JP2987422B2 - 薬剤の放出制御・抑制方法およびその資材 - Google Patents

薬剤の放出制御・抑制方法およびその資材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、くん蒸剤等の薬剤
の大気中へ放出を制御・抑制する方法およびその資材に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】くん蒸剤は、農耕地土壌の消毒あるいは
検疫のための木材その他の貨物の消毒等に広く使用され
ている。土壌中には農作物を加害する病害、害虫、ウイ
ルス、雑草の種子が生息している。農作物を植え付ける
前にこれらの病害虫を駆除しなければ農業生産を維持す
ることが不可能である。従来、土壌中の病害虫の生息密
度を高めないために数種類の作物を輪作したり、耐病性
品種の育成、接木技術の利用を行ってきた。さらに、積
極的に病害虫を駆除するために夏期に太陽熱を利用した
土壌消毒、高温の水蒸気による土壌の加熱滅菌が一部行
われてきた。しかし、いずれの技術も煩雑であったり、
ごく限られた病害虫と作物にしか使えなかったり、効果
が十分でないなど問題が多いため、それらの技術に代わ
って薬剤による土壌消毒が一般的に行われている。薬剤
による土壌消毒では土壌中に薬剤を注入または混和し、
薬剤が蒸散しないようにポリエチレンフィルム又はポリ
塩化ビニルフィルムで一定期間被覆する。その後、フィ
ルムを除去し、高濃度のくん蒸剤のガスが土壌中に残存
しないように土壌を耕起し播種または苗の定植を行う。
このフィルムの被覆期間中とフィルムの除去時にくん蒸
剤の大部分は大気中に放出されて拡散する。また、植物
検疫の場面では病害虫等が付着した木材、あるいはその
他の貨物を倉庫内または広場において天幕で覆いをした
中で法令で定められた薬剤を用いての消毒が行われてい
る。くん蒸作業の終了後、倉庫は開放され、天幕は除去
されて消毒が完了するがくん蒸剤の大部分は大気中に放
出される。農耕地の土壌消毒や植物検疫における天幕く
ん蒸においてはくん蒸作業終了後、使用したくん蒸剤を
回収することなく作業環境周辺に排出させている。この
理由としては、作業環境が農耕地であったり、山林であ
ったり、港湾であったりしてくん蒸剤の回収が困難であ
るからである。近年、ハロゲン化炭化水素による地球環
境の汚染、とりわけオゾン層の破壊に関して従来フロン
が最大の原因物質であるとされ、その製造と使用の規制
が強化されてきた。その経過の中で最近有機臭素化合物
が塩化化合物よりもオゾン層破壊能力が高いことが指摘
され、1992年のコペンハーゲンにおけるモントリオ
ール議定書締約国会議において臭化メチルがオゾン層破
壊物質として指定された。このため、国際的に臭化メチ
ルの使用の規制を強化しようとする動きがあり、201
0年には検疫場面を除いて全廃されることとなった。し
かしながら、土壌消毒の場面では臭化メチルに代わる薬
剤または技術が開発されておらず、臭化メチルの使用中
止は農業生産に多大な打撃を与えることが懸念されてい
る。しかも、臭化メチルは元来天然起源の物質であり、
それは海藻類により生産され、またバイオマスの燃焼に
より多量に発生している。現在、天然起源と人為起源の
発生量の再評価が進められており、オゾン層破壊能力に
ついても再検討されている。それは臭化メチルの地表
面、対流圏における新たな消失機構が見出され、臭化メ
チルの寿命評価が徐々に短くなっているためである。し
かしながら、臭化メチルのオゾン層破壊能力の大きさを
勘案すれば臭化メチルの大気中への排出を極力抑制しな
ければならない。もちろん、オゾン層破壊の問題ばかり
でなく、より身近な環境汚染の問題もある。すなわち、
臭化メチルの他にくん蒸剤として使用されている薬剤
は、いずれも低分子量の有機ハロゲン化合物等で、強い
生理活性を持っている。そのために処理場面から系外へ
放出されることは、作業環境の安全と地球環境の保全の
観点から好ましいことではない。そこで、くん蒸剤の大
気中への排出を抑制するために、従来はポリエチレンや
ポリ塩化ビニル等の被覆用フィルムが使用されている
が、被覆用フィルムの機能は、薬剤処理期間、たとえば
農業分野でのくん蒸剤処理の場合は3〜10日間程度の
間、処理した薬剤が系外へ逃げないようにすることにあ
