JP3012607B1 - 送信機 - Google Patents

送信機

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JP3012607B1
JP3012607B1 JP26174398A JP26174398A JP3012607B1 JP 3012607 B1 JP3012607 B1 JP 3012607B1 JP 26174398 A JP26174398 A JP 26174398A JP 26174398 A JP26174398 A JP 26174398A JP 3012607 B1 JP3012607 B1 JP 3012607B1
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敦 稲橋
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Abstract

【要約】 【課題】 基地局や移動機の送信機の送信電力量を効果
的に削減する線形増幅器を備えた通信システム及びその
送信機を提供することを課題とする。 【解決手段】 主経路に飽和出力の異なる直列または並
列した複数の線形増幅器と、副経路として一部の線形増
幅器をバイパスするバイパス手段と、主経路と副経路の
信号をベクトル合成する合成器を有する送信機におい
て、低出力送信時には、前記バイパス手段により、バイ
パス経路を有さない線形増幅器からの出力を取り出し、
且つ前記バイパス手段を有する側の線形増幅器の電源供
給を制限することにより送信機自体の消費電力を低減す
る事を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通信システムの線
形増幅器を備えた送信機に関し、特に基地局や移動機、
マイクロ無線等の送信機の送信電力量を効果的に削減す
る線形増幅器を備えた送信機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、送信機に用いるこの種の線形増幅
器は、出力信号の線形性を重視する必要があるため、シ
ステムの電力増幅容量の上限を考慮した設備設計が主流
であった。しかし実際には、システムの最大電力値で運
用されるケースが非常に少なく、実際には出力する信号
レベルが低レベルから中レベルで運用されており、運用
状態と使用する設備類の所要消費電力との見合いがとれ
ておらず、極めて非効率なシステム運用が行われてい
た。このため実運用に対して柔軟に電力対応できるシス
テムが望まれていた。
【0003】また、高周波信号を複数段の線形増幅器で
増幅する場合、通常飽和出力のより大きい線形増幅器を
後段に配置する。これは増幅器の非線形性から発生する
相互変調歪み等の波形歪みから入力された高周波信号の
信号成分への影響や隣接する無線チャネルへの影響を少
なくするために必要な一般的な処置で、特に近年移動通
信等に用いられているQPSK系の振幅/位相変調信号
の増幅を行うときには特に配慮する必要がある。このた
め送信機自体の消費電力は後段の線形増幅器の占める割
合が高くなる。
【0004】一方、相互変調歪みは入力する信号のレベ
ルに対し、3次歪による3乗の影響度を有する。相互変
調歪みの比を一定とするならば、入力レベルが小さい場
合には使用する増幅器の電力レベルを下げることができ
ると考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、通常で
は消費電力切替時に、出力する高周波信号に対し位相的
な不連続点が発生すると共に、電力的な不連続点も発生
し、高周波信号の送受に大きな影響を与えることにな
る。
【0006】本発明は、この問題を解決するためになさ
れたもので、可変減衰器を使用し、前段増幅器の出力す
るレベルをある程度の高いレベルに保持すると共に、後
段増幅器の出力するレベルを下げる様に動作させる。出
力するレベルを下げる量は、後段増幅器の電力制限によ
る利得劣化と相互変調歪みが一定の比率を保つことがで
きる値に連続的に動作させる機能を有する。また後段の
増幅器の出力する信号と、前段の増幅器の出力する信号
をベクトル的に合成する機能を有する。このことにより
高周波信号の電力的な不連続点が生じないよう動作させ
ることができ、同時に高周波信号の位相的な不連続点を
生じないよう動作させることができる。
【0007】また、入力するレベルが上がってきた場
