JP3015557B2 - アミノ基を結合した高分子化合物およびその製造方法 - Google Patents
アミノ基を結合した高分子化合物およびその製造方法Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルキル基を介してア
ミノ基を結合したポリエーテルエーテルケトンである高
分子化合物およびその製造方法に関する。
ミノ基を結合したポリエーテルエーテルケトンである高
分子化合物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、エンジニヤリングプラスチックと
しては数多くのものが開発され、実用的に用いられてい
る。これらのエンジニヤリングプラスチックにはそれぞ
れ特徴があるが、ポリエーテルエーテルケトンは極めて
耐熱性、機械的強度に優れたものであり、今後の広い利
用が期待されている。
しては数多くのものが開発され、実用的に用いられてい
る。これらのエンジニヤリングプラスチックにはそれぞ
れ特徴があるが、ポリエーテルエーテルケトンは極めて
耐熱性、機械的強度に優れたものであり、今後の広い利
用が期待されている。
【0003】さて、このポリエーテルエーテルケトン
は、溶媒として濃硫酸しかないため、硫酸に溶解して成
型物を得る方法が一つの有効な方法である。この硫酸自
体は、極性溶媒であると同時にスルホン酸基の導入試薬
である。従って、ポリエーテルエーテルケトンを硫酸に
溶解して加熱あるいは長時間放置することによって、ス
ルホン酸基をポリエーテルエーテルケトンに導入するこ
とが出来る(特公昭63−51174)。このスルホン
酸基の導入量は、条件を適切に選定することによって制
禦することが出来ることが明らかにされている。
は、溶媒として濃硫酸しかないため、硫酸に溶解して成
型物を得る方法が一つの有効な方法である。この硫酸自
体は、極性溶媒であると同時にスルホン酸基の導入試薬
である。従って、ポリエーテルエーテルケトンを硫酸に
溶解して加熱あるいは長時間放置することによって、ス
ルホン酸基をポリエーテルエーテルケトンに導入するこ
とが出来る(特公昭63−51174)。このスルホン
酸基の導入量は、条件を適切に選定することによって制
禦することが出来ることが明らかにされている。
【0004】このようにポリエーテルエーテルケトンは
スルホン酸基のような負の電荷を導入することは知られ
ており、ポリエーテルエーテルケトンが硫酸に溶解する
ことから容易に実施しうるものである。しかし、このポ
リエーテルエーテルケトンは、硫酸のほかに溶解する溶
媒が無い。即ち、ポリエーテルエーテルケトンがハロゲ
ン系溶媒に溶解すれば、例えばハロメチル基の導入をル
イス酸の存在下に実施することが出来るが、ポリエーテ
ルエーテルケトンを溶解する適切なハロゲン系溶媒が存
在しない。従って、スルホン酸基以外の官能基を導入し
たポリエーテルエーテルケトンは今日まで得られていな
い。
スルホン酸基のような負の電荷を導入することは知られ
ており、ポリエーテルエーテルケトンが硫酸に溶解する
ことから容易に実施しうるものである。しかし、このポ
リエーテルエーテルケトンは、硫酸のほかに溶解する溶
媒が無い。即ち、ポリエーテルエーテルケトンがハロゲ
ン系溶媒に溶解すれば、例えばハロメチル基の導入をル
イス酸の存在下に実施することが出来るが、ポリエーテ
ルエーテルケトンを溶解する適切なハロゲン系溶媒が存
在しない。従って、スルホン酸基以外の官能基を導入し
たポリエーテルエーテルケトンは今日まで得られていな
い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ポリエーテルエーテル
ケトンにスルホン酸基以外の反応活性な官能基を導入す
ることが出来れば、この機能性樹脂に更に新しい機能を
賦与することが出来る。特に反応活性なハロメチル基が
導入出来れば、架橋反応を始め、ハロメチル基と反応す
る化合物例えばアミン類を結合させて、正の電荷を有す
るポリエーテルエーテルケトン樹脂とすることが出来
る。このような観点から、ポリエーテルエーテルケトン
をハロアルキル化出来る溶媒について種々のハロゲン系
溶媒の検討を進めたが、適切な溶媒を見出すことが出来
なかった。
ケトンにスルホン酸基以外の反応活性な官能基を導入す
ることが出来れば、この機能性樹脂に更に新しい機能を
賦与することが出来る。特に反応活性なハロメチル基が
導入出来れば、架橋反応を始め、ハロメチル基と反応す
る化合物例えばアミン類を結合させて、正の電荷を有す
るポリエーテルエーテルケトン樹脂とすることが出来
る。このような観点から、ポリエーテルエーテルケトン
をハロアルキル化出来る溶媒について種々のハロゲン系
溶媒の検討を進めたが、適切な溶媒を見出すことが出来
なかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、先にポリ
エーテルエーテルケトンにハロアルキル基を導入する方
法について種々検討した。その結果、ポリエーテルエー
テルケトンが溶解する唯一の溶媒である硫酸がルイス酸
であることから、この硫酸をポリエーテルエーテルケト
ンの溶媒として用いると同時にルイス酸として利用する
ことを考え、実験を試みたところ、特定の条件下にハロ
メチル基が容易に導入されたポリエーテルエーテルケト
ンを得た。
エーテルエーテルケトンにハロアルキル基を導入する方
法について種々検討した。その結果、ポリエーテルエー
テルケトンが溶解する唯一の溶媒である硫酸がルイス酸
であることから、この硫酸をポリエーテルエーテルケト
ンの溶媒として用いると同時にルイス酸として利用する
ことを考え、実験を試みたところ、特定の条件下にハロ
メチル基が容易に導入されたポリエーテルエーテルケト
ンを得た。
【0007】本発明は、上記のようなハロアルキル基が
導入されたポリエーテルエーテルケトンに、さらにアミ
ン類が容易に反応する知見に基づき、本発明を完成する
に至ったものである。即ち、本発明によれば、アルキル
基を介してアミノ基が結合されたポリエーテルエーテル
ケトンの高分子化合物が提供される。また、本発明は、
ポリエーテルエーテルケトンを硫酸に溶解して20℃以
下の温度でハロアルキル化した後、得られたハロアルキ
ル化ポリエーテルエーテルケトンをアミン化合物の溶液
中でアミノ化することを特徴とするアルキル基を介して
アミノ基が結合されたポリエーテルエーテルケトンを提
供する。
導入されたポリエーテルエーテルケトンに、さらにアミ
ン類が容易に反応する知見に基づき、本発明を完成する
に至ったものである。即ち、本発明によれば、アルキル
基を介してアミノ基が結合されたポリエーテルエーテル
ケトンの高分子化合物が提供される。また、本発明は、
ポリエーテルエーテルケトンを硫酸に溶解して20℃以
下の温度でハロアルキル化した後、得られたハロアルキ
ル化ポリエーテルエーテルケトンをアミン化合物の溶液
中でアミノ化することを特徴とするアルキル基を介して
アミノ基が結合されたポリエーテルエーテルケトンを提
供する。
【0008】本発明におけるポリエーテルエーテルケト
ンは、下記式
ンは、下記式
【0009】
【化1】
【0010】のくり返し単位(ユニット)を有する、い
わゆるポリアリールエーテルケトンであり、分子量が1
0000〜100000で従来公知のもので特に制限さ
れない。また、本発明のポリエーテルエーテルケトンに
アルキル基を介して結合されるアミノ基としては、従来
公知の一級、二級、三級、第四級アンモニウム塩基など
である。
わゆるポリアリールエーテルケトンであり、分子量が1
0000〜100000で従来公知のもので特に制限さ
れない。また、本発明のポリエーテルエーテルケトンに
アルキル基を介して結合されるアミノ基としては、従来
公知の一級、二級、三級、第四級アンモニウム塩基など
である。
【0011】したがって、本発明のアルキル基を介して
