JP2988322B2 - クロスフィン用アルミニウム薄板およびその製造方法 - Google Patents

クロスフィン用アルミニウム薄板およびその製造方法

Info

Publication number
JP2988322B2
JP2988322B2 JP7156734A JP15673495A JP2988322B2 JP 2988322 B2 JP2988322 B2 JP 2988322B2 JP 7156734 A JP7156734 A JP 7156734A JP 15673495 A JP15673495 A JP 15673495A JP 2988322 B2 JP2988322 B2 JP 2988322B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
recrystallized grains
thickness
aluminum
present
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP7156734A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08327291A (ja
Inventor
泰久 西川
孝彦 渡井
雄庸 市川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Light Metal Co Ltd filed Critical Nippon Light Metal Co Ltd
Priority to JP7156734A priority Critical patent/JP2988322B2/ja
Priority to MYPI96001951A priority patent/MY114304A/en
Publication of JPH08327291A publication Critical patent/JPH08327291A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2988322B2 publication Critical patent/JP2988322B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)
  • Continuous Casting (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はクロスフィン用アルミニ
ウム薄板およびその製造方法に係り、熱交換器のクロス
フィン用アルミニウム薄板材として何れの成形法にも即
応し得る薄板材を提供し、夫々の成形法毎のアルミニウ
ム薄板材を準備する必要をなからしめ、工程管理などを
簡略化したクロスフィン製産を図ろうとするものであ
る。
【0002】
【従来の技術】熱交換器は熱媒体の通路管と該通路管に
接触して媒体の熱を周囲の空気に放出するフィン材から
なり、種々の製造方法で製造されている。たとえば、熱
媒体の通路管とフィン材をろう付けして接合する方法が
あり、この方法によって接合されたものは振動等に強く
自動車のラジエータ等の製造に使用されるが、600℃
近い温度で加熱してろう材を溶融することからコストが
高くなる欠点がある。一方ルームクーラや冷蔵庫等に装
着される熱交換器には、ろう付け接合に代ってコストの
低い機械的手段で熱媒体の通路管とフィン材を接合する
方法が採られている。すなわち、フィン材となる厚さ1
00〜150μmの薄板に熱媒体通路管径相当の貫通孔
を開け、該貫通孔に通路管を貫通せしめて熱媒体の通路
管とフィン材を密着させる方法である。このような通路
管が貫通密着したフィンはクロスフィンと称されてお
り、斯かるクロスフィンは所要の間隔、例えば1〜2mm
程度隔てて多数枚積層され熱交換器を構成する。
【0003】前記したような熱媒体の通路管の通る貫通
孔はクロスフィンが互いに間隔を隔てて積層できるよう
にし、フィン面に対し直角方向にフィンの積層間隔の立
ち上った鍔がつくように成形され、しかも鍔の先端はそ
