JP2973140B2 - ステージコンストラクション工法 - Google Patents

ステージコンストラクション工法

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JP2973140B2 JP3106559A JP10655991A JP2973140B2 JP 2973140 B2 JP2973140 B2 JP 2973140B2 JP 3106559 A JP3106559 A JP 3106559A JP 10655991 A JP10655991 A JP 10655991A JP 2973140 B2 JP2973140 B2 JP 2973140B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、舗装道路のいわゆる
路盤砕石に代えて、砕石に自然土を加え、これに酸化鉄
の微粉末や石灰等の土質安定剤を添加して物理化学的に
安定処理した舗装路盤材を使用し、荷重増大に適応する
ように、表面たわみ量を弾性体的挙動をなすといわれて
いる1mm以下(1000mmにつき)となるようにア
スファルトコンクリートなどの表層の厚さを調整するス
テージコンストラクション工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、我が国の舗装道路の設計,施工
は、アメリカの地質に適合したCBR法(約60年前に
開発され、その40年後にAASHO道路試験の結果に
よって大きく改定されたもの)の成果により求めた設
計,施工要領を我が国の環境条件に適合するように制定
されたアファルト舗装要綱によって行われている。
【0003】また、道路公団は自動車専用道路の建設に
あたり、地域の立地条件,気象,地勢等の十分な調査,
研究とともに、現場試験を行い、通行料の徴収による独
立採算制、これに伴う維持,修繕費の節約と利用者への
サービス等を考慮し、最大自動車10ton輪荷重(2
5ton車)の通行に対応する路床と舗装体を物理的
(土質工学的)方法を用いて建設している。
【0004】また、本出願の発明者は、先に軟弱路床に
おける舗装道路構築法として、自然土,転炉滓,酸化鉄
の微粉末及び消石灰の混合物からなるもので、路床の中
間層を形成する発明をした(特公昭52−7256号公
報参照。)。さらに、同様に軟弱路床を補強するため
に、路床の上に酸化鉄の微粉末,消石灰及び自然土の混
合物からなる層を形成し、その上に砕石からなる路盤材
の層を形成する舗装道路の簡易構築法を発明した(特公
昭54−25738号公報参照。)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、たわみ性舗
装の耐久力を弾性論より考え追及すると、たわみ性舗装
構造は、塑性体の種々の砕石ならびにアスコン等によ
り、交通荷重等による路面の摩耗を防止するとともに、
舗装体のたわみによって、わだちぼれのような舗装体の
乱れと破壊を防ぎ、路床の疲労風化と弱体化を防止する
ことにある。そして、そのたわみの大きさは、交通荷重
の大小に関係なく常にたわみは自癒性であり、舗装体の
現状を維持しなければならない。
【0006】すなわち、舗装体が弾性体的たわみを維持
する程度に路床土を基盤として、舗装体を締め固める必
要がある。しかし、路床土の支持力比が我国はアメリカ
に比べて悪く、施工時点の締め固めが困難である。よっ
て、自動車の輪荷重による累積が転圧効果となり耐久力
のある構造となるようにする必要がある。
【0007】ところで、道路公団による追跡調査による
と、路床土の締め固めを十分に行うためにその下部に路
体100cm(CBR2.5%以上の良質土を十分に締
め固めたもの)を設け、その上部に供用交通荷重に必要
な強さの路床と路盤,表層を設けた道路が、施工後10
年でそのたわみは施工当時より小さくなって0.5〜
0.8mmとなり、それ以後は最低0.5mmを境にし
て再び大きくなり、わだちぼれを生じ、破壊されてい
る。これは、一般構造物の場合と異なり、CBR法及び
AASHO道路試験の結果から求められた、たわみ2.
