JP2981554B1 - セシウム選択性複合無機イオン交換体及びその製造方法 - Google Patents

セシウム選択性複合無機イオン交換体及びその製造方法

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Abstract

【要約】 【課題】 ハンドリング性に優れたセシウム選択性複合
無機イオン交換体及びその簡便かつ再現性の良い製造方
法を提供する。 【解決手段】 繊維状リン酸セリウムの組織内にりんモ
リブデン酸アンモニウムの微結晶を分散、担持して得ら
れるセシウム選択性の極めて高いセシウム選択性複合無
機イオン交換体、及び前記のセシウム選択性複合無機イ
オン交換体を製造する方法であって、繊維状リン酸セリ
ウムの合成時の同一反応系内でりんモリブデン酸アンモ
ニウムを合成することにより繊維状リン酸セリウムの組
織内にりんモリブデン酸アンモニウムを分散、担持する
ことを特徴とする製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、資源回収及び廃水
処理あるいは分析化学などの諸分野において種々の成分
が共存する被処理溶液中から微量に溶存するセシウムを
選択的かつ効率的に分離・回収するために使用されるセ
シウム選択性複合無機イオン交換体とその製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】セシウムは試薬、光電変換素子、光学結
晶、光学ガラス等の製造に用いられている平均価格のか
なり高い金属元素の一種であり、資源的には他のアルカ
リ金属に随伴して自然界に広く分布するが、その量は極
めて少なく地核平均含有量は3g/t(“一般地球化
学”,pp.54−55,岩波書店(1979))であ
る。セシウムは、主にセシウム鉱石のポルサイトから製
造される他に、レピドライトやカ−ナライトからリチウ
ムやカリウムを製造するときの副産物として回収されて
いる(“希少金属デ−タブック”,金属鉱業事業団編
(1968))。しかし、これらの鉱石資源は地球上で
かなり偏在しているため、資源確保の観点から微量では
あるがセシウムを溶存する海水や地熱水などからの選択
採取が検討されている(博士論文,工学第1603号,東北
大学)。また、放射性同位元素の 137セシウムは照射線
源として医学あるいは種々の産業分野で利用可能なた
め、放射性廃液中からの当該同位元素の選択回収は放射
性廃液の減容処理及び有効利用の観点から重要な検討課
題となっている(IAEA Technical Report Series No.35
6, (1993) )。
【0003】水溶液中に微量に溶存するセシウムの選択
分離回収法としては、従来、陽イオン交換樹脂法(例え
ば、"Ion Exchangers in Analytical Chemistry. Their
Properties and Use in Inorganic Chemistry", 14, 1
70-173, Elsevier (1982) )、無機イオン吸着法(例え
ば、"Ion Exchangers in Analytical Chemistry. Their
Properties and Use in Inorganic Chemistry", 14, 1
73-190, Elsevier (1982) )及び溶媒抽出法(例え
ば、" 溶媒抽出便覧", 202;403, テクニカ出版, キエフ
(1972))の各方法がある。しかしながら、回収コストの
点で現段階では無機イオン交換体による被処理溶液中か
らの選択回収法が最も実際的な方法と考えられている
(博士論文, 工学第1603号, 東北大学)。これは一
般に無機イオン交換体は有機イオン交換体に比べ、特定
のイオンあるいは基に対する選択性が高く(“イオン交
換, 高度分離技術の基礎”,講談社サイエンティフィク
(1991))、かつ耐熱・耐放射線性等の物理化学的
特性が優れているためである("Topics in Inorganic &
General Chemistry", Elesevier, Amsterdam (196
4))。
【0004】セシウムに対し高選択性を有する無機イオ
ン交換体としては、ゼオライト("Zeolite Molecular S
ieves-Structure, Chemistry, and Use", John Wiley &
Sons (1974))、結晶質四チタン酸(日化誌, 10, 1656
(1981) )、スメクタイト(Clays Clay Min., 28, 142
(1980) )、不溶性フェロシアン化物(Proc. of theSy
mp. on Waste Management, Tucson, 2, 1687 (199
3))、りんモリブデン酸アンモニウム(Nature, 181, 1
530 (1958))等が知られている。これらのうち、特に不
溶性フェロシアン化物及びりんモリブデン酸アンモニウ
ムのセシウム選択性は他の無機イオン交換体のそれに比
べ著しく高いため、典型的な多成分系被処理溶液の一種
である放射性廃液からのセシウムの吸着分離剤としての
利用が期待されている(Radiochimica Acta, 40, 49-56
(1986) )。しかし、不溶性フェロシアン化物の場合、
セシウム選択性は高いものの吸着セシウムの溶離が極め
て困難であることが知られており、回収利用の観点から
は大きな問題となっている。これに対しりんモリブデン
酸アンモニウムはセシウム選択性が著しく高いにもかか
わらず吸着セシウムはアンモニウム塩溶液で完全に溶離
回収されると同時に、当該イオン交換体の再生が可能で
ある(Nature, 181, 1530 (1958))。このため現段階で
はりんモリブデン酸アンモニウムがセシウムの分離・回
収用無機イオン交換体として最も実用性が高いと期待さ
れている(Radiochimica Acta, 40, 49 (1986))。
【0005】しかし、従来法で合成されたりんモリブデ
ン酸アンモニウムは、微粉末状である(J. Inorg. Nuc
l. Chem, 27, 227 (1965))ため、接液あるいは固液分
離の際のハンドリング性に問題があった。このため、こ
れまでにも当該無機イオン交換体のハンドリング性の改
善を目的に、アスベスト(J. Inorg. Nucl. Chem, 12,9
5 (1959) )、シリカゲル(J. Radioanal. Chem., 21,
381 (1974) )、アンバ−ライトXAD-7 (J. Radioanal.
Chem., 56, 13 (1980))あるいはリン酸チタン("Proc
eedings of Ion-Exchange'95 Conference, pp. 289-297
(1995))等を担体とする複合化法が検討されてきた。
【0006】しかし、これらの複合化法はいずれも調製
操作が繁雑、かつ使用中に洗出効果による複合体からの
りんモリブデン酸アンモニウムの離脱が原因でそのイオ
ン交換性能が再現性に欠けるという問題があった(Radi
ochimica Acta, 40, 49 (1986))。このため、簡便かつ
再現性に優れたりんモリブデン酸アンモニウムの新しい
賦形化法の開発が急務とされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、各種被処理溶液中からのセシウムの
効率的な吸着・分離プロセスに応用可能な新規のセシウ
ム選択性複合無機イオン交換体及びその簡便かつ再現性
に優れた製造法を開発することを目標として、鋭意研究
を重ねた結果、繊維状リン酸セリウムの組織内にりんモ
リブデン酸アンモニウムの微結晶を分散・担持すること
により、セシウム選択性が高く、かつハンドリング性の
良い複合無機イオン交換体を得、これを充填したカラム
を用いて共存塩濃度の高い各種溶液中から微量セシウム
の選択的吸着分離・回収が可能であることを見いだし、
本発明を完成させた。本発明は、各種溶液の中からセシ
ウムの効率的な吸着・分離プロセスに利用可能な新規の
セシウム選択性複合無機イオン交換体を提供することを
目的とするものである。また、本発明は、セシウム選択
性の極めて高いセシウム分離・回収用複合無機イオン交
換体を提供することを目的とするものである。また、本
発明は、上記セシウム選択性複合無機イオン交換体の簡
便かつ再現性に優れた製造法を提供することを目的とす
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、(1)繊維状リン酸セリウムの組織内にり
んモリブデン酸アンモニウムが分散、担持されてなるセ
シウム選択性複合無機陽イオン交換体からなることを特
徴とするセシウム分離・回収剤である。当該複合無機イ
オン交換体の生成は、複合化前後の繊維状リン酸セリウ
ム試料の粉末X線回折パタ−ンを比較することにより、
リン酸セリウム自体に起因する回折ピ−ク(d 値 =11.