り、薬剤の種類、たとえば臭化メチルのような分子量が
小さい化合物の場合は、薬剤処理期間中においてすら被
覆用フィルムを通過して系外へ放出され、また処理後は
被覆用フィルムを撤去することにより比較的速やかに大
部分が大気中に放出される。環境保全の見地から、かか
る大気中への薬剤の放出は上述のとおり極力避けられる
べきである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】かかる見地に立ち、本
発明者等は、くん蒸剤等の薬剤が処理期間中は安全に保
持されて薬効を奏する一方、処理期間中またはその後の
一定期間中において薬剤が系外に放出され難く、かつ必
要な期間の後は薬剤が分解されて無毒化し、併せてオゾ
ン層破壊に関与しない物質に変換されることを目的とし
て研究を重ねた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、光触媒
層を通過させることにより、くん蒸剤等の薬剤が分解さ
れ、大気中への放出が抑制・制御されることにより達成
され、本発明は、その方法およびその資材に関するもの
である。光触媒とは、光の存在下に化学反応を促進する
物質の総称である。一般には、光触媒は、無機化合物で
あり、半導体としての性質を有し、特定の光の波長およ
び禁制帯幅で光触媒作用を示す。その一例を示すと次表
のとおりである。
【0005】
【表1】
【0006】数多の光触媒にうち、通常の太陽光線条件
下での、くん蒸剤等の薬剤に対する触媒活性や生体への
毒性等を勘案すると、二酸化チタン、酸化亜鉛、三酸化
タングステン、炭化ケイ素、酸化鉄(III)等が本発
明の目的には好適であり、さらにコスト、ハンドリング
の容易さ等からみて二酸化チタンさらに好適であり、
そのなかでもアナターゼ型の二酸化チタンが触媒活性の
強さから最も好適である。光触媒の有機化合物の分解に
関する知見は、トリハロメタン類等の水道水中の難分解
性発ガン物質への応用に関する報告以外は殆ど知られて
いない。例えば、本発明者等は、臭化メチル、二酸化チ
タンおよび光触媒をキーワードとして文献検索したが、
臭化メチルの光触媒による分解・除去等の報告を見出す
ことはできなかった。
【0007】二酸化チタンにより代表される光触媒は、
とくに400nm以下の波長の紫外光を受けて電子励起
を生じ、有機化合物の分解反応に触媒として関与する。
二酸化チタンは、励起電子による還元力よりもむしろ正
孔のもつ非常に強い酸化力に特徴がある400nmの光
エネルギーは、30,000℃以上の熱エネルギーに相
当し、この高温化では有機化合物は速やかに二酸化炭素
と水に酸化されてしま。光触媒はこの作用を常温で達
成していることになる。光触媒により分解が促進される
くん蒸剤等の薬剤としては、たとえば、臭化メチル、
1,3−ジクロルプロペン、1,2,3−トリブロムプ
ロペン、塩化メタリル、二塩化エチレン、四塩化炭素、
臭化クロチル、1,2−ジクロルエタン、ヘキサクロロ
エタンのようなハロゲン化炭化水素類、アクリルニトリ
ル、トリクロルアセトニトリル、シアン化水素のような
シアン系化合物、クロルピクリン、ジクロルニトロエタ
ンのようなニトロ系化合物およびエチレンイミン、エチ
レンオキサイド、ジクロルエチルエーテル、二硫化炭
素、イソチオシアン酸メチルのようなその他の化合物
等、有機および無機の多岐の化合物が挙げられるが、こ
れらの薬剤は、使用目的、安全性および関連法規の規制
等を勘案して適宜選択される。
【0008】本発明の方法は、光触媒による処理後の薬
剤の分解・無毒化にある。従って、本発明の方法は、様
々な態様によって実現することができる。例えば、薬剤
は土壌くん蒸剤である場合は、土壌中に潅注された薬剤
に直接には接触しないが、処理後の薬剤が土壌中から徐
々に土壌表面に移行し、そして大気中に放出されるまで
のいずれかの地点・時点において薬剤に接触し、これを
分解・無毒化する光触媒の必要量を設置することにより
達成される。この場合においても最も便宜なのは、くん
蒸剤処理において従来使用されていた被覆用フィルムに
かえて、光触媒が担持されたフィルムを使用することに
ある。それ故、本発明の主題は、光触媒が担持されたフ
ィルムまたはシート等の資材にも関する。光触媒を担持
