JP3003392B2 - イオン注入プロセスのシミュレーション方法 - Google Patents

イオン注入プロセスのシミュレーション方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体基板に不純物イ
オンを注入するときに深さおよび横方向に拡散されるイ
オン注入濃度をシミュレーションするイオン注入プロセ
スのシミュレーション方法に関し、特にモンテカルロ法
によるイオン注入プロセスのシミュレーション方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、MOS半導体装置の微細化に伴な
い半導体素子の仕上げ形状や不純物分布の精密な予測が
益々重要なことになってきた。そして、その予測も、単
に深さ方向のみの一次元のモデルでなく、微細化につれ
て横方向にも不純物の広がりを予測する二次元あるいは
三次元のモデルを作成する必要になってきた。
【0003】この二次元および三次元のモデルを求める
手法として、現在は主にモンテカルロ法による数値計算
が採られている。そしてこの数値計算において乱数を用
いて不純物の濃度分布モデルを作成するものである。ま
た、このモンテカルロ法は精密な解析ができることから
広く使われるようになった。
【0004】図4は従来のイオン注入プロセスのシミュ
レーション方法の一例を説明するための注入面に垂直な
面を示す模式図である。従来、このイオン注入プロセス
のシミュレーションは、まず、予め、注入面の深さ方向
および横方向を等体積の複数のセルに分割する。次に、
所定の濃度の重みをもつ粒子数を注入するとして数値計
算式にモンテカルロ法による乱数値を入れる。このこと
により、図4に示すように、深さ方向および横方向に分
割された単一セル1内のそれぞれに注入される初期注入
粒子2の数が求まる。そして、i番目の単位セルおける
濃度Ciは、単位セルの体積をV、i番目のセル内の粒
子数をNiおよび濃度の重みRとすると、Ci=R・N
i/Vで算出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のイオン
注入プロセスのシミュレーションでは、注入される物質
層内の濃度を単一の濃度の重みをもつ粒子数で表現され
るので、粒子数の少ない低濃度の領域では、濃度分布の
精度が悪くなるという欠点がある。また、この対策とし
て注入数を増やすことで精度を上げることが出来るが、
計算回数が増加しいたずらに計算時間を浪費させるとい
った問題を招くことになる。
【0006】本発明の目的は、このよな問題を解決する
ために、時間の増大を招くことなくより精度の高い濃度
分布モデルを作成することの出来るイオン注入プロセス
のシミュレーション方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、注入面
から深さ方向および横方向に複数の等体積のセルに分割
するステップと、モンテカルロ法により所定の濃度の重
みでイオンを注入する第1回の注入ステップと、注入さ
れた前記セルの中で部分的に濃度の低いセルを抽出する
抽出ステップと、この抽出された濃度の低いセルのみ
ら前記所定の濃度より低い濃度の重み該抽出されたセ
ルおよび他の前記セルに注入する第2回の注入ステップ
とを少なくとも含み、引続き前記抽出ステップで濃度の
低い前記セルを抽出し抽出された該セルのみから濃度の
重みを変えて抽出された前記セルおよび他の前記セルに
イオンを注入するステップを繰返すイオン注入プロセス
のシミュレーション方法である。
【0008】
【実施例】次に、本発明について図面を参照して説明す
る。
【0009】図1および図2(a)〜(d)は本発明の
イオン注入プロセスのシミュレーション方法の一実施例
を説明するための流れ図および注入面に垂直な断面を示
す模式図である。このイオン注入プロセスのシミュレー
ション方法は、モンテカルロ法により、粒子の濃度の重
みを変えて多段階に注入し試算して各セルの濃度を求め
濃度分布モデルを作成するものである。
【0010】すなわち、まず、図1に示すように、ステ
ップAで、所定の濃度の重みをもつ粒子数を入れ、図2
(a)に示す注入される粒子の分布を求める。次に、ス
テップBで初期注入を完了としLを0にカウントする。
そして、ステップCで、求められた粒子分布状態を記憶
する。次に、ステップDで、注入面に垂直に断面される
面を深さ方向および横方向に等体積の複数の単位セル1
に分割し、図2(b)に示す粒子数の少ないセルを検出
されるセル3として抽出する。次に、ステップEで、注