5mmの構造では現在の交通量、交通荷重に対しては大
きすぎ、舗装体の疲労、破壊につながるからである。
【0008】この疲労による破壊を防ぐためには、たわ
みを舗装体が弾性体的挙動、すなわち自癒性があるとさ
れている10−3の微小歪であるところの1.0mm
(100cmにつき)以下となるようにし、路床土の安
定たわみ値としては土の架設構造物の場合テルツアギー
のいう安全率1.6倍として0.7mmを確保するため
に各交通区分毎の変形係数を理論計算すると下記のよう
になる。 L交通(P=2t)・・・ 970kg/cm=CBR10% A交通(P=3t)・・・1370kg/cm=CBR14% B交通(P=5t)・・・2000kg/cm=CBR20% C交通(P=8t)・・・2730kg/cm=CBR28% D交通(P=12t)・・・3430kg/cm=CBR35% また、舗装体(表層,基層及び路盤)の安定ひずみは、
一般構造物と同様に安全率を3.5倍として3×10
−4mm以下とする必要がある。
【0009】ところで、前述のごとく舗装構成部材は、
路床を基礎としてローラ転圧、さらに走行荷重による締
め固め効果を期待している。しかし、砕石路盤は空隙が
大きく水の浸透が容易であるために含水比が上昇し、逆
に走行荷重が疲労を促進する原因となって、塑性変形に
よるわだちぼれを生じている。このことは舗装部材の改
良が必要であることを示している。
【0010】したがって、舗装体の疲労破壊を防ぐに
は、舗装体に用いる砕石がたわみ性のある大きな強さ
(弾性係数)の路盤材料となり、舗装体の路面ひずみが
3×10−4mm以下になるように砕石路盤を補強する
必要がある。そして、砕石路盤を強くなるように補強す
るとともに、路床土の軟弱化を防止することのできる順
応性,自癒性,水硬性等と、路床土と馴染のよい路盤材
を使用することが必要となる。
【0011】さらに、路床土の地下水の変化に対する疲
労風化を防止するとともに、地域の発展に伴う交通荷重
の増加、増大に対して簡易に補強できるようにしておく
必要もある。従来採用されている日本道路協会の舗装要
綱では、舗装道路は5年後に予想される交通量と路床土
の強さによって設計することになっているが、交通量の
増大に伴う改造を行う場合、従来の砕石路盤の場合は、
路床と路盤の全体の改造が理論上では必要となり、工事
が大規模なものとなり大変な作業となる。
【0012】舗装構造設計は、地方材(ローカルカラ
ー)を使用し、安価な工費(ローコスト)で施工するこ
とを基本としているので、交通量の増加,増大,スピー
ド化に対応する補強,補修(ステージコンストラクショ
ン工法)の必要性は舗装道路設計の宿命ともいえるもの
である。また、一般道路と異なり、道路公団のように最
大重量車に対応するよう路床(地盤)を改良し、十分な
管理の基に設計,施工した場合でもわだちぼれを生じ、
その解決法が研究されているのが現状である。
【0013】また、上記した先の出願は、軟弱路床に対
してはそれなりの効果があったが、砕石路盤に対しては
何らの処理を行わず、通常の砕石を使用していたので、
地下水の侵入等のより砕石路盤が軟弱化され、表層アス
ファルトコンクリートは老化する。結局、路床は強化さ
れるが砕石路盤は改良されていないため、舗装道路の耐
久性はそれほど高まらなかった。また、砕石の代わりに
転炉滓を用いると、降雨時に田畑に公害を及ぼし、実際
には使用できなかった。
【0014】そして、これらの工法の場合、交通量の増
加に伴って改造する場合、路床土はそのまま使用できる
が、アスファルト舗装と砕石路盤を取り換え、補強しな
ければならないという欠点があった。
【0015】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明に係る
ステージコンストラクション工法は、表層を追加するこ
とにより、舗装面のタワミ量が大きく減少するような
装体となるように、自然土と砕石を混合したものに、1
/1000mm以下の酸化鉄の微粉末並びに生石灰,消
石灰及び石灰石粉末を調合した土質安定剤を混合した
装路盤材を使用して舗装路盤を施工する第1ステップ
と、供用交通の輪荷重の増大により発生する表層と路盤
の構成部材よりなる前記舗装体のひずみについて、各構
成部材ごとの最大ひずみがそれぞれ各構成部材の厚さの
1/1000以下となるように、表層を追加して調節す
る第2ステップの2段階より構成したものであり、表層
のアスファルトコンクリートを厚くすることにより、通
過交通荷重の増大に合わして簡易に補強工事を行うこと
ができるようにしたものである。
【0016】
【作用】酸性土に石灰を加えると土壌が安定することは
