JP3005526B1 - 航空機の翼および翼形状の決定方法 - Google Patents
航空機の翼および翼形状の決定方法Info
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Abstract
空機の翼および翼形状の決定方法を提供する。 【解決手段】 後退翼である翼5は巡航時の翼上面にお
ける圧力分布が、境界層外縁の流線方向に垂直な横方向
に沿う圧力が一定となり、かつ流線方向に沿う圧力勾配
dCp/d(x/c)が前縁8から後縁9に向かうにつ
れて低くなる自然層流化を実現するように翼形状が決定
される。この横方向に沿う圧力が一定となることによっ
て横流れ不安定が抑制され、また後縁9に向かうにつれ
て低くなるように圧力勾配をもたせることによって流線
方向に伝播するT−S波型不安定を抑制することができ
る。これによって境界層の遷移を遅らせて揚抗比が改善
される。
Description
て揚抗比を改善する航空機の翼および翼形状の決定方法
に関する。
力の比である揚抗比を改善することによって飛行効率を
向上することができる。そのための手法の1つとして抗
力を低減する方法がある。主翼上面の空気の流れが層流
から乱流に遷移すると、摩擦抗力が増加し、これによっ
て抗力は急激に増加する。したがって、巡航時における
翼上面の境界層の層流から乱流への遷移(以下、境界層
遷移と称する)を後縁側へ遅らせることによって、抗力
を低減して揚抗比を改善することができる。
吸込みによる能動的な層流制御が知られている。
うな境界層吸込みによって境界層遷移を遅らせる手法の
場合、複雑なシステムを必要とし、翼の構成の大形化な
どの問題を有する。
ず、巡航時における翼上面の境界層が安定するように圧
力分布を最適化して境界層遷移を遅らせることができる
翼の実現が望まれている。このように圧力分布を最適化
する手法を自然層流化と呼ぶ。
不安定にする要因を抑制する必要がある。境界層を不安
定にする要因としては横流れ不安定およびT−S波型不
安定などが知られている。横流れ不安定とは、翼上面の
境界層内に、翼面に平行で境界層外縁の流線に直交する
方向の速度成分(横流れ成分)が生じることによって、
境界層が不安定となることをいう。また、主流方向に擾
乱が伝播して境界層遷移が生じやすくなる状態をT−S
波型不安定という。
力分布を示す図であり、上段は主翼直上から見たときの
圧力分布を模式的に示す図であり、下段は主翼を側方か
ら見たときの圧力分布を示す図である。なお、超音速に
おいて揚力がほとんど生じない条件を前提とした場合、
境界層外縁の流線方向と主流U方向とはほぼ一致し、そ
れぞれ翼弦方向に平行となる。図25はこのような場合
を想定している。
体に平行な方向を前後方向xとし、胴体に垂直な方向を
左右方向yとする。また下段の図における圧力の係数C
pは、一様流れの圧力を基準にとった無次元の圧力を示
す値であり、図25では上方に行くに従い圧力が低下す
るように図示してある。ライン2,3はそれぞれ主翼1
上の圧力分布において、左右方向yに異なる位置p1,
p2での流線方向、すなわち主流U方向に沿う圧力を示
す。
う各ライン2,3の勾配が等しい場合であっても、側方
から見ると、ライン2,3は上下にずれている。これは
翼1が後退翼であることから生じ、前縁4の後退角が大
きくなるにつれてライン2,3のずれは拡大する。
3が上下にずれるということは、翼上面の圧力分布にお
いて主流方向に垂直な横方向、すなわち左右方向yにも
圧力勾配が生じていることを示している。
速度分布を3次元で示す図である。図26において参照
符Bは境界層を示し、参照符Gは主流域を示し、参照符
uは主流U方向に沿う速度成分であり、参照符vは主流
方向に直角な横方向、すなわち左右方向yに沿う速度成
分(横流れ成分)を示し、参照符Fは境界層外縁を示
す。
には境界層B底流において横流れ成分vが発生してい
る。このような横流れ成分は前記したように、横方向に
圧力勾配が生じることから起こる。このような横流れ成
分vが発生することによって境界層Bは不安定となり、
境界層遷移が発生する原因となる。
伴い前縁後退角は増加することになる。また、前述した
ように前縁後退角が大きくなるほど横方向に圧力勾配が
大きくなるので、超音速機においては境界層遷移の発生
原因としてT−S波型不安定よりも横流れ不安定が早期
に境界層遷移を誘発することが多い。
S波型不安定を抑制するように圧力分布を最適化して自
然層流化を図り、境界層遷移を遅らせることができる航
空機の翼および翼形状の決定方法を提供することであ
る。
は、翼端に向かうにつれて前方または後方に傾斜する前
縁を有する翼平面形状を有する航空機の翼において、巡
航時の翼上面における圧力が、翼上面における境界層外
縁の流線に直交する方向にほぼ一定であることを特徴と
する航空機の翼である。
の前縁が傾斜する翼において、巡航時の翼上面の圧力分
布は、翼面に平行で境界層外縁の流線に直交する方向に
沿う圧力がほぼ一定となるので、横方向に圧力勾配が生
じず横流れ不安定による境界層遷移を遅らせる自然層流
化が実現できる。これによって揚抗比が改善されて飛行
効率が向上する。
る圧力分布は、流線方向に沿う圧力が、前縁から後縁に
向かうにつれて低くなる圧力勾配を有することを特徴と
する。
圧力は、流線方向に沿う圧力勾配が前縁から後縁に向か
うにつれて低くなるので、翼上面上の流れは圧力が低く
なる後縁に向けて加速されることになる。これによって
流線に沿って伝播するT−S波型不安定が抑制される。
このようにしてT−S波型不安定も抑制した自然層流化
が実現でき、境界層遷移をさらに遅らせることが可能と
なる。
が後退翼であり、翼端側が前進翼であることを特徴とす
る。
後退翼は、翼端が捩り上がることになり、また横流れ成
分が発生しない前進翼は逆に翼端が捩り下がることにな
る。したがって、翼根側を後退翼とし、翼端側を前進翼
とすることによって翼が大きく捩れることなく横流れ不
安定による境界層遷移を遅らすことが可能となる。
つれて前方または後方に傾斜する前縁を有する翼平面形
状を有する航空機の翼形状決定方法において、巡行時の
翼上面における圧力が、翼上面における境界層外縁の流
線に直交する方向にほぼ一定となるように翼形状を決定
することを特徴とする。
の流線に直交する方向に沿う圧力がほぼ一定となるよう
に翼形状を決定することによって、この横流れ不安定を
抑制した翼形状を容易に決定することが可能となる。
定するために、まず巡航時における翼上面の最適な圧力
分布を決定する。
のコンセプトを模式的に示す図であり、上段は翼5を直
上から見た図であり、下段は翼5を側方から見た図であ
る。なお図1において、胴体に沿う方向を前後方向xと
し、胴体に垂直な方向を左右方向yとする。Lは翼5の
最前端から最後端にわたる前後方向xに沿う距離を示
し、下段の図の縦軸のCpは一様流れの圧力を基準値と
して±0にとった無次元の圧力係数を示す。
条件を前提とした場合、翼上面における境界層外縁の流
線方向は主流U方向に一致、すなわち翼弦方向に一致
し、また翼面に平行で境界層外縁の流線に直交する方向
は左右方向yに一致する。本実施形態では、このような
超音速飛行を想定している。図1においてライン6,7
はそれぞれ翼5の左右方向yに異なる位置p1,p2で
の主流U方向に沿う圧力を示している。また参照符8,
9はそれぞれ翼5の前縁および後縁を示し、参照符1
0,11はそれぞれ翼5の翼根および翼端を示してい
る。
たときライン6およびライン7が重なった状態にある。
すなわち、主流U方向に垂直な横方向、すなわち図1の
下段においては紙面に垂直な方向に圧力が等しいことに
