JP3019997B2 - 表面実装型電気コネクタ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は表面実装型電気コネクタ、特にピン部を有す
る電子デバイスを回路基板の電気トレース（導電路）に
電気的に相互接続する電気コネクタに関する。

〔従来技術とその問題点〕

電子産業界では回路基板（プリント板）の打抜かれた
スルーホールの形状が不規則である打抜き回路基板への
電気相互接続装置に対する要求が生じている。特に、回
路基板の打抜きターミナル（端子）の不規則性は回路基
板から上方に開く上部円錐状部と回路基板から下方に開
く下方円錐状部により定義される。この不規則形状は
（スルー）ホールを形成する打抜き金型による。従来の
試みは一般性質の電気コネクタに十分有用であることが
判っていたが、回路基板の打抜きスルーホールの所定形
状で使用する際には不十分であることが判った。

斯る従来の試みは本件特許発明者の発明に関るヨーロ
ッパ特許番号0135988号に開示されており、電気コネク
タはコンプライアント（弾性）部を有し、対応する断面
を有する回路基板に形成されたスルーホールに電気コネ
クタを接続及び保持するのに特に有効である。しかし、
この種の電気コネクタを上方に開いた円錐状部を有する
打抜き形成されたスルーホールに使用すると、コンプラ
イアント部が上部円錐状部に位置して、このターミナル
の弾性がカム力として作用し、その結果回路基板の上面
からコネクタを押し出すように作用する。更に、上述し
た電気コネクタは打抜き回路基板のスルーホールの側壁
を切削して一様なスルーホールを形成する手段を具えて
いない。更にまた、コンプライアント部はターミナルの
前縁の直後を進まないので、ターミナルの前縁を切削面
として使用する試みは採用できない。

従って、打抜き形成されたスルーホールを有する回路
基板に使用可能な電気コネクタを提供することが本発明
の目的の１つである。

回路基板用の改良保持装置を有する電気コネクタを提
供することが本発明の他の目的である。

〔発明の概要〕

一般に、本発明の表面実装型電気コネクタによると、
打抜かれた部分の両側の一対の弾性アームを形成するタ
ーミナル脚部の側部間にコンプライアント部が形成され
ている電気ターミナルを用いることにより上述した目的
を実現している。

「針穴」と称される電気ターミナルがオルソン発明の
米国特許第4,206,964号に開示されている。この特長は
導体との相互接続面及び回路基板近傍への取付け面を具
える絶縁ハウジングを有することである。このコネクタ
は絶縁ハウジング内に複数のコンタクト（接触子）が配
置され、第１導体接触部が嵌合面の近傍にあり、コンプ
ライアント接続部が下面から延びている。このコンプラ
イアント接続部は打抜き部の両側に２個のばね部材を形
成し回路基板のスルーホールと弾性的に接続されるよう
にする脚部の打抜き部を有するエッジ打抜き脚部を有す
る。

本発明では、コンプライアント接続部がばね部の少な
くとも一方のエッジに脚部のエッジがなす垂直軸を超え
て突出する突起を有することを特長とする。

本発明の好適実施例による回路基板への電気コネクタ
保持装置にあっては、コンプライアント接続部は回路基
板のめっき加工スルーホール用電気接続ターミナルとし
ても使用可能である。

本発明の好適実施例では、突起はコンプライアント接
続部の自由端から斜めに遠ざかる傾斜部により形成され
る。

また、本発明の好適実施例では、エッジ打抜き脚部の
各側縁に突起が形成されている。

更に、本発明の好適実施例では、傾斜部の上方のカッ
プ部により形成されている傾斜部のエッジに肩部が形成
されている。

本発明の好適実施例では、打抜き部は細長いスルーホ
ールである。

本発明の好適実施例のエッジ打抜き脚部は各側縁から
突出する２個の突起を有する。

本発明の好適実施例の突起は、打抜き部に対して垂直
方向の略中心位置に形成されている。

本発明の好適実施例におけるエッジ打抜き脚部の端部
は回路基板のスルーホールより幅広であって、両端に切
削部を有する。

〔実施例〕

以下、添付図を参照して本発明による表面実装型電気
コネクタの実施例を詳細に説明する。

先ず第１図は回路基板にコンパチブルであり且つ嵌合
するコンポーネント（例えばコネクタ）からの複数のピ
ンを受けることが可能な本発明による表面実装型電気コ
ネクタ２の断面図である。電気コネクタ２は内部に複数
の電気ターミナル50を有する絶縁ハウジング４により構
成される。電気ターミナル50は表面実装コンタクト56を
有し、これによりターミナル50を回路基板100のトレー
ス（導電路）に電気的に相互接続する。更に、電気コネ
クタ50はピン部が挿入されるコンプライアント（弾性）
コンタクトアーム62を有する。

絶縁ハウジング４は上部嵌合面６、底面８及び両面6,
8間に連通する複数のターミナル受容溝（チャンネル）1
0を具えている。絶縁ハウジング４は更に複数の開口12
を有し、ターミナル50をハウジング４内に保持する。

電気ターミナル50は基部52及びこの基部から延びる表
面実装脚部54を有し、表面実装コンタクト56は回路基板
100のトレースに向って下方に延びる。電気ターミナル5
0は更に基部52から延出するコンタクト脚部58を具えて
いる。この脚部58はバイト部60を介してコンタクト脚部
に接続されるピン用コンプライアント（弾性）コンタク
トアーム62を有する。保持脚部64は基部52から上方に突
出して絶縁ハウジング４の開口12内に摩擦係合する。

また、相互接続部66は基部52から下方に延び、打抜か
れた細長い部分80を含んでいる。この打抜き部80の両側
部に２個のコンプライアントばね部72を有する。ターミ
ナル50はエッジ打抜きされ、接続部66に剪断された切削
縁68及び側縁70を形成する。更に、ターミナル50はエッ
ジ打抜きコンタクト50の側縁70から突出する複数の突起
82を具えている。この突起82はターミナル50の切削部68
から斜めの角度で上方に延びる傾斜部74により形成され
る。肩部76が傾斜部の端に形成され、傾斜部74の上方に
カップ部78が形成される。本発明の好適実施例では、第
１組の突起82上部に延びる第２組の突起84を有し、更に
カップ部88による肩部86を含んでいる。

上述した如く、本発明による表面実装型電気コネクタ
２は打抜き回路基板用であり、相互接続部66は回路基板
100のスルーホール部102を介してコネクタ２を保持す
る。特に、このコネクタ２は回路基板100の打抜きスル
ーホール102が第１図に示す如く上部104と下部106とを
有する場合に好適である。上述した如く、他の電気コネ
クタは打抜きスルーホール102を有する回路基板100に十
分な強度で保持できなかったが、本発明によると、この
ような場合でも十分使用可能であることが証明されてい
る。

第１図に示す如く回路基板100に取付け保持されるよ
う構成された電気コネクタ２において、切削部68は回路
基板100の上面近傍に係合し、電気コネクタ２を押し下
げると、切削部68が回路基板100の材料を切り進む。更
に、このターミナル50の改良されたばね部により、電気
コネクタ２を回路基板100に良好な機械力で保持し、コ
ネクタ２が誤って回路基板100から抜け、電子デバイス
全体の電気的一体性に影響を生じるのを防止する。

突起82は相互接続脚部66の剪断側縁70からｔだけ突出
することに注目されたい。電気コネクタ２が回路基板10
0内に挿入されると、切削部68は前述した通り、スルー
ホール102内を進み、剪断縁70と傾斜部74の交差による
コーナー71が回路基板100の上面に当って止まる。この
点で、傾斜縁74は回路基板100内へ更に食い込むことは
なく、ばね部72を内方へ曲げて、第２図に示す如く弓状
のばね部となる。電気コネクタ２を回路基板100内に更
に押し込むと、ターミナルは傾斜部74の剪断位置のみで
スルーホール102内を削り続ける。

上述した相互接続部は加熱される環境下で最も効果が
あることが判明している。この場合、回路基板100を構
成する材料が膨張する。例えば、熱により回路基板100
が膨張すると、ばね部72は柔軟性を有し、外方へ曲がり
回路基板のスルーホールの膨張に追従する。これは、突
起82が剪断縁70により形成される垂直アクセスを超えて
突出するという事実による。これにより、各ばねアーム
72が第１図の距離ｔと等しいコンプライアント運動をす
ることができるようにする。換言すると、電気ターミナ
ルの切削面68により切削されるスルーホールの全幅
（ｗ）が両剪断縁70間のターミナルの幅と等しいと、電
気ターミナルのコンプライアントは第２図中に距離（ｄ
−ｗ）で示す距離だけ回路基板の膨張を収容することが
できる。

電気ターミナルの保持機能は傾斜部74の各端に形成さ
れている肩部76の存在により改良されることが判明し
た。これは、電気コネクタ２を回路基板100から引抜こ
うとするときスルーホールの側縁に食い込もうとする。

本発明の好適実施例によると、電気コネクタ２は板厚
1.5mmの回路基板用である。この場合、電気ターミナル5
0は第１図及び第２図に示す如く２個の突起82,84が相互
接続脚部の各側縁70から突出し、細長い打抜き部80に対
して略垂直方向の中心に位置してばねアーム72のコンプ
ライアントが最大になるよう設計している。

しかし、上述した電気コネクタの概念は板厚1mm程度
の薄型の回路基板用に変更することも可能である。この
場合には、第３図に示す電気ターミナルは傾斜部174で
示す単一の突起182を使用する。この場合の突起182はタ
ーミナルの打抜き部180に対して垂直方向に中心があ
り、回路基板100内に挿入されるとき、回路基板の板厚
方向の中心と突起が一致する。

以上、本発明の表面実装型電気コネクタを実施例に則
して詳細に説明したが、本発明は斯る実施例のみに限定
するべきではなく、本発明の要旨を逸脱することなく種
々の変形変更が可能である。

〔発明の効果〕

上述した如く、本発明の表面実装型電気コネクタ２は
打抜き回路基板用であり、相互接続部66は回路基板のス
ルーホール部を介して電気コネクタを確実に保持するこ
とが可能である。斯る電気コネクタは熱が発生して材料
の熱膨張が生じる場合にも良好に適用できる。

また、本発明の表面実装型電気コネクタは電気ターミ
ナルが金属板の打抜き加工により形成可能であるので、
高密度電気コネクタに適用可能である。この場合、複数
電気ターミナルの相互接続部66と表面実装接続部56を交
互に千鳥状に配置すると保持力が安定且つ確実な高密度
の電気コネクタが得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の表面実装型電気コネクタの好適一実施
例を回路基板に実装する前の側断面図、 第２図は第１図の電気コネクタを回路基板に完全に挿入
した状態の側断面図、 第３図は本発明の表面実装型電気コネクタの他の実施例
の側断面図である。 ４……絶縁ハウジング 10……コンタクト受容溝 50……電気ターミナル 62……導体接触部、66……弾性接続部 80……打抜き部、72……ばね部 82,84……突起 100……回路基板

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−47382（ＪＰ，Ａ) 実開 昭56−44476（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭64−55674（ＪＰ，Ｕ) 特許2660443（ＪＰ，Ｂ２) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H01R 23/68 H01R 9/09

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】導体と接続するための嵌合面及び回路基板
   側に位置する底面を有する絶縁ハウジングと、該ハウジ
   ング内に配置され、少なくとも１個の打抜きされた弾性
   接続部を有する複数の電気ターミナルとを具備し、前記
   弾性接続部は、前記回路基板のスルーホールに弾性的に
   接触するために打抜き部により形成された２本の対向す
   るばね部と、該ばね部の少なくとも一方の外縁に設けら
   れた突起とを有する表面実装型電気コネクタにおいて、 前記突起は、前記弾性接続部の自由端から離れる方向に
   斜めに延びる傾斜部により画定され、 該傾斜部の端部に鋭利な肩部が形成され、 前記弾性接続部は、その幅が前記スルーホールの内径よ
   り大きいと共に前記自由端に切削部を有することを特徴
   とする表面実装型電気コネクタ。