JP3027172B2 - 繊維強化プラスチック成形体およびその製造法 - Google Patents

繊維強化プラスチック成形体およびその製造法

Info

Publication number
JP3027172B2
JP3027172B2 JP2-238980A JP23898090A JP3027172B2 JP 3027172 B2 JP3027172 B2 JP 3027172B2 JP 23898090 A JP23898090 A JP 23898090A JP 3027172 B2 JP3027172 B2 JP 3027172B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plate
prepreg
sheet
shaped
thermoplastic resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2-238980A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03205115A (ja
Inventor
英男 坂井
敏行 中倉
友人 木場
操 益田
千明 丸子
智 岸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Publication of JPH03205115A publication Critical patent/JPH03205115A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3027172B2 publication Critical patent/JP3027172B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、軽量で機械的強度に優れたバンパーバック
アップビーム、ドアービーム、シートシェル等の自動車
部品、建築資材、機械部品などの各種分野で利用可能な
繊維強化熱可塑性プラスチック成形体およびその製造法
に関する。
〔従来の技術〕
繊維強化熱可塑性プラスチック(FRTP)は軽量で機械
的強度に優れているので、成形体として自動車部品、建
築資材、機械部品等に巾広く利用されている。これら成
形体は、熱可塑性樹脂と繊維状補強材とから成る板状材
料を原料として用い、スタンピング成形法等により製造
されている。このスタンピング成形法とは、板状材料
を、熱可塑性樹脂の溶融温度以上に加熱することにより
板状材料自体に流動性を付与し、この後、溶融温度以下
に保温した金型内にこの板状材料を投入し直ちに金型を
閉じ、冷却と賦形を同時に行ない任意の形状の成形体を
得る方法である。
しかしこの方法は、特に複雑な形状の成形を行う場
合、成形体の特定の箇所に変形や亀裂が生じ易く、用途
面での制約を受けていた。
また、成形体の原料として、一方向に配列した繊維ま
たは織布に熱可塑性樹脂を含浸させたシート状プリプレ
グを用いる試みもある。しかし、このシート状プリプレ
グから得た成形体は、板状材料から得た成形体よりも全
体的に強度が増大するが、前述のような変形や亀裂の問
題は解決されない。また、シート状プリプレグは板状材
料に比較してコストが高く、成形体全体をシート状プリ
プレグで構成すると製造コストが高くなる。
この様な亀裂や変形の問題を解決すべく、板状材料を
構成する樹脂や繊維状補強材として特定のものを選定す
ることにより、成形体全体の強度を高める方法がある。
例えば、高性能エンジニアリングプラスチックや炭素繊
維等を選定することにより、亀裂や変形の発生を防止で
きる。しかし、この様な樹脂や繊維状補強材は高価であ
り、亀裂や変形を防止したい箇所は成形体の一部分に過
ぎないのに成形体全体をその様な樹脂や繊維状補強材で
構成するのは経済性に乏しい。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の目的は、熱可塑性樹脂と繊維状補強材とから
成る板状材料を用いた成形であっても、特定の箇所に変
形や亀裂が生じない成形体およびその製造法を提供する
ことにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的は以下の方法および成形体により達成され
る。
繊維状補強材と熱可塑性樹脂とから成る板状材料を用
いて任意の形状を有する成形体を製造する場合におい
て、 (i)繊維補強材含有率が30〜70重量%である板状材料
を用い、前記熱可塑性樹脂の流動に該繊維状補強材が追
従しないと予測される箇所または強度を特に強くしたい
箇所に、一方向に配列してなる繊維または織布に熱可塑
性樹脂を含浸してなるシート状プリプレグを板状材料上
および/または金型内に配置する工程と、 (ii)前記板状材料を該板状材料の熱可塑性樹脂の流動
