JP3024154B2 - チトクロムP450c▲下2▼▲下5▼遺伝子 - Google Patents

チトクロムP450c▲下2▼▲下5▼遺伝子

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、チトクロムP450C25をコードする遺伝子に
関する。本発明により得られた遺伝子を微生物細胞など
で発現させることにより、該酵素を工業的に生産し、活
性型ビタミンD3の製造プロセスへ利用することができ
る。
〔従来技術および問題点〕
チトクロムP450(以下P450と略する)は微生物から哺
乳動物にいたるまで広く生物界に存在するヘム酵素であ
り、広範囲の脂溶性化合物に対して、1原子酵素を添加
する反応を触媒する。P450の示す広範囲の基質特異性
は、1つには、P450の分子多様性に起因する。すなわ
ち、生物界には多数のP450分子種が存在し、それぞれの
P450分子種は異なる基質特異性を示す。しかしながら、
P450に電子を供給する経路は共通であり、哺乳動物の小
胞体では、主として、分子内にフラビンアデニンジヌク
レオチドとフラビンモノヌクレオチドを含むNADPH−チ
トクロムP450還元酵素がNADPHから供給される電子を、
それぞれのP450分子種へ伝達する役割をはたす。一方、
ミトコンドリアでは、フラビンアデニンジヌクレオチド
を含むNADPH−フェレドキシン還元酵素、および、非ヘ
ム鉄を含むフェレドキシンの2種類の酵素が、NADPHか
らP450への電子伝達に関与する。
活性型ビタミンD3は、カルシウム代謝調節ホルモンと
して、小腸におけるカルシウム,リンの吸収作用を示す
ほか、骨髄性白血病細胞株などに対する分化誘導作用を
示すなど、重要なビタミンの1つである。ビタミンD3
活性型ビタミンD3(1α,25−ジヒドロキシビタミン
D3)へ活性化されてから生理作用を示す。この活性化
は、肝におけるビタミンD3の25位水酸化による25−ヒド
ロキシビタミンD3の生成、ついで、腎における25−ヒド
ロキシビタミンD3の1α位水酸化による1α,25−ジヒ
ドロキシビタミンD3の生成という2つの臓器での代謝交
換を必要とする。これらの水酸化反応にP450が関与する
ことは明らかになっていたが、その酵素の性質などは不
明であった。
本発明者らは、ラットの肝ミクロソームからビタミン
D3の25位水酸化を触媒するP450分子種を精製し、その性
質を明らかにした(S.Hayashi etal.,ジャーナル オブ
バイオケミストリー,99巻,1753−1763頁,1986年)。
また、このP450分子種がオスラットの肝ミクロソームか
ら精製されたP450M-1と免疫化学的に相同性の高いこと
を見いだした(S.Hayashi et al.,ジャーナル オブ
バイオケミストリー,103巻,853−857頁,1988年)。しか
しながら、P450M-1をコードする遺伝子を酵母細胞に発
現させた場合、P450M-1が触媒するテストステロンの16
α位水酸化活性は検出されたものの、ビタミンD3の25位
水酸化活性は検出できなかったことから、両分子種は互
いに異なると考えられた(S.Hayashi et al.,ジャーナ
ル オブ バイオケミストリー,103巻,858−862頁、198
8年)。一方、H.DahlackとK.Wikvallはウサギの肝ミト
コンドリアからビタミンD3の25位水酸化を触媒するP450
分子種の精製を報告した(バイオケミカル ジャーナ
ル,252巻,207−213頁,1988年)。また、ヒトでは、肝ミ
トコンドリアでのみビタミンD3の25位水酸化活性が見い
出されている(H.Oftebro et al.,ジャーナル オブ
リピッド リサーチ,22巻,1254−1264頁,1981年)。し
たがって、ビタミンD3の代謝活性化には肝ミトコンドリ
アのP450の分子種が生理的に重要であることが示唆され
た。そこで、本発明者らは、最近、ラットの肝ミトコン
ドリアから、ビタミンD3の25位水酸化を触媒するP450分
子種を、その活性を指標にして、単一にまで精製するこ
とに成功した。精製したP450標品は、ビタミンD3の25位
水酸化反応のみを特異的に触媒し、活性発現には、ウシ
副腎ミトコンドリアから精製したアドレノドキシン、お
よび、アドレノドキシン還元酵素を必要とすることが判
った(O.Masumoto et al.,ジャーナル オブ バイオロ
ジカルケミストリー,263巻,14256−14260頁、1988
