JP3005848B2 - 飴菓子の製造方法 - Google Patents

飴菓子の製造方法

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JP3005848B2
JP3005848B2 JP8201126A JP20112696A JP3005848B2 JP 3005848 B2 JP3005848 B2 JP 3005848B2 JP 8201126 A JP8201126 A JP 8201126A JP 20112696 A JP20112696 A JP 20112696A JP 3005848 B2 JP3005848 B2 JP 3005848B2
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伸雄 篠原
武人 金弘
信和 畠中
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山口県
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、飴菓子の製造方法
に係り、より詳細には、短時間で高粘度の飴菓子を製造
し得る飴菓子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、飴菓子は、砂糖や水飴等の糖類
(以下、糖類とは、砂糖及びマルトース等の二糖類、グ
ルコース及びフラクトース等の単糖類、マルチトール等
の糖アルコール及び水飴等をいう)からなる原料を釜で
長時間煮詰めて取り出した後、これを冷却、切断工程を
経ることで製造している。なお、本明細書において、
『飴菓子』とは、水分を除く原料中に、糖類の占める割
合が、50〜100%(重量%)のものをいう。例え
ば、糖類が原料の約80%以上を占めるキャンデー、あ
るいは糖類が原料の約50〜80%で、残りの約50〜
20%が澱粉類を占める飴類をいう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の飴菓子の製造方法の場合、次のような課題がある。
すなわち、 糖類を100℃以上の高温度で煮詰める
ため、加熱ムラ等の焦げ付きが生じ易い。この場合、煮
釜に付帯した撹拌機の操作及び羽根の構造について、釜
の深部まで均一に撹拌し、かつ大型の羽根を設置する必
要があるため、これらの保守・点検、清掃が難しい。
煮詰め工程を釜で行うため、連続的製造を行うことが
できない。すなわち、一つの釜では、最初の原料を煮詰
めた後、一旦、その原料を取り出して次の原料を投入
し、再度加熱温度を上げて煮詰めなければならず、連続
的に原料を供給することができない。 糖類の中で糖
アルコールを原料とした場合、糖アルコールは水分が蒸
発し難いため、加熱に長時間を要する。 加熱媒体
が、直火や蒸気による配管を使用しているため、作業場
が高温となり、またボイラ等を設置しなければならな
い。 作業終了時の清掃において、釜へ付着している
糖類の除去が面倒である。 原料は、砂糖が主である
ため、直火式では焦げ付き、また水分を除去(乾燥)す
るためには、高温度又は大型の減圧処理装置を必要とす
る。等の課題がある。
【0004】そこで、本発明者は、このような課題につ
いて種々、研究、検討した結果、 この課題が、煮詰め工程をバッチ法により、釜で処
理することに起因し、特に、加熱温度が140℃以上の
高温度の直火式による場合、焦げ付き防止のための撹拌
機の操作や、その回転数の調整に高度な熟練知識が必要
となること、 真空処理を併用して水分を除去する場合、釜内の均
一な撹拌と泡立ちを防止する撹拌条件が必要となること
から、熟練技術が必要となり、初心者に対応できないこ
と、 従来法の煮釜による加熱方式に代わる方式として、
エクストルーダによる加熱方式を用いることで、熟練技
術を必要とすることなく、操作性が良く、かつ短時間で
良好な高粘性物を得ることができること、の〜の3
点を究明した。
【0005】本発明は、このような課題に対処して創作
したものであって、その目的とする処は、エクストルー
ダを用いることによって、効率的な熱伝導が得られ、水
分除去が行え、短時間で高粘度の飴菓子の製造方法を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】そして、上記課題を解決
するための手段としての本発明の請求項1の飴菓子の製
造方法は、水分を除く原料の90〜100%を占める炭
水化物を、加熱温度を自在とし減圧装置部を備えたエク
ストルーダに連続的に供給し、エクストルーダ本体部
で、所定加熱温度、所定真空度下でスクリューによって