3, 2.15, 2.69, 3.21, 4.06 オングストローム)の他
にりんモリブデン酸アンモニウムに帰属される回折ピ−
ク(d 値 =3.37, 8.25, 4.13, 5.84オングストローム)
の出現により容易に確認される。また、本発明は、
(2)繊維状リン酸セリウムの組織内にりんモリブデン
酸アンモニウムを分散、担持する手法として、繊維状リ
ン酸セリウムの合成時の同一反応系内でりんモリブデン
酸アンモニウムを合成し、両者をナノメ−タレベルで複
合化することを特徴とする上記複合無機陽イオン交換体
の製造方法である。さらに、本発明は、(3)上記
(1)のりんモリブデン酸アンモニウムの担持量を広範
囲でコントロ−ル可能とするため、各種溶媒に対する溶
解度が大きいりんモリブデン酸水和物を前駆化合物とし
て用いることを特徴とする上記複合無機イオン交換体の
製造方法である。さらに、本発明は、上記(3)の前駆
化合物中の水素イオンをアンモニウムイオンで置換する
ことにより上記(1)のりんモリブデン酸アンモニウム
に変換することを特徴とする上記複合無機イオン交換体
の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明のセシウム選択性複合無機イオン交換体
(以下、複合イオン交換体と略記することがある。)
は、繊維状リン酸セリウム(以下、f−CPと略記する
ことがある。)の組織内にりんモリブデン酸アンモニウ
ム(以下、AMPと略記することがある。)を分散、複
合化してなる新規の複合イオン交換体であり、濾紙状、
粒状、膜状いずれの形態の複合イオン交換体も調製可能
である。いずれの形態の複合イオン交換体も繊維状組織
が基本となっているため、弾力性及び透水性に富む。ま
た、接触濾過法あるいは固定相吸着法のいずれにも適用
可能な物理的強度と、硫酸以外の各種鉱酸に対し高い化
学的安定性を有している。当該複合イオン交換体の化学
組成はAMPの担持量により異なるが、当該複合イオン
交換体は基本的にf−CP(Ce(HPO4 2 ・3.
4H2 O)とAMP((NH43 PMo1240・nH
2 O)の高度混合物でありAMPの導入量が分れば推算
できる。またAMPの担持量は前駆化合物の添加量から
求まる。複合イオン交換体の生成は、前述の複合化前後
のf−CPの粉末X線回折測定による同定の他に、走査
型電子顕微鏡によりf−CPの繊維状組織内に閃亜鉛鉱
型のAMPの斜方12面体の単結晶が分散、担持されて
いるのが観察されることからも容易に確認される。
【0010】本発明においては、第1段階として、繊維
状リン酸セリウムを合成するが、その方法として、例え
ば、Alberti 等(J. Chromatogr., 30, 579 (1967); J.
inorg. Chem., 30, 295 (1968) )による硫酸セリウム
とリン酸水溶液をリン酸大過剰の条件下で加温、攪拌、
混合する合成方法が例示されるが、セリウム源としてこ
れに限らず、4価のセリウム塩であれば適宜のものが使
用される。これを、例えば、50〜100℃に攪拌、保
持した1M以上の濃度のリン酸水溶液に滴下終了時の溶
液中のPO4 /Ceモル比が50以上となるように4価
のセリウム塩水溶液を滴下ロートあるいは微量ポンプに
より添加して繊維状リン酸セリウムのスラリーを作製す
る。上記合成時の同一反応系内に前駆化合物のりんモリ
ブデン酸水和物を添加し、両者の均一なスラリーを作製
する。次に、第2段階として、さらにこれにアンモニウ
ム塩溶液を添加し、りんモリブデン酸水和物中の水素イ
オンをアンモニウムイオンで置換してりんモリブデン酸
アンモニウムに変換し、熟成した後、混合沈澱物を母液
よりろ別し、洗浄後、乾燥する。この乾燥物を破砕し、
整粒し、さらに、適宜、分級、乾燥して、セシウム選択
性の極めて高い複合無機イオン交換体からなる、本発明
のセシウム選択性複合無機イオン交換体が作製される。
上記りんモリブデン酸アンモニウムは、合成する際に、
一般式H3 Mo1240P・nH2 O(式中のnはモル数
を表し、nは1〜30の範囲の値である。)りんモリブ
デン酸水和物を前駆化合物とし、アンモニウム塩溶液処
理によりりんモリブデン酸アンモニウムに変換すること
により繊維状リン酸セリウムの組織内に分散、担持する
ことができる。
【0011】
【作用】本発明のセシウム選択性複合無機イオン交換体
は、第1段階として繊維状リン酸セリウムを合成し、そ
の同一反応系内に前駆化合物であるりんモリブデン酸水
和物を添加して、両者の均一なスラリ−を得たのち、第
2段階としてさらにアンモニウム塩溶液を添加し前駆化
合物中の水素イオンをアンモニウムイオンで置換して得
られる微結晶状のりんモリブデン酸アンモニウムを繊維
状リン酸セリウムの組織内に分散、複合化させた新規の
複合無機イオン交換体である。この無機−無機複合体中
に微粒子状で分散担持されたりんモリブデン酸アンモニ
ウムのセシウムイオンに対する高選択吸着性によりセシ
ウムが被処理溶液中より吸着分離される。また、当該複
合イオン交換体により被処理溶液中より吸着分離された
セシウムはアンモニウム塩溶液で容易に溶離回収され、
同時に当該複合イオン交換体の再生が可能であることか
ら、本発明の複合無機イオン交換体は共存塩濃度の高い
各種被処理溶液中の微量セシウムに対し高い分離・回収
効果を有している。従って、本発明に係わる複合無機イ
オン交換体を用いることにより、簡単にしかも高効率で
各種被処理溶液中からセシウムの選択的分離・回収を行
うことができる。
【0012】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は当該実施例によって何ら限定される
ものではない。本実施例では、AMP担持量の異なる2
種類の粒状複合イオン交換体を合成し、市販のAMP及
び合成によって得たf−CPとともにそのセシウム吸着
能を比較検討した。 1.粒状複合イオン交換体試料の作製 1.1 方法 本発明の複合イオン交換体の粒状試料を、次のようにし
て作製した。先ず、既存の方法(J. Chromatogr., 30,
579 (1967))に準じてf−CPを合成した。すなわち、
100cm3 の0.1M(M=mol dm-3)Ce
(SO4 2 ・4H2 Oを85〜90℃に撹拌、保持し
た500cm3 の1M H3 PO4 水溶液に毎分約0.
3cm3 前後の割合で滴下しf−CPのスラリ−を得た
(滴下終了時の溶液中のリン/セリウムのモル比は5
0)。次ぎに、このスラリ−に同一温度、同一滴下速度
で50cm3 の0.1〜0.2Mりんモリブデン酸水和
物(H3 Mo1240P・xH2 O;以下、PMAと略記
する。)及び50cm3 の10M NH4 NO3 を順次
撹拌滴下し、f−CPとAMPの混合スラリ−を得た。
同一温度に一夜撹拌、熟成した後、混合沈澱物を母液よ
りろ別し、ろ液に硫酸イオンが検出されなくなるまで蒸
留水で洗浄後、50℃のオ−ブン中で24時間乾燥した。
この乾燥物を乾式破砕し48−100メッシュに整粒
後、蒸留水中で水簸して100メッシュ以下の細粒を除
去したのち、50℃で乾燥して本発明の複合イオン交換
体試料を作製した。
【0013】1.2 結果 当該複合イオン交換体試料中のAMPの担持量は、上記
の調製過程で添加PMA溶液の濃度を変えることにより
自由に調整することが出来る。すなわち、添加PMA溶
液の濃度が高くなるほどAMP担持量は増加する。以
下、添加PMA溶液の濃度を各々0.1M及び0.2M
として作製した複合イオン交換体試料をそれぞれCPA
MP−1及びCPAMP−2と呼ぶ。粉末X線回折測定
結果によれば、CPAMP−1及びCPAMP−2はと
もにf−CPに帰属される回折ピ−ク(d 値 =11.3, 2.
15, 2.69, 3.21, 4.06 オングストローム)の他にAM
Pの回折ピ−ク(d 値 =3.37, 8.25, 4.13, 5.84 オン
グストローム)のみがみられ、それ以外の回折ピ−クは
みられなかった。また、CPAMP−1及びCPAMP
−2中のAMPの回折ピ−ク強度は後者の方が強く、C
PAMP−2においてより多くのAMPが担持されてい
ることを示している。
【0014】2.複合イオン交換体試料の性能評価 本発明の複合イオン交換体試料の吸着性能を評価するた
め、種々の金属イオンを含む被処理溶液を調製し、それ
らを用いてバッチ法による各種金属イオンの試料への分
配比の測定及びカラム法による高濃度NaNO3 溶液中
からの微量セシウムの吸着分離・回収実験を行った。
【0015】2.1 分配及びカラム実験に用いた試料 分配実験には、上記1で作製した複合イオン交換体試
料:CPAMP−1、CPAMP−2、及び比較試料と
して市販の粉末状AMP((NH4 3 PO4 ・12M
oO3 ・3H2 O;和光純薬製)及び合成f−CPを用
いた。また、カラム実験には試料としてCPAMP−2
を用いた。
【0016】2.2 分配及びカラム実験に用いた被処
理溶液 2.2.1 分配実験用被処理溶液 2種類の被処理溶液を調製して用いた。すなわち、1)
10ppmのセシウムイオンを含む1M HNO3 酸性
溶液、及び2)酸濃度の異なるHNO3 酸性溶液にそれ
ぞれの金属イオン濃度が10ppm(Amのみ2.1×
10-9M)となるようにセシウム(Cs)、ナトリウム
(Na)、ストロンチウム(Sr)、コバルト(C
o)、ユ−ロピウム(Eu)あるいはアメリシウム(A
m)の硝酸塩を添加して調製した金属イオン溶液を被処
理溶液として用いた。なお、上記の被処理溶液はトレ−
サ−としてそれぞれ極微量の 137Cs、22Na、85
r、60Co、 152Eu及び 241Amを添加したものを使
用した。
【0017】2.2.2 カラム実験用被処理溶液 5M NaNO3 水溶液にセシウム濃度が1ppmとな
るようにCsNO3 を添加、さらにトレ−サ−として
137Csを添加したものを被処理溶液として用いた。
【0018】2.3 分配実験 10mL容量の遠沈管に各々2.1記載の複合無機イオ
ン交換体試料あるいは比較試料70mgをとりこれに
2.2記載の分配実験用被処理溶液7mLを加え、時々
緩くかき混ぜながら25℃の恒温槽内に7日間保持して平
衡に達せしめたのち、固液を遠心分離(10,000r
pm、10分間)した。上澄液2mL中の放射線強度を
測定し、吸着前後の放射線強度変化より、次式により分
配比(Kd,M )を算出した。 Kd,M =〔(Ai −Af )/Af 〕V/m(mL/
g)、 ここでAi 及びAf (cpm/mL)はそれぞれ初期及
び平衡後の放射線強度、m(g)は試料重量、V(m
L)は処理溶液の体積である。上式から明らかなよう
に、反応後のAf 値が小さい、すなわち、試料への吸着
量の多いイオン種ほどそのKdd,M 値は大きいことにな
る。
【0019】1MHNO3 酸性溶液中から求めた種々の
試料に対するセシウムの分配比(Kd,Cs)の測定結果を
表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】表1で、Kd,Cs値は市販のAMP試料で1
4 オ−ダ−、CPAMP−1及びCPAMP−2では
103 オ−ダ−といずれの場合も1M HNO3 溶液中
からの分配比としてはかなり大きな値であり、高いセシ
ウム選択性を示した。また、CPAMP−1とCPAM
P−2の結果を比較すると、前述の粉末X線回折測定結
果においてAMPの回折ピ−ク強度が強いCPAMP−
2の方がKd,Cs値もかなり高くなっており、より多量の
AMPが複合化されていることを示している。これらの
結果から、合成時のPMA溶液の添加濃度を調整するこ
とによりAMP担持量がコントロ−ル出来ることが分
る。一方、f−CP自体のセシウム吸着能は極めて低い
ことから、CPAMP−1及びCPAMP−2にみられ
る著るしく高いセシウム吸着能は、これらの試料中に分
散担持されたAMPによるものであることは明かであ
る。
【0022】CPAMP−2に対し濃度の異なるHNO
3 酸性溶液中から測定したCs、Sr、Co、Eu、A
m及びNaの分配比(Kd,M )の測定結果を表2に示
す。
【0023】
【表2】
【0024】表2に示したように、HNO3 濃度が0.
1M以下と低い溶液中からはAmやEuのような多価金
属イオンの吸着も僅かに認められる。Kd,M 値はHNO
3 濃度の増加に従い減少するものの、相対的にセシウム
の分配比のみが他の金属イオンに比べ著しく高くなって
おり、CPAMP−2は顕著なセシウム選択性を示すこ
とが明らかである。
【0025】2.4 カラム実験 CPAMP−2の3gを内径0.8cmのガラス性カラ
ムに充填(試料体積=7.3mL、充填層の高さ=1
4.5cm)し、このカラムに25℃のカラム実験用被
処理溶液を毎分0.27mLの流量で通液した。分画採
取した流出液中の137Csのγ線強度を測定し、セシウ
ムの破過曲線を作成した。また、カラム実験用被処理溶
液250mLを通液したのちカラムに蒸留水を通液し洗
浄後、溶離剤として25℃の5M NH4 NO3 を通液
し、分画採取した溶離液中の 137Csのγ線強度を測定
して吸着セシウムの溶離曲線を作成した。なお、洗浄後
の蒸留水中への 137Csの漏出はみられなかった。
【0026】セシウムの破過曲線及び溶離曲線をそれぞ
れ図1のa)及び図1のb)に示す。図1のa)から明
らかなように、僅か3gのCPAMP−2カラムにより
充填体積の34倍(250cm3 )の被処理溶液中の微
量セシウムが完全に吸着除去された(セシウム吸着量:
1.88×10-6mmol)。なお、カラムは破過点に
達しておらず比較的大きな吸着容量を有しているものと
考えられる。このように、本発明の複合イオン交換体は
セシウム選択性が極めて高いために高濃度のナトリウム
が共存する溶液中からでも微量のセシウムを吸着分離す
ることが出来る。
【0027】一方、図1のb)に示したようにCPAM
P−2カラムに選択的に吸着されたセシウムは、充填体
積の約28倍量(200mL)の5M NH4 NO3
液を通液することによりその74%が溶離回収されるこ
とが分かった。また、セシウムの溶離と同時にCPAM
P−2カラムは再生されるため繰返し使用が可能であっ
た。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係わる複
合イオン交換体は、ハンドリング性及び吸着性能ともに
優れており、かつ製造法が極めて簡便で再現性が良いた
め、接液方法を問わず、被処理水と接触させることによ
って、これらの複合イオン交換体のイオン交換特性、即
ち、複合イオン交換体中に微粒子状で分散担持されてい
るAMPの特異なイオン交換作用により、被処理水中の
セシウムの選択分離・回収が可能である。従って、この
複合イオン交換体を用いることにより、微量のセシウム
を含む海水、地熱水あるいは放射性廃液のような被処理
水からのセシウムの選択分離・回収処理が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】CPAMP−2カラムによる5M硝酸ナトリウ
ム溶液中の微量セシウムの吸着分離(a)と硝酸アンモ
ニウム溶液による吸着セシウムの溶離回収(b)を示
す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−22898(JP,A) 特公 昭60−23863(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B01J 39/00 - 39/24 C22B 26/10 B01J 20/00 - 20/20 C02F 1/42 G21F 9/04 - 9/26

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維状リン酸セリウムの組織内に、一般
    式(NH4 3 PMo1240・nH2 O(式中のnはモ
    ル数を表し、nは1〜30の範囲の値である)で表され
    るりんモリブデン酸アンモニウムを分散・担持して得ら
    れるセシウム選択性の極めて高い複合無機イオン交換体
    からなることを特徴とするセシウム選択性複合無機イオ
    ン交換体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のセシウム選択性複合無機
    イオン交換体を製造する方法であって、繊維状リン酸セ
    リウムの合成時の同一反応系内でりんモリブデン酸アン
    モニウムを合成することにより繊維状リン酸セリウムの
    組織内にりんモリブデン酸アンモニウムを分散、担持す
    ることを特徴とする製造方法。
  3. 【請求項3】 りんモリブデン酸アンモニウムを合成す
    る際に、一般式H3Mo1240P・nH2 O(式中のn
    はモル数を表し、nは1〜30の範囲の値である)で表
    されるりんモリブデン酸水和物を前駆化合物として用い
    ることを特徴とする請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 前駆化合物のりんモリブデン酸水和物を
    アンモニウム塩溶液処理によりりんモリブデン酸アンモ
    ニウムに変換することを特徴とする請求項3記載の製造
    方法。
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