年)。近年、種々の動物種のさまざまな臓器から、P450
の遺伝子がクローニングされており、これらP450を工業
的に生産することも可能である。P450C25はビタミンD3
の代謝活性化の初発反応を触媒する酵素であり、本酵素
を大量生産できれば、活性型ビタミンD3の工業的製造プ
ロセスへの応用が可能になる。そのために、本発明者ら
は、誠意努力してラット肝から、P450C25をコードする
遺伝子のクローニングに成功した。
これにより、P450C25を生産することが可能になった。
すなわち、本発明の第1の目的は、ラット肝P450C25
をコードする遺伝子を提供することにある。好ましい遺
伝子は、下記アミノ酸配列に対応する塩基配列を含む遺
伝子である。
さらに好ましいものは下記塩基配列を含む遺伝子であ
る。
本発明の第2の目的は、ラット肝P450C25をコード遺伝
子を含む組換え体DNAを提供することにある。好ましいD
NAは、宿主細胞内で自己増殖可能な、すなわち、自己増
殖するに必要な塩基配列を含むDNAであり、特に好まし
いのは、本明細書でpLMT25と命名したものである。さら
に、本発明の第3の目的は、ラット肝P450C25をコード
する塩基配列を含み、微生物細胞内で自己増殖可能なDN
Aを保持する形質転換微生物を提供することにある。特
に好ましい微生物は本明細書中で、E.coli JM105/pLMT2
5と命名したものである。
一般に、遺伝子組換え技術により、特定の酵素あるい
は蛋白質を発現させるためには、次の工程が必要であ
る。
(1) 目的とする酵素をコードするDNA断片の調製 一般に、ある酵素をコードする遺伝子断片の調製は、
その酵素に対応した塩基配列を含む遺伝子を供与体細胞
から取り出し、制限酵素などで処理することにより、行
なうことができるが、真核生物細胞の遺伝子はそのまま
では原核生物中で発現しないことが多いので、mRNAを調
製し、これに相補的なcDNAを作製する方が便利である。
本発明のラット肝P450C25をコードする遺伝子は、ラ
ット肝から調製したmRNAを用いて、ラムダgt11をベクタ
ーとするcDNAライブラリーを作製し、このライブラリー
をP450C25に対する抗体を用いた免疫化学的手法により
スクリーニングして取得した。しかしながら、cDNAのク
ローニング方法は、これに限るわけでなく、例えば、mR
NAから逆転写酵素により作製した2本鎖cDNAをホモポリ
マー法で、pBR322などのベクターに挿入する方法、Okay
ama−Bergのクローニングベクター(ファルマシア社)
など市販のクローニングベクターを用いる方法など、い
ずれの方法でもよい。
また、cDNAの選抜方法に関しても、免疫化学的手法の
ほかに、合成DNAを用いたハイブリダイゼーションによ
るスクリーニング法、ポジティブハイブリダイゼーショ
ントランスレーションアッセイを用いたスクリーニング
法、目的とする酵素機能を欠損した変異株における変異
の相補性を指標としたスクリーニング法など、種々の方
法を用いることができる。選抜取得したcDNAは、その塩
基配列を決定することにより、P450C25をコードする遺
伝子であることを確認することができる。
(2) 組換え体DNAの製造 目的とする遺伝子を含むDNA断片は、そのまま宿主
(微生物)細胞に入れても増殖しないので、プラスミド
のような細胞内で増殖可能な染色体外遺伝子をベクター
として、組換え体DNAを作製する。ベクターとしては、
宿主細胞内での複製に必要な遺伝情報を含み、自律的に
増殖できるものであって、しかも、宿主細胞からの単離
精製が容易であり、検出可能なマーカーを有することが
望ましい。種々のベクターが市販されており、pBR322、
pUC19などが利用できる。ベクターの切断に用いる制限
酵素類も市販されており、これらのベクターへのDNAの
挿入方法は公知である。
(3) 形質転換体の製造および発現 組換え体DNAを適当な宿主細胞、例えば、大腸菌、酵
母等の微生物細胞、あるいは、動物細胞などへ導入する
ことにより、P450C25を産生する形質転換体を製造する
ことができる。DNAの導入方法は、公知の手法に従い、
例えば、CaCl2処理したコンピテント細胞の利用、プロ
トプラスト法、リン酸カルシウム法、電気せん孔法など
を用いることができる。また、それぞれの宿主細胞に適
した発現ベクターを用いることが可能であり、大腸菌用
発現ベクターは種々市販されている。酵母での発現に
