JP2971025B2 - ばね緩和測定方法及びその方法を用いて試料液の流動特性を測定する回転式粘度計 - Google Patents

ばね緩和測定方法及びその方法を用いて試料液の流動特性を測定する回転式粘度計

Info

Publication number
JP2971025B2
JP2971025B2 JP8045106A JP4510696A JP2971025B2 JP 2971025 B2 JP2971025 B2 JP 2971025B2 JP 8045106 A JP8045106 A JP 8045106A JP 4510696 A JP4510696 A JP 4510696A JP 2971025 B2 JP2971025 B2 JP 2971025B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rotor
state
measurement
rotation
viscometer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP8045106A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH09236531A (ja
Inventor
宏治 関口
定善 服部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
HATSUTORI DENSHI KK
TOKI SANGYO KK
Original Assignee
HATSUTORI DENSHI KK
TOKI SANGYO KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by HATSUTORI DENSHI KK, TOKI SANGYO KK filed Critical HATSUTORI DENSHI KK
Priority to JP8045106A priority Critical patent/JP2971025B2/ja
Priority to US08/808,103 priority patent/US5777212A/en
Publication of JPH09236531A publication Critical patent/JPH09236531A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2971025B2 publication Critical patent/JP2971025B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N11/00Investigating flow properties of materials, e.g. viscosity, plasticity; Analysing materials by determining flow properties
    • G01N11/10Investigating flow properties of materials, e.g. viscosity, plasticity; Analysing materials by determining flow properties by moving a body within the material
    • G01N11/14Investigating flow properties of materials, e.g. viscosity, plasticity; Analysing materials by determining flow properties by moving a body within the material by using rotary bodies, e.g. vane
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N11/00Investigating flow properties of materials, e.g. viscosity, plasticity; Analysing materials by determining flow properties
    • G01N11/10Investigating flow properties of materials, e.g. viscosity, plasticity; Analysing materials by determining flow properties by moving a body within the material
    • G01N11/16Investigating flow properties of materials, e.g. viscosity, plasticity; Analysing materials by determining flow properties by moving a body within the material by measuring damping effect upon oscillatory body
    • G01N11/162Oscillations being torsional, e.g. produced by rotating bodies

