JP3029397B2 - 焼却炉 - Google Patents

焼却炉

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JP3029397B2
JP3029397B2 JP7352815A JP35281595A JP3029397B2 JP 3029397 B2 JP3029397 B2 JP 3029397B2 JP 7352815 A JP7352815 A JP 7352815A JP 35281595 A JP35281595 A JP 35281595A JP 3029397 B2 JP3029397 B2 JP 3029397B2
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waste
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誠 松原
亘 渡辺
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ギャラクシー有限会社
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  • Gasification And Melting Of Waste (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、一般廃棄物・産業廃
棄物の焼却処理および再生処理に用いる焼却炉に関す
る。
【0002】
【従来の技術】高含水率の汚泥等を乾燥の前処理なし
に、経済的に大量に焼却するためには、高カロリーの廃
棄物との混焼ができる大型の焼却炉が必要である。ま
た、可燃性建築廃材等の大きな塊の廃棄物を破砕の前処
理なしに焼却するには、投入された焼却物が炉内で自由
に動けるよう、十分な大きさの炉床を持ち、炉内に突出
した装置等がない焼却炉が必要である。
【0003】ところで、従来、一般廃棄物・産業廃棄物
の焼却処理および再生処理には、ロータリーキルン・固
定床焼却炉・流動床焼却炉・火格子焼却炉・混合装置を
備えた焼却炉等が用いられて来た。ロータリーキルンは
高カロリーの廃棄物を焼却すると、高熱により回転胴の
耐火物が剥離・溶融したり外皮が変形する欠点がある。
また、高含水率の廃棄物を焼却するには助燃剤を多く必
要とし、高カロリーの廃棄物との混焼は燃えきり時間が
異なることが多く好ましくない。
【0004】また、ロータリーキルンでは、灰分の多い
焼却物はキルンアクションの作用による造粒のため燃え
殻が焼却物を未燃のまま包み込む現象が発生し、中が未
燃のまま排出される。ロータリーキルンは直径の大きな
ものは製作が難しく、したがって、大量処理に向かな
い。また、大きい塊や、燃えきり時間の長い廃棄物はキ
ルン内の滞留時間が短いため燃えきらずに排出される欠
点がある。
【0005】固定床焼却炉は小形のものが多い。大型の
ものでは特に高含水率の廃棄物や大きい塊の廃棄物は、
安定した均一な燃焼が難しく残灰の掻き出しにも労力を
要する。
【0006】流動床焼却炉は高カロリーの廃棄物や高含
水率の廃棄物の焼却およびそれらの混焼には適するが、
大きい塊の廃棄物の場合は、塊のまま留まり燃焼に長時
間を要し、そのため破砕の前処理が必要となる。流動床
の砂と比較して比重の大きいものの場合は炉底に埋没し
てしまい流動せず適さない。また、砂を流動させるため
の送風機のランニングコストが高く、さらに、高温の空
気を吹き込む必要上、熱交換機や送風機のトラブルの発
生が多い。流動床焼却炉はまた、砂・高温空気・焼却物
・焼却灰・燃焼ガスが激しく均一に混ざり合うため良く
燃えるが、一方焼却灰が細かいばい塵となり、ばい塵処
理に負担が掛かる。
【0007】火格子焼却炉は高カロリーの廃棄物を焼却
すると火格子を損傷したり、火格子や側壁耐火物にクリ
ンカが付着する欠点がある。液状の廃棄物や高含水率の
汚泥等は火格子から落下し不向きである。
【0008】従来の混合装置を備えた焼却炉(例えば、
特開昭59−197722号参照)は、金属製の混合子
が焼却物と灰を上から混合する構造のため、炎に直接晒
され損傷し易い。そのため混合子を空冷等の方法で保護