したフイルムまたはシートを極めて多種・多様な形態お
よび作成方法がありえ、且つ、かかる形態および作成方
法は、処理されるべき薬剤の物理化学的性質と密接に関
係している。すなわち、薬剤として臭化メチルを例に挙
げると、臭化メチルは分子量が小さくかつ蒸気圧が大き
くフィルム透過性が高いから、薬剤処理後であって大気
中に放出されるまでの間に、フィルム内において臭化メ
チルが光触媒と十分に接触する時間が保たれるよう、光
触媒層自体がガスバリヤー性の良好な基材たとえば、塩
化ビニリデン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレー
ト、エチレンビニルアルコール、ポリアクリロニトリル
等のポリマー性フィルム中に分散、担持されているか、
または光触媒が適当な担体に担持されている層の上層
(大気に接する外側の層)にガスバリヤー性の良好な基
剤の層を設置し、二層をラミネート加工により一体化す
ることが好ましい。他方、より蒸気圧が小さくフィルム
透過性が低い薬剤の場合は、ガスバリヤー性があまり高
い層を使用すると、分解後のガスの大気中への揮散が妨
げられるおそれがあり、この場合は、ポリエチレン、ポ
リ塩化ビニル、セロハン、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、ポリビニルアルコール、エチレンテトラフルオロエ
チレン共重合フィルム等中に分散、担持させるか、また
は、そのような低ガスバリヤー層を上層に設置して、二
層をラミネート加工により一体化することが好ましい。
本発明の資材の種々の態様を以下に詳しく説明する。
【0009】〔例1〕大気に接する最上層に、ガスバリ
ヤー性が良好であり、かつ400nm以下の紫外線を透
過させ、光触媒による光反応が十分に行われるフィルム
(例えばポリ塩化ビニリデンまたはナイロン)を設け
る。一方、地面に接し、かつくん蒸剤ガスに接する最下
層に、ガス透過性の良好なフィルム(たとえばポリエチ
レンまたはポリ塩化ビニル)を設ける。この2層間に二
酸化チタン(アナターゼ型)の超微粒子(7〜10n
m)をフルイを用いて均一に散布し光触媒層を形成させ
る。この3層をバインダーを用いずラミネート加工し
て、本発明の資材を得ることができる。二酸化チタンの
担持に際してバインダーを使用せず、かつラミネート化
にあたり全面ではなく、適当な間隔を開けてヒート・シ
ールすることは、触媒活性の保持につながり有利であ
り、かかるラミネート法において作成されたシートは十
分な強度・耐候性を有してあり、本発明の好適な態様の
1つである。
【0010】〔例2〕このシートは、例1のシートの変
形である。すなわち、例1のシートの光触媒層と、最下
層のガス透過性良好なフィルムとの間に、活性炭素繊維
層を設け、全体を4層とするものである。活性炭素繊維
層は光反応により生ずる臭素イオン(臭化メチル由来)
および塩素イオン(フィルム由来)などの触媒毒物質を
除去して薬剤の光分解反応能力を低下させない特徴が更
に優れている。この場合において、ヒート・シールは全
面に施さず、適当な間隔をあけて施すことにより、触媒
活性の保持特性は更に良好になる。
【0011】 〔例3〕 このシートは、2層から成る。すなわち、上層のガスバ
リヤーが良好なフィルムと、光触媒を含有するポリマ
ーフィルムとをラミネート成型することにより作成され
る。光触媒を含有するポリマーは、たとえばポリテトラ
フルオロエチレン(PTFE)でありえ、PTFEの微
粒子(〜0.3μm)と光触媒、好適には二酸化チタン
の超微粒子(〜7nm)とを適当な割合(PTFE:光
触媒=1:9程度まで光触媒量比を高めることができ
る)で混合し、これを圧延してフィルムまたはシートに
成型することができる。PTFEに担持された光触媒層
は無数の細孔があり、これを通して、処理済のガスが進
入し、上層を通過した太陽光のエネルギーと光触媒の作
用によって短時間に分解され無毒化する。
【0012】〔例4〕このシートは、ガスバリヤー性が
良好なフィルムを上層とし、下層を不織布とし、その2
層間に光触媒粒子を封入したものである。不織布として
は、一般的な不織布(ポリビニルアルコール、ポリプロ
ピレン、ポリエステル、ポリエチレン等)およびセルロ
ースを起源とする活性炭素繊維製のもの等が挙げられ
る。ガスバリヤー性フィルムと不織布とは光触媒粒子を
はさんでヒート・シール加工されるが、ヒート・シール
は全面ではなく適当な間隔をあけて行うことが前述の理
由で好ましい。このシートは、ガス透過性良好なフィル
ムを最下層として有していない。従って、臭化メチル以
外のガス透過性が比較的低い薬剤に特に有利である。
【0013】〔例5〕このシートは、例3のシートに類
似し、ガスバリヤー性の良好なフィルムと、光触媒が練
り込まれたフィルムとの層から成る。この場合におい
て、二酸化チタンのような光触媒は、予め、水酸化アル
ミニウム、炭酸カルシウム、多孔質シリカ、タルク等の
充填剤に担持させておき、その状態でポリマーに練り込
み分散を行うことが好ましい。光触媒と充填剤とは、機
械的に混合して担持させることもできるが、両者を水中
で攪拌し、凝集させ、凝集体を乾燥することによっても
担持させることができる。光触媒が担持された混合物
は、ガス透過性が良好なポリマーに混練され、フィルム
に加工される。混合物のポリマーへの混入率はフィルム
の加工性と耐久性とを勘案して通常は30%程度であ
る。このシートの場合は、光触媒が水酸化アルミニウム
等の充填剤に担持されているのでポリマーへの直接の接
触が少なく、従って耐酸化力の大きいフッ素樹脂等を使
用しなくてもポリマーの酸化による破壊を防ぐことがで
きる。このシートにおいては、上記各例と異なり、2層
全面をヒート・シールしても差し支えない。このように
して作成される本発明の薬剤放出制御・抑制資材の効果
を次の試験例によって更に詳しく説明する。
【0014】試験例 1/2000アール・ワグネルポット(直径0.25
m,面積0.05m)に、農業環境技術研究所内の畑
土壌を20cmの深さに充填し、ポットの上部から10
cmは空間を設けた。以下に記載するシートA,B,C
およびDを、それぞれのポットの上端部に、ポットが密
封されるように接着して張りつけ、ついで臭化メチルを
慣行量(約30g/m)施用した。臭化メチルの土壌
中への注入は、ガスクロマトグラフ用のセプタム付きア
クティバイアル(容量約2ml)を用い、その基上部に
注射/針を設置し、1.7gの臭化メチルを封入し、こ
れを注射器にとりつけたワイヤーを牽引することにより
行なった。
【0015】シートA:例1に従って、上層からポリ塩
化ビニリデンフィルム(厚さ0.015mm)、二酸化
チタン微粒子(アナターゼ型、粒径7nm、4g/
)、ポリ塩化ビニルフィルム(厚さ0.05mm)
の3層から成り、これを部分的にヒート・シールして一
体成型化したもの。 シートB:例2に従って、上層から、ポリ塩化ビニリデ
ンフィルム(厚さ0.015mm)、二酸化チタン微粒
子(アナターゼ型、粒径7nm、4g/m)、活性炭
素繊維紙(厚さ0.25mm、活性炭素繊維含量65重
量%、活性炭素繊維表面積1,200m/g)、ポリ
塩化ビニルフィルム(厚さ0.05mm)の積層を部分
的にヒート・シールして一体成型したもの。 シートC:従来慣用のポリ塩化ビニルフィルム(厚さ
0.05mm) シートD:市販のポリ塩化ビニリデンフィルム(厚さ
0.015mm) 各被覆ポットは屋外で太陽光に5日間暴露し、被覆シー
ト直下の初期ガス濃度、5日後のガス濃度および大気へ
放出されたガスの放出割合をそれぞれ測定し算出した。
その結果を次表に示す。
【0016】
【表2】
【0017】試験結果の考察 初期ガス濃度と試験期間後のガス濃度との対比によるシ
ートの性能評価は困難である。なぜならば、施用した臭
化メチルは一旦土壌に吸着されて、被覆シート下の空気
中の臭化メチル濃度と平衡関係を保っているからであ
る。つまり、一旦施用された臭化メチルは土壌に吸着
後、徐々に脱着して気体で空気中に供給されるからであ
る。従って、試験前後のガス濃度差は実際のシートの性
能を直接には反映していない。それ故、実際の効果は臭
化メチルの放出割合と、残存しているガス濃度とから判
定することができる。本発明のシートAとシートBと
は、くん蒸剤の被覆用シートとして慣用されているポリ
塩化ビニル製シート(C)と比較して、放出割合が大幅
に低下していることが判る。ポリ塩化ビニリデンフィル
ム(D)は、一見放出割合が低いので効果が有りそうに
見えるが、試験終了後のガス濃度が高く、これはシート