よく知られている。しかし、石灰の添加だけでは、我が
国は多雨湿潤であるので土壌から石灰が流出し、酸性土
の土地は再び軟弱化を繰り返す。
【0017】そこで、これに酸化鉄の微粉末を加える
と、石灰で固めきれない酸性土及び腐植土を固め、石灰
が粘土及び腐植土に作用する化学作用を促進する。そし
て、石灰が他の交換性イオンによる置換溶脱する作用を
防ぐとともに、それにより安定した土に耐久性を与え
いる。
【0018】このことは、昔より我が国では二和土が用
いられているが、これは酸化鉄を多量に含んだ赤色土
(ラテライト化された土)を使っており、またソイル石
灰工法は、最近ソビエトのラテライト土、並びにアメリ
カや東南アジアの道路及び飛行場建設等に使用して成功
を収めていることからも証明されている。
【0019】この発明で使用する土質安定剤は、上記作
用をするものであり、1/1000mm以下の酸化鉄の
微粉末並びに、生石灰,消石灰及び石灰石粉末を調合し
たものをいう。なお、以後明細書中においてこの土質安
定剤のことを「Fe石灰」と称する場合もある。また、
本発明の土質安定剤で処理した路盤を、「安定処理路
盤」又は「Fe処理路盤」と称する場合もある。
【0020】生石灰、消石灰、石灰石粉末の順に反応速
度が遅いので、これらのものを適正に混合しておくこと
により、長期間効果を維持することができる。生石灰粉
末:消石灰:石灰石粉末の混合比は重量比で1:2:1
を基本とするが、土質試験結果より、4日水浸CBR1
50%,28日水浸CBR260%を確保するように、
そのときの土と砕石の質によってその配合比を決定す
る。なお、前記特公昭54−25738号では安定剤と
して酸化鉄と消石灰を使用しており、これは前記したよ
うに軟弱路床の補強には有効であるが、路盤の安定剤と
して使用した場合には長期にわたる効果が維持され難
く、したがってこの安定剤では本発明が目的とするよう
な路盤とはならない。
【0021】生石灰に水が加わると250度以上の熱を
発生するが、使用する石灰石粉末の場合には、150度
位の発熱であり少量の場合危険はない。生石灰を使用す
ることにより、反応温度が上昇するので、化学反応を促
進し、CBR値を大きくすることができる。従って、寒
いときは、処理土の保温のために、また雨の多いときに
は、効果の流出を防ぐために生石灰を使用する。
【0022】ところで、路盤砕石層の応力の伝播分布を
解析すると、路面の載荷重圧は砕石粒に水平応力と剪断
応力と垂直応力に分散して作用する。そして砕石粒は、
それぞれの粒子の粘着力と摩擦角により対応することと
なる。
【0023】砕石並びに粒調砕石等より物理化学的に安
定処理した土混じり砕石層は、抵抗応力、粘着力、内部
摩擦角などが大きく、かつ転圧より受ける圧力及び路床
土に含まれる炭酸ガス等が有効に化学反応を促進する。
すなわち、気象並びに地盤環境条件を有効に活用でき
る。そこで、耐久力は道路の供用とともに増加し、これ
に伴いたわみ量が小さくなり、舗装体の疲労を防ぐこと
になる。
【0024】そして、砕石と自然土を混合したものに土
質安定剤を混合して化学処理しておくと、荷重の増加や
温度変化等の物理的作用を受けると、化学反応が促進さ
れ、CBR値が上昇することになる。すなわち、セメン
ト混合物のように、それ自体が水と作用して硬化するの
ではなく、道路を車両が通行することによる締め固めと
いう物理的作用により、化学作用が促進され、時間の経
過とともにCBR値は上昇するのである。
【0025】また、舗装要綱による設計法では置換工法
の対象とならないCBR3%以上の路床上に、土質安定
剤により物理化学的に処理した土混じり砕石路盤層を適
用した場合は、路床に発生した炭酸ガスは上部処理層の
毛細管現象により水分とともに上昇し、この炭酸水は処
理路盤の化学反応を促進することになり、その強度を高
め、路床土も安定することとなる。
【0026】なお、砕石と自然土を混合せず、砕石と土
質安定剤のみを混合したのでは、砕石やクラッシャラン
だけでは凹凸があり荷重が均等に路床に作用せず、締め
固めても空隙が大きく水の侵入が容易であり、路床に含
有する有機物が腐食し、それに伴って発生する炭酸ガス
によって、路床,路盤共に風化、軟弱化される。
【0027】また、砕石と自然土を混合せず、自然土と
土質安定剤のみを混合したのでは、CBR最大100%
としかならず、たわみを舗装体が弾性体的挙動、すなわ
ち自癒性があるとされている3×10−4mm以下の微
小ひずみにすることができない。
【0028】砕石と土との混合比は、砕石による骨材か
み合わせを骨格とし、その間隙を十分締め固められた
土によって充填されるよう、砕石や土の粒度等によって
調整する必要がある。しかし、実施上においては敷き均
し時の材料分離や、転圧基盤となる路床の耐荷力が不足
して、十分なローラ転圧ができない等によって、充填さ
れるべき砕石の空隙容積と、充填すべき土の量が一致し
ない宿命を持っている。
【0029】砕石が多すぎると、転圧荷重は骨材かみ合
わせで支持されて間隙に充填された土は締め固め不足と
なり、水の浸透が容易となり、土の含水比が上昇して、
砕石の骨材かみ合わせによる骨格に対して、潤滑油的な
働きをして強度を失うため極めて危険である。
【0030】また、土の量が多すぎる場合は、土の中に
砕石が点在する形となって骨材かみ合わせは失われて、
強度は土の剪断力と同じにまで減少する。しかし、この
状態では充填される土は、砕石による集中荷重によって
転圧効果は促進される。
【0031】したがって、理想的な土の量は締め固めた
砕石の空隙容積よりやや多い目の容積とすべきであり、
その混合比は容積比で実施例において示すように、自然
土:砕石を80:20〜50:50の範囲とする。な
お、砕石はJISに準じたものを、自然土は骨格のしっ
かりしたものを使用するのが望ましい。
【0032】砕石、自然土、土質安定剤を混合して道路
路盤材を製造するに際しては、これらが混合できればど
のような方法でもよいが、その含水比は締め固めの成形
が可能な程度あればよい。すなわち、土の含水が陽イオ
ンの置換の妨害とならない程度であればよい。
【0033】次に、路盤砕石層の弾性係数(粒調砕石:
2,000kg/cm,クラシャラン:1,500k
g/cm)を4日後15,000kg/cm,28
日後26,000kg/cmを目標値として自然土と
砕石に土質安定剤を混合し物理化学的安定処理する。こ
れを舗装道路に用いると路床の安定を図ることができる
とともに、表1と表2に示すごとく「路床+路盤」の平
均変形係数(弾性係数)が上昇,安定し、その上部の表
層アスコンがクッション(安全率)を保つことになる。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】なお、表1の計算のモデルを図1に示す。
また、表2の各道路の路盤の厚さを表3に示す。
【0037】
【表3】
【0038】これに対し、アスファルト舗装要綱(昭和
63年度版)の設計例(砕石路盤)(下記表4に示すも
の)による場合の理論計算によるたわみ量を推定すると
次のごとくなる。
【0039】
【表4】
【0040】理論計算に用いる舗装構成部材の弾性係数
は下記の通りとした。 粒調砕石弾性係数 −−−−−−−−−−−− 2,000kg/cm クラッシャラン弾性係数 −−−−−−−−− 1,500kg/cm 加熱アスファルトコンクリート弾性係数 −−20,000kg/cm 瀝青安定処理弾性係数 −−−−−−−−−−15,000kg/cm
【0041】路床の弾性係数については道路公団による
E=CBR×40という報告もあるが、砕石路盤が十分
に締め固められ、路床の軟弱化が防止できるものである
と仮定して、ここではE=CBR×80とした。その上
に基層,表層を設置したものとして計算すると、表5及
び表6のようになる。
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】なお、上記表1,表2及び表3の計算にお
いては表7の舗装要綱による等値換算係数を用いた。以
下の計算においても、表7の等値換算係数を用いた。
【0045】
【表7】
【0046】表1と表5を比較すると、安定処理すると
弾性係数が格段に上昇することがわかる。また、表2と
表6を比較すると、安定処理した砕石路盤はたわみ量が
小さく、また供用効果を有することがわかる。
【0047】次に、本発明に係る舗装砕石路盤を物理化
学的に安定処理した舗装道路のステージコンストラクシ
ョン工法の計算例を表8に示す。これは表2において、
CBR4%の場合にアスファルトコンクリートを追加
(オーバーレイ)したものである。
【0048】
【表8】
【0049】また、従来の安定処理をしていない路盤を
使用している表6において、CBR4%の場合にアスフ
ァルトコンクリートを追加(オーバーレイ)した場合の
計算例を表9に示す。
【0050】
【表9】
【0051】安定処理路盤を使用した場合、表層のアス
ファルトコンクリートを増やすことにより、たわみ量が
減少することがわかる。表9に示す従来のものでもたわ
み量は減少するが、もともとのたわみ量が大きいので、
アスファルトコンクリートを厚くするだけでは、荷重の
増大に対応できない。
【0052】
