JP2984249B2 - 組立製品の分解方法及び分解構造 - Google Patents

組立製品の分解方法及び分解構造

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JP2984249B2 JP10076582A JP7658298A JP2984249B2 JP 2984249 B2 JP2984249 B2 JP 2984249B2 JP 10076582 A JP10076582 A JP 10076582A JP 7658298 A JP7658298 A JP 7658298A JP 2984249 B2 JP2984249 B2 JP 2984249B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、資源リサイクルを
容易化し、材料リサイクル率の向上のための組立製品の
分解方法及び分解構造に関する。
【0002】
【従来の技術】テレビ,冷蔵庫,洗濯機,エアコン,自
動販売機等の大型電機製品や自動車を始めとする種々の
組立製品の多くは部品同士をボルトやネジで締結されて
おり、使用済み時点では締結部分の解除が、構造上の制
約や錆などにより簡単にできない場合が多い。このため
手順を追った分解に多くの時間と人手がかかるという経
済的な理由から、その殆どがシュレッダーにかけられる
か、または製品形状のまま廃棄物として埋め立てられ、
リサイクルされても製品価値の低い材料にしか使用され
ていない。
【0003】有限貴重な資源の品位を保ったままリサイ
クルすることは、今後の循環型産業社会を構築する上で
重要であり、また、素材の生産過程における使用エネル
ギー量の節約からも地球環境保護のためにも重要であ
る。組立製品に使用されている素材は貴重な資源が多
く、使用されている素材の品位を保ったまま経済的にリ
サイクルすることのできる技術が望まれている。また、
部品単位での再利用も今後大きな課題となり、部品形状
を保ったまま分解することも要求されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、使用
済みの組立製品を経済的に分解し、有限貴重な資源の品
位を保ったままリサイクルできるようにした組立製品の
分解方法及び分解構造を提供しようとするものである。
【0005】上記課題を解決するための本発明の組立製
品の分解方法は、組立製品の組立時にボルト又はネジ若
しくは板金ハゼ折りによる部品同士の締結部分に沿って
配したリング状の薄肉金属管を、組立製品の分解時に一
気に膨張変形させて、ボルト又はネジ若しくは板金ハゼ
折りを一斉に切断,解放し、部品同士の締結部分を分離
することを特徴とする。
【0006】上記本発明の組立製品の分解方法におい
て、リング状の薄肉金属管を一気に膨張変形させる方法
は、予め薄肉金属管内に充填封塞された炸薬等の薬剤を
分解時に点火燃焼させて薄肉金属管を一気に膨張変形さ
せ、炸薬等の平均的爆速(5〜7km/s)を利用してボル
ト類を衝撃的に破断させることが好ましく、また、小径
ネジ(4m/m 以下)などで組立てられる小型製品には、
分解時に空の薄肉金属管内に高圧ガスを噴入し膨張変形
させ、その膨張圧により小径ネジを破断させることも好
ましく、さらに、中径ネジ(4〜6m/m )で組立てられ
る中小型製品には、分解時に予め薄肉金属管内に充填封
塞されたガス及び小量炸薬に熱エネルギーを付与して薄
肉金属管内のガスを膨張させて薄肉金属管を変形させ、
その膨張圧により中径ネジを破断させることも好まし
い。
【0007】本発明の組立製品の分解構造の1つは、組
立製品のボルト又はネジ若しくは板金ハゼ折りにより締
結する部品同士の合わせ面に、リング状の凹部が設けら
れ、このリング状の凹部内に膨張変形するリング状の薄
肉金属管が装入され、この薄肉金属管内に炸薬等の薬剤
が充填封塞され、薄肉金属管の外面に薬剤着火導線が設
けられて部品同士の合わせ面または外部より前記薬剤着
火導火線に熱衝撃が与えられるようになされたものであ
る。
【0008】本発明の組立製品の分解構造の他の1つ
は、組立製品のボルト又はネジ若しくは板金ハゼ折りに
より締結する部品同士の合わせ面に、リング状の凹部が
設けられ、このリング状の凹部内に膨張変形するリング
状の薄肉金属管が装入され、この薄肉金属管に高圧ガス
噴入プラグが取付けられて外部に開口されて成るもので
ある。
【0009】本発明の組立製品の分解構造のさらに他の
1つは、、組立製品のボルト又はネジ若しくは板金ハゼ