する必要があり、構造が複雑化し形状も限定される。こ
のような方策をとっても高カロリーの廃棄物の処理には
限度があり適さない。また、焼却灰が溜まりすぎると混
合装置に急に大きな負荷がかかるため、灰出しをこまめ
に行い、灰の高さを一定範囲に保つ必要がある。このた
め運転に熟練を要する欠点がある。
【0009】また、混合装置を備えた焼却炉では、可燃
性建築廃材等の壊れにくい大きな塊の廃棄物は混合子に
大きな負荷がかかり、変形、破損等の恐れがあるため、
破砕の前処理が必要となる。同様にロープ状やシート状
の廃棄物は混合子に絡まるためそのままでは処理でき
ず、破砕の前処理が必要となる。
【0010】また、従来の混合装置は、灰の表面をなら
すように浅く混合するようになっており、灰の層が浅く
熱容量も小さいので、高含水率の廃棄物や液状の廃棄物
の処理は難しい。
【0011】さらに、従来の混合装置を備えた焼却炉炉
では、外周部から投入された焼却物が混合子の低速の回
転により、炉中央の灰出し口に向かって薄い固定層を形
成した状態で、連続的にゆっくり移動しながら燃焼する
タイプのものが多い。すなわち外周部分から順に水分の
蒸発領域、可燃性分解ガスやタール分の放出領域、燠燃
焼領域、そして灰の領域を同心円状に形作り、したがっ
て炉全体が均一な燃焼状態にはない。焼却物の燃焼に要
する時間は、その形状・性状により大きく異なるため、
一つの焼却炉での燃焼時間の異なるものの混焼は難し
い。
【0012】そのほか、混合子の速度には限界があるた
め、混合装置の大型化ともない滞留時間が長くなり、燃
焼に要する時間が短い廃棄物に対してはもちろんのこ
と、長い廃棄物の場合でも、特に炉中央部分が無駄とな
ることが多い。効果的燃焼のためには焼却物の性状にも
よるが大型化には限界があり、大量処理には向かない。
【0013】ところで、インペラーを炉床残留物中に設
置し、焼却物を炉床残留物と混合して焼却を行う焼却炉
では以下の利点がある。 1)インペラーを焼却物の燃焼により生ずる炉床残留物、
例えば燃焼過程で熱分解を受け生成し、燠燃焼途中にあ
る粒状炭化物等(以下これらを単に灰と呼ぶ)に埋没し
た状態で回転させ、焼却物を灰と良く混合し、かつ灰を
熱媒体として燃焼するので、固体状・半流動状・液状
等、形状・性状を選ばず、高カロリーや高含水率汚泥等
広い範囲の廃棄物を前処理なしで焼却できる。
【0014】2)インペラーが灰に埋没していて炎に直接
さらされることがないので、焼損のおそれがなく冷却の
必要もない。また、構造も簡単で、維持・修理も楽であ
る。 3)インペラーの回転がゆっくりしているので炉床から灰
が舞い上がることが少なく、排気集塵装置への負担が軽
減できる。
【0015】4)灰の深さが変化してもインペラーの駆動
トルクが急変することがないので、灰出しの管理が容易
で運転に熟練を要しない。 5)大きな塊やロープ状・シート状の廃棄物でも、羽根に
引っ掛かったり絡まることがないので、破砕の前処理を
必要としない。
【0016】しかし、この型の焼却炉をそのまま大型化
し、一つのインペラーで炉床全体を混合をしようとする
と以下の問題が生ずる。 1)インペラーを大型化する場合、既存のインペラーを単
に幾何学的に相似にスケールアップしたのでは力学的相
似性が保たれず混合特性が相違する。したがって既存の
インペラーの混合作用や強度等のデータをそのまま設計
に生かすことができない。また、一般的に混合装置は大
型化すると緩慢な流動領域が生じやすく、混合効果が低
下しやすい。
【0017】2)効果的に燃焼させるために、焼却物を炉
床全体に速やかに均一に分散させる必要があり、そのた
めの焼却物投入装置が必要になる。 3)インぺラーの大型化に伴い、その必要駆動トルクが急
増し、減速機や電動機が大型化する。
【0018】4)一つのインペラーで炉床全体をカバーす
るため、炉の大型化にともないインペラーは大きさ・重
量とも増大する。インペラーの設置・修理等を行うに際
し、インペラーの大型化は作業性を大きく損なう。
【0019】5)インペラーの腕を2ないし3個とする
と、インペラー先端の羽根相互の円周距離が大きくな
り、効果的混合が行われない。これを避けるためインペ
ラー腕の数を増やすと、炉床残留物とインペラーが一体