撹拌し、該エクストルーダの出口より排出して、高粘性
の高分子物質からなる飴菓子を生成している。
【0007】また、本発明の請求項2の飴菓子の製造方
法は、前記請求項1の製造方法において、加熱温度が1
20〜200℃の範囲であることを特徴とする。請求項
3の飴菓子の製造方法は、前記請求項1または2の製造
方法において、炭水化物が単糖類、二糖類、糖アルコー
ル及び水飴から選ばれる一種類以上とすることを特徴と
する。請求項4の飴菓子の製造方法は、前記請求項1ま
たは2の製造方法において、単糖類、二糖類、糖アルコ
ール及び水飴から選ばれる一種類以上の糖類の占める割
合が、炭水化物中50〜100%であることを特徴とす
る。更に請求項5の飴菓子の製造方法は、前記請求項1
〜4のいずれかの製造方法において、硬度が80〜20
0Kg/cm 又は500〜1500g/cm である高粘
性の高分子物質を生成することを特徴とする。
【0008】ここで、前記エクストルーダとしては、一
軸式、二軸式で、加熱方式がヒーター方式のものを用い
ることができる。ところで、飴菓子の製造原理は、糖類
及び澱粉類を煮詰めることによって、糖類又はこれら糖
類と澱粉類との膠質状高分子化合物をつくることにあ
る。例えば、キャンデーの製造法は、砂糖を主原料に、
水飴及び油脂類等を副原料として煮詰めたものである。
また飴類は文献[新和菓子体系(下巻)、116頁、石
崎利内著、(株)製菓実験社]の“朝鮮飴の製法”に示
されるように、砂糖及び水飴を主原料に、もち米を副原
料とし高温で長時間煮詰めたものである。すなわち、キ
ャンデーや飴は、糖類を主原料、すなわち原料配合中の
糖類の占める割合を50〜100%とし、これを他の副
原料と共に膠質状まで煮詰めたものである。この煮詰め
る手段については、従来の製造方法では、煮釜による方
法を用いているが、本発明においては、エクストルーダ
を採用した。このエクストルーダを用いるメリットは、
高温及び水分乾燥操作が簡単にえられることである。す
なわち 連続化が可能であること 熱交換が良好である
ため短時間で高温及び減圧処理設定ができることにあ
る。
【0009】このエクストルーダの特徴は、シリンダへ
形状の異なるスクリューを設置することにより、混合、
撹拌、加熱、乾燥及び成型を簡単に行うことができるこ
とにある。ところで、一般的に混合から成型までの工程
が、エクストルーダにより簡単に得られることは知られ
ている。例えば、減圧(真空)処理のスクリューの形状
について、混合及び撹拌の操作を行うスクリューの形状
はボール型で、減圧を行うスクリューの形状はリバース
型である。すなわち、減圧処理を行うバレルの手前側
(入り口側)バレルに位置するスクリューに、キャンデ
ー原料の逆流れを行わせることによって、試料とバレル
壁面との密着性を高め吸引側のバレル中の減圧状態をつ
くる。このことにより水分を除去することができる。し
かし、これまで、このエクストルーダを飴菓子の製造へ
応用した技術はみられない。本発明では糖類、澱粉類に
ついて、そのエクストルーダの高温下における膠質状の
高粘性物質の製造条件を種々検討した結果、従来法の煮
釜で得られるキャンデー類の品質と同等以上の製品が得
られることを認めた。
【0010】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の請求項1の飴菓子の製造方法によれば、煮詰め工程
を、エクストルーダを用いて高粘性の高分子物質を得る
ようにしているので、熟練技術を必要とすることなく、
また、原料に対する熱伝導、熱効率が良好となるため、
製造時間を短縮でき、かつ衛生的で、品質の良好なキャ
ンデー類(飴類を含む)を得ることができるという効果
を有する。
【0011】請求項2の飴菓子の製造方法によれば、エ
クストルーダを用い、その加熱温度を120〜200℃
としているので、原料が、従来法では困難であった糖ア
ルコールや、砂糖の含有量が多い糖類であっても、焦げ
つきを起こさせることなく、品質の優れた飴菓子を短時
間で得ることができる。請求項3の飴菓子の製造方法に
よれば、エクストルーダを用い、かつ原料として、単糖
類、二糖類、糖アルコール及び水飴から選ばれる一種類
以上の炭水化物、すなわち、これらを単独で、あるいは
組み合わせて用いているので、従来法による場合と同等
以上の飴菓子を得ることができる。請求項4の飴菓子の
製造方法によれば、エクストルーダを用い、かつ単糖
類、二糖類、糖アルコール及び水飴から選ばれる一種類
以上の糖類の占める割合を炭水化物中50〜100%と
しているので、従来法による場合と同等以上の飴菓子を