【実施例】次に、本発明で使用する舗装路盤材の製造方
法について説明する。自然土,砕石及び、土質安定剤を
混合する。混合するに際しては格別の技術は要らず、よ
うはこれらのものが均等に混合されればよい。なお、生
石灰を使用している場合には、発熱に注意する必要があ
る。これらを混合することにより、本発明で使用する
装路盤材が製造できる。
【0053】自然土60部と砕石40部に消石灰4部、
酸化鉄の微粉末1部を混和した舗装路盤材(砕石処理路
盤)と、マサ土だけを安定処理したもの(マサ土処理
土)の試験値を表10に示す。
【0054】
【表10】
【0055】この試験結果を用い、路床設計CBR3%
の路床土の上に換算した厚さ20cmの物理化学的安定
処理路盤を敷設し、通過交通の増加にともない、A交通
(P=3ton)、B交通(P=5ton)に表層アス
コン5cm及び10cmを補強した舗装のたわみの計算
値を表11に示す。
【0056】
【表11】
【0057】また、従来の砕石路盤を使用した場合の計
算値を表12に示す。
【0058】
【表12】
【0059】同様にこの試験結果を用い、路床設計CB
R4%の路床土の上に換算した厚さ26cmの物理化学
的安定処理路盤を敷設し、通過交通の増加にともない、
B交通(P=5ton)、C交通(P=8ton)に表
層アスコン5cm及び10cmを補強した舗装のたわみ
の計算値を表13に示す。
【0060】
【表13】
【0061】また、従来の砕石路盤を使用した場合の計
算値を表14に示す。
【0062】
【表14】
【0063】許容応力は表面たわみ量1mm以下、路盤
剪断力5kg/cm、路床土の垂直応力0.9kg/
cm(=0.225×CBR)であるから、表13に
おいてステージコンストラクション工法、すなわち5c
mずつのオーバーレイアスファルトコンクリートを10
cm追加することにより、C交通においてもそれぞれ2
倍以上の安全率となり、10−3のたわみを確保しその
各部材の疲労は、一般構造物設計に近い弾性体的構造と
なる。
【0064】また同様に上記試験結果を用い、路床設計
CBR3%の路床土の上に換算した厚さ32cmの物理
化学的安定処理路盤を敷設した場合のたわみの計算値を
表15に示す。
【0065】
【表15】
【0066】また、従来の砕石路盤を使用した場合の計
算値を表16に示す。
【0067】
【表16】
【0068】同様に、路床設計CBR4%の路床土の上
に換算した厚さ42cmの物理化学的安定処理路盤を敷
設した場合のたわみの計算値を表17に示す。
【0069】
【表17】
【0070】また、従来の砕石路盤を使用した場合の計
算値を表18に示す。
【0071】
【表18】
【0072】同様にして、路床設計CBR3%の路床土
の上に換算した厚さ57cmの物理化学的安定処理路盤
を敷設した場合のたわみの計算値を表19に示す。
【0073】
【表19】
【0074】また、従来の砕石路盤を使用した場合の計
算値を表20に示す。
【0075】
【表20】
【0076】なお、本発明で使用する石灰は、生石灰粉
末、消石灰、石灰石粉等を、用いる土並びに砕石の風化
状態に応じて、必要な強度を維持確保できるようにして
使用すればよい。
【0077】また、砕石は良質の砕石はもちろんのこ
と、廃材の風化した砕石等も再使用することができる。
本発明のような処理をすることにより、風化された粘土
分の硬化は圧力と熱とそれを加える期間により強化が図
られるからである。
【0078】次に、本発明で使用する舗装路盤材の配合
例を示す。自然土と砕石の割合は容積比で表す。
【0079】[配合例1] 自然土:砕石を60:40の割合で混合したもの(用
土)に、土質安定剤を混合する。土質安定剤(Fe石
灰)は、生石灰1:消石灰2:石灰石粉末1を混合した
ものと、製鉄炉より煙として発生する1/1000mm
以下の酸化鉄粉を、4:1の割合で混合したものを使用
する。用土とFe石灰を任意の割合で混合し、これを現
場の処理路盤と室内試験実測値の一致を図るために、突
き固めは5層55回の1/2.75(=5層20回)と
し、水浸養生温度を23度とし、28日後のCBRを実
測すると表21に示すようになった。
【0080】
【表21】
【0081】表21から明らかなように、用土:Fe石
灰の混合比が94.5:5.5のときにCBRが最大と
なり、これよりFe石灰が多くても少なくてもCBRは
小さくなる。よって、本製造例の場合には、用土:Fe
石灰の混合比を94.5:5.5として製造することが
最適である。
【0082】[配合例2] 自然土:砕石を50:50の割合で混合したもの(用
土)に、土質安定剤を混合する。土質安定剤(Fe石
