されていることと、 (e)シャフトの動きが室内の液体冷媒の量に依存する
    ように、シャフトに取り付けられるとともに室内に配置
    されたフロートと からなることを特徴とするフロート弁。
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