JP2985441B2 - 自動採譜分析装置 - Google Patents

自動採譜分析装置

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JP2985441B2 JP3305031A JP30503191A JP2985441B2 JP 2985441 B2 JP2985441 B2 JP 2985441B2 JP 3305031 A JP3305031 A JP 3305031A JP 30503191 A JP30503191 A JP 30503191A JP 2985441 B2 JP2985441 B2 JP 2985441B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動採譜分析装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ドラムの打撃時刻の抽出は、音楽
専門家が長年訓練を積んだ知識によって行なわれてい
る。また、多重楽音の場合には、他の楽器の影響によっ
てドラムの音響が相対的に弱くなり、正確な打撃時刻を
抽出するためには、音楽専門家が繰り返して編集が行わ
れている。近年、デジタル信号処理技術の進歩に伴い、
計算機による採譜の試みが行なわれるようになってきた
が、現在では単一楽音かつ有音程楽器(例えばバイオリ
ン、ピアノ等)に対しては、相当な実用的なレベルまで
成果が得られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ドラム
の打撃時刻の抽出は、音楽専門家に頼らなければならな
いことがあったり、音楽専門家が豊富な知識を持ってい
ても、繰り返しの作業による編集に、長い時間がかかっ
たりする。そこで自動的にドラムの打撃時刻を抽出する
システム、あるいは専門家でなくても抽出作業を行なう
ことのできる支援システムの開発が求められている。
【0004】一方、打楽器の発音の方法は、衝撃による
発音であるから、時間的変化は大体において複雑であ
る。また、信号処理の観点から見れば、衝撃を受けた信
号は、瞬間的な振動の時期をはさんで、一つの安定の分
布からもう一つの安定の分布に落ち着くという過程であ
る。従って、無音程楽器の採譜に関しては、楽音の瞬時
性と不規則性によって殆ど触られていない現状である。
【0005】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、適応信号処理の手法により、人
手による編集作業をなくし、計算機によるドラムの打撃
時刻を自動的に抽出し、なおかつ、実時間的処理を実現
することのできる自動採譜分析装置を提供することを目
的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明の自動採譜分析装置は、入力の音楽信号を入力
とし、前向き予測誤差と入力信号の確率過程を反映する
ことのできる尤度変数と呼ばれるパラメータを逐次的に
計算する適応ラテイスフィルタ部と、上記で得られた前
向き予測誤差と尤度変数との積によって求めたドラムの
打撃時刻の候補を抽出するピッチ候補抽出部と、上記の
抽出された打撃時刻候補から打撃時刻決定候補を決める
ために打撃時刻候補を幾つかの部分区間に分けて、それ
ぞれの平均値に基づくしきい値列を算出する計算部と、
上記のしきい値列によって信頼度の高い打撃時刻決定候
補を抽出するしきい値処理部と、上記の抽出された打撃
時刻決定候補の中から各局所的な区間における最も大き
な値を持つ打撃時刻をドラムの打撃時刻として抽出する
局所処理部とを備えている。
【0007】
【作用】上記の構成を有する本発明の自動採譜分析装置
では、入力の音楽信号を適応ラテイスフィルタの入力と
し、前向き予測誤差と入力信号の確率過程を反映するこ
とのできる尤度変数と呼ばれるパラメータを逐次的に計
算し、得られた前向き予測誤差と尤度変数との積によっ
て求めたドラムの打撃時刻の打撃時刻候補を抽出する。
そして、上記の抽出された打撃時刻候補から打撃時刻決
定候補を決めるために打撃時刻候補を幾つかの部分区間
に分けて、それぞれの平均値に基づくしきい値列を計算
し、これらのしきい値列によって信頼度の高い打撃時刻