灰)は、生石灰1:消石灰3:石灰石粉末1を混合した
ものと、製鉄炉より煙として発生する1/1000mm
以下の酸化鉄粉を、5:1の割合で混合したものを使用
する。用土とFe石灰を任意の割合で混合し、これを現
場の処理路盤と室内試験実測値の一致を図るために、突
き固めは5層55回の1/2.75(=5層20回)と
し、水浸養生温度を23度とし、28日後のCBRを実
測した。
【0083】実測の結果、用土:Fe石灰の混合比が9
5:5のときにCBRが263%で最大となり、これよ
りFe石灰が多くても少なくてもCBRは小さくなっ
た。よって、本製造例の場合には、用土:Fe石灰の混
合比を95:5として製造することが最適である。
【0084】[配合例3] 自然土:砕石を55:45の割合で混合したもの(用
土)に、土質安定剤を混合する。土質安定剤(Fe石
灰)は、消石灰3:石灰石粉末1を混合したものと、製
鉄炉より煙として発生する1/1000mm以下の酸化
鉄粉を、4:1の割合で混合したものを使用する。用土
とFe石灰を任意の割合で混合し、これを現場の処理路
盤と室内試験実測値の一致を図るために、突き固めは5
層55回の1/2.75(=5層20回)とし、水浸養
生温度を23度とし、28日後のCBRを実測した。
【0085】実測の結果、用土:Fe石灰の混合比が9
4.75:5.25のときにCBRが261%で最大と
なり、これよりFe石灰が多くても少なくてもCBRは
小さくなった。よって、本製造例の場合には、用土:F
e石灰の混合比を94.75:5.25として製造する
ことが最適である。
【0086】[配合例4] 自然土:砕石を80:20の割合で混合したもの(用
土)に、土質安定剤を混合する。土質安定剤(Fe石
灰)は、生石灰1:消石灰3を混合したものと、製鉄炉
より煙として発生する1/1000mm以下の酸化鉄粉
を、4:1の割合で混合したものを使用する。用土とF
e石灰を任意の割合で混合し、これを現場の処理路盤と
室内試験実測値の一致を図るために、突き固めは5層5
5回の1/2.75(=5層20回)とし、水浸養生温
度を23度とし、28日後のCBRを実測した。
【0087】実測の結果、用土:Fe石灰の混合比が9
3.5:6.5のときにCBRが262%で最大とな
り、これよりFe石灰が多くても少なくてもCBRは小
さくなった。よって、本製造例の場合には、用土:Fe
石灰の混合比を93.5:6.5として製造することが
最適である。
【0088】次に、本発明のステージコンストラクショ
ン工法を施工するための前提となる上記路盤材を使用し
舗装例を示す。以下のような舗装を予め行っておくこ
とにより本発明の、舗装の各構成部材の最大ひずみが荷
重が作用する厚さの1/1000以下となるように表層
の厚さを追加調節するステージコンストラクション工法
が可能となる。
【0089】[舗装例1] 路床のCBRが4%であり、舗装要綱による5年後の交
通区分がA交通である道路を、将来の地区発展を考慮し
て10ton輪荷重(道路公団舗装道路の設計荷重)に
補強することを目的とする。
【0090】配合例1の安定処理路盤材を使用し、路床
の安定処理路盤を換算値26cmの厚さ敷設し、途中2
0cm厚さ毎に締め固め、路盤を形成し、この上に5c
m厚さのアスファルトコンクリートを敷設した。この道
路は、クラッシャラン厚さ25cmに粒調砕石20cm
を敷設した従来の道路と比較すると、供用効果が優れて
いる。
【0091】[舗装例2] 路床のCBRが4%であり、舗装要綱による5年後の交
通区分がC交通である道路を、将来の地区発展を考慮し
て12ton輪荷重に補強することを目的とする。
【0092】配合例2の安定処理路盤材を使用し、路床
の安定処理路盤を換算値42cmの厚さ敷設し、途中2
0cm厚さ毎に締め固め、路盤を形成し、この上に10
cm厚さのアスファルトコンクリートを敷設した。この
道路は、CBRが46%に補強された。
【0093】[舗装例3] 路床のCBRが3%であり、舗装要綱による5年後の交
通区分がD交通の道路である。
【0094】配合例3の安定処理路盤材を使用し、路床
の安定処理路盤を換算値57cmの厚さ敷設し、途中2
0cm厚さ毎に締め固め、路盤を形成し、この上に15
cm厚さのアスファルトコンクリートを敷設した。この
道路は、CBRが76%に補強された。
【0095】[舗装例4] 路床のCBRが3%であり、舗装要綱による5年後の交
通区分がL交通である道路を、将来の地区発展を考慮し
て5ton輪荷重に補強することを目的とする。
【0096】配合例1の安定処理路盤材を使用し、路床
の安定処理路盤を換算値20cmの厚さ敷設し路盤を形