得ることができる。また、請求項5の飴菓子の製造方法
によれば、エクストルーダを用い、かつ硬度が80〜2
00Kg/cm2 又は500〜1500g/cm2 である高粘
性の高分子物質を生成させた構成としているので、粘性
がある飴菓子だけでなく、粘性の小さい飴菓子をも得る
ことができる。
【0012】従って、本発明によれば、品質の良好な飴
菓子を、従来法による煮釜法に比べて、熱伝導、熱効率
が良く、短い時間で、熟練作業を必要とすることなく、
かつ衛生的に製造できるという効果を有する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明を具体化した実施の形態について、実施例に基づいて
説明する。ここで、図1は、本発明を実施する際のエク
ストルーダの一例を示す説明図である。このエクストル
ーダは、スクリュー式押し出し機であって、砂糖や水飴
等の原料を投入するための原料投入部1と、原料を攪拌
押し出しするためのエクストルーダ本体部2、給水装置
部3、および真空ポンプからなる減圧装置部4とからな
る。原料投入部1は、原料容器部1aと原料供給用ホッ
パー1bからなり、原料供給用ホッパー1bはエクスト
ルーダ本体部2の原料入口2aに開口している。エクス
トルーダ本体部2は、外套管5とスクリュー6を有し、
バレル1〜バレル4の4つの個所に分かれ、途中に、給
水装置部3から水を給水するための給水口3aと、エク
ストルーダ本体部2を減圧するための減圧バレル4aが
設けてあり、先端には、生成した粘性物を所定の大きさ
にして排出するためのダイス2bが設けてある。またス
クリュー6は、前進用スクリュー6aと逆流れ用スクリ
ュー6bからなる。
【0014】そして、このエクストルーダを用いて飴菓
子を製造するには、原料投入部1の原料容器部1aに収
納しているキャンデーの原料である糖類、澱粉類等を原
料供給用ホッパー1bを介してエクストルーダ本体部2
に投入、供給する。そして、エクストルーダ本体部2に
供給した原料は、第1バレルに流れ込み、また給水装置
部3から給水口3aを介して水が流れ込む。ここで、例
えば、原料としての砂糖と水飴の配合割合が同程度の場
合は、第1バレルの中へ水を流し込む必要はない。エク
ストルーダによりキャンデーを製造する場合、水を流し
込む目的は、スクリュー4を滑らかにすることにより、
原料をダイス2bへ容易に前進させることにある。従っ
て、水飴が適度に原料中に配合されていると、柔らかい
粘性となるため、特に第1バレルへ水を送り込む必要は
ない。そして、原料は、エクストルーダ本体部2で、所
定加熱温度、所定真空度下で、スクリュー6によって攪
拌されながらダイス2b方向に押されて粘性物を生成
し、この粘性物はダイス2bから排出される。このよう
にして、連続して、品質が良好で、かつ衛生的に飴菓子
を製造することができる。ここで、原料供給装置より原
料を流し込むスピードは、5〜20ml/分、また水を
流し込むスピードは5〜25g/分とした。また、エク
ストルーダの加熱条件は表1のとおりである。
【0015】
【表1】 以下に、この実施形態のエクストルーダを用い、実施例
に基づいて、飴菓子の製造方法について説明する。
【0016】
【実施例】
−実施例1− 本実施例の飴菓子の製造方法は、キャンデーの製造方法
であって、原料として、砂糖と水飴を同重量で混合した
ものを用いた。そして、この飴菓子に含まれる水分
(%)、蛋白質(%)、糖分(%)、色調、硬度(kg
/cm2 )、溶解性について調べた。なお、併せて、同
じ原料を用いて、同時に従来法による煮釜法でも飴菓子
を製造し、この飴菓子についても、その水分(%)、蛋
白質(%)、糖分(%)、色調、硬度(kg/c
2 )、溶解性について調べた。そして、その結果を、
表2に示す。なお、従来法によるキャンデーは、砂糖と
水飴を同重量で混合したものを、煮釜にて130±5℃
で20分煮詰めたものである。
【0017】
【表2】
【0018】ところで、キャンデーの特性は、味に関与
する水分・蛋白質等の一般成分、固さ及び口内に入れた
ときの溶解性にある。表2に示すように、水分、蛋白質
及び糖分については、本実施例、従来法において大きな
差が認められなかった。同様に硬度、溶解性について、
本実施例、従来法のキャンデーの違いは認められなかっ
た。例えば、キャンデーを口内にいれた場合の溶け具合
は全く同一であり、このことは溶解性の結果と一致し
た。またキャンデーの色調は、従来法のキャンデーに比
較して、淡色を示した。このことは淡色系キャンデーの
製造条件として、従来法による煮詰め工程による製造法
では得られない利点であった。以上の結果より本実施例