のフィン間隔を確実なものとするように外側に反る如く
設けられている。即ち、この鍔の効果はこの他に通路管
とクロスフィンの結合力を高め熱伝達を向上させるもの
である。
【0004】ところで、アルミニウムは成形性および熱
伝導性が良好なことからクロスフィンに使用されている
が、前述したような先端が外側に反る如くされた鍔の代
表的な製作方法としては次の〜のような方法があ
る。 アルミニウム薄板に通路管径より大径でしかも高さ
の高いドロー加工(絞り加工)を施し、爾後径を小径と
し高さを低くする絞り加工を3〜4工程施して立ち上が
った鍔部分を形成し、次にピアシング(孔あけ)および
バーリング加工(孔開き加工)して通路管の通る貫通孔
を開け、しかる後リフレア加工(鍔の先端を外側に反ら
せる加工)するドロー成形法。 最初にアルミニウム薄板にピアシングおよびバーリ
ング加工して貫通孔を開け、次にアイアニング加工(し
ごき加工)を2工程施して板厚を薄くしつつ鍔の立ち上
がり部分を形成し、しかる後前記リフレア加工するドロ
ーレス成形法。 ドロー成形法におけるドロー加工を1〜2工程施
し、次にピアシングおよびバーリング加工して貫通孔を
開け、次いでアイアニング加工して鍔の立ち上がりに足
らない長さを補足し、しかる後リフレア加工する複合成
形法。
【0005】即ち、前記したのドロー成形法は絞り加
工が主体であって延性を要するためアルミニウム薄板と
して軟質材が適用されてきた。これに対しのドローレ
ス成形法はしごき加工で鍔を立ち上げることにより硬質
素材の適用を可能としたが、揮発性潤滑油の存在する条
件下での金型磨耗軽減のため、絞りとしごき加工を併用
したの複合成形性が開発されたものである。
【0006】然して、アルミニウムは熱伝導性が良好で
成形加工性に優れていることから、このようなクロスフ
ィンの材料として使用されており、特公昭58−197
34号公報には、アルミニウムDC鋳塊を均質化処理後
熱間圧延し、中間焼鈍して固溶元素を微細に析出させ、
しかる後冷間圧延によって発生する転位のセル寸法を微
細にし、最後の調質処理でサブグレインを平均粒径3μ
m以下の微細なものとして、成形加工時の加工歪を一様
に分散させ、成形加工時の割れ発生を防止する技術が提
案されている。
【0007】また特公昭62−54180号公報には、
特定の量および比率のFe、Siを含有するAl溶湯を
連続鋳造圧延してFe、Siを固溶させて強度を向上さ
せ、しかる後1〜2時間焼鈍してフィン成形性の付与と
強度低下を防止する技術が提案されている。更に特開平
5−230579号公報には、特定量のSi、Fe、C
u、Tiを含有するAl溶湯を回転する1対の対向冷却
鋳型に連続的に供給鋳造して合金元素の固溶および一部
金属間化合物として分散させ、得られた鋳造板を冷間圧
延後調質焼鈍を施してSi、Fe、Tiの微細な金属間
化合物を析出させ、組織の微細なサブグレインとして高
強度とフィン成形性とを付与する技術が提案されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記したような従来技
術はいずれも合金元素を微細な金属間化合物として析出
させて金属組織を一様に微細なサブグレイン組織とした
ものであるが、一般的に、一様に微細なサブグレイン組
織は加工硬化の程度が比較的小さく、ドローフィン成形
加工に際し、金型の当接する箇所に変形が集中して割れ
欠陥を呈する傾向がある。一方再結晶組織は加工硬化の
程度が比較的大きいが塑性加工の自由面で肌荒れを生じ
易く、フィン成形加工に際し、割れ発生の起点となり易
く割れ欠陥を呈する傾向があり、またサブグレインと再
結晶粒がばらばらに混在しているような金属組織は、サ
ブグレイン組織の欠陥と再結晶組織の欠陥が共に存在
し、同様に割れ欠陥を呈する傾向がある。
【0009】なお前述した、ドロー成形法、ドロー
レス成形法および複合成形法は、その何れの成形法も
一長一短があるが、高強度薄肉素材の加工における揮発
性潤滑油の使用は近年における趨勢であり、アルミニウ
ム素材に対しても何れの成形法にも適用できる加工性を
有することが望まれている。ところがこのような要請に
対しこれら〜および前記のように提案発表されてい
る従来技術は何れも適切に即応できない不利がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上述した問
題点を解決するために鋭意検討した結果、板の中心部分
が再結晶粒を有し、表面層が再結晶粒のないサブグレイ
ン組織からなる複合組織としたアルミニウム薄板は、そ
れぞれの欠陥を相殺し、クロスフィンの成形加工に適し
ていることを見出して本発明を完成したものであり、ド
ロー成形、ドローレス成形および複合成形の何れに対し
ても適合した半硬質アルミニウム薄板を提供し、またそ
の安定した製品を得しめることのできる製造方法を得る
ことに成功したものであって、以下の如くである。
【0011】即ち本発明は板厚中心部に再結晶粒が存在
し、板厚表面層は再結晶粒が存在しないサブグレン組織
であることを特徴とするクロスフィン用アルミニウム薄
板であり、またwt%で、Fe:0.15〜0.8%、Ti:
0.001〜0.02%を含有し、残部が不可避的不純物お
よびAlからなり、不可避的不純物中Siが0.15%未
満であって、Fe固溶量が30〜100ppm であり、板
厚中心部に再結晶粒が存在し、板厚表面層は再結晶粒が
存在しないサブグレン組織であり、導電率が59%IA
CS以上であることを特徴とするクロスフィン用アルミ
ニウム薄板。
【0012】更には、板厚中心部に存在する再結晶粒の
割合が圧延方向にそった断面における面積率で1〜30
%であることを特徴とし、また板厚中心部に存在する再
結晶粒の大きさが5〜50μmであることを特徴とな
し、更に前記した再結晶粒が存在する板厚中心部の層厚
範囲が全板厚の1/4〜3/4であることを特徴とし、
前述したような板としては連続鋳造圧延材であることを
特徴としたクロスフィン用アルミニウム薄板である。
【0013】好ましくは、wt%で、Fe:0.15〜0.8
%、Ti:0.001〜0.02%を含有し、残部が不可避
的不純物およびAlからなり、不可避的不純物中Siが
0.15%未満であるアルミニウム合金連続鋳造圧延板で
あって、Fe固溶量が30〜100ppm であり、板厚中
心部に再結晶粒が存在し、その再結晶粒が存在する板厚
中心部の層厚範囲は全板厚の1/4〜3/4であり、そ
の他の板表面層は再結晶が存在しないサブグレン組織で
あって、かつ導電率が59%IACS以上であることを
特徴とするクロスフィン用アルミニウム薄板である。
【0014】また本発明によるものは、上記したような
本発明のアルミニウム薄板を安定して得る手法として、
wt%でFe:0.15〜0.8%、Ti:0.001〜0.02
%を含有し、残部が不可避的不純物およびAlからな
り、不可避的不純物中Siが0.15%未満であるアルミ
ニウム合金溶湯を連続鋳造してから圧下率95%以上の
冷間圧延を行い、しかる後250〜300℃の温度で4
時間以上10時間以下の調質焼鈍を行うことを特徴とす
るクロスフィン用アルミニウム薄板の製造方法である。
なお連続鋳造された鋳片が比較的厚い場合は熱間で圧延
してよい。
【0015】
【作用】板厚中心部に再結晶粒が存在し、板厚表面層は
再結晶粒が存在しないサブグレン組織である複合組織の
アルミニウム薄板であることにより、板全体が一様なサ
ブグレン組織あるいは再結晶組織のものに比較してドロ
ー加工、アイアニング加工およびバーリング加工性を平
均して優れたものとする。即ちドロー加工時において従
来技術のように板全体が一様なサブグレーン組織である
と、ポンチ肩で変形が集中し割れ欠陥を呈し易く、また
再結晶粒が板表面にも混在しているような金属組織は、
歪みを拡散する効果は有するもの、自由面で肌荒れを生
じ易く、割れ発生の起点となって、割れ欠陥を呈し易い
傾向が認められる。これに対し、本発明により上記のよ
うな複合組織であるとポンチ肩部で変形が集中すること
を阻止し、またアイアニング加工する場合においても上
記したような本発明による複合組織であると、板表面部
がサブグレイン組織で成形性が良好であるから、鍔に十
分な立ち上がり部分を形成でき、板全体が一様のサブグ
レイン組織である場合と同様に良好である。
【0016】板表面層に再結晶粒が存在するような金属
組織の場合アイニング加工面で変形組織が不均一になり
易く、割れ発生の起点となり割れ欠陥を呈し易い。また
サブグレインと再結晶粒が混在しているような金属組織
は、割れの進行を阻止する内部組織がないので、同様に
割れ欠陥を呈する。リフレア加工は最後の工程であり、
本発明の複合組織はサブグレイン組織を有し、変形し易
いからこのリフレア加工で割れを生じることなく良好で
ある。
【0017】即ち、板全体が一様のサブグレイン組織の
ものはドロー加工性が悪くドロー成形法および複合成形
法に適応できず、また板全体が一様の再結晶組織のも
の、およびサブグレインと再結晶粒が混在しているよう
な金属組織のものはドロー加工性およびアイアニング加
工性が共に悪く、ドロー成形法、ドローレス成形法およ
び複合成形法に適応できないのに対し、本発明の複合組
織のものはドロー加工、アイアニング加工、バーリング
加工共に良好であるから、クロスフィン成形用のアルミ
ニウム薄板として、ドロー成形法、ドローレス成形法お
よび複合成形法のいずれにも適応する。
【0018】本発明の複合組織の薄板で板厚中心部に存
在する再結晶粒の割合は断面面積率で1〜30%であ
り、このようにすることによりドロー加工およびアイア
ニング加工時の表面における変形集中の進行を阻止す
る。即ち、1%以下ではドロー加工におけるポンチ肩で
の割れを防止できず、30%以上ではアイアニング加工
における加工硬化が大きくなる結果、変形時の割れの起
点となる虞があるが、これらの不利なしに加工せしめ
る。
【0019】また上記のような本発明複合組織薄板で板
中心部再結晶粒の大きさを5〜50μmとすることによ
ってドロー加工およびアイアニング加工時における表面
の変形集中を適切に阻止する。この再結晶粒大きさが5
μm未満または板厚中心部における再結晶粒の存在割合
が1%以下のような場合、ドロー加工におけるポンチ肩
での割れ発生を防止しきれない虞があり、また50μm
を超える再結晶割合が30%以上のような場合にはドロ
ーレス加工後のリフレアー加工時において割れの起点と
なる虞があるが、このような不利なしに加工せしめる。
【0020】本発明による複合組織薄板で板厚中心部に
おける再結晶存在層の厚さを、板厚の1/4〜3/4の
範囲とすることによりドロー加工およびアイアニング加
工時の表面における変形集中の進行を効果的に阻止す
る。即ち1/4未満のような薄い層または板厚中心部に
存在する再結晶粒の割合が断面面積率で1%以下のよう
な場合に表面変形の内部への進行を阻止しきれない虞が
あり、また3/4以上と厚い層では再結晶粒の割合が断
面面積率で30%以上のような場合に塑性加工による硬
化でリフレアー加工時の割れの起点となる虞があるが、
これらのおそれなしに加工し得る。
【0021】本発明の複合組織の薄板は、組成がwt%
で、Fe:0.15〜0.8%、Ti:0.001%以上0.0
2%未満、残部不純物からなり、不可避的不純物として
のSiが0.15%未満で、Fe固溶量が30〜100pp
m 、導電率が59%IACS以上とすることにより、強
度を向上でき、熱伝導率が高くて好ましいクロスフィン
用薄板を得しめる。Fe含有量が0.15wt%未満でかつ
Fe固溶量が30ppm 未満であるとフィンとして成形後
の強度が低くて薄板材として適用しがたく、Feが0.8
wt%超えでかつFe固溶量が100ppm 超えとなると延
性が不足してリフレアー加工時に割れが発生したり、導
電率を低下させる虞がある。Ti含有量が0.001wt%
未満では鋳造時の結晶微細化が不足して鋳造割れを生じ
る虞があり、また0.02wt%を超えると導電率が低下す
る虞がある。導電率が59%IACS未満であると熱伝
導性が低下するために熱交換器としての性能を損なう虞
がある。なお、熱伝導性、成形性および耐蝕性を低下さ
せないように、代表的な不純物としてSiを0.15wt%
未満とする。またSi以外の不純物についてもCuは0.
15wt%未満、Mn0.03wt%未満、Cr、VおよびZ
rそれぞれ0.015wt%未満とすることが好ましい。
【0022】本発明の複合組織薄板は連続鋳造技術によ
る鋳片の圧延板であることにより、合金元素の固溶量が
多くなり、強度を付与できるので好ましい。
【0023】本発明の複合組織薄板の製造については以
下に説明する方法に限定されるものではないが、好まし
い製造方法については成分組成、連続鋳造圧延条件、お
よび調質焼鈍があり、成分組成から説明すると以下の如
くである。
【0024】Fe:0.15〜0.8wt% Feは連続鋳造圧延で十分に固溶させて強度とフィン成
形性を付与し、爾後の調質焼鈍で析出させて板厚中心部
に再結晶粒を存在せしめ、板表面層に再結晶粒が存在し
ないサブグレイン組織とするために含有させるものであ
って、Fe含有量が0.15wt%未満では好ましい強度付
与ができず、また0.8wt%超えでは粗大な金属間化合物
を生じて成形性を低下させると共に、爾後の調質焼鈍で
析出させて板厚中心部に再結晶粒が存在し、板表面層に
再結晶粒が存在しないサブグレイン組織とすることがで
きない。Fe含有量のより好ましい範囲は0.7wt%以下
である。
【0025】Ti:0.001wt%〜0.02wt% Tiは連続鋳造時の結晶粒を微細化して鋳造割れを防止
するために含有させるものである。Tiの含有量が0.0
01wt%未満であると上述の効果が低下し、0.02wt%
超えとなると、熱伝導性を低下させると共に、薄板全体
が微細なサブグレイン組織となってしまい、爾後の調質
焼鈍で板厚中心部に再結晶粒が存在し、板表面層に再結
晶粒が存在しないサブグレイン組織とすることができな
い。Ti含有量の好ましい上限は0.015wt%未満であ
る。Tiの添加はAl−Ti母合金またはAl−Ti−
B母合金を用いると好ましい。Al−Ti−B母合金を
使用した場合はBが含有されるが、その量が0.002wt
%以下であれば本発明のアルミニウム薄板の効果を阻害
しない。
【0026】不可避的不純物 不純物としては、熱伝導性、成形性および耐蝕性を低下
させないように、代表的なものとしてSiを0.15wt%
未満とするが、その他の不純物としてもCuを0.15wt
%未満、Mnは0.03wt%未満、Cr、VおよびZrそ
れぞれ0.015wt%未満とすることが好ましい。
【0027】連続鋳造圧延条件 連続鋳造圧延板は、連続的に鋳造して得られたスラブを
中間で焼鈍することなく圧下率で95%以上の冷間圧延
を施して所望の厚さの薄板とするものである。この連続
鋳造圧延は、急冷凝固してスラブを鋳造し、連続して圧
延できる方法であれば限定するものではない。例えば、
対設した一対の内部冷却回転ロールの間にアルミニウム
溶湯を注入し、鋳造されたスラブを焼鈍することなく圧
延する水冷ロール法があり、その他の方法としても、他
側を冷却した一対の回転板の間にアルミニウム溶湯を注
入し、鋳造されたスラブを焼鈍することなく圧延する方
法などがある。なお鋳造の条件は、たとえば、溶湯の温
度は680〜730℃で、スラブの厚さは70mm以下、
好ましくは50mm以下、さらに好ましくは30mm以下で
ある。6mm以下では本発明の主旨とする複合組織を実現
し難くなる。スラブの引き出し速度は50〜150cm/
分である。
【0028】調質焼鈍 圧下率95%以上の冷間圧延を施した後、250〜30
0℃の温度で4時間〜10時間の調質焼鈍処理を行う。
この処理は、薄板に高強度を付与するための調質焼鈍処
理であって、FeおよびTiを適度に析出させ、板厚中
心部における板厚の1/4〜3/4に再結晶粒が断面面
積率で1〜30%の割合で存在し、他の板表面層におい
てはサブグレイン組織とし、これら再結晶粒とサブグレ
イン組織の複合組織とすると共にFeの固溶量を30〜
100ppm とし、かつ導電率を59%IACS以上とす
るためである。圧下率が95%未満であり、また調質焼
鈍温度が250℃未満で、かつ4時間未満では上記した
ような再結晶粒を得ることができない。また調質焼鈍温
度が300℃を超えると再結晶粒の面積割合が増え過ぎ
たり、再結晶粒が大きくなり過ぎては本発明の目的とす
る好ましい複合金属組織を得難くする。この調質焼鈍が
10時間以上となることは経済的でない。
【0029】
【実施例】次の表1に示すような本発明合金、比較合金
および従来合金の組成(wt%)を有するアルミニウム合金
溶湯を、水冷ロール法により厚さ7mmのスラブに鋳造
し、冷間圧延して厚さ0.100mmの薄板とした。
【0030】
【表1】
【0031】上記のようにして得られた各薄板は引続き
次の表2に示すような焼鈍条件で調質焼鈍を行い、また
このようにして得られたアルミニウム薄板に対し次いで
それぞれドロー成形、複合成形およびドローレス成形に
よって鍔を形成して成形性を評価した結果は表2の後段
に併せて示す如くである。なおその他の特性としてFe
固溶量、導電率、再結晶粒の存在する範囲の板厚、再結
晶粒の占める割合、機械的性質を測定したが、それらの
結果も表2において併せて示す如くである。
【0032】
【表2】
【0033】前記表2に示した評価および測定条件は以
下に示す如くである。 *鍔の成形性:鍔の成形性は、次の各方法で鍔を100
個成形し、欠陥の発生による評価を行ったが、成形に際
して使用する潤滑油は、粘度が1.5cSt(40℃)の
揮発性プレス油を使用した。鍔の最終寸法はいずれも内
径9.9mmに加工した。 「ドロー」フィンピッチ(リフレア加工後の鍔高さ)1.
6mmにし、4工程の絞り加工を施し、ポンチ肩割れの発
生で評価した。欠陥のないものにつきてリフレア加工し
て割れ欠陥の発生で評価した。 「ドローレス」フィンピッチを1.3mmとし、2工程のし
ごき加工を施し、カラー飛びの発生で評価した。また欠
陥のないものについてリフレア加工して割れ欠陥の発生
で評価した。 「複合方式」フィンピッチ1.4mmにし、2工程の絞り加
工を施し、次に2工程のしごき加工を施し、カラー飛び
の発生で評価した。欠陥のないものにつきてリフレア加
工して割れ欠陥の発生で評価した。 *Fe固溶量:熱フェノール法によりアルミニウム薄板
を溶解、濾過した濾液を分析した。 *導電率:20℃の油槽内によりダブルブリッチ法によ
り測定した(JIS H0505) *再結晶粒の存在する範囲の板厚:1%硼弗酸水溶液を
用いて陽極酸化処理し、画像解析装置で測定した。 *再結晶粒の占める割合:上記した板厚測定と同じ装置
で割合を測定した。 *再結晶粒の大きさ:上記板厚および割合の測定と同様
にして粒の大きさを測定した。
【0034】なお前記表1および表2の従来例のものは
表1に示すような組成の合金をDC鋳造して得られたス
ラブ厚さ580mmの鋳塊を630℃で1時間均質化処理
し、熱間圧延で厚さ7mmとし、冷間圧延で0.100mmの
薄板とした。またこの薄板を引き続き調質焼鈍を施した
が、調質焼鈍条件は表2に示す如くで、このようにして
得られたアルミニウム薄板に鍔を形成して成形性を評価
した。評価方法は前記した実施例と同じであり、その評
価結果は表2に示した如くである。
【0035】然して表2における評価〇、△および×に
ついては、何れも発生のないものを〇とし、くびれ発生
があり、リフレア加工時の割れ発生率が30%以下のも
のを△、ポンチ肩割れまたはカラー飛びが発生し、また
リフレア加工時の割れ発生率が30%超えのものを×と
したもので、リフレア加工時の割れ発生率は次式による
結果である。なおポンチ肩割れやカラー飛びはくびれ発
生がポンチ肩割れまたはカラー飛びにつながる前段階の
現象である。
【0036】上記したような表2の結果によるときは、
本発明によるものはクロスフィンの鍔をドロー成形、ド
ローレス成形および複合成形の何れの成形法によっても
くびれやポンチ肩割れ、カラー飛びあるいはリフレア割
れ等の欠陥発生なしに加工し得るものであるのに対し、
比較合金板および従来合金板によるものはドロー成形、
ドローレス成形または複合成形の少くとも何れか1つま
たは2つ以上(場合によっては全部)において劣ってい
ることが明かである。しかも本発明によるものは導電率
や強度においても優れており、クロスフィンの鍔成形法
の如何によって各別のアルミニウム薄板を準備すること
なしに好ましい製品を得しめることが理解される。
【0037】
【発明の効果】以上説明したような本発明によるとき
は、クロスフィンの鍔をドロー成形法、複合成形法およ
びドローレス成形法の何れの製造法によっても適切に成
形することができ、成形法毎に異ったアルミニウム薄板
を準備する必要がなくなり、工程その他の管理を簡略化
し簡易且つ低コストに好ましいクロスフィンを製産し得
るものであって、工業的にその効果の大きい発明であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるクロスフィン用アルミニウム薄板
の断面構成を略解的に示した説明図である。
【符号の説明】
1 サブグレイン 2 再結晶粒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−271833(JP,A) 特開 平5−230579(JP,A) 特開 平5−117795(JP,A) 特開 平5−9675(JP,A) 特開 平2−221356(JP,A) 特開 昭51−135813(JP,A) 特公 昭59−19186(JP,B2) 特公 昭62−54180(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 21/00 C22F 1/04 F28F 21/08

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 板厚中心部に再結晶粒が存在し、板厚表
    面層は再結晶粒が存在しないサブグレン組織であること
    を特徴とするクロスフィン用アルミニウム薄板。
  2. 【請求項2】 wt%で、Fe:0.15〜0.8%、Ti:
    0.001〜0.02%を含有し、残部が不可避的不純物お
    よびAlからなり、不可避的不純物中Siが0.15%未
    満であって、Fe固溶量が30〜100ppm であり、板
    厚中心部に再結晶粒が存在し、板厚表面層は再結晶粒が
    存在しないサブグレン組織であり、導電率が59%IA
    CS以上であることを特徴とするクロスフィン用アルミ
    ニウム薄板。
  3. 【請求項3】 板厚中心部に存在する再結晶粒の割合が
    圧延方向にそった断面における面積率で1〜30%であ
    ることを特徴とする請求項1または2の何れか1つに記
    載のクロスフィン用アルミニウム薄板。
  4. 【請求項4】 板厚中心部に存在する再結晶粒の大きさ
    が5〜50μmであることを特徴とする請求項1〜3の
    何れか1つに記載のクロスフィン用アルミニウム薄板。
  5. 【請求項5】 再結晶粒が存在する板厚中心部の層厚範
    囲が全板厚の1/4〜3/4であることを特徴とする請
    求項1〜4の何れか1つに記載のクロスフィン用アルミ
    ニウム薄板。
  6. 【請求項6】 板が連続鋳造圧延材であることを特徴と
    する請求項1〜5の何れか1つに記載のクロスフィン用
    アルミニウム薄板。
  7. 【請求項7】 wt%で、Fe:0.15〜0.8%、Ti:
    0.001〜0.02%を含有し、残部が不可避的不純物お
    よびAlからなり、不可避的不純物中Siが0.15%未
    満であるアルミニウム合金連続鋳造圧延板であって、F
    e固溶量が30〜100ppm であり、板厚中心部に再結
    晶粒が存在し、その再結晶粒が存在する板厚中心部の層
    厚範囲は全板厚の1/4〜3/4であり、その他の板表
    面層は再結晶が存在しないサブグレン組織であって、か
    つ導電率が59%IACS以上であることを特徴とする
    クロスフィン用アルミニウム薄板。
  8. 【請求項8】 wt%でFe:0.15〜0.8%、Ti:0.