成し、この上に5cm厚さのアスファルトコンクリート
を敷設した。この道路は、CBRが14%に補強され
た。これは、A交通(輪荷重3ton)において各舗装
構成部材が安全率を考慮し、弾性体的ひずみを確保する
のに必要とされるCBR14%以上となっている。
【0097】[舗装例5] 路床のCBRが4%であり、舗装要綱による5年後の交
通区分がA交通である道路を、将来の地区発展を考慮し
て8ton輪荷重に補強することを目的とする。
【0098】配合例1の安定処理路盤材を使用し、路床
の安定処理路盤を換算値26cmの厚さ敷設し、途中2
0cm厚さ毎に締め固め、路盤を形成し、この上に5c
m厚さのアスファルトコンクリートを敷設した。この道
路は、CBRが22%に補強された。これは、B交通
(輪荷重5ton)において各舗装構成部材が安全率を
考慮し、弾性体的ひずみを確保するのに必要とされるC
BR20%以上にほぼ匹敵する値となっている。
【0099】[舗装例6] 路床のCBRが3%であり、舗装要綱による5年後の交
通区分がB交通である道路を、将来の地区発展を考慮し
て8ton輪荷重に補強することを目的とする。
【0100】配合例1の安定処理路盤材を使用し、路床
の安定処理路盤を換算値32cmの厚さ敷設し、途中2
0cm厚さ毎に締め固め、路盤を形成し、この上に10
cm厚さのアスファルトコンクリートを敷設した。この
道路は、CBRが27%に補強された。これは、C交通
(輪荷重8ton)において各舗装構成部材が安全率を
考慮し、弾性体的ひずみを確保するのに必要とされるC
BR28%以上にほぼ匹敵する値となっている。28日
後の値は多少不足しているが、供用効果によって値は上
昇するので安全である。
【0101】[舗装例7] 路床のCBRが4%であり、舗装要綱による5年後の交
通区分がC交通である道路を、将来の地区発展を考慮し
て12ton輪荷重に補強することを目的とする。
【0102】配合例1の安定処理路盤材を使用し、路床
の安定処理路盤を換算値42cmの厚さ敷設し、途中2
0cm厚さ毎に締め固め、路盤を形成し、この上に10
cm厚さのアスファルトコンクリートを敷設した。この
道路は、CBRが46%に補強された。これは、D交通
(輪荷重12ton)において各舗装構成部材が安全率
を考慮し、弾性体的ひずみを確保するの必要とされる
CBR35%以上を優に満たした値となっている。
【0103】[舗装例8] 路床のCBRが3%であり、舗装要綱による5年後の交
通区分がD交通の道路である。
【0104】配合例1の安定処理路盤材を使用し、路床
の安定処理路盤を換算値57cmの厚さ敷設し、途中2
0cm厚さ毎に締め固め、路盤を形成し、この上に15
cm厚さのアスファルトコンクリートを敷設した。この
道路は、CBRが76%に補強された。これはD交通に
必要とされるCBR35%を優に満たした値であり、安
全率は 76÷35=2.17倍 となる。
【0105】以上述べた安定処理路盤の厚さは、舗装要
綱の等値換算表に従って換算した数値を示したものであ
り、実際の安定処理路盤の厚さとは異なる。
【0106】例えば、A交通(CBR4%)の場合安定
処理路盤の換算値は26cmとなり、路床平均CBRは
20%以上となる。これはB交通に対応するものである
が、さらに前もってC交通に対応する道路にするために
は、路床平均CBR28%が必要となる。よって、26
cmの路盤厚を32cmの厚さとすることにより、路床
平均CBR27%となり、C交通のステージコンストラ
クション工法も可能となる。
【0107】次に、上記した舗装例を利用して本発明に
係るステージコンストラクション工法の施工例を示す。
【0108】[施工例1] 舗装例4の道路に、アスファトコンクリート舗装(A
s舗装)を5cmずつ増やしていった。測定の結果、表
11とほぼ同様の値が得られた。
【0109】したがって、表層のアスファルトコンクリ
ートを継ぎ足すことにより、各値が改善されることがわ
かる。
【0110】[施工例2] 舗装例5の道路に、アスファトコンクリート舗装(A
s舗装)を5cmずつ増やしていった。測定の結果、表
13とほぼ同様の値が得られた。
【0111】したがって、表層のアスファルトコンクリ
ートを継ぎ足すことにより、各値が改善されることがわ
かる。
【0112】[施工例3] 舗装例6の道路に、アスファトコンクリート舗装(A
s舗装)を5cmずつ増やしていった。測定の結果、表
15とほぼ同様の値が得られた。
【0113】したがって、表層のアスファルトコンクリ
ートを継ぎ足すことにより、各値が改善されることがわ
かる。