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体試料の粘度を
測定する回転式粘度計に係わり、特に、塗料、インクな
どの固体表面に塗布する用途に用いられるコーティング
材等において、品質判定上重要な極低ずり速度領域にお
ける流動測定のための方法である“ばね緩和測定方法”
と、その測定方法を実行することを可能とする回転式粘
度計に関する。
【0002】
【従来の技術】石油化学工業、合成化学工業、医薬品工
業、食品工業を始め、塗料、インク工業、半導体工業、
製紙工業、印刷工業等、液体状の原材料、製品を扱う殆
ど総ての工業分野において、それら液体の粘度を測定す
ることによって、原材料、製品の良否、処理工程の適否
を判定することが広く行われている。
【0003】これらの粘度測定のうち、特に、塗料、イ
ンクなどのコーティング材では、仕上がり面の品質がそ
れら材料の低ずり速度領域における粘性挙動に依存する
ことから、極低ずり速度領域の粘性流動特性測定に適し
た“ばね緩和測定法”が用いられるようになってきた。
【0004】ここでは先ず初めに、従来使われている
“ばね緩和測定法”を、半導体製造におけるフォトレジ
ストの挙動、製紙工業における白水コーティング材の挙
動、ペイント塗装における塗料の挙動、スクリーン印刷
における挙動などについての考え方を例示して、これら
コーティング材の良否が如何に極低ずり速度における粘
性流動特性に依存するかを説明し、この目的の特性測定
のために“ばね緩和測定法”が優れた測定法であるかを
説明する。
【0005】例えば、コーティング・マシンを用いて材
料を走行させながらコーティングする場合、一般に用い
られるコーティング・マシンでは、ナイフ・コータであ
れロール・コータであれ、コーティング作業工程中にコ
ーティング材が受けるずり速度は極めて高く、その値は
概略103/sec〜104/secにも達すると言われ
ている。
【0006】このようなコーティング作業工程において
は、コーティング材の粘度を作業条件に適合する最適粘
度に保つことが、作業を安定継続するために、また得ら
れる仕上がり面の品質確保上極めて重要である。すなわ
ち、粘度が高すぎると塗膜が厚すぎたり、最悪の場合は
コーティング・マシンのアプリケータにコーティング材
がまわり切れないために、形成される塗膜がかすれたり
切れたりして、良好な塗膜面が得られない。また逆に、
粘度が低過ぎる場合は、コーティング材のまわりは良く
なり作業性は向上するが、塗膜厚さが薄くなり遮蔽力が
乏しくなるという問題が発生する。
【0007】通常、このようなコーティングに用いられ
る材料は、高分子溶液に顔料等の微粒子を分散、懸濁さ
せたサスペンジョン溶液である。この種の溶液の粘度計
回転数の変化、すなわち、ずり速度の変化に対する指度
変化の挙動は、図1に示すように回転数が増大しても指
度は比例的には増加しない関係にあり、ずり速度Dとず
り応力sの関係を示すモデル式として、次式に示す冪乗
則が適用される場合が多い。
【0008】
【数1】
【0009】ここで、 s ;ずり応力 s0 ;降伏値 μ ;非ニュートン粘性係数 D ;ずり速度 n ;粘度指数(1>n>0) を表す。
【0010】なお、図1は家庭用水性塗料について希釈
をしない濃厚液の状態で、25℃においてデータ採取し
た粘度計回転数rpmと指度θの関係を表すグラフであ
る。図中の各ドット点は測定データ1個を表す。これら
データの回転数rpmにロータ円錐角で決まる定数を乗
じ、また、指度θにロータ寸法とトルクスプリングのば
ね定数で決まる定数を乗じることによって、図2のずり
速度Dとすり応力sの関係を表す“s−D流動グラフ”
を求めることができる。
【0011】コーティング材では、先に述べたように、
塗布工程中には極めて高い剪断速度でずりを受けるが、
塗布直後に塗膜に加わる力は、塗膜の表面張力と塗膜に
発生する重力のみになる。この場合、塗膜面の仕上がり
状態を良好にするためには、塗膜自身の表面張力によっ
て、塗布直後に刷毛目のような塗膜の傷、微細な凹凸な
どの欠陥が修復される機能を持つことが望まれる。
【0012】すなわち、塗布直後には塗膜の流動性を失
わない程度の低い粘度を保持することが必要である。こ
の表面張力による刷毛目の平滑化の機能を、コーティン
グ材のレベリング性と言い、“レベリングが良い”、あ
るいは、“レベリング性が悪い”と表現される。なお、
レベリングを生じるときの塗膜内部のずり速度は、10
~ 1〜10~ 2/secのオーダーと推定されている。
【0013】一方、塗膜に加わる重力の影響は、塗膜の
粘度が低すぎると塗膜が流れ出して、涙状の“たれ”を
生じる。このような“たれ”を生じないようにするため
には、コーティング材が10~ 2〜10~ 3/secオー
ダーの極低ずり速度の領域で粘度が充分に高いこと、お
よび、充分大きな降伏値を持つことが望ましい。
【0014】更に、コーティング材ではチクソトロピー
の特性を持たせることが多い。チクソトロピーとは、ず
りによって破壊された液体の内部構造が構造を回復する
ときの時間遅れによって生じる現象である。
【0015】例えば、スプレー塗装、ナイフ塗装、ある
いは刷毛塗りなどのプロセスにおいて、構造破壊したチ
クソトロピックなコーティング材の構造は、時間と共に
元の構造に回復する。しかし、この構造回復は、ほんの
数秒で回復するものから数時間を要するものまで様々で
あり、この回復時間の大小によって粘性流動挙動が変化
する。
【0016】印刷インクの場合、急速な構造回復による
ゲル化特性、即ち、瞬時に増粘することが印刷された文
字や図形を鮮明にするために望まれる。一方、刷毛塗り
の塗装の場合には、刷毛目がレベリングによって消える
ための時間が必要であり、どちらかと言えば構造回復が
遅くなければならない。しかし、回復時間が必要以上に
長すぎると“たれ”を生じる可能性がある。
【0017】以上、コーティング材の低ずり領域におけ
る粘性流動挙動を決める主要な要因を説明した。次に、
このような要因の大小を如何に測定するか、従来行われ
てきた測定方法を説明する。
【0018】通常、液体の粘性流動挙動を測定するため
に、先に示した図1のように、回転式粘度計の回転速度
を低回転から高回転まで、連続、または多段に変速しな
がら、各回転速度においてロータに発生する粘性トルク
をデータ採取して解析する、いわゆる定常流流動解析が
行われている。この場合はロータの回転速度とロータ寸
法から、試料液に加えられるずり速度Dの値が与えら
れ、ロータに加わる粘性トルクからずり応力sの値を求
めることが出来る。従って、データが存在する定常流領
域範囲については、上記数1の関係から回帰解析を行う
ことによって、非ニュートン粘性係数μ、粘度指数n、
降伏値s0などを数値として求めることができる。
【0019】しかし先に説明したように、コーティング
材の機能上重要な極低ずり速度領域の挙動を、粘度計を
回転させて得られる、いわゆる、定常流領域のずり速度
におけるデータで判断することは危険である。何故なら
ば、通常の回転式粘度計では最低回転速度が0.5rp
m、あるいは低速回転特性を改善した粘度計であって
も、先の図1のデータに示したように、0.1rpm程
度であり、この程度の回転数ではずり速度は、せいぜい
100/secのオーダーの比較的に大きい値である。
【0020】ここで、降伏値がずり速度ゼロのときのず
り応力として定義されているので、定常流領域のデータ
を用いて低ずり領域の流動特性、特に降伏値を求めるた
めには、上記のような定常流領域の比較的に大きなずり
速度におけるデータからずり速度ゼロの降伏値を外挿し
て求めることになる。すなわち、上記数1を拡張した解
析値として求めることとなり、極めて危険であると言わ
ざるを得ない。
【0021】例えば、図2のずり速度Dのゼロ付近のス
ケールを拡大して描いたずり速度Dとずり応力sの関係
を図3に示す。ここでは、図3に示すように約0.4/
secの最低ずり速度に対するずり応力として約14P
aか得られているが、その他の実測された測定点を結ん
で、ずり速度ゼロの縦軸に如何に外挿するかによって降
伏値の読み取り値が異なってくる。本図に描かれている
曲線は図中の6個の測定点のデータを上記数1で回帰解
析して得られた関係式を用いて描いた曲線であるが、ず
り速度ゼロに至近の範囲まで上記数1が成り立つとは必
ずしも言い切れないことが判る。
【0022】一方、コーティング材のようなサスペンジ
ョン溶液の降伏値を求めるために、実際と良く一致する
優れた方法としてCasson流動方程式による方法が
広く用いられている。特に、固体微粒子の分散質がニュ
ートン性溶媒に分散されている場合に適合することが知
られている。
【0023】Casson流動方程式は次の式で表され
る。
【0024】
【数2】
【0025】ここで、scはCasson降伏値、μc
Casson粘度である。上記数2は、√sと√Dが直
線関係にあることを表している。従って、図4に示すよ
うに、両軸をそれぞれ√s、および√Dに取って測定デ
ータの平方根をプロットすると、流動曲線は近似的に直
線になる。この直線を外挿して√s軸を切る点が√sc
で、この値を自乗すればCasson降伏値が求められ
る。このCassonの流動曲線は近似的に直線になる
ことから、外挿法によって得られる結果が個人差が少な
い利点がある。なお、図4は、先に求めた図1のデータ
をCasson流動曲線としてプロットして求めたグラ
フである。
【0026】しかし、このCasson流動曲線を使う
にしても、測定データが先に示したデータのように完全
には直線上に乗らない場合には、図5のようにゼロ近傍
の直線と見做せる範囲を限定して、その直線を延長して
縦軸を切る点を求めざるを得ない。このような方法を用
いるにしても、定常流測定領域の比較的に高いずり速度
範囲のデータを用いるならば、ゼロに近接した実測点が
欠けていることから、得られる降伏値は信頼度に乏しく
ならざるを得ない。
【0027】このように粘度計を回転して行う定常流測
定では、測定法として限界に達している。このような定
常流測定の限界を越えて、より低い極低ずり速度領域の
測定データを得るための手段として、ばね緩和測定法が
ある。以下、ばね緩和測定法の原理を説明する。
【0028】図6にばね緩和測定法の原理図を示す。本
図は回転式粘度計としてもっとも簡単な構造、すなわち
粘性トルクとバランスした状態で、ばねの捩れ角度を目
盛板上の指針で読み取る方式の粘度計として例示してあ
る。
【0029】図6において粘度計の回転駆動用モータ7
01を停止した状態のままで、指針708の指度が、例
えば目盛板の100%の位置になるように円錐ロータ6
aを手で回して、適当な方法でその位置にクランプして
固定出来たと仮定する。この状態では、ばね705が指
針指度100%に相当する角度だけ捩られて復元トルク
が貯えられている。
【0030】この状態を保持したまま、円錐ロータ6a
と平板(プレート)7a間に試料液700を規定量注入
した後、ロータ6aのクランプを外して固定状態を解除
すると、ロータ6aは捩られていたばね705の復元ト
ルクに駆動されて、試料液700の粘性抵抗トルクを受
けながら回ろうとする。この時のばね705の復元トル
クはロータ6aの回転に伴って漸減する。すなわち、ロ
ータ6aの回転とともにばね705が緩和するために、
指針指度θと時間tとの関係は、図7の緩和グラフの曲
線に示すように変化する。
【0031】図7に示す緩和グラフの曲線のゼロ戻りの
残量θyは、ばね705が戻り切れない状態を示し、概
ね、降伏値に関係する量である。また、図中の点Pにお
ける緩和グラフ曲線の接線勾配(dθ/dt)pは、P
点におけるロータ6aの回転速度、すなわち、ずり速度
Dpを表し、P点の指度θpはロータ6aに加わるばね
トルク、すなわちずり応力sPを表す。
【0032】この図7の緩和グラフ曲線のP点につい
て、接線勾配(dθ/dt)p、指度θpが求まれば、
それら各点のずり速度Dp、ずり応力sP、従って見掛
け粘度ηaは、
【0033】
【数3】
【0034】
【数4】
【0035】
【数5】
【0036】但し、 α;円錐ロータの円錐角(de
g) γ;粘度計のフルスケールに対応するばねの捩れ角度
(deg) T;粘度計のフルスケールに対応するばねの復元トルク
(N・m) R;円錐ロータの半径(m) Dp;ずり速度(s~ 1) sP ;ずり応力(Pa) ηa ;見掛け粘度(Pa・s) によって求めることができる。
【0037】以上説明した図7では、降伏値を持つ一般
的な緩和グラフの曲線の形状を、前掲図1で用いたもの
と同じ市販家庭用水性塗料を試料液として、25℃の試
験温度で実験して得られた曲線を示したが、例えば炭化
水素系の粘度計校正用標準液のように、降伏値を持たな
い完全なニュートン粘性の液の場合には、図8に示すよ
うに、時間と共に指度がゼロに漸近する緩和グラフ曲
線、
【0038】
【数6】
【0039】を描くことは解析的にも求められる。な
お、図8の緩和グラフは、JISに規定されている炭化
水素油系の粘度計校正用標準液JS2000について、
25℃で実測したグラフを例示したものであり、また、
上記数6のKは巻き上げ指度、βはロータ半径R、円錐
角α、粘度計のフルスケール角度に対応するばねの復元
トルクT、および、粘度計のフルスケール角度γによっ
て決まる定数である。
【0040】ところで、以上説明したようなばね緩和測
定法の測定原理を、従来の構造の回転式粘度計のように
目盛板上の指針指度を目視で読み取る方式で測定したと
すると、読み取りとデータ記録のための作業に時間がか
かり過ぎて到底実用にならない。
【0041】すなわち、図7の緩和グラフのように連続
したデータを得るためには、トルクスプリングの捩れ角
を電気信号に変換できる粘度計、例えば回転型差動トラ
ンスなどの信号変換器を内蔵した粘度計が必要であり、
この信号変換器の出力をA/D変換したデータを、1
秒、あるいは2秒毎の一定時間間隔でコンピュータに記
憶させる必要がある。このようにして記憶させたデータ
を利用すれば、目的により所要のコンピュータ解析を行
うことができる。そのほか図6で引用した前記ばね緩和
測定原理では、ロータを手で回してばねを巻き上げる操
作を説明したが、現用されている最近の、この用途に用
いられている回転式粘度計では、後述するように、本願
発明者の発明によって、ばねの巻き上げを含めて総ての
操作を自動的に行える装置になっている。
【0042】このように、ばね緩和測定法によれば、巻
き上げたばねが緩和しながら作用する復元トルクに駆動
されて、ロータが停止するか、あるいは停止しないかの
極限状態までの連続したデータを得ることができる。し
たがって、この方法で得たずり速度10~ 3/secオ
ーダーまでのずり速度、ずり応力の関係を、前記したC
assonの流動方程式を適用して解析すれば、ずり速
度がゼロ至近のデータまで利用できるので、外挿して得
られるCasson降伏値sc、Casson粘度μ
cは、先に説明した定常流測定の場合に比べて、遙かに
信頼できる結果を得ることは言うまでもない。
【0043】次に、コーティング材ではないが、ばね緩
和測定を練り歯みがきに適用した実測例を図9〜図12
に示す。図9はこの場合のばね緩和グラフで、図に見る
ように非常に大きい残留値θyを示している。また、ロ
ータの解放以降の指度変化も緩やかで、解放直後の比較
的に高いずり速度の範囲でも粘度は高い値を保持してい
ることが判る。
【0044】図10は図9の緩和グラフで得たデータ
を、コンピュータで演算処理して得られたずり応力sと
ずり速度Dの関係を対数表示したlogs−logD解
析グラフである。図に見るように、ばね緩和測定で得ら
れたずり速度データは、10~2〜10~ 3/secの極
めて低いずり速度領域にまで達している。
【0045】図11は同様に、図9のデータをコンピュ
ータ処理して得たCasson流動曲線である。図11
を図2と比べて見るとばね緩和測定では、得られたずり
速度データが√s軸に遙かに接近しているだけでなく、
多数のデータがあるので、データから外挿して得られる
Casson降伏値scは、定常流測定の場合に比べて
遙かに信頼できることが判る。
【0046】図12は図9の緩和測定データをコンピュ
ータ処理して求めた見掛け粘度ηaとずり速度Dの関係
を対数表示したlogη−logD解析グラフである。
本図によって極低ずり速度領域のずり速度Dに対する見
掛け粘度ηaの挙動を知ることができる。
【0047】以上、ばね緩和測定法を従来の定常流測定
法と比較して、極低ずり速度領域の粘性特性の測定、特
に降伏値を求めるための方法として、如何に有効な測定
法であるかを説明した。
【0048】次に、上記ばね緩和測定法に適合する最新
の回転式粘度計技術として、先に本願発明者が発明した
国際出願PCT/JP91/01337“回転式粘度
計”がある。これは、本願の出願に対比すべき従来技術
となるものであり、以下に、その技術内容を説明する。
【0049】本従来技術は、回転式粘度計のピボット、
宝石軸受けが故障し易い問題点を解決するために、本願
発明者が発明したピボットを保護するためのロータ軸自
動ロック装置(特願平1−51655号)を利用して、
通常用途のロータ回転による定常流粘度測定、流動解析
を行うだけではなく、ロータ軸ロック状態で自動的にば
ねを巻き上げる機能を加えることによって、ばね緩和測
定を自動的に実行可能にした回転式粘度計に関する発明
である。
【0050】本従来技術を実施した回転式粘度計の構造
例を図13に示す。本構造図の回転式粘度計の動作につ
いては、前記国際出願PCT/JP91/01337
“回転式粘度計”を参照されたい。
【0051】なお、図13に例示した回転式粘度計を用
いて、ばね緩和測定を行った場合の動作原理の概要を図
14に示す。図14において(a)図は粘度計が停止し
ている状態を示し、この状態ではロータ軸5bがロック