合、逆の動作を行い、出力レベルに応じた電力消費でシ
ステムを運用することができる。
【0008】また、本発明は、信号の入力するレベルに
応じ、特に入力する信号レベルが下降した場合、後段増
幅器の電力消費の低減あるいは遮断を行う。このことに
より線形増幅器を有する送信機システムの電力消費を大
きく低減することができる。同時に前段増幅器の出力を
送信に出力に取り出し前段増幅器の能力を最大限に用い
ることによって効率的なシステム運用を行うことができ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、主経路に飽和
出力の異なる直列接続した複数の線形増幅器と、副経路
として一部の線形増幅器をバイパスするバイパス手段
と、主経路と副経路の信号をベクトル合成する合成器を
有する送信機において、低出力送信時には、前記バイパ
ス手段により、バイパス経路を有さない線形増幅器から
の出力を取り出し、且つ前記バイパス手段を有する側の
線形増幅器の電源供給を制限することにより送信機自体
の消費電力を低減する事を特徴とする。
【0010】また、本発明の送信機は、主経路と副経路
に分配された信号を各々の経路の利得を逆極性に制御
し、且つ送信機への入力レベルと出力レベル間の利得が
一定になるような主経路及び副経路間の利得の制御と合
成を、主経路に配置された線形増幅器の電力消費を低減
しながら出力端子に発生する不要輻射のレベルが一定と
なる範囲内で行う事を特徴とする。
【0011】また、上記送信機において、上記線形増幅
器が可変利得機能を有するか、又は利得可変可能な減衰
器を有することを特徴とする。また、線形増幅器が送信
機もしくは副経路に入力するレベルに対応した信号によ
り線形増幅器自体の消費電力を制御することを特徴とす
る。
【0012】また、上記送信機において、低出力送信時
においては、主経路の減衰量を増やし主経路の出力する
信号レベルを抑圧し、且つ副経路の減衰量を少なくし副
経路の出力する信号レベルを増大させる制御を行い、高
出力送信時は逆の動作を行うことを特徴とする。
【0013】また、上記送信機において、合成器が主経
路信号と副経路信号のベクトル合成を行い、経路の切替
においても振幅・位相的に連続的な信号出力を供給でき
ることを特徴とする。また、送信機の有する温度変動等
による利得劣化を、主経路及び副経路の有する制御電圧
の基準値の中心をオフセットすることにとり補償を行う
ことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明による実施形態について、
図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】図1に本発明の実施形態による通信システ
ムの送信機のブロック構成図を示す。図1において、各
部の機能及び概略動作は以下の通りである。高周波信号
の増幅は直列に配置された線形増幅器AMP1及びAM
P2にて行う。入力した高周波信号の線形増幅を行うた
め後段のAMP2の飽和出力はAMP1より大きい特性
のものを使用している。
【0016】分配部HYB1はAMP1の出力を一定の
比率をもって分配する機能を有し、ウィルキンソンのハ
イブリッドに代表される分配器を使用できる。主経路に
なるATT2はHYB1により分配された出力の一方の
信号のAMP2に供給するレベルを制限する機能を有す
る。例としてNECマイクロ波デバイスデータブック1
992年度版p510〜p513に記述されたピンダイ
オード可変減衰器を使用することができる。このピンダ
イオード可変減衰器ATT2は外部から入力する制御電
圧によって、可変減衰器ATT2を通過するレベルを制
御することが可能な減衰器である。この可変減衰機能と
線形増幅機能を併せ持つ利得制御型増幅器を用いて構成
することも可能であるが、本実施形態内では減衰器,増
幅器の個別機能を有するブロックにて説明する。
【0017】また、主経路にあるAMP2は前述した飽
和出力の高い線形増幅器であるが、外部の信号供給また
は電源電圧制御により自らの電力消費を可変できる機能
を有する。特許掲載公報2552089号にて無線周波
数特性の劣化なしに電力低減する方式として"FET増
幅器の消費電力低減方式"の技術が開示されているが、
AMP2にはこの様な機能を有する増幅器を使用するこ
とができる。
【0018】一方、HYB1により分配されたもう一方
の信号は、副経路として、HYB4に入力される。HY
B4もHYB1と同様に入力した電力を一定の比率をも
