JP3030500B2 - バルブ - Google Patents

バルブ

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JP3030500B2
JP3030500B2 JP9073322A JP7332297A JP3030500B2 JP 3030500 B2 JP3030500 B2 JP 3030500B2 JP 9073322 A JP9073322 A JP 9073322A JP 7332297 A JP7332297 A JP 7332297A JP 3030500 B2 JP3030500 B2 JP 3030500B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バルブに関する。
【0002】
【従来の技術】弁棒や回転弁部を有する回転部材がバル
ブボディによって摺動回転可能に保持され、上記回転弁
部に具備された連通路が、上記弁棒の回転によって上記
バルブボディに具備された入口通路や出口通路に連通遮
断されるようになっているバルブは、たとえばロータリ
ーバルブとして知られている。この種の従来のバルブの
構造を図9に示してある。
【0003】同図のバルブにおいて、回転部材1は、弁
棒11と球状の回転弁部12との2つの部材を結合する
ことにより形成されており、回転弁部12に連通路13
が設けられていると共に、弁棒11や回転弁部12はい
ずれもフッ素樹脂などの合成樹脂で作られている。バル
ブボディ2は、主ボディ21と副ボディ22との2つの
部材を結合することにより形成されており、たとえば副
ボディ22に入口通路23が、主ボディ21に出口通路
24が、それぞれ設けられている。これらの主ボディ2
1や副ボディ22はいずれもフッソ樹脂などの合成樹脂
で作られている。また、バルブボディ2と回転弁部12
との間にはバルブシート25が配備され、バルブボディ
2と弁棒11との間にはシールリング26が配備されて
いる。このシールリング26がフッソ樹脂などの合成樹
脂で作られたシール押え3によって弁棒11側のシール
座14に押し付けられている。さらに、主ボディ21と
副ボディ22との間にもシールリング27が配備されて
いる。上記したバルブシート25、シールリング26,
27は、入口通路23と出口通路24とが回転弁部12
によって遮断されているとき、あるいは入口通路23と
出口通路24とが連通路13によって連通しているとき
に、液体の漏洩を防止するために必要である。なお、図
9において、31は操作用把手、32はシール押え3用
の押輪、33,34はパイプ押え用の押輪をそれぞれ示
している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図9に示した従来のバ
ルブにおいては、回転部材1やバルブボディ2がそれぞ
れ2つの部材で形成されており、また、シール性を確保
するためにバルブシート25やシールリング26,27
などが用いられている。そのため、従来のバルブでは、
それを構成する多くの部品が必要になり、組立工数が多
くなるほか、シール性の確保に高度の組立技術が必要に
なり、組立作業性やコスト面で問題が多かった。
【0005】本発明は、以上の状況に鑑みてなされたも
のであり、部品点数が少なく、その生産性や経済性に優
れたバルブを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るバルブは、
弁棒と連通路を備えた回転弁部とを有する合成樹脂で形
成された回転部材と、この回転部材をその軸線周りに回
転自在に保持しかつ上記回転弁部の回転によって上記連
通路に連通遮断される入口通路および出口通路を有する
合成樹脂の一体成形体で形成されたバルブボディとを備
え、上記回転部材を形成している合成樹脂の成形収縮率
よりも、上記バルブボディを形成している合成樹脂の成
形収縮率が大きく、上記バルブボディの内表面と上記回
転部材における上記バルブボディの上記内表面によって
覆われた外表面の全体とが密閉摺動可能に重なり合って
いる、というものである。
【0007】このバルブは、次の製造方法によって容易
にかつ経済的に作ることが可能である。この製造方法
は、弁棒と連通路を備えた回転弁部とを有する回転部材
を第1中子として金型にセットすると共に、入口通路お
よび出口通路を形成するための第2中子を上記金型にセ