による製造方法が、従来法によりえられる製品と比較し
て、品質的に同等以上のものが得られることが認められ
た。
【0019】−実施例2− 実施例1において、原料の配合割合が砂糖と水飴の等重
量の場合について検討した。その結果、実施例1による
キャンデーは従来法と比較して、特に色調の面で好まし
い結果が得られた。そこで、原料配合について、砂糖が
水飴の1.5倍(砂糖が原料全体の60%)〜4倍(砂糖
の比率として80%)及び砂糖のみの100%配合の場合
について、そのエクストルーダ処理を検討した。同様に
糖アルコール(ソルビトール)100%配合についても
検討した。一般的に煮詰め工程を利用した従来法による
原料配合は、砂糖と水飴の同重量の場合が多い。その理
由は、砂糖を水飴よりも多くすると、煮釜による加熱処
理では焦げ付きが生じ易く、従って商品価値を減ずるこ
とによる。そのため加熱温度は140℃前後が限界値で
あるとされている。一方、加熱をエクストルーダ処理に
よった場合は、加熱温度が180〜200℃でも、焦げ
付きのない商品性のあるキャンデーが得られる。さら
に、砂糖のみの場合においても、簡単に短時間でキャン
デーをえることができる。この理由は、エクストルーダ
では、スクリューにより流体が終始薄い膜となってバレ
ル壁面に接するため、伝熱係数の高い熱交換が行われる
ことによる。このようにエクストルーダ処理法は、従来
法により煮釜法に比較して、高温度でかつ短時間でキャ
ンデーをえることができる。さらに砂糖を水飴よりも多
く配合した場合のメリットは、真空度が上昇し易いこと
にある。この理由はスクリューとバレル壁面との接触部
において、砂糖の固形粒子が多いため、吸引時に抵抗が
かかることにより、真空度の高い減圧状態がえられるこ
とによる。すなわちこのことは乾燥が短時間で効率良く
行うことにつながる。
【0020】原料の配合比を変化させた試験区の設定に
ついて、試験区は、砂糖:水飴[1(50%):1(50
%)]、試験区は、砂糖:水飴[1.5(60%):1
(40%)]、試験区は、砂糖:水飴[3(75%):1
(25%)]、試験区は、砂糖:水飴[4(80%):1
(20%)]、試験区は、砂糖100%、はマルチトー
ル100%とした。これによる結果を、表3に示す。
【0021】
【表3】
【0022】この表3の結果より、砂糖と水飴の比率が
同一の場合と、砂糖が水飴の1.5〜4倍の場合とでは
加熱温度、スクリュー回転数において、明らかに違いが
みられた。すなわち、水飴の割合が砂糖と同程度では、
これらの混合物がある程度の粘性をもつため、エクスト
ルーダのスクリュー回転数が60rpmでも前進させる
ことができた。しかし、砂糖が水飴よりも多くなると、
60rpmでは前進させることはできなかった。そこ
で、加熱温度を170〜180℃、かつ回転数を60r
pmに設定した場合、容易にキャンデーを製造すること
ができた。表3に示すとおり、各試験区とも硬度におい
て差異は認められたが着色度、硬度及び溶解度におい
て、大きな差異は認められなかった。硬度は水飴の混合
比率が低くなる程減少した。すなわちキャンデーにおけ
る水飴の主要な働きは、粘性の調製であることが認めら
れた。また、この硬度については、この試験区以外のも
のについても検査した結果、80〜200kg/cm
の範囲において、キャンデーとして良好な結果を得る
ことができた。
【0023】しかし、試験区間の硬度の違いは認められ
るが、いずれも甘味の保持及び口内での溶解において、
キャンデーとして適していた。一般的にキャンデーの品
質について、口内での溶け易さ(溶解度)が重要であ
る。一方、砂糖のみをエクストルーダ処理した場合、温
度を200℃まで上昇させることによって、簡単に膠質
高粘性物質を得られかつ、このものがキャンデーとして
適していることが認められた。さらにマルチトール等の
糖アルコールについても、表3に示すように加熱温度1
80℃でキャンデーを製造することができる。
【0024】実施例1におけるキャンデーの原料(炭水
化物)は、糖類を100%とした。しかし、この原料
(炭水化物)の90%を糖類とし、残りの10%を炭水化物
以外の原料例えばグルテン等の蛋白質及び油脂等に置き
換えた場合でも、膠質状のキャンデーをえることができ
る。しかし原料(炭水化物)の糖類の割合を90%以下に
設定した場合は、飴菓子の透明性及びザラツキ感の点で
商品としての問題点が残る。すなわち原料中に占める糖
類の割合は90〜100%が良好な結果がえられる。
【0025】以上の結果より、従来法では砂糖と水飴の
配合について、砂糖の添加量の最高限界値が水飴の1.