可能温度以上に保温し、且つ前記シート状プリプレグを
該シート状プリプレグの熱可塑性樹脂の流動可能温度以
上に保温し、それらを該金型内で圧縮することにより一
体成形する工程と を含むことを特徴とする繊維強化プラスチック成形体の
製造法。
繊維状補強材と熱可塑性樹脂とから成る繊維状補強材
含有率が30〜70重量%の板状材料から成形された成形体
であって、成形時に該熱可塑性樹脂の流動に該繊維状補
強材が追従しないと予測される箇所または強度を特に強
くしたい箇所について、一方向に配列してなる繊維また
は織布に熱可塑性樹脂を含浸してなるシート状プリプレ
グを部分的に板状材料に一体成形させてなる繊維強化プ
ラスチック成形体。
本発明によれば、例えば、リブ形状部や狭部の強度が
補強された成形体が得られ、大容量から小容量まで各種
の成形品を、亀裂、変形の心配無く得ることができる。
板状材料を構成する熱可塑性樹脂としては、例えば、
ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、AS樹
脂、ABS樹脂、ASA樹脂(ポリアクリロニトリル・ポリス
チレン・ポリアクリル酸エステル)、ポリメチルメタク
リレート、ナイロン、ポリアセタール、ポリカーボネー
ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキ
シド、フッ素樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリス
ルホン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケト
ン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリア
リレート等がある。
板状材料を構成する繊維状補強材としては、例えば、
ガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素
繊維等がある。この繊維状補強材は、樹脂と共に流動し
て金型内に充填する事を目的の一つとするため流動し易
い形態を有し、マット状のものが一般的に使用される。
マット状の繊維補強材としては、例えば、2インチ程度
に切断したストランドをバインダーで結束した補強材
や、連続ストランドをバインダーで結束したコンティニ
アス・ストランド・マットなどが有る。繊維状補強材は
組み合せる樹脂との密着性を向上させるべく種々の表面
処理を行なうことが一般的であるが、マット状のものは
繊維の一体化をバインダーで結束することにより行なっ
ているので、表面処理剤がバインダーに妨げられて樹脂
との界面に存在できない。従って、この様な繊維状補強
材は一般に樹脂との密着性が悪く、その物性レベルは低
い傾向にある。また、マット状の補強材は、繊維の配向
がランダムで長さも短いので補強効果は一方向の連続長
繊維に比べて劣る傾向にある。
板状材料は、通常は熱可塑性樹脂と繊維状補強材を用
いて製造され、例えば、繊維状補強材の上下面に、熱可
塑性樹脂シートを連続的に重ね合わせ、引き続き樹脂の
溶融温度以上の雰囲気下で熱溶融含浸させ、次いで冷却
させる方法等によって得られる。
板状材料の厚みは1〜10mmが望ましい。板状材料を原
料としてスタンピング成形等の成形を行なう場合、成形
体の厚み等が問題となる。
一般に、所望とされているFRTP成形体の厚みは、数mm
から数十mmのものまである。厚みが数mm程度の薄い成形
体を得ようとする場合、板状材料の厚みもその近傍であ
ることが望ましい。板状材料の厚みが目的とする成形体
の厚みの数倍以上もあると、加熱溶融した板状材料が金
型内に充填していく過程で、板状材料の樹脂と繊維状補
強材とが分離して行き、繊維状補強材の比率が少なく強
度の弱い部分が発生する等の問題が生じ易い。この様な
点から、板状材料の厚みは、更に3mm以下が好ましい。
しかし、逆に厚みが1mm未満だと成形方法によっては成
形が困難となるので一般的でない。
板状材料の繊維状補強材含有率は30〜70重量%が望ま
しい。補強効果だけを考慮すると繊維状補強材含有率が
大きい程良いのであるが、これが70重量%を越えると流
動性に問題が生じてくる。流動性の点からは更に50重量
%以下が望ましい。
シート状プリプレグを構成する熱可塑性樹脂として
は、例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチ
レン、AS樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂、ポリメチルメタクリ
レート、ナイロン、ポリアセタール、ポリカーボネー
ト、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキ
シド、フッ素樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリス
ルホン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケト
ン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリア
リレート等がある。
シート状プリプレグを構成する一方向に配列してなる
繊維とは、通常太さ3〜25μmのモノフィラメントを20
0〜12000本集束したヤーンもしくはロービングを所定本
数一方向に並べたものを示す。原料としては、例えば、
ガラス繊維、カーボン繊維、炭化ケイ素繊維等が用いら
れる。
シート状プリプレグを構成する織布とは、通常太さ3
〜15μmのモノフィラメントを200〜12000本集束した織
布用ヤーンを平織り、朱子織り、バイアス織り、綾織り
等により織布としたものであり、原料としては、例え
ば、ガラス繊維、カーボン繊維、炭化ケイ素繊維等が用
いられる。
シート状プリプレグは、一方向に配列してなる繊維ま
たは織布に熱可塑性樹脂を含浸して得られるものである
(以下、この一方向に配列してなる繊維と織布とを総称
して補強繊維という)。シート状プリプレグを得るため
の方法としては種々の手段があるが、最も一般的な方法
は以下の通りである。
一つは、樹脂を溶液化して補強繊維に含浸させ、その
後脱泡しながら溶媒を除去し、シート状プリプレグとす
る方法である。更に一つは、樹脂を加熱溶融して補強繊
維に含浸し、脱泡し、冷却してシート状プリプレグとす
る方法である。
この様にして得たプリプレグは、繊維と熱可塑性樹脂
の密着性に優れ、繊維含有率も30〜90重量%と要求に応
じて変えることができ、厚みも0.1〜1.0mmと薄く製造す
ることができる。本発明において使用するシート状プリ
プレグはその補強繊維の含有率は、望ましくは30〜90重
量%、好ましくは50〜90重量%である。また、その厚さ
は、望ましくは0.1〜1.0mm、好ましくは0.1〜0.6mmであ
る。
このシート状プリプレグを製造する場合、用いる補強
繊維の表面を次のような処理をするとより好ましい。
例えば、用いる補強繊維がガラス繊維である場合、シ
ラン系、チタネート系、ジルコニウム系のカップリング
剤で処理し、樹脂との密着性を向上させたものを用い
る。
ガラス繊維の場合のカップリング剤は、組合せる熱可
塑性樹脂に応じて最適なものを選ぶ必要があり以下その
具体例を列挙する。
熱可塑性樹脂がナイロン樹脂であれば、γ−アミノプ
ロピル−トリメトキシシラン、N−β−(アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン等を使
用する。
ポリカーボネート樹脂であれば、γ−アミノプロピル
−トリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−
アミノプロピル−トリメトキシシラン等を使用する。
ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレ
フタレートであれば、β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチル−トリメトキシシラン、γ−グリシドキシ
−プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル−
トリメトキシシラン等を使用する。
ポリエチレンまたはポリプロピレンであれば、ビニル
トリメトキシシラン、ビニル−トリス−(2−メトキシ
エトキシ)シラン、γ−メタクリロキシ−プロピルトリ
メトキシシラン等を使用する。
ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィ
ド、ポリスルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエ
ーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミ
ド、ポリアリレート、フッ素樹脂であれば、上述したカ
ップリング剤も当然使用できるが、その他にN−(β−
アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、p−アミ
ノフェニルトリエトキシシラン等を使用できる。
補強繊維がガラス繊維以外の場合は、アミン硬化型の
エポキシ樹脂をカップリング剤として処理する場合が多
く、エポキシ樹脂の具体例としてはビスフェノールA型
エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式系エ
ポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、グリシジルエステ
ル型エポキシ樹脂等がある。
カップリング剤を繊維表面に施す方法は以下の通りで
ある。
即ち、集束剤を除去した繊維に、カップリング剤を0.
1〜3重量%溶解した液を、浸漬、噴霧、塗布等の手段
により完全に含浸させる。
このカップリング剤溶液を含んだ繊維を60〜120℃で
乾燥し、カップリング剤を繊維表面に反応させる。乾燥
時間は溶媒が揮散してしまう時間で充分で15〜20分位で
ある。
カップリング剤を溶解する溶媒は、使用する表面処理
剤に応じて、pH2.0〜12.0位に調整した水を用いる場合
と、エタノール、トルエン、アセトン、キシレン等の有
機溶剤を単独であるいは混合して使用する場合とがあ
る。
上述のようにして得られた熱可塑性樹脂と繊維状補強
材から成る板状材料と、一方向に配列した繊維または織
布に熱可塑性樹脂を含浸させたシート状プリプレグを用
い、例えば次のような各種の方法により成形体を製造す
ることができる。
(1)金型内のリブ形状部および金型内の間隙が狭くて
板状材料中の樹脂の進入は可能であるが繊維状補強材の
流入が困難な箇所が有る金型を用いる場合には、あらか
じめ所望の大きさおよび量のシート状プリプレグをその
熱可塑性樹脂の流動可能温度以上に保温し、これをリブ
形状部または金型内の間隙に十分に充填し、この後、そ
の熱可塑性樹脂の流動可能温度以上に保温された板状材
料を金型内に投入し、次いで金型を短時間で圧縮し、賦
形、脱泡および冷却を行ない成形を完了する。なおこの
場合、板状材料の樹脂とプリプレグの樹脂は同じである
ことが好ましい。また、金型内の間隙とは、その成形に
おいて、板状材料が侵入困難な部分を意味する。特にそ
の間隙が2mm以下の場合、本発明の効果は顕著である。
この方法(1)により得られる成形体は、リブ形状
部、狭部共に強度が補強されており、実用的に価値の高
いものである。
(2)成形体の形状の変形し易い箇所またはクラックが
生じ易い箇所(例えば箱型成形体を例にとると箱型の底
部および曲部)にシート状プリプレグが位置するよう
に、あらかじめ板状材料上の任意の箇所にシート状プリ
プレグの所定の枚数を重ねておく。これを熱可塑性樹脂
の流動開始温度以上に保温し、次いで金型を短時間で圧
縮し、賦形、脱泡および冷却を行なう。この場合も、板
状材料の樹脂とプリプレグの樹脂は同じであることが好
ましい。
この方法(2)では、シート状プリプレグを板状材料
の表面、裏面の何れか一方もしくは両方にシート状プリ
プレグを配置させるので、シート状プリプレグを板状材
料の間に挟んで板状材料の中心部分に配置させる場合よ
りも非常に強度向上が著しい。また、この様な方法によ
り、大容量から小容量まで各種の成形品を、亀裂、変形
の心配無く製造することができる。
また、これらの方法(1),(2)は、必要に応じて
併用してもよい。
シート状プリプレグは、補強したい箇所に任意の枚数
重ねて用いてもよいが、その場合10枚程度以下が望まし
い。また、補強繊維の配列方向が一方向に集中しないよ
うに、繊維方向を交互に交わるように重ねることも望ま
しい。シート状プリプレグの使用量は、成形体全体の10
重量%以内が望ましい。
本発明の方法における成形は、スタンピング成形によ
り行なうことが好ましい。スタンピング成形において
は、板状材料およびシート状プリプレグを金型内に投入
する前に、通常はそれらを樹脂流動開始温度以上に保温
する。その温度は、樹脂流動開始温度よりも30℃以上高
い温度であることが好ましい。また、金型は、流動開始
温度以下に設定されたものが通常用いらる。この金型温
度としては、(樹脂流動開始温度−30)℃未満が望まし
く、常温でも可能である。また、スタンピング成形法で
成形を行なう場合は、板状材料の大きさを上又は下金型
の表面積の70%以上にして、型内に投入するのが一般的
である。
また、スタンピング成形以外の方法を用いてもよい。
例えば、板状材料およびシート状プリプレグをプレスに
装着した金型中で樹脂は初期流動可能温度以上であり、
成形体の表面積1cm2当り1〜300kg/cm2の圧力で、10秒
〜60分間保持させて樹脂がガラス転移温度以下に冷却し
てから脱型する、いわゆるプレス成形法、あるいは真空
下で樹脂流動可能温度以上に加熱した後、20kg/cm2以下
の圧力で賦形、脱泡後、ガラス転移温度以下に冷却して
から脱型する、いわゆるオートクレーブ成形法などを用
いることができる。
樹脂の流動可能温度は、例えば、ポリスチレン、ポリ
プロピレン、ポリエチレン、AS樹脂、ABS樹脂、ASA樹
脂、ポリメチルメタクリレート、ナイロン、ポリアセタ
ールであれば210℃、ポリエチレンテレフタレート、フ
ッ素樹脂であれば230℃、ポリフェニレンオキシドであ
れば250℃、ポリカーボネートであれば270℃、ポリフェ
ニレンスルフィド、ポリスルフォンであれば320℃、、
ポリエーテルサルフォンであれば360℃、ポリエーテル
エーテルケトンであれば370℃、ポリエーテルケトン、
ポリイミド、ポリアリレートであれば390℃である。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例および比較例により更に詳細に
説明する。
以下の実施例および比較例に使用する熱可塑性樹脂と
繊維状補強材から成る板状材料は、第1表に示した熱可
塑性樹脂と繊維状補強材の組み合せのものを使用した。
板状材料aは、宇部日東化成株式会社から「アズデル」
の商品名で販売されているものである。「アズデル」に
使用されている熱可塑性樹脂はポリプロピレンであり、
ガラス繊維含有率は40重量%である。
板状材料b〜dは、以下に記述する方法で調整した。
繊維状補強材の上下に、設定した繊維含有率になるよ
うに計算された厚さの樹脂シートを置き、この積層体を
270℃に加熱した金型内に投入し、50kg/cm2の圧力で5
分間加圧し、10℃/分の冷却速度で50℃まで冷却後金型
から脱型し、板状材料を調整した。調整した板状材料の
厚さ、繊維状補強材含有率を第1表に合せて示した。
本発明の実施例に使用する一方向に配列した繊維を用
いたシート状プリプレグは、特開昭61−229535号に記載
されている様に、γ−メタクリロキシ−プロピルトリメ
トキシシランを表面処理した13μmのモノフィラメント
が1600本集束されて成るヤーンを100本均一張力で引っ
張りながら巾200mmに引きそろえて、引っ張りながら熱
溶融した熱可塑性樹脂に接触させて熱ロールで樹脂をし
ごきながら含浸し製造した。
また、織布を使用したシート状プリプレグは、織布を
巾200mmのロール状にして、特開昭61−229535号に記載
されている様に、張力を加えて引っ張りながら熱溶融し
た熱可塑性樹脂に接触させて熱ロールで樹脂をしごきな
がら含浸し製造した。
シート状プリプレグに使用したマトリックス樹脂、補
強繊維および補強繊維含有率を第2表に示す。ここで、
ガラス織布とカーボン織布については樹脂を含浸させる
前に次の処理を施した。
ガラス織布については、ガラス織布(ユニチカ製、H2
01FT)を400℃で10時間ヒートクリーニングした後、γ
−アミノプロピルトリメトキシシランを0.3重量%溶解
した水中を通しながら、100〜110℃の温度で10分間乾燥
した。
カーボン織布については、カーボン織布(東レ製、♯
6343)をアセトンに浸漬して洗浄し、空気中で風乾した
後、100℃の温度で10分間乾燥してカーボン織布を得
た。
実施例1 厚さ3mmの板状材料a(図中1)、を150mm(図中W1)
×180mm(図中L1)の大きさに切断した。
厚さ0.3mmのプリプレグAを30mm(W2)×100mm(L2)
と30mm(W3)×130mm(L3)の大きさに各々2枚切断し
た。但し、長さ30mmの辺にプリプレグの繊維配列方向
(8)が平行になるように切断した。
第1図に示したように、板状材料a(1)の上にプリ
プレグ(2)および(3)を、箱型成形体の底部の稜線
に相当する4箇所の部分に1枚づつ置いた。この積層体
を250℃の遠赤外線オーブン中で2分間予熱し、プリプ
レグ側の面が箱型成形体の内側になる方向で、70℃に加
熱した金型中に投入した。次いで、10秒以内に型締め
し、30秒間50トンの圧力で加圧後脱型し、第2図および
第3図に示す箱型成形体(5)を得た。
この箱型成形体(5)は、耐変形性を評価するのに好
都合に設計したものである。以下に、この具体的寸法を
示す。
L5=150mm、W5=120mm、H5=45mm、 C5=10mm、T1=1.5゜、T2=5゜、 R1=曲率半径10R、R2=5R、 R3=15R、R4=2R、R5=2R、 R6=5R、R7=5R この箱型成形体の変形度合いを評価する目的で、この
箱型成形体の長辺中央部の箱内側へのソリを測定し、そ
の結果を第3表に示した。
また、この箱型成形体の耐破壊荷重の測定を以下の方
法で行なった。即ち、この箱型成形体を伏せた状態で底
面の中央部から厚さ5mmのゴムを介して直径20mm高さ40m
mの丸棒を載荷板として、載荷速度5mm/分の条件で載荷
し破壊する荷重を求めた。その結果を第3表に示した。
実施例2 プリプレグAを30mm×100mmと30mm×130mmの大きさに
各々4枚切断し、箱型成形体の底部の稜線に相当する部
分4箇所に2枚づつ置く以外は実施例1と全く同様にし
て箱型成形体を得た。この箱型成形体の変形度、耐破壊
荷重を実施例1と同様に測定した。その結果を第3表に
示す。
実施例3 プリプレグAを30mm×100mmと30mm×130mmの大きさに
各々6枚切断し、箱型成形体の底部の稜線に相当する部
分4箇所に3枚づつ置く以外は実施例1と全く同様にし
て箱型成形体を得た。この箱型成形体の変形度、耐破壊
荷重を実施例1と同様に測定した。その結果を第3表に
示す。
実施例4 プリプレグAを30mm×100mmと30mm×130mmの大きさに