となって回転し、共回りの現象を起こす。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、高カロリ
ー廃棄物・高含水率汚泥・液状廃棄物・固形廃棄物を性
状・形状を問わずに処理でき、また、焼却物の投入のた
めの特別の装置が要らず、大きな塊の廃棄物の破砕等の
前処理、こまめな灰出等のわずらわしい運転技術が必要
なく、大型で大量に、安価な費用で処理でき、構造が簡
単で故障の少ない、保守・修理が楽な焼却炉を提供する
ことを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段および作用】この発明で
は、炉床から複数の回転軸を出し、この回転軸にインペ
ラーを上向きに、かつ焼却物の燃焼により生じた残留
物、例えば燃焼過程で熱分解を受け生成された、燠燃焼
途中にある粒状炭化物等(以下これらを単に灰と呼ぶ)
に埋没した状態になるように取り付け、インペラーのゆ
っくりとした回転により焼却物を灰と混合する。
【0022】インペラーは炉床の中央に1個とそれを取
り囲むように炉壁に沿って偶数個設置する。周りを取り
囲むインペラーは隣り合うものが互いに逆方向に回転す
るようにする。
【0023】これら複数のインペラーの混合作用につい
て説明する前に、まず、炉床中央にインペラーが1個だ
け配置された場合について図5を使って説明する。イン
ペラーは図の矢印の向きに回転する。羽根の斜面が立ち
上がる位置(A−Aの線)を図のように半径に対し傾け
ると効果的である。インペラーの回転による灰の動きを
半径方向の断面図としてI〜IVに模式的に、時間の経過
順に示す。
【0024】Iは羽根による混合が始まる直前の状態で
あり、もう一方の羽根による混合の影響として灰上面に
うねりが残っている。IIは羽根の斜面の楔効果により、
a部分が内側の部分と剪断され、上方の灰を押し上げな
がら斜面を滑り上がり、灰上面に大きなうねりのc部分
ができる。
【0025】IIIでは灰が押し上げられる範囲がb部分
まで大きく広がる。羽根の斜面が立ち上がる位置がイン
ペラーの回転とともに内側に移動するので、羽根に押し
上げられた灰は同時に内側(回転軸中心)に向かって動
かされる。羽根に押し上げられる灰の量は最大となり、
灰上面中心近くまで大きく盛り上がる。IIでできたうね
りc部分も内側に向かって移動する。羽根の下側のd部
分へは羽根の前進を追いかける格好で後ろ側から灰が流
れ込む。
【0026】IVは羽根が通過した直後の状態であり、羽
根によりb部分の灰が持ち上げられた後に大きな窪みe
部分ができ、この窪みにII〜IIIでできた盛り上がりf
部分から灰が崩れ込む。
【0027】このように、灰に埋没したインペラーによ
る混合は、インペラーの回転軸回りの回転によるインぺ
ラー先端の羽根の水平面内の移動が、灰に水平面内のみ
ならず垂直方向の運動を誘引することにより効果的に行
われる。
【0028】次いで、炉床中央のインペラーの周りにさ
らに6個のインペラーを配置した場合の作用について図
4を使って説明する。図中、Aは中央のインペラー、B
〜Gは周りを取り囲むインペラーであり、文字A〜Gの
周りの矢印は各インペラーの回転の向き、「二点鎖線」
は各インペラーの回転範囲を示す。
【0029】インペラー同士が隣合う部分では、灰の動
きが炉壁により制限されることがなく自由度が大きいた
め、他のインペラーの回転範囲にまで動きが拡大する。
羽根により押し上げられた灰は回転軸中心に向かって動
かされるばかりでなく、一部は隣合うインペラーの回転
範囲に崩れ込む。逆に図4のd部分やe部分へは隣り合
うインペラーの回転範囲から灰が流れ込む。つまり羽根
の動きによりできた窪みには双方から灰が流れ込み、さ
らに、良く立体的に混合される。
【0030】灰はインペラー羽根により上方に押し上げ
られるだけではなく前方にも押しのけられる。図4の矢
印ab,ab'、矢印ad,ad'、矢印af,af'の部分では羽根の移
動の向きが中央のインペラーと周りのインペラーで互い
に逆となるため、前方に押しのけられた灰同士がぶつか
り合い、大きな盛り上がりができ、かつ効果的な剪断混
合も行われ、垂直方向の混合が良く行われる。また、燃
焼により脆くなった焼却物がこの部分で破砕・造粒され
る。
【0031】炉床全体での灰と焼却物の平面的動きを図
4を用い模式的に説明する。図中の矢印は投入された焼
却物と灰の動きを表す。灰と焼却物の水平方向の移動は
主に羽根により灰が前方に押しのけられる作用により行
われる。
【0032】焼却物投入口13の位置を、周りを取り囲
むインペラーの中で炉の外側から見て右側のインペラー
Bが炉床上方から見て時計回りに、炉の外側から見て左
側のインペラーCが炉床上方から見て反時計回りに回転
する二つのインペラーの中間位置に設けると、投入され
た焼却物がこれらインペラーの作用により特別な供給装
置を設けることなしに矢印bcのように、灰と共に炉床中
央部へ運ばれる。
【0033】焼却物投入口とは逆に、例えば、炉の外側
から見て右側のインペラーCが炉床上方から見て反時計
回りに、炉の外側から見て左側のインペラーDが炉床上
方から見て時計回りに回転する二つのインペラーの中間
位置では、これらインペラーの作用により矢印cdのよう
に、焼却物が灰と共に炉床中央部から外側に向かって運
ばれる。
【0034】周りを取り囲むインペラーが偶数個である
ので、矢印bc、cd、de、ef、fg、gbのように、外側から
中央へ向かう動きと、逆の中央から外側へ向かう動きが
交互に形成される。
【0035】灰と共に炉床中央部に供給された焼却物
は、中央のインペラーのテーブルフィダーとしての機能
により、矢印ac、ad、ae、af、ag、abのように中央のイ
ンペラーの周りを循環しながら矢印cd、ef、gbの動きに
乗って炉床外側に分散していく。灰と共に炉床外側へ分
散した焼却物は炉床内壁にぶつかり、今度は矢印d 、
f、bや矢印c 、e 、g の動きに乗って再度中央部へ向か
う領域に入る。こうして投入された焼却物は灰と共に炉
床中央部と外周部を交互に行き来し、変化に富んだ経路
を動き灰と良く混合しながら、炉床全体にむらなく分散
され、均一に良く燃焼する。
【0036】矢印ab,ab'、同ad,ad'、同ag,ag'の部分で
は羽根の移動の向きが中央のインペラーと周りのインペ
ラーで互いに逆となるため、焼却物と灰が移動する速度
が他の部分より遅くなる。そのかわり前述したように灰
の垂直方向の混合や焼却物の破砕が他の部分より良く行
われる。
【0037】このようにして灰は羽根により炉底から上
方に持ち上げられつつ一部は内側に移動して丘を形成
し、一部は他のインペラーの回転範囲へと移動する。そ
して羽根後方の窪みに崩れ込む形で炉底に戻り、水平面
内のみならず垂直方向にも良く混合される。粉体状や液
体状の廃棄物はこの混合作用により灰中に分散し、灰を
熱媒体として良く燃焼する。固形や塊状の廃棄物は灰と
共に炉内を動きながら燃焼する。その廃棄物の比重が灰
と比較して大きくない場合は、灰表面にできたうねりや
窪みをまるで波乗りのように炉内を中央部から外周部
へ、そして逆に外周部から中央部へと移動しながら燃焼
し、粒状に破砕されてゆく。
【0038】以上のように本発明では特別な焼却物の供
給装置なしに、大型の焼却炉を用い炉床全体で均一な燃
焼が行える。さらに、投入された焼却物が灰とともに炉
中央へ供給されるような投入口の位置は、例えば図2の
ように周りを取り囲むインペラーが6個の場合、3か所
まで設置可能であり、大量の投入作業が可能となる。
【0039】周りを取り囲むインペラーの数は6個もし
くは8個等が考えられる。6個の場合は中央のインペラ
ーを含め7個全てのインペラーを同一の大きさにして円
形の炉床に配置することができる。回転方向は時計方向
・反時計方向の2種となりインペラーおよび羽根も対掌
(形状が互いに鏡像をなす関係にあるもの)のものが必
要になるが、インペラー・減速機・電動機等の設計は共
通に行える。また、保守・点検や予備部品の準備等が簡
便となり、多くの利点がある。8個の場合は中央のイン
ペラーを、周りのインペラーの直径の約1.6倍の大きさ
とすることによって円形の炉床に最適に配置することが
できる。インペラーの数や個々のインペラーの大きさを
選ぶことにより、円形以外の炉床横断面形状にも対応で
きることは言うまでもないが、前述の利点を考えると6
個もしくは8個が現実的である。
【0040】個々のインペラーはそれぞれ独立して回転
することで十分な混合効果が得られことが確かめられて
いるが、簡単なエンコーダーもしくはセンサー等の使用
により個々のインペラーの回転を制御することは最近の
技術で十分可能である。例えば各インペラーの回転範囲
が重なり合うように配置しても、各インペラーの回転の
位相を同期させることにより、インペラー同士が干渉し
ないようにすることも可能であり、新たな混合効果を期
待することもできる
【0041】さて、投入された廃棄物は、灰からの熱お
よび、灰上方での燃焼ガスや助燃バーナーからの輻射熱
により熱分解を受ける。まず、100℃付近で水分を蒸
発放出し、ついで300〜600℃で可燃性分解ガスや
タール分を放出し、破砕され粒状化した固形炭素分とな
り新たな熱媒体となる。ところで、液体状や液体を多く
含んだものが高温の「細かな灰」と直接触れると、液体
が瞬間的に蒸発し、体積が数千倍に膨張するため、いわ
ゆる灰神楽を起こし、「細かな灰」を多量に舞い上げる
現象が起きる。本発明では、灰の粒子が、ある範囲の大
きさに揃って造粒され、粒子間の隙間が十分にあるため
ガスが抜けやすく、飛び散り難い。
【0042】従来の混合装置では混合子が直接炎に晒さ
れるため、内部に空気を通し冷却する方法等が行われる
が、一般に使用されるステンレス鋼等では、高カロリー
の廃棄物の焼却は焼損が発生するため限度がある。本発
明ではインペラーは灰に埋没しているので、焼却物の燃
焼による炎や助燃バーナーの炎に直接晒されることがな
い。焼却炉の灰の温度は溶融炉、焼成炉等の特別の炉と
異なり特に高温である必要はなく、焼却物を熱分解させ
るために600℃程度で十分であり、材質に特殊な耐熱
金属を使用しなくても焼損する恐れがない。また、冷却
の必要がなく、構造が簡単でインペラー断面を薄くでき
る等形状を自由に選ぶことができる。また、破損した場
合でも部分的修理が容易である。
【0043】さらに、本発明では焼却炉が大型となって
も、個々のインペラーは従来の大きさの、インペラーが
灰に埋没している焼却炉のものと同程度の大きさである
ので、設計にあたり既存の混合作用や強度のデータを生
かすことができ、開発が容易となる。
【0044】本発明ではインペラーが灰の上に出ていな
いので、ロープ状やシート状のものでも絡まる心配がな
い。また、可燃性建築廃材等個々のインペラーの大きさ
に比べ大きなものでも破砕の前処理なしに投入できる。
【0044】従来の混合装置では混合子が灰の表面を上
方から掻きならすように混合するため、大きな塊の廃棄
物を投入すると混合子の回転が阻害され、負荷の急増に
よるモーターの焼損、混合子の変形、破損が発生する。
また、灰の厚さによる混合子の駆動トルクの変動が大き
く、これを避けるため灰のレベルを常時監視し、灰出し
をこまめに行う必要がある。
【0045】本発明では投入した焼却物が大きな塊の場
合でも、まるでベルトコンベアのように灰の層を介して
動かされるので、インペラーの回転が焼却物により阻害
されることがなく、モーターの負荷に大きな変化がな
い。投入された焼却物は炉内を何度も浮遊移動しながら
燃焼し、滞留時間の不足による未燃物の灰への混入が発
生しない。また、インペラーが初めから灰に埋没してい
るので、灰の厚さが増加しても駆動トルクの変動が少な
い。したがって灰のレベルの管理が容易であり、灰出し
の回数を極端に減らすことができ、したがって運転にも
熟練を要しない。
【0046】本発明ではカロリーのない、高含水率汚泥
や液状廃棄物を、灰を熱媒体とし、インペラーの混合作
用により良く混合させて燃焼させることが出来る。例え
ば、これらと高カロリー廃棄物との混焼や助燃バーナー
の使用でカロリーバランスをとり、焼却物の熱分解に必
要な600℃程度に灰の温度を保つと安定して燃焼させ
ることができ、経済的である。
【0047】本発明は、従来の混合装置を備えた焼却炉
とは形状が類似しているが、前述のように燃焼のメカニ
ズムが根本的に異なり、灰出口の場所が限定されず、自
由に設置できる。
【0048】本発明では灰の層をゆっくり回転するイン
ペラーの作用により立体的に、深く均一に混合すること
が出来る。したがって、液状廃棄物は炉底に溜まること
なく、バインダーの役目を果たし、多孔質の炭化物であ
る灰は造粒の起きるための重要因子である濡れ特性が良
いため、「細かな灰」は飛散しにくい大きさに造粒され
る。
【0049】本発明ではインペラーの回転がゆっくりし
たものなので灰の混合は静かに行われ、流動床焼却炉の
場合のように、焼却灰が細かいばい塵となって飛散する
ことがない。
【0050】本発明では個々のインペラーが大型化する
ことがないので、据え付や修理の際、工事のための特別
の準備がいらず、また、インペラー部材も大きくないの
で炉壁に特別の大きな点検口・搬入口を設ける必要がな
く、焼却物投入口を利用できる。
【0051】
【実施例】この発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。図1および図2に示すように、焼却炉本体は円筒形
で、鋼板製外皮1の内側は耐火物2によりライニングさ
れている。炉底には、中央およびそれを取り囲むように
合計7か所の開口5が設けられ、各開口に、ピローブロ
ック8により支持された回転軸7がそれぞれ貫通してい
る。各軸7は、下端を減速機一体型の電動機10とカッ
プリング9により連結され、上端にはインペラー4が取
り付けられている。
【0052】各インペラーは、回転軸に固定された腕4
aと、その両端に上向きに取り付けられた2個の羽根4
bで構成される。羽根の個数は炉の大きさ等の条件によ
り多くすることも可能である。
【0053】各インペラー4は、炉床残留物3に埋没し
た状態で回るよう、炉床に密着した格好に作ってある。
図3に、効果的な混合作用が得られ、かつ、駆動トルク
の少ないインペラーの形状の一例を示す。
【0054】焼却炉本体には図2に示すように、廃棄物
投入口13が開けられ、作業床面19上に設置された投
入テーブル14を用い、固体状や塊状の廃棄物が投入さ
れる。また、炉壁には液状廃棄物フィード用ノズル15
・半流動状廃棄物フィードノズル16・助燃バーナー1
7・図示しない排ガス中和用アルカリスプレー装置が取
り付けられる。炉底には灰だし口19が設けられてい
る。
【0055】各回転軸7には軸と共に回転するパン11
が取り付けられており、万一炉底の開口部5のシール部
6から回転軸7を伝って液状廃棄物が染みだしてもこれ
を受け、さらに、ドーナツ状のパン12を介して廃水処
理もしくは再焼却される。
【0056】電動機は図示しないインバーターにより駆
動され、各インペラー4は毎分0.2〜1回転のゆっくりし
たスピードで回転する。回転方向は、炉床上方から見て
インペラーA・C・E・Gを時計周りに、B・D・Fを
反時計周りに回す。投入口13から投入された固体状や
塊状の廃棄物はこれらインペラーの作用により灰と共に
炉床中央部に運ばれ、さらに、ノズル15、16から供
給された液状・半流動状廃棄物と共に炉床全体にむらな
く分散される。粉体状や液体状の廃棄物は、炉床に堆積
している灰とインペラーにより静かに混合され、これに
よって廃棄物は灰の中に分散し、灰を熱媒体としてよく
燃焼する。燃焼により生じた排気ガスは、図示しないば
い煙処理装置をへて排気される。
【0057】
【発明の効果】請求項1の焼却炉は中心の一個とその周
りに配置した複数のインペラーを焼却物の燃焼により生
ずる炉床残留物、例えば燃焼過程で熱分解を受け生成し
燠燃焼途中にある粒状炭化物等(以下これらを単に灰と
呼ぶ)に埋没した状態で回転させ、焼却物を灰と良く混
合し、かつ灰を熱媒体として燃焼するようにしたもので
あり、固体状・半流動状・液状等、形状・性状を選ば
ず、高カロリーや高含水率汚泥等広い範囲の廃棄物を前
処理なしで特に大型の焼却炉とすることにより炉床全体
で均一に燃焼させ、大量に経済的に焼却できる効果があ
る。すなわちインペラーが灰に埋没していて炎に直接さ
らされることがないので、焼損のおそれがなく冷却の必
要もない。また、構造も簡単で、個々のインペラーが炉
を大型化しても巨大化することがなく、保守・修理も楽
であり、炉壁に大きな点検口を設ける必要もない。
【0058】また、インペラーの回転がゆっくりしてお
り、灰の濡れ特性が良いため液状廃棄物がバインダーと
なり、造粒が行われ、炉床から灰が舞い上がることが少
なく、排気集塵装置への負担が軽減できる。そして灰の
深さが変化してもインペラーの駆動トルクが急変するこ
とがないので、灰出しの管理が容易で運転に熟練を要し
ない。さらに、大きな塊やロープ状・シート状の廃棄物
でも、羽根に引っ掛かったり絡まったりすることがない
ので、破砕の前処理を必要としない。
【0059】
【0060】また、中央のインペラーを取り囲むように
炉壁に沿って配置されるインペラーは、隣り合うものが
互いに逆方向に回転するようにしたので、投入された焼
却物が灰と共にテーブルフィーダーとしての機能を持つ
炉床中央部と、そして外周部とを行き来し、変化に富ん
だ経路を動き灰と良く混合しながら、炉床全体に速やか
にむらなく分散され、したがって炉床全体で均一に良く
燃焼する効果がある。
【0061】中央のインペラーの周りを取り囲むインペ
ラーを6個とすることにより、中央のインペラーを含め
7個全てのインペラーを同一の大きさにして円形の炉床
に配置することができ、回転方向は時計方向・反時計方
向の2種となりインペラーおよび羽根も形状が対称のも
のが必要になるが、インペラー・減速機・電動機等の設
計は共通に行え、また、保守・点検や予備部品の準備等
が簡便となり多くの利点がある。中央インペラーの周り
を取り囲むインペラーの数は8個にしてもよい(請求項
2)。この場合は、中央インペラーの径を周りのインペ
ラーの約1.6倍にすることで、6個の場合同様、攪拌で
きないデッドスペースがほとんど生じない。 請求項3
は、炉の周囲壁に設けられる焼却物投入口が、隣接する
2個のインペラーの間にあり、しかも、それら2つのイ
ンペラーのうち、該投入口から見て右側のものは、上か
ら見た回転方向が時計回りであり、同じく左側のものは
反時計回りであるので、焼却物投入口より投入された焼
却物が、これら2つのインペラーによって引き起こされ
る灰の流れに乗って炉内部にスムーズに送り込まれる。
したがって、大型の焼却炉の場合でも炉床中央まで焼却
物を送り込むための耐熱性を有する特別の供給装置を必
要としない利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 焼却炉の水平断面図である。
【図2】 炉床部分の縦断面図である。
【図3】 インペラーの形状の一例を示す図である。
【図4】 複数のインペラーの作用を示す説明図であ
る。
【図5】 インペラーによる混合作用の説明図である。
【符号の説明】
1 焼却炉鋼板外皮 2 耐火物 3 炉床残留物 4 インペラー 4a インペラー腕 4b インペラー羽根 5 回転軸を通す炉底開口部 6 開口シール部 7 回転軸 8 ピローブロック 9 カップリング 10 減速機一体型電動機 11 漏液受けパン 12 漏液受けパン 13 廃棄物投入口 14 投入テーブル 15 液状廃棄物フィードノズル 16 半流動状廃棄物フィードノズル 17 助燃バーナー 18 灰出し口 19 作業床面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F23G 5/00 F23G 5/26 F23G 5/02 F23G 5/027 F23G 7/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円形の炉床上の中央に一つのインペラー
    を、その周りを取り囲むように、該中央インペラーと同
    径で、隣接するもの同士が反対方向に回転する6個のイ
    ンペラーを配置し、これらインペラーで炉床残留物と焼
    却物を混合しながら焼却を行う焼却炉。
  2. 【請求項2】 円形の炉床上の中央に一つのインペラー
    を、その周りを取り囲むように、該中央インペラーより
    小さな径で、隣接するもの同士が反対方向に回転する8
    個のインペラーを配置し、これらインペラーで炉床残留
    物と焼却物を混合しながら焼却を行う焼却炉。
  3. 【請求項3】 炉の周囲壁に設けられる焼却物投入口
    が、隣接する2個のインペラーの間にあり、しかも、そ
    れら2つのインペラーのうち、該投入口から見て右側の
    ものは、上から見た回転方向が時計回りであり、同じく
    左側のものは反時計回りである請求項1または2に記載
    の焼却炉。
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