って分配する機能を有する。HYB4の分配した出力の
一方は副経路中のATT3に入力する。ATT3もAT
T2と同様な機能と構成を有する可変減衰器である。可
変減衰器ATT3の出力はアイソレータISOを介して
主経路のHYB2に供給される。
【0019】主経路のAMP2により出力された信号
と、副経路のアイソレータISOを介して供給された信
号は、HYB2にて合成される。HYB2はHYB1や
HYB4にて使用されたウィルキンソンのハイブリッド
を、入出力を入れ替えて使用することができる。ウィル
キンソンのハイブリッドHYB2は、合成器として、A
MP2からの高周波信号とISOからの高周波信号との
同位相のベクトル合成分配を簡素な構成で実現すること
ができる。
【0020】つぎに、HYB2にて合成された出力は、
HYB3に入力する。HYB3もまたウィルキンソンの
ハイブリッド等を用いて構成することができ、分配器と
して機能する。副経路のHYB4及びHYB3のもう一
方の分配出力はそれぞれダイオード検波に代表される検
波器D1及びD2に入力される。D1,D2は全波整流
もしくは半波整流機能を有した検波器で、入力した高周
波の信号のレベル(振幅)に応じた直流電圧を出力する
デバイスを使用する。このことは、HYB4及びHYB
3を通過する電力のレベルを直流電圧値で出力検波する
ことができることを示す。
【0021】また、検波器D1の出力はコンパレータC
OMPに入力する。コンパレータCOMPはあらかじめ
設定された基準電圧より検波器D1の出力値が低いか高
いかによりAMP2への電源供給を遮断するか否か、ま
たは低減するか否かのトリガとなる信号を出力する。
【0022】スイッチSW1はAMP2への電源VCCの
供給を遮断又は制限する。スイッチSW1はMOSFE
Tスイッチや出力電圧可変型のDC/DCコンバータ等
を用いて構成することができる。
【0023】[本実施形態の構成]本発明の実施形態で
は、図1を参照して、変調を受けた高周波信号を入力と
し高周波信号の通過するレベルを加減する可変減衰部1
(ATT1)と、ATT1の出力を線形増幅する増幅部
1(AMP1)と、AMP1の出力を2分配する分配部
1(HYB1)と、HYB1の出力した信号の一方を入
力とし高周波信号の通過するレベルを加減する可変減衰
部2(ATT2)と、ATT2の出力を線形増幅する
(増幅部1より飽和出力が高く電力消費が多い)増幅部
2(AMP2)と、AMP2の出力とISOの出力とを
合成する合成部(HYB2)と、HYB2の出力を一部
分配する分配部(HYB3)とを有する主経路からな
る。
【0024】また、HYB1の出力するもう一方の出力
を入力とし、その信号を分配する分配部4(HYB4)
と、HYB4の出力した信号の一方を入力とし、その信
号の通過するレベルを加減する可変減衰器3(ATT
3)と、ATT3の出力に配置されAMP2の信号の逆
流を防ぐアイソレータ(ISO)とを有する副経路とか
らなる。
【0025】また、AMP2の出力とISOの出力をベ
クトル合成する合成部2(HYB2)と、HYB2を出
力した高周波信号を分配しその一部をアンテナ等の終端
装置に出力する分配部3(HYB3)と、HYB3の出
力するもう一方の信号を入力とし、入力したレベルに応
じた直流電圧を出力する検波部2(D2)と、HYB4
の出力するもう一方の出力を入力とし入力したレベルに
応じた直流電圧を出力する検波部1(D1)と、D1と
基準電圧値を比較し結果を出力するコンパレータ(CO
MP)と、COMPの信号を基にAMP2への電源供給
や電力制限を行うスイッチ(SW1)とから信号レベル
検出回路系が構成される。
【0026】ここで、SW1は、AMP2への電源オン
オフするスイッチでもよいが、電源電圧を分圧して複数
のステップで、D1の検波レベルに従って、AMP2の
出力レベルを制御するスイッチであってもよい。また、
通常無線信号線をメカニカルスイッチ等の切替器で切り
替えた場合、時間的な不連続点及び電圧振幅的な不連続
が生じることになり、本実施形態では線形制御の可変減
衰器を各々の経路で有しているため、不連続点が無いこ
とが挙げられる。
【0027】また、ATT1〜ATT3は、検波部D
1,D2の出力レベルをCPUに取り込んで、送信機の
ATT2の入力レベル及び出力レベルを検出して、各D
/Aでデジタル/アナログ信号に変換して、ATT1〜
ATT3の各減衰度の増減のため制御信号を供給され
る。
【0028】[本実施形態の動作]携帯電話システム等
に代表される無線信号の送受、特に送信に当たっては不
特定多数の方向に電波を放射する必要があるため、送信
すべき無線信号の出力レベルを大きく増幅して出力する
必要がある。また、この要請は携帯電話システム等の基
地局ばかりでなく、携帯移動機においても出力レベルを
上げて到達距離を延ばすという点で同様である。
【0029】以下の説明は前述したような状況におけ
る、変調を受けた高周波無線信号の増幅を行う際の実施
形態として説明を行う。
【0030】まず、入力する高周波信号の入力レベルが
高い場合の動作について説明する。送信すべきデータ
を、例えばBPSK,QPSKやQAM方式等の主に位
相変調や周波数変調等に変調され、混合器(ミキサー)
等で送出する高周波信号に変換された高周波信号は、ま
ず送信機入力端のAMP1に入力する。AMP1は高周
波信号の線形変調成分を崩さないように線形増幅し、高
周波信号を出力する。
【0031】つぎに、HYB1は一定の分配率をもって
信号を主経路と副経路へと分配する。主経路に入力した
高周波信号はATT2を介してAMP2に入力する。こ
こで送信機に入力される信号が高いため、AMP2への
電源供給レベルを最大とし、歪み電力の発生を抑えた増
幅動作を行う必要がある。この時、所要の出力電力レベ
ルを得るため、ATT2の減衰量は最小となるよう設定
される。一方副経路に入力した信号はHYB4及びAT
T3,ISOを介し主経路に合成される。この時主経路
と副経路間の電力の差分はAMP2による利得の差分の
ために主経路側の信号レベルが支配的となる。ATT3
は必要であれば主経路側の信号成分に対して副経路側の
信号が十分抑圧されて見えるようなレベルになるように
減衰量を設定される。
【0032】さらに、HYB2は主経路側と副経路側か
らの高周波信号をベクトル合成する。HYB2による合
成率が最大に発揮されるために主経路側の絶対位相と副
経路側の絶対位相は合致していることが好ましい。位相
差が存在する場合、どちらかの経路に位相遅延を補償す
る遅延線を設けることが好ましい。
【0033】仮に主経路と副経路からの信号が互いに1
であれば、同位相合成による信号出力は2となるが、経
路間に位相差90度がある場合は約1.41倍となる。
本実施形態では経路間位相差が0であるものとして説明
する。
【0034】合成された信号は、HYB3を介してアン
テナ等の終端装置に供給され、本装置が移動機の場合に
は基地局に向けて、本装置が基地局の場合には移動機に
向けてアンテナ等から放射される。また、CATV装置
等の通信ケーブルを使用する有線系に本装置を用いるの
であれば、通信ケーブル系のインピーダンスにマッチさ
せる整合回路を介して出力される。
【0035】次に入力する高周波信号の入力レベルが低
い場合の動作について説明する。上記と同様に、変調を
受けた高周波信号はまず送信機入力端のAMP1に入力
する。AMP1は高周波信号の線形変調成分を崩さない
ように線形増幅し信号を出力する。HYB1は一定の分
配率をもって信号を主経路と副経路へと分配する。主経
路に入力した高周波信号はATT2を介してAMP2に
入力する。
【0036】ここで、AMP2に入力する高周波信号の
レベルが低いため、AMP2を用いて信号増幅すること
は電力消費的に過剰であることが考えられる。ここで入
力する信号のレベルが低い際には、AMP2の使用を遮
断もしくは低減する。つまり送信機の出力として、要求
される相互変調歪み等に代表される不要輻射規格がAM
P1にて十分満たすことができると判断された場合に限
り、AMP2による電力消費を低減し運用する。AMP
1の出力を最大限に活用するため、ATT3の制御は通
過損失が最小限になるよう制御される。
【0037】AMP2への電源供給が遮断された場合、
主経路からの信号伝送も遮断される。この際、送信機か
ら出力される信号は副経路による信号が支配的になり合
成される。AMP2への電源供給が低減されている場
合、主経路からの出力は利得が低下すると共に、相互変
調歪みの比率が劣化する。歪みの劣化量が送信機システ
ムに許容できなくなるレベルに達する前に、ATT2の
減衰量を最大に設定するよう連続的に制御し運用する。
この際、送信機から出力される信号は主経路信号と副経
路信号の比率がほぼ近い値となり合成される。
【0038】AMP2に入力する電力が高いか否かの判
断は、副経路に配置された検波器D1にて行う。D1に
入力するレベルはHYB4を通過する電力、及びHYB
1を通過する電力と一定の比率をもった関係にあるた
め、その値に対して、AMP2に電源遮断信号もしくは
消費電力制御信号を供給するか否かの判断基準とするこ
とができる。D1の出力は入力信号が大きいときは高い
電圧、小さいときは低い電圧が出力されるため、以降の
回路に電圧基準を有したコンパレータCOMPを配置
し、AMP2の電源供給量を制御するスイッチSWと連
動することにより電力制御を実現することができる。
【0039】上記で説明した可変減衰器の減衰制御特性
を図3に示す。制御電圧が高くなるほど減衰量が小さく
なる特性を例に挙げて説明する。ATT2及びATT3
は送信機への入力レベルすなわちD1による検波電圧レ
ベルの値に応じて制御する必要がある。送信機への入力
レベルに対するATT2及びATT3の制御を示す図を
図4に示す。横軸に送信機入力電力である検波電圧値、
縦軸にATTの制御電圧値を示す。図示したように、A
TT2及びATT3の制御は相反する極性に制御を行
う。ATT2は送信機入力電力に対して制御電圧が直線
的に増加し、ATT3は送信機入力電力に対して制御電
圧が直線的に減少している。なお、s,tは制御電圧を
上げる場合をsで示し、制御電圧を下げる場合をtで示
している。この制御による出力電力の特性を示した図を
図2に示す。低電力時はATT2の減衰量が大きいため
副経路の出力する電力が支配的となる。
【0040】ここで、ATT2とATT3との減衰量の
関係について述べる。ATT2を高い電圧で動作させて
いるときは、ATT3を低い電圧で動作させる。ATT
3を高い電圧で動作させているときは、ATT2を低い
電圧で動作させる、つまり、ATT2を小さな減衰量で
動作させているときは、ATT3を大きな減衰量で動作
させる。ATT3を小さな減衰量で動作させているとき
は、ATT2を大きな減衰量で動作させる。
【0041】電力が上がりAMP1の相互変調歪みレベ
ルがシステムの許容する信号比レベルの上限に近づいた
とき、ATT2の減衰量を小さくし、主経路出力の支配
率を上げて行く。
【0042】主経路と副経路の合成電力は送信機自体が
有するシステム利得を確保できるようATTを制御し信
号を合成を行う。合成はベクトル合成を行うため、高周
波信号の本来の位相特性を損なうことなく合成すること
ができる。この動作は主経路と副経路の絶対位相が多少
の誤差を有していても可能である。図5及び図6に便宜
的に絶対位相の誤差がある例で、ATTの制御合成過程
のベクトル遷移を示す。矢印の大きさは主経路と副経路
の出力する各々の信号の大きさを示し、角度は高周波の
位相量を示している。ベクトルkとベクトルmの増減を
信号点ベクトルAを維持するように制御することによ
り、消費電力切替に際しても安定した信号出力を行うこ
とができることがわかる。
【0043】さらに、言及すれば、図5は主経路のレベ
ルが高くて副経路のレベルが低い場合、図6は主経路の
レベルが低くて副経路のレベルが高い場合の合成ベクト
ルA,A’を示している。
【0044】合成ベクトルAの角度が一定(ではなくて
も良いが、変動が少ない事も含む)として、図5に示す
ように、主のベクトルが小さくなることはATT2の減
衰量が大きくなることを意味し、図6に示すように、副
のベクトルが大きくなることはATT3の減衰量が小さ
くなることを示す。ここで、合成ベクトルAの角度を保
持しつつ、Aの振幅を入出力カーブに沿って変化させつ
つ、A及びA’のベクトルの振幅比を線形的に変えて行
くことを示している。
【0045】このことにより入出力特性は図2の(a)
に図示した線形特性を保持することができる。変調波自
体が位相変動を有する位相変調を受けていたとしても、
各々のベクトルが同じ周期を持って回転しているため、
同じように図示した静止ベクトル平面上で考えることが
できる。
【0046】図2に本実施形態の入出力関係と、IM、
消費電力のグラフを示す。図において、(a)は送信機
に入力するレベルと出力するレベルの線形性を表す。入
力電力jに対して、出力はj×i(iは送信機の利得)
の関係があることを示している。即ち、図2上、入力レ
ベルjに対して、AMP1及びAMP2のゲインとAA
T1,2の減衰度と、HYB1,2,3とで、総合特性
が示される。
【0047】また、(b)は送信機に入力するレベルと
主経路の出力するレベルの関係を示す。入力レベルが低
いときは主経路からの出力は低く、切替点をもって増大