アミノ基が結合されたポリエーテルエーテルケトンの高
分子化合物は、下記式
アミノ基が結合されたポリエーテルエーテルケトンの高
分子化合物は、下記式
【0012】
【化2】
【0013】で表わされる繰り返し単位を有する。
【0014】(式中、Aは−RN+ (R1 )(R2 )
(R3 )X- または−RN(R1 )(R2 )(R3 )の
いずれかであり、Rはメチル基またはエチル基、R、R
2 およびR3 はそれぞれ炭化水素数1〜12の直鎖状、
分岐状、環状の炭化水素鎖または水素原子、m、m2 お
よびm3 は0、1または2、Xは有機陰イオンまたは有
機陰イオンである。)本発明における製造方法は、先ず
ポリエーテルエーテルケトンを一般に90%以上、好ま
しくは95%以上の硫酸に攪拌下に溶解し、かつ該ポリ
エーテルエーテルケトンにスルホン酸基の導入を防止す
るために硫酸が凍結しない範囲の一般に20℃以下、好
ましくは低温で均一に溶解することが重要である。次い
で、これにハロアルキル化試剤は添加してポリエーテル
エーテルケトンのハロアルキル化を実施する。この場
合、用いられるハロアルキル化試薬としては例えばクロ
ルメチルメチルエーテル、ブロムメチルメチルエーテ
ル、ヨードメチルメチルエーテル、クロルエチルエチル
エーテル、クロルエチルメチルエーテル等に従来公知の
ハロアルキル化試薬が何ら制限されない。なお、このハ
ロアルキル化反応は、溶媒である硫酸が溶媒として大過
剰に存在する状態での反応であり、極めて反応速度が早
いため、充分にポリエーテルエーテルケトンの硫酸溶液
を均一に攪拌しながら、ハロアルキル化試薬を添加する
必要がある。反応は非常に早く進行するが、反応時間は
10分〜16時間の間で選定される。
(R3 )X- または−RN(R1 )(R2 )(R3 )の
いずれかであり、Rはメチル基またはエチル基、R、R
2 およびR3 はそれぞれ炭化水素数1〜12の直鎖状、
分岐状、環状の炭化水素鎖または水素原子、m、m2 お
よびm3 は0、1または2、Xは有機陰イオンまたは有
機陰イオンである。)本発明における製造方法は、先ず
ポリエーテルエーテルケトンを一般に90%以上、好ま
しくは95%以上の硫酸に攪拌下に溶解し、かつ該ポリ
エーテルエーテルケトンにスルホン酸基の導入を防止す
るために硫酸が凍結しない範囲の一般に20℃以下、好
ましくは低温で均一に溶解することが重要である。次い
で、これにハロアルキル化試剤は添加してポリエーテル
エーテルケトンのハロアルキル化を実施する。この場
合、用いられるハロアルキル化試薬としては例えばクロ
ルメチルメチルエーテル、ブロムメチルメチルエーテ
ル、ヨードメチルメチルエーテル、クロルエチルエチル
エーテル、クロルエチルメチルエーテル等に従来公知の
ハロアルキル化試薬が何ら制限されない。なお、このハ
ロアルキル化反応は、溶媒である硫酸が溶媒として大過
剰に存在する状態での反応であり、極めて反応速度が早
いため、充分にポリエーテルエーテルケトンの硫酸溶液
を均一に攪拌しながら、ハロアルキル化試薬を添加する
必要がある。反応は非常に早く進行するが、反応時間は
10分〜16時間の間で選定される。
【0015】上記の反応において、ポリエーテルエーテ
ルケトンに対するハロアルキル基の結合割合は、上記し
たように反応浴中のポリエーテルエーテルケトンとハロ
アルキル化剤の割合を変えることによって実施すること
が出来る。目的に応じてハロアルキル化の程度を変える
必要があるが、ポリエーテルエーテルケトンのユニット
1に対して0.05〜0.9まで導入することが出来
る。これはハロアルキル基を導入したポリエーテルエー
テルケトンの使用目的によって適宜選定される。反応後
は残余のハロアルキル化試薬を窒素気流によって除去
し、除害したのち大量の水中にハロアルキル基の導入さ
れたポリエーテルエーテルケトン誘導体を含む硫酸を投
入し、沈澱析出させ、ついで充分に水洗することによっ
て、ハロアルキル化されたポリエーテルエーテルケトン
を得ることが出来る。
ルケトンに対するハロアルキル基の結合割合は、上記し
たように反応浴中のポリエーテルエーテルケトンとハロ
アルキル化剤の割合を変えることによって実施すること
が出来る。目的に応じてハロアルキル化の程度を変える
必要があるが、ポリエーテルエーテルケトンのユニット
1に対して0.05〜0.9まで導入することが出来
る。これはハロアルキル基を導入したポリエーテルエー
テルケトンの使用目的によって適宜選定される。反応後
は残余のハロアルキル化試薬を窒素気流によって除去
し、除害したのち大量の水中にハロアルキル基の導入さ
れたポリエーテルエーテルケトン誘導体を含む硫酸を投
入し、沈澱析出させ、ついで充分に水洗することによっ
て、ハロアルキル化されたポリエーテルエーテルケトン
を得ることが出来る。
【0016】次に、本発明の製造方法においては、上記
で得られたハロアルキル化したポリエーテルエーテルケ
トンをアミン化合物の溶液中でアミノ化反応する。即
ち、アミン化合物の溶液中に固体状のハロアルキル化ポ
リエーテルエーテルケトンを浸漬することによって、該
固体ポリマー中にアミン化合物が浸透して、反応を容易
に達成することができる。アミン化合物の溶液は、アミ
ン化合物を溶解し得る溶媒、例えば水、アルコール、ケ
トン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
ジメチルスルホキシドなどに所望のアミン化合物を溶解
させて調製すればよい。アミン化合物としては、従来公
知の一級、二級、三級アミンを結合した化合物、例えば
トリエチルアミン、トリメチルアミン、メチルアミン、
ジメチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテト
ラミン、N,N,N′N−テトラメチルエチレンジアミ
ン、ピリジン、ポリエチレンイミンなどが特に制限なく
用いられる。反応条件は、用いるアミン化合物と溶媒と
の種類によって異なり、一般にそれらの凝固点から沸点
までの温度で反応を早く実施するために、出来るだけ高
い温度で実施することが好ましい。アミノ基のハロアル
キル化ポリエーテルエーテルケトンへの導入量は、特に
反応系に添加するアミン化合物の炭素数とハロアルキル
基との当量数との対比によって決定される。したがっ
て、例えばポリエーテルエーテルケトンに結合している
全てのハロメチル基にアミノ基を導入する場合には、大
過剰のアミン化合物が存在する条件下に反応させること
が望ましい。勿論、反応時間、反応温度などの条件によ
っても、ハロアルキル化ポリエーテルエーテルケトンに
対するアミノ基の結合量を制御することもできる。
で得られたハロアルキル化したポリエーテルエーテルケ
トンをアミン化合物の溶液中でアミノ化反応する。即
ち、アミン化合物の溶液中に固体状のハロアルキル化ポ
リエーテルエーテルケトンを浸漬することによって、該
固体ポリマー中にアミン化合物が浸透して、反応を容易
に達成することができる。アミン化合物の溶液は、アミ
ン化合物を溶解し得る溶媒、例えば水、アルコール、ケ
トン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、
ジメチルスルホキシドなどに所望のアミン化合物を溶解
させて調製すればよい。アミン化合物としては、従来公
知の一級、二級、三級アミンを結合した化合物、例えば
トリエチルアミン、トリメチルアミン、メチルアミン、
ジメチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテト
ラミン、N,N,N′N−テトラメチルエチレンジアミ
ン、ピリジン、ポリエチレンイミンなどが特に制限なく
用いられる。反応条件は、用いるアミン化合物と溶媒と
の種類によって異なり、一般にそれらの凝固点から沸点
までの温度で反応を早く実施するために、出来るだけ高
い温度で実施することが好ましい。アミノ基のハロアル
キル化ポリエーテルエーテルケトンへの導入量は、特に
反応系に添加するアミン化合物の炭素数とハロアルキル
基との当量数との対比によって決定される。したがっ
て、例えばポリエーテルエーテルケトンに結合している
全てのハロメチル基にアミノ基を導入する場合には、大
過剰のアミン化合物が存在する条件下に反応させること
が望ましい。勿論、反応時間、反応温度などの条件によ
っても、ハロアルキル化ポリエーテルエーテルケトンに
対するアミノ基の結合量を制御することもできる。
【0017】本発明のアミノ基が結合されたポリエーテ
ルエーテルケトンは、溶解する溶媒がないため、成型す
る場合に困難を伴う。したがって、本発明においては、
予めハロアルキル化したポリエーテルエーテルケトン
を、冷却下に硫酸に溶解して所望の形状に成形した後
に、アミノ基の導入する方法が好適に用いられる。例え
ば、粒状樹脂の形状としたい場合には、ハロアルキル基
を結合したポリエーテルエーテルケトンの硫酸溶液を水
中に滴下して、粒状の樹脂を得た後にアミン化合物の溶
液中で反応させてアミノ基を結合した粒状樹脂とする方
法、あるいは硫酸に溶解したハロアルキル化ポリエーテ
ルエーテルケトンの高分子を水中に入れ紡糸した後にア
ミン化合物と反応させて糸状樹脂を得る方法、硫酸に溶
解したハロアルキル化した高分子を流延して水中に入れ
膜状とした後にアミン化合物と同様に反応させて膜状物
を得る方法などが採用される。
ルエーテルケトンは、溶解する溶媒がないため、成型す
る場合に困難を伴う。したがって、本発明においては、
予めハロアルキル化したポリエーテルエーテルケトン
を、冷却下に硫酸に溶解して所望の形状に成形した後
に、アミノ基の導入する方法が好適に用いられる。例え
ば、粒状樹脂の形状としたい場合には、ハロアルキル基
を結合したポリエーテルエーテルケトンの硫酸溶液を水
中に滴下して、粒状の樹脂を得た後にアミン化合物の溶
液中で反応させてアミノ基を結合した粒状樹脂とする方
法、あるいは硫酸に溶解したハロアルキル化ポリエーテ
ルエーテルケトンの高分子を水中に入れ紡糸した後にア
ミン化合物と反応させて糸状樹脂を得る方法、硫酸に溶
解したハロアルキル化した高分子を流延して水中に入れ
膜状とした後にアミン化合物と同様に反応させて膜状物
を得る方法などが採用される。
【0018】本発明におけるポリエーテルエーテルケト
ンに結合しているアミノ基の量は、元素分析値で0.0
2%から6.0%の範囲で使用目的によって適宜選定さ
れる。また、ポリエーテルエーテルケトンに結合したハ
ロアルキル基およびアミノ基の存在は、NMR(核磁気
共鳴)分光分析によって確認できる。
ンに結合しているアミノ基の量は、元素分析値で0.0
2%から6.0%の範囲で使用目的によって適宜選定さ
れる。また、ポリエーテルエーテルケトンに結合したハ
ロアルキル基およびアミノ基の存在は、NMR(核磁気
共鳴)分光分析によって確認できる。
【0019】
【作用及び効果】本発明のアルキル基を介してアミノ基
が結合したポリエーテルエーテルケトンは、単なるポリ
エーテルエーテルケトンに新しい機能を賦与するもので
あり、さらに新しい機能性樹脂とすることが出来る。例
えば親水性の賦与、さらに大量の反応によって、陰イオ
ン交換樹脂、キレート樹脂、分離膜、中空管、中空糸、
吸水剤などに広く新しい用途を見出すことが出来る。ま
た、他の高分子で硫酸に溶解するポリマー、例えばケブ
ラー(デュポン社製、商品名)とハロアルキル化したポ
リエーテルエーテルケトンを硫酸に溶解し、上記と同様
に所望の成形物を得ることが出来る。
が結合したポリエーテルエーテルケトンは、単なるポリ
エーテルエーテルケトンに新しい機能を賦与するもので
あり、さらに新しい機能性樹脂とすることが出来る。例
えば親水性の賦与、さらに大量の反応によって、陰イオ
ン交換樹脂、キレート樹脂、分離膜、中空管、中空糸、