なる。このような圧力分布を呈することによって、横方
向には圧力勾配が存在せず、横流れ成分が存在しないこ
とになる。
布が、翼面に平行で境界層外縁の流線に直交する方向に
沿う圧力がほぼ一定となるように翼形状にを決定するこ
とによって、横流れ不安定を抑制した自然層流化を実現
する翼を得ることができる。
に沿う圧力勾配を決定する。図2は主流方向に沿う圧力
勾配dCp/d(x/c)と遷移位置x/cとの関係を
示すグラフである。ここでcは局所翼弦長を示す。図2
に示されるように、圧力勾配dCp/d(x/c)が負
になると遷移位置x/cが急激に後退することが分か
る。これは、圧力勾配dCp/d(x/c)を負、すな
わち翼上面における主流方向に沿う圧力が、前縁8から
後縁9に向かうにつれて低くなることによって翼上面の
流れが加速され、主流U方向に伝播するT−S波型不安
定が抑制されるためである。
置x/cとの関係を示すグラフである。遷移パラメータ
TURBは、0の場合が層流で、1の場合が完全乱流を
示し、0.0<TURB<1.0が遷移域を表してい
る。なお、図2,3ではマッハ2.0,cを代表長とし
たレイノルズ数Reが8×106 での計算結果を示して
いる。
8はそれぞれ圧力勾配dCp/d(x/c)=−0.1
0,−0.03,−0.02,0.10の値を示す。こ
のグラフから明らかに分かるように、圧力勾配dCp/
d(x/c)が増加するにつれて境界層の遷移が起こり
やすくなり、圧力勾配dCp/d(x/c)が−0.0
3以下では完全乱流には達せず、圧力勾配dCp/d
(x/c)が−0.02以上では完全乱流に達してしま
う。
c)を、dCp/d(x/c)<0に選び、好ましくは
dCp/d(x/c)≦−0.03に選ぶことによって
T−S波型不安定も抑制した自然層流化を実現できるこ
とが分かる。
型不安定を抑制する自然層流化を実現する翼5の翼形状
を決定する。図4は、翼5の翼平面形状を示す図であ
る。翼5は前縁8および後縁9の後退角θが45°の単
純後退翼であり、最前端から最後端にわたる翼の前後方
向xに沿う長さLは2.0mとし、翼根10から翼端1
1にわたる翼5の左右方向yの長さbは1.0mとし、
翼弦長さdは1.0mとする。また迎え角αは0°と
し、マッハ数Mは2.0とし、飛行高度Hは15,00
0mとし初期形状は捩りやキャンバのない2次元翼断面
とした。このような条件の下で、まず圧力勾配dCp/
d(x/c)=−0.03を目標圧力勾配とした3次元
CFD(Computational Fluid Dynamics)解析を行い、
翼5の翼形状を決定する。なお、本検討ではL=2cの
関係となる。
−0.03に設定した本発明の実施の一形態の翼5の翼
形状を示す図である。図5において各翼断面5a〜5k
はそれぞれ翼5の翼根10から翼端11に向かう左右方
向yに沿って等間隔に切断したときの翼断面を示す。な
お、参照符zは翼厚方向の高さを示す。図5に示される
ように、翼5は翼根10から翼端11に向かうにつれて
わずかに捩り上がった翼形状となる。次にこのようにし
て決定された翼形状の圧力分布が翼面に平行で流線に直
交する方向に沿う圧力がほぼ一定であり、かつ流線方向
に沿う圧力勾配dCp/d(x/c)が−0.03とな
っているかを検証する。
圧力分布を示すグラフである。なお図6において横軸は
x/Lであり、縦軸は圧力計数Cpであり、縦軸は上方
に向かうにつれて圧力計数Cpが低下するように示して
ある。
0.2,0.4,0.6,0.8,0.95の位置での
前後方向(翼弦方向)xに沿う翼上面の圧力勾配dCp
/d(x/c)を示し、また各丸印は目標圧力勾配ライ
ンTC1を示す。グラフから明らかに分かるように各ラ
イン30〜35は目標圧力勾配ラインTC1に沿って延
び、目標とする圧力勾配dCp/d(x/c)=−0.
03にほぼ一致している。
の前縁21からほぼ垂直に立上がり、目標とする圧力係
数に達すると、屈曲して目標圧力勾配ラインTC1に沿
って延び、各ライン30〜35が上下にずれていないこ
とが分かる。このことから流線方向に垂直な横方向yに
は圧力勾配がほとんど生じていないことが確認できる。
激に立上がって目標圧力係数ラインTC1に達すると急
激に屈曲して目標圧力勾配ラインTC1に沿って延びる
といった特性を示している。このように不連続に立上が
る圧力分布は超音速飛行している超音速前縁を有する翼
に発生する特有の現象であり、このような現象を利用す
ることによって流線方向に沿う圧力勾配dCp/d(x
/c)をすべて目標圧力勾配ラインTC1上に乗せると
いったことを比較的容易に達成することが可能となる。
るか否かを検証する。このために図7に示すように翼5
上に任意の5点A〜Eをとり、各点A〜Eでの速度分布
を計算によって求める。なお、点Aはx/d=0.1,
y/b=0.25の点であり、点Bはx/d=0.5,
y/b=0.25の点であり、点Cはx/d=0.5、
y/b=0.5の点であり、点Dはx/d=0.1,y
/b=0.75の点であり、点Eはx/d=0.8,y
/b=0.75の点であり、図8は点Aでの速度分布を
示すグラフであり、図9は点Bでの速度分布を示すグラ
フであり、図10は点Cでの速度分布を示すグラフであ
り、図11は点Dでの速度分布を示すグラフであり、図
12は点Eでの速度分布を示すグラフである。なおxは
前縁8からの距離を示し、yは翼根10からの距離を示
す。
流れ成分が発生しているか否を検証するために各図8〜
図12においてそれぞれ図5で決定した翼形状を示す翼
5と、捩れていない初期状態の翼形状のそれぞれにおい
て、流線方向に沿う速度分布および翼面に平行で境界層
外縁の流線に直交する方向に沿う速度分布を図示する。
各図8〜図12において実線および丸で示すラインL1
は初期状態の翼での流線方向に沿う速度分布を示し、破
線および丸で示すラインL2は初期状態の翼における翼
面に平行で境界層外縁の流線に直交する方向に沿う速度
分布を示し、三角および実線で示すラインL3は自然層
流化を実現した翼5での流線方向に沿う速度分布を示
し、三角および破線で示したラインL5は翼5での境界
層外縁の流線に直交する方向に沿う速度分布を示す。各
図8〜図12の横軸はラインL1およびラインL3に対
しては主流Uに対する流線方向の速度成分uをu/Uと
して示し、ラインL2およびラインL4に対しては主流
Uに対する横方向の速度成分vを5倍に拡大して5v/
Uとして示してある。なお、縦軸は翼厚方向zの高さを
示す。
の翼と自然層流化を実現した翼5とではラインL1およ
びラインL3を比較してわかるとおり、流線方向に沿う
速度分布はほとんど変化しないが、翼面に平行で境界層
外縁の流線に直交する方向に沿う速度分布においては初
期状態の翼ではラインL2から横流れ成分が発生してい
ることが明瞭にわかるが、自然層流化を実現した翼5で
は各ラインL4に示すようにほとんど横流れ成分が発生
していない。このように図5に示す翼5では横流れ成分
が発生しないことが確認できた。
に示されるような翼端11に向かうにつれて捩り上がる
翼形状を有する後退翼5は横流れ不安定およびT−S波
型不安定を抑制する自然層流化を実現できる翼であるこ
とが検証された。
流線方向に沿って圧力勾配dCp/d(x/c)が−
0.1となり、かつ横方向に沿う圧力が一定となる本発
明の実施の他の形態の翼40について検証する。図3に
関して述べたように、圧力勾配dCp/d(x/c)が
低いほどT−S波型不安定を抑制できるので、dCp/
d(x/c)=−0.1とした翼40は、上述した翼5
よりもT−S型不安定を抑制することが可能である。図
13は目標圧力勾配dCp/d(x/c)=−0.1と
してCFD解析によって得られた翼40の翼形状を示す
図である。なお図13において40a〜40kはそれぞ
れ翼根10から翼端11に向かって左右方向yに等間隔
に翼弦方向に切断した横断面を示す。
時における圧力分布について検証する。
果を示すグラフである。図14において各ライン41〜
46はそれぞれy/b=0.0,0.2,0.4,0.
6,0.8,0.95での圧力分布を示し、各丸印は目
標圧力係数TC2を示す。図14から分かるように、各
ライン41〜46はそれぞれ上下方向にずれることなく
目標圧力係数TCに乗っている。この結果から圧力勾配
dCp/d(x/c)=−0.1での自然層流化を実現
した翼40においても横流れ不安定およびT−S波型不
安定を抑制できることが検証された。
勾配dCp/d(x/c)を実現することによって翼5
に比べてさらにT−S波型不安定を抑制することが可能
となるが、図13に示されるように翼形状は翼根10側
では下方に向き、翼根10から翼端11に向かうにつれ
て上方に捩れ、特に翼端11側で大きく上方に捩り上が
ってしまう。
示す本発明の実施の他の形態である翼50においては翼
端に前進翼部分51を形成した。
う圧力勾配を低下させるとT−S波型不安定を抑制する
ことができるが、図5と図13とを比較して分かるとお
り、圧力勾配を低下させると翼端11が大きく捩り上が
ってしまう。このように捩り上がる原因は前縁8が後退
することから生じるので、逆に前進翼とすると翼端11
は逆に捩り下がることになる。したがって、翼50にお
いて翼根側を後退翼53とし、翼端側に前進翼51を設
けることによって翼根側の後退翼53では上方に捩れ、
翼端側の前進翼51では下方に捩れる構成となり、翼5
0全体での捩りを抑制することが可能となる。また翼5
0では後退翼から前進翼に切換わる部分にキンク52が
形成され、飛行時においてこのキンク52から後方に楔
状の乱流域S1が生成することになる。このようなキン
ク52から発生する乱流域S1はすべてを後退翼とする
場合には図15で領域S2で示す部分まで乱流が生じる
ことになるが、翼端側を前進翼とすることで領域S2部
分での乱流域を減少することができ、これによって摩擦
抗力が減少して揚抗比が改善されることになる。
て垂直な左右方向yに延びる翼も含む。また後退翼53
と前進翼51とが切換わる位置は、y/b=0.4〜
0.6程度の位置に選ばれる。
とする翼平面形状であってもよく、キンクを複数設け、
前進翼と後退翼とが複数連なる翼平面形状としてもよ
い。
に他の形態である翼60〜68を示す。なお図16〜図
24において上段は各翼60〜68を直上から見たとき
の圧力分布を模式的に示す図であり、下段は側方から見
たときの圧力分布を示す図である。なお下段において縦
軸の圧力計数Cpは上方にいくにつれて低下している。
翼60は、図1で検証した翼1に比べて横幅方向がさら
に延びた後退翼である。このような翼であっても翼面に
平行で境界層外縁の流線に直交する方向の圧力がほぼ一
定となりかつ流線方向に沿う圧力勾配が前縁から後縁に
なるにつれて低下するような圧力分布を呈するように翼
60の形状を決定することによって横流れ不安定および
T−S波型不安定を抑制した自然層流化を実現した翼と
することができる。
ある。前進翼であっても翼面に平行で流線に直交する方
向に沿う圧力がほぼ一定でかつ流線方向に沿って前縁か
ら後縁に向かうにつれて圧力が低下するような圧力勾配
を有する圧力分布を呈するような翼形状とすることで横
流れ不安定およびT−S波型不安定を抑制した自然層流
化を実現した翼とすることが可能である。
り、翼端側が前進翼である。このような翼平面形状とす
ることによって、翼端が大きく捩り上がることなく自然
層流化を実現することが可能となる。
ように直線に限らず、図19〜図21に示される翼63
〜65に示されるように、上方に凸に湾曲した曲線であ
ってもよい。このような曲線であっても前縁から後縁に
向かうにつれて圧力が低下するような圧力勾配とするこ
とによってT−S波型不安定を抑制して自然層流化を実
現することが可能である。
2〜図24に示される翼66〜翼68に示すように変曲
点が存在する滑らかな曲線であってもよい。このような
圧力分布であっても前縁から後縁に向かうにつれて圧力
が低下するような圧力勾配とすることでT−S波型不安
定を抑制した自然層流化を実現することができる。
3,66は図16に示される翼60と同様に後退翼であ
り、図20および図23に示される翼64,67は図1
7に示される翼61と同様に前進翼であり、図21およ
び図24に示される翼65,68は図18に示される翼
62と同様に翼根側が後退翼であり、翼端側が前進翼と
なる翼平面形状を有する。
巡航速度が超音速である翼を想定したが、自然層流化を
実現する本発明の翼は、巡航速度が超音速未満となる翼
であっても充分実現が可能である。この場合、翼に発生
する揚力によって境界層外縁の流線方向は主流方向に対
して傾斜した方向となるが、この場合であっても翼面に
平行で境界層外縁の流線に直交する方向に沿う圧力をほ
ぼ一定とすることで、横流れ不安定を抑制して自然層流
化を実現することが可能である。
平行で境界層外縁の流線に直交する方向に沿う圧力がほ
ぼ一定となるような圧力分布を呈する翼形状とすること
で、横流れ不安定を抑制した自然層流化を実現すること
が可能である。
に沿う圧力勾配が前縁から後縁に向かうにつれて低くな
るような圧力分布を呈する翼とすることによって、流線
方向に伝播するT−S波型不安定をも抑制する自然層流
化が可能となり、さらに揚抗比を改善することができ
る。
後退翼とし、翼端側を前進翼とすることによって翼端が
大きく捩り上がることを防いで自然層流化を実現するこ
とができる。
おける圧力分布が、翼面に平行で流線に直交する方向に
沿う圧力がほぼ一定となるように翼形状を決定すること
によって、自然層流化を実現し、揚抗比が改善された翼
形状を容易に決定することが可能である。
を模式的に示す図である。
cとの関係を示すグラフである。
示すグラフである。
状を示す図である。
である。
の平面形状を示す図である。
示す図である。
分布を示す図である。
分布を示す図である。
分布を示す図である。
分布を示す図である。
分布を示す図である。
分布を示す図である。
分布を示す図である。
分布を示す図である。
元で示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 翼端に向かうにつれて前方または後方に
傾斜する前縁を有する翼平面形状を有する航空機の翼に
おいて、 巡航時の翼上面における圧力が、翼上面における境界層
外縁の流線に直交する方向にほぼ一定であることを特徴
とする航空機の翼。 - 【請求項2】 前記翼上面における圧力分布は、流線方
向に沿う圧力が、前縁から後縁に向かうにつれて低くな
る圧力勾配を有することを特徴とする請求項1記載の航
空機の翼。 - 【請求項3】 前記翼は、翼根側が後退翼であり、翼端
側が前進翼であることを特徴とする請求項1または2記
載の航空機の翼。 - 【請求項4】 翼端に向かうにつれて前方または後方に
傾斜する前縁を有する翼平面形状を有する航空機の翼形
状決定方法において、 巡行時の翼上面における圧力が、翼上面における境界層
外縁の流線に直交する方向にほぼ一定となるように翼形
状を決定することを特徴とする翼形状の決定方法。
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