JP3015602B2 - 蒸気温度制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、再熱器を有するボイラ
において再熱蒸気の温度を制御する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】再熱器を有するボイラにおいて、再熱蒸
気の温度を制御する従来の技術としては、 １） スプレイ水を投入して再熱蒸気温度を制御する方
法 ２） バーナチルトを上向きまたは下向きにすることに
より火炉出口ガス温度を調整し、再熱蒸気温度を制御す
る方法 ３） 節炭器出口ガスの一部をガス再循環ファンによっ
て炉内に再投入し、ガス量を変化させることにより再熱
蒸気温度を制御する方法 ４） 後部煙道を複数に分割して過熱器を主体とした過
熱器パスと再熱器を主体とした再熱器パスとを設け、各
パスを通過するガス量をガス分配ダンパにより調整して
再熱蒸気温度を制御する方法があった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】炉幅方向（本明細書に
おいては炉の正面から見て左右方向を言う）で左右どち
らかにガス流が偏ると、後部煙道内に設置された再熱器
を構成する伝熱管内の再熱蒸気の温度が、炉幅方向に不
均一となる。そうすると、炉幅方向の複数個所から管内
の蒸気を取出す高温再熱蒸気管にも温度差が生じ、配管
応力やタービン熱応力が発生して、破損・劣化が早くな
る。この問題は、前記のような従来の再熱蒸気温度制御
方法では解決できない。

【０００４】スプレイ水により高い側の再熱蒸気温度を
下げて、バランスさせる方法もあるが、スプレイ水を投
入するとプラント効率が低下するため、常時使用するこ
とは不経済的で好ましくない。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記従来の課
題を解決するために、後部煙道を隔壁で仕切ったパス内
で炉幅方向に複数個設けられたダンパと、同パス内に設
けられた再熱器と、同再熱器を構成する伝熱管を同再熱
器を配置したパス内で炉幅方向に複数の管グループに分
け、各管グループごとに管内の蒸気を取出す再熱蒸気管
と、それら再熱蒸気管内の蒸気温度をそれぞれ検出する
温度検出器と、上記ダンパを炉幅方向に複数のダンパグ
ループに分け、上記温度検出器の検出値に基づいて上記
ダンパの開度をダンパグループごとに調節する制御器と
を備えたことを特徴とする蒸気温度制御装置を提案する
ものである。

【０００６】

【作用】本発明においては、再熱器を配置したパス内で
炉幅方向に複数に分けた管グループごとに再熱蒸気管で
蒸気を取出し、その蒸気温度を温度検出器で検出し、炉
幅方向に複数のグループに分けて設けたダンパを各再熱
蒸気管内の蒸気温度に基づき別々に制御することによ
り、炉幅方向のガス流量分布を調整し、蒸気温度のアン
バランス（不均一）のない状態に制御する。

【０００７】

【実施例】図１は本発明の一実施例を示す縦断側面図、
図２は図１のII−II水平断面図である。これらの図にお
いて、（１）は火炉，（２）は後部煙道である。この後
部煙道は隔壁（３）によって前後に仕切られ、再熱器パ
ス（４Ｒ）と過熱器パス（４Ｓ）に分割されている。再
熱器パス（４Ｒ）内には再熱器（５）と節炭器（８Ｒ）
が設置され、また下端にはガス分配ダンパ（９Ｒ）が炉
幅方向（図１では紙面に垂直な方向、図２では上下方
向）に複数（図示例では８）設けられている。過熱器パ
ス（４Ｓ）内には過熱器（６），蒸発器（７）および節
炭器（８Ｓ）が設置され、また下端には複数のガス分配
ダンパ（９Ｓ）が設けられている。

【０００８】上記再熱器（５）を構成する伝熱管は、炉
幅方向に複数（図示例では２）の管グループに分けら
れ、各管グループごとに管内の再熱蒸気を取出す再熱蒸
気管（１０ａ），（１０ｂ）が設けられている。それら
再熱蒸気管（１０ａ），（１０ｂ）には、蒸気温度を検
出する温度検出器（１１ａ），（１１ｂ）がそれぞれ設
けられている。また、上記複数のガス分配ダンパ（９
Ｒ）は、炉幅方向に複数（図示例では２）のダンパグル
ープＡ，Ｂに分けられている。そして、上記温度検出器
（１１ａ），（１１ｂ）の検出信号に基づいて、制御器
（１２）により、ガス分配ダンパ（９Ｒ）の開度が、グ
ループＡ，Ｂ別に調節されるようになっている。

【０００９】火炉（１）を出た燃焼ガスは、後部煙道
（２）の下部に設けられたガス分配ダンパ（９Ｒ），
（９Ｓ）によって、再熱器（５），節炭器（８Ｒ）を有
する再熱器パス（４Ｒ）と，過熱器（６），蒸発器
（７），節炭器（８Ｓ）を有する過熱器パス（４Ｓ）に
分けられて通過する。２系列の再熱蒸気管（１０ａ），
（１０ｂ）に設けられた温度検出器（１１ａ），（１１
ｂ）で検出された再熱蒸気温度に差が生じた場合には、
再熱器パス（４Ｒ）のガス分配ダンパ（９Ｒ）を，制御
器（１２）によってグループＡ，Ｂ別に制御し、再熱器
パス（４Ｒ）内の左右の通過ガス量を調整することによ
り、２系列の再熱蒸気温度をアンバランス（温度差）な
しの状態に制御する。

【００１０】なお、本実施例では、再熱器パス（４Ｒ）
を２つのグループに分けたが、２つ以上のグループに分
けて制御性を更に向上させることもできる。また、バー
ナチルトシステム，ガス再循環システム等の従来の技術
と組み合せて用いることもできる。また同様の手段によ
り過熱器，蒸発器，節炭器の炉幅方向の温度差を低減す
るのにも活用できる。

【００１１】

【発明の効果】本発明によれば、複数の再熱蒸気管によ
り取出される再熱蒸気の温度不均一を解消させることが
でき、更に温度差によるタービン熱応力発生を緩和する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本発明の一実施例を示す縦断側面図であ
る。

【図２】図２は図１のII−II水平断面図である。

【符号の説明】

（１） 火炉 （２） 後部煙道 （３） 隔壁 （４Ｒ） 再熱器パス （４Ｓ） 過熱器パス （５） 再熱器 （６） 過熱器 （７） 蒸発器 （８Ｒ），（８Ｓ） 節炭器 （９Ｒ），（９Ｓ） ガス分配ダンパ （１０ａ），（１０ｂ） 再熱蒸気管 （１１ａ），（１１ｂ） 温度検出器 （１２） 制御器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 昌久 長崎市飽の浦町１番１号 三菱重工業株 式会社長崎造船所内 (56)参考文献 特開 昭59−142303（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F22G 5/04

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 後部煙道を隔壁で仕切ったパス内で炉幅
   方向に複数個設けられたダンパと、同パス内に設けられ
   た再熱器と、同再熱器を構成する伝熱管を同再熱器を配
   置したパス内で炉幅方向に複数の管グループに分け、各
   管グループごとに管内の蒸気を取出す再熱蒸気管と、そ
   れら再熱蒸気管内の蒸気温度をそれぞれ検出する温度検
   出器と、上記ダンパを炉幅方向に複数のダンパグループ
   に分け、上記温度検出器の検出値に基づいて上記ダンパ
   の開度をダンパグループごとに調節する制御器とを備え
   たことを特徴とする蒸気温度制御装置。