    001〜0.02%を含有し、残部が不可避的不純物およ
    びAlからなり、不可避的不純物中Siが0.15%未満
    であるアルミニウム合金溶湯を連続鋳造してから圧下率
    95%以上の冷間圧延を行い、しかる後250〜300
    ℃の温度で4時間以上10時間以下の調質焼鈍を行うこ
    とを特徴とするクロスフィン用アルミニウム薄板の製造
    方法。
JP7156734A 1995-06-01 1995-06-01 クロスフィン用アルミニウム薄板およびその製造方法 Expired - Fee Related JP2988322B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7156734A JP2988322B2 (ja) 1995-06-01 1995-06-01 クロスフィン用アルミニウム薄板およびその製造方法
MYPI96001951A MY114304A (en) 1995-06-01 1996-05-24 Aluminum alloy sheet for cross fin and production thereof

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7156734A JP2988322B2 (ja) 1995-06-01 1995-06-01 クロスフィン用アルミニウム薄板およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08327291A JPH08327291A (ja) 1996-12-13
JP2988322B2 true JP2988322B2 (ja) 1999-12-13

Family

ID=15634163

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7156734A Expired - Fee Related JP2988322B2 (ja) 1995-06-01 1995-06-01 クロスフィン用アルミニウム薄板およびその製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2988322B2 (ja)
MY (1) MY114304A (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3355995B2 (ja) * 1997-05-08 2002-12-09 日本軽金属株式会社 ドローレス成形および複合成形性に優れたクロスフィン用アルミニウム合金薄板およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
MY114304A (en) 2002-09-30
JPH08327291A (ja) 1996-12-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6592688B2 (en) High conductivity aluminum fin alloy
US20170003085A1 (en) Aluminum alloy fin material for heat exchangers, and method of producing the same, and heat exchanger
JP4996909B2 (ja) アルミニウム合金ブレージングシートおよびその製造方法
JP3237492B2 (ja) クロスフィン用アルミニウム合金薄板およびその製造方法
JP3355995B2 (ja) ドローレス成形および複合成形性に優れたクロスフィン用アルミニウム合金薄板およびその製造方法
JP3810902B2 (ja) アルミニウム合金フィン材およびアルミニウム合金フィン材の製造方法
JPS626740B2 (ja)
JP3345839B2 (ja) 成形用高強度アルミニウム合金フィン材の製造方法
JP2008062255A (ja) キャビティ発生の少ないAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の超塑性成形方法およびAl−Mg−Si系アルミニウム合金成形板
JP2004027253A (ja) 成形加工用アルミニウム合金板およびその製造方法
JPH05271833A (ja) 成形用高強度アルミニウム合金フィン材およびその製造方法
JP4574036B2 (ja) 熱交換器のフィン材用アルミニウム合金、及び熱交換器のフィン材の製造方法
JP2002256402A (ja) 熱交換器のフィン材の製造方法
JP2988322B2 (ja) クロスフィン用アルミニウム薄板およびその製造方法
US10145630B2 (en) Aluminum alloy fin material for heat exchangers, and method of producing the same
JP3097642B2 (ja) 微小構造断面の熱交換器押出チューブ用アルミニウム合金および微小構造断面の熱交換器押出チューブの製造方法
JPS6022054B2 (ja) 成形性および耐食性のすぐれた高強度Al合金薄板、並びにその製造法
JPH05306440A (ja) 焼付硬化性に優れた成形用アルミニウム合金板の製造方法
JP4326907B2 (ja) ブレージングシートの製造方法
US10161693B2 (en) Aluminum alloy fin material for heat exchangers, and method of producing the same
JP2002322530A (ja) 容器用アルミニウム箔およびその製造方法
CN114134372B (zh) 一种电动汽车热管理用板料及其制备方法
JP4326906B2 (ja) ブレージングシートの製造方法
JPH09176805A (ja) アルミニウムフィン材の製造方法
JP2000119783A (ja) 熱交換器用アルミニウム合金製フィン材およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees