JP2986712B2 - 化学センサ、それを用いた塩化物イオン濃度の測定装置及び測定方法 - Google Patents

化学センサ、それを用いた塩化物イオン濃度の測定装置及び測定方法

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JP2986712B2 JP7107455A JP10745595A JP2986712B2 JP 2986712 B2 JP2986712 B2 JP 2986712B2 JP 7107455 A JP7107455 A JP 7107455A JP 10745595 A JP10745595 A JP 10745595A JP 2986712 B2 JP2986712 B2 JP 2986712B2
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  • Investigating Or Analyzing Non-Biological Materials By The Use Of Chemical Means (AREA)
  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
  • Investigating Or Analysing Materials By The Use Of Chemical Reactions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、塩化物イオン濃度測定
用のセンサ、特に光学的測定方法に基づく化学センサに
関する。また、本発明は、該化学センサを搭載した塩化
物イオン濃度の測定装置及び測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】塩化物イオンは生体内を初め、河川や海
水等の環境水中に広範囲に分布し、pHバランス等を通
して生態系に深く関与している。また、塩化物イオンは
ナトリウムイオン等の金属イオンや種々の有機物陽イオ
ンの対アニオンとしても重要は役割を果たしている。従
って、臨床分析や環境保全等の広い分野において塩化物
イオンの濃度は重要な指標となっており、これを簡便且
つ選択的に測定するセンサが要望されている。
【0003】さらに、塩酸や、塩化ナトリウム等の金属
塩化物は工業的に多量に用いられており、工程管理や品
質管理等の観点からも塩化物イオンのモニタリングは重
要な位置を占めている。即ち、医療あるいは工業プロセ
スにおいて、塩化物イオンを連続的に計測し、その測定
結果を基に塩化物イオンの濃度をコントロールするため
のセンサが望まれている。
【0004】従来の塩化物イオン用のセンサとしては、
例えば、電気化学的な計測方法、即ち、塩化物イオン電
極を挙げることができる。イオン電極は簡便で高感度な
センサであり、ビーカー等にサンプリングした試料の分
析方法としては極めて汎用性が高いものである。しかし
ながら、イオン電極は電気インピーダンスが高いためセ
ンサと信号計測器(電位差計)との距離を可及的に短く
する必要があり、電極のみを測定箇所に設置して遠隔計
測を行うことは困難である。従って、このようなイオン
電極による、いわゆる「in situ」における連続
分析においては、電極と電位差計とを共に測定箇所に設
置する必要がある。
【0005】また、イオン電極は作用電極や参照電極等
から構成されているが、従来より微少な参照電極の作製
が困難であるため、イオン電極を直接生体内で利用した
例はほとんどない。
【0006】更に、イオン電極はそのイオン感応部が破
損し易いために操作性は必ずしも良好とは言えず、試料
のpHや共存イオンの影響を強く受けるため、実用上の
制約も少なくない。
【0007】また、塩化物イオンの高精度な分析には、
従来バッチ処理に基づく方法が多く用いられている。こ
れは、前処理した試料に指示薬や呈色試薬を添加して、
滴定分析あるいは比色分析により塩化物イオン濃度を求
めるものである。しかしながら、バッチ処理による分析
方法は、塩化物イオンの連続的計測には適用が困難であ
る。
【0008】従って、試料のサンプリングや前処理等を
必要としない塩化物イオンのセンサが望まれている。
又、分析対象となる河川水等の環境水或いはプラントに
おける反応溶液や工業廃水等においては、前記したよう
に「in situ」の計測が要求され、そのためには
遠隔計測に適用可能なセンサが望まれる。更に、生体内
にセンサを挿入していわゆる「in vivo」な計測
を行うには、生体にできる限り損傷を与えることのない
微小なセンサを開発する必要がある。
【0009】近年、遠隔計測が可能で微小化も容易なセ
ンサとして、分析試薬を固定した感応膜と光ファイバー
等の光導波路を組み合わせた方法が提案されている(Wi
dmerH.M., Anal. Method Instrum., Vol.1, pp.60-72,
1993)。
【0010】この方法では、測定対象である化合物に対
して光学的に応答する分析試薬を高分子膜等の担体に固
定し、これを感応膜として使用するものである。この感
応膜を試料溶液に浸して、固定されている分析試薬の光
学的変化(吸光度変化や蛍光強度変化等)を測定し、こ
れより目的化合物の濃度を求めるものである。分析試薬
の光学的変化は感応膜を分光光度計や蛍光光度計のセル
壁に直接装着して測定することもできるが、遠隔操作の
観点からは感応膜と前記光度計とを光ファイバー等の光
導波路で接続して測定する。即ち、光ファイバーの高い
光透過性を利用して容易に遠隔計測へと適用できる。
【0011】また、分析試薬は感応膜に固定されている
ために、試薬の消費はなく連続的な計測が可能である。
また、感応膜は1mm2以下でも十分に光学的変化の測
定が可能であり、微小なセンサを構築することができ
る。
【0012】しかしながら、従来このような感応膜と光
導波路を組み合わせたセンサでの塩化物イオン等のハロ
ゲンイオンの計測についての報告は少なく、6−メトキ
シ−1−(3−スルホプロピル)キノリウムや3−(1
0−メチルアクリジニウム−9−イル)プロピオン酸4
フッ化ホウ酸塩(Urbano E. et al., Anal. Chem., Vo
l. 56, pp. 427-429, 1984)等の色素の蛍光消光に基づ
くセンサが報告されているのみである。
【0013】しかも、これらの色素の蛍光は、塩化物イ
オンよりも原子量の大きな臭化物イオンやヨウ化物イオ
ンによって強く消光されるため、センサの感度は(塩化
物イオン)<(臭化物イオン)<(ヨウ化物イオン)の
順となり、他のハロゲンイオンの共存下における塩化物
イオンの選択的計測は困難である。
【0014】従って、臭化物イオンやヨウ化物イオンに
よる消光の影響が小さく、塩化物イオンによって強く消
光される蛍光色素を用いることにより、塩化物イオンに
対して高感度で選択的なセンサを構築することができ
る。
【0015】これに対して、本願発明者は先に、特願平
7−82422号として、3,6−ビス(ジメチルアミ
ノ)−10−アルキルアクリジニウムイオンのハロゲン
化物からなる蛍光色素を用いた化学センサを提案してい
る。このセンサは塩化物イオンに対する選択性が高く、
ヨウ化物イオン等の他のハロゲンイオンの共存下におい
ても高精度に塩化物イオン濃度の測定が可能である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】上記蛍光色素を用いた
センサは、高い塩化物イオンの選択性を有するものであ
るが、塩化物イオン濃度が低い(例えば、10-3M未
満)場合には、蛍光色素の消光が少なく、高感度の高価
な光度計が必要であり、いまだ、改良の余地があるのが
実状である。
【0017】本発明の目的は、低濃度の塩化物イオンに
対しても、高感度で且つ選択的に計測することのできる
光学的測定方法に基づく優れた塩化物イオン用化学セン
サを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、以下に示
す本発明によって達成される。
【0019】即ち本発明は、試料溶液中の塩化物イオン
濃度を測定するための化学センサであって、表面に下記
構造式(1)で示される色素が固定されている担体、及
び該表面に結合されている塩化物イオン濃縮手段を具備
していることを特徴とする化学センサを開示するもので
ある。
【化5】 (但し、式中のRはアルキル基を、またX - はハロゲン
イオンを表す。)また本発明は、試料水溶液中の塩化物
イオン濃度の測定装置であって、試料水溶液を保持す
る、透明材質からなる試料セル; 表面に前記構造式(1)で示される色素が固定されてい
る担体、及び該表面に結合されている塩化物イオン濃縮
手段を具備し、該塩化物イオン濃縮手段と該試料セル中
の試料水溶液とが接する様に該試料セルの内壁に配置さ
れている化学センサ; 該色素を励起する手段;及び励起された該色素からの蛍
光を検出する手段を有することを特徴とする塩化物イオ
ン濃度の測定装置、あるいは、試料水溶液中の塩化物イ
オン濃度の測定装置であって、光ファイバー; 表面に前記構造式(1)で示される色素が固定されてい
る担体、及び該表面に結合されている塩化物イオン濃縮
手段を具備している化学センサであって、該光ファイバ
ーの先端に、該先端を該試料水溶液に浸漬したときに該
塩化物イオン濃縮手段が該試料水溶液と接する様に結合
されている化学センサ; 該光ファイバーを通して該色素に励起光を照射する手
段;及び励起された該色素が発する蛍光を該光ファイバ
ーを通して検出する手段 を有することを特徴とする塩化
物イオン濃度の測定装置である。さらに本発明は、試料
水溶液中の塩化物イオン濃度を測定する方法であって、
表面に前記構造式(1)で示される色素が固定されてい
る担体、及び該表面に結合されている塩化物イオン濃縮
手段を具備している化学センサを、塩化物イオンを含む
該試料水溶液と接触させ、該色素に励起光を照射して、
該色素が発する蛍光強度I 1 を測定し、塩化物イオンが
含まれない場合の該色素の蛍光強度I 0 との差に基づく
蛍光消光の度合いから、該試料水溶液中の塩化物イオン
濃度を検出することを特徴とする塩化物イオンの測定方
法である。
【0020】
【作用】本発明では蛍光色素を固定した担体に塩化物イ
オン濃縮手段を結合することによって、低濃度の塩化物
イオン濃度の測定においても、相対的に塩化物イオン濃
縮手段により塩化物イオンを濃縮することにより、蛍光
色素の十分な消光が得られ、さほど高価でない光度計を
用いても高精度な塩化物イオン濃度の測定が可能であ
る。
【0021】本発明において、塩化物イオン濃縮手段と
しては、イオン交換膜が使用可能であり、特に陰イオン
交換膜が好ましい。
【0022】このようなイオン交換膜においては、選択
的に陰イオンが吸着され、蛍光色素を固定した担体近傍
において塩化物イオン濃度が増加することにより消光強
度が大きくなる。また、吸着量は測定媒体中の塩化物イ
オン濃度に比例するため、定量的な測定が可能となる。
陰イオン交換膜内のイオン濃度と周辺とは平衡状態にあ
るため、周辺の濃度が増すと吸着が起こり、周辺の濃度
が低下すると脱着が生じ、これにより連続的な濃度測定
が可能となる。
【0023】蛍光色素としては、前記構造式(1)で表
される3,6−ビス(ジメチルアミノ)−10−アルキ
ルアクリジニウムイオンのハロゲン化物が挙げられ、そ
の10位のRで表されるアルキル基としては、炭素数3
0以下のものが好ましく用いられる。このアクリジニウ
ムイオンの蛍光特性(蛍光強度、励起波長、及び蛍光波
長)は10位のアルキル基にほとんど依存しないので、
炭素数30以下のアルキル基を10位の位置に導入し、
アルキル基の疎水性を利用して色素を担体に物理的に固
定する。
【0024】ここで、アルキル基は、ハロゲン原子、ス
ルホネート基、アミノ基、スチリル基、ニトロ基、ヒド
ロキシル基、カルボキシル基、ケトン基、シアノ基、3
級以上の置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしく
は未置換のアリール基、置換もしくは未置換のシクロア
ルキル基で更に置換されていても良い。更に、このアル
キル基はマレイミドやスクシンイミド等の反応活性基に
よって修飾されていても良く、反応活性基で修飾された
色素は−SH等の官能基を有する化合物、あるいはこれ
ら官能基を有する担体表面に化学的に固定することもで
きる。
【0025】上記アクリジニウムイオンと対イオンを成
すハロゲンイオンとしては、塩素、臭素、ヨウ素イオン
等が挙げられ、中でも臭素イオンが好ましい。また、こ
れらハロゲンイオンの他に、水酸化物イオン、チオシア
ン酸イオン、ホウ酸イオン、過塩素酸イオン等を有する
色素も本発明のセンサに用いることができる。
【0026】これらの色素は市販されており、株式会社
同仁化学研究所等から入手できる。また、これらの色素
は以下の文献に記載の方法によっても得ることができ
る。 ・Miethke, E.; Zanker, V. Z., Phys. Chem. (Frankfu
rt am Main) 1958, 18,357-390 ・Yamagishi, A.; Masui, T.; Watanabe, F., J. Phys.
Chem. 1981, 85, 281-285 この蛍光色素を固定する担体としては、例えば、クロマ
トグラフィー等に用いられる粒子状担体や機能性膜の材
料となる高分子化合物あるいはゲル状化合物が挙げら
れ、具体的には、多孔質ガラス、ゼオライト、シリカゲ
ル、アルミナ等の粒子状担体、イオン交換樹脂、ポリメ
チルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ウレタン等の高
分子化合物、あるいはポリビニルアルコール、ポリアク
リルアミド等のゲル状化合物等である。
【0027】本発明の化学センサの形態としては、フロ
ーセルなどの測定対象をその内部に封入、通過が可能な
もの、光ファイバー型などの測定対象中に導入可能なも
のなど、測定対象や測定目的に応じて適宜選択すること
ができる。
【0028】
【実施例】本発明を以下の実施例に基づいて更に詳細に
説明する。
【0029】実施例1 図1は本発明の実施態様の一構成例を示す図であり、励
起光源1の光路L1と光検出器4の光路L2上には、こ
れら2つの光路L1,L2を一つの光路L3に混合する
光学系2があり、光路L3上にフローセル3が設けられ
ており、内部には試料液sが満たされている。また光検
出器4の前にはバンドパスフィルター6が置かれてお
り、光検出器4の出力は信号処理手段5に接続されてい
る。フローセル3の内壁には、3,6−ビス(ジメチル
アミノ)−10−アルキルアクリジニウムイオンのハロ
ゲン化物からなる蛍光色素を固定したポリアクリルアミ
ドの感応膜7が結合されており、更にその感応膜7には
塩化物イオン濃縮手段であるイオン交換膜8が結合さ
れ、3層をなしている(図1(b))。
【0030】3,6−ビス(ジメチルアミノ)−10−
アルキルアクリジニウムイオンのハロゲン化物からなる
蛍光色素は490nm付近に最大励起波長を有し、53
0nm付近に強い蛍光を発する。しかし、塩化物イオン
に対して特異的にその存在下では蛍光強度が減少する特
性を有する。
【0031】本実施例では、感応膜7となるポリアクリ
ルアミド膜は、アクリルアミド3g、N,N’−メチレ
ンビス(アクリルアミド)58mg、リボフラビン2.
7mg、及びペルオキソ二硫酸アンモニウム2.7mg
を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0,25ml)に溶
解した溶液にポリアクリルアミド水溶液(含量10%、
平均分子量7×105、3g)を加えた溶液0.1ml
をフローセル3に装入し、タングステンランプ(出力3
00W)を照射して光重合させて作製した。又、3,6
−ビス(ジメチルアミノ)−10−アルキルアクリジニ
ウムイオンのハロゲン化物として、3,6−ビス(ジメ
チルアミノ)−10−ドデシルアクリジニウムブロミド
を用いており、感応膜への固定は、前記重合膜にアクリ
ジニウムイオンを含む水溶液(濃度10-5M)を接触さ
せて行った。この操作により、1×10-6mol/m2
のアクリジニウムイオンが感応膜上に固定された。な
お、この例ではフローセル内で直接重合膜の形成を行っ
たが、別途作製した重合膜に蛍光色素を固定して、セル
内に装着しても良い。
【0032】次に、このようにして形成された感応膜7
にイオン交換膜8(東ソー製、「TASN−17」、
0.2mm厚)を接触させ周囲を固定することにより結
合させた。
【0033】励起光源1としては、発振波長488nm
のアルゴンイオンレーザーを用いるが、LEDやハロゲ
ンランプとバンドパスフィルターの組み合わせなどでも
良い。光検出器4としては、フォトマルチューブが望ま
しいが、アバランシェフォトダイオード、フォトダイオ
ードなどでも良い。光検出器4の前におかれたバンドパ
スフィルター6は530nm±10nmの透過特性を持
つ。光学系2としては、図2に示すようなビームスプリ
ッタ9と光ファイバー10を組み合わせたものが簡便で
好ましい。
【0034】励起光源1からの励起光は光学系2を通
り、フローセル3の壁面を透過して感応膜7に到達す
る。感応膜7では内部の蛍光色素が励起されて蛍光を発
する。生じた蛍光はフローセル3の壁面を透過し、光学
系2を経て光検出器4で検出され、その信号は信号処理
手段5で処理される。
【0035】光検出器4としてはフォトマルチューブを
使用し、また信号処理手段5としては、AD変換器、メ
モリ、マイクロコンピュータ等で構成される電気回路に
より行った。
【0036】いま、試料液s中に塩化物イオンが含まれ
ない場合に蛍光強度I0を示したとする。次に試料液s
中に塩化物イオンが含まれる場合、イオン交換膜8に塩
化物イオンが引きつけられ、感応膜7周辺の塩化物イオ
ン濃度が増加し、その結果、低濃度の塩化物イオンの場
合でも蛍光消光の度合いが大きくなり、その時の蛍光強
度I1はI0より小さい値を示す。I1とI0の差は、塩化
物イオンの濃度に依存しており、この関係を信号処理手
段に記憶させておくことにより、塩化物イオンの濃度が
わかる。また、試料液sを流動状態に保つことにより、
塩化物イオン濃度の連続測定も可能である。
【0037】本実施例1では、連続測定が容易なフロー
セルを用いたが、それ以外の、例えば、分析用のスタン
ダードなセルでも良い。
【0038】また、光学系2を設けない構成としてもよ
く、その場合は、励起光源1の光路L1と光検出器4の
光路L2が角度Θ(Θ≠0)を成すように励起光源1と
光検出器4を配置すれば良い。
【0039】本実施例のセンサを用いて塩化物イオン濃
度の測定を行うと、10-3Mの極めて低濃度の試料液に
おいても再現性良く塩化物イオン濃度の測定が可能であ
った。また、他のハロゲンイオンの存在下においても、
選択的に塩化物イオンの測定が可能であった。
【0040】実施例2 図3は本実施例2の構成図であり、光導波路である光フ
ァイバー(石英製、コア径100μm、クラッド径14
0μm)11の一端が装置本体12に接続され、光ファ
イバー11の他端には3,6−ビス(ジメチルアミノ)
−10−アルキルアクリジニウムイオンのハロゲン化物
からなる蛍光色素を固定したポリアクリルアミドの感応
膜7が結合されており、更にその感応膜7には塩化物イ
オン濃縮手段であるイオン交換膜8が結合されている。
装置本体12内部には、励起光源であるレーザー、検出
系、電気回路を有する。光ファイバー11の先端は試料
液sの入った容器13に浸されている。
【0041】本実施例における光センサの製造は、実施
例1において使用したポリアクリルアミド水溶液にファ
イバー先端を浸し、光ファイバーを通して光照射してポ
リアクリルアミドを重合させ、得られた重合膜を実施例
1と同様に蛍光色素の水溶液に浸漬し、蛍光色素を固定
後、イオン交換膜8を実施例1と同様に結合させて形成
した。
【0042】装置本体12からの励起光は、光ファイバ
ー11を伝わり、先端の感応膜7に達し、感応膜7に固
定された蛍光色素を励起し蛍光を発生する。この蛍光の
一部は光ファイバー11を伝わり装置本体内部に達し検
出系にて強度が測定される。
【0043】ここで、前記実施例1と同様に蛍光消光の
度合いにより塩化物イオン濃度が検出される。また、光
ファイバー11の先端を試料液sの流れの中に浸すこと
により塩化物イオン濃度の連続測定も可能である。
【0044】実施例3 図4は、本実施例3の構成図であり、平面基盤14(2
0mm×20mm、t=5mm)はその裏面f1にアル
ミ薄膜を蒸着(10μm)したガラス(BK7)で、表
面f2には3,6−ビス(ジメチルアミノ)−10−ア
ルキルアクリジニウムイオンのハロゲン化物からなる蛍
光色素を固定したポリアクリルアミドの感応膜7が結合
することで光導波路を形成しており、更にその感応膜7
には塩化物イオン濃縮手段であるイオン交換膜8が結合
している。イオン交換膜8には、試料液sが接してい
る。励起光源であるアルゴンイオンレーザー1は、平面
基盤14の側面(厚み方向)に向け設置されており、光
検出器4は、バンドパスフィルター6を介して平面基盤
14の他の側面に対向して、しかも、励起光の光軸とは
図の奥行き方向にずれて設置されている。
【0045】アルゴンイオンレーザー1からの488n
mの励起光は平面基盤14の側面(厚み方向)から投入
され、感応膜7が結合している面f2と蒸着面f1で反
射を繰り返しながら他の側面へと達する。感応膜7が結
合している面では励起光のバネッセント光により感応
膜7内にある蛍光色素を励起し、バネッセント蛍光を
発生する。発生した蛍光の一部は、蒸着面及び平面基盤
14と感応膜7の結合面で全反射を繰り返しながら平面
基盤14の側面から外に射出して、バンドパスフィルタ
ー6を通過し光検出器4により強度が測定される。
【0046】ここで、前記実施例1と同様に蛍光消光の
度合いにより塩化物イオン濃度が検出される。また、イ
オン交換膜8に接している試料液sが流れている場合、
試料液s中の塩化物イオン濃度の連続測定も可能であ
る。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
低濃度の塩化物イオンに対して、他のハロゲンイオンに
妨害されることなく、選択的且つ高精度での光学的計測
可能な化学センサを提供することができる。該センサ
は、広く化成品の原料や中間生成物あるいは最終生成物
における塩化物イオンの計測に利用することが可能であ
り、また、工業プラントにおける冷却水や廃水等の監視
にも適用することができ、さらに、地下水や河川水等の
環境水あるいは血液や細胞内液等の生体試料における塩
化物イオンのセンシングにも用いることができる。
【0048】更には、単に塩化物イオンの計測のみなら
ず、塩化物イオンが関与する反応において、塩化物イオ
ン量と化学量論的な関係にある化学種のセンシングにも
利用でき、例えば、有機化合物への塩素付加反応や塩素
化反応においてセンサにより塩化物イオン濃度を測
定し、これより原料有機化合物の量や反応生成物の量を
間接的に求めることができる等々、幾多の顕著な効果を
奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を説明する構成図であり、
(a)は光学系、測定系を含む全体の構成図であり、
(b)はセンサの部分拡大図である。
【図2】本発明に利用可能な光学系の一構成例を示す。
【図3】本発明の他の一実施態様を説明する構成図であ
り、(a)は光学系、測定系を含む全体の構成図であ
り、(b)はセンサの部分拡大図である。
【図4】本発明の他の一実施態様を説明する構成図であ
る。
【符号の説明】 1 励起光源 2 光学系 3 フローセル 4 光検出器 5 信号処理手段 6 バンドパスフィルター 7 感応膜 8 イオン交換膜 9 ビームスプリッタ 10 光ファイバー 11 光導波路(光ファイバー) 12 装置本体 13 容器 14 平面基盤

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料溶液中の塩化物イオン濃度を測定す
    るための化学センサであって、表面に下記構造式(1)
    で示される色素が固定されている担体、及び該表面に結
    合されている塩化物イオン濃縮手段を具備していること
    を特徴とする化学センサ。 【化1】 (但し、式中のRはアルキル基を、またX-はハロゲン
    イオンを表す。)
  2. 【請求項2】 該担体が、高分子膜である請求項1記載
    の化学センサ。
  3. 【請求項3】 該高分子膜が、ポリアクリルアミドを含
    む高分子膜である請求項2記載の化学センサ。
  4. 【請求項4】 該塩化物イオン濃縮手段が、イオン交換
    膜である請求項1記載の化学センサ。
  5. 【請求項5】 試料水溶液中の塩化物イオン濃度の測定
    装置であって、 試料水溶液を保持する、透明材質からなる試料セル; 表面に下記構造式(1)で示される色素が固定されてい
    る担体、及び該表面に結合されている塩化物イオン濃縮
    手段を具備し、該塩化物イオン濃縮手段と該試料セル中
    の試料水溶液とが接する様に該試料セルの内壁に配置さ
    れている化学センサ; 該色素を励起する手段;及び励起された該色素からの蛍
    光を検出する手段を有することを特徴とする塩化物イオ
    ン濃度の測定装置。 【化2】 (但し、式中のRはアルキル基を、またX-はハロゲン
    イオンを表す。)
  6. 【請求項6】 該試料セルがフローセルである請求項5
    記載の塩化物イオン濃度の測定装置。
  7. 【請求項7】 該色素を励起する手段が、エバネッセン
    ト光を用いて該色素を励起せしめる手段を有する請求項
    5記載の塩化物イオン濃度の測定装置。
  8. 【請求項8】 試料水溶液中の塩化物イオン濃度の測定
    装置であって、 光ファイバー; 表面に下記構造式(1)で示される色素が固定されてい
    る担体、及び該表面に結合されている塩化物イオン濃縮
    手段を具備している化学センサであって、該光ファイバ
    ーの先端に、該先端を該試料水溶液に浸漬したときに該
    塩化物イオン濃縮手段が該試料水溶液と接する様に結合
    されている化学センサ; 該光ファイバーを通して該色素に励起光を照射する手
    段;及び励起された該色素が発する蛍光を該光ファイバ
    ーを通して検出する手段を有することを特徴とする塩化
    物イオン濃度の測定装置。 【化3】 (但し、式中のRはアルキル基を、またX-はハロゲン
    イオンを表す。)
  9. 【請求項9】 試料水溶液中の塩化物イオン濃度を測定
    する方法であって、 表面に下記構造式(1)で示される色素が固定されてい
    る担体、及び該表面に結合されている塩化物イオン濃縮
    手段を具備している化学センサを、塩化物イオンを含む
    該試料水溶液と接触させ、該色素に励起光を照射して、
    該色素が発する蛍光強度I1を測定し、塩化物イオンが
    含まれない場合の該色素の蛍光強度I0との差に基づく
    蛍光消光の度合いから、該試料水溶液中の塩化物イオン
    濃度を検出することを特徴とする塩化物イオンの測定方
    法。 【化4】 (但し、式中のRはアルキル基を、またX-はハロゲン
    イオンを表す。)
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