していることがわかる。
【0048】また、(c)は入力するレベルと副経路の
出力するレベルの関係を示している。入力レベルが低い
ときは副経路からの出力は高く、切替点をもって減少し
ており、消費電力を効率よくしていることがわかる。
【0049】なお、(a)=(b)+(c)の関係があ
るが、(a)に平行な(b)及び(c)の部分は殆どそ
の直線上に一致する。
【0050】また、図2(d)はAMP2にAMP1相
当の特性のAMPを持ってきた場合のIMレベルを描く
軌跡である。シミュレーションによりこの送信機の主経
路の入力レベルに対するIMの出力レベルがわかってい
るものとする。飽和出力の低いAMPを使用した場合、
IM比が(k)から(m)の値まで劣化することを示
す。IM比の劣化は無線信号の不要輻射量と一致させて
考えても良く、無線機にとって致命的な不具合となる。
【0051】また、(e)は本実施形態を動作させた時
のIMカーブである。入力電圧の変動に際しても、IM
比はk以上の値が確保されており、送信機が効率よく運
用されていることを示す。
【0052】また、(f)はAMP2のみの電力制限し
ない場合の特性である。最大入力レベルの時において
も、IM比につきkが確保されており、理想的な設計で
あるが、入力レベルが低いときは、IM比がpになり、
過剰設計となる。
【0053】ここで、IM比を大きく取ることは無線機
の不要輻射を防ぐ上で重要で、IM比k値を過剰に取る
ことは、過剰品質な装置を作っていることになり、非経
済的である。
【0054】上記図2の入力電力に対する出力電力のグ
ラフについて補足すると、送信機は線形変調に本来必要
なIM(Intermodulation:相互変調)比は、図2のk
以上の出力電力差の値を常に確保する必要がある。入力
レベルが上がっても、主経路への切替を行わない場合、
図2(d)に示す3次特性により相互変調歪み比(IM
比)がmのように劣化してしまう。一方IM比を最大出
力点において、出力電力差を確保(図2のn)するだけ
の増幅器では、低電力時におけるIM比が、図2(p)
に示す用に過剰となってしまい、増幅器の電力消費が無
駄に使われていることになる(図2中のIM比は、 m
<k(=n)<p である。)。
【0055】この場合の送信機自体の消費電力は、図2
の下段の入力電力に対する消費電力のグラフ中、図2
(g)に示すとおり入力電力によらず一定である。
【0056】一方、経路切替を行い、AMP2の消費電
力制御を行うことによるIM比は図2(e)に示す特性
を示すことになる。図2(e)の中心点付近でIM比が
一定の様になる事があるが、送信機に必要なIM比k
(=n)が確保されているため高周波信号の授受に支障
を来すことは無い。
【0057】この場合の送信機自体の消費電力は図2
(h)に示す通り低電力域で電力低減できていることを
示す。
【0058】図1中、副経路のアイソレータISOは、
主経路の過大なる信号が副経路を逆流してAMP2の入
力にフィードバックし、異常発振等の不具合を発生させ
ないために必要である。または緩衝増幅器等を設置する
等の処置でAMP2に対する逆方向のアイソレーション
を十分にとる事が必要である。
【0059】AMP2への電源制限は出力信号の連続性
を損なわないように制御またはON/OFFする必要が
ある。例えばAMP2をONさせる場合、合成波に対す
る主経路の信号比率が十分に低いときに行う必要があ
る。またAMP2への消費電力制御によりAMP2を通
過する信号の通過位相の変動が少ないことが好ましい。
前述した特許公報2552089号に示される"FET
増幅器の消費電力低減方式"の手法は無線周波数におけ
る周波数特性の劣化無く電力を低減できるという点よ
り、本提案のAMP2の電力制御を行うにあたり適して
いる。
【0060】HYB3より分配されたもう一方の信号
は、送信機自体の温度特性によるレベル変動をD2によ
る電力検出にて監視することに用いられる。高周波信号
自体の温度誤差特性は、通常自動利得制御(ALC:Au
tomatic Level Controller)方式により、D2にて検出
された誤差量を、ATT1の可変量をもって補償する方
式が主流であるが、本実施形態に於いて、ATT1の値
を変化させてしまうと、経路の配分比率が変化するだけ
で全体電力の補償には至らない。この場合、図4に図示
されたATT制御を図4に示すsとtの制御を、極性を
同じにして同時に最適な方向に制御することにより補償
が可能になる。
【0061】なお、本発明は出力特性に線形性が要求さ
れるシステムの電力低減方法に関し、携帯電話システム
のような無線送信機への適用のみならず、オーディオア
ンプ等のA〜ABクラスアンプを使用するシステムの多
くに対して適用が可能である。
【0062】
【発明の効果】以上説明したとおり、入力電力に応じた
増幅器及び経路選択を行うことにより、増幅器出力に応
じた最適な電力で送信機を動作させることができるた
め、出力レベルによらず無条件で大きな電力消費を行っ
てきた従来の線形増幅器のランニングコストを、運用中
のシステムを阻害または劣化させることなく、大きく低
減できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による送信機のブロック構成
図である。
【図2】本発明の実施形態による送信機の入出力・IM
・消費電力特性のグラフである。
【図3】本発明の実施形態による送信機の可変減衰器の
制御特性図である。
【図4】本発明の実施形態による送信機のATT2とA
TT3の制御相関図である。
【図5】本発明の実施形態による送信機のベクトル合成
図である。
【図6】本発明の実施形態による送信機のベクトル合成
図である。
【符号の説明】
ATT1,ATT2,ATT3 可変減衰器 HYB1,HYB2,HYB3,HYB4 ハイブリッ
ト合成・分波器 AMP1,AMP2 可変利得増幅器 ISO アイソレータ D1,D2 検波器 COMP 比較回路 SW1 電源スイッチ

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主経路に飽和出力の異なる直列接続した
    複数の線形増幅器と、副経路として前記線形増幅器の一
    信号をバイパスするバイパス手段と、前記主経路と前
    記副経路の各出力信号をベクトル合成する合成器を有す
    る送信機において、 低出力送信時には、前記バイパス手段からの前記副経路
    の信号レベルを検出した検出値により前記主経路の前記
    線形増幅器の電源供給を制限し、且つ前記副経路の可変
    減衰部の減衰量を小さく制御したことを特徴とする送信
    機。
  2. 【請求項2】 主経路と副経路に分配される信号を各々
    の経路の利得を逆極性に制御して前記主経路と前記副経
    路の出力を合成する送信機において、 入力レベルと出力レベル間のレベル差である利得が一定
    になるように前記主経路及び前記副経路間の利得の制御
    を行って、前記主経路及び前記副経路の各出力を合成
    し、且つ前記副経路のレベルに従って前記主経路に配置
    された線形増幅器の電力消費を低減し、前記主経路の出
    力に発生する相互変調歪みによる不要輻射のレベルが一
    定となる範囲内で前記線形増幅器の制御を行うことを特
    徴とする送信機。
  3. 【請求項3】 前記線形増幅器が可変利得機能を有し、
    又は利得可変可能な減衰器を有することを特徴とする請
    求項1又は請求項2に記載の送信機。
  4. 【請求項4】 前記線形増幅器が前記主経路もしくは前
    記副経路に入力するレベルに対応した信号により前記線
    形増幅器自体の消費電力を制御することを特徴とする請
    求項1又は請求項2に記載の送信機。
  5. 【請求項5】 低出力送信時においては、前記主経路の
    減衰量を増やし前記主経路の出力する信号レベルを抑圧
    し、且つ前記副経路の減衰量を少なくし前記副経路の出
    力する信号レベルを増大させる制御を行い、高出力送信
    時は前記低出力送信時の逆の動作を行うことを特徴とす
    る請求項1又は請求項2に記載の送信機。
  6. 【請求項6】 前記主経路及び前記副経路の各出力を合
    成する合成器が前記主経路の主経路信号と前記副経路の
    副経路信号のベクトル合成を行い、経路の切替に際し
    幅・位相に連続的な信号出力を供給することを特徴と
    する請求項1又は請求項2に記載の送信機。
  7. 【請求項7】 前記線形増幅器の有する温度変動による
    利得劣化を、前記主経路及び前記副経路の有する利得制
    御用制御電圧の基準値の中心をオフセットすることによ
    り補償することを特徴とする請求項1又は請求項2に記
    載の送信機。
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