されて回転拘束され、同時に宝石軸受け12からピボッ
ト11が引き離されて保護されている。この状態で円錐
ロータ6aと平板7aの間に被測定試料液を注入した
後、100%、または任意のばね巻き上げ目標指度θを
予め入力してから、ばね緩和測定開始を指令すると、次
のシーケンスにより自動的にばね緩和測定が実行され
る。
【0052】.ロータ軸ロックのまま、パルスモータ
21を駆動して回転開始する。
【0053】.パルスモータ21の回転は、回転型差
動トランス23の出力信号が予め入力された巻き上げ目
標指度θに対応する信号レベルに達するまで回転して停
止する。すなわち、指定さた指度までのばねの巻き上げ
が完了する。
【0054】.ばね巻き上げ完了に引き続いて、図1
4(b)に示すように、ロータ軸自動ロック装置を働か
せてロータ軸5bのロックを解除することにより、宝石
軸受け12へのピボット11接触を復帰させると共に、
ロータ軸5bの回転拘束を解放して、ばね緩和測定状態
に移行する。
【0055】.ロータ軸5bの回転拘束解除により、
巻き上げられたばね4aの復帰トルクによってロータ6
aが駆動され、時間1秒、または2秒毎に指度θのばね
緩和測定データがコンピュータに送出され測定が実行さ
れる。
【0056】.予め入力により定められた測定時間が
経過すると自動的に測定を終了して、ロータ軸自動ロッ
ク装置が働いてロータ軸5bを回転拘束すると共に、宝
石軸受け12からピボット11を引き離してピボット保
護の測定終了状態に戻る。
【0057】なお、この装置では回転型差動トランス2
3の角度/電気出力信号の間のS字型変換特性を考慮し
て、直線性を保証できる角度範囲を選択したために、上
記数3中のγの値を角度60度にしてある。
【0058】上記した従来技術によって、その出願以前
に於ては回転式粘度計を用いた特殊測定として知られな
がら、手動的操作が面倒なために極めて例外的な場合を
除いて、殆ど実用されなかったばね緩和測定法が、実験
室のみでなく現場の材料検査レベルでも実用されるよう
になった。
【0059】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
による回転式粘度計を使用して、種々の液体物質の低ず
り速度領域における粘性挙動を調べるために、ばね緩和
測定実験を行ったところ、高粘度液、あるいは高い降伏
値を持つ液体物質を試料液とした場合に、以下に述べる
ような測定上の異常な現象が発生することが判った。
【0060】先ず、高粘度液を試料液とした場合に発生
する測定の異常状態について説明する。なお、測定の異
常を明示するために、低粘度液で正常な測定が行われた
場合と、高粘度であるために測定が異常になる場合を対
比して示す。
【0061】低粘度液として、先の図8に炭化水素油系
の粘度計校正用標準液JS2000のばね緩和グラフを
示した。この緩和グラフのデータから得られたずり応力
sとずり速度Dの関係を図15のs−D流動グラフに示
す。この図から測定データを示すドットは原点を通る一
直線上に分布している。これは粘度計校正用標準液の流
動特性が、完全なニュートン粘性流動特性を持つ液であ
ることから当然であり、この直線の勾配から求めた粘度
η=s/D=1.18Pa。s(=1180mPa・
s)の値は、この標準液に添付された試験温度25℃に
おける試験成績データ1192mPa・sに対して、極
めて良く一致している。
【0062】一方、高粘度液としてポリブテン系の粘度
計校正用標準液JS60Hを試料液として、測定温度2
5℃において得られたばね緩和グラフを図16に示す。
この図のばね緩和グラフのデータから求めたずり応力と
ずり速度の関係を、s−D流動グラフ図17に示す。こ
こで標準液JS60Hについて求めた図17のs−D流
動グラフは、同じ粘度計校正用標準液でありニュートン
粘性流動特性を持っていることから、前掲図15の標準
液JS2000の場合と同様に、原点を通る直線上の分
布が期待されるに反して、全く異なる曲線上のドットの
分布が得られている。
【0063】粘度計校正用標準液の場合、低粘度、高粘
度に関わらずs−D流動グラフは原点を通る直線上に分
布すべきであって、前記のJS60Hの実測データのよ
うに曲線上に分布する結果は異常としか言い様がない。
【0064】次に、高い降伏値を持つ液体を試料液とし
た場合に発生する測定異常について説明する。図18
一般市販の家庭用水性塗料を試料液として、希釈しない
濃厚状態で、100%、60%、および20%の巻き上
げ指度から降下させて得た緩和グラフである。この図に
おいて、100%から降下させた緩和曲線(a)、60
%から降下させた緩和曲線(b)と、20%から降下さ
せた緩和曲線(c)のそれぞれが異なるゼロ戻りの残量
を持っていることを示している。このゼロ戻りの残量
は、先に説明したように降伏値を表す値であり、同一液
体物質が、ばね緩和測定におけるばねの巻き上げ量によ
って、異なる降伏値を示すという結果は異常としか言い
様がない。
【0065】以上のように従来のばね緩和測定技術にお
いては、高粘度、高降伏値の試料液を測定する場合に
は、測定上に無視できない問題が発生していると考えら
れる。
【0066】本発明の目的は、上記したように従来技術
のばね緩和測定法において測定異常として問題を生じる
ような高粘度、あるいは高降伏値を持つ液体であって
も、低粘度、低降伏値の液体と同様に、異常なく、ばね
緩和測定を遂行出来る粘度測定方法、及び、その方法を
実行する回転式粘度計を提供することにある。
【0067】更に、ばね緩和測定を実施する際には、円
錐ロータ6aと平板7aの間に試料液700が挟まれた
状態で、円錐ロータ6a及び平板7aに対して試料液7
00が全周方向において、図19(a)に示すように均
等に接触することが重要であり、図19(b)に示すよ
うに片寄っていたり、図19(c)のように気泡701
を挟み込んでいる状態では満足すべき測定はできない。
【0068】このような試料液700の円錐ロータ6
a、平板7aとの接触を改善して、理想的な状態でばね
緩和測定を可能にする回転式粘度計装置を実現すること
も、本発明の主要な課題の1つに含まれる。
【0069】更には、例えば構造粘性特性を持つ液体の
測定では、円錐ロータと平板間に試料液を注入した状態
で、予め計画した回転数、回転継続時間でロータを回転
させて試料液にずり履歴を与え、ずり履歴の程度を種々
変えることによってばね緩和測定の低ずり速度領域にお
ける粘度、降伏値に現れるずり履歴の影響を調べるため
の装置として利用できる。この場合、ずりを与えた後、
粘度計を回転させずに一定時間放置することによって、
ずり履歴後の構造回復の状況を知ることもできる。
【0070】このようにずり履歴の影響、および、構造
回復の特性を研究するための回転式粘度計装置を実現す
ることも、本発明の課題の1つに含まれる。
【0071】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、回転軸方向に沿って移動可能な円錐型の
ロータと、当該ロータに対して静止している平板との間
に測定すべき試料液を挾持した状態で、当該ロータをそ
れと接続されている弾性体の緩和トルクにより回転駆動
し、当該ロータの回転に伴う粘度計指度値を測定するこ
とにより、前記試料液の流動特性を測定するばね緩和粘
度測定方法において、測定前に、前記ロータの回転を拘
束した状態で前記粘度計指度値が目的とする値となるよ
うに前記弾性体が巻き上げられ、かつ、前記ロータの仮
想円錐頂点部が前記平板に接触している状態として、前
記ロータの拘束を解除し、ばね緩和測定状態へ移行す
る。
【0072】また、上記目的を達成するために、本発明
は、ばね緩和法を用いて試料液の流動特性を示す情報を
測定する回転式粘度計において、測定すべき試料液に接
して回転駆動されると共に、その回転軸方向に沿って移
動可能に支持される円錐型のロータと、前記ロータと接
続する弾性体を備え、当該弾性体を介して前記ロータを
回転駆動させるための回転駆動手段と、前記ロータとの
間に前記試料液を挾持するための平板の表面に、当該円
錐型ロータの仮想頂点部が接触する状態で、当該ロータ
の回転を拘束及びその拘束状態を解除する拘束手段と、
前記回転駆動手段の駆動動作、及び、前記拘束手段の拘
束及び解除動作を制御する制御手段とを備え、前記制御
手段は、ばね緩和法により粘度を測定するための制御モ
ードを有し、この制御モードの場合には、前記拘束手段
により前記ロータの回転を拘束し、かつ、前記回転駆動
手段により前記弾性体を予め定めた状態となるまで巻き
上げた後に、前記拘束手段の拘束を解除し、ばね緩和法
による測定状態へ移行させる。
【0073】また、上記目的を達成するために、本発明
は、測定すべき試料液に接して回転駆動されるロータ
と、前記ロータを支持すると共に、前記ロータに回転駆
動力を伝達する第1の駆動軸であるロータ軸と、前記ロ
ータを回転駆動させるための回転駆動手段と、前記回転
駆動手段により発生された駆動力を前記ロータ軸に伝達
する第2の駆動軸と、弾性体を有し、該弾性体を介して
前記回転駆動手段の出力軸と前記第2の駆動軸とを弾性
的に連結して駆動力を伝達する第1の連結手段と、前記
ロータ軸を回転自在に軸受して支持するための、ピボッ
トおよび軸受を有する支持手段と、前記支持手段を迂回
して、前記ロータ軸と前記第2の駆動軸とを連結する第
2の連結手段と、粘度計指度値を検出する指度検出手段
と、前記指度検出手段により、測定状態で検出された粘
度計指度値から粘度を算出する粘度算出手段と、前記ロ
ータ軸の回転の拘束および拘束解除を行うための拘束機
構、および、前記支持手段のピボットと軸受との離間お
よび接触を行うためのピボット離間機構を有するピボッ
ト保護手段と、前記回転駆動手段及び前記ピボット保護
手段の動作を制御する制御手段とを有する回転式粘度計
において、前記指度検出手段は、前記ロータ軸と前記第
2の駆動軸との回転角度差を検出することで、それに対
応する粘度計指度値を検出するものであり、前記ピボッ
ト保護手段は、前記ロータ軸が回転しないように拘束す
ると共に、前記支持手段のピボットを軸受から離間させ
る第1の状態と、前記支持手段のピボットを軸受に接触
させると共に、前記ロータ軸の拘束を解除する第2の状
態と、前記ロータ軸の回転を拘束すると共に、前記支持
手段のピボットを軸受に接触させる第3の状態との3つ
の状態を実現するものであり、前記制御手段は、ばね緩
和法により粘度を測定するための制御モードを少なくと
も有し、前記ばね緩和測定のための制御モードでは、測
定前に、検出される粘度計指度値が予め定めた値となる
ように前記弾性体が巻き上げられ、かつ、前記ピボット
保護手段が第3の状態である状態とし、測定時には、前
記ピボット保護手段を第2の状態へ移行させて、ばね緩
和法による測定を実行させる。
【0074】また、上記目的を達成するために、本発明
は、ばね緩和法を用いて試料液の流動特性を示す情報を
測定する回転式粘度計において、測定すべき試料液に接
して回転駆動されると共に、その回転軸方向に沿って移
動可能に支持される円錐型のロータと、弾性体を備え、
当該弾性体を介して前記ロータを回転駆動させるための
回転駆動手段と、前記ロータとの間に前記試料液を挾持
するための平板の表面に当該ロータの仮想頂点部が接触
する状態で、前記ロータを回転可能に支持する第2の状
態と、前記ロータをその回転軸方向に移動し、前記平板
との間隔をあけた状態で、当該ロータを拘束する第1の
状態と、前記ロータの仮想頂点部が前記平板に接触する
状態で、当該ロータを拘束する第3の状態とを実現する
拘束手段と、粘度計指度値を検出する指度検出手段と、
前記回転駆動手段及び前記拘束手段の動作を制御する制
御手段とを備え、前記制御手段は、ばね緩和法により粘
度を測定するためのばね緩和測定制御モードと、当該制
御モードにおける一連の動作の前に、前記試料液に対す
る前処理を実行するための前処理制御モードとを有し、
前記ばね緩和測定制御モードの場合には、前記拘束手段
を第3の状態とし、かつ、前記回転駆動手段により前記
弾性体が予め定めた状態となるまで巻き上げた後に、前
記拘束手段を第2の状態へ移行させて、ばね緩和法によ
る測定を実行させるものであり、前記前処理制御モード
では、前記拘束手段を第2の状態にして、予め設定され
た回転数及び継続時間で前記ロータを回転させた後、前
記ロータの回転を停止して前記拘束手段を第3の状態へ
移行し、その状態で0を含む予め定めた時間だけ放置さ
せたのち、前記ばね緩和測定制御モードへ移行するもの
である。
【0075】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態の説明に先立
ち、上記「発明が解決しようとする課題」の欄で述べ
た、本発明により解決しようとする測定異常が発生する
原因について詳細に説明する。
【0076】上記したニュートン性高粘度液では、s−
D流動グラフのデータが原点を通る直線上ではなく曲線
上に分布する測定異常、および、高降伏値液でばねの巻
き上げ指度を変えると緩和曲線の残留指度が異なり、一
定の降伏値が求められない測定異常が生じる。この2つ
の測定異常は、現象は異なるが共通の原因によって引き
起こされるとの知見が本願発明者により得られた。
【0077】すなわち、上記従来技術のばね緩和測定に
おいては、ばねを巻き上げるために、ピボット保護用ロ
ータ軸自動ロック装置を働かせてロータ軸の回転を拘束
する必要があり、この時には、回転拘束と同時にロータ
軸を引き上げる動作をすることが測定異常の原因になる
ことが判った。
【0078】例えば、ロータ軸5bを引き上げることに
よって、ロータ軸5bに取り付けられている円錐ロータ
6aも、図20(a)に示すように、平板7aから引き
離される。この時には円錐ロータ6aと平板7a間の試
料液700は、図20(b)に示すにように、円錐ロー
タ6aの上昇に伴ってロータ中心部に吸い寄せられ、最
後にロータ6aと平板7aの間を繋いでブリッジ状に付
着する。
【0079】ばね緩和測定を開始するときは、この図2
0(b)のロータ軸ロック状態においてパルスモータが
回転してばねの巻き上げが行われ、指度100%、ある
いは任意の目標指度への巻き上げが完了すると、ロータ
軸自動ロック装置が動作してロータ軸5bの引き上げは
復帰し、回転拘束が解除されて測定が始まり、パーソナ
ルコンピュータ等の情報処理装置へのデータ取り込みが
開始される。
【0080】しかし、この時はロータ軸5bの引き上げ
が解除されても、解除直後の状態は、試料液700の粘
度が高いために、試料液700の流動が起こらない。こ
のため、ロータ6aは、図20(b)に示すように、試
料液700の上に乗ったままの状態で、試料液700が
円錐ロータ6aの接液面全面に接触出来ない状態にあ
る。
【0081】このような状態でロータ軸5bの回転拘束
が解け、ばねの復帰トルクが作用すると、ロータ6aに
は完全な接触状態で発生するような粘性トルクが発生し
ない。このため、ロータ6aは、当該ロータ6aを含む
トルク検出軸系の慣性能率負荷と、上記した部分的な粘
性トルク負荷を受けて、空回りに近い回転角速度で回転
を始める。
【0082】さらに、上記の状態では、ロータ6aを含
むトルク検出軸系の自重による推力が試料液700に加
わるので、ロータ6aは試料液700の流動と共に沈み
ながら下降する。この結果、ロータ6aの接液面が増加
すると共に、粘性トルクが正常に近づくという経過を辿
ることになる。
【0083】従って、この時のばね緩和測定は、測定開
始直後のずり速度が正常な場合のずり速度よりも過大に
なり、時間と共に次第に過大なずり速度異常状態が修正
されながら正常に近づく経過を辿り、緩和測定データ
は、その間の時間的経過と共に、ずり速度に異常を含ん
だ値がそのままパソコンに送り込まれる。
【0084】試みに、ロータ軸自動ロック装置機能のう
ちロータ軸回転拘束機能のみ動作可能にして、引き上げ
機能の方は動作しないように調整して(この様にすると
ピボット保護機能は失われる)、高粘度液として3種類
のポリブテン系粘度計校正用標準液、JS15H,JS
60H,JS200Hを測定対称として、ばね緩和測定
を行った試行結果を以下に述べる。
【0085】図21(a)は、これら試料液の20℃で
行ったばね緩和グラフ、図21(b)はこれら緩和グラ
フのデータから得られたずり応力s、ずり速度Dのs−
D流動グラフである。なお、図中はJS15H、は
JS60H、はJS200Hを示す。
【0086】図21(b)に示すように、いずれの試料
液もs−D流動グラフは測定データの分布が原点を通る
直線上にあり、しかもこの直線の勾配から求めた粘度値
がに対してはηp1=13Pa・s、に対してはηp1
=48.8Pa・s、に対してはηp1=152Pa・
sが求められている。これらの値は、粘度計校正液に添
付されている20℃における試験成績データ、の成績
値13.07Pa・s、の成績値47.78Pa・
s、の成績値151.2Pa・sと極めて良く一致
し、上述した推論が妥当であることを示している。
【0087】以上記したように、高粘度の試料液をばね
緩和測定する時に測定異常を発生する原因は、測定開始
時にロータ軸自動ロック装置によってロータを引き上げ
ることが原因となっていることは明らかである。一方、
高降伏値の試料液をばねの巻き上げ指度を変えながらば
ね緩和測定を行った場合に、巻き上げ指度毎に異なる残
留値を示す測定異常の発生原因も、上記の高粘度液の測
定異常の発生原因と全く同一であることを以下に説明す
る。
【0088】すなわち、この場合も巻き上げ指度の大小
に関わらずばね緩和測定開始は、ばねの巻き上げが完了
すると、直ちにロータ軸自動ロック装置によって引き上
げられていたロータ軸5bが解放されて、下降すると同
時に回転拘束を解除される。この場合、ロータ6aが試
料液700上に下降した時の状況は、前述した高粘度液