5倍であったが、エクストルーダ処理法により、加熱温
度を160〜200℃まで上げることで砂糖の使用量を
上げることができた。また、糖アルコールがキャンデー
原料として利用できることが認められた。すなわちエク
ストルーダを使用することにより、砂糖及び水飴の混合
比率に関係なく、また糖アルコールでもキャンデーが製
造できることが分かった。次に糖類として単糖類(果
糖、ブドウ等)及び二糖類(麦芽糖)をそれぞれ100
%としたキャンデーの品質を検討した。その結果を表4
に示す。
【0026】
【表4】
【0027】この表4の結果から、単糖類、二糖類がキ
ャンデーの硬度及び色調について、大きな差が認められ
ないことがわかった。すなわち単糖類及び二糖類のいず
れか又はこれらを組み合わせたもの、あるいはこれらを
原料の100%と設定してもキャンデーが製造できるこ
とがわかった。同様に原料を水飴100%と設定した場
合においても、適正なキャンデーが得られることを認め
た。本特許では真空度は全般的に10mmHg以下に設定し
た。ここでキャンデー製造の特徴は、いかに効率良く水
分を除去するかにある。勿論エクストルーダ運転におい
て、減圧処理を行わなくともキャンデーを製造すること
は可能である。この理由は加熱温度が150℃以上の高
温であるため、ダイスの4mm径の孔から水分は蒸気とな
って放出されことによる。また加熱温度が160℃以上
の場合は、水分の蒸発が顕著であるため、特に減圧処理
を必要としない。しかし、ダイスからの蒸気の発生は、
作業環境の面で問題点となる。本実施例では第4バレル
の真空度を10mmHg前後に設定したが、この場合はダイス
からの蒸気の発生は全く認められず、作業性の問題点は
なかった。また真空度を上げる程、ダイスの孔から直後
に出るキャンデーの硬度は大であることが認められた。
これらの結果より、砂糖が水飴よりも比率が高い原料配
合において、従来法による製造法ではできなかったキャ
ンデーが、本特許により製造できることが可能となっ
た。
【0028】−実施例3− 実施例1、実施例2の結果より、単糖類、二糖類あるい
は糖アルコールにかかわらず、いずれもキャンデーの原
料として利用できることが認められた。そこで糖類と澱
粉類の混合物である飴類を製造した。まず、糖類が飴類
の原料中に占める最小限界を検討した。この場合副澱粉
原料として米粉を混合した。これらの飴の配合例を表5
に示した。なお糖類は砂糖及び水飴の等量混合物とし
た。ここで糖類と米粉の混合割合は、試験区は糖類:
米粉=20:80(糖類20%)、試験区は糖類:米粉=5
0:50(糖類50%)、試験区は糖類:米粉=65:35
(糖類65%)、試験区は糖類:米粉=80:20(糖類80
%)となるように設定した。
【0029】
【表5】
【0030】なお米粉の添加方法は、米粉を50〜70℃の
温湯に溶解し糊化させ十分撹拌したものとし、そのもの
を糖類と混合させた後、エクストルーダへ投入した。こ
のように米粉等のような澱粉類をエクストルーダへ投入
する場合、十分糊化を行う必要がある。この理由は米粉
と水を同時にエクストルーダへ投入した場合、エクスト
ルーダの処理時間が1〜2分間であり、米澱粉が水を吸
収する時間が短い(澱粉のミセル部へ水が浸透できな
い)ため、糊化が生じにくいことによる。
【0031】この表5の結果より、糖類の添加量が多く
なるほど硬度が小さく(粘性がある)、柔らかい傾向を
示し、飴として適性であった。しかし試験区に見られる
ように、糖類の原料中に占める割合が20%の場合は、
市販品と比較して固い傾向を示し、商品性として問題が
残された。この原因として、原料中の澱粉比率が高くな
ると、澱粉固形化の影響が強くでるため、固いという欠
点が生じる。一方、試験区は、市販品と同程度の硬度を
示した。すなわち、飴として商品性を有するためには、
糖類50〜80%の配合割合が適していた。一般的に飴類の
原料は糖類として単糖類、二糖類及び水飴が、澱粉類と
してもち米粉末等が多く用いられる。本実施例では澱粉
類として米粉を用いたが、もち粉を用いれば一層の粘弾
性をえることができる。この場合、原料配合割合は、糖
類が他の副原料よりも多いことが特徴である。その理由
はキャンデーと同様に、煮釜による方法を用いているた
め、焦げ付くことが懸念されためである。そして、この
米粉等のような澱粉を配合した飴類については、500
〜1500g/cm2 の範囲の硬度のものが好ましい。
配合割合によって、種々の硬度の飴類を均一な品質で得
ることができた。
【0032】以上のことから明らかなように、実施例1
〜3の結果より、エクストルーダによる製造法が、従来
法である煮釜法と比較して、飴菓子の品質において同等
以上のものがえられることが明らかとなった。このこと
により製造時間の短縮、製造工程の簡略化、熟練作業の
省力化による製品のコストダウン等のメリットが得られ
た。なお、本発明は、上述した実施形態、実施例に限定
されるものでなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で
変形実施できる形態を含む。因みに、前述した実施例3
では糖類として、砂糖及び水飴の等量混合物について検
討したが、糖アルコールについても同様な結果が得られ
る。また、エクストルーダについては、内部のスクリュ
ーに代えて捩じり羽根を複数個並べた構成としてもよ
く、また外套管の内面を螺旋状管で形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する際のエクストルーダの一例を
示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・原料投入部、1a・・・原料容器部、1b・・
・原料供給用ホッパー、2・・・エクストルーダ本体
部、2a・・・原料入口、2b・・・ダイス(出口)、
3・・・給水装置部、3a・・・給水口、4・・・減圧
装置部、4a・・・減圧バレル、5・・・外套管、6・
・・スクリュー、6a・・・前進用スクリュー、6b・
・・逆流れ用スクリュー、7・・・バレル1(後端
部)、8・・・バレル2(シリンダ1)、9・・・バレ
ル3(シリンダ2)、10・・・バレル4(先端部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金弘 武人 山口県熊毛郡平生町平生197番地の24 (72)発明者 畠中 信和 山口県宇部市西岐波岡の辻4803番地の16 (56)参考文献 特開 平2−207746(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23G 3/00 - 3/32

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水分を除く原料の90〜100%を占め
    る炭水化物を、加熱温度を自在とし減圧装置部を備えた
    エクストルーダに連続的に供給し、エクストルーダ本体
    部で、所定加熱温度、所定真空度下でスクリューによっ
    て撹拌し、該エクストルーダの出口より排出して、高粘
    性の高分子物質からなる飴菓子を生成することを特徴と
    する飴菓子の製造方法。
  2. 【請求項2】 加熱温度が120〜200℃である請求
    項1に記載の飴菓子の製造方法。
  3. 【請求項3】 炭水化物が、単糖類、二糖類、糖アルコ
    ール、水飴から選ばれる一種類以上からなる請求項1ま
    たは2に記載の飴菓子の製造方法。
  4. 【請求項4】 単糖類、二糖類、糖アルコール、水飴か
    ら選ばれる一種類以上の糖類の占める割合が、炭水化物
    中50〜100%である請求項1または2に記載の飴菓
    子の製造方法。
  5. 【請求項5】 硬度が80〜200Kg/cm 又は50
    0〜1500g/cm である高粘性の高分子物質を生
    成する請求項1〜4のいずれかに記載の飴菓子の製造方
    法。
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