ットし、上記第1中子および上記第2中子の周囲の成形
空間に成形樹脂を注入することにより、上記回転部材を
その軸線周りに回転自在に保持しかつ上記回転弁部の回
転によって上記連通路に連通遮断される上記入口通路お
よび上記出口通路を有するバルブボディを合成樹脂で一
体に射出成形する、というものである。
【0008】本発明に係るバルブは、バルブボディが合
成樹脂の一体成形体で形成されているので、バルブボデ
ィが1つの部品で構成される。また、バルブボディの内
表面とそれによって覆われた回転部材の外表面とが密閉
摺動可能に重なり合っているので、冒頭で説明したバル
ブシートやシールリングを用いていないにもかかわら
ず、バルブボディの内表面と回転部材の外表面との重な
り箇所によってシール性が確保される。
【0009】また、上記回転部材を形成している合成樹
脂の成形収縮率よりも、上記バルブボディを形成してい
る合成樹脂の成形収縮率が大きいという関係に定めてお
くと、バルブボディを形成する合成樹脂の成形後の収縮
により、バルブボディの内表面と回転部材の外表面との
重なり箇所のシール性がいっそう高まる。したがって、
この方法で作られたバルブは高いシール性を発揮する。
なお、合成樹脂の成形収縮率とは、その樹脂で射出成形
した後の硬化に伴う成形前後の収縮率のことである。
【0010】本発明に係るバルブにおいて、上記回転部
材は、上記弁棒と上記連通路を備えた上記回転弁部とを
有する合成樹脂の一体成形体で形成されているものを用
いることができ、そのようにすると、上記したバルブボ
ディと同様に、回転部材も1つの部品で構成される。
【0011】本発明に係るバルブにおいては、上記回転
部材の弁棒の軸方向中間部に円環状の鍔部が設けられ、
上記バルブボディの上記内表面に上記鍔部を摺動回転自
在に保持する円環状の凹溝部が設けられている、という
構成を採用することが可能であり、そのようにすると、
上記鍔部と上記凹溝部との重なり面によってバルブボデ
ィの内表面と回転部材の外表面との重なり箇所の面積が
増大されるので、それだけシール性が向上する。また、
上記鍔部と上記凹溝部とが回転部材の軸線方向において
係合するので、回転部材の抜出し防止が図られる。
【0012】本発明に係るバルブにおいては、上記バル
ブボディの内表面とその内表面に重なり合っている上記
回転部材の外表面とのそれぞれに、互いに共働して円環
状の密閉空間を形成する凹入部が具備され、上記密閉空
間の周壁面の全体に、その密閉空間に収容保持された弾
性を備える環状シール材が摺動可能に密着されている、
という構成を採用することができる。このようにしてお
くと、環状シール材によって回転部材とバルブボディと
の間のシール性がいっそう高められる。また、このよう
な構成のバルブは、上記第1中子として上記金型にセッ
トされた上記回転部材の外表面に半円溝状の凹入部が具
備させておき、その凹入部に、断面円形の環状シール材
の内周側の半分を収容保持させておくことによって容易
にかつ経済的に作ることが可能である。
【0013】本発明に係るバルブにおいては、上記バル
ブボディが上記回転部材の上記弁棒を回転自在に保持す
る円筒部を備え、この円筒部の端面内周部に上記弁棒を
取り囲む凹溝が設けられ、この凹溝に弾性を備える環状
シール材が収容保持されていると共に、上記円筒部にキ
ャップ体が装着され、このキャップ体が、上記環状シー
ル材を圧縮してその環状シール材を上記弁棒の外周面と
上記凹溝の溝壁面とに摺動可能に密着させる押え部を有
する、という構成を採用することができ、そのようにし
ておくと、環状シール材の作用によって弁棒とバルブボ
ディの円筒部との間のシール性がいっそう高められる。
【0014】本発明に係るバルブを製造する場合に、
記回転部材を形成している材料の融点が、上記成形空間
に注入される成形樹脂の融点と同等かそれよりも高いも
のであると、その成形空間で成形されたバルブボディが
第1中子として上記金型にセットされた上記回転部材に
融着するおそれがまったくないか、あるいは、そのおそ
れが少ない。したがって、そのようなバルブ、すなわち
上記回転部材を形成している材料の融点が、上記バルブ
ボディを形成している合成樹脂の融点と同等かそれより
も高いバルブは、回転部材がバルブボディに回転自在に
保持され、しかも、バルブボディの内表面と回転部材の
外表面とが密閉摺動可能に重なり合ったものになる
【0015】また、本発明のバルブでは、上記回転部材
を、PTFEで形成し、上記バルブボディを、PFA、
PP、PE、PPS、PEEK、PES、PA、POM
から選ばれる1種類の合成樹脂で形成することが可能で
ある。なお、「PTFE」はポリテトラフロロエチレン
樹脂、「PFA」はペルフルオロアルコキシフッ素樹
脂、「PP」はポリプロピレン樹脂、「PE」はポリエ
チレン樹脂、「PPS」はポリフェニルサルファイド樹
脂、「PEEK」はポリエーテルエーテルケトン樹脂、
「PES」はポリエーテルスルホン樹脂、「PA」はポ
リアミド樹脂、「POM」はポリアセタール樹脂の略称
である
【0016】
【発明の実施の形態】図1に本発明に係るバルブの実施
の一形態を縦断面図で表してある。このバルブにおい
て、回転部材5は円柱状の弁棒51と球状の回転弁部5
2とを備えるPTFEの一体成形体でなり、回転弁部5
2には、上記回転部材5の軸線に直交する連通路53が
備わっている。この回転部材5において、その外表面5
4は、回転弁部52の外周面54aと弁棒51の外周面
54bとによって形作られている。バルブボディ6は、
上記回転弁部52を抱持しているボディ本体部61と、
このボディ本体部61から突出されて上記弁棒51を取
り囲んでいる円筒部62と、上記ボディ本体部61の前
後に突出されたスリーブ部63,64とを備えるPFA
の一体成形体でなる。このバルブボディ6において、そ
の内表面65は、ボディ本体部61の内周面65aと円
筒部62の内周面65bとによって形作られている。そ
して、上記ボディ本体部61の内周面65aが上記回転
弁部52の外表面54aに重なり合い、上記円筒部62
の内周面65bが上記弁棒51の外周面54bに重なり
合っている。言い換えると、バルブボディ6の内表面6
5が、回転部材5におけるバルブボディ6の内表面65
によって覆われた外表面54の全体に重なり合ってい
る。この場合の重なり状態は、回転部材5がバルブボデ
ィ6に対して密閉摺動可能な状態である。また、回転部
材5はバルブボディ6によってその軸線周りに回転自在
に保持されている。
【0017】上記ボディ本体部61には入口通路66と
出口通路67とが具備されており、これらの通路66,
67が、上記回転弁部52の回転によってその連通路5
3に連通遮断される。
【0018】上記した2つのスリーブ部63,64には
それぞれフッソ樹脂成形体でなるパイプ接続部材71,
72が収容されており、それらのパイプ接続部材71,
72のそれぞれに、上記した入口通路66や出口通路6
7に連通する通路73,74が具備されている。そし
て、上記スリーブ部63,64に具備された雄ねじ部6
3a,64aにフッ素樹脂でなるパイプ押え用の押輪6
8,69の雌ねじ部68a,69aがねじ込まれてい
る。
【0019】なお、回転部材5の弁棒51の上端に操作
用の把手55が取り付けられており、この把手55を回
転させると、回転部材5が回転する。
【0020】図1に示したバルブにおいて、回転部材5
を形成している材料がPTFEであり、バルブボディ6
を形成している合成樹脂がPFAである。そのため、回
転部材5を形成している材料の融点は、バルブボディ6
を形成している合成樹脂の融点よりも高い。また、回転
部材5を形成している合成樹脂の成形収縮率よりも、バ
ルブボディ6を形成している合成樹脂の成形収縮率が大
きい。
【0021】このバルブにおいては、それに用いられて
いる回転部材5やバルブボディ6が、数種類の部材を結
合したものではなく、それぞれが一体物として形成され
ている。したがって、このバルブは、1つの回転部材5
と1つのバルブボディ6との2つの部品によって構成さ
れている。また、バルブボディ6の内表面65と回転部
材5の外表面54とが密閉摺動可能に重なり合っている
ので、その重なり箇所のシール性が、バルブシートやシ
ールリングを用いずに確保されている。
【0022】図1で説明した上記バルブは、次に例示と
して説明する製造方法によって作ることができる。すな
わち、図8のように、PTFEの一体成形体でなる上記
回転部材5を予め成形しておき、その回転部材5を第1
中子110として、バルブボディ6の外輪郭を成形する
ことのできる成形面101を備えた射出成形用の金型1
00にセットする。また、これと共に、回転部材5の回
転弁部52に備わっている連通路53に金属で作られた
丸棒状の第2中子120を挿通してその連通路53内へ
の成形樹脂の進入を防止しておくと共に、その第2中子
120によって上記バルブボディ6の入口通路73や出
口通路74を成形できるように、その第2中子120を
金型100にセットしておく。さらに、上記スリーブ部
63,64の内周面を成形するための成形面を備えた金
属製の第3中子130,140を上記第2中子120に
嵌合して上記金型100にセットする。
【0023】こうして、第1中子110として用いられ
ている回転部材5を常温のまま、あるいは金型温度まで
予熱しておいて、第1中子110、第2中子120およ
び第3中子130の周囲に形成されている成形空間S
に、バルブボディ6を成形するための成形樹脂である溶
融状態のPFAを注入し、その後、一定の冷却時間をお
いてPFAを硬化させ、金型100から取り外す。この
ようにすると、図1で説明した入口通路66や出口通路
67を備えたボディ本体部61、円筒部62、スリーブ
部63,64がPFAの一体成形体として成形される。
【0024】このような製造方法を行うと、第1中子1
10として用いられている回転部材5の材料であるPT
FEの融点が、バルブボディ6の成形材料であるPFA
の融点よりも高いので、射出成形の際に両者が融着する
ことなくバルブボディ6が成形される。しかも、PTF
Eの成形収縮率よりも、PFAの成形収縮率が大きいの
で、射出成形後には、PFAで成形されたバルブボディ
6の内表面65がPTFEで作られている回転部材5の
外表面54に確実に密着した状態になり、そのことが、
バルブボディ6の内表面65と回転部材5の外表面54
との重なり箇所でのシール性を高めることに役立つ。
【0025】図1で説明したバルブ並びに図8で説明し
たバルブの製造方法においては、回転部材5の材料にP
TFEが用いられ、バルブボディ6の成形材料にPFA
が用いられている。そして、回転部材5およびバルブボ
ディ6の融点が同じであってもよく、その場合でも、
ルブボディ6を射出成形するときに、そのバルブボディ
6の成形材料が第1中子110として用いられている回
転部材5に融着するようなことは起こりにくい。これ
は、冷えた樹脂に溶融した樹脂が触れても両樹脂が融着
しないことによる。
【0026】図1で説明したバルブにおいては、バルブ
ボディ6の材料として様々な材料を選択することが可能
である。具体的には、バルブボディ6の材料として、上
記PFAのほか、PP、PE、PPS、PEEK、PE
S、PA、POMから選ばれる1種類の合成樹脂を用い
ることができる。
【0027】回転部材5の材料としてPTFEなどの合
成樹脂を用いる場合は、その表面粗度の最大値Rmax
を6.3μm以下に加工しておくと、高度の上記シール
性を確保できることを確認している
【0028】本発明に係るバルブにおいて、バルブボデ
ィ6の内表面65と回転部材5の外表面54との重なり
箇所でのシール性は、バルブボディ6による回転部材5
の抱持力の大小によって異なり、その抱持力の大小は、
バルブボディ6の成形材料の成形収縮率や引張強度に関
係する。すなわち、成形収縮率の大きな合成樹脂で成形
されたバルブボディ6は、引張強度が小さくても回転部
材5の抱持力が大きくなり、その逆に、引張強度の大き
な合成樹脂で成形されたバルブボディ6は、成形収縮率
が小さくても回転部材5の抱持力が大きくなる。半導体
製造工程で用いるバルブの場合、バルブボディ6の成形
材料の収縮率は2%以上であることが好ましく、特に好
ましくは4%以上である。このような収縮率は、成形材
料にPFAを用いることによって満たされる。また、バ
ルブボディ6の成形材料の引張強度は200kg/cm
2 以上であることが好ましく、特に好ましくは300k
g/cm2 以上である。
【0029】次に、バルブボディ6の材料として選択す
ることのできる合成樹脂について、成形収縮率と引張強
度の具体的数値を示す。いずれの材料を選択するかは、
バルブの用途、経済性、その他の諸条件を勘案して適宜
決定すべきである。
【0030】 収縮率(%) 引張強度(kg/cm2 ) PFA 3〜5 300 PP 1〜2 400 PE 1〜2 150 PPS 0.5〜1 900 PPS(ガラス繊維入り) 0.2〜0.5 1300 PEEK 1 900 PEEK(ガラス繊維入り) 0.5 1700 PES 0.6 800 PES(ガラス繊維入り) 0.2〜0.5 1400 PA 1.5 700 POM 1.5 600
【0031】図1では回転部材5の回転弁部52が球状
に形成された所謂ボールバルブを例示し、図8ではその
ようなボールバルブの製造方法を例示したけれども、本
発明に係るバルブはボールバルブに限定されない。たと
えば、図2に示したように回転部材5の回転弁部52が
円柱状に形成されたものや、図3に示したように回転部
材5の回転弁部52が円錐台状に形成されたものであっ
てもよい。なお、図2および図3において、図1で説明
した部分に相応する部分には同一符号を付して詳細な説
明を省略してある。
【0032】本発明のバルブは、上記したように、バル
ブボディ6の内表面65と回転部材5の外表面54とが
密閉摺動可能に重なり合うことによってその重なり箇所
のシール性が確保されるのであるが、そのシール性をさ
らに高めるための対策を次に説明する。
【0033】図4に示した対策では、弁棒51の軸方向
中間部の2箇所に円環状の鍔部57,57を設け、バル
ブボディ6の内表面65にそれらの鍔部57,57を摺
動回転自在に保持する円環状の凹溝部60,60を設け
てある。図5に示した対策でも同様であり、このもの
は、鍔部57,57の形状が図4のものと異なるだけで
ある。
【0034】図4や図5に示した対策を講じておくと、
バルブボディ6の内表面65と回転部材5の外表面54
との重なり箇所の面積が、図1の場合よりも増大するの
で、それだけシール性が向上する。その上、これらの対
策を講じることによって、上記鍔部57,57と上記凹
溝部60,60とが回転部材5の軸線方向で係合し、そ
の係合によってバルブボディ6に対して回転部材5が定
位置で密閉摺動回転自在になり、しかも、回転部材5が
抜け止めされる利点がある。
【0035】シール性を高めるための他の対策を図6に
示してある。同図に示した対策は、バルブボディ6の内
表面65(具体的には円筒部62の内周面65b)とそ
の内表面65に重なり合っている回転部材5の外表面5
4(具体的には弁棒51の外周面54b)とのそれぞれ
に、互いに共働して円環状の密閉空間81を形成する半
円形状の凹入部82,83が具備され、この密閉空間8
1の周壁面の全体に、その密閉空間81に収容保持され
た弾性を備えるゴム製Oリングでなる環状シール材84
が摺動可能に密着されている、というものである。この
ような対策を講じたバルブは、上記した第1中子110
として金型100にセットされた回転部材5の外表面5
4に半円溝状の凹入部83を予め形成しておき、その凹
入部83に、断面円形の環状シール材84の内周側の半
分を収容保持させた状態で、図8について説明したバル
ブボディ6の射出成形を行うことによって容易に作るこ
とができる。この製造方法を採用することにより、環状
シール材84を後から回転部材5やバルブボディ6に組
み込む必要がなくなる。
【0036】上記のように密閉空間81に環状シール材
84を収容保持させておくと、環状シール材84と密閉
空間81との密着によって回転部材5とバルブボディ6
との間のシール性が高められる。
【0037】シール性を高めるための他の対策を図7に
示してある。このものは、図8で説明した製造方法を採
用してバルブボディ6を射出成形するときに、回転部材
5の弁棒51を回転自在に保持するそのバルブボディ6
の円筒部62の端面内周部に、上記弁棒51を取り囲む
凹溝85を成形すると共に、その円筒部62に雄ねじ部
86を成形しておく。そして、バルブボディ6を成形す
ることによって得られたバルブにおいて、上記凹溝85
にゴム製のOリングなどでなる環状シール材87を収容
保持させ、上記雄ねじ部86にねじ込んで円筒部62に
装着したキャップ体88の押え部89で上記環状シール
材87を圧縮し、その圧縮によってその環状シール材8
7を弁棒51の外周面54bと凹溝85の溝壁面85a
とに摺動可能に密着させたものである。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のバル
は、バルブボディが1つの合成樹脂の一体成形体で構成
されており、しかも、バルブボディの内表面と回転部材
の外表面との重なりによってシール性が確保されている
ので、部品点数が削減され、同時に、組立作業性やコス
トが従来のバルブに比べて大幅に改善される
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るバルブの実施の一形態を示す縦断
面図である。
【図2】変形例による回転弁部を採用したバルブの要部
を示す縦断面図である。
【図3】他の変形例による回転弁部を採用したバルブの
要部を示す縦断面図である。
【図4】シール性を高めるための対策の第1事例を示す
部分縦断面図である。
【図5】シール性を高めるための対策の第2事例を示す
部分縦断面図である。
【図6】シール性を高めるための対策の第3事例を示す
部分縦断面図である。
【図7】シール性を高めるための対策の第4事例を示す
部分縦断面図である。
【図8】本発明によるバルブの製造方法を説明するため
の縦断面図である。
【図9】従来のバルブの縦断面図である。
【符号の説明】
5 回転部材 6 バルブボディ 51 弁棒 52 回転弁部 53 連通路 54 回転部材の外表面 54b 弁棒の外周面 57 鍔部 60 凹溝部 62 円筒部 65 バルブボディの内表面 73 入口通路 74 出口通路 81 密閉空間 82,83 凹入部 84 環状シール材 85 凹溝 85a 凹溝の溝壁面 87 環状シール材 88 キャップ体 89 押え部 100 金型 110 第1中子 120 第2中子 S 成形空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16K 27/06 F16K 5/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弁棒と連通路を備えた回転弁部とを有す
    合成樹脂で形成された回転部材と、この回転部材をそ
    の軸線周りに回転自在に保持しかつ上記回転弁部の回転
    によって上記連通路に連通遮断される入口通路および出
    口通路を有する合成樹脂の一体成形体で形成されたバル
    ブボディとを備え、上記回転部材を形成している合成樹脂の成形収縮率より
    も、上記バルブボディを形成している合成樹脂の成形収
    縮率が大きく、 上記バルブボディの内表面と上記回転部材における上記
    バルブボディの上記内表面によって覆われた外表面の全
    体とが密閉摺動可能に重なり合っていることを特徴とす
    るバルブ。
  2. 【請求項2】 上記回転部材が、上記弁棒と上記連通路
    を備えた上記回転弁部とを有する合成樹脂の一体成形体
    で形成されている請求項1に記載したバルブ。
  3. 【請求項3】 上記回転部材の弁棒の軸方向中間部に円
    環状の鍔部が設けられ、上記バルブボディの上記内表面
    に上記鍔部を摺動回転自在に保持する円環状の凹溝部が
    設けられている請求項1または請求項2に記載したバル
    ブ。
  4. 【請求項4】 上記バルブボディの内表面とその内表面
    に重なり合っている上記回転部材の外表面とのそれぞれ
    に、互いに共働して円環状の密閉空間を形成する凹入部
    が具備され、上記密閉空間の周壁面の全体に、その密閉
    空間に収容保持された弾性を備える環状シール材が摺動
    可能に密着されている請求項1、請求項2、請求項3の
    いずれかに記載したバルブ。
  5. 【請求項5】 上記バルブボディが上記回転部材の上記
    弁棒を回転自在に保持する円筒部を備え、この円筒部の
    端面内周部に上記弁棒を取り囲む凹溝が設けられ、この
    凹溝に弾性を備える環状シール材が収容保持されている
    と共に、上記円筒部にキャップ体が装着され、このキャ
    ップ体が、上記環状シール材を圧縮してその環状シール
    材を上記弁棒の外周面と上記凹溝の溝壁面とに摺動可能
    に密着させる押え部を有する請求項1、請求項2、請求
    項3、請求項4のいずれかに記載したバルブ。
  6. 【請求項6】 上記回転部材を形成している材料の融点
    が、上記バルブボディを形成している合成樹脂の融点と
    同等かそれよりも高い請求項1、請求項2、請求項3、
    請求項4、請求項5のいずれかに記載したバルブ。
  7. 【請求項7】 上記回転部材が、PTFEで形成されて
    おり、上記バルブボディが、PFA、PP、PE、PP
    S、PEEK、PES、PA、POMから選ばれる1種
    類の合成樹脂で形成されている請求項1、請求項3、請
    求項4、請求項5、請求項6のいずれかに記載したバル
    ブ。
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