各々8枚切断し、箱型成形体の底部の稜線に相当する部
分4箇所に4枚づつ置く以外実施例1と全く同様にして
箱型成形体を得た。この箱型成形体の変形度、耐破壊荷
重を実施例1と同様に測定した。その結果を第3表に示
す。
実施例5 プリプレグAの代りにプリプレグBを使用する他は実
施例2と同様にして箱型成形体を得た。この箱型成形体
の変形度、耐破壊荷重を実施例1と同様に測定した。そ
の結果を第3表に示す。
実施例6 プリプレグAの代りにプリプレグCを使用する他は実
施例4と同様にして箱型成形体を得た。この箱型成形体
の変形度、耐破壊荷重を実施例1と同様に測定した。そ
の結果を第3表に示す。
実施例7 プリプレグAの代りにプリプレグDを使用する他は実
施例2と同様にして箱型成形体を得た。この箱型成形体
の変形度、耐破壊荷重を実施例1と同様に測定した。そ
の結果を第3表に示す。
実施例8 プリプレグAの代りにプリプレグE、板状材料aの代
わりに板状材料bを使用し、板状材料が3mmから10mmへ
と3.3倍厚くなった分板状材料の大きさを180mm×150mm
から、100mm×80mmと変えた以外は、実施例2と同様に
して箱型成形体を得た。この箱型成形体の変形度、耐破
壊荷重を実施例1と同様に測定した。その結果を第3表
に示す。
実施例9 プリプレグAの代りにプリプレグF、板状材料aの代
わりに板状材料cを使用し、遠赤外線オーブンの温度を
280℃とする他は、実施例2と同様にして箱型成形体を
得た。この箱型成形体の変形度、耐破壊荷重を実施例1
と同様に測定した。その結果を第3表に示す。
実施例10 プリプレグAの代りにプリプレグG、板状材料aの代
わりに板状材料dを使用する以外は、実施例3と同様に
して箱型成形体を得た。この箱型成形体の変形度、耐破
壊荷重を実施例1と同様に測定した。その結果を第3表
に示す。
実施例11 厚さ3mmの板状材料a(1)を150mm(W1)×180mm(L
1)の大きさに切断した。
厚さ0.5mmのプリプレグBを30mm(W4)×130mm(L4)
の大きさに4枚切断した。但し、長さ30mmの辺にプリプ
レグの繊維配列方向(8)が平行になるように切断し
た。
第4図に示したように、板状材料a(1)の上にプリ
プレグ間の間隔(D4)を100mmとして、プリプレグを2
枚重ねて厚さ1mmに積層した。この後、250℃の遠赤外線
オーブン中で2分間予熱し、プリプレグ側の面が箱型成
形体の内側になる方向で、70℃に加熱した金型中に投入
した。次いで、10秒以内に型締めし、30秒間50トンの圧
力で加圧後脱型し、第5図および第6図に示す箱の底面
に2本のリブ(7)を有する箱型成形体(6)を得た。
以下に、この箱型成形体(6)の具体的寸法を示す。
L6=150mm、W6=120mm、H6=45mm、 C6=10mm、T1=1.5゜、T2=5゜、 T3=1.5゜、T4=1.5゜、L7=100mm、 W7=4mm、D7=75mm、H7=10mm、 R1=曲率半径10R、R2=5R、 R3=15R、R4=2R、R5=2R、 R6=5R、R7=5R、R8=3R、 R9=3R この箱型成形体の強度評価を、落球衝撃試験と耐破壊
荷重の測定により実施した。落球衝撃試験は以下の方法
で行なった。即ち、この箱型成形体を伏せた状態で底面
の中央部から厚さ5mmのゴムを介して直径100mmの鋼球を
箱型成形体の上方40cmの高さから自然落下させてリブ部
分の破壊状況を観察した。耐破壊荷重の測定は、実施例
1と同様の方法で行なった。その結果を第4表に示す。
実施例12 厚さ3mmの板状材料a(1)、を150mm(W1)×180mm
(L1)の大きさに切断した。
厚さ0.5mmのプリプレグBを30mm(W4)×130mm(L4)
の大きさに各々2枚切断した。但し、長さ30mmの辺にプ
リプレグの繊維方向(8)が平行になるように切断し
た。
次いで、プリプレグAを繊維方向に長さ95mm、繊維直
角方向に200mmの大きさに2枚切断した。切断したプリ
プレグAを各々繊維方向が円柱軸になるように円柱状に
丸めた。丸めたプリプレグAを、プリプレグAの円柱軸
とプリプレグBの長辺方向が一致する向きで、プリプレ
グB上の中央に置き、板状材料と、プリプレグを別々
に、250℃の遠赤外線オーブン中で2分間予熱した。次
いで、第5,6図に示した箱型形状が成形できる金型を70
℃に加熱したリブの中にまず予熱したプリプレグを、プ
リプレグBがリブの外側になるようにして、プリプレグ
Aを詰め込んだ後、板状材料を投入して積層体を投入し
た。次いで、10秒以内に型締めし、30秒間50トンの圧力
で加圧後脱型し、箱型成形体を得た。
この箱型成形体の落球衝撃試験と耐破壊荷重の測定を
実施例11と同じ方法で行なった。その結果を第4表に示
す。
比較例1 板状材料aを150mm×180mmに切断し、250℃の遠赤外
線オーブン中で2分間予熱し、第2,3図に示した箱型形
状が成形できる70℃に加熱した金型中に投入した。次い
で10秒以内に型締めし、30秒間50トンの圧力で加圧後脱
型し、箱型成形体を得た。この箱型成形体の変形度、耐
破壊荷重の測定を実施例1と同様に測定した。その結果
を第3表に示す。
比較例2 プリプレグの代りに厚さ1mmの板状材料aを実施例1
と同様の寸法に各々2枚切断し、厚さ3mmの板状材料a
の上に、厚さ1mmの板状材料aを実施例1と同様に積層
し、成形を行ない箱型成形体を得た。この箱型成形体の
変形度、耐破壊荷重を実施例1と同様に測定した。その
結果を第2表に示す。
比較例3 プリプレグBを使用しないことを除いては実施例11と
同様にして箱型成形体を得て、落球衝撃試験を行なっ
た。その結果を第4表に示した。
なお、実施例および比較例で使用する金型から得られ
る成形体の形状を第2,3図および第5,6図に示したが、こ
の金型の表面積は約380cm2であり、投入する板状材料の
大きさは、第1図および第4図に示した様に、金型表面
積の約70%になるように設定したものである。また、こ
の成形体の板厚さは約2mmになる様に金型の設定がされ
ており、厚さ3mmの板状材料を第1図および第4図に示
した大きさで投入することにより、厚さ2mmの成形体に
賦形される。したがって、板状材料を厚くする場合は、
3mmから厚くなった倍率分、板状材料の面積を減らせば
よい。
また、シート状プリプレグの投入枚数は、できるだけ
少ない方が生産性も良好であることから、板状材料との
組合せで最も性能的に効果の出る枚数を試行錯誤で決定
すればよい。
〔発明の効果〕 以上説明した本発明によれば、例えば、リブ形状部や
狭部の強度が補強された成形体が得られ、大容量から小
容量まで各種の成形品を、亀裂、変形の心配無く得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
第1図および第4図は、成形前にシート状プリプレグを
板状材料上に部分的に積層した例を示す図、第2図およ
び第5図は実施例および比較例で得た箱型成形体の平面
図、第3図および第6図はその箱型成形体の側面図であ
る。 1……板状材料 2,3,4……シート状プリプレグ 5,6……箱型成形体 7……リブ 8……繊維配列方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岸 智 神奈川県横浜市栄区飯島町2882 (56)参考文献 特開 昭63−247012(JP,A) 特開 昭62−240514(JP,A) 特開 平3−1914(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 43/00 - 43/58 B32B 1/00 - 35/00

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維状補強材と熱可塑性樹脂とから成る板
    状材料を用いて任意の形状を有する成形体を製造する場
    合において、 (i)繊維状補強材含有率が30〜70重量%である板状材
    料を用い、前記熱可塑性樹脂の流動に該繊維状補強材が
    追従しないと予測される箇所または強度を特に強くした
    い箇所に、一方向に配列してなる繊維または織布に熱可
    塑性樹脂を含浸してなるシート状プリプレグを板状材料
    上および/または金型内に配置する工程と、 (ii)前記板状材料を該板状材料の熱可塑性樹脂の流動
    可能温度以上に保温し、且つ前記シート状プリプレグを
    該シート状プリプレグの熱可塑性樹脂の流動可能温度以
    上に保温し、それらを該金型内で圧縮することにより一
    体成形する工程と を含むことを特徴とする繊維強化プラスチック成形体の
    製造法。
  2. 【請求項2】板状材料を構成する繊維状補強材が、マッ
    ト状の補強材である請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】板状材料が、繊維状補強材に熱可塑性樹脂
    を含浸してなるものである請求項1記載の製造法。
  4. 【請求項4】金型内のリブ形状部および金型内の間隙が
    狭くて板状材料中の樹脂の進入は可能であるが繊維状補
    強材の流入が困難である箇所に、あらかじめ任意の形状
    に裁断したシート状プリプレグを所定の枚数載置させた
    後、板状材料を充填させて成形する工程を有する請求項
    1記載の製造法。
  5. 【請求項5】成形体の形状により特に強度を補強したい
    箇所にシート状プリプレグがくる様に、あらかじめ板状
    材料上の任意の箇所にシート状プリプレグを1枚または
    それ以上重ねて成形する工程を有する請求項1記載の製
    造法。
  6. 【請求項6】板状材料の厚さが1〜10mmである請求項1