決定候補を抽出する。最後に上記の打撃時刻決定候補の
中から各局所的な区間における最も大きな値を持つ打撃
時刻決定候補をドラムの打撃時刻とする。
【0008】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面を
参照して説明する。
【0009】最初に図1を用いて音楽源からドラムMI
DI(音楽用標準インタフュース)データの作成までの
全体の構成を説明する。図1において、音楽源11に接
続されたA/Dコンバータ12は、デジダル信号x(n)1
3を生成する。生成されたデジダル信号x(n)13はドラ
ム打撃時刻の抽出部14とドラムの識別部15にそれぞ
れ入力され、ドラムの打撃時刻の抽出とドラム種類の識
別を行う。最後に、抽出したドラムの打撃時刻と識別し
たドラムの種類は、ドラムのMIDI作成部16に入力
され、ドラムのMIDIデータが作成される。
【0010】図2は図1におけるドラム打撃時刻の抽出
部14の詳細であり、それは本発明を具体化したもので
ある。図2において、音楽源11のデジダル信号x(n)を
適応ラテイスフィルタ部21に入力し、前向き予測誤差
と尤度変数と呼ばれるパラメータを求める。ピッチ候補
抽出部22では、上記の前向き予測誤差と尤度変数との
積を計算し絶対値を取った結果によって打撃時刻候補
(以下、ピッチ候補と称す)を抽出する。しきい値決定
部23では、ピッチ候補を幾つかの区間に分割し、それ
ぞれの区間におけるピッチ候補の平均値を求め、これら
の平均値に指定されている定数を掛けてしきい値列を作
成する。
【0011】しきい値処理部24は、ピッチ候補としき
い値列を同時に受取り、対応する区間のしきい値によっ
てドラムの打撃時刻の決定候補を定めるものである。さ
らに、局所処理部25では、上記のピッチの決定候補の
中から各局所的な区間における最も大きな値を持つピッ
チをドラムの打撃時刻とする。図2の出力となるドラム
の打撃時刻は最終的に、図1におけるドラムの識別部1
5とドラムMIDIの作成部16の入力とする。
【0012】図3は図4における第m段のラテイスの構
造を表わすものであり、図4はm段からなる適応ラテイ
スフィルタを示すものである。まず、図3の各記号につ
いて説明する。記号ef m(n)は時刻nにおけるm次の前向き
予測誤差であり、記号eb m(n)は時刻nにおけるm次の後ろ
向き予測誤差であり、記号ef m+1(n)は時刻nにおけるm+1
次の前向き予測誤差であり、記号eb m+1(n)は時刻nにお
けるm+1次の後ろ向き予測誤差である。記号kb m+1(n)は
Δm+1(n)/εb m(n-1)となり、記号kf m+1(n)はΔm+1(n)
/εf m(n)となっている。上記のΔm+1(n)は時刻nにおけ
る部分相関であり、記号εf m(n)とεb m(n-1)はそれぞれ
時刻nにおけるm次の前向きと後向き予測誤差の残差であ
る。
【0013】図3に示すように、各段ラテイスフィルタ
40、42及び44は、遅延要素30、2個の乗算器3
2及び2個の加算器34から構成され、図4に示すよう
に、m段直列に接続されている。図4の各値を逐次的に
計算する適応アルゴリズムは、アメリカのStanford大学
のM. Morf他による技術レポートNo.M303-1、1978年12月
15日発行に示されており、これは参照としてここに示
す。
【0014】適応アルゴリズム 初期値の設定: eb m(0)=Δm(0)=0 γm(0)=1 εf m(0)=εb m(0)=1 For n=1 to N Final do: eb 0(n)=ef 0(n)=x(n), εf 0(n)=εb 0(n)=wεf 0(n-1)+x2(n), γ0(0)=1. For 0≦m≦M-1 do: Δm+1(n)=wΔm+1(n-1)+eb m(n-1)ef m(n)/γm(n-1), ef m+1(n)=ef m(n)−eb m(n-1)Δm+1(n)/εb m(n-1) =ef m(n)−eb m(n-1)kb m+1(n), eb m+1(n)=eb m(n-1)−ef m(n)Δm+1(n)/εf m(n) =eb m(n-1)−ef m(n)kf m+1(n), εf m+1(n)=εf m(n)−Δ2 m+1(n)/εb m(n-1), εb m+1(n)=εb m(n-1)−Δ2 m+1(n)/εf m(n), γm+1(n-1)=γm(n-1)−(eb m(n-1))2/εb m(n-1). 上記のγm(n)は、時刻nにおけるm次の尤度変数と呼ばれ
る変数であり、この変数は0≦γm(n)≦1の範囲にあり、
入力信号の統計的性質の変化に従うパラメータである。
すなわち、尤度変数γm(n)は入力信号の非ゴウス成分に
対しては、小さな値を取る。そして、上記の1/γm(n-
1)、この場合非常に大きい値を取り、このため、ラテイ
スパラメータkf m+1(n), kb m+1(n), Δm(n), ef m(n), eb
m(n-1)は急速に変化する。従って、上記の1/γm(n-1)
は入力信号の統計的性質の速い変化を追従するのに用い
ることができる。
【0015】また、楽器音響は大別して、有音程楽器と
無音程楽器による音響を組み合わせたものである。有音
程楽器はすべて部分音の主な構成が整数倍の部分音、つ
まり倍音から成っており、定常な過程と考えられる音響
である。一方、無音程楽器は全く非整数倍の部分音の集
合であり、非定常な過程という音響になっている。従っ
て、打楽器のある時刻以前に、音響は定常かつGaussian
過程とし、その時刻と直後の区間に、音響は非定常かつ
非Gaussian過程として考えれば、上述した尤度変数と前
向き予測誤差との積によって打楽器の打撃時刻の抽出が
可能であると考えられる。
【0016】また、適応アルゴリズムにおけるパラメー
タwは通常、忘却係数と呼ばれており、0≦w≦1の性質を
持つ。忘却係数wを用いるのは、適応アルゴリズムが非
定常な入力信号データに対して予測動作を行なう時、入
ってくるデータの統計的変動に追従する可能性を得るた
めに、遠い過去のデータを”忘れる”ためである。ここ
で忘却係数wは1以下の正のスカラー量である。おおよ
そ(1ーw)の逆数が適応アルゴリズムの記憶測度になって
いる。つまり、忘却係数w=1の場合には適応アルゴリ
ズムにおけるΔm+1(n)、εf m+1(n)及びεb m+1(n)等を計
算する際、すべての過去のデータに等しく重みが付けら
れる。一方、忘却係数w<1の場合、過去のデータは指
数的に減衰し、更新計算をするうえで現在のデータが過
去のデータよりも大きな影響を持つという結果になる。
これは、適応ラテイスフィルタがドラムの打撃時刻の抽
出に適応できる重要なポイントである。
【0017】上記の適応ラテイスフィルタの出力より、
尤度変数と前向き予測誤差の積の絶対値が求められる。
しかし、この出力から判るように、打楽器の打撃時刻に
大きなピッチが表わされているが、その他の部分にもノ
イズ等の影響によって小さなピッチが出ている。このよ
うな影響を除くために、しきい値処理が必要される。ま
た、打撃の強さによっては、定常音響から外れる程度の
大きさが違うので、尤度変数と前向き予測誤差との積の
反応がかなり異なるものになっている。それで一つのし
きい値を用いると、強度の弱い打楽器のところには、抽
出できるのに対して、強度の強い打楽器のところには、
ノイズと打撃時刻が同時に抽出されて、正確率が低下さ
れることになる。
【0018】従って、フレームの中においては、一つの
指定されたしきい値より、尤度変数と前向き予測誤差と
の積の反応による多数のしきい値を用いる方が効果的で
ある。すなわち、フレームをさらに幾つかの区間に分け
て、それぞれの区間における尤度変数と前向き予測誤差
との積の平均値とある定数との積を該当する区間のしき
い値とする。そうすると、反応が大きい区間には、その
対応するしきい値も大きくなるので、ノイズの影響が除
去されるし、反応が小さい区間には、その対応するしき
い値が比例的に小さくなるため、全体のバランスが十分
に取れると考えられる。
【0019】図5は図2のしきい値列の計算部23につ
いての詳細を示したものである。図中のステップS1で
は、部分区間を数えるカウンタkを、しきい値列を蓄積
するメモリを初期する。ステップS2は乗算器であり、
カウンタkと区間の長さHとの積を計算し、変数iに与え
る。ステップS3は、フレームを越えたかどうか判断す
るものである。フレームの内にある場合には、ステップ
S4、S5及びS6で各区間の平均値を計算する。フレ
ームを越えた場合には、全体の計算を終了させて、求め
た各区間の平均値と指定した定数との積をフレームのし
きい値列として、図2のしきい値処理部に入力する。
【0020】図2のしきい値処理部24は、しきい値の
計算部23から得られたしきい値列を用いて、ピッチ候
補抽出部からのピッチ候補に対して、部分的にしきい値
処理を行なうものである。ここでは、区間kのピッチ候
補に対して、図5の出力となるしきい値列の第k番目の
しきい値より大きいものをそのまま通過させて、しきい
値より小さい場合にはピッチ候補をゼロとする。
【0021】上記のしきい値処理によっては、反応が大
きい区間には、その対応するしきい値も大きくなるの
で、ノイズの影響が除去されるし、反応が小さい区間に
は、その対応するしきい値が比例的に小さくなるため、
全体のバランスが取れる。しかし、取れるドラムの打撃
時刻の付近には、ドラムの振動及び尤度変数と前向き予
測誤差の積の絶対値処理により複数のピッチが出てくる
場合があって、唯一の打撃時刻を抽出するために局所処
理が必要である。
【0022】図6はこのような局所処理についての詳細
を示したものである。すなわち、処理の手順としては、
ゼロでないピッチを捜査し、このピッチを中心としたあ
る局所範囲において最大値を持つピッチを抽出し、他の
ゼロでないピッチの値を全部ゼロとする。最終的に、フ
レームにおけるゼロでない値に対応する時刻はドラムの
打撃時刻とする。
【0023】なお、上記説明において、ドラムの打撃時
刻を逐次的に抽出することを発明したが、図1に示した
ように抽出したドラムの時刻によっては、ドラムの識別
部15とドラムMIDIの作成部を実現することは可能
である。
【0024】
【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本
発明の自動採譜分析装置では、音楽専門家による編集作
業をなくし、計算機によるドラムの打撃時刻を自動的に
抽出し、なおかつ、適応ラテイスフィルタによっては実
時間的処理を実現することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はドラムMIDIデータを作成する全体の
構成を示した図である。
【図2】図2はドラムの打撃時刻を抽出するための抽出
部の全体の構成を示した図である。
【図3】図3は単一段のラテイスフィルタの構造を示す
図である。
【図4】図4はm段の適応ラテイスフィルタを示す図で
ある。
【図5】図5はしきい値の計算部についての詳細を示す
図である。
【図6】図6は局所処理部についての詳細を示す図であ
る。
【符号の説明】
11 音楽源 12 A/Dコンバータ 13 デジダル音楽信号 14 ドラム打撃時刻の抽出部 15 ドラムの識別部 16 ドラムMIDIの作成部 21 適応ラテイスフィルタ部 22 ピッチ候補抽出部 23 しきい値列の計算部 24 しきい値処理部 25 局所処理部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力の音楽信号より打楽器の打撃時刻を
    抽出する自動採譜分析装置において、 入力の音楽信号を入力とし、前向き予測誤差と入力信号
    の確率過程を反映することのできる尤度変数と呼ばれる
    パラメータを逐次的に計算する適応ラテイスフィルタ部
    と、 上記で得られた前向き予測誤差と尤度変数との積によっ
    て求めたドラムの打撃時刻の候補を抽出するピッチ候補
    抽出部と、 上記の抽出された打撃時刻候補から打撃時刻決定候補を
    決めるために打撃時刻候補を幾つかの部分区間に分け
    て、それぞれの平均値に基づくしきい値列を算出する計
    算部と、 上記のしきい値列によって信頼度の高い打撃時刻決定候
    補を抽出するしきい値処理部と、 上記の抽出された打撃時刻決定候補の中から各局所的な
    区間における最も大きな値を持つ打撃時刻をドラムの打
    撃時刻として抽出する局所処理部とを備えていることを
    特徴とする自動採譜分析装置。
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