JP3001376U - 紙切断用型刃 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 接着剤で背固めされた積層紙等の背部の裁断
が可能な型刃を提供し、背固めされた積層紙等について
多様な形状の切断加工を可能とする。 【構成】 接着剤で背固めされた紙等の積層物を打ち抜
き裁断する型刃において、積層物の背部を切断する型刃
の部分に導入部分として型刃の打ち抜き刃面より突出し
た切断小刃を設ける。切断小刃は、積層物の背部にかか
る位置に設け、型刃を積層物に押しつけると切断小刃が
背部を切り開きながら続いて型刃が積層物全体の打ち抜
き裁断を行う。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、接着剤で背固めされた紙等の積層物の打ち抜き裁断に用いる型刃に 関する。詳しくは、積層物の背部の切断にかかる小刃を備える型刃に関する。

【０００２】

【従来の技術】

基本的な紙の切断加工手段には、切断面をまっすぐに切りそろえ、方形等に加 工する断裁機が挙げられる。断裁機は通常、傾斜をなす直線状の刃先を有する切 断刃に昇降機構を備え、断裁台上に載置された紙等に切断刃を下降させて押し切 るものである。昇降機構に代わって、回転機構を備え、刃渡りの一端部を支点に 回転させて紙を切断する断裁機もある。

【０００３】 特殊なものとしては、おもに化粧箱や包装部材等に用いる板紙の切断加工が挙 げられる。特殊な形状に切断する必要があるため、所望の形状の刃先を有する型 刃を用いて打ち抜いて裁断している。

【０００４】 紙等の切断加工は、切断面の状態と精度が重要である。切断面の状態には切断 刃の形状や磨耗等の疲労度とともに、紙等に対する切断刃の接触圧や速度が影響 を及ぼす。切断加工を施す紙の量や厚み、質、硬度等の特性に応じて、適当な切 断刃を用いたり、切断刃の接触圧や速度の設定を変更して、適切な切れ具合を得 る。また切断刃が磨耗や損傷を起こすと、切断面の不具合や精度の大きな狂いを 生じるため、切断刃の管理も重要である。

【０００５】 そのほか、紙等の積層物の背を接着剤で固めたものは、表紙ごとに背以外の三 方を裁断する必要があるため、三方について連続的に裁断できるよう、複数の切 断機構を組み合わせた三方断裁装置を用いることが多い。

【０００６】 また、部分的に凹凸曲面状に切断する場合、加工したい形状の切断刃を有する 断裁機と通常の断裁機が組み合わせて用いられる。例えば、方形の紙を角丸にす る場合、四隅の角を切り落として丸く加工する角丸裁断機や孔空け機がある。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】

以上のように紙等の裁断には、平面状の切断面が得られる基本的な断裁機と、 曲面等の複雑な切断加工が出来るものとして、部分的な裁断加工に用いる補助機 、特殊な形状に加工する型刃による打ち抜きがある。

【０００８】 基本的な断裁機は、切断処理能力、切断精度ともに優れている。短時間に大量 の紙をきれいに断裁することが出来るが、ほとんど平面状の切断面しか得られな い。一方、断裁機に補助機を組み合わせた場合、補助機により若干の特殊加工を 施すことは可能であるが、その切断形状は単純なものしか得られない。また、切 断加工の工程が増えるため、処理能力に問題があり、切断精度が低下する恐れも ある。

【０００９】 型刃による打ち抜き裁断は一工程で裁断が完了するが、切断処理能力、切断精 度に劣るため、化粧箱用の板紙の加工など、複雑な形状に切断する必要があり、 通常の断裁機では対応できない分野に限られている。

【００１０】 しかし、通常の断裁機や型刃による打ち抜き裁断によっても、切断加工が容易 でない場合がある。積層された紙は強靱であるため、一度に打ち抜く場合、用い る型刃の強度や型を押圧する速度や力の設定、型刃の磨耗等に細心の注意を払う ことにより、打ち抜きが可能となる。

【００１１】 さらに積層された紙等を接着剤で背固めしたものについては、型刃では背部の 切断が難しく、打ち抜きが不完全となるため、型刃による打ち抜き裁断は行われ ない。従来は、通常の断裁機構と補助機の組み合わせにより加工しているため、 得られる形状に限界があり、例えば背部に凹凸曲面を有するような形状を得るこ とは、処理効率からいってほとんど不可能とされている。

【００１２】 最近は志向が広がり、同種の紙製品についても様々な形状について需要がある 。接着剤で背固めされた積層紙等についても、特殊な形状に加工する必要が生じ 、背部に凹凸曲面を有するような形状が求められている。

【００１３】 本考案は、接着剤で背固めされた積層紙等の背部の裁断が可能な型刃を提供し 、背固めされた積層紙等について多様な形状の切断加工を可能とすることを目的 とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するために、本考案では、接着剤で背固めされた紙等の積層 物を打ち抜き裁断する型刃において、積層物の背部を切断する型刃の部分に導入 部分として型刃の打ち抜き刃面より突出した切断小刃を設ける。

【００１５】 本考案の型刃を用いる場合、型刃が積層物に押し付けられると、切断小刃が背 部を切り開きながら、それに続いて型刃が積層物全体の裁断を行う。切断小刃に より、接着剤で背固めされた背部を含む紙等の積層物に対して打ち抜きによる裁 断が可能となる。

【００１６】

【実施例】

本考案の実施例を図面とともに説明する。図１は本考案の実施例の型刃により 打ち抜かれた積層物の上面図、図２は本考案の実施例の型刃の斜視図である。図 １に示す通り、打ち抜かれた形状はほとんど凹凸曲線で構成され、上部の直線で 構成される部分が接着剤で背固めされた背部４にあたる。

【００１７】 図２にあるように、型刃１の打ち抜き刃面３は、打ち抜かれた積層物の形状に ほぼ等しいが、背部を打ち抜く箇所に設けた切断小刃２の幅だけ大きくなってい る。型刃１の周囲は、打ち抜き刃面３から打ち抜き方向に肉厚になり、打ち抜か れた積層物とその残りとを分離する。

【００１８】 本実施例では、切断小刃２は着脱が可能で、斜線部は替え刃となっている。接 着剤で背固めされた背部を切断するため、打ち抜き刃面よりも磨耗が激しくなる ことから、本実施例のように、切断小刃は、磨耗した部分を折り取って刃を動か し、替え刃が出来るようなものを用いるとよい。

【００１９】 本考案の型刃は、接着剤で背固めされた積層物に対して図１及び図２に示すよ うな複雑な形状の打ち抜きが可能となるが、本考案は、実施例に挙げた形状には 限定されない。

【００２０】

【考案の効果】

上記のように本考案の型刃によれば、接着剤で背固めされた紙等の積層物につ いて打ち抜きによる裁断が可能となる。型刃による打ち抜きは、方形等の直線で 構成されるものに限らず、凹凸曲面で構成される複雑な形状についても可能とな る。型刃を用いた裁断は、型刃を替えることにより同じ装置を多種の製品製造に 応用することが可能となるため、今後も、紙製品の形状への志向の変化に対応す ることが出来る等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の型刃により打ち抜かれた積層
物の上面図である。

【図２】本考案の実施例の型刃の斜視図である。

【符号の説明】

１ 型刃 ２ 切断小刃 ３ 打ち抜き刃面 ４ 背部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 接着剤により背固めされた積層紙の打ち
   抜き裁断用型刃において、当該型刃の積層紙背部の切断
   に従事する部分に、型刃の打ち抜き刃面より突出する切
   断小刃を設けたことを特徴とする打ち抜き裁断用型刃。