【0114】[施工例4] 舗装例7の道路に、アスファトコンクリート舗装(A
s舗装)を5cmずつ増やしていった。測定の結果、表
17とほぼ同様の値が得られた。
【0115】したがって、表層のアスファルトコンクリ
ートを継ぎ足すことにより、各値が改善されることがわ
かる。
【0116】[施工例5] 舗装例8の道路に、アスファトコンリート舗装(A
s舗装)を5cmずつ増やしていった。測定の結果、表
19とほぼ同様の値が得られた。
【0117】したがって、表層のアスファルトコンクリ
ートを継ぎ足すことにより、各値が改善されることがわ
かる。
【0118】なお、舗装道路の表層アスファルトコンク
リート及び基礎瀝青安定処理層は、通過交通車両から受
ける衝撃を吸収し、かつ路盤材の乱れを防ぐに必要な厚
さと路盤とアスファルトの境界に生じる剪断応力が路盤
材の剪断抵抗応力より小さくなるのに必要な厚さとする
ことが必要である。
【0119】砕石路盤の剪断抵抗応力は0.5kg/c
であるが、安定処理した処理層の剪断抵抗応力は
4.5〜5kg/cmであるが安全性を考えて、1.
5〜1.7kg/cmは確保できる。
【0120】なお、処理面に砕石を散布、転圧すること
により摩擦角、粘着力の設置面積の拡大を図りステージ
コンストラクション工法による剪断力の安全性を確保で
きる。
【0121】安定処理路盤の上に、砕石を使用する場
合、処理路盤とアスファルトコンクリートの間に働く剪
断応力が1.5kg/cmを基準としてその作用応力
の強さと、道路舗装面の勾配等の立地条件を考え、安全
性を確保するよう砕石を少量散布し、十分締め固め、そ
の上にアスファルトコンクリートを敷設する。
【0122】剪断応力が1.5kg/cmよりも小さ
い場合は、砕石を使用しないで、路盤の上に直接アスフ
ァルトコンクリートを敷設する。
【0123】
【発明の効果】以上述べたように、この発明に係るステ
ージコンストラクション工法によれば、表層を追加する
ことにより、舗装面のタワミ量が大きく減少するような
舗装体となるように、自然土と砕石を混合したものに、
1/1000mm以下の酸化鉄の微粉末並びに生石灰,
消石灰及び石灰石粉末を調合した土質安定剤を混合した
舗装路盤材を使用して舗装路盤を施工する第1ステップ
と、供用交通の輪荷重の増大により発生する表層と路盤
の構成部材よりなる前記舗装体のひずみについて、各構
成部材ごとの最大ひずみがそれぞれ各構成部材の厚さの
1/1000以下となるように、表層を追加して調節す
る第2ステップの2段階より構成したので、予め第1ス
テップの道路構造としておくことにより、通過交通荷重
が増大した場合に第2ステップとして表層アスファルト
コンクリートを必要量追加するだけで、その時の供用交
通に十分適応した強度を有する道路構造にすることがで
き道路の長寿命化が図れる。
【0124】そしてまた、舗装構造の疲労を主な原因と
するわだちぼれは国際的に、また我が国の道路公団にお
いても解決に苦慮している。なお、現在の道路予算の7
0%近くは維持,補修費が占めるといわれている。本発
明の開発は道路の固定資産化を図ろうとするものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】表1に示す、各種道路の計算のモデルを示した
ものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 井 月夫 福岡県粕屋郡新宮町上ノ府1378 (56)参考文献 特公 昭54−25738(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E01D 3/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の2ステップより構成したことを特徴と
    するステージコンストラクション工法。 第1ステップ:表層を追加することにより、舗装面のタ
    ワミ量が大きく減少するような舗装体となるように、
    然土と砕石を混合したものに、1/1000mm以下の
    酸化鉄の微粉末並びに生石灰,消石灰及び石灰石粉末を
    調合した土質安定剤を混合した舗装路盤材を使用して
    装路盤を施工すること。 第2ステップ:供用交通の輪荷重の増大により発生する
    表層と路盤の構成部材よりなる前記舗装体のひずみにつ
    いて、各構成部材ごとの最大ひずみがそれぞれ各構成部
    材の厚さの1/1000以下となるように、表層を追加
    して調節すること。
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