折りにより締結する部品同士の合わせ面に、リング状の
凹部が設けられ、このリング状の凹部内に膨張変形する
リング状の薄肉金属管が装入され、この薄肉金属管内に
熱エネルギーを付与することにより膨張するガス及び熱
エネルギーを付与する小量炸薬が充填封塞されて成るも
のである。
【0010】上記3つの本発明の組立製品の分解構造に
おいて、リング状の薄肉金属管は、断面円形又は断面楕
円形若しくは断面扁平長円形であることが好ましい。ま
た、リング状の薄肉金属管は、ボルト又はネジによる締
結部近傍部分のみ断面形状が大きくなされ、その他の部
分が断面形状が小さくなされて圧力通路となっている場
合もある。さらに、薄肉金属管の材質は長期の使用に耐
え、延伸性の優れたステンレス鋼が適当であり、その肉
厚は0.1〜0.5mmが適当である。また、膨張する寸
法は、使用されるボルト、ネジ類の材質によるが、2〜
5m/m の寸法で瞬間的に変位が生ずればそれで充分であ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の組立製品の分解方法及び
分解構造の実施形態を以下に説明する。先ず、分解構造
の1つを図1によって説明すると、電動モータのハウジ
ング1のフランジ2と端板3とを途中にくびれ4aを有
するボルト4により締結する部分の合わせ面5の位置
で、フランジ2側に断面矩形の円形リング状の凹部6が
設けられ、この円形リング状の凹部6内に膨張変形する
図2に示す円形リングの断面扁平長円形の薄肉金属管7
が装入され、この薄肉金属管7には薬剤8、例えば高爆
速炸薬組成物で知られるシクロテトラメチレンテトロニ
トロアミンなどをバインダーと混合させたものなどが充
填封塞され、薄肉金属管7の外面に図3に示すように薬
剤着火導線9が設けられて前記合わせ面5から外部に導
出され、その末端がシール10にて陰蔽されている。
【0012】上記分解構造を備えた電動モータの通常の
メンテンナンス時にはボルト4の締結を解除してハウジ
ング1のフランジ2と端板3とを分離し、ボルト4によ
りハウジング1のフランジ2と端板3とを再締結した
際、薄肉金属管7にはボルト4の締付トルクがかからな
い。また、ボルト4は、通常の締付トルクでは切断され
ない引張り強度を有する。然して、上記電動モータの使
用済み後の分解方法について説明すると、薄肉金属管7
内に充填封塞された薬剤8を燃焼させるべく、先ずハウ
ジング1のフランジ2と端板3との合わせ面5から図3
に示すように外部に導出された薬剤着火導線9の末端を
陰蔽しているシール10を剥し、薬剤着火導線9に電池
を接続して薄肉金属管7内の薬剤8に熱衝撃を与えて点
火燃焼し、その燃焼ガスにより一気に薄肉金属管7を図
4に示すよう断面円形に膨張変形させ、その膨張圧によ
りボルト4を一斉にくびれ4aの部分で切断し、ハウジ
ング1のフランジ2と端板3との合わせ面5を分離し
て、電動モータを分解する。
【0013】本発明の分解構造の他の1つの実施形態を
図5によって説明すると、コンプレッサの本体取付脚1
1と架台12とを途中にくびれ4aを有するボルト4に
より締結する部分の合わせ面5の位置で、本体取付脚1
1側に断面矩形の角形リング状の凹部6が設けられ、こ
の角形リング状の凹部6内に空の角形リングの断面扁平
長円形の薄肉金属管7が装入され、この薄肉金属管7に
本体取付脚11の上面に貫通して高圧ガス噴入プラグ1
3が取付けられて外部に開口されている。
【0014】上記分解構造を備えたコンプレッサの通常
のメンテナンス時にボルト4の締結を解除してコンプレ
ッサの本体取付脚11と架台12とを分離し、ボルト4
によりコンプレッサの本体取付脚11と架台12とを再
締結した際、薄肉金属管7にはボルト4の締付トルクが
かからない。また、ボルト4は通常の締付トルクでは切
断されない引張り強度を有する。然して、上記コンプレ
ッサの使用済み後の分解方法について説明すると、コン
プレッサの本体取付脚11の上面に貫通している高圧ガ
ス噴入プラグ13より薄肉金属管7内に高圧ガスを噴入
し、薄肉金属管7を図6に示すように断面円形に膨張変
形させ、この膨張圧によりボルト4を一斉にくびれ4a
の部分で切断し、コンプレッサの本体取付脚11と架台
12との合わせ面5を分離して、コンプレッサを分解す
る。
【0015】本発明の分解構造のさらに他の1つの実施
形態を図7によって説明すると、洗濯機の外板14と本
体フレーム15とを途中にくびれ16aを有するネジ1
6により締結する周縁の合わせ面5の位置で、洗濯機の
外板14側に断面矩形の角形リング状の凹部6が紐出し
成形され、この角形リング状の凹部6内に膨張変形する
角形リングの断面楕円形の薄肉金属管7’が装入され、
この薄肉金属管7’内に熱エネルギーを付与することに
より膨張するガス、例えば窒素ガスと、この窒素ガスに
熱エネルギーを付与し体積を膨張する薬剤として、少量
の炸薬例えばシクロテトラメチレンテトロニトロアミン
が充填封塞されている。
【0016】上記分解構造を備えた洗濯機や自動販売機
の通常のメンテナンス時にはネジ16の締結を解除して
洗濯機の外板や自動販売機の側板14と本体フレーム1
5とを分離し、ネジ16により洗濯機の外板や自動販売
機の側板14と本体フレーム15とを再締結した際、薄
肉金属管7にはネジ16の締付トルクがかからない。ま
た、ネジ16は通常の締付トルクでは切断されない引張
り強度を有する。然して、上記洗濯機や自動販売機の使
用済み後の分解方法について説明すると、洗濯機の外板
や自動販売機の側板14の周縁のリング状の凹部6の外
面よりガスバーナにて急速加熱して薄肉金属管7’内の
炸薬を点火燃焼して同薄肉金属管7’内の窒素ガスに熱
エネルギーを付与し、瞬間的に膨張して薄肉金属管7’
を図8に示すように断面円形に膨張変形し、その膨張圧
によりネジ16を一斉にくびれ16aの部分で切断し、
洗濯機の外板や自動販売機の側板14と本体フレーム1
5との合わせ面5を分離して、洗濯機や自動販売機を分
解する。
【0017】本発明の上記各分解構造は、組立製品の部
品同士をボルトやネジで締結した部分のみに適用してい
るが、これに限るものではなく、例えば図9に示すよう
に板金加工で各種組立製品の筺体17と蓋体18を作成
すると共に両者の周縁をハゼ折り19で締結する部分の
合わせ面で、筺体17側の周縁にリング状の凹部20を
形成し、このリング状の凹部20に断面扁平長円形の薄
肉金属管7を装入し、この薄肉金属管7内に薬剤を充填
封塞するか、又は高圧ガスを噴入するようにするか、若
しくは熱エネルギーを付与することにより膨張するガス
及び熱エネルギーを付与する小量炸薬を充填封塞すれ
ば、筺体17と蓋体18の分解時に簡単に薄肉金属管7
を断面円形に膨張変形し、その膨張圧によりハゼ折り1
9の部分の拡開分断し、筺体17と蓋体18とを分解で
きる。
【0018】尚、図1に示す分解構造における薄肉金属
管7内に充填封塞された薬剤8は、一定以上の熱衝撃を
付与することにより点火燃焼するもので、通常の製品使
用や地震などによる衝撃、運搬、落下等の衝撃では、点
火燃焼せず、従って薄肉金属7を膨張変形して締結部分
を分離することはないものである。
【0019】また、前記各分解構造における薄肉金属管
7,7’は、リングの全周にわたって同一断面積である
が、図10に示すようにボルト又はネジによる締結部近
傍部分7aのみ断面形状を大きくし、その他の部分7b
は断面形状を小さくして圧力通路となし、組立製品の分
解時適確にボルト又はネジの部分で薄肉金属管7,7’
を膨張変形して部品同士を分離するようにしてもよい。
【0020】さらに、前記各分解構造では、部品同士の
締結部分の合わせ面がフラットであるが、部品同士が圧
入などで強固な締結とする凹凸嵌合の合わせ面の場合
は、締結部全体にわたって膨張できる薄肉金属管を用い
て、ボルト又はネジの切断と同時に凹凸嵌合の部分まで
分離できる分解構造が適用される。
【0021】
【発明の効果】以上の説明で判るように本発明の組立製
品の分解方法によれば、組立製品の ルト又はネジ若し
くは板金ハゼ折りによる部品同士の締結部分に配したリ
ング状の薄肉金属管を、使用済み組立製品の分解時に一
気に膨張変形させて、ボルト又はネジ若しくは板金ハゼ
折りを一斉に切断,解放し、部品同士の締結部分を分離
できるので、使用済み組立製品の分解を時間と人手を要
さずに能率よく行うことができて経済的であり、しかも
部品形状を保ったまま分解され、使用されている素材の
品位を保ったままリサイクル可能となるので、有限貴重
な資源の再利用に貢献し得るところ大なるものである。
また、本発明の組立製品の分解構造によれば、上記の優
れた分解方法を、安全,適確にしかも能率よく行うこと
ができるので、大量生産する組立製品に適用すすること
により、使用済み組立製品のリサイクル化を促進する上
で極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の組立製品の分解構造の1つの要部を示
す断面図である。
【図2】図1の分解構造における薄肉金属管を示す一部
切断斜視図である。
【図3】図1の分解構造の一部破断斜視図である。
【図4】図1の組立製品の分解構造における分離状態の
要部を示す断面図である。
【図5】本発明の組立製品の分解構造の他の1つの要部
を示す断面図である。
【図6】図5の組立製品の分解構造における分解状態の
要部を示す断面図である。
【図7】本発明の組立製品の分解構造のさらに他の1つ
の要部を示す断面図である。
【図8】図7の組立製品の分解構造における分解状態の
要部を示す断面図である。
【図9】本発明の組立製品の分解構造の別の1つの要部
を示す断面図である。
【図10】本発明の組立製品の分解構造における薄肉金
属管の別の例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 電動モータのハウジング 2 フランジ 3 端板 4 ボルト 4a くびれ 5 締結する部分の合わせ面 6 凹部 7,7’ 薄肉金属管 7a 締結部近傍部分 7b その他の部分 8 薬剤 9 薬剤着火導線 10 シール 11 コンプレッサの本体取付脚 12 架台 13 高圧噴入プラグ 14 洗濯機の外板や自動販売機の側板 15 本体フレーム 16 ネジ 16a くびれ 17 筺体 18 蓋体 19 板金ハゼ折り 20 凹部

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組立製品の組立時にボルト又はネジ若し
    くは板金ハゼ折りによる部品同士の締結部分に沿って配
    したリング状の薄肉金属管を、組立製品の分解時に一気
    に膨張変形させて、ボルト又はネジ若しくは板金ハゼ折
    りを一斉に切断,解放し、部品同士の締結部分を分離す
    ることを特徴とする組立製品の分解方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の組立製品の分解方法にお
    いて、リング状の薄肉金属管を一気に膨張変形させる方
    法が、予め薄肉金属管内に充填封塞された薬剤を分解時
    に熱衝撃等の手段により点火燃焼させて薄肉金属管を一
    気に膨張変形させるか、または、空の金属管内に分解時
    に高圧ガスを噴入し一気に膨張変形させるか、若しく
    は、予め薄肉金属管内に充填封塞されたガス及び小量炸
    薬に分解時に熱エネルギーを付与して薄肉金属管を一気
    に膨張変形させる方法であることを特徴とする組立製品
    の分解方法。
  3. 【請求項3】 組立製品のボルト又はネジ若しくは板金
    ハゼ折りにより締結する部品同士の合わせ面に、リング
    状の凹部が設けられ、このリング状の凹部内に膨張変形
    するリング状の薄肉金属管が装入され、この薄肉金属管
    内に薬剤が充填封塞され、薄肉金属管の外面に薬剤着火
    導線が設けられて部品同士の合わせ面または外部より前
    記薬剤着火導火線に熱衝撃が与えられるようになされた
    組立製品の分解構造。
  4. 【請求項4】 組立製品のボルト又はネジ若しくは板金
    ハゼ折りにより締結する部品同士の合わせ面に、リング
    状の凹部が設けられ、このリング状の凹部内に膨張変形
    するリング状の薄肉金属管が装入され、この薄肉金属管
    に高圧ガス噴入プラグが取付けられて外部に開口されて
    成る組立製品の分解構造。
  5. 【請求項5】 組立製品のボルト又はネジ若しくは板金
    ハゼ折りにより締結する部品同士の合わせ面に、リング
    状の凹部が設けられ、このリング状の凹部内に膨張変形
    するリング状の薄肉金属管が装入され、この薄肉金属管
    内に熱エネルギーを付与することにより膨張するガス及
    び熱エネルギーを付与する小量炸薬等が充填封塞されて
    成る組立製品の分解構造。
  6. 【請求項6】 請求項3〜5のいずれかに記載の組立製
    品の分解構造において、リング状の薄肉金属管が、断面
    円形又は断面楕円形若しくは断面扁平長円形であること
    を特徴とする組立製品の分解構造。
  7. 【請求項7】 請求項3〜6のいずれかに記載の組立製
    品の分解構造において、リング状の薄肉金属管が、ボル
    ト又はネジの締結部近傍部分のみ断面形状が大きくなさ
    れ、その他の部分が断面形状が小さくなされて圧力通路
    となっていることを特徴とする組立製品の分解構造。
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