は、PGKプロモーター、ADHプロモーター、GAL10プロモ
ーターなどを含む発現ベクターが使用可能であり、ま
た、動物細胞での発現には、SV40プロモーターを含む発
現ベクターなどが利用できる。
サル腎臓由来の培養細胞COS 1細胞は、P450C25の活性
発現に必要なアドレノドキシン、アドレノドキシン還元
酵素の活性を有しているので、この細胞にP450C25を発
現させることにより、ビタミンD3の25位水酸化反応を行
なわせることができる。また、アドレノドキシン、アド
レノドキシン還元酵素については、これら酵素のcDNAが
既にクローニングされており、今回のP450C25cDNAとと
もに微生物細胞へ導入することにより、微生物細胞内で
哺乳動物のミトコンドリア電子伝達系を構成し、ビタミ
ンD3の25位水酸化反応を触媒する微生物細胞を取得する
ことができる。これらの組換え体細胞は、活性型ビタミ
ンD3の製造プロセスへ応用することが可能である。
〔実施例〕
以下に実施例をあげ、本発明をより詳細に説明する。
本発明は以下の実施例にのみ限定されるものではなく、
本発明の技術分野における通常の変更をすることができ
ることはいうまでもない。
実施例1 ラット肝mRNAの調製 ウイスター系雄性ラットの肝約1gをただちに10mM酢酸
ナトリウム(pH4〜5)、1mM DTT、20mM EDTAを含む8M
グアニジン塩酸溶液30mlとともに、ポリトロンホモジナ
イザーを用いてホモジナイズした。ホモジネートを、4,
000rpm10分間遠心し、上清をガーゼで濾過した。これに
等容のエタノールを加え、よく攪拌した後、−20℃で60
分間保冷した。4,000rpm、15分間の遠心分離により得ら
れる沈澱を回収し、再び8Mグアニジン塩酸溶液30mlに溶
解し、1/2容のエタノールを添加し、−20℃で60分間保
冷した。4,000rpm、10分間遠心分離し得られる沈澱に対
して、上記エタノール沈澱を繰り返し、最終的に、沈澱
を10mlの滅菌水に溶解した。2倍容のエタノールを加
え、−20℃で15分間保冷したのち、沈澱を回収し、再び
9.5mlの滅菌水に溶解した。これに0.5ml、3M酢酸ナトリ
ウム(pH4〜5)を加え、さらに20mlのエタノールを添
加し、−20℃15分間保冷した。遠心分離により沈澱を回
収し、エタノールで洗浄後、バキュームオーブンで乾燥
させたのち、滅菌水に溶解した。
つぎに、得られたRNAをオリゴ(dT)セルロースカラ
ムに通し、ポリ(A)を有するmRNAを分画した。滅菌水
に溶解したRNAに、2倍容の平衡化バッファー(0.5M N
aCl,10mMトリス−塩酸,pH7.5,1mM EDTA,0.1%SDS)を加
え、65℃で5分間熱処理を施した。これを、あらかじめ
平衡化バッファーを通したオリゴ(dT)セルロースカラ
ムにかけ、10倍容の平衡化バッファーで洗浄した。素通
り画分のA260の値がゼロであることを確認したのち、カ
ラムに吸着したポリ(A)RNAを滅菌水で溶出した。
実施例2 cDNAライブラリーの作製 調製したmRNAからのcDNA合成は、逆転写酵素によるmR
NAに相補的なcDNAの合成、リボヌクレアーゼHによるRN
A鎖へのニックとギャップの導入、大腸菌DNAポリメラー
ゼIによる修復合成反応を利用して行なった。反応はす
べてファルマシア社から市販されているcDNA合成キット
を用いて、そのプロトコールに従った。すなわち、約5
μgのポリ(A)RNAをエッペンドルフ管にとり滅菌水
を加えて全容を20μlとした。これを65℃で10分間加熱
したのち、氷中で急冷した。ファーストストランドリア
クションミックス(First−strand Reaction Mix)12μ
lにDTT溶液1μlを加え、ついで上記熱変性RNAを加え
たのち、37℃で1時間保温した。これをセカンドストラ
ンドリアクションミックス(Second−Strand Reaction
mix)67μlに添加し、12℃で1時間、続いて22℃で1
時間保温した。さらに、Klenow酵素1μlを添加したの
ち、37℃で30分保冷した。反応混液を100μlのフェノ
ール・クロロホルム(1:1)で処理したのち、水相をSep
hacryl S−200のスパンカラムにかけ、cDNAを回収し
た。回収したcDNAに、EcoRIアダプター5μl、ATP溶液
1μl、T4DNAリガーゼ3μlを加え、12℃で終夜保温
し、cDNAの両端にEcoRIアダプターを付加した。65℃、1
0分間の熱処理によりT4リガーゼを変性させたのち、ATP
溶液10μl、T4ポリヌクレオチドキナーゼ1μlを加
え、37℃、30分間保温し、5′末端をリン酸化した。こ
れを100μlのフェノール・クロロホルム処理したの
ち、水相をスパンカラムにかけ、cDNAを回収した。回収
したDNAをλ gt11ベクターのEcoRI部位に挿入した。
続いて、アマーシャム社から市販されているcDNAクロ
ーニングシステムλ gt11に添付されたパッケージング
エクストラクトを用いて、インビトロパッケージングを
行ない、大腸菌Y1090株に感染させることにより、cDNA
ライブラリーを作製した。パッケージングの方法は、製
品に添付されたプロトコールに従った。
実施例3 P450C25 cDNAクローンのスクリーニング cDNAライブラリーからのP450C25 cDNAクローンの選
抜には、P450C25に対する抗体を用いたスクリーニング
法を実施した。抗体は、精製P450C25標品をRibiアジュ
バントと混合し、Balb/c系雌性マウスを免疫することに
より、調製した。作製したcDNAライブラリーを、プレー
トあたり104個のプラークが生成するように広げた。プ
レートに、あらかじめ10mM IPTG(イソプロピル β−
D−チオガラクトピラノシド)に浸し、風乾しておいた
ニトロセルロースフィルターを重ね、37℃で3時間、つ
いで、4℃で1時間インキュベートした。プレートから
はがしたフィルターを、TBS(50mMトリス塩酸、pH8.0、
150mM NaCl)で洗浄後、3%ゼラチンを含むTBS中にフ
ィルターを浸し、室温で終夜インキュベートした。フィ
ルターを0.05%ツイン20を含むTBS中で15分間ずつ6回
洗浄した。ついで、125I標識抗マウスIgGを添加した1
%ゼラチンを含むTBS中に浸し、室温で2時間インキュ
ベートしたのち、0.05%ゼラチンを含むTBSで1回、再
び0.05%ツイン20を含むTBS中で1回各々洗浄し、フィ
ルターを風乾した。フィルターは、X線フィルムはさん
で−80℃で終夜露光した。
作製したcDNAライブラリーの1.4×106プラークについ
て、上記スクリーニングを実施した結果、10コのポジテ
ィブ プラークを得た。これらのプラークからファージ
DNAを調製し、EcoRIで切断することにより、cDNAインサ
ートを回収し、pUC19のEcoRI部位にサブクローニングし
た。これらのうち、最長のcDNAインサート(1.9kb)を
含むクローンをpLMT25と命名した。
実施例4 pLMT25の制限酵素地図の作製 上記プラスミドを保持する大腸菌JM105/PLMT25を50μ
g/mlアンピシリンを含むL培地(1中にバクトトリプ
トン10g、酵母エキストラクト5g、NaCl10gを含む)中で
培養し、バーンボイムードリの方法に従って、プラスミ
ドDNAを調製した。プラスミドDNAは、種々の制限酵素で
切断し、切断DNA断片のサイズを0.8〜1.0%アガロース
ゲル電気泳動で分析した。その結果、第2図に示す制限
酵素地図を得た。
実施例5 cDNAインサートの塩基配列の決定およびラッ
ト肝臓P450C25のアミノ酸配列 cDNAインサート1.9Kbの塩基配列を決定した。pUC19プ
ラスミドのプライマーあるいは合成DNAをプライマーと
して、7−デアザdGTPおよびシークエナーゼを用いたジ
デオキシ法により塩基配列を決定した。
決定したpLMT25のcDNAインサートの全塩基配列を第1
図に示す。塩基配列の中から、最長のオープンリーディ
ングフレームを検索した結果、第1図に示すように、塩
基番号59から1657番目までが、533アミノ酸をコードで
きるオープンリーディングフレームであることが判明し
た。蛋白質の読み枠としては、塩基を1つずつずらした
他の2つの読み枠も考えられるが、これらでは塩基配列
の途中に終止コドンがあらわれ、みかけの分子量52,500
ダルトンのP450C25をコードできるとは思えなかった。
精製ラット肝P450C25(ジャーナル オブ バイオロ
ジカル ケミストリー、263巻,14256−14260頁にその方
法を記載)のN末端アミノ酸配列をエドマン法により決
定した結果、N末端からAla−Ile−Pro−Ala−Ala−の
配列を読みとることができた。この配列は、第1図に示
すアミノ酸配列の33番目から37番目と完全に一致した。
したがって、アミノ番残基33番目から533番目までの501
アミノ酸残基がP450C25をコードする領域であることが
判明した。また、この501アミノ酸の配列中には、すべ
てのP450分子種で保存されている、ヘム結合に関与する
システイン残基が479アミノ酸残基目に見出され、その
前後のアミノ酸配列も他のP450分子種とよく似ていた。
決定したラット肝P450C25のアミノ酸配列について、
他の蛋白質との相同性を、NBRFデータベースを用いて比
較した。その結果、Anderssonらが報告したウサギ肝ミ
トコンドリアの5β−コレスタン−3α,7α,12α−ト
リオールの26(あるいは27)位水酸化を触媒するP450分
子種と73%の一致を示した。しかしながら、他のP450の
分子種とは、30%以上の相同性は見られなかった。本発
明者らの研究から、ラット肝ミトコンドリアのビタミン
D325位水酸化酵素と5β−コレスタン−3α,7α,12α
−トリオール27位水酸化酵素は酵素学的に同一のP450分
子種と考えられている。したがって、本発明で決定した
アミノ酸配列はラット肝ミトコンドリアのビタミンD3
25位水酸化反応を触媒するP450C25に相当することが明
らかになった。
一方、P450C25などのミトコンドリアに局在する蛋白
質の多くは、細胞質で分子量の大きい前駆体として合成
されたのち、ミトコンドリアへ郵送されるとともに、N
末端のミトコンドリア輸送シグナルが切断され、成熟酵
素となることが知られている。第1図に示すN末端から
32番目のアミノ酸配列中には、ミトコンドリア輸送シグ
ナルの特徴と考えられる両親媒性がみられた。すなわ
ち、32アミノ酸残基の配列は、リジン残基1コとアルギ
ニン残基5コを含み、他に18コの疎水性アミノ酸を含ん
でいた。以上の結果から、ラット肝P450C25は、32アミ
ノ酸残基から成るミトコンドリア輸送シグナルを有し、
成熟酵素の分子量が57,182ダルトン(501アミノ酸残
基)であることが明らかになった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、pLMT25のcDNAインサート部分の塩基配列と、
それから推定されるラット肝P450C25のアミノ酸配列を
示す。P450C25のコーディング領域は、塩基番号59から1
657番目に相当する。また、このうち、塩基番号155から
1657番目が成熟P450C25に相当する。図中、矢印で示し
た部位はシグナル配列の切断位置を、また、下線を施し
た5アミノ酸残基は精製P450C25標品で決定したN末端
アミノ酸配列を示す。P450で配列の保存されたヘム結合
領域に破線を施した。 第2図は、ラット肝P450C25をコードするcDNAクローンp
LMT25の制限酵素地図を示す。図中、太い黒線は本酵素
をコードするDNA領域を示す。また、図中の矢印は、DNA
塩基配列を決定した方向および領域を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00,1/21 CA(STN) BIOSIS(DIALOG) WPIDS(STN)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記アミノ酸配列をコードする塩基配列を
    含むラット肝チトクロムP450C25遺伝子
  2. 【請求項2】下記塩基配列を含むラット肝チトクロムP4
    50C25遺伝子
  3. 【請求項3】下記アミノ酸配列をコードする塩基配列を
    含むラット肝チトクロムP450C25遺伝子を含み、大腸菌
    内で自己増殖可能な組換えDNA
  4. 【請求項4】下記塩基配列を含むラット肝チトクロムP4
    50C25遺伝子を含み、大腸菌内で自己増殖可能な組換えD
    NA
  5. 【請求項5】下記塩基配列を含むラット肝チトクロムP4
    50C25遺伝子がpUC19のEcoRI部位に挿入されてなる組換
    えDNA
  6. 【請求項6】特許請求の範囲第3項記載の組換えDNAを
    保持する大腸菌株
  7. 【請求項7】特許請求の範囲第4項記載の組換えDNAを
    保持する大腸菌株
  8. 【請求項8】特許請求の範囲第5項記載の組換えDNAを
    保持する大腸菌株
  9. 【請求項9】特許請求の範囲第5項記載の組換えDNAを
    保持するエシェリキア・コリ(Esherichia coli)JM105
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