吸水剤などに広く新しい用途を見出すことが出来る。ま
た、他の高分子で硫酸に溶解するポリマー、例えばケブ
ラー(デュポン社製、商品名)とハロアルキル化したポ
リエーテルエーテルケトンを硫酸に溶解し、上記と同様
に所望の成形物を得ることが出来る。
【0020】
【実施例】以下の実施例により本発明の内容を具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例によって拘束される
ものではない。
説明するが、本発明はこれら実施例によって拘束される
ものではない。
【0021】実施例1 ポリエーテルエーテルケトン(ICI社製) 25部を98%濃硫酸1000部に混合し、4℃に冷却
して、攪拌し溶解した。褐色の均一で粘稠な溶液となっ
た。次いで、これを4℃に冷却した状態で純度90%の
クロルメチルメチルエーテル50部を滴下した。温度は
4℃に保ったまま6時間攪拌し、これを大量の水中に投
入したところ若干褐色を帯びた軟い高分子が得られた。
これを充分に水洗し、洗浄液のpHをチェックしながら
過剰の硫酸を洗浄除去した。さらに、これを減圧乾燥し
て得た高分子の元素分析によるClの量は25.04%
であり、Sは0.36%であった。これをプロトンNM
Rで測定したところ、芳香環の水素に基づく吸収が1.
8ppmに観測され、クロルメチル基の水素に基づく吸
収は4.62ppmに観測された。
して、攪拌し溶解した。褐色の均一で粘稠な溶液となっ
た。次いで、これを4℃に冷却した状態で純度90%の
クロルメチルメチルエーテル50部を滴下した。温度は
4℃に保ったまま6時間攪拌し、これを大量の水中に投
入したところ若干褐色を帯びた軟い高分子が得られた。
これを充分に水洗し、洗浄液のpHをチェックしながら
過剰の硫酸を洗浄除去した。さらに、これを減圧乾燥し
て得た高分子の元素分析によるClの量は25.04%
であり、Sは0.36%であった。これをプロトンNM
Rで測定したところ、芳香環の水素に基づく吸収が1.
8ppmに観測され、クロルメチル基の水素に基づく吸
収は4.62ppmに観測された。
【0022】ここで得られたポリマーをトリメチルアミ
ンの30%水溶液に24時間浸漬したのち水洗して得ら
れた高分子は、半透明の吸水性の樹脂となり含水量
〔(純粋に平衡にしたときの重量−乾燥重量)/乾燥重
量〕は215%であった。これを減圧乾燥後元素分析を
したところ、窒素の含量は5.15%であり、
ンの30%水溶液に24時間浸漬したのち水洗して得ら
れた高分子は、半透明の吸水性の樹脂となり含水量
〔(純粋に平衡にしたときの重量−乾燥重量)/乾燥重
量〕は215%であった。これを減圧乾燥後元素分析を
したところ、窒素の含量は5.15%であり、
【0023】
【化3】
【0024】に1ヶのアミノ基が導入されたのみでなく
他にも導入されていることが分った。 実施例2 実施例1で用いたと同じポリエーテルエーテルケトン
3.3部を95%濃硫酸490部に4℃に冷却して溶解
した。この褐色の粘稠な液に0.6部のクロルメチルメ
チルエーテルを加えて4℃に保ったまま一時間攪拌後、
N2 気流を流してクロルメチルエーテルを除去したの
ち、大量の水中に投入した。実施例1と同様に得られた
ポリマーを充分に洗浄し、元素分析を実施したところC
lの量は2.86%であった。
他にも導入されていることが分った。 実施例2 実施例1で用いたと同じポリエーテルエーテルケトン
3.3部を95%濃硫酸490部に4℃に冷却して溶解
した。この褐色の粘稠な液に0.6部のクロルメチルメ
チルエーテルを加えて4℃に保ったまま一時間攪拌後、
N2 気流を流してクロルメチルエーテルを除去したの
ち、大量の水中に投入した。実施例1と同様に得られた
ポリマーを充分に洗浄し、元素分析を実施したところC
lの量は2.86%であった。
【0025】これを再び98%濃硫酸中に溶解した10
%溶液を水平なガラス板の上に流延し、風間に放置して
徐々に吸湿させた。最終的に水中に浸漬して0.2mm
の厚みの均一なフィルムとした。これを充分に水洗し乾
燥後、トリメチルアミンの20%溶液(溶媒の水とアセ
トンが2:1重量比)に16時間浸漬したのち、1規定
の塩酸に平衡にし、さらに0.5規定の食塩水に平衡に
した。この膜のイオン交換容量は0.78m当量/g
(乾燥膜)であり、0.5規定の食塩水に平衡にしたと
きの含水率は乾燥膜あたり19.5%であった。また、
この膜を用いて0.5規定の食塩水と2.5規定食塩水
の間の膜電位を測定し、これから輸率を求めたところ
0.90であった。
%溶液を水平なガラス板の上に流延し、風間に放置して
徐々に吸湿させた。最終的に水中に浸漬して0.2mm
の厚みの均一なフィルムとした。これを充分に水洗し乾
燥後、トリメチルアミンの20%溶液(溶媒の水とアセ
トンが2:1重量比)に16時間浸漬したのち、1規定
の塩酸に平衡にし、さらに0.5規定の食塩水に平衡に
した。この膜のイオン交換容量は0.78m当量/g
(乾燥膜)であり、0.5規定の食塩水に平衡にしたと
きの含水率は乾燥膜あたり19.5%であった。また、
この膜を用いて0.5規定の食塩水と2.5規定食塩水
の間の膜電位を測定し、これから輸率を求めたところ
0.90であった。
【0026】実施例3 実施例1で得られたクロルメチル基を有するポリエーテ
ルエーテルケトン1部とクロルメチル基の導入されてい
ないポリエーテルエーテルケトン2部を98%濃硫酸に
4℃に冷却して溶解し、粘稠な溶液とし、これをポリプ
ロピレン製の不織布上に連続的にスリットから流し出し
て流延し、これを80%硫酸中、40%硫酸中、水中に
順に浸漬してポリプロピレンの不織布を一方に有する非
対称構造の膜とした。次に、これを20%のN,N,
N′,N′−テトラメチルエチレンジアミンの20%水
溶液に浸漬しクロルメチル基と反応させ、アミノ化と同
時に一部架橋反応を行わせた。
ルエーテルケトン1部とクロルメチル基の導入されてい
ないポリエーテルエーテルケトン2部を98%濃硫酸に
4℃に冷却して溶解し、粘稠な溶液とし、これをポリプ
ロピレン製の不織布上に連続的にスリットから流し出し
て流延し、これを80%硫酸中、40%硫酸中、水中に
順に浸漬してポリプロピレンの不織布を一方に有する非
対称構造の膜とした。次に、これを20%のN,N,
N′,N′−テトラメチルエチレンジアミンの20%水
溶液に浸漬しクロルメチル基と反応させ、アミノ化と同
時に一部架橋反応を行わせた。
【0027】この得られた膜の断面を走査型顕微鏡で観
察すると、ポリエーテルエーテルケトン及びそのアミン
化物からなる層の表層部は緻密な薄膜となり、その下に
スポンジ状の多孔質の層が観察された。この膜を限外濾
過膜を評価する装置によって単分散のポリエチレンオキ
サイドで分子量の種々異なるものを用いて透過液量と分
画分子量を測定したところ、分画分子量は15,000
であり透過水量は85l/hr・m2 ・3kg/cm2
であった。
察すると、ポリエーテルエーテルケトン及びそのアミン
化物からなる層の表層部は緻密な薄膜となり、その下に
スポンジ状の多孔質の層が観察された。この膜を限外濾
過膜を評価する装置によって単分散のポリエチレンオキ
サイドで分子量の種々異なるものを用いて透過液量と分
画分子量を測定したところ、分画分子量は15,000
であり透過水量は85l/hr・m2 ・3kg/cm2
であった。
【0028】実施例4 実施例1で得られたクロルメチル基を有するポリエーテ
ルエーテルケトン1部とデュポン社製(商品名ケブラー
49)3部を98%濃硫酸に溶解し、粘稠な溶液とし
た。これにポリプロピレン製の平織布を浸漬し、布に粘
稠な溶液と付着させたのちに、80%硫酸、40%硫酸
に順次平衡にして水洗してポリプロピレン製の織布を芯
とする膜状高分子物を得た。これをジメチルアミンの水
とアセトンの2:1の20%溶液に4時間浸漬して反応
させ、次いでトリメチルアミンの30%水溶液に16時