を試料液700とした場合と全く同様である。すなわ
ち、図20(b)に示すように、ロータ6aが試料液7
00の上に乗ったままの状態で、試料液700はロータ
6aの接液面の一部にしか接触出来ない状態にある。
【0089】この状態でロータ軸5bの回転拘束が解除
されて、ばねの復帰トルクが作用すると、ロータ6aに
は完全な接触状態で発生するような粘性トルク、あるい
は降伏値による制動トルクが働かないので、低い巻上げ
指度を設定した場合のように、ばねの復帰トルクが小さ
くて、本来なら降伏値による制動トルクによって静止す
べきトルクレベルであるにも拘わらず、ロータ6aが回
転してしまうことになる。従って、100%指度からば
ね緩和させたときに得られた残留値以下の低い巻き上げ
指度を設定した場合でも、なお、ロータ6aが回転する
ために、より低い残留値を示す結果となり、さらに、巻
き上げ指度を変えれば、その変えた条件に応じて、異な
る残留値を示すことになる。
【0090】以上説明したように、上記した2つの測定
異常はいずれも、ロータ軸自動ロック装置によるロータ
軸の引き上げ動作に起因して発生することが判明した。
【0091】一方、判明した上記測定異常を発生する原
因を排除するために、ロータ軸自動ロック装置を上述し
たようなばね緩和測定動作、すなわち、ロータ軸を引き
上げないで、ロータ軸のみ回転拘束するという動作に変
えた場合には、当該装置に備えられているピボット保護
の機能が失われることになる。
【0092】従って、上述したばね緩和測定動作をピボ
ット保護機能を失うことなく実行するために、本発明に
おいては、以下のような特徴的構成を備えている。
【0093】すなわち、ロータ軸自動ロック装置を、本
来のピボット保護機能とばね緩和測定機能を両立可能に
するために、本発明のロータ軸自動ロック装置の動作に
おいて、ロータ軸をリリースしてロック解放することに
よって粘度計のロータが回転可能な状態で支持するリリ
ース状態と、トルク検出軸を引き上げてピボットを宝石
軸受けから引き離してロータ軸を拘束状態にするロック
状態とに加えて、ロータ軸を拘束して回転不能にするが
トルク検出軸の引き上げまでには到らない状態、すなわ
ち、ロータ軸は回転拘束されているがピボットと宝石軸
受けとが、実際に接触している状態あるいは実質的な接
触状態にある第3の状態として、ラッチ状態を設けてい
る。
【0094】さらに、本発明においては、試料液の粘性
を測定するために、粘度計の制御手段に動作が異なる複
数種類の測定モードを備えるが、これら測定モードのう
ちばね緩和測定モードでは、ロータ軸自動ロック装置が
上記ラッチ状態で、回転駆動源を動作させることによっ
て回転駆動源に連接する駆動軸を駆動して、ロータ軸の
延長上にあるトルク検出軸に対する駆動軸の角変位を検
出する信号変換器の出力が、フルスケール指度100
%、あるいは、任意に設定した指定指度になるまで弾性
部材を巻き上げ、巻き上げ完了に引き続いてロータ軸自
動ロック装置を作動させて、ロータ軸ロックを解除する
ことにより弾性部材の復元トルクでロータを駆動して測
定するばね緩和測定状態に移行して、粘度計指度が緩和
減少する時の指度の時間的変化を一定時間毎にデータ採
取することにより、試料液の極低ずり速度における粘性
特性を測定可能にしている。
【0095】例えば、上記従来技術のロータ軸自動ロッ
ク装置に本発明を適用する場合には、ロータを回転可能
に支持する場合のリリース位置と、ロータ軸をロックす
る場合のロック位置との間に、上記ラッチ状態を実現す
るようにロータを支持するためのラッチ位置を設ける。
また、このようなラッチ位置を検出する手段としては、
例えば、上記従来技術のロータ軸自動ロック装置のロッ
ク機構の昇降スリーブに遮光板を設け、当該遮光板の昇
降移動位置をフォト・インタラプタなどの光学式位置検
出器により非接触で検出する。
【0096】さらに、本発明においては、極低ずり速度
領域における様々な粘性特性の測定を可能とするため
に、上記ラッチ位置を設けたロータ軸自動ロック装置を
利用して、以下のような前処理を行う運転シーケンスを
実行する。
【0097】すなわち、ばね緩和測定のために円錐ロー
タと平板間に指定量の試料液を注入したままの状態で
は、円錐ロータと平板間に試料液が挟まれているが、試
料液はロータの全周方向に均等に接触する状態はあり得
ない。試料液がロータ全面に、また対向する平板に均等
に接触する状態は、ロータを回転して試料液を両面に馴
染ませることによって初めて得ることができる。
【0098】すなわち、ばね緩和測定を行うときは、測
定に先立って予めロータを回転させて、試料液と平板、
およびロータを馴染ませておく必要があり、この目的で
行うロータ回転を伴う運転を馴染み運転と呼んでいる。
これに対し、測定そのものがロータを回転して行う定常
流測定では、測定時には必ずロータが連続的に回転して
いる。このため、定常流測定では、ばね緩和測定におけ
るような馴染み運転は必要としない。
【0099】このようにばね緩和測定では、測定開始前
の馴染み運転は不可欠であり、本発明においては、上記
ロータ軸のリリース状態で、粘度計を任意回転速度で回
転させることによって、この馴染み運転を可能とする。
より具体的には、ばね緩和測定の前段の動作として予め
回転速度、回転継続時間などの条件をプログラムしてお
き、ばね緩和測定開始が指示されると、自動的に前記条
件の馴染み運転を実行し、その後、上述したようなばね
緩和測定を実行する、という運転シーケンスを実現する
ものである。
【0100】さらに、本発明では、馴染み運転の動作に
類するが、チクソトロピックな特性を持つ試料液に対し
て、ずりにより破壊された構造が回復する機能を調べる
ための運転シーケンスが実行される。
【0101】この運転シーケンスでは、上述したような
馴染み運転、すなわち予め入力設定された回転数、回転
継続時間で粘度計を回転させ、次いで構造回復を行わせ
るために、予め入力設定された放置時間だけ、ロータ軸
自動ロック装置をラッチ状態のままに維持した後、ばね
緩和測定に移行する。
【0102】以上説明した馴染み運転のシーケンス、及
び、ずりによる構造破壊を回復させる運転シーケンス
を、図22のタイムチャートを用いて説明する。図22
(a)は馴染み運転の場合、図22(b)は構造回復の
場合を示す。
【0103】馴染み運転シーケンスがばね緩和測定に先
立ち行われる場合には、図22(a)に示すように、測
定を開始する前はロータ軸自動ロック装置はロック状態
にある。この状態で測定開始を指令されると、ロータ軸
自動ロック装置はリリース状態に変わり、同時に粘度計
は、予め設定されている馴染み運転回転数Nc及び継続
時間Tcで回転して停止する。ここで、Ncは、通常、
1rpm程度の低速回転であり、Tcは、前記速度でロ
ータが2回転する程度の時間である。
【0104】その後、ロータ軸自動ロック装置はラッチ
状態に変わり、ロータ軸を回転拘束する。この回転拘束
状態のままで、100%指度、または任意の指定指度に
ばねを巻き上げ、その後、リリース状態に切り替えて、
前記拘束を解除し、ばね緩和測定に移行する。
【0105】予め設定した測定時間Tmを経過すると、
測定を終了し、ロータ軸自動ロック装置は、ロック状態
に復帰してピボット保護状態に戻る。
【0106】なお、図中のtは、駆動モータが回転停止
してからロータ回転を拘束するための拘束手段が噛み合
うために、ロータが減速するに要する余裕時間(例えば
約20秒)である。
【0107】構造回復のための運転シーケンスがばね緩
和測定に先立ち行われる場合には、図22(b)に示す
ように、測定を開始する前にロータ軸自動ロック装置は
ピボットを保護するロック状態にある。
【0108】測定開始が指令されると、リリース状態に
切り替わり、駆動モータが予め設定された回転数Ndで
回転して試料液にずりを加える。回転継続時間Tdを経
過して回転停止すると、t秒遅れてラッチ状態に切り替
わり、構造回復のための放置時間Tr放置される。その
後は、前述の図22(a)の場合と同じように、ばね緩
和測定に移行する。
【0109】なお、上述した前処理のための2つの運転
シーケンスは、当該回転式粘度計の装置制御側から考慮
すると、単一の制御モードとして扱うことが出来る。す
なわち、図22(a)の運転シーケンスは、図22
(b)の運転シーケンスにおいて、放置時間Trを0と
した場合に相当する。
【0110】また、上述した運転シーケンスの他に、上
記図22(b)の運転シーケンスを、予め定めた休止時
間Tsを置いて、放置時間Trを変えつつ繰り返すよう
な制御モードを実行する構成としてもよい。このような
制御モードによれば、試料の構造の回復状態と、構造回
復のための放置時間との関係を調べることが出来、試料
の構造回復過程についての知見を得ることが出来る。
【0111】また、上記図22(a)の運転シーケンス
において、馴染み運転とは別に、より高い回転数でロー
タを積極的に回転させることで試料液の構造を破壊し、
その直後に、構造が破壊された試料液について、上述し
たばね緩和測定を実行するという制御モードを実行する
構成としてもよい。このような制御モードによれば、回
転数やその継続時間を変化させることにより、試料に対
して様々な構造破壊を起こさせて、その程度の違いに対
してばね緩和測定の結果がどのような影響を受けるかを
調べる研究も可能となる。
【0112】本発明によれば、ロータ軸自動ロック装置
において新たなラッチ状態を実現する構成を設けること
により、ばね緩和測定における異常測定を排除すると共
に、馴染み運転の実行、構造回復の測定等を実行するこ
とが可能となる。このため、従来技術に比べて遙かに安
定、且つ、多用途の極低ずり速度領域の粘性特性測定が
可能な粘度計装置を実現できる。
【0113】本発明を適用した粘度計装置の一実施形態
を図を用いて説明する。以下の説明に用いる図の中の符
号は、同一部分に対して同一符号を付してある。
【0114】先ず、本実施形態の回転式粘度計の構成を
説明する。
【0115】本実施形態の回転式粘度計は、図23に示
すように、試料液を保持する平板7aと、この平板7a
を囲み試料液を一定温度に保持するための温水を流すジ
ャケット17と、円錐型のロータ6a、および、これを
保持すると共に回転駆動するためのロータ軸5b(第1
の駆動軸)と、ロータ軸5bを介してロータ6aを駆動
すると共に、粘度の測定を行う本体部100と、本体部
100とロータ6aとの間にあり、ロータ軸ロック装置
として機能するピボット保護装置200とを備える。
【0116】ここで、実際の円錐型のロータ6aにおい
ては、その頂点部分がわずかに平面に平取りされ、その
頂点が除去されている。これは、ロータの円錐頂点が実
際に平板7aに接触していると、接触による摩擦トルク
が測定上のノイズとなるためである。本明細書の以下の
部分では、断わらないかぎり、ロータ6aの頂点とは仮
想頂点部を指すものである。また、測定条件において、
円錐ロータ6aと平板7aとを接触させるような状態と
は、円錐ロータ6aの上記仮想頂点部が平板7aの表面
と接触する状態にあることを指す。
【0117】本体部100には、回転駆動手段を構成す
る駆動モータ21、回転継ぎ手25、および出力軸22
と、下部がピボット保護装置200内でロータ軸5bと
連結されている第2の回転軸5cと、上記出力軸22と
第2の駆動軸5cとを弾性的に連結する第1の連結手段
400と、出力軸22と第2の駆動軸5cとの間にあっ
て、角変位検出手段として機能する回転型差動トランス
23が設けられている。
【0118】第1の連結手段400は、出力軸22の下
端近傍にその一端が接続されるL型部材4bと、L型部
材4bの他端と第2の駆動軸5cとの間に配置され、こ
れらを弾性的に連結する渦巻きばね(トルクスプリン
グ)4aとを有する。また、第1の連結手段400は、
一端がL型部材4bに、他端が後述するスリーブ10b
に連結されて、スリーブ10bに出力軸22の回転駆動
力を伝達するアーム部材4dとを有する。
【0119】出力軸22と第2の駆動軸5cとの間に
は、出力軸22の端面に設けられた図示しない穴に回転
自在に挿通されて、第2の駆動軸5cの捩れ止めを行う
ピン13aが第2の駆動軸5cの端面に固着して配置さ
れる。なお、出力軸22cの端面に設けられた前記穴
は、ピン13aの若干の軸方向変位を許容できる深さ、
すなわち、ロータ軸5b、及び、第2の駆動軸5cの軸
方向の変位に対応するピン13aの軸方向変位を、吸収
可能な深さを確保するように設けられている。
【0120】ピボット保護装置200は、上述したロー
タ軸ロック装置として機能するものであり、ロータ軸5
bを拘束するための回転拘束機構と、後述するピボット
11および軸受け12を離間させるためのピボット離間
機構とを有する。ピボット保護装置200は、これらの
機構により、ロータ軸5bを回転自在に支持するリリー
ス状態、後述するピボット11及び軸受け12を離間さ
せると共にロータ軸5bを拘束するロック状態、及び、
ピボット11及び軸受け12を接触させたままロータ軸
5bを拘束するラッチ状態を実現する。
【0121】より具体的には、ピボット保護装置200
には、ロータ軸5bを回転自在に軸受けして支持するた
めの支持手段を構成するピボット11及び軸受け12
と、上記ピボット11及び軸受け12を迂回して、ロー
タ軸5bと第2の駆動軸5cとを連結する第2の連結手
段として機能するチャネル型連結部材10cと、当該ピ
ボット保護装置200の状態を検出するための第1及び
第2のリミットスイッチ31、32と、リミットスイッ
チ31、32をオン/オフさせるL型金具30とが設け
られている。
【0122】ピボット保護装置200には、さらに、リ
ミットスイッチ31,32がオン/オフする位置の間に
あり、高さ方向での位置が調整可能な非接触位置検出の
ための光学式検出器として機能するフォト・インタラプ
タ50と、この光学式検出器を作動させるための遮光板
51とが設けられている。また、上述した構成は、その
一部を除きケース27内に収容されている。
【0123】本実施形態においては、ピボット保護装置
200のロック状態をリミットスイッチ31(第1の検
出手段)が検出し、リリース状態をリミットスイッチ3
2(第2の検出手段)が検出し、ラッチ状態をフォト・
インタラプタ50(第3の検出手段)が検出する。な
お、ピボット保護装置200の各状態を検出する手段と
しては、これらのリミットスイッチやフォト・インタラ
プタに限定されるものではもちろんなく、前記各状態を
識別して検出することが出来るものであれば、その他の
構成により実現しても構わない。
【0124】ピボット保護装置200において、ピボッ
ト11は、第2の駆動軸5cの下端に取り付けられてい
る。一方、軸受け12は、第2の駆動軸5cの回りに設
けられたスリーブ10bの下方に取り付けられたチャネ
ル型部材10cの下方の辺10d上に取り付けられる。
ピボット11と軸受け12とは、同軸に取り付けられ
る。スリーブ10bは、ケース27の上方のフランジ部
27aに回転可能に支持される。また、スリーブ10b
の上端には、上述したようにアーム部材4dが連結され
る。
【0125】ケース27内には、図24に示すように、
スリーブ28が軸方向に変位可能に収容されている。ス
リーブ28の内面下部にはネジ部28aが設けられ、こ
のネジ部28aには、円板41が螺着されている。円板
41の中央にはロータ軸5bが自由に貫通できる貫通孔
41aが設けられている。円盤41の上面には第1の係
合部材、例えば内面歯車42が設けられている。この内
歯歯車42に係合する第2の係合部材、例えば外歯歯車
40がロータ軸5bに設けられている。
【0126】外歯歯車40は、スリーブ28の軸方向変
位に伴って内歯歯車42が変位すると、これと噛み合
い、更に変位する円板41に接触することで、それ自身
ロータ軸5bと共に軸方向に変位するように、ロータ軸
5bに取り付けられている。
【0127】スリーブ28の上部には、図23に示すよ
うに、ネジ穴33aが設けられたブロック33が取り付
けられている。一方、フランジ部27aの、このブロッ
ク33と対向する位置にロック用マイクロモータ34が
配置されている。このマイクロモータ34には、出力軸
としてネジが刻まれたネジ軸34aが取り付けられてい
る。このネジ軸34aは上記ブロック33のネジ穴33
aに螺合されている。
【0128】ロック用マイクロモータ34は、ネジ軸3
4を正転、または逆転させて、ブロック33を上方、ま
たは下方に変位させる。スリーブ28はブロック33の
変位に伴って、軸方向に変位する。
【0129】スリーブ28の変位のストロークは、ピボ
ット11と軸受け12とを離間させるに必要な長さに設
定される。すなわち、内歯歯車42を変位させて外歯歯
車40と係合させ、更に、円板41を外歯歯車40と接
触させて、この外歯歯車40を押し上げ、ピボット11
と軸受け12を離間させることができる長さに設定され
る。
【0130】スリーブ28の上部には、上記L型金具3
0の一辺が取り付けられている。このL型金具30は他
の一辺30aがスリーブ28の外側に突出して、上記し
たリミットスイッチ31,32の間に位置するように配
置される。すなわち、一辺30aはスリーブ28の軸方
向変位に伴って変位し、その変位の上限でリミットスイ
ッチ31をオンさせ、その変位の下限でリミットスイッ
チ32をオンさせるように配置される。従って、リミッ
トスイッチ31,32は、いずれかのスイッチ部の駆動
ストロークを含めて、スリーブ28の変位ストロークに
対応した間隔で配置される。
【0131】更に、スリーブ28の上部には、光学的に
変位を検出するための遮光板51が取り付けられてい
る。この遮光板51は、図25に示すように、スリーブ
28の上昇に伴って、ケース27の上部27bに取り付
けられたフォト・インタラプタ50の図示省略した対向
する光源と受光素子間の間隙に挿入され、遮光板51の
