JP2965178B2 - 核磁気共鳴装置における送受信回路 - Google Patents

核磁気共鳴装置における送受信回路

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JP2965178B2
JP2965178B2 JP3295200A JP29520091A JP2965178B2 JP 2965178 B2 JP2965178 B2 JP 2965178B2 JP 3295200 A JP3295200 A JP 3295200A JP 29520091 A JP29520091 A JP 29520091A JP 2965178 B2 JP2965178 B2 JP 2965178B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、核磁気共鳴装置(N
MR装置)のプローブに用いる送受信回路に関し、特に
Q値の低下を防ぐことのできる送受信回路に関する。
【0002】
【従来の技術】 NMR装置では、試料を収容したプロ
ーブを一様な静磁場内に配置し、プローブ内の試料に近
接して配置されたコイルから励起用高周波磁界を照射す
ると共に、試料からの共鳴信号をこのコイルによって受
信し、受信回路を介してコンピュータへ送り、フーリエ
変換処理によりNMRスペクトルを得ている。
【0003】図3にそのための装置の一例を示す。図に
おいて1はプローブ内に配置される送受信コイルであ
り、同調コンデンサ2が並列に接続されている。3はコ
ンデンサ2と同調整合回路11を結ぶ引き出し線であ
る。尚、同調整合回路11は共鳴周波数を合わせる同調
バリコン4と、送信器と送受信コイル1のインピーダン
スを合わせる整合バリコン5からなり、同軸ケーブルを
介して分光計に接続される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 この様な装置におい
ては、送受信コイルと同調整合回路を接続する引き出し
線のインダクタンスや引き出し線間に生ずる浮遊容量に
よってQ値が低下し、感度が下がってしまうため、引き
出し線をなるべく短くし、送受信コイルと同調整合回路
を出来るだけ近接させることが望ましい。しかしなが
ら、例えば、温度可変プローブでは、送受信コイルは試
料に温度変化を与えて測定する関係上断熱空間に配置し
なければならず、サンプルホルダー等が設けられること
もあって、この断熱空間に同調整合回路を配置すること
は困難である。
【0005】そこで本発明はかかる問題点に鑑がみてな
されたものであり、送受信コイルと同調整合回路を離れ
て配置させる装置においても、Q値を低下させることの
ない送受信回路を提供することを目的とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】 この目的を達成するた
め、本発明は、周波数の異なる高周波を送受信コイルの
両端から該送受信コイルに供給し、同時に共振させるこ
とのできる核磁気共鳴装置における送受信回路であっ
て、周波数の異なる高周波のうち高い周波数の高周波H
Fについては、前記送受信コイルの一端にその波長の1
/4の長さの同軸ケーブルを接続させ、該同軸ケーブル
の送受信コイルに接続されている端とは反対の端を短絡
させ、該同軸ケーブルの途中に前記高周波HFの同調整
合回路を接続し、該同調整合回路を介して高周波HF用
外部回路に接続すると共に、周波数の異なる高周波のう
ち低い周波数の高周波LFについては、前記送受信コイ
ルのもう1つの端に、前記高周波HFの波長の1/4の
長さを有しかつ一端を開放した同軸ケーブルを、所定の
長さの同軸ケーブルを介して接続させ、前記高周波HF
の波長の1/4の長さを有しかつ一端を開放した同軸ケ
ーブルと前記所定の長さの同軸ケーブルとの接続部に、
前記高周波LFの同調整合回路を接続し、該同調整合回
路を介して高周波LF用外部回路に接続するようにした
ことを特徴とするものである。
【0007】
【作用】 送受信コイルに取り扱う信号の波長の1/4
の長さの同軸ケーブルを接続し、この同軸ケーブルの前
記送受信コイルに接続されている端と反対の端を短絡さ
せて定在波を発生させることにより、送受信コイルから
同軸ケーブルを見た場合、送受信コイルと同軸ケーブル
との接続点が高インピーダンスになり、接続されている
同軸ケーブルによる電力損失が低減される。
【0008】
【実施例】 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説
明する。
【0009】図1は本発明の一実施例装置の構成概略
図、図2は本発明の他の実施例装置の構成概略図であ
り、図3と同一番号のものは同一構成要素を示す。
【0010】図中1はプローブ内に配置された送受信コ
イルであり、同調コンデンサ2が並列に接続されてい
る。6はコンデンサ2に接続され、前記送受信コイル1
に接続されている端と反対の端が短絡されている同軸ケ
ーブルである。この同軸ケーブル6の長さLは取り扱う
信号の波長の略1/4の長さに合わされ、その途中の芯
線と周囲導体に共鳴周波数を合わせる同調バリコン4
と、送信器と送受信コイル1のインピーダンスを合わせ
る整合バリコン5からなる同調整合回路が接続されてい
る。さらに、同調整合回路は同軸ケーブルを介して分光
計に接続される。
【0011】このような構成において、同軸ケーブル6
の長さLが分光計から送られてくる送信信号の波長の1
/4の長さに合わされ、且つ先端が短絡されているた
め、同軸ケーブルに定在波が発生する。これにより、送
受信コイルから同調整合回路を見ると同軸ケーブルとの
接続点が高インピーダンスとなって送受信コイルと同調
整合回路の間を結ぶ同軸ケーブルによる電力損失は大幅
に減少する。そのため、送受信コイルと同調整合回路と
の間が離れている場合においてもQ値の低下が抑えられ
る。
【0012】尚、前記同軸ケーブルの長さを取り扱う信
号の波長の1/4と説明したが、実際には若干それより
も短くする必要がある。それは、同軸ケーブルの途中か
ら引き出し線を介して同調整合回路を接続すると、実効
的な長さが1/4波長より長くなるからであるしたがっ
て同調整合回路を接続した状態で実行的な長さが取り扱
う波長の1/4になるように同軸ケーブルの長さを設定
することが必要であり、そのためには、少なくとも同軸
ケーブルの長さは取り扱う波長の1/4よりも若干短く
する必要がある。
【0013】図2において、図1と同一番号のものは同
一構成要素であり、本実施例と異なる点を以下に示す。
【0014】本実施例は1つの送受信コイルを観測だけ
でなくデカップリングようにも使用しており、基本的に
は2種類の周波数の同調整合を必要とする、いわゆるダ
ブルチューニング回路である。また、図示外の送信器か
ら発生される2種類の周波数のうち高いほうをHF、低
いほうをLFとしてそれぞれの周波数について同調と整
合を行っている。6は送受信コイル1とコンデンサ2に
繋がる一端の接続点に接続された同軸ケーブルの芯線で
あり、周囲導体は送受信コイル1とコンデンサ2のもう
一端に接続された同軸ケーブル9の周囲導体を介してア
ースへと接続される。10はHFの波長の1/4の長さ
Mに設定された同軸ケーブルで同調整合回路の接続点と
反対の端が開放端となっている。
【0015】かかる構成において、同軸ケーブル6の長
さがHFの波長の1/4に設定され、且つ先端が短絡
れているため定在波が発生し、送受信コイル1から見る
と同軸ケーブルとの接続点が高インピーダンスになる。
そして、同軸ケーブル10はHFの波長の1/4の長さ
に設定され且つ先端が開放されているため定在波が発生
し、送受信コイル側から見ると同調整合回路12と同軸
ケーブル10との接続点が接地されたのと等価になる。
そのため、HFからLFへは電力が通過しないので、図
1と同様に送受信コイル1と同調整合回路11の間が離
れている場合においても電力損失は低減される。
【0016】さらに、LF側から見ると送受信コイルは
同軸ケーブル6によってアースされLFからHFへは電
力が通過しない。また同軸ケーブル10は開放されてい
るので無視することができる。そして、バリコン7を調
整することにより、送受信コイルをLFに同調させるこ
とができる。
【0017】
【発明の効果】 以上詳説したように、本発明は送受信
コイルに取り扱う信号の波長の1/4の長さの同軸ケー
ブルを接続し、この同軸ケーブルの送受信コイルに接続
されている端と反対の端を短絡させることにより、送受
信コイルと同調整合回路を離れて配置させた装置におい
ても、Q値の低下を抑えることができ、感度の低下が少
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明による一実施例装置の構成概略
図。
【図2】 図2は本発明による他の実施例装置の構成概
略図。
【図3】 図3は従来例を説明するための図。
【符号の説明】
6,9,10:同軸ケーブル 7:同調バリコン 8:整合バリコン 12:同調回路

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 周波数の異なる高周波を送受信コイル
    の両端から該送受信コイルに供給し、同時に共振させる
    ことのできる核磁気共鳴装置における送受信回路であっ
    て、 周波数の異なる高周波のうち高い周波数の高周波HFに
    ついては、前記送受信コイルの一端にその波長の1/4
    の長さの同軸ケーブルを接続させ、該同軸ケーブルの送
    受信コイルに接続されている端とは反対の端を短絡さ
    せ、該同軸ケーブルの途中に前記高周波HFの同調整合
    回路を接続し、該同調整合回路を介して高周波HF用外
    部回路に接続すると共に、 周波数の異なる高周波のうち低い周波数の高周波LFに
    ついては、前記送受信コイルのもう1つの端に、前記高
    周波HFの波長の1/4の長さを有しかつ一端を開放し
    た同軸ケーブルを、所定の長さの同軸ケーブルを介して
    接続させ、前記高周波HFの波長の1/4の長さを有し
    かつ一端を開放した同軸ケーブルと前記所定の長さの同
    軸ケーブルとの接続部に、前記高周波LFの同調整合回
    路を接続し、該同調整合回路を介して高周波LF用外部
    回路に接続するようにしたことを特徴とする核磁気共鳴
    装置における送受信回路。
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