    記載の製造法。
  7. 【請求項7】シート状プリプレグの厚さが0.1〜1.0mmで
    ある請求項1記載の製造法。
  8. 【請求項8】シート状プリプレグの繊維または織布の含
    有率が30〜90重量%である請求項1記載の製造法。
  9. 【請求項9】繊維状補強材と熱可塑性樹脂とから成る繊
    維状補強材含有率が30〜70重量%の板状材料から成形さ
    れた成形体であって、成形時に該熱可塑性樹脂の流動に
    該繊維状補強材が追従しないと予測される箇所または強
    度を特に強くしたい箇所について、一方向に配列してな
    る繊維または織布に熱可塑性樹脂を含浸してなるシート
    状プリプレグを部分的に板状材料に一体成形させてなる
    繊維強化プラスチック成形体。
JP2-238980A 1989-10-03 1990-09-11 繊維強化プラスチック成形体およびその製造法 Expired - Lifetime JP3027172B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25707289 1989-10-03
JP1-257072 1989-10-03

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03205115A JPH03205115A (ja) 1991-09-06
JP3027172B2 true JP3027172B2 (ja) 2000-03-27

Family

ID=

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0295820B1 (en) Resin transfer molding core,preform and process
US4992127A (en) Process for preparing fiber-reinforced thermoplastic molded articles using notched prepreg containing continuous fiber
EP0595607B1 (en) Composite molded article and method for making same
KR920002332B1 (ko) 섬유강화 플라스틱 구조물 및 그 제조방법
JP5706402B2 (ja) 複合積層構造物に熱可塑性樹脂および/または架橋性樹脂を送達する方法
US3664909A (en) Needled resin fibrous article
US4990207A (en) Process for preparing fiber-reinforced thermoplastic molded articles
KR920009939B1 (ko) 섬유강화 플라스틱 성형체 및 그 제조법
JP2004504962A (ja) 先進的複合構造体の製造方法及び装置
KR20160078453A (ko) 폼 코어들을 갖는 샌드위치 타입의 구성의 프로파일들의 연속적인 제조 및 강성의 폼이 충전된 프로파일
TW201533109A (zh) 複合物的一次完成製法
EP0637510A1 (en) Prepreg and laminate structure
EP0580423B1 (en) Laminated molding
US5122213A (en) Prestressed article and method
JP3027172B2 (ja) 繊維強化プラスチック成形体およびその製造法
US6054003A (en) Method of producing a fiber-reinforced, three-dimensional product
JPH085080B2 (ja) 繊維強化熱可塑性プラスチツクの製造法
US20200406563A1 (en) Method and process to produce advanced theromoplastic based composite material parts
JP3109197B2 (ja) 積層体による自動車部品成形体
JPH04259515A (ja) 構造体
EP1507646B1 (en) A method of producing a three-dimensional article having a sandwich structure
JP2022516512A (ja) 複合材料の機械的成形
JPH0788998A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂積層体
JP2009160879A (ja) 強化繊維樹脂構造体の製造方法
JP2023510605A (ja) 複合材料の自動化された機械的成形