進入が検出される。
【0132】なお、フォト・インタラプタ50の取り付
けは、ケース27の上部27bの外部からの、高さ方向
の位置調整が可能な構成を有している。この構成によ
り、遮光板51の進入を検出したときのスリーブ28の
上昇高さ、すなち、ラッチ位置の高さの調節を容易に行
うことができる。
【0133】本実施形態の粘度計は、更に、上記で説明
した機構の制御等を行う制御装置35を備える。制御装
置35は、例えば図26に示すように、粘度計本体10
0と接続されて、計測データ、制御信号の授受を行う駆
動制御部360と、駆動制御部360からの計測データ
の処理、駆動制御系の動作の制御等を行う情報処理部3
50と、情報処理部350に対する情報の入出力を行う
入出力部370とを備える。
【0134】情報処理部350は、粘度計測のための制
御、および、計測データの処理等を実行する中央処理装
置(CPU)351と、CPU351が実行するプログ
ラム、各種データ処理結果等を格納するメモリ352
と、データバス353と、計測データ、制御信号等の入
出力を制御するインタフェースボード(IB)354
と、入出力インタフェース355とを備える。
【0135】メモリ352は、主としてプログラムを格
納するROM(リードオンリーメモリ)と、データを格
納するRAM(ランダムアクセスメモリ)とを有する。
【0136】格納されるプログラムとしては、例えば、
次のようなばね緩和測定モードにおける手順を実行する
ためのプログラムがある。なお、以下では、粘度測定に
先立ち、上述した馴染み運転シーケンス(図22
(a))を実行する場合を例に挙げて説明する。
【0137】.ばね緩和法による粘度測定、および、
馴染み運転シーケンスを実行するための制御モードが選
択され、さらに、馴染み運転のための回転数Nc、回転
継続時間Tc、および、粘度測定時間などの測定条件
は、既に入力されているものとする。なお、初期状態に
おいて、粘度計は回転停止、すなわち、ピボット保護装
置200がロック状態にあり、この状態は上記第1の検
出手段(リミットスイッチ31)により検出されている
ものとする; .上述したばね緩和法による測定の準備が完了した状
態で、測定開始の指示を受け付ける; .上記第2の検出手段(リミットスイッチ32)によ
りピボット保護装置200がリリース状態にあることが
検出されるまで、ロック用モータ34を駆動することに
よって、上記回転拘束機構およびピボット離間機構を駆
動して、ピボット保護装置200をロック状態からリリ
ース状態に移行させる; .上記リリース状態への移行が完了した後、粘度計の
回転駆動手段を駆動して、予め設定された馴染み回転速
度Nc(図22(a))で粘度計を回転させる。この回
転駆動は、予め設定された馴染み運転時間Tcの間継続
した後、その駆動を停止する; .次に、第3の検出手段(フォト・インタラプタ5
0)がラッチ状態を検出するまで、ロック用モータ34
を駆動して、上記回転拘束機構を作動させ、ピボット保
護装置200をリリース状態からラッチ状態へ移行させ
る。
【0138】.上記ラッチ状態への移行が完了した
後、粘度計の回転駆動手段を駆動すると共に、トルクス
プリング4aの付勢状態を差動トランス23の出力を監
視し、100%指度、あるいは、予め設定した目標指度
に巻き上げるまで回転させ、その後、回転駆動手段を停
止する; .上記第2の検出手段によりピボット保護装置200
がリリース状態にあることが検出されるまで、ロック用
モータ34を駆動することにより、上記回転拘束機構を
解除して、ピボット保護装置200をリリース状態へ移
行させる。なお、前記移行動作の開始と同時に、粘度測
定手段を起動して、測定を実行する; .粘度測定は予め設定された測定時間継続し、この間
の測定データは一定時間毎に、例えば1秒毎にパソコン
等のデータ処理手段に出力され、記憶される; .測定時間を経過すると測定を終了し、上記第1の検
出手段によりピボット保護装置200がロック状態にな
ったことを検出するまで、ロック用モータ34を作動さ
せ、上記回転拘束機構およびピボット離間機構を駆動
し、ロック状態、すなわち、ピボット保護の状態に復帰
させる。
【0139】以上、馴染み運転を伴うばね緩和測定の動
作順序を記したが、ずりによる構造破壊された試料液の
構造回復の効果を測定する場合の動作順序も、上記手順
項目のうち、および〜を除いて同じである。すな
わち、構造回復のためのシーケンスを含むばね緩和法測
定モードを実行するためのプログラムでは、以下のよう
な手順を実行する。
【0140】.ばね緩和法による粘度測定、および、
構造回復のための運転シーケンスを実行するための制御
モードが選択され、さらに、構造回復用運転のための回
転数Nd、回転継続時間Td、構造回復のための放置時
間Tr、および、粘度測定時間などの測定条件は、既に
入力されているものとする。なお、初期状態において、
粘度計は回転停止、すなわち、ピボット保護装置200
がロック状態にあり、この状態は上記第1の検出手段
(リミットスイッチ31)により検出されているものと
する; 、は上記馴染み運転シーケンスを伴うばね緩和法に
よる粘度測定モードでの手順、と同じ; .上記リリース状態への移行が完了した後、粘度計の
回転駆動手段を駆動して、予め設定された回転速度Nd
(図22(b))で粘度計を回転させ、予め設定された
運転時間Tdの間継続した後、その駆動を停止する; .次に、第3の検出手段(フォト・インタラプタ5
0)がラッチ状態を検出するまで、ロック用モータ34
を駆動して、上記回転拘束機構を作動させ、ピボット保
護装置200をリリース状態からラッチ状態へ移行させ
る。
【0141】.上記ラッチ状態への移行が完了し、さ
らに、予め設定した放置時間Trだけ待機した後、粘度
計の回転駆動手段を駆動するとともに、トルクスプリン
グ4aの付勢状態を差動トランス23の出力を監視し、
100%指度、あるいは、予め設定した目標指度に巻き
上げるまで回転させ、その後、回転駆動手段を停止す
る; 〜は上記馴染み運転シーケンスを伴うばね緩和法に
よる粘度測定モードでの手順〜と同じである。
【0142】次に、ロータを回転させて粘度測定を行う
定常流測定の場合、特に時間の経過と共に粘度値が変化
する試料液、いわゆる時間依存性試料液の特性測定のた
めの測定モードでは、例えば、次の手順を実行するプロ
グラムがある。
【0143】.定常流粘度測定のための制御モード
で、回転数、測定継続時間、記録データ出力インターバ
ルなどの測定条件は、既に入力されているものとする。
なお、この時点(初期状態)の粘度計は回転停止の状
態、すなわち、ピボット保護装置200がロック状態に
あり、この状態は上記第1の検出手段により検出されて
いるものとする; .上記運転条件入力などの準備が完了している状態
で、測定開始の指示を受け付ける; .ピボット保護装置200がロック状態にあることを
条件として、上記第2の検出手段によりピボット保護装
置200がリリース状態に切り替わったことを検出する
まで、ロック用モータ34を駆動することによって、上
記回転拘束機構およびピボット離間機構を作動させ、ピ
ボット保護装置200をロック状態からリリース状態へ
移行させる; .上記リリース状態への移行が完了した後、粘度計の
回転駆動手段を駆動して、予め設定した回転数で粘度計
を回転させると同時に、粘度測定手段を起動して、測定
の実行を開始する; .粘度測定は予め設定入力された測定時間を継続し、
その間の測定データは記録データ出力インターバルで指
定された時間間隔により、測定開始後の時間データと共
に、パソコン等の情報処理装置、あるいは、その他のデ
ータ記録装置に出力される; .測定時間を経過すると測定を終了し、上記第1の検
出手段によりピボット保護装置200がロック状態にな
ったことを検出するまで、ロック用モータ34を駆動さ
せることにより、前記回転拘束機構およびピボット離間
機構を作動して、ピボット保護の状態に復帰させる。
【0144】駆動制御部360は、回転駆動モータ21
を回転駆動させる回転駆動モータ駆動回路361と、こ
の駆動回路361に対して情報処理部350からの制御
信号を出力する回転駆動モータインタフェース362
と、ロック用マイクロモータ34を駆動させるロックモ
ータインタフェース364と、リミットスイッチ31,
32のオン/オフ信号を情報処理部350に入力するた
めのリミットスイッチインタフェース365と、フォト
・インタラプタ50のオン/オフ信号を情報処理部35
0に入力するためのフォト・インタラプタインタフェー
ス368と、回転型差動トランス23の計測値をアナロ
グ/デジタル変換して情報処理部350に送るA/Dコ
ンバータ366と、外部の装置、例えばコンピュータシ
ステム390と接続するための入出力用インタフェース
367とを備える。なお、コンピュータシステム390
には、例えば、中央処理装置(CPU)391、プロッ
タ392、メモリ393等が含まれる。
【0145】入出力部370は、制御装置35に対し
て、例えば外部から実行/停止の指示、データの入力等
を行うためのキーボード371と、情報処理部350か
ら出力される情報を表示するデータ表示器372と、ス
テータス表示器373と、モード表示器374とを有す
る。
【0146】キーボード371には、数字を入力するテ
ンキ−371aと、実行/停止を指示する実行/停止ス
イッチ371bと、モード選択キー371c、371d
とを含む。モード選択キー371cは、ロータ一定速回
転による慣用の定常流粘度測定モードを選択し、モード
選択キー371dはばね緩和測定モードを選択する。
【0147】ばね緩和測定モードが選択された場合に
は、バネ緩和測定に必要な巻き上げ指度値Θや計測時間
Tmに加えて、馴染み運転あるいは構造回復のための運
転シーケンスを実行する場合に必要な、回転速度Nd
(Nc)、回転継続時間Td(Tc)、及び、放置時間
Tr等のパラメータの値の入力を受け付ける。
【0148】さらに、構造回復を調べるために、前処理
を伴うばね緩和測定を、複数回繰り返して行う場合に
は、その繰り返し回数K、繰り返す毎に変化させる放置
時間Trの変化量ΔTr、及び、各測定処理間に設ける
休止時間Ts等の入力を受け付ける。なお、これらのパ
ラメータK、ΔT、Tsは、通常デフォルト値である
1、0、0の値をそれぞれとるものとし、指示されない
かぎりは繰り返し測定は行われない構成とする。具体的
な処理手順については後述する。
【0149】データ表示器372には、測定された粘度
計指度、粘度値、ロータ回転数、経過時間などのデータ
が数字で表示される。表示素子としては蛍光表示器、液
晶表示器などが用いられる。
【0150】ステータス表示器373には、粘度計の運
転状態を示すための発光ダイオード表示器373a、3
73b、373c、373d、373e、373fが配
置されている。これらは表示器373aが回転停止状
態、すなわちロック状態を、表示器373bは拘束され
ている状態を、表示器373cは拘束を解除している状
態を、表示器373eは測定状態を、表示器373fは
ラッチ状態を示す等して、粘度計の状態に対応して、そ
れぞれ発光する。
【0151】モード表示器374は、ロータ一定速回転
による慣用の定常流測定モード表示部374aと、ばね
緩和測定モード表示部374bとを有する。
【0152】本実施形態において、ピボット保護装置2
00は、上述した構成を有し、ロータ軸5bを回転拘束
すると共に、ピボット11を宝石軸受け12から離間さ
せたロック状態(第1の状態)と、ピボット11を宝石
軸受け12に接触させると共に、ロータ軸5bの回転拘
束を解除するリリース状態(第2の状態)と、それらの
中間でロータ軸5bの回転を拘束するが、ピボット11
の宝石軸受け12からの離間は行われないラッチ状態
(第3の状態)との3種類の状態を有する。
【0153】制御装置35は、外部からの指示に応じ
て、ピボット保護装置200が目的の状態になるように
ロック用マイクロモータ34の駆動を制御すると共に、
その状態に合わせて回転駆動モータ21の駆動を制御す
る。
【0154】次に、本実施形態の回転式粘度計の動作に
ついて、フローチャートを参照してさらに詳細に説明す
る。
【0155】最初に、本実施形態の粘度計の測定動作の
概要について、図27を参照して説明する。
【0156】測定開始時は、制御装置35の電源の投入
が行われると(ステップ1001)、CPU351は、
リミットスイッチ31の接点がオンか否か調べる(ステ
ップ1002)。これは、リミットスイッチインタフェ
ース365からの信号により知ることができる。リミッ
トスイッチ31がオフであれば、ロック動作を実行す
る。
【0157】具体的には、ロックモータインタフェース
364を介してロックモータ駆動回路363に対して、
スリーブ28を上昇させる方向にロック用モータ34を
駆動するよう指示する(ステップ1003)。この時、
CPU351は、リミットスイッチ31がオンになるま
で、表示部373bを点灯させる。一方、リミットスイ
ッチ31がオンであれば、ロック用モータ34を駆動さ
せない。
【0158】ロック用モータ34が駆動されると、ねじ
34aが回転する。ねじ34aの回転にともなって、こ
れと螺合するブロック33が軸方向に変位し、これが固
定されているスリーブ28が上昇する。スリーブ28が
上昇すると、スリーブ28に固定されている円板41が
上昇する。上昇にともなって、円板41は、それに設け
られた内歯歯車42が、ロータ軸5bに固定される外歯
歯車40と噛み合う。これにより、ロータ軸5bがスリ
ーブ28により回転が拘束されることになる。また、ス
リーブ28がさらに若干上昇することにより、円板41
が外歯歯車40を押し上げる。これにともなって、ロー
タ軸5bおよび5cが押し上げられ、ピボット11が上
昇して、軸受12から離間する(図24参照)。
【0159】この動作により、ロータ軸5bが拘束状態
となると共に、ピボット11と軸受12とが離間状態と
なる。また、このロータ軸5bの拘束と、ピボット11
と軸受12との離間は、後述するように、測定終了時に
も行なわれる。
【0160】次に、測定モードの判定を行なう(ステッ
プ1004)。測定モード判定は、モード選択キー37
1cおよび371dのいずれが選択されているかを調べ
ることにより行なう。一定速回転による粘度測定が選択
されていれば、その測定に必要なパラメータの入力を受
け付け(ステップ1005)、その後一定回転速による
粘度測定が実行され(ステップ1006)、続いて、終
了動作#2(ステップ1007)が実行されて、測定動
作を終了する。
【0161】ばね緩和法が選択されている場合には、こ
の測定に用いられる測定パラメータ、例えば、巻き上げ
の目標指度値Θ、測定時間Tm、前処理における回転速
度Nd、回転継続時間Td、放置時間Tr、さらに、繰
り返し測定における繰り返し回数K、放置時間Trを繰
り返す毎に増加あるいは減少させるための変化量ΔT
r、各測定間の休止時間Ts等の受付を行う(ステップ
1008)。もちろん、測定パラメータの受付は、電源
投入直後に、ロータのロック動作に並行して、入力を受
け付ける構成としてもよい。
【0162】次に、粘度測定実行(RUN)の指示を受
け付ける(ステップ1009)。実行指示があると、こ
れを受けて、馴染み運転シーケンスや構造回復のための
運転シーケンスからなる前処理を伴うばね緩和粘度測定
(ステップ1010)が実行され、その測定が終了した
後には、終了動作#1(ステップ1011)が実行され
る。
【0163】次に、上記ステップ1010のばね緩和測
定を繰り返すかどうかを判定する。すなわち、繰り返し
回数Kの値を1づつ減算し(ステップ1012)、この
値が0以上かどうかを判定する(ステップ1013)。
ステップ1013での判定がNoであれば、休止時間T
sをおいて(ステップ1014)、ステップ1010〜
1013を繰り返し、Yesであれば、指定された回数
の繰り返し測定は実行されたものとされ、測定動作を終
了する。ここで、休止時間Tsの値は固定であるものと
しているが、測定が進むにしたがって変化させるような
構成としても、もちろん構わない。
【0164】次に、上記図27のステップ1010で行
われる、前処理を伴うばね緩和法による粘度測定の動作
について、図28のフローチャートを参照して説明す
る。
【0165】最初に、このばね緩和粘度測定での放置時
間Trを、前回の放置時間あるいは放置時間の初期値
に、予め設定された変化量ΔTrを加えることによって
設定する(ステップ1301)。本実施形態では、この
ようにして、繰り返して実行される測定ごとに放置時間
を変化させることで、試料の構造回復の特性についての
時間依存性を解析している。なお、本実施形態では、測
定を繰り返す毎に放置時間を変化量ΔTrだけ増加させ
ているが、初期値を大きくとり徐々に減少させるように
してもよく、あるいは、繰り返し回数Kに適当な時間定
数を乗算することで、放置時間を設定する構成としても
よい。
【0166】次に、CPU351は、ロック用駆動モー
タ駆動回路363を起動して、ロック用駆動モータ34
をリリース方向に駆動させるよう制御する(ステップ1
302)。CPU351は、リミットスイッチ32がオ
ンするまで、このリリース動作を続ける(ステップ13
03)と共に、表示部373cを点灯させる。
【0167】リリース動作では、スリーブ28を下降さ
せるようロック駆動用モータ34が駆動制御される。ロ
ック用モータ34が駆動されると、ねじ34aが回転す
る。ねじ34aの回転にともなって、これと螺合するブ
ロック33が軸方向に変位し、これが固定されているス
リーブ28を下降させる。
【0168】スリーブ28が下降すると、スリーブ28
に固定されている円板41が下降する。この下降にとも
なって、円板41によって押し上げられていた外歯歯車
40が下降して、ピボット11が下降して、軸受12に