間浸漬し反応させた。この膜状物の陰イオン交換容量を
測定したところ0.42m当量/g(乾燥膜)であっ
た。実施例2と同様に0.5規定の食塩と2.5規定の
食塩の間の膜電位から輸率を計算したところ0.92で
あり0.5規定の食塩水中で、25℃で1000サイク
ル交流で電気抵抗を測定したところ12Ω−cm2 であ
った。
ルエーテルケトン1部とデュポン社製(商品名ケブラー
49)3部を98%濃硫酸に溶解し、粘稠な溶液とし
た。これにポリプロピレン製の平織布を浸漬し、布に粘
稠な溶液と付着させたのちに、80%硫酸、40%硫酸
に順次平衡にして水洗してポリプロピレン製の織布を芯
とする膜状高分子物を得た。これをジメチルアミンの水
とアセトンの2:1の20%溶液に4時間浸漬して反応
させ、次いでトリメチルアミンの30%水溶液に16時
間浸漬し反応させた。この膜状物の陰イオン交換容量を
測定したところ0.42m当量/g(乾燥膜)であっ
た。実施例2と同様に0.5規定の食塩と2.5規定の
食塩の間の膜電位から輸率を計算したところ0.92で
あり0.5規定の食塩水中で、25℃で1000サイク
ル交流で電気抵抗を測定したところ12Ω−cm2 であ
った。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 65/00 - 65/48 CA(STN)
Claims (2)
- 【請求項1】 アルキル基を介してアミノ基を結合した
ポリエーテルエーテルケトンである高分子化合物 - 【請求項2】 ポリエーテルエーテルケトンを硫酸に溶
解して20℃以下の温度でハロアルキル化した後、得ら
れたハロアルキル化ポリエーテルエーテルケトンをアミ
ン化合物の溶液中でアミノ化することを特徴とする請求
項1に記載した高分子化合物の製造方法
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3306113A JP3015557B2 (ja) | 1991-11-21 | 1991-11-21 | アミノ基を結合した高分子化合物およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3306113A JP3015557B2 (ja) | 1991-11-21 | 1991-11-21 | アミノ基を結合した高分子化合物およびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05140298A JPH05140298A (ja) | 1993-06-08 |
JP3015557B2 true JP3015557B2 (ja) | 2000-03-06 |
Family
ID=17953204
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3306113A Expired - Fee Related JP3015557B2 (ja) | 1991-11-21 | 1991-11-21 | アミノ基を結合した高分子化合物およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3015557B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114773753B (zh) * | 2022-04-29 | 2023-05-02 | 华南理工大学 | 一种聚醚醚酮-聚偏氟乙烯复合膜及其制备方法和应用 |
-
1991
- 1991-11-21 JP JP3306113A patent/JP3015557B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05140298A (ja) | 1993-06-08 |
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