入すべき濃度の重みを初期の濃度の重みの1/Nに設定
する。ここでNは、例えば、粒子数の多いセルと少いセ
ルとの相対比を仮りに選ぶと良い。次に、ステップFで
初期回数0に1を加えLを1とカウントる。図2(b)
の検出されるセル3に1/N濃度の重みをもつ粒子を所
定数だけモンテカルロ法により注入する。このことによ
り、図2(c)に示すように濃度分布は変化する。次
に、ステップHで、モンテカルロ法による注入回数Lが
M回に充たないときは、ステップCでこの分布を記憶さ
せ、ステップEで注入する粒子の濃度の重みをさらに1
/Nにし、モンテカルロ法により、図2(c)に示す濃
度の低いセル領域に注入し、図2(d)に示す分布を得
る。この動作をM回以上繰返して行ない。ステップIで
各セルの濃度を計算する。この濃度計算式は下記に示す
ようになる。
【0011】
【0012】図3は本発明と従来のイオン注入プロセス
のシミュレーション方法による濃度計算結果を示す図で
ある。このように段階的に濃度の重みを変えてモテカル
ロ法で散乱試行すれば、図4に示すように、従来法で行
なった結果では表示されなかった深い位置での濃度分布
が精密に表示されている。また、モンテカルロ方による
試行回数が増えるものの、投入されるセル数が少なくて
済み、計算時間を増大させることなく求めることが出来
た。ちなみに、同一のモデルを想定して行なったとこ
ろ、従来要したCPU時間10分に対して、本発明の方
法であると17分かかったものの、その精度は一桁精度
が高く、従来法で同程度の精度を得るには、本発明の方
法の6倍程度のCPU時間を要する。
【0013】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、注入面に
直交する断面を複数の等体積のセルに分割するステップ
と、所定の濃度の重みをもつ粒子を初段階でモンテカル
ロ法で試算し、その結果、濃度の低いセルに対して前記
濃度の重みより低い濃度の粒子で注入試算するステップ
とを少なくとも含み、これらのステップを引続き繰返し
て行なうことにより、従来では濃度分布表示されなかっ
たセルにも、濃度の重みの低い粒子が入る込むことによ
って低濃度領域の分布も精度良く把握出来るという効果
がある。また、CPU時間にしても、多段階の濃度の重
みの粒子て注入する試算が増えるものの、セルでの試算
回数は少なくて済み、トータルの時間としてはあまり増
加しないという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイオン注入プロセスのシミュレーショ
ン方法の一実施例を説明するための流れ図である。
【図2】本発明のイオン注入プロセスのシミュレーショ
ン方法の一実施例を説明するための注入面に垂直な断面
を示す模式図である。
【図3】本発明と従来のイオン注入プロセスのシミュレ
ーション方法による濃度計算結果を示す図である。
【図4】従来のイオン注入プロセスのシミュレーション
方法の一例を説明するための注入面に垂直な面を示す模
式図である。
【符号の説明】
1 単位セル 2 初期注入粒子 3 検出されるセル 4 2回目注入粒子 5 3回目注入粒子

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 注入面から深さ方向および横方向に複数
    の等体積のセルに分割するステップと、モンテカルロ法
    により所定の濃度の重みでイオンを注入する第1回の注
    入ステップと、注入された前記セルの中で部分的に濃度
    の低いセルを抽出する抽出ステップと、この抽出された
    濃度の低いセルのみから前記所定の濃度より低い濃度の
    重み該抽出されたセルおよび他の前記セルに注入する
    第2回の注入ステップとを少なくとも含み、引続き前記
    抽出ステップで濃度の低い前記セルを抽出し抽出された
    セルのみから濃度の重みを変えて抽出された前記セル
    および他の前記セルにイオンを注入するステップを繰返
    すことを特徴とするイオン注入プロセスのシミュレーシ
    ョン方法。
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JP4504027B2 (ja) 2004-01-09 2010-07-14 株式会社東芝 イオン注入シミュレーション装置、イオン注入シミュレーション方法及びイオン注入シミュレーションプログラム

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