接触する。また、内歯歯車42と外歯歯車40との噛み
合いが外れ、これにより、ロータ軸5bのスリーブ28
による拘束が解除される。
【0169】リミットスイッチ32がオンすると、リリ
ース動作を停止し、前処理を伴うばね緩和粘度測定が実
行される。この段階では、ロータ軸5bは回転可能な状
態にあり、かつ、ピボット11および軸受け12とが接
触した状態にある。
【0170】次に、前処理が実行される(ステップ13
04)。CPU351は、回転駆動用パルスモータ21
を、予め設定されている回転速度Ndで、予め設定され
ている回転継続期間Tdだけ、回転駆動させる。
【0171】次に、ロック用駆動モータ駆動回路363
を起動して、ロック用駆動モータ34をラッチ方向に駆
動させるよう制御する(ステップ1305)。CPU3
51は、フォト・インタラプタ50が遮光板51により
遮光されるまで、このラッチ動作を続ける(ステップ1
306)と共に、表示部373fを点灯させる。
【0172】ラッチ動作では、上記リリース動作とは逆
に、スリーブ28を上昇させるようロック駆動用モータ
34が駆動制御される。ロック用モータ34が駆動さ
れ、ねじ34aが回転すると、これと螺合するブロック
33が軸方向に変位し、これが固定されているスリーブ
28が上昇する。スリーブ28が上昇すると、スリーブ
28に固定されている円板41が上昇する。
【0173】この上昇にともなって、円板41に設けら
れた内歯歯車42が、ロータ軸5bに固定されている外
歯歯車40と噛み合う。なお、上述した説明からもわか
るように、スリーブ28はその軸方向の回りに回転しな
い構成を備えている。このため、ロータ軸5bがスリー
ブ28により回転が拘束されることになる。
【0174】この段階では、ロータ軸5bは回転が拘束
された状態にあり、かつ、ピボット11および軸受12
とが接触した状態にある。
【0175】ラッチ状態への移行が完了した後、その状
態を、構造回復のために予め設定された放置時間Trだ
け維持し(ステップ1307)、この放置時間Trが経
過した後、ステップ1308へ進み、ばね緩和法による
粘度測定を実行する。
【0176】ばね緩和測定法では、最初、ラッチ状態を
維持したままで、CPU351は、回転駆動用パルスモ
ータ21を制御し、トルクスプリング(バネ)4aのね
じれ量に対応する粘度計指度値(以下、指度値という)
が目標指度値Θとなるまで、トルクスプリング4aを巻
き上げる(ステップ1308)。
【0177】具体的には、バネ4aのねじれ量に対応す
る角度が、回転差動トランス23により検出され、A/
Dコンバータ366によりディジタル値に変換されて、
指度値としてCPU351に送られる。CPU351
は、この指度値θを、目標指度値Θと比較し、その結果
に応じて、回転駆動用パルスモータ駆動回路361を起
動して、回転駆動用パルスモータ21の回転動作を制御
する。
【0178】ここで、目標指度値Θとしては、指度10
0%を用いても良く、または、キーボード371のテン
キー371aを用いて、その他の値を入力することがで
きる。入力値は、モード選択および測定パラメータの情
報と共に、例えば、RAMに格納される。CPU351
は、このRAM内の情報を参照して、各種判定等を実行
する。
【0179】次に、上記ステップ1302と同様にリリ
ース動作を実行し(ステップ1309)、ラッチ状態か
らリリース状態へ移行させることにより、ロータ軸5b
の拘束を解除する。ロータ軸5bの拘束が解除される
と、ロータ6aは、それまで巻き上げられてきたバネ4
aの緩和トルクにより回転駆動され、試料液の粘性トル
クに抗して回転をしばらくの間だけ続ける。
【0180】本実施形態においては、このようなバネ4
aの緩和トルクによる回転状態における指度値変化が、
回転差動トランス23により検出される。CPU351
は、回転差動トランス23からA/Dコンバータ366
を介してばね緩和データとして、指度値データを予め定
められた周期でサンプリングする(ステップ131
0)。
【0181】また、この間に、CPU351は、測定開
始時点からの経過時間tと、予め定めたサンプリング期
間Tmとを比較する(ステップ1311)。t<Tmで
あれば、測定動作を継続させると共に、その間、表示部
373eを点灯させる。t≧Tmとなると、測定終了信
号を出力して、測定を終了させる(ステップ131
2)。
【0182】なお、サンプリング周期およびサンプリン
グ期間は、キーボード371を用いて予め登録しておく
ことができる。サンプリング周期は、例えば、1秒から
数秒程度に選ばれる。また、サンプリング期間は、例え
ば、5分から10分程度に選ばれる。この登録は、例え
ば、メモリ352のRAMで行なうことができる。経過
時間tは、例えば、経過時間を掲示するタイマを設ける
ことにより求めることができる。また、サンプリング期
間Tmは、例えば、タイマを設けて、これに予め設定し
てもよい。この場合、tとの比較は必要とせず、タイマ
からの終了信号が出力された時点で、測定を終了させ
る。
【0183】ばね緩和データは、例えば、メモリ352
のRAMに格納され、これに基づいて、粘度を求める演
算がCPU351により行なわれる。結果は、RAMに
格納されると共に、データ表示器372に表示される。
【0184】なお、計測データをコンピュータシステム
390に送って、一旦メモリ393に格納させ、このデ
ータに基づいて、CPU391により粘度を求める演算
を行なう構成としてもよい。この場合、コンピュータシ
ステムのプリンタ392で印字出力することができる。
また、図示していないディスプレイ上で、数値、図表等
の形で表示することができる。
【0185】次に、上記図27のステップ1011で行
われる測定終了動作#1について、図29のフローチャ
ートを参照して説明する。
【0186】本処理では、最初、停止指示を受信する
(ステップ1601)。この停止指示は、ばね緩和法の
測定の場合には、上記測定終了信号が用いられる。停止
指示を受けると、CPU351は、ロック駆動用モータ
駆動回路363に対して、ロック駆動用モータ34をロ
ータ軸5bを拘束する方向、すなわち、スリーブ28を
上昇させる方向に駆動させる(ステップ1602)。こ
れは、リミットスイッチ31の接点がオンになるまで継
続させる(ステップ1603)。この間、表示部373
bを点灯させる。そして、リミットスイッチ31がオン
になると、ロック駆動用モータ34の駆動を停止させる
と共に、表示部373aを点灯させる。
【0187】次に、上記図27のステップ1006で実
行される、一定回転速度による粘度測定動作について、
図30のフローチャートを参照して説明する。
【0188】まず、測定実行指示の入力を受け付ける
(ステップ1701)。実行指示があると、これを受け
て、CPU351は、スリーブ28を下降させる方向に
ロック用モータ34を駆動するよう指示する(ステップ
1702)。そして、リミットスイッチ32がオンする
までこのリリース動作を続ける。この間、CPU351
は、表示部373cを点灯させる。リミットスイッチ3
2がオンすると、リリース動作を停止し、表示部373
dを点灯させる(ステップ1703)。そして、回転駆
動モータインタフェース362を介して、回転駆動モー
タ駆動回路361に、回転駆動モータ21の回転を指示
する(ステップ1704)。この回転速度についても、
上述したように、速度を指定できると共に、変化させる
ことができる。
【0189】この状態で、粘度の測定が行われる。測定
は、回転差動トランス23により、出力軸22と第2の
駆動軸5cとの角度変位を検出することにより行われ
る。回転差動トランス23の検出値は、A/Dコンバー
タ366でディジタル値に変換され、インタフェースボ
ード354を介して情報処理部350に送られる。
【0190】測定データは、例えば、メモリ352のR
AMに格納されると共に、CPU351で演算処理され
る。処理結果は、別に求めた、ロータの回転速度と共
に、データ表示器372に表示される。
【0191】なお、この場合も、計測データをコンピュ
ータシステム390に送って、一旦メモリ393に格納
させ、このデータに基づいて、CPU391により粘度
を求める演算を行なう構成としてもよい。この場合、コ
ンピュータシステムのプリンタ392で印字出力するこ
とができる。また、図示していないディスプレイ上で、
数値、図表等の形で表示することができる。
【0192】次に、図31に示すフローチャートに従っ
て、上記図27のステップ1007で行われる、終了動
作#2について説明する。
【0193】まず、回転駆動パルスモータ21が回転中
であり、表示部373dが点灯されている状態で、停止
指示を受信する(ステップ1801)。この停止指示
は、実行/停止スイッチ371bによる停止操作の入力
により行なわれる。停止が指令されると、CPU351
は、回転駆動モータインタフェース362を介して、回
転駆動モータ駆動回路361に、回転駆動モータ21の
停止を指示する(ステップ1802)。
【0194】ついで、CPU351は、ロックモータイ
ンタフェース364を介してロックモータ駆動回路36
3に対して、スリーブ28を上昇させる方向にロック用
モータ34を駆動するよう指示する(ステップ180
3)。そして、リミットスイッチ31がオンするまで、
このロック動作を続ける。この間、CPU351は、表
示部373bを点灯させる。リミットスイッチ31がオ
ンすると、ロック動作を停止し、表示部373aを点灯
させる(ステップ1804)。
【0195】これにより、一定速回転による粘度測定の
一連の動作が終了する。
【0196】なお、本実施形態においては、ばね緩和法
粘度測定及び一定回転速粘度測定が実行された後の状態
では、ロータ軸5bは、その回転が拘束される。また、
ピボット11と軸受12とは離間状態にある。従って、
ロータ6aの洗浄、交換等の作業が行われても、ピボッ
トの損傷を防止することができる。しかも、測定終了の
指示のみで、ピボットの保護まで、一連に自動的に実行
されるので、使用者がロックを忘れて、ロータの洗浄等
を行うことがない。また、本実施形態では、粘度計の状
態が表示されるので、使用者に粘度計の動作状態を容易
に把握させることができ、誤った操作が行われることを
防ぐことができる。
【0197】さらに、本実施形態では、ロック用モータ
が駆動している間は、回転駆動モータの駆動が行われな
いので、ロック動作またはリリース動作と粘度測定動作
とが同時に行われることが防止される。
【0198】また、本実施形態の構成によれば、上記し
たばね緩和測定法による試料液の超低速流動域粘度特性
解析のための粘度測定も、試料液の粘度計への充填操作
を除いて、シーケンシャルに自動的に実行できる。
【0199】また、上記実施形態では、スリーブの変位
を、ロック用モータにより行なっているが、これに限ら
ず、例えば、リニアモータ、ソレノイド等をアクチュエ
ータとして用いて行なうことができる。また、リミット
スイッチは、マイクロスイッチに限らず、光スイッチ、
磁気スイッチ、感圧スイッチ等を用いることができる。
また、フォト・インタラプタの代わりに、スリーブの相
対的位置を検出するため手段として、マイクロスイッ
チ、磁気スイッチ等を用いても良い。
【0200】本発明は、上記実施形態に限らず、同様な
機能を果たす他の態様によってもよい。また、本発明
は、上記開示された技術思想の範囲内において、種々の
変更、付加が可能である。
【0201】以上説明したように、本実施形態では、従
来のロータ軸自動ロック装置(ピボット保護装置)に新
たにラッチ状態を設け、ばね緩和測定のためのばねの巻
き上げ動作を、当該ラッチ状態において行うよう機能を
改めた。
【0202】更に、本実施形態では、従来機能のばね緩
和測定粘度計と異なり、ばね緩和測定に先立ち、ロータ
と試料液の密着を良くするための馴染み運転を、また
は、試料液のずり破壊後の構造回復の特性測定を測定す
るための前処理運転を、自動的に行えるようにした。
【0203】これらの動作機能により、静止平板から離
した状態でロータをロックし、ばね巻き上げを行う従来
のばね緩和測定機能を持つ粘度計では、高粘度試料液あ
るいは高降伏値を持つ試料液のばね緩和測定が正しく行
えなかったという不具合を改善し、理想的な状態で正確
なばね緩和測定が行えるばかりでなく、構造回復と言う
観点からの物性測定を容易に行えるようになった。
【0204】勿論、従来技術の回転式粘度計同様に、慣
用されている定常流粘度測定に対してもピボット保護機
能を損なうことなく、安心して使用できる優れた粘度計
を提供することが出来た。
【0205】
【発明の効果】本発明によれば、従来技術のばね緩和測
定法において測定異常として問題を生じるような高粘
度、あるいは高降伏値を持つ液体であっても、低粘度、
低降伏値の液体と同様に、異常なくばね緩和測定を遂行
出来る回転式粘度計を提供することができる。
【0206】更に、本発明によれば、粘度計のロータ及
び平板と試料液との接触状態を改善して、理想的な状態
でばね緩和測定を可能にする回転式粘度計装置を実現す
ることができる。
【0207】更に、本発明によれば、粘度測定に先立ち
馴染み運転を行ったり、ずり履歴の影響および構造回復
の特性を計測するための処理を実行することが出来る回
転式粘度計装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術の回転式粘度計により検出されたロー
タ回転数と指度との関係を示したグラフ。
【図2】図1のデータより求められたずり速度Dとずり
応力Sとの関係を示す流動グラフ。
【図3】図2のずり速度D=0近傍のスケールを拡大し
て描いた、ずり速度Dとずり応力Sとの関係を示す流動
グラフ。
【図4】図1のデータを用いて描いたCasson流動
曲線を示すグラフ。
【図5】図1のデータを用いて描いたCasson流動
曲線を示すグラフ。
【図6】従来のばね緩和測定法の測定原理を説明するた
めの説明図。
【図7】図6で示された従来のばね緩和測定方法により
求められた緩和曲線を示すグラフ。
【図8】図6で示された従来のばね緩和測定方法により
求められた緩和曲線を示すグラフ。
【図9】従来のばね緩和測定方法により求められた練り
歯みがきに対する緩和曲線を示すグラフ。
【図10】図9のデータを用いて得られた、ずり速度と
ずり応力との対数関係を示したグラフ。
【図11】図9のデータを用いて得られたCasson
流動曲線を示したグラフ。
【図12】図9のデータを用いて得られた、見かけ粘度
とずり速度との対数関係を示したグラフ。
【図13】従来技術によるばね緩和法測定を行う回転式
粘度計の構成を示す断面図。
【図14】図14(a):図13の回転式粘度計におい
て、ピボットと軸受とが離間し、ロータ軸がロックされ
た状態を示す説明図。 図14(b):図13の回転式粘度計において、ピボッ
トと軸受とが接触し、ロータ軸がリリースされた状態を
示す説明図。
【図15】ばね緩和法測定による標準液JS2000の
s−Dグラフ。
【図16】ばね緩和法測定による標準液JS60Hのば
ね緩和グラフ。
【図17】ばね緩和法測定による標準液JS60Hのs
−Dグラフ。
【図18】濃厚状態にある水性塗料を用いて、従来のば
ね緩和法において異なる巻き上げ指度を用いた場合に得
られた3つの緩和曲線を示したグラフ。
【図19】図19(a):ロータ及び平板と試料液との
関係を示す説明図。 図19(b):ロータ及び平板と試料液との関係を示す
説明図。 図19(c):ロータ及び平板と試料液との関係を示す
説明図。
【図20】図20(a):ロータを引き上げた場合で
の、ロータと平板との関係を示す説明図。 図20(b):ロータを引き上げた場合での、ロータ及
び平板と試料液との関係を示す説明図。
【図21】図21(a):本発明のばね緩和法測定によ
る標準液JS15H、JS60H、JS200Hのバネ
緩和グラフ。 図21(b):図21(a)に基づいた各標準液につい
てのs−Dグラフ。
【図22】図22(a):馴染み運転シーケンスの一例
を示すタイミングチャート。 図22(b):構造回復のための運転シーケンスの一例
を示すタイミングチャート。
【図23】本発明の回転式粘度計の一実施形態の構成を
示す縦断面図。
【図24】図23の実施形態の構成の一部の拡大断面
図。
【図25】ラッチ状態を検出する機構の一例を示す説明
図。
【図26】図23の実施形態の制御装置のシステム構成
例を示すブロック図。
【図27】図23の実施形態の粘度測定の動作の概要を
示すフローチャート。
【図28】図23の実施形態における、前処理を伴うば
ね緩和法による粘度測定動作を示すフローチャート。
【図29】図23の実施形態の終了動作#1を示すフロ
ーチャート。
【図30】図23の実施形態の一定回転速による粘度測
定動作を示すフローチャート。
【図31】図23の実施形態の終了動作#2を示すフロ
ーチャート。
【符号の説明】
4a…トルクスプリング(渦巻ばね)、4b…L字型部
材、4d…アーム部材、5b…ロータ軸、5c…第2の
駆動軸、6a…円錐ロータ、7a…平板、10a…チャ
ンネル型連結部材、10b…スリーブ、11…ピボッ
ト、12…軸受け、13a…振れ止めピン、21…駆動
パルスモータ、22…出力軸、23…回転差動トラン
ス、25…回転継手、27…ケース、28…スリーブ、
31、32…リミットスイッチ、33…ブロック、33
a…ねじ孔、34…ロック用モータ、34a…ねじ軸、
35…制御装置、40…外歯歯車、41…円板、41a
…貫通孔、42…内歯歯車、50…フォト・インタラプ
タ、51…遮光板、100…本体部、200…ピボット
保護装置(ロータ軸自動ロック装置)、350…情報処
理部、360…駆動制御部、370…入出力部、400
…第1の連結手段。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 11/00 - 11/16

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転軸方向に沿って移動可能な円錐型のロ
    ータを備え、当該ロータに対して静止している平板との
    間に測定すべき試料液を挾持した状態で、当該ロータを
    それと接続されている弾性体の緩和トルクにより回転駆
    動し、当該ロータの回転に伴う粘度計指度値を測定する
    ことにより、前記試料液の流動特性を測定するばね緩和
    粘度測定方法であって、 測定前に、前記ロータの回転を拘束した状態で前記粘度
    計指度値が目的とする値となるように前記弾性体が巻き
    上げられ、かつ、前記ロータの仮想円錐頂点部が前記平
    板に接触している状態として、前記ロータの拘束を解除
    し、ばね緩和測定状態へ移行することを特徴とするばね
    緩和粘度測定方法。
  2. 【請求項2】ばね緩和法を用いて試料液の流動特性を示
    す情報を測定する回転式粘度計において、 測定すべき試料液に接して回転駆動されると共に、その
    回転軸方向に沿って移動可能に支持される円錐型のロー
    タと、 前記ロータと接続する弾性体を備え、当該弾性体を介し
    て前記ロータを回転駆動させるための回転駆動手段と、 前記ロータとの間に前記試料液を挾持するための平板の
    表面に、当該円錐型ロータの仮想頂点部が接触する状態
    で、当該ロータの回転を拘束及びその拘束状態を解除す
    る拘束手段と、 前記回転駆動手段の駆動動作、及び、前記拘束手段の拘
    束及び解除動作を制御する制御手段とを備え、 前記制御手段は、ばね緩和法により粘度を測定するため
    の制御モードを有し、 この制御モードの場合には、前記拘束手段により前記ロ
    ータの回転を拘束し、かつ、前記回転駆動手段により前
    記弾性体を予め定めた状態となるまで巻き上げた後に、
    前記拘束手段の拘束を解除し、ばね緩和法による測定状
    態へ移行させることを特徴とする回転式粘度計。
  3. 【請求項3】ばね緩和法を用いて試料液の流動特性を示
    す情報を測定する回転式粘度計であって、 測定すべき試料液に接して回転駆動されるロータと、前
    記ロータを支持すると共に、前記ロータに回転駆動力を
    伝達する第1の駆動軸であるロータ軸と、前記ロータを
    回転駆動させるための回転駆動手段と、前記回転駆動手
    段により発生された駆動力を前記ロータ軸に伝達する第
    2の駆動軸と、弾性体を有し、該弾性体を介して前記回
    転駆動手段の出力軸と前記第2の駆動軸とを弾性的に連
    結して駆動力を伝達する第1の連結手段と、前記ロータ
    軸を回転自在に軸受して支持するための、ピボットおよ
    び軸受を有する支持手段と、前記支持手段を迂回して、
    前記ロータ軸と前記第2の駆動軸とを連結する第2の連
    結手段と、粘度計指度値を検出する指度検出手段と、前
    記指度検出手段により、測定状態で検出された粘度計指
    度値から粘度を算出する粘度算出手段と、前記ロータ軸
    の回転の拘束および拘束解除を行うための拘束機構、お
    よび、前記支持手段のピボットと軸受との離間および接
    触を行うためのピボット離間機構を有するピボット保護
    手段と、前記回転駆動手段及び前記ピボット保護手段の
    動作を制御する制御手段とを有する回転式粘度計におい
    て、 前記指度検出手段は、前記ロータ軸と前記第2の駆動軸
    との回転角度差を検出することで、それに対応する粘度
    計指度値を検出するものであり、 前記ピボット保護手段は、前記ロータ軸が回転しないよ
    うに拘束すると共に、前記支持手段のピボットを軸受か
    ら離間させる第1の状態と、前記支持手段のピボットを
    軸受に接触させると共に、前記ロータ軸の拘束を解除す
    る第2の状態と、前記ロータ軸の回転を拘束すると共
    に、前記支持手段のピボットを軸受に接触させる第3の
    状態との3つの状態を実現するものであり、 前記制御手段は、ばね緩和法により粘度を測定するため
    の制御モードを少なくとも有し、 前記ばね緩和測定のための制御モードでは、測定前に、
    検出される粘度計指度値が予め定めた値となるように前
    記弾性体が巻き上げられ、かつ、前記ピボット保護手段
    が第3の状態である状態とし、測定時には、前記ピボッ
    ト保護手段を第2の状態へ移行させて、ばね緩和法によ
    る測定を実行させることを特徴とする回転式粘度計。
  4. 【請求項4】請求項3において、 前記ばね緩和測定のための制御モードでは、測定前に、
    前記ピボット保護手段が第3の状態であることを前提と
    して、前記回転駆動手段を制御し、検出される粘度計指
    度値が前記予め定めた値となるまで回転駆動することを
    特徴とする回転式粘度計。
  5. 【請求項5】請求項4において、 前記制御手段は、前記ばね緩和法により粘度を測定する
    ための制御モードの場合に、その制御モードにおける一
    連の動作の前に、前記試料液に対する前処理を実行する
    ための制御モードをさらに有し、 前記前処理のための制御モードでは、前記ピボット保護
    手段を第2の状態にして、予め設定された回転数及び継
    続時間で前記ロータを回転させた後、前記ロータの回転
    を停止して前記ピボット保護手段を第3の状態へ移行
    し、その状態で0を含む予め定めた放置時間だけ放置さ
    せることを特徴とする回転式粘度計。
  6. 【請求項6】請求項5において、 前記制御手段は、前記前処理を伴うばね緩和法による測
    定を複数回繰り返して、構造回復に関する測定のための
    制御モードをさらに有し、 前記制御モードでは、前記前処理のための制御モード及
    び前記ばね緩和測定のための制御モードで行われる処理
    を、予め定めた回数だけ繰り返して実行するように制御
    することを特徴とする回転式粘度計。
  7. 【請求項7】請求項6において、 前記制御手段は、前記ロータを変速可能な一定速度で回
    転させて粘度を測定する定常流粘度測定のための制御モ
    ードをさらに有し、 前記定常流粘度測定のための制御モードでは、前記ピボ
    ット保護手段に対して、測定状態には前記第2の状態と
    なり、測定終了後には前記第1の状態となるように制御
    すると共に、測定状態では、前記回転駆動手段に対し
    て、前記第2の駆動軸を回転駆動させるように制御を行
    うことを特徴とする回転式粘度計。
  8. 【請求項8】請求項7において、 前記制御モードの選択に関する操作を外部から受け付
    け、該操作に対応する制御モード選択信号を出力する操
    作受付手段をさらに有し、 前記制御手段は、入力される制御モード選択信号に応じ
    て、前記ばね緩和法により粘度を測定するための制御モ
    ード、前記構造回復の測定のための制御モード、およ
    び、前記定常流粘度測定のための制御モードのうちいず
    れか一つを実行することを特徴とする回転式粘度計。
  9. 【請求項9】請求項3において、 前記ロータ軸には、第1の部材が固定されており、 前記ピボット保護手段は、 前記ロータ軸の軸方向に沿って昇降可能であるが、当該
    軸方向の回りには回転不可能であるように、前記ロータ
    に対して静止している部材に装着された移動部材と、 前記移動部材を昇降させるアクチュエータとを備え、 前記移動部材には、前記第1の部材と係合するための第
    2の部材と、前記第1の部材と接触して当該移動部材に
    連動させるための第3の部材とが固定されており、 当該移動部材がその昇降範囲の最下端に位置する場合に
    は、当該ピボット保護手段が第2の状態となり、 当該移動部材が前記最下端より上方にある、前記軸方向
    での予め定めた位置に達した場合には、前記第2の部材
    が前記第1の部材と係合してそれを係止し、前記ロータ
    軸の回転を拘束して、当該ピボット保護手段が第3の状
    態となり、 当該移動部材が前記予め定めた位置よりもさらに上昇し
    た場合には、前記第3の部材が前記第1の部材と共に前
    記ロータ軸を押し上げ、前記ピボットと軸受を離間させ
    て、当該ピボット保護手段が第1の状態となることを特
    徴とする回転式粘度計。
  10. 【請求項10】請求項9において、 前記ピボット保護手段が第3の状態となる、前記軸方向
    の前記予め定めた位置に対応する位置に、前記移動部材
    が達したことを非接触で検出する検出手段をさらに有す
    ることを特徴とする回転式粘度計。
  11. 【請求項11】ばね緩和法を用いて試料液の流動特性を
    示す情報を測定する回転式粘度計において、 測定すべき試料液に接して回転駆動されると共に、その
    回転軸方向に沿って移動可能に支持される円錐型のロー
    タと、 弾性体を備え、当該弾性体を介して前記ロータを回転駆
    動させるための回転駆動手段と、 前記ロータとの間に前記試料液を挾持するための平板の
    表面に当該ロータの仮想頂点部が接触する状態で、前記
    ロータを回転可能に支持する第2の状態と、前記ロータ
    をその回転軸方向に移動し、前記平板との間隔をあけた
    状態で、当該ロータを拘束する第1の状態と、前記ロー
    タの仮想頂点部が前記平板に接触する状態で、当該ロー
    タを拘束する第3の状態とを実現する拘束手段と、 粘度計指度値を検出する指度検出手段と、 前記回転駆動手段及び前記拘束手段の動作を制御する制
    御手段とを備え、 前記制御手段は、ばね緩和法により粘度を測定するため
    のばね緩和測定制御モードと、当該制御モードにおける
    一連の動作の前に、前記試料液に対する前処理を実行す
    るための前処理制御モードとを有し、 前記ばね緩和測定制御モードの場合には、前記拘束手段
    を第3の状態とし、かつ、前記回転駆動手段により前記
    弾性体が予め定めた状態となるまで巻き上げた後に、前
    記拘束手段を第2の状態へ移行させて、ばね緩和法によ
    る測定を実行させるものであり、 前記前処理制御モードでは、前記拘束手段を第2の状態
    にして、予め設定された回転数及び継続時間で前記ロー
    タを回転させた後、前記ロータの回転を停止して前記拘
    束手段を第3の状態へ移行し、その状態で0を含む予め
    定めた時間だけ放置させたのち、前記ばね緩和測定制御
    モードへ移行するものであることを特徴とする回転式粘
    度計。
JP8045106A 1996-03-01 1996-03-01 ばね緩和測定方法及びその方法を用いて試料液の流動特性を測定する回転式粘度計 Expired - Fee Related JP2971025B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8045106A JP2971025B2 (ja) 1996-03-01 1996-03-01 ばね緩和測定方法及びその方法を用いて試料液の流動特性を測定する回転式粘度計
US08/808,103 US5777212A (en) 1996-03-01 1997-02-28 Spring relaxation method and rotary viscometer for measuring rheological flow properties of a liquid sample by the method