撤去とともに大気に放出されるのであるから、試験期間
中のガス放出の防止効果はともかく、トータルとしての
環境汚染防止にはつながらない。
【0018】
【発明の効果】本発明の薬剤放出制御・抑制用資材は、
閉鎖系から開放系への薬剤の放出を制御・抑制し、環境
保全に資するところが大きい。本発明の資材は、ことに
農業分野および輸入品検疫におけるくん蒸剤の放出の防
止に極めて有用である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−246340(JP,A) 特開 平6−296874(JP,A) 特開 平3−174299(JP,A) 特開 平7−123875(JP,A) 特開 平9−111022(JP,A) 特開 平5−96181(JP,A) 特開 平9−28776(JP,A) J.Mol.Catal.,60〔3〕 (1990),375−387 Cuihua Xuebao,17 〔5〕(1996),455−458 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A01N 25/18 101 A01N 25/32 CAPLUS(STN) REGISTRY(STN) WPIDS(STN)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒が担持されたフィルムまたはシー
    トが、ガスバリアー性が高くかつ太陽光線を通過させる
    能力がある他のフィルムまたはシートとラミネート加工
    により一体化されたものを用いるくん蒸剤の放出抑制方
    法。
  2. 【請求項2】 他のフィルムの反対側に、ガス透過性が
    高い更に他のフィルムまたはシートを配し、3層がラミ
    ネート加工により一体化されたものを用いる請求項1に
    記載のくん蒸剤の放出抑制方法。
  3. 【請求項3】 光触媒がアナターゼ型チタンである請求
    項1または2のいずれかに記載のくん蒸剤の放出抑制方
    法。
  4. 【請求項4】 アナターゼ型酸化チタンが超微粒子であ
    る請求項1ないし3のいずれかに記載のくん蒸剤の放出
    抑制方法。
  5. 【請求項5】 くん蒸剤がハロゲン化炭化水素化合物で
    ある請求項1ないし4のいずれかに記載のくん蒸剤の放
    出抑制方法。
  6. 【請求項6】 くん蒸剤が臭化メチルである請求項1な
    いし5のいずれかに記載のくん蒸剤の放出抑制方法。
  7. 【請求項7】 光触媒が担持されたフィルムまたはシー
    トが、ガスバリアー性が高くかつ太陽光線を通過させる
    能力がある他のフィルムまたはシートとラミネート加工
    により一体化された形態であるくん蒸剤の放出抑制用資
    材。
  8. 【請求項8】 他のフィルムの反対側に、ガス浸透性が
    高い更に他のフィルムを配し、3層がラミネート加工に
    より一体化された形態である請求項7に記載のくん蒸剤
    の放出抑制用資材。
  9. 【請求項9】 光触媒層と、更に他のフィルムまたはシ
    ートとの間に、活性炭素繊維層が設置され、4層がラミ
    ネート加工により一体化された形態である請求項7また
    は8のいずれかに記載のくん蒸剤の放出抑制用資材。
  10. 【請求項10】 光触媒がアナターゼ型チタンである請
    求項7ないし9のいずれかに記載のくん蒸剤の放出抑制
    用資材。
  11. 【請求項11】 アナターゼ型酸化チタンが超微粒子で
    ある請求項7ないし10のいずれかに記載のくん蒸剤の
    放出抑制用資材。
  12. 【請求項12】 くん蒸剤がハロゲン化炭化水素である
    請求項7ないし11のいずれかに記載のくん蒸剤の放出
    抑制用資材。
  13. 【請求項13】 くん蒸剤が臭化メチルである請求項7
    ないし12のいずれかに記載のくん蒸剤の放出抑制用資
    材。
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Cuihua Xuebao,17〔5〕(1996),455−458
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