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8045106A JP2971025B2 (ja) 1996-03-01 1996-03-01 ばね緩和測定方法及びその方法を用いて試料液の流動特性を測定する回転式粘度計

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09236531A JPH09236531A (ja) 1997-09-09
JP2971025B2 true JP2971025B2 (ja) 1999-11-02

Family

ID=12710031

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8045106A Expired - Fee Related JP2971025B2 (ja) 1996-03-01 1996-03-01 ばね緩和測定方法及びその方法を用いて試料液の流動特性を測定する回転式粘度計

Country Status (2)

Country Link
US (1) US5777212A (ja)
JP (1) JP2971025B2 (ja)

Families Citing this family (33)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2346702B (en) * 1999-02-15 2001-05-16 Sofitech Nv Dynamic sag monitor for drilling fluids
FR2831270B1 (fr) 2001-10-19 2005-01-21 Inst Francais Du Petrole Mesures en continu des caracteristiques rheologiques de fluides de puits
US6588254B1 (en) 2002-03-29 2003-07-08 Waters Investment Limited Rotary rheometer
WO2004070359A1 (en) * 2003-02-04 2004-08-19 Brookfield Engineering Laboratories, Inc. Yield test method and apparatus
US6951127B1 (en) * 2003-03-31 2005-10-04 Hongfeng Bi Digital viscometer with non contact distance sensor
US6798099B1 (en) 2003-07-14 2004-09-28 Waters Investment Limited Devices, systems and methods for sensing temperature of a drag cup in a rheometer motor
US7168299B2 (en) * 2004-03-10 2007-01-30 Waters Investments Limited Heat spreader for rotary rheometer
US7017393B2 (en) * 2004-03-11 2006-03-28 Waters Investment Limited Rotary rheometer magnetic bearing
US7526941B2 (en) * 2006-06-22 2009-05-05 Waters Investments Limited Rheometer torque calibration fixture
DE102006034346B4 (de) * 2006-07-25 2008-11-27 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Verfahren und Vorrichtung zum periodischen Messen der Fließgrenze von Dispersionen sowie deren Verwendung
EP2063273A1 (en) * 2007-11-21 2009-05-27 Pentapharm GmbH Method for assessing the fibrinogen contribution in coagulation
US8448499B2 (en) 2008-12-23 2013-05-28 C A Casyso Ag Cartridge device for a measuring system for measuring viscoelastic characteristics of a sample liquid, a corresponding measuring system, and a corresponding method
US8383045B2 (en) * 2009-01-16 2013-02-26 C A Casyso Ag Measuring unit for measuring characteristics of a sample liquid, in particular viscoelastic characteristics of a blood sample
EP2371284A1 (en) 2010-03-24 2011-10-05 C A Casyso AG Method and apparatus for determining at least one evaluation parameter of a blood sample
US20120234107A1 (en) * 2010-08-26 2012-09-20 Halliburton Energy Services, Inc. Non-contact torque measurement apparatus and methd
DE102010050973B4 (de) 2010-11-10 2019-01-24 Thermo Electron (Karlsruhe) Gmbh Rheometer oder Viskosimeter
US9423333B2 (en) * 2011-04-01 2016-08-23 Worcester Polytechnic Institute Methods and systems for viscoelastic characterization of irregularly shaped anisotropic biological samples
EP3055668A4 (en) * 2013-08-28 2017-08-09 Victoria Link Limited Rheological measurement device with torque sensor
BR102014015604A2 (pt) * 2014-06-24 2015-03-31 Gisele Castro Fontanella Pileggi Máquina universal de ensaios reológicos e mecânicos
US9897618B2 (en) 2014-09-29 2018-02-20 C A Casyso Gmbh Blood testing system
US10175225B2 (en) 2014-09-29 2019-01-08 C A Casyso Ag Blood testing system and method
US10539579B2 (en) 2014-09-29 2020-01-21 C A Casyso Gmbh Blood testing system and method
US10288630B2 (en) 2014-09-29 2019-05-14 C A Casyso Gmbh Blood testing system and method
US10816559B2 (en) 2014-09-29 2020-10-27 Ca Casyso Ag Blood testing system and method
CN104458501A (zh) * 2014-11-27 2015-03-25 河南理工大学 卡森流体流变参数测定方法
USD777343S1 (en) 2015-05-28 2017-01-24 C A Casyso Ag Body fluid cartridge device
US10295554B2 (en) 2015-06-29 2019-05-21 C A Casyso Gmbh Blood testing system and method
WO2018043420A1 (ja) * 2016-08-29 2018-03-08 藤森工業株式会社 血液凝固検査装置及び血液凝固検査方法
US10473674B2 (en) 2016-08-31 2019-11-12 C A Casyso Gmbh Controlled blood delivery to mixing chamber of a blood testing cartridge
US10843185B2 (en) 2017-07-12 2020-11-24 Ca Casyso Gmbh Autoplatelet cartridge device
AT521097B1 (de) * 2018-03-26 2022-05-15 Anton Paar Gmbh Rotationsviskosimeter zur Messung der Viskosität von Stoffen
AT521194A1 (de) * 2018-04-30 2019-11-15 Anton Paar Gmbh Verfahren zur Ermittlung der Viskosität von Stoffen mit einem Rotationsviskosimeter
JP7346070B2 (ja) 2018-04-30 2023-09-19 アントン パール ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 回転式粘度計を用いて物質の粘度を特定する方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1992006365A1 (en) * 1990-10-03 1992-04-16 Toki Sangyo Co., Ltd. Rotary viscometer
US5201214A (en) * 1991-09-12 1993-04-13 Toki Sangyo Co., Ltd. Rotary viscosimeter having pivot protection apparatus

Also Published As

Publication number Publication date
US5777212A (en) 1998-07-07
JPH09236531A (ja) 1997-09-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2971025B2 (ja) ばね緩和測定方法及びその方法を用いて試料液の流動特性を測定する回転式粘度計
Magnin et al. Shear rheometry of fluids with a yield stress
Magnin et al. Cone-and-plate rheometry of yield stress fluids. Study of an aqueous gel
Heymann et al. On the solid-liquid transition of concentrated suspensions in transient shear flow
US3803903A (en) Apparatus and method for measuring the rheological properties of a fluid
WO1992006365A1 (en) Rotary viscometer
US7201040B2 (en) Rheometer with axial resistive force measurement
CN113324903B (zh) 一种扭转式土壤切向粘附应力测试装置及方法
US7207210B2 (en) Multi-decade viscometric or rheologic measurements of a material undergoing state change
Green High-speed rotational viscometer of wide range. Confirmation of Thereiner equation of flow
US5315864A (en) Start/stop method to determine static gel strength
CN104697461B (zh) 螺纹轮廓扫描装置
US10976230B2 (en) Rotation viscosimeter and method for determining the viscosity of materials using a rotation viscosimeter
JPS6240653B2 (ja)
JPH0815121A (ja) ばね緩和粘度測定方法、および、その装置
WO1994020832A1 (de) Verfahren und vorrichtung zur bestimmung der rheologischen eigenschaften von flüssigkeiten
US6711940B2 (en) Method and apparatus for measuring the elasticity of fluids
JP6623921B2 (ja) 粘度測定装置および粘度測定方法
EP0216994B1 (de) Verfahren zur Bestimmung der Gelierzeit von Reaktionsharzen
CN112945800A (zh) 一种基于转速差的旋转式粘度仪及粘度测量方法
Burns et al. Shear strength correlations for Kaolin/Water slurries: A comparison of recent measurements with historical data
Semancik Yield stress measurements using controlled stress rheometry
JP2980968B2 (ja) 粘弾性体の応力測定装置
CN217803991U (zh) 纸盒残量检测机构及打印机
CN107843524A (zh) 一种低熔点聚酯